銀色の永遠 〜演劇部の奇妙な活動〜

「すいませーん、あの〜…」
「…お?きみ、中等部の子?うちのクラスになんの用?ってか、きみ可愛いね」
「おっさんには興味ないの。藤本先輩呼んで欲しいの」
「おっさん…!?俺は今年で17だっての!可愛くねえ…おーい、ミキティ〜ッ!」

「…あ?」
ったく、気持ちよく昼寝してたっつーのに。
「んだよ」
「そんな怖そうな顔してんなよ。眼つきマジやばいぞ。それより客だぞ、中等部のな」
客?あたし、中等部に知り合いなんていたっけ?
「こんにちは」
ああ、いたわ。確かこの子は…
「道重さゆみ…ちゃんだっけ?」
「そうなの」
てめー、敬語使えや。
この子も前に家きた…えーと、なんとかって秘書と同じで自分可愛いって思ってるんだろうな。
うん、そんなオーラが出てる。
「なんか用?」
「はい、昨日藤本先輩、部活サボったじゃないですか。その時の連絡事項と今日の活動内容をお伝えに来たんですけど…」
な、なんだ…敬語使えるんじゃン。
でも、今まで休んでて『今日の活動内容』なんて知らせに来たのは今日が初めてだ。
今日の活動内容か…つっても、あんま出る気しないな〜。
「今日は絶対出席だから、絶対サボらないで欲しいんですよ」
「マジかよ…で、今日の活動内容って何?ボイトレ?ダンスレッスン?」
ボイトレならパスだな。歌なら部員全員に負ける気がしないし。
「いや、どれも違いますけど…」
「へ、違うの?じゃあ何??」
「う〜ん…藤本先輩ってこーいうの好きじゃなさそ〜だなーって思うんですけど…」
あたしが好きじゃなさそうな活動?
「勧誘活動をするんです」


137 :名無し募集中。。。:2005/09/14(水) 06:57:30 0
放課後。
あたしは中等部の道重さゆみ(通称、さゆ)と校門の前に立っていた。
「藤本先輩、いつから部活行ってないんですか?」
「あたしは…いつだっけかな〜。アレだ、寺田先生に自分のスタンドの能力書けッって紙渡された日あったじゃん?あの日以来かな」
「えぇッ!?ほとんど入ってすぐから来てないんじゃないですかあッ!せっかく痛い思いして入った部活なのに…もったいない!」
もったいない…確かにもったいないわな。入る前はあんなにやる気満々だったのに。
でも大スターになる夢を捨てたわけじゃない。あたしの前にどんな障害が現れようと、必ず踏み潰して伸し上がってやる!!
「先輩、あの紙になんて書いたんですか?」
「あたしは…」
そう、梨華ちゃんを病院送りにした時も、エリートイケメン販売員を追い返した時も体感したあの『時を戻す』能力。
でも、そんなこと本当に書いていいのか、教えてしまっていいのか不安になったため、
『時が戻ったよーな気がする』
って書いといた。全然誤魔化しになってないケド…。
「…まあ秘密にしとくよ」
「なんですかそれ〜ッ。ちなみにさゆの能力知りたくないですか?」
「どんなの?」
「秘密です♪」
「うぜ〜w」
下校してる周りの生徒が聞いたら、あたしとさゆが一体なんの話してるんだかわかんないだろうな。



138 :名無し募集中。。。:2005/09/14(水) 06:58:23 0
「で、勧誘って何すりゃいいの?ビラも何もないようだけど…」
「実はですね、もう勧誘する人達は決まってるんです。あ、これ寺田先生から渡されたンですけど…」
さゆはカバンから写真を取り出して、それをあたしに手渡した。
…男子?やけに柄の悪そうな二人組みだな。
「その二人、今年入ってきた高等部の一年生なんですよ。片っぽは編入してきたのかな?まあよくは知らないですけどね」
「でもさ、うちの部って『女子演劇部』でしょ?男入れてどーすんのって話だよね」
「さあ…寺田先生は力ずくで勧誘してこいッて言ってたから、たぶん…」
あ…そういうことか。
スタンド使いなんだな、この二人。
でも、スタンド使いなんかを集めて、寺田先生は何をする気なんだろう…?
つーかスタンド使いって、そんないっぱいいるもんなの?
「あと、入部させることが出来なかったら、せめて彼らのスタンド能力だけでも調べて来いって先生言ってました」
マジかよ…あんまスタンドとは関わりたくないんだけどな…
「ていうか藤本先輩、この人の髪型ウケません?」
さゆは写真の二人組みの片方を指差して見せた。
た、確かに…20〜30年くらい前の古臭いセンスなんじゃないの?
「かっこいいと…思ってるんですかね?」
「う、うーむ…ま、まあセンスや価値観は時代が変わってもそのまんまって人多いし…」
「で、でもこれはなんというか、サザエさんかな」
「いやむしろあたしはアトムだと思う」
と言っても、アトムの髪型よく覚えてないから自信ないけど。




139 :名無し募集中。。。:2005/09/14(水) 07:00:40 0
「あっ藤本先輩ッ!来ましたよ!!」
「えっ!?」
向こうから明らかに不良だと思わせる二人組が校門に向かって歩いてくる。
い、一年生のくせにタッパあるなあ〜…距離はそんな近くないけどよくわかる。
180cm以上はあるだろうな…ちょっと怖い。
「うん、間違いない!あのセンスない髪型ッ!間違いないです、あの人達が…」
この子、怖いもの知らずなのかな?
「『東方杖助』と『虹村億泰』ですよッ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

「…ア?」
やべっ気づかれた!!
…って勧誘するんだからそれでいいのか。杖助と億泰がこっちへ向かってくる。
「あんた、今俺らのこと呼んだかい?」
「おい杖助、この子中等部の子だぜッ?俺らのこと知ってるって事は『重ちー』の友達か?」
う、うおおお…なんつーかこの圧迫感!本物のヤンキーって、やっぱそこら辺の
DQNと違って、何か芯のある『凄み』ってヤツがあるな…ッ!
でもあたし、こんな奴らと一緒に部活なんてしたくないんですけど…
なんつーかな、トラブルの香りがする。
このアトムっつーかスネ夫みたいな髪型の人が『東方杖助』かな?
「あの…1年B組の東方杖助先輩と虹村億泰先輩ですねッ?」
「ああ…確かにそうッスけど」
「先輩か…へへっなんか照れるぜ」
このバカっぽそうなのが『虹村億泰』か。
そーいや前に梨華ちゃんがこの『東方杖助』って人と友達に
なっときゃよかったとか言ってたけど、あれはどういう意味なんだろう。



140 :名無し募集中。。。:2005/09/14(水) 07:02:18 0
「あの、演劇部に興味ありませんか?」
「演劇部?この学校そんな部あったのか。知ってるか杖助?」
「ああ、新入生歓迎会の時チラッと見たな。億泰オメー途中から通い始めたから知らねーだろ。
なんかミュージカルとかやってたよな?」
「そう、そうなんです。あ、わたし最近演劇部に入部した『道重さゆみ』っていいます」
そういうとさゆは二人にペコッと頭を下げた。
けっこう礼儀正しいのかな、この子。
「で、その演劇部が俺らになんの用ッスか?」
「あのですね、実はお二人に是非演劇部に入って欲しいなと思いまして」
さゆがそう言うと、杖助は吹き出した。
「…ぷわっはっはぁ〜ッ!!!聞いたかよ億泰!俺らが演劇部だってよ!!」
「そ、そんな笑わなくてもいいと思うのッ!!」
地が出てるぞッさゆ!!
「だってよーえぇっと…道重ちゃんだっけ?この学校の演劇部って
頭に『女子』ってつくよなァ?」
「そこらへんはどうとでもなるのッ!…ハッ…と、とりあえずここじゃ
なんだから裏庭で話をしませんか?」
そうかそうか、さゆ、あんたけっこう無理して敬語使ってんのね。
寺田先生は入部させることはできなくても、せめてスタンド能力を調べて来いって
言ってたらしいから、裏庭に誘って正解ね。
たぶん周りには見えないとはいえ、こんなとこでスタンド発現させるわけにはいかないし。
でも、どうやって能力を調べればいいんだろう。戦闘になるのはゴメンだかんね。



141 :名無し募集中。。。:2005/09/14(水) 07:04:23 0
「わりィけど、他あたってくれ。俺は部活なんて興味ねーッスよ。
早えぇとこ帰ってファミコンしてーんだ。億泰、行こうぜ」
と思ったら、帰っちまうなコリャ。
まあ、当たり前か。あんな図太くて男らしい神経持ってそうなヤツらが
演劇部なんて入るわきゃないんだ。だから話も聞くわけがないか…
「ちょっと待てよ杖助」
突然、帰ろうと歩き出す杖助を億泰が止めた。
「話だけでも聞いていこうぜ」
「あぁ?何言ってんだオメー」
すると彼らはヒソヒソと話し始めた。

「こーいうのはよぉ〜、行ってみといた方がいいぜ」
「だから何でそうなんだよ。俺は別に演劇部なんざ興味ねーぜ」
「わかってねーなぁオメーはよ〜。女の子の後輩が男の先輩を裏庭に
呼び出すってのは絶対何かあんだよ。演劇部の話だぁ〜?そんなのは
裏庭に呼び出すための口実かもしんねーなッ」
「どういう意味だ?」
「まだわかんねーのかよ。俺らは二人、向こうも二人!これは俺らに対する
『愛の告白』と見たぜェ〜ッ。その証拠にかたっぽの髪みじけぇ女は一言も喋ってねえ!
緊張のあまり固まっちまってるんだぜきっと」
「でも、あのショートの女は見た感じ高等部みたいだぜ?」
「んな細かいこと気にすんなよ杖助ッ!オメーだってこのチンケな
学校生活エンジョイしてえだろ?」

何を話してるんだろう、あの二人。
しばらくすると、億泰が杖助を引っ張って連れて来た。
「わりーなッ、手間取らせてよぉ〜。じゃあ裏庭行こうか〜っ」
億泰はウヒョルンッとしている。
な、なんでこいつ、こんなにハイになってんだ?





142 :名無し募集中。。。:2005/09/14(水) 07:08:11 0
銀色の永遠 〜ボーイフレンド〜

さて、杖助と億泰を連れてきたはいいけど…
いったいこれからどうすりゃいいんだろ。
さっきのあの杖助の様子じゃ演劇部に入ることはまずないだろう。
億泰はよくわかんないけど。
すると、なんとかしてスタンド能力を暴かなきゃいけないわけだけど…
さゆ、あんたちゃんとした考えがあって、こいつらここに連れて来たんだろうなッ?
「で、俺らに話ってなんだい?」
億泰のヤツ、なにか期待してる顔だな。
何を期待してそんな嬉しそうな顔が出来るンだ?
さゆ、どうするの?あたしには何の考えもない…年下だけど、
今はあんたが頼りなんだよッ!
「お願いですから、演劇部に入って欲しいの」
「…」
「…」
…は?
「み、道重ちゃんとか言ったな…話ってのは本当にそれだけかいッ?」
「是非、二人に演劇部に入って欲しいのッ」
さゆが敬語使ってない…こりゃマジで頼んでるな。
マジで頼んでるってことは、他に考えはないってことか…



143 :名無し募集中。。。:2005/09/14(水) 07:09:48 0
「…帰るか杖助」
「ああ、気が済んだか」
二人はやる気なさそうな顔をして、あたし達に背を向けた。
やばいな…スタンド使いとは関わりたくはないけど、入部してろくに部活に出ず、
与えられた仕事もまっとうできないなんて思われたら、大スターへの道は程遠いものとなっちまう。
でもスタンドを出したりはしたくない…と、なるとやっぱり…
「ちょっと待ちなッ!!」
あたしは初めて二人の前で声を出した。
「なんだ?話ならもう終わったぜ?」
「ええっと億泰…くんだっけ?あのさ、あたし藤本美貴ってんだけど、年上に興味ない?」
「あ?年上だあ?」
「そそ。あたし今2年生なんだけどね、演劇部入ったらさあ〜美貴が『イイ事』教えてあげるよ」
「『イイ事』?」
「美貴ってけっこう男子から人気あるんだから。ね、だから入ろうよぉ〜☆」
おおぉぉ…我ながら何ッて気持ちの悪い行動なんだッ…
まあでも手段は選んでらんないしな。
「俺はよー…」
そんなあたしに対して、億泰が口を開いた。
「俺は『愛情の真剣さ』が微塵の欠片もねェー女ってのはよお〜犬の糞以下だと思ってンのよ。
いくら顔がよくてもよぉ〜おめーみたいな女なんかよりまだ由花子の方が魅力あるってもんだぜ」
グサグサグサッ!!!!!!!!!!!!!!!
うわ…演技でやったとはいえ超ショック。つーか由花子って誰だよ!
「じゃーな『貧乳』な先輩よ。お色気はもっと乳でかくしてからにしな」
・・・
「あーあ行っちゃうの…あれ、藤本先輩…?」
てめェ…
「藤本先輩…?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…




144 :名無し募集中。。。:2005/09/14(水) 07:12:14 0
「ふ、藤本さん…なんか怖いの」
「てめええええええええええええええええッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
あたしは億泰に飛び掛っていった。
「あン?」

ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッス!!!!!!!!!!!!!

「ぶべぼッ!!!!!!!!!!!!」
無意識のうちに発現させた『ブギートレイン03』の腕で美貴は
億泰の顔面に渾身の一撃を入れた。
「な、何ィッ!!!スタンドだとッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
杖助がなんか叫んだようだが、よく聞こえない。
「てめェ億泰ッ!!今美貴のこと何て言ったッ!!!!!!!!!!!!!!!」
許さねえ…美貴の胸をバカにしてムカつかせたヤツはーッ!!!
誰であろーと絶ッッッッ対に許さねえーッ!!!
「誰が『貧乳』だあ!?ああ!!!?」
あたしは億泰ににじり寄る。
「大丈夫かよー億泰しっかりしろッ…あちゃ〜っ、歯が折れてるぜ…」
ぶっ倒れた億泰を杖助が肩を抱いて起こしている。
「黙ってないで何とか言いなッ!『貧乳』だって?確かに聞いたぞゴルァ!!!!!!!!!!!!」
叫びながら、あたしは自分のスタンド『ブギートレイン03』の全身を
さらけ出した。
「ぎ、銀色のスタンド…グレートだぜこいつぁ…クレイジーな女だが、
何か『似たもの』を感じるぜ…」



145 :名無し募集中。。。:2005/09/14(水) 07:14:12 0
「起きないなら美貴が起こしてやるよッ!おおおおおおッ!!
逆転サヨナラッ!満塁ホームランッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
さっきと同じくらいの威力の必殺パンチ!!ぶん殴って目ェ覚まさせてやるッ!!!
「クレイジー・ダイヤモンド」

バッシイイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!!!!!!

!!!?
「…これが、あんたのスタンド?」
「女のくせに、なかなかグレートなパワーだぜ…手が痺れてきやがった」
これが…東方杖助のスタンドか。『クレイジー・ダイヤモンド』って聞こえたような
気がするけど、それがこいつのスタンドの名前か?
「藤本先輩でしたっけ…俺は女を殴る趣味はねーッスよ。
大人しくそいつを引っ込めてくんねーっスか?」
そう言いながら杖助が億泰の顔に触ると、折れたはずの歯がいつの間にか
くっついて治っていた。
え?え?なんで?
なんで折れた歯が治ってんの?
「聞こえねーのか。早くそれをしまえっつってんスよ」
「あたし達は…もともとあんたらスタンドの能力を調べるっていう仕事があったんだ。
結果はどうあれ丁度いいわ。あんたの力ッ!試させてもらうッ!!」
あたしは両手の拳を握り、ブギートレインを構えた。
「能力を調べる…ッ?」



146 :名無し募集中。。。:2005/09/14(水) 07:16:36 0
「おおおおおおおおおおおッ!ゴールデンゴール決めてッ!!!
VVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVV
VVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVV
VVVV!!!!!!!!!!!!!!!」

「どららららああああああああああああッ!!!!!!!!!!!」

ドッギャ〜ン!!

「がはっ!!」
は、腹にパンチをもらったッ…!!
あたしは悶え、地面に這い蹲る。ラッシュ負けした…ッ!!
「女だからってんで顔は殴らないでおいたが…能力を調べる…
ってーのは…どういうことだ?」
じりっと杖助はあたしに歩み寄った。
「それ以上近づくななのッ!!!!!!!!!!!!!」
すっかり忘れてた。さゆ、あんたいたんだったね。
でも、なんだあれは…さゆの腕に絡み付いているでかい蛇は…
い、いや!!あれは蛇じゃないッ!!!!ウナギだッ!!!!!!!

「こ、この女の子もスタンド使いなのか…一体なんなんだテメーらはッ!?」
「『シャボン・イール』ッ!!東方杖助ッ!!あなたの周りはすでにッ!!
さゆが放ったシャボン玉で包囲されているッ!!!」



147 :名無し募集中。。。:2005/09/14(水) 07:18:31 0
シャボン・イール…前に会ったさゆの姉、なんとかって秘書の
『シャボン・クイーン』とは全然見た目が違うタイプだ。
さゆのシャボン・イールが放った無数のシャボン玉は、既に
東方杖助を中心に集まっていた。
「な、なんだこれは…ちょっとでけえシャボン玉のように見えるが…」
その中のシャボン玉の一つが、杖助の肩にぶつかり割れた。
ボムッ。
「なにっ!」
あ、また触れて割れた。
ボムッ。
爆発している…!?威力は弱そうだけど、この数だと…
「う、うおぉぉおぉぉぉぉぉぉッ!!!!!!!!!!!」
ボムボムボムボムボムボムボボムボムボムボムボムボムッ!!!!!!!!!!!!!
「ハァ…ハァ…」
杖助は無傷に近かった。うまいことガードしたのだろう。
「ちッなかなかやるヤツなの!でもこれを見て驚くのッ!!!シャボン・イールッ!!!!!」
さゆは近くの太い木にスタンドを向けんだ。
そして勢いよく叫んだ!!
「シャボン玉ああああああああああああああああああああああッ!!!!!!!」
うなぎみたいなスタンドの口から勢いよく噴出するシャボン玉。それが木にまとわりつき…

バッコオオオオオオオオオオオオオオオウウウウッ!!!!!!!!!




148 :名無し募集中。。。:2005/09/14(水) 07:19:37 0
大爆発が起きた。
せ、先生来るんじゃないのか…?
「グレート…木がへし折れちまってるぜ…塵も積もれば山となるってか」
な、なんか意味違うような気もするけどな。
さゆはその折れた木の上に立ち、杖助たちを見下ろした。
「さあ!あなた達の能力じゃさゆ達にはかなわないのッ!」
「誰が…かなわねーって…?」
お、億泰!億泰が起きた!!
そういえば、こいつの能力がまだわからないッ!!!
「厨房の…しかも女になめられるなんざ、この虹村億泰のプライドが許さねーぜ…」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

「でかい口叩けるのも今のうちだけなのッ!くらえ必殺!!
シャボン玉あああああああああああッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
さゆの『シャボン・イール』の口から億泰に向かって勢いよく無数のシャボン玉が吐き出される!
あれを食らったら、無事じゃすまないだろう。
…下手したら死ぬかも。
だが億泰は臆することなく、至って冷静だ。
あれは…何か切り札を持っている。そんな目をしている。
「ザ・ハンド」
億泰がスタンドを出したッ!あれがヤツのスタンドかッ!!
まさか…防御する気!?
だが、彼のスタンドは予想に反して防御体制を取らないどころか、向かってくるシャボン玉に
右手をかざしたのだッ!!
「ほれッ!」

ガオン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



149 :名無し募集中。。。:2005/09/14(水) 07:21:21 0
一瞬何が起きたのかわからなかった。
さゆも呆気に取られている。
シャボン玉が…消えた?
「な、さゆのシャボン玉が…ッ」
「俺の右手はよォ〜つかんだものを削り取っちまうんだよ。もっとも
削り取ったもんはその後どこへ行くのかは俺も知らね〜けどよお〜っ」
削り取る…億泰の能力は…削り取る能力!?
「空間を削り取ってオメーをその木から下ろしてやんぜーッ!!」
「待て億泰ッ!!その必要はねーぜ」
「なっ、なんで止めんだよ杖助〜ッ」
「道重ちゃんっていったな…死にはしねー、ちょっと痛い目にあってもらうが許せよ」
「あ、あんたら何を言ってるの…ッ?」
「今、あの子が爆破して折った木を『治した』」
治した…どういう意味だ?

ドギューン!!!!!!!!!!!!!!!!!!

あたしは自分の目を疑ったよ。
バラバラになった木の破片が集まって、それは元の幹の太さにまで
戻り、さらに元の場所、つまり今さゆが立っている折れた木に戻っていく。
な、治っていく!木が治っていく!!!!!!
「さゆ!危ない!!」
「え?」

ドッギャ〜ン!!!!!!!!



150 :名無し募集中。。。:2005/09/14(水) 07:23:15 0
あたしの叫びも空しく、治ろうとして元の木へ勢いよく
治りに戻っていった木の幹に吹っ飛ばされ、さゆは木から落ちた。
…気を失っているようだ。
治す能力…!?そうか、億泰の歯を治したのも錯覚じゃなくて、
杖助の能力だったんだ!
梨華ちゃんの言ってた意味がわかったよ…
するとこいつら…激ヤバな相手じゃんか…ッ!!
「うッ…」
立ち上がり、思わず後ずさるあたし。
「おっと、逃がさねえぜっ」
ガオン!!!!!!
「えッ!?」
もう何がなんだか…億泰の『ザ・ハンド』の右手が空間を空振りすると、
あたしの身体が一瞬で彼に近づいた。
「うわッ!!ブギートレ…」
「シャアアッ!!」
ボスッ!!!!
は、腹パンチ…本日2度目の…ッ!
「これでおあいこだぜ…」

プワアァァァァン…




151 :名無し募集中。。。:2005/09/14(水) 07:24:56 0
「あの、演劇部に興味ありませんか?」
「演劇部?この学校そんな部あったのか。知ってるか杖助?」
…あッ!!また戻ってきた…の?
「ああ、新入生歓迎会の時チラッと見たな。億泰オメー途中から
通い始めたから知らねーだろ。なんかミュージカルとかやってたよな?」
そうだ…あたしは最後に億泰に腹パンチされて、気ィ失ったんだ。
「そう、そうなんです。あ、わたし最近演劇部に入部した『道重さゆみ』っていいます」
「で、その演劇部が俺らになんの用ッスか?」
「あのですね、実はお二人に…」

「さゆ!!」

あたしが急に口を開いたもんだから、さゆはビックリしているようだ。
「…は、はい?」
「帰るよ」
「え、帰るって…まだ仕事終わってないですよ?」
仕事か…仕事なら…
「終わったよ、もう」
「は、い?」
さゆにはあたしの言ってる意味なんてわからないだろう。
さっきまであたしがこの3人と体験した時間は、
もうなかったことになっちまってんだから。
「え、え?一体なんの話なんスか?」
東方杖助と虹村億泰か…敵に回したくはないな。
「ごめんなさい、なんでもないんだ。じゃ…また縁があったら」
「縁…スか?」
「一体どーいうことだ?」




152 :名無し募集中。。。:2005/09/14(水) 07:29:06 0
昔に戻れたらいいなあって、思ったことがあった。
あん時に戻れたら…なんて思ったこともあった。
でも、もし本当に戻れても、本当に幸せか?
失ってるものは、何もない?


「ふふ…すごいやんか藤本…お前の能力、恐ろしいわ…」


東方杖助                    
スタンド名:クレイジー・ダイヤモンド   

虹村億泰 
スタンド名:ザ・ハンド

道重さゆみ
スタンド名:シャボン・イール

TO BE CONTINUED…