658 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/13(月) 07:10:28.74 0


銀色の永遠  〜走り出せないブギートレイン〜


  ―ヒート・キャパシティ―

「…ハッ!!!」

しまった!!
休憩室で座ってたら…居眠りをこいてしまった!!!
こ、こいつはまずいぜーッ!!けっこう寝てたんじゃあないのか!?
なんで受付のお姉ちゃん起こしに来てくれないんだよクソッ!!!!!!!
俺は急いで店内へ戻る。

「す、すいませんッ!!お客様は…?」
「もう来てるわよ」

あぁ…やばい!!
とてつもなくやばいぞッ!!!
ところが、一人焦る俺に受付の女性美容師はこう言ったんだ。

「まだ予約時間15分前だけど、どうする?西川くんまだ休憩してないし、ちょっと
休憩してくれば?幸いお客様もまだ髪型どうするか決めてなかったみたいだし…」

「えッ?」


659 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/13(月) 07:12:53.13 0

壁にかけられたイタリア製の時計を見ると、時計の針は4時15分を指していた。

あれ…俺、全然休憩してなかったのか?
ちょろっと寝てたハズなんだけど…
予約されていたらしいお客様は、男子学生のようだ。
なるほど、どんな髪型にするか決めてこなかったんだな。


「じゃあ、休憩してきます…」


なんだか、不思議な気分だな。
全然時間経ってないなんて…俺、疲れて夢でも見てたのかな。
けど、夢は寝ないと見れないよな…あぁ、わけわからなくなってきた。

俺は静かに裏へと下がっていった。


「それにしても変な気分だわ…先ほどのお客様が帰ってからまだ一分も経って
ないのよね。時間が長く感じるわ…私、疲れてるのかしら」


受付のお姉ちゃんがそうぼやいた事を、俺は知らない。



660 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/13(月) 07:13:45.15 0


  ―プリンセス・コリン―

「あーもうッ!!!いつになったらユウコリンはお菓子にありつけるのよッ!!!
やけに時間が長く感じるわッ!!!」


まだ4時15分なのに、もう二着目完成りんこ!!
仕事早くなったのはいいけど…お菓子食べたい!!!


「えぇぇぇぇぇいッ!!なんだったら4時半までに三着目も完成させてやんぜッ!!
やれるとこまでやってやりんこ!!!オラァッ!!!!!!!」



661 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/13(月) 07:15:47.38 0

  ―ブギートレイン03―

くそぅ…亀のヤツから携帯に電話がかかって来て何分経ったかな。
あたしは先ほど杜王駅を出て、ぶどうヶ丘公園に向かっている。
こんなことになるならS市なんかに行くんじゃあなかったぜ…!!!!
なんでS市にいたかって?ふとS市のカメユーに行きたくなったんだよ!!
あそこのカメユ−は杜王町よりでけーからな!!
けど、今めちゃくちゃ走ってるからもうすぐ着くッ!!!

「真希ちゃんとコンコンが交戦中って…いったいどういうことなんだ!?」

あたしの頭の中はその疑問が終始めぐりめぐっていた。
元演劇部員が、現演劇部員と衝突…クリスマスに経験した悲惨な光景が目に浮かぶ。
『神砂嵐』とか…バカなことは考えてねーだろうな真希ちゃんよぉー!!!
ひでーことになる前に…間に合ってくれ!!!
あたしはチラリと腕時計を見てみる。

4時15分。

あ、そうだった。この時計止まってたんだった。
杜王駅を出たとき、電池切れかなんかで止まっちまったんだが…
これ、けっこう新しかったんだよな。去年の秋によっちゃんさんにボコされたとき、
Diorの時計壊れちまったから、気分を改めてドル・ガバの腕時計を買ったってーのに…
もう電池切れかよ。針が動いてない。
まぁそんなことはどうでもいいな…ぶどうヶ丘公園の時計台の広場までもうすぐだ!!


ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!

その時、空気をビリビリいわす爆音が響いた。
時計台の…広場の方からしたな…


662 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/13(月) 07:17:36.67 0

  ―ヘブンズ・ドアー―

『この電車は、4時17分の発車です…』

今は…4時15分か。
なんだかやけに長く感じるな。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

まだ発車しないのか?
今何分だよ、もう2分経っただろう。

4時15分。

なんだ、まだ1分経っていないのか。
やれやれ…僕って意外とセッカチなようだな…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

おいおい、まだ発車しないのか。
もうだいぶ経ったハズだぞ?

4時15分。

まだ4時15分なのか!?
なんだこれは!!全然時間が流れていないような気がする!!!
とても奇妙だ!!そしてすごく不快感だッ!!!!
僕は…取材疲れでも起こしているんだろうか…これだから公共の乗り物は嫌いなんだ。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


663 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/13(月) 07:18:50.10 0


後藤真希の『マッキング・ゴールド』。

それは彼女の『ゴシップ・セクシーGUY』が先へ進んだ姿であり、
その能力は『時を止める』能力である。


だが、後藤真希は知らない。


『マッキング・G』いや『G・セクシーGUY・レクイエム』の真の能力を、
後藤真希は知らない。

そして、彼女は永遠にそれを知ることはない…




664 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/13(月) 07:21:06.71 0


マッキング・G・ザ・ワールドによって止められた時間は、後藤真希以外の
すべてのものの時間を止めてしまった。
時が止まった世界では、亀井絵里も、田中れいなも、道重さゆみも、
そして久住小春のミラクル・ビスケッツNo.6も、何もすることが出来ない。
何をされているのかも気付いていない…

「DRYッ!!!!!」
グショォォオォォオオォォォオォォォッ!!!!!!!

後藤真希は、その真金色のマッキング・ゴールドでミラクル・ビスケッツNo.6を
強く殴りつけた。

こいつは今、ごとーの『能力』を仲間たちに伝えに来たのだ…
スタンドが伝えに来たという事はつまり!!久住小春が能力に気付いたということ!!!
恐ろしいヤツだぽ…たったアレだけでごとーの能力に気がつくとは…

「けど、バレたところできみたちは何も出来ないケドねーッ!!!!!!」
ドゴァアァアァァアァァァアァァアァッ!!!!!!!

ミラクル・ビスケッツNo.6を殴り潰し、すぐさま側にいた亀井絵里の腹を蹴る。
そのまったく別物であるハズの一連の動きは、華麗であった。
最も、止まった時の中ではそれを拝めることの出来る者はいないが。
ちなみに蹴る相手は誰でも良かったのだが、ふと見た亀井絵里の目が何かを
決意したような目つきをしており、どうもシャクに触ったので彼女にしたのだ。


「5秒経過。そして時は動きだす…」


ドバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーッ!!!!!!!!!!!!!!


665 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/13(月) 07:22:16.01 0


「ぎゃああああああああああああああッ!!!!!!!!!!!!!!!!!」


田中れいなのすぐ脇を、いきなり亀井絵里が痛みを訴えながらスッとんで行った!

何がなんだか…理解できるワケがない。


ドシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!



666 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/13(月) 07:25:45.99 0

「絵里ィッ!!!な、何が起きたと!?これは…高橋さんと同じばい!!!」

それだけではない。
遠くから『はうっ』という細い声を上げた者がいたのだ。
その声の主はすぐにわかった。

「小春ちゃんの声ばい…び、ビスケッツはどこたい!!ビスケッツNo.6はッ!!!」

亀井絵里がすぐ横をすっ飛んでいったので思わず目をそらしてしまったが、
何かを伝えに来たビスケッツがいなくなっている。
消えてしまった…目の前から一瞬で…!?

ビスケッツは…後藤さんの能力がわかったと言っていたばい…
小春ちゃんが突きとめたと言っていたばい!!
そんな大事な話の途中でいきなりいなくなるなんておかしか…ハッ!!
まさか…さっきの小春ちゃんの声はッ!!!!!!!!

「んぁ、きみたちは『コレ』を捜してるのかな?」

いつの間に後ろに立ったのか、後藤さんがれいなとさゆに赤い雫の垂れた
グチャグチャの物体をつまんで見せたと。潰れたカエルみたいだっちゃ。

な、なんやろかあれは…いや…ホントは気付いているっちゃ…けど…認めたくない!!


「あの子のスタンドは凄いけど…『一匹』だとザコだね。そして今、倒れている
あの子が声をあげたということは…こいつは倒したな。ま、所詮は中坊だぽ」


ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!


667 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/13(月) 07:27:09.82 0


そう言って、後藤真希は無残な姿と化したミラクル・ビスケッツNo.6を地面に捨てた。

道重さゆみは、捨てられたNo.6と、吹っ飛ばされて遠くで倒れ腹を抱え込んで
苦しんでいる亀井絵里を、何度も何度も交互に見続ける。

徐々に動悸が高まっていく…!!!!



ビスケッツ…絵里…ビスケッツ…絵里…小春ちゃん…絵里…小春ちゃん…絵里…!!!!



ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ…



668 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/13(月) 07:28:43.16 0


「てめえええええええええええッ!!!!!!もう許さないとッ!!!!!!!!!」


田中れいなの怒号が風を震わせる。
彼女は『友情』を守りたかった…後藤真希と、これからここに現れる
藤本美貴の…二人の『友情』を守りたかった!!!
だが、そんな田中れいなの『友達』を目の前の後藤真希は傷つけ続けたのだ。
後藤真希の『友情』のために頭を下げていた田中れいなの『友達』を、何の躊躇いもなく
痛めつけたのだ!!!!

もはや田中れいなを止めることはできない。
そして、ここにもう一人…

「『匹』じゃねーの…ビスケッツは『匹』じゃあねーの…ッ!!!オメーは
小春ちゃんを侮辱したの…そして!!絵里を傷つけたッ!!!!!!」


二人の中学生は立ち上がった。
その瞳は、怒りで燃え滾っている。
目の前の敵に、決して屈服しないという…強い決意の炎が爆ぜている!!!



「「テメーは私達が裁く!!!!」」


「んぁ…やってみろ・・・・・・・・・・このごとーに対して!!!!!!!」


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…


36 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/15(水) 06:42:41.56 0


道重さゆみは構えたスタンドから、シャボン玉を吹き出す!!
それが、闘いの合図となった!!!


「シャボン玉ああああああああああああああああああああああッ!!!!!」

ブッシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!!!!


そのシャボン玉は、一直線に後藤真希目掛けて突き進む!!
だが、その軌道はあくまで直線だッ!!!

「だからッ!!そんな一直線の攻撃がごとーに通じるわけねェーじゃん!!!」

彼女は滑らかな身のこなしで、シャボン玉をかわす。
…かわしながら、道重さゆみとの距離を詰めるッ!!!!!

「油断も手加減もしないぽ…まずは殺傷能力の高いきみからやるッ!!!!」

爆発物を吐き出すスタンドということは、敵は自らが爆発に巻き込まれないよう
一定の距離をとるということ!!!
ならばッ!!攻撃不能の射程内に入ってしまえばいいだけだッ!!!
そして…射程は十分な距離に入った!!
あとは『マッキング・ゴールド』を叩き込むだけ!!だったのだが…


37 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/15(水) 06:45:59.53 0


「んぁ…なんだコイツ…」

道重さゆみは、どこか落ち着いていた。
少なくとも、先ほどまでのようにまったく自分に対して恐怖は感じていないように思える。

こいつ、何かしたぞ……!!

その時、後藤真希は気がついた。
道重さゆみの目線は迫り来る自分の他に、もう一つ見ていたのだ。
それは、後藤真希の背後にいる!!!田中れいなを見ていたのであったッ!!!!
そして振り返った先の光景に、後藤真希は納得がいかない!!

「なんだ…なんなんだよッ!!その妙技はァ〜!!!!?」

このガキのシャボン爆弾は、物理的なショックを与えれば割れて爆発するもののハズ!!
それはシャボン玉を喰らった久住小春を見れば明らかだ。
なのに…後藤真希の後ろに周っていた田中れいなは…

シャボン爆弾をすべて自分の手で受け止め・・・・・・一つにしていたのだ!!!!!!!!


「生命磁気への波紋疾走ッ!!!」


ブァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!



38 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/15(水) 06:48:10.00 0


そう、先ほど後藤真希に放ったシャボン玉は、実は後藤真希に放ったものではなかったのだ!!
彼女の裏に回った田中れいなが、一直線に飛んできたスタンドのシャボン玉に
波紋を流し込み、それを磁石としてすべてのシャボン玉を引き寄せ、一つにするためであった!!

波紋を帯びているから割れることなし!!!

田中れいなは、まるで綿菓子を作るかのごとくシャボン玉を一つにしたッ!!


これが彼女のもう一つの能力、『仙道』…またの名を…『波紋法』といった!!!!


バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!


39 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/15(水) 06:52:14.52 0


「れいなとさゆの合体技たい!!これはかつてイタリアの波紋戦士が得意としていた
シャボン玉を使った戦法…これでアンタを身動きとれなくしてッ!!派手に散らして
やるとよぉー!!!くらえ奥義波紋ッ!!!」


「んぁ…こしゃくなッ!!!!!!!!!」


「「シャボン・バリアーッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」


道重さゆみと同時に叫ぶと、田中れいなは一つにまとめたシャボン玉を
後藤真希に投げつける!!!!

波紋…聞いたことがあるぽ!!確か特殊な呼吸法が生み出す奇妙なエネルギー…
それが、波紋エネルギー!!!!!
まずいッ!玉が大きいから回避が間に合わない!!
あれでごとーの身動きをとれなくするってーの!?

時を止めずに闘うつもりだったけど…やむ終えないッ!!!!!!!!


40 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/15(水) 06:55:08.41 0

「こんなことで…マッキング・ゴ…」

ブヒュン…

能力を発動させる、まさにその刹那!!
シャボン・バリアーを振り返っていた後藤真希の顔のすぐ横を何かが通り過ぎた!!!

これは…シャボン玉だぽッ!!


「れいなの言った事は…う・そ・だ・よ!!!」

道重さゆみのそのセリフを聞いたときにはもう遅い。
通り過ぎていったたった一つのシャボン玉は、田中れいなの投げつけた
シャボン・バリアーに飲み込まれ、そして…


ドゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!!

爆発した!!!!!


「うおぉぉぉぉぉッ!?さゆッ!!!せっかく波紋で作ったのに、なんでいきなり
バリアーぶッ壊しちゃったと!!?」

「シャボン・バリアーはれいなの波紋を帯びてるから、ヤツをとりこんでから
爆破するまでにはちょっと時間がかかりすぎるのッ!!あのトボけた顔したクソッカスに
『考える』ヒマは与えねーの!!だからッ!!さゆみのシャボン玉で強制爆破させたの!」


バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!


41 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/15(水) 06:58:10.41 0


「な、なんて威力なんだ…まともに喰らったらやばすぎる…ぽ!!!!」


爆風に吹っ飛ばされながらも、後藤真希は倒れることなく大地を踏みしめていた。
道重さゆみから距離が離れてしまった…中〜遠距離はヤツのホームグラウンド!!!
そして、田中れいなの波紋…これは時を止めずに〜などと変な意地を張っている
場合ではないかも知れない。
この状況、けっこうまずい…2対1とはいえ、こいつらなかなか手強いッ!!

「とにかく、今はやはり田中れいなより今は道重さゆみだ…こうもシャボン玉を
ポンポンと撃たれていちゃあ…闘い辛いことこの上ない!!」

それに、見た感じ田中れいなのスタンドは近距離パワー型のようだ。
あとでじっくり可愛がってやるぽ…そうと決まればッ!!!

後藤真希は、爆煙が晴れきる前に道重さゆみに向かって走り出す。
ヤツの姿は砂埃で見えずらいが、それはヤツも同じこと!!!
そして、ヤツ自身に爆撃が及ぶ近すぎる距離に入ってしまえば…戦況は一気に
こちらの有利となる!!

「シャボン玉を使うヒマなんて与えないね…勝つのはこのごとーだ!!!」

マッキング・Gでぶん殴ってッ!!
一撃で動けなくさせてやる!!!!!!!!


42 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/15(水) 07:00:31.62 0


そんな意気込みで飛び掛ろうとした時だった。


ドガッ!!!!


背中に、何やら重い打撃を喰らったのだ。


「お…げ…ッ!!!」

その一撃に、思わず膝をついてしまいそうになるが、なんとか踏ん張る。
なんだ今の攻撃は…パンチ…かぁ?
確認しようと振り返ろうとした後藤真希だったが…


バキッ!!!


「ぎゃッ!!!!!!!」

今度は肩に重たい打撃を受けてしまい、後藤真希はとうとう膝をついてしまった!!
いったい…いったい何をされているんだ!?
ようやく振り返ることの出来た先には、スタンドを出している田中れいなが佇んでいる。
殴ったのか…?だが、それにしては距離が離れすぎている。
それにアイツ、なにやら首にマフラーをしているようだが…
さっきまでマフラーなんかしてただろうか?


43 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/15(水) 07:04:40.33 0

「…んぁッ!!!」

後藤真希は気がついた。
田中れいなの首に巻かれているものはマフラーなんかではない!!!
あれは…道重さゆみの『シャボン・イール』だ!!
あのウナギみたいな型のスタンド、遠隔操作もできるのか!?


「さゆ!!これは素晴らしくナイスチョイスたいッ!!!!!」
「まだまだどんどん発射してやるの!!シャボン玉ァーッ!!!!!」

「て、てめーらッ!!!!!!!!」


首を突き出したシャボン・イールの口元に、田中れいなが両手を添える!!
その手の間を吐き出されたシャボン玉が通り過ぎた!!!
シャボン玉が割れて爆散しないのは、もちろん波紋を流し込んだためだ。
そして、シャボン玉が田中れいなの手を通り抜けた瞬間!!彼女は…

「デュエル・エレジーズッ!!!!!!!」
ドンドンドンドンッ!!!!!

スタンドの拳で、シャボン玉を叩いたのだ!!!!
能力によって叩かれたシャボン玉は、石化して砲弾と化す!!!!!
後藤真希に打撃を加えていた正体はコレだったのだ!!!
しかしあの『デュエル・エレジーズ』とかいうスタンド、なんというスピードで
シャボン玉を叩いているのだろうか。
シャボン玉の発射されるスピードはなかなか早く、手を通過し離れる直前に
叩くのは至難の技せあるはずなのに4発も叩いて見せるとは…ッ!!!!


44 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/15(水) 07:09:59.65 0

「シャボン玉の石化弾たいッ!!!喰らうと!!!!!!」

「そんなもんでェェェェッ!!BANGッ!!!!!!」


ドガドガッ!!!!


後藤真希はマッキング・Gで放たれた『石化弾』を地面に叩き落す。
喰らえば並みのパンチ以上に威力はあるが、所詮軌道は一直線!!
発射される瞬間さえ見えていれば、叩き落とすぐらいワケないッ!!!!
そしてッ!!田中れいなの元にシャボン・イールがいるということは…

「道重さゆみはッ!!完全なる無防備状態にいるぽ!!!!!!」

ごとーをここまで痛めつけたことは褒めてやろう…しかし!!!
経験が浅すぎたようだねッ!!そこまでの距離なら、アンタがスタンドを
戻すよりもごとーがぶちのめしに行く方が断っ然早いッ!!!!
今度こそ!!…と駆け出そうとした後藤真希に、道重さゆみはまたも
余裕の表情を浮かべている。
それがまた、後藤真希のムカつきを増幅させた。
そんな彼女に対し、道重さゆみは言った。

「あまいあまい!!甘すぎるのッ!!自分の足元をよく見てみるの!!!!!!」

「んぁ…!!!」

足元に転がっているのは、今し方叩き落した『石化弾』だ。
全部で6つ…これがいったいなんだというんだろうか?


45 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/15(水) 07:21:43.18 0


「一定時間経ったばい…れいなが石に変えたシャボン玉の『石化弾』はッ!!!
今をもって元のシャボン玉に戻るとッ!!!愛のシャボンに抱かれてえェッ!!!」

「爆死だァァァけのあぁぁなぁぁぁたァァァァッ!!!!!!!!!」


石になって転がっていたシャボン玉が戻るということは…爆発性のある
シャボン玉に再び戻るということだ!!そして、波紋の効力も消える!!!

まさかこいつら…これを狙っていたのか?
『石化弾』を撃ってきたのは…ごとーに叩き落させるためだったのかッ!?

この二人のスタンド使い・・・・・・・・タッグでの相性が良すぎるッ!!!!!!


「こ…このションベンくせぇ鼻ったれのクソガキどもがぁぁあぁあぁぁあぁぁぁッ!!!!!!!!!!!!!」


もはや時間を止めることも間に合わない!!
負け犬の遠吠えに近いセリフを叫ぶ後藤真希に、二人は同時に言い放った!!!!


「「シャボン玉ァーッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」

「ぎゃああああああああああああああああッ!!!!!!」



ボッグオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!


111 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:04:38.74 0

腹に抱えた痛みと苦しみを堪えながら、亀井絵里は道重さゆみと田中れいなの
奮闘を見守っていた。彼女は、お互いの能力をフルに活用して後藤真希を圧倒している
二人の連携プレーに、身震いを覚えたのだった。

事前に打ち合わせているわけでもないのに、合体技まで使ってみせるなんて!!
あの二人、あんなに強かったんだな…知らなかった。

そしてついに、高橋愛ら4人と久住小春を地にねじ伏せた後藤真希を、
その大爆発の中に飲み込ませたのだ。恐らく、無事ではないだろう…
圧倒的な力を持った後藤真希を倒したことはとても喜ばしいことだ。
倒れているみんなの無念も晴らせた!!
だが、亀井絵里の中には複雑な感情が生まれ始めていた。

みんな、力を出し切って後藤さんと闘ったんだ…後藤さんを倒したさゆとれいなはもちろん、
マコッちゃんも、ガキさんも、愛ちゃんも、こんちゃんも、小春ちゃんも…みんな己の力をフルに
出し切って後藤さんと闘ったに違いない…

なのに、僕はなんだ?

あの人に対して、僕はまるで歯が立たなかった。
何かされる度にすぐ伸びて、すぐうずくまっていた。
僕は…みんなのように何度やられても立ち上がろうとするような、そんな精神力を
持っていないんじゃあないのか?
…僕のスタンドがまったく通用しなかったのがいい証拠じゃないか。
スタンドは、精神力の強さなんだから。
僕には…演劇部にいる資格なんてないんじゃあないだろうか…

亀井絵里は、一人未熟さを噛み締めていた。


ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ…


112 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:06:18.35 0

「やったの!勝ったの!!仕留めたのッ!!戻るのシャボン・イール!!!!」

田中れいなの首に巻きついていた道重さゆみのスタンドは、
彼女の掛け声と共に右腕に戻っていく。

「ハァ…ハァ…これで…終わりなんやろか…?」

戦闘態勢を解いて、田中れいなは肩をガクリと下げた。
憧れの後藤真希を自分だけの力で超えることはできなかったが…
だが何故だろう?
田中れいなの心は満たされていた。
それは後藤真希に勝ったからではない。
彼女相手に一緒に立ち向かった友達…道重さゆみと共闘してるとき、
なんだか心が一つになったような気がしたのだ。
目的が一緒だからと言えばそれまでであるが、それ以上の何かが
今の戦いの中にはあったのだ!!

さゆがれいなの首に遠隔操作でシャボン・イールを巻きつけてきたとき…
普通なら何がしたいのか理解不能になるハズっちゃ…
でもッ!!あの時れいなにはわかったと…どうしてわかったのか、
それは自分でもわからないけど…

二人で力を合わせて!!
目の前の敵を倒そうという意思だけはハッキリ伝わってきたばい!!!

これが友達たい…れいなが夢にまで見ていた友達…
心の通じ合う友達…そう、以心伝心ばい。
『心の友』っていうのは、こーいう子を言うンっちゃね!!!!!


バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!


113 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:07:41.91 0


心の中で喜びを噛み締める田中れいなだったが…
視界にヨロヨロと立ち上がる人の姿を確認して、すぐ意識を切り替えた。

「な、なんで…!?」
「バカな…いつの間にそんなとこへ移動していたと…ッ!?」

二人は驚きを隠せない。
たった今、シャボン玉の爆発に飲まれたハズの後藤真希が…
吹っ飛んだにしては奇妙な場所に立っていたのだ!!!
だが、その姿は決して無傷などではなく、身体中が傷だらけで流血しており、
制服も破れ、金色の髪の毛はススで汚れていた。
後藤真希は地面で大爆発したシャボン玉を喰らってる最中に時間を止め、
爆破の中からなんとか離脱したのだ。それでも大ダメージであるが…

「田中れいなに…道重さゆみ…この血はねぇ…決してきみたちの手柄ではない…
これは…いま…倒れている子たちの手柄だぽ…ハァ…ハァ…ッ」

ボダボダボダッ


地面に流れ落ちた血を見て、田中れいなはゴクリと唾を飲んだ。

な、なんね…この人は…いったい何がこの人をここまで突き動かしてるンやろか…?


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


114 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:09:30.80 0


後藤真希は続ける。

「高橋愛はごとーをここで足止めしたし…新垣里沙は『神砂嵐』を破った…
そして…紺野あさ美と小川麻琴がごとーを倒して…まぁそれで新しい力を
手に入れることはできたが…久住小春に見破られて…あの子のメッセージは
きみらには伝わらなかったけど…その事はごとーを精神的に煽っていたよ…
それらの要因が奇妙に折り重なった結果がこれなんだ…それらのことが招いた
手柄なんだよ…ッ!!!!!」


後藤真希は思い直していた。
彼女たちの実力は認めようじゃないか…クソガキとはいえ、彼女たちは
立派な演劇部のスタンド使い…それも前線に立つようなメンバーだ。
ヤワなわけがなかったのだ…それは以前所属していた自分が一番
よくわかっていることではなかったか?
…どうやら、彼女らを軽視しすぎてたらしい…後藤真希は自分自身を叱ることで戒めた。

そして、再び誓おう。

「もう…無駄なことは考えないよ…目の前の脅威を乗り越えることだけに専念する…
寺田のこともあと回しだぽ…今はッ!!邪魔する敵を討つだけだ!!!!」


バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!


115 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:11:26.47 0


「…残念だけど後藤さん、あなたにそれはもう出来ないの!!なぜならッ!!!」


道重さゆみが左手で空を指差す!!すると…

「んぁ…シャボン玉」

後藤真希を中心に、ゆっくりとシャボン玉が降下してきて彼女を囲んだのだ。
これがスタンドの吹き出した爆弾のシャボンであることは確認する間でもない。

「アンタがごちゃごちゃ言ってる間に空にシャボン玉の結界を仕掛けさせて
もらったの!!シャボン玉は重力に引かれ、アンタを中心に取り囲んだッ!!!
一つ一つの威力は弱いけど…それが誘爆によっていくつも爆発し続けたら…?」

それは、死の苦しみだろう。
ケガもひどい今の状況では、無事では済まない。

「そのシャボン玉はみんなの『怒り』…そのシャボンは高橋さんの分、そっちの
シャボンは紺野さんの分、その上は新垣さんの分、それは小川さんの分、
こっちのは絵里の分…」

後藤真希の周囲に浮遊するシャボン玉を、道重さゆみは一つずつ指差していく。
この結界から抜け出すことは…不可能!!!
そして、シャボン・イールを後藤真希に向けて道重さゆみは叫んだ!!


「そしてこれがッ!!小春ちゃんと世界一可愛いさゆみの分なの!!!!!!!
トドメ必殺!!!シャボン玉ああああああああああああああああああああッ!!!!!」

ドシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!!!!!!!


116 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:12:57.30 0


放たれたシャボン玉は、先ほど久住小春に誤射してしまったものと同じ威力!!
そして同じ弾数!!
加えて後藤真希の周りには浮遊するシャボン玉がある!!!


これで全て終わるの…
さゆみは人殺しなんてしたことなかったけど…
ごとーさんはこれで死んでしまうかもしれない…
運が良ければ重傷かな…いや、運が悪ければ…かな。
どっちみち、もう立ち上がることはできないの。
スタンドもズダボロで戦闘は不可能。

さよならなの…小春ちゃんと同じ苦しみを味わえなの…
そして、さゆみの心の痛みを…


思い知れ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…


117 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:14:54.13 0


迫ってくるシャボン玉を前にして、後藤真希は何も抵抗を見せようとはしない。
それは周りにシャボン玉が浮遊しているから回避行動がとれないだけなのか…
それとも何か策があってのことなのか…
誰も知ることはできない。

ただ、わかることといえば…


「可愛いってだけじゃあ…その先行けないらしいよ」


そう呟いた後藤真希の精神ビジョン『マッキング・ゴールド』が一瞬だけ、
真金色に輝いたという事だ。




ドオォォォォォォォォォォォォォーン!!!!!!!!!!!!!!




マッキング・ゴールド・ザ・ワールド!!!!!!!!!

時は止まる…


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


118 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:17:17.29 0

ごとーは倒れない…
苦痛を意に介しているヒマもない…
絶対にテメーらを仕留めるッ!!!
必ず演劇部をぶっ潰し!!
町の平和を脅かす『スタンド使い』どもを殺すッ!!!
ごとーが倒れるのはその後でいい!!!!

後藤真希は、自分を取り囲むシャボン玉を触れないように身をこなして
結界を潜り抜ける。
思ったよりも抜け出すのが難しく、結界を抜け出した頃にはすでに3秒が経過していた。

「これが…あのガキ(久住小春)がきみらに伝えようとしたごとーの能力だぽ!!
もっとも、時間の止まっているきみらには見えもせず感じもしないだろうけど…」

後藤真希は足元に落ちていた石を拾うと、それを道重さゆみに投げつける。
投げられた石は、シャボン・イールの吐き出したばかりのまだ『本体に爆撃が及ぶ
近すぎる距離』にあったシャボン玉を貫いた!!

ボッ!!ボッ!!!ズボッ!!

割れたシャボン玉は止まった世界で一瞬だけ爆発を起こし、爆破は止まった。
そして石は、道重さゆみの右胸に食い込んでいった。

「さよなら、友達にはなりたくないの…」


5秒経過。
そして時は動き出す…


ドバアアアアアアアアアアアアアアーッ!!!!!!!!!!!!!!!!!


119 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:19:21.32 0


フゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!

「はぎぃやああああああああああああああああああああッ!!!!!!!」


シャボン玉を発射していた道重さゆみが、突然爆発に飲み込まれた!!!!
一瞬の出来事だったのでよくわからなかったが…彼女の放ったシャボン玉が
すぐ手前で爆発を起こし、その爆発にシャボン玉を吹き続けてしまったためであろう。


「さ…」

「「さゆうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!!!!!!!!!!!!!!!」」


田中れいなと亀井絵里は彼女の名を呼んだが、その声は爆音にかき消されていた。
そして今さらのように結界にシャボン玉が当たり、次々と誘爆を起こし始める。
その結界の中に、後藤真希はいなかった。

「ご・・・・・・・後藤真希ッ!!!!!!!!!!!!!!!!」

怒りと驚愕が混色した声で、田中れいなは叫んだ。
いったいなにが起きたんやろか…!?
シャボン玉の結界から一瞬で抜け出すなんてワープでもしない限り無理っちゃ!!
そして、放ったばかりのシャボン玉が突如爆発した謎…
さゆが発射角度をミスり、シャボン玉同士を接触させて割ってしまったのか?
しかし、さゆは今までそんなミスを見せたことはないと…


ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ…


120 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:21:53.52 0


…空が見えるの。

な・・・・なんでさゆみは倒れているんだろう?
そうなの、突然目の前で爆発が起きたの…目の前でシャボン玉が割れて…
どうやら、ちょっとだけ意識を失っていたようなの。

…なぜシャボン玉は割れたの?
それに結界に閉じ込めたはずの後藤さんが…脱出しているなんて!!!
まさか…小春ちゃんの伝えようとしていた能力を使われた結果がこれじゃあ…
いったい何をしたんだろう…テレポート?
いや…でもそんなことが出来るなら、さゆみたちはもっと翻弄されて
なければおかしいの。
う、う…いたい!!右胸になんか食い込んでるの…これは…石ころ?
爆風で胸に突き刺さったのか…それにしちゃあ綺麗な状態の石なの。

今、時刻は4時15分…
5時からからコナンの再放送やるのに、これじゃ見れないの…

ヤツに小春ちゃんと同じ苦しみを味わせてやろうと思ったのに…
さゆみが味わっちゃたの…なんていう…じれったいミスショット…
これが因果応報ってやつなんだろうなぁ…巡り巡って自分のところに帰ってくる…
小春ちゃんの苦しみは、結局シャボン玉を撃ったさゆみのところに帰ってきたの…



121 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:25:42.58 0


そういえば、小春ちゃんのビスケッツが伝えにきた事はなんだったのだろう。


時間を…時間を何だったの?


…時間?



『4時15分』



…あれ?

4時…15分…?


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…


122 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:28:04.64 0


おかしいの…


4時15分はちょっとおかしすぎなの…


だってさゆみは…ピアスを開けた時間を…絵里にキスされた時間を覚えてるもの!!



じゃあ、時計台の時計の針はどうして4時15分を指しているの?



一瞬のうちに結界から脱出した後藤さん。
目の前で爆発したシャボン玉。
爆風で飛んできたにしては、ずいぶんと綺麗な状態の石ころ。


そして…


『ソノ「オンナ」の能力がワカッタンダッ!!!!!小春が突キ止メタッ!!!
ソイツノ…ソイツの能力ハッ!!!時間ヲとm』


まさか…小春ちゃんが伝えようとしていたことは…!!!!!!!!!


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


123 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:30:22.74 0


後藤真希が道重さゆみに何をしたのかはわからないが…

あの結界を抜け出したということはッ!!能力を使ったということ!!!

慎重に闘わねばならない…逆上して飛び掛るようなことをしてはならない!!!
心の焦りや、怒りだけの力では…真の意味で人間は強くなれないのだ!!

だが友人を…何人もの友達を目の前で傷つけられた田中れいなには、
それは到底無理な話であった。

こんなことをされて!!!
頭にこねーヤツなんざいねぇーとッ!!!!!!


「もぉぉぉぉぉ許さねええええええええええええええええッ!!!!!!!
うおぉぉぉぉッ!!!!ぶっ殺すほどヒート!!!!!!!!!!!」


田中れいなは、後藤真希に飛び掛っていった!!。

「波紋肘支疾走(リーバッフオーバードライブ)!!!!!!!」

スタンドで与える本体への間接的なダメージでは、れいなの気持ちが収まらんッ!!
テメーの身体に直に波紋を叩き込んで痺らせてッ!!!
体内の生命維持機能を全て狂わしてやるたい!!!
そして苦しめ!!苦しんでくたばるたい!!このドグサレがぁーッ!!!!!
テメーは!!れいなを怒らせたッ!!!!!!!


ジャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!


124 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:34:01.76 0


田中れいなの怒りは、誰にも止めることはできない。
だが、怒りとは人間から慎重で正常な判断力を奪ってしまう。

「んぁ…はもん?」

後藤真希は振り下ろされる肘鉄を見上げ、敵の技の名を反復する。
その目は、月のように冷たく冷ややかだ。

「『はもんしっそう』だとォォォォォォォォォォッ!!!!!!!!」


ボキャァッ!!!!!!!!!!!!


「うぐぁああああああああああああああああああッ!!!!!」

田中れいなの振り下ろされた生身の肘を、後藤真希はマッキング・Gの
蹴りで押し返し、彼女を吹っ飛ばす。
骨が折れるにぶい音が鳴った。

「その波紋とかいうチャチなもんでこのごとーを攻撃できる思ってんのかよ…
この最強の能力を持っているごとーによぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!」

吹っ飛んだ田中れいなを追いかけ、後藤真希はさらに追い討ちをかける。
倒れた彼女の両足のスネを、スタンドの膝で叩き潰すのだ。


ゴキャ!!!

「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!」


125 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:36:14.61 0


耳も塞ぎたくなるような残酷な叫び声に、後藤真希は陶酔したかのような
表情で田中れいなを見下ろす。


「ンッン〜…実にナイスな叫びだぽ。そんな『怒り』なんかでごとーが
恐れ戦くとでも思ってンの?さっきまでの、威勢と強さが比例していた
きみはどこに行ったんだ〜?ン??ねぇ!!?」

「コォォォォォォォ…」

ゲスッ!!!


「うげッ!!」


後藤真希は倒れている田中れいなの首を踏みつけた!!


「んぁ…波紋の呼吸なんかしてんじゃあないんだよ…聞いたことがある…
波紋エネルギーってのは激痛を和らげることもできるってさぁ〜…それで
両手両足の骨折の痛みに耐えて闘うつもりだったのかねぇ…えぇッ?」


グリッ

「ご…ッ!!!!」


後藤真希は、足に込める力を強めた。


126 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:38:23.04 0


そ、そんな…せっかく…さゆとあそこまで追い詰めたのに…
勝てると思ったのにッ!!!!
こんな…形勢逆転させられてしまうなんて・・・・・・・・ッ!!!!!!!!
このままでは首を折られてしまう…決定的に…


みんな…れいなは…やるだけやったばい…


田中れいなはそう思った。
圧倒的な力の前にあるのは、氷のように冷たい冷静な死にゆく自分を
見る目だけだった・・・・・・・


その時。


「だあああああああああああああああああああああッ!!!!!!!!!!!!」

ドゴッ!!!

「んぁッ!!!」


高速で後藤真希に体当たりをした者がいたのだ!!
力はそんなに感じられなかったが、その加速した勢いのせいか、後藤真希は
体勢を崩して、田中れいなの首から足を外してしまう。
後藤真希に体当たりをしたもの…それは…



127 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:39:52.05 0


「でけぇーシッポのスタンドだなぁ…でもきみ、バカみたい。まだやる気なの?」


「できることなら逃げ出したい…けど…あなたを許すわけにもいかないんだ!!
みんな…みんな死力を尽くして闘ったんだ…だから僕も…サイレント・エリーゼACT2!!」



そう、後藤真希に体当たりをしたのは亀井絵里のサイレント・エリーゼACT2、
サイレント・エリドリアンであった!!!



バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!!


128 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:42:43.32 0

サイレント・エリザベスではあの人には勝てない…接近戦では
確実に向こうの方が実力は上だからだ。
それに今まで見てた感じあの人は…スタンドではなくて本体を攻撃してくる!!
だから、多少はパワーのある中距離射程のサイレント・エリドリアンでやるしかないッ!!
自信…ないけど…

「やれーッ!!エリドリアン!!!デラデラデラデラデラデラデラデラデラデラデラ
デラデラデラデラデラデラデラデラァ…デラックス!!!!!!!!!!」

ドパパパパパパパパパパパパパパパパパパ・・・・・・・・

繰り出されるシッポのラッシュであったが…
それは、あっさりとマッキング・Gによって防がれてしまっていた。


「ザコが…アンタのスタンドが一番…なまっちょろいぽッ!!!!!!!!!」

ドゴォォッ!!!!

振り下ろすしっぽをパンチで押し戻すようにしてスタンドの背中を殴りつける!!
そのダメージはもちろん亀井絵里の背中に返っていき、そして…

「がああああああッ!!!!!」
ドシャアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!

前方に吹っ飛び、倒れた。
後藤真希との距離が縮まる。

やっぱり…やっぱり僕はこの人に勝てないんだ…
どう足掻いても…みんなのように闘うことができない…ッ!!!!!!!


129 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:44:40.30 0


「アンタ、まるで相手にならない…ここに来ただけ無駄だったね。シッポにしろ
蹴りにしろ、早ければいいってもんじゃあないんだよ。大事なのは攻撃のリズム!!
きみの攻撃は先走りがひどいから、避けるのも受けるのも流すのも容易い…」


後藤真希がゆっくりと近付いてくる。
た、立ち上がらなくちゃ…みんな…やられてもやられても立ち上がったじゃあないか!!


「ふぅん、まだやれるんだ」

「後藤…真希ッ!!!」



その時である。



ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!



130 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:46:50.13 0


「!!」

「!?」


耳を劈く爆音が辺りに轟いた。
突如、時計台が爆破されたのだ!!!!
いったい何が起きたのか…後藤真希も亀井絵里も、爆散して折れてしまった
時計台に目が釘付けである。


「道重さゆみのシャボン玉…か?」


後藤真希は、倒れている道重さゆみに目をやった。
腕からスタンドが消えかかっているが、撃ったのは彼女に間違いないだろう。


「んぁ…なんだ?あらぬ方向を撃ちやがって…意味のないことを…」



131 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:48:30.60 0


「意味のないこと…?」


亀井絵里は、破壊された時計台を見て考える。

確かにさゆは普段から変な子ではあるけど…決して空気の読めない子ではない!!
ましてやこんな時に、意味のないことをするわけがないんだ!!!

なぜ、さゆはシャボン玉で時計台を?…何か意味があるの?

何か伝えたいことがあったの?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

まさか…さゆ…

きみの伝えたいことってのは…後藤さんのスタンドの謎を解いたの?



『時計を破壊…』
『時計の針を破壊』・・・・・・・・・・・・・



『時を止める』・・・・・・・・・・・・・・?



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


132 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 01:53:41.08 0


ま、まさか…そんなことが!!!
後藤さんのスタンドの正体というのは…『時』を止める能力だったのかッ!!!?
さゆは何らかの方法で小春ちゃんが伝えようとしたことに気がついたから、時計台を
破壊したのか!!!


部室で読んだことがあるぞ…
これはつまり…『D』と呼ばれる男…『ディオ』と同じ能力!!!


だとしたら…これはやばすぎる!!やばすぎるスタンドだよ!!!!

時間を戻せる藤本さんでも勝てるのだろうか…と、とにかく、僕は藤本さんに
この事実を伝えなくちゃならない!!


落ち着け…落ち着くんだよ亀井絵里…

ヒャークマーミピートゥーパー…ヒャークマーミピートゥーパー…

御嶽に宿る神霊の加護を唱えるんだ…僕に勇気を与えてくれる…ッ!!


藤本さんがここに到着するまでッ!!なんとか持ちこたえるんだ!!!!


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…


138 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 04:02:37.16 0


僕はエリドリアンを一端戻し、ACT3のサイレント・エリザベスに切り替えた。
時を止められるということは、接近戦にしろなんにしろ、僕には勝ち目がない。
でも、僕の推理が正しければ…

「んぁ…なぜごとーから距離をとる?怖気づいたの?」

僕は何も答えず、なるべく後藤さんから離れる。
もし僕が考えている通りなら、後藤さんのスタンドは『時を止める』っていっても
ほんの短い時間しか止めてられないんじゃあないだろうか?
4…いや、5秒とかそんなもんじゃないかな?
長時間止めていられるのなら、僕らが最初にここに現れたとき既に全滅させられている
ハズだし…なにより後藤さんから攻撃を仕掛けてきたりはしないハズなんだ!!

後藤さんが一歩近付いてくる。
僕はそれに合わせて一歩下がる。

この距離だ…この距離を保つんだ。
これだけ離れていれば、時間を止められてもいきなりやられた〜とか
そういうことにはならないはず!!
あの人のスタンドは、近距離パワー型だ。僕に近付く必要があるッ!!!
近付くという手間を作らせて…自由な時間を制限させてやるんだ!!!


139 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 04:03:45.90 0


フッ


「うッ!!き…消えたッ!!!」

後藤さんが消えたぞ!!
時を止めたな…どこだッ!?


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!?」


背後に殺気を感じて、僕は一瞬だけ硬直した。
う、後ろにいる…時を止めた短い時間で僕の背後にまわったのか!!


「うわッ!!」


前に飛んで、慌てて後藤さんから距離を取った。
後藤さんは何もしてこない。そんな僕を、素の顔でジッと見ているだけだった。

な、なんだ…?
どうして攻撃してこなかったんだ…?


140 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 04:06:18.12 0


「きみの行動…とても奇妙だ・・・・・・・ワケのわからない動きだけど…
意味なくやってるわけでもない・・・・・この中途半端な距離の取り方・・・
まさかきみは・・・・・」


「・・・・・・・そうですよ。あなたの能力は…時を止める能力!!だから止められても
いいように距離をとってるんだ…そんな長い時間止めていられるワケでもなさそう
ですからね!!」


「んぁ・・・・・・・・理解してたの?ごとーの『マッキング・ゴールド』の能力を…
ま、少しだけ褒めてやるぽ」


「見破ったのは小春ちゃんであり、伝えてくれたのはさゆだ…二人の頑張りは
決して無駄になんてしない!!!僕をここまで導いてくれたみんなの頑張りも…!!」


「はぁ〜?だから?理解したからどうするっての?きみのスタンドで何が出来る?
ちっぽけなクソガキのくせに何が出来るッていうの??」


「ああ、確かに僕のスタンドはあなたの前じゃ何も抵抗できない…けど、
これだけは言えますね」



141 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 04:08:35.31 0


僕は後藤さんを指差して言ってやった。


「こんな『ちっぽけなクソガキ』の僕にさえ、あなたのスタンド能力を
知ることが出来たんだ…時を止められるっていっても、案外大したこと
じゃあないのさ…今回はここにいる僕らを全員倒せたかも知れない…でもね、
演劇部員は僕ら意外にもまだまだいっぱいいるんだ」


「…んぁ?」



142 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 04:11:49.45 0


「こんな『ちっぽけなクソガキ』にすら能力がバレてしまったんだ…
しかも僕よりも年下の二人に見破られてね…もう一度言いますよ。
『ちっぽけなクソガキ』よりも年下のさゆと小春ちゃんに能力を
見破られたんだあなたは!!…つまり、あなたはたいした人じゃないのさ…
これからも追われて追われて追われ続けて!!最後は惨めにくたばるんだ…」


「・・・・・・・何が言いたい」


「僕はあなたに負ける…生きるか死ぬか…それはわからない…
でも、もしこんな『ちっぽけなクソガキ』の僕でも、また目を覚ますことが
できたとしたらその時は・・・・・・・」


「・・・・・・・ッ!!」



143 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 04:13:45.51 0




「あなたが潰されたという『GOOD NEWS』を聞いて大笑いしてやるぞッ!!!
楽しみだッ!!すごく楽しみだ!!『ちっぽけなクソガキ』に笑われるあなたの
姿が愉快でッ!!そして滑稽でたまらない!!!!!!!!!」




「野郎ぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!!!!!!!!!!!」

ドギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアス!!!!!!!!!



「が…はッ」

いつの間に蹴りを…あぁ、そうか。
うへへ…また時を止めたな…
後藤さんの蹴りが腹にめり込んでるぞ…僕の得意な蹴りを…
時間を止めてる間にこの距離を移動してきたんだよな…なかなか早い…


ドシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ


144 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/17(金) 04:16:26.28 0


今度こそ、僕も立ち上がれないなぁ…

目、覚ませるといいな…いや、きっと覚める。

後藤さんは、僕を攻撃する瞬間迷いが生まれたようだったからな…
ダメージは浅かったみたいだ…じゅうぶん痛いけどね。


…なんで迷いが生まれたかなんてわかるのかって?それはね…



「真希ちゃん…亀…み、みんな!!!!!!!!!!!!!!!」


藤本さん…遅すぎる。
ホント、おいしいとこだけ持っていくんだからなぁ。


反則…反則ゥ…ZURRRIIYYYY・・・・・・・・・・・



サアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・


174 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/18(土) 00:23:51.59 0


「なんだ…この有様は…?」

ぶどうヶ丘公園の時計台広場に辿り着いたあたしは、目に飛び込んできた
光景に一瞬なにも反応できなかった。

血だらけの真希ちゃんと、ボロ雑巾のように転がっているあたしの仲間。

悪い夢でも見ているんじゃないか。
そうだ、そうに違いない。


「ミキティも…ごとーを止めに来たんでしょ?」


現実を受け入れようとしないあたしに、真希ちゃんは疲れきった声色で言った。
嘘だろ…なんで…?
お前、さっき教室であたしや亜弥ちゃんと追試の話や髪型の話してたよなぁ?
一般の女子高生がするような他愛もない会話をしてたよなぁ?あたしらは…

「なのになんで…何があったんだ!?」

こんなのちげぇ!!
あんたの姿もみんなの姿も、普通じゃねーぞ!!!



175 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/18(土) 00:25:54.54 0


「・・・・・ここに倒れてるやつらは、みんなごとーがヤッた」

「!!!!!!!!!!!」

「とても晴れやかな気分だ…町を傷つける元凶を今日だけでこんなに片付ける
ことができたんだから…それも、寺田の自慢の尖兵達だぽ。あとは寺田だけだね…
でもそれ以上に、ごとーにはやることができた」

「やる…こと?」

「うん・・・矢はごとーが支配したけど…もし寺田を葬って演劇部を潰したとしても、
いつ寺田以上に悪党で!!あのスタンド以上の能力を持つ者が現れるか!!
…わかったもんじゃあないからさぁ…だから、なりうるものはすべて消すことにしたんだ」

なんだ?
真希ちゃんのヤツ、何を言っているんだ?


矢を支配?
なりうるものはすべて消す…?
寺田以上の悪党…あのスタンド以上の能力?


真希ちゃん、まさか…寺田先生の能力がどういうものか知っているのか!?


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


176 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/18(土) 00:27:44.68 0


「こう思えるようになったのは、ここに倒れている子たちのおかげなんだ。
ごとーは寺田だけを潰せばいいと思っていたんだ…そうすれば演劇部は廃部になって、
アイツの野望も潰えるだろうって。でもね、この子らと闘って気付いたぽ。
スタンドは適材適所であり、最強という概念はないんだ。例え寺田を消しても、
強いスタンド使いはいっぱいいるッ!!そして、強すぎる力はいずれ悪意を生み出す…」

「ちょっと待てよ。それとこれとは話がちげーだろう。美貴の仲間を…
友達をこんなにしちまうのといったい何の関係があんだよ」

「寺田によって生み出されたスタンド使いだからさ。まぁ中には違う子も
いるようだけど…彼女らはいずれ町を傷つけるだろうね。だからヤッたんだ…
捻り潰してやった」


あたしは真希ちゃんの話を聞きながら、倒れている皆を見ていた。
腕があらぬ方向に曲がっている愛ちゃん、血まみれのガキさんとこんこん、口から
血を流してるマコ、ススだらけのさゆと小春、両腕両足から血をふいてるれいな、
うずくまって動かない亀井・・・・・・

「あんたの言う通りだとしたら…次はあたしをヤるつもりかよ。真希ちゃん」

「んぁ…そうしなければならない…けど、ミキティは…ごとーが…ごとーが
守りたかったうちの一つでもあるんだ」

「え…?」



177 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/18(土) 00:29:56.16 0


「ごとーは町の平和を望んでただけ…平穏を望んでいただけだぽ!!!
だからそれを脅かすものは消す…大事な人達を傷つけてきた寺田を消す!!
もう誰にも町を汚させはしないんだ…でも、どうしたらいいんだろうね?
ミキティや亜弥ちゃんのいるこの町を守りたいと思っているハズなのに…
そのミキティがこうしてごとーの前に立ちはだかっているなんて…!!!!」

真希ちゃんは両手で頭を抱えた。
その声は、ぶつけようのない怒りと悲しみで震えている。
運命・・・・・・・これも運命だっていうのか・・・・・?
こうなってしまうなんて誰も予測できない…誰かに決められた運命か。

そんな運命…クソくらえだ。

あたしには運命を変える力があるじゃないか…
あの吸血鬼のエネちゃんだって言ってくれた。


『あなたは失った過去を取り戻す事が出来る……。
あなたが優しくあれば、いつかきっとみんなが、この町が優しくなれるでしょう』


そうだ…あたしは目つきが悪いとか態度が悪いとかそんなことばっかで
最近の評判はあまりいい方じゃあねーが…
あたしはそれでも優しくあればいいんだ…誰になんと思われていようと、
優しくあればいいんだ!!
みんなをこんな目にあわせた真希ちゃんはぶっちゃけ許せない…一発ぶん殴りたい!!
でもッ!!その真希ちゃんだって、苦しんでいたハズじゃあないか!!!
あたしは市井さんから話を聞いてるんだから!!!


178 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/18(土) 00:31:06.53 0


あたしのスタンド『ブギートレイン03』が無意識のうちに発現し、
銀色の輝きを放ち始める。


「ミキティ…その光は…?」

「真希ちゃん…覚えてるかよ。あたしらが始めて会った時のことをさ…
あんたは今じゃ『ごっちん』なんてあだ名があるけど、入学して早々に知り合った
あたしや亜弥ちゃんにはその呼び方がどーにも肌に合わなくてなぁ…」


ブギートレイン03の銀色のボディはさらに光りを放ち始める。


「あたしに真希ちゃん…それに亜弥ちゃんも…あたしらは三人揃えば怖いもん
ねーもんな!!男だってみんなイチコロだしよぉー…あたしら三人はなんだって
できるんだ!!!これからだってそうさ…大人になってもそうなんだよ!!!
話し合おうぜ真希ちゃん…あんたの心の蟠り…全部あたしにぶちまけてくれ!!!」



179 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/18(土) 00:32:26.82 0


この感覚は知っている…
あたしはこのブギートレイン03の輝きを知っている!!!
絶望したとき、いつも感じていたこの感覚だ!!!
でも、今回はいつもと違うな…この感覚は…

みんなを守りたいというこの気持ちだ!!
優しくありたいと思う気持ちなんだ!!

ボロボロになった真希ちゃんも、倒れてしまったみんなも…もう安心しろよ!!
美貴が全て元に戻してやっからな…
今日も、何事もなく終われる一日に戻してやっからな!!!!
真希ちゃん、あんたの悩みはみんなで話し合って解決しようじゃんか。

いくぜ…


「ブギートレイン…オォォォォォォォスリィヤァァァァァァァッ!!!!!!!!」


プワァァァァァァァァン・・・・・・



列車の音が聞こえた。

そして時は戻る・・・・・・・・・






180 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/18(土) 00:33:11.88 0














・・・・・・ハズだったのに!!!!













181 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/18(土) 00:34:27.79 0


バリバリバリバリバリバリバリバリ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



「ぐ…おぁあああああッ!!!!な、なんだ!?」



ンズドッ!!ンズドッ!!ンズドッ!!!ンズドォォォォォォォッ!!!!!



な、なんだ…この身体に電気が走っているような感覚は…

痺れているような感覚は!!!



ピッ・・・・・・・・・・ピピピピピピピピピピピピピピピキーン!!!!!!!!!!!!!



「せ、世界が…金色に染まって…」





182 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/18(土) 00:35:21.40 0


ズドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!


「うおぉぉぉッ!?」


い、いまあたしの目の前に広がった映像はなんだ!?


真希ちゃんにやられているマコにこんこん、折れた腕を抱えて飛び掛り、返り討ちを
喰らう愛ちゃん…さゆにシャボン玉を撃たれた小春!!爆煙に飲み込まれたさゆ!!
四肢を砕かれたれいな!!死にもの狂いで真希ちゃんに対峙する亀!!!


すべてが…すべてが一瞬にして頭の中に叩き込まれたようだ!!

なんだこれは!?

あ、あたしは…何を見ているんだ!!?


「あたしは夢を…見ているのか!?幻覚を見ているのか!!どうして…
どうして時間が戻らないッ!!!!」


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド・・・


183 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/18(土) 00:37:05.55 0


『コレガ・・・・・・・』


その金色の光りに染まった世界で、声を発した者がいた。

なんなんだあれは…真希ちゃんの背後に現れたあいつは…ッ!!!


『<レクイエム>・・・・・・・・ダ!!オマエは今!!確カニ時間ヲ戻ソウトシテイル…
シカシ・・・・・』


なんだアイツは…金色のスタンド?

けど、真希ちゃんのスタンドは紫色の『ゴシップ・セクシーGUY』のはず…!!


『風ノ速サヲ超エ、時ヲ支配シタこの<マッキング・ゴールド>がイル限リ、全テノ生物ハ
進ムコトモ戻ルコトモ決シテナイ!!!ワタシの前ニ立ツ者ハ、ドンナ能力ヲ持トート…
絶対ニ!!時ノ流レニ乗ルコトハナイ…コレガ!!<G・セクシーGUY・レクイエム>!!』


マッキング・ゴールド…?

ゴシップ・セクシーGUY・レクイエム…?



184 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/18(土) 00:39:06.32 0


『時ノ流レはスデニ止マッテイル・・・・・・ワタシが矢ニ貫カレタ時カラ、スベテノ
時間ハ止マッテイルノダ!!!ソシテ、ワタシガ指定シタモノだけの時間ヲ「完璧に」
5秒間止メルコトガデキル…彼女は<マッキング・G・ザ・ワールド>と称シテ、
スベテの時間ヲ止めタリシテイタガ…ダカラ、時間は止マッテイテモ風ハ吹キ、水ハ流レ、
炎ハ滾ル…コノコトハ、ワタシを操ル<後藤真希>さえも知ルコトハナイ』


矢に貫かれた…?
真希ちゃんのスタンドが矢に貫かれたってことなのか!?
矢に貫かれた『G・セクシーGUY』が進化したって事なのか!!!?
しかし、わからない・・・・・・
時の流れはすでに止まっている…どういうことだ?
それと時間が戻らないのと、何の関係が…
ブギートレインが走り出さないのと、いったいなんの関係があるんだ…ッ!!


「・・・・・・・時間の流れが・・・・・止まっている・・・・・?」


ま、まさか・・・・・・いやだとしたら・・・・
あたしの時計は動いていない…電池切れだと思っていたけど・・・・・まさか!!!


『スベテの時間ハ動クコトナク停止シテイルトいうコトハ!!進むトカ戻るトカ
ソウイッタ流レが生ジルコトモ断ジテナイノダ!!!!!!!!!』


ドッバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!!


185 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/18(土) 00:41:24.95 0


な、なんだって!!!?

あたしはあまり発達してない脳をフルに回転させて考える。

真希ちゃんのコイツがすでに時間を止めていた…時計の針が動かなかったのは
そのためなのか?そして、指定したものの時間を『完璧に』止めてしまう…

つまり、時を止めるという土台はすでに出来上がっていて、あとはコイツの意思で
止めたり動かしたりすることができるってことなのか…!!


お、おいおい…シャレになんねーよ…




こいつは…世界から『時間』を取り上げて、すべての生物を支配するスタンドだ!!




ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!


186 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/18(土) 00:43:17.17 0


『面白いモノを見せてヤロウ…アノ女の時ヨ!!止マルノダ!!!』


ピキーン・・・


真希ちゃんの<レクイエム>…『マッキング・G』が真希ちゃんを離れて移動を開始した。
金色に染まっていた世界は元の色を取り戻したようだが…
真希ちゃんは何も反応しない…いやむしろ…まばたき一つしていない!!!
どうなってんだ…それにあの『マッキング・G』ってヤツの射程距離はどうなってんだ!?

ヤツは、倒れているさゆの前で止まった。
爆発に飲まれて負ったらしい傷が痛々しい…右胸あたりから出血もしているようだ。
そんな彼女の右胸を『マッキング・G』はその踵で踏みつけた!!!


ゴシャッ!!!ゴシャッ!!!!!


さゆは何も反応しない。
気を失っているせいじゃあない…あの子だけ時が止められているからだ。


187 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/18(土) 00:45:15.79 0


「や、やめろ・・・やめさせろ真希ちゃん!!!!」


真希ちゃんは何も答えない。

さっきと同じ体勢で、人形のように固まってしまっている。

その瞳には、何も映っていないようだ。



ま、真希ちゃん…ちょっと待てよ…


お前、意識あんのか…?



もしかして…あのスタンド…





『暴走』してんじゃあねーのか!!!!!!




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…



270 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 04:42:24.70 0

『5秒経過ダ。コノ女ノ時ハ動キ出ス』

ブシュッ!!!

「ああああああああああああああああああああああああああうぅッ!!!!!!!」


さゆが叫んだ。
右胸の出血がひどくなっている…アイツ!!傷口をひろげやがった!!!


「て・・・・・・テメーはああああああああああああああああッ!!!!!!!」

『ミナ殺シにスルノダ。町ノ平穏ヲ取り戻すニハ、スタンド使いガ邪魔ナノダ』

「そんなもんテメー勝手の屁くせぇ理屈じゃねーか!!」

あたしはマッキング・Gに向かって走り出す。
じゅうぶんすぎるくらい傷ついて倒れているみんなを、これ以上辛い目に合わさせて
たまるか!!黙って見てる事なんざぁできねー!!!

「オルァ!!ブギートレイン03!!!」

硬く握り締めた拳を振りかざし、あたしはマッキング・Gを殴りつけ・・・・・

『・・・・・・・・』
「・・・・・・・・・・・・・ッ!!!!」

られなかった!!
いや…殴りつけなかったと言った方が正しい。
あたしは、その拳をマッキング・Gに当たる寸前で止めてしまった…自分の意思で!!


271 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 04:44:40.92 0


『ドウシタ?ワタシを倒しニキタノデハナカッタノカ?』


「・・・・うるせーんだよ。テメーをヤる気でぶん殴ったら…真希ちゃんを
ヤる気でぶん殴るのと同じなんだ」


『ナンダその思考ハ…オマエハ自分の仲間ヲ傷ツケラレテ、ワタシの本体ニ
イカッテイルモノダト思ッテイタガ』


「真希ちゃんは大切な友達だ…あたしはその気持ちを理解してやりたい。
そりゃあ許せないぜ…仲間を…友達を傷つけられて黙ってられるほど
あたしは薄情じゃあねーのは確かだ…だけどな、あたしは両方やるんだ」


『リョウホウ?』


「あぁ、そうだ…あたしは!!倒れている仲間もッ!!真希ちゃんも!!!
みんなみんな救ってみせる!!!あたしはみんなに優しくあり続けるんだ!!!!
あたしの友達は…この『藤本美貴』がいる限り誰にも傷つけさせねーッ!!!」


バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンン!!!!


272 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 04:47:12.06 0


あたしは今、時間を戻すことはできない…仕切りなおすことはできない!!!
でも、きっと方法があるさ!!
真希ちゃんも、みんなも救い出す方法がな!!!
ケガが云々とかじゃあねー…根本的に救い出す方法は絶対ある!!!
そのためには、まずはコイツをどうするかだ…
あたしはキッとマッキング・Gを睨みつけた。


『仲間ノタメ、友達ノタメ…カ。ワタシヲ操ッテイル<後藤真希>モ、ソノ概念ハ
異常に強いモノダ…ダガ、ソノタメニハ<犠牲>にシナケレバナラナイモノモアル。
スベテヲ手に入レルコトはデキナイノダ、何かヲ犠牲ニシナケレバ、何モ守レナイ。
ソレガ、人間…イヤ、スベテノ生物ノ定メデアリ、法則ナノダ』


ふん、たかがスタンド風情が勝手な思想を述べてんじゃねーよ。
しかし、活き込んでみたもののどうしたもんかな…コイツを止めるには、
やっぱコイツを倒すしか…でもそうすっと真希ちゃんが…



くっそおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!



マッキング・Gは今にも倒れているみんなの誰かをまた標的にしようとしてんのに…
時間が止まってんのに時間がないって言い方もおかしーけど、とにかく時間がねぇーぜ!!


273 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 04:48:29.66 0


「み、ミキティ…来てたのかよ…oi…」


突然、背後から聞きなれた声が聞こえた…マコだ!!
倒れていたマコが立ち上がろうとしていたんだ!!!
でもよ…今は…


「麻琴…起きるンじゃあねー…」


「ぅお…?」


「頼むから起きるな…今起きたら…」











『…次はソノ人間だナ。ソノ者ノ時ハ止マル…』

ピキーン・・・・・・



274 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 04:49:53.01 0


「おい、聞いてんのか麻琴…マコ?おい、マコ!!!!」


なんだ…マコが固まったように動かねぇぞ…まさか!!!
金色の『マッキング・G』がさゆを離れ、マコの方へと向かって行く!!!
くそやっぱりッ!!意識を取り戻したマコに目をつけやがったんだ!!!


「てめぇええええええッ!!!やめろおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」


あたしの横を素通りしようとするマッキング・Gをなんとか食い止めねーと!!
しかしどうする…アレを攻撃するということは、真希ちゃんを攻撃することと同じ!!
でもそれをしなきゃマコがやられちまう!!


どうすりゃいいんだ・・・・・・



275 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 04:51:11.65 0






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ








276 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 04:52:38.99 0


えええええええええい!!!迷ってるヒマはねえええッ!!!!!

マコがやられるのを黙って見ているわけにもいかねーんだ!!!



「ゴォォォォォォォォォォルデンッ!!ゴォォォォォォォォル決めてッ!!!!!」


『ム?』


「VVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVV
VVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVV
VVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVV!!!!!!!!!!!!!!!!」



ドドドドドドドッパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンンン!!!!


277 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 04:54:27.49 0


『・・・・・早イナ。ソシテぱわーモ強い・・・・・ダガ、所詮ソレマデダ』


くそ・・・・・・すべて受け流されちまった・・・・・!!!!
やっぱ急所を外すようにして殴ったからか?

でも、なんかコイツ変だぞ。

マッキング・Gは攻撃を受け流しただけで、殴りかかってきたあたしの
『時』を止めてかわしたりはしなかったような気がする。
そして、奇妙な疑問が生まれた。

なんでコイツ、あたしに反撃を加えようとしない…?
コイツの目的は、言ってしまえば『スタンド使い』を皆殺しにすること。
なら、倒れているさゆや起き上がろうとしているマコを標的にするより前に、
攻撃目標は決まるハズなんだ。
あたしという、『スタンド使い』の攻撃目標が。

どういうことだ…コイツ、何故それをしようとしない…?


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


278 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 04:55:57.89 0


って呑気に考えてる場合でもねえ!!!

あたしの攻撃を受け流した『マッキング・G』は、スムーズな動きで動かないマコに
近付き、そして・・・・・・・


バッキイィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!


ハイキックでマコの頭を蹴り飛ばした!!!


『5秒経過・・・・・・コノ者の時間モマタ動きダス…』


「おごぉ…ッ!!!!!?」


「ま…麻琴おぉォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」



ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!!


279 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 04:57:39.19 0


ドッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!


マコは吹っ飛び、地面を滑走した。
能力で滑っているんじゃあない・・・・・・あれは蹴られた勢いで滑っているんだ。


『ドウニモぱわーニ欠ケル・・・ヤハリ<後藤真希>ノ精神故カ…マァイイ。サテ、次ハ…』

「待てよ・・・・・・みんなはもう闘えねーんだよ!!お前の相手はあたしがする!!!
だからもうみんなを傷つけるのはやめてくれ!!!!」


言いながら、真希ちゃんをチラリと見やる。

真希ちゃんは…動かない。


『ワタシの相手をスル…?』

「…ああ!!来いよ!!!」


あたしはブギートレイン03を構えて戦闘態勢をとった。
とにかく、みんなはこれ以上傷つけさせるわけにはいかない…
打開策は戦いながら考えるしかない!!

真希ちゃん、許してくれ…
ちょっとケガすっかもしんねーけど…これもあんたを含めたみんなを救うためだ!!


280 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 05:00:45.59 0


ところが、そんなあたしに向かってマッキング・Gは信じられない台詞を吐いた。


『残念ダガ、ソレハどうアガイテモ出来ナイ』

「え…?」

どうあがいても出来ない…?
あたしの相手をすることが出来ないってことなのか!?

「なんで!?」

『ナゼナラ…ワタシヲ操ッテイタ<後藤真希>の黄金の意思ガ、お前ヲ攻撃ノ
対象トシテ見テイナイカラダ。お前ハ守ル対象トシテ見ラレテイルノダ。ダカラ
ワタシハお前ヲ攻撃スルコトガデキナイ』

・・・・あたしを・・・・・・守る対象に見ている・・・・・・?
真希ちゃんは、あたしを守る対象に見ているのか!?

『シカシ、他のスタンド使いハ別ダ。<後藤真希>は町を傷ツケル存在トナル
スタンド使いヲ皆殺しニスルツモリナノダ。コノ町ヲ守るタメ!!愛スル人間達ヲ
守るタメ!!<後藤真希>はスタンド使いヲ皆殺しニシタイト闘イノ中デ、ソノ気持ちに
目覚めたノダ。自分タチサエヨケレバイイ…邪魔スル者ハ皆殺シ…ト、イウコトダ…
<後藤真希>ノ黄金の意思が、ソンナスタレタ野心ニ変わったタメニ、ワタシハこうして
自由にナッタ…』


バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!


281 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 05:04:30.79 0


わからねぇ…
ますますわからねぇよ…真希ちゃん、あんたが本当に守りたいものってのは
いったい何なんだ?

杜王町?
あたしを含めた愛する人間達?

その気持ちはマジで嬉しい…けどよ!!!
それは何かちげーよ!!!
スタンド使いが町を傷つける存在となるって…そんなのわかんねーじゃねーか!!
確かに…以前遭遇した『吉良吉影』のようなおぞましい殺人者もいたけど…
あたしはみんながみんなそうじゃないことを知っている!!
この場に痛々しく倒れているみんなが、それを証明してくれているんだ!!!
それにあんただって・・・・・・・『スタンド使い』なんだぜ!?

真希ちゃんよ…あんたが演劇部に絶望したってことは知ってるよ…でも!!!
それと『スタンド使い』を皆殺しにするっていうのは違うんじゃあないのか!!?


『コノ<矢>はワタシが守り続けよう・・・・今ハ<後藤真希>の意思ニ則り、
オマエ以外のスタンド使いヲ排除サセテモラウ!!!』

そう言いながらマッキング・Gは自らの胸をさすった。
そして、うずくまっている亀井を指差した!!!


『次はアイツダ、止マレィ!!時ヨッ!!!!』

ピキーン・・・・・・・・・・・・


282 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 05:06:28.37 0


「亀井の時間を止めたぞ・・・・・や、やばいッ!!!!」


あたしは亀井に進行していくマッキング・Gを追いかける!!

な、なんて移動スピードだ・・・・・・間に合わない!!!


『無駄ナコトダ…ワタシハスベテノ「スタンド」を超越シタ・・・・・・<矢>にヨッテ
先へ進ンダ存在ナノダ!!!ワタシハお前を攻撃スルコトハデキナイガ、
オマエ一人ノちからデハワタシを攻撃スルコトモカナワナイダロウ!!!』


く、くそ・・・・・・マッキング・Gが…

うずくまった姿で止まった亀井を見下ろしている・・・・あいつがやられちまう!!!!



「や・・・・・・・・やめろォオォォォォォオォォォオォォォオォォォォォォォォォッ!!!!」




283 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 05:08:00.06 0


その時だ。


あたしの側を、何か小さいもんが凄い速さで通り過ぎていったんだ!!
虫…?いや違う!!!

あれは…ッ!!!


『ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!』


び、ビスケッツ…!?
ありゃあ小春の『ミラクル・ビスケッツ』じゃあねーのか!!?
女の声ということは…No.2かNo.4のどっちかだ!!!!

『ナンダコイツハ・・・・・エェイ!!コイツノ時間モt』
『ミンナの仇イィィィィィィィッ!!!!!!!!!』

マッキング・Gが仕掛けるよりも早く、ビスケッツが何かを再形成する!!
…つーことはありゃNo.4か!!!!
小春の意識はなくても、ビスケッツは行動できるなんて・・・・・・
そして、ビスケッツが再形成したものは・・・・



ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンンンン!!!!!


爆発だった!!!!


284 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 05:10:20.50 0


ミラクル・ビスケッツは爆発を再形成したんだ!!!

そういえば、さっき時を戻そうとして目に飛び込んできた映像の中に、さゆに
撃たれた小春の映像があったな・・・・・・きっとその時に、ミラクル・ビスケッツが
シャボン玉の『爆発の一部』を分解していたんだ!!!!
水だって分解できるらしいし・・・・・・それが出来てもおかしくはないッ!!!!


『キャア!!!!!!!!!!!!』


爆発の衝撃で、ビスケッツが小春の方に吹っ飛ばされていく…

そして、あたしは走り出した。
爆発で怯んだヤツに向かって、あたしは走り出したんだ・・・・・
マッキング・Gによって<時間>を奪われたこの世界では、あたしのブギートレイン03は
時を戻して『すべてをなかったこと』にすることはできない。

だから・・・・・あたしが出来ることはコレしかない・・・・・・・
あたし一人ではすべて攻撃は見切られてしまうが…
奴があたしを見失っている今なら!!!



もうこれしか…これしか方法もチャンスもねええええええええええ!!!!!!




285 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 05:11:04.35 0


「ゴォォォォォォォォォォォォルデン!!!ゴォォォォォォォォォル決めて!!!!」



『ウ、ウルオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!!』



「VVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVV
VVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVV
VVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVV
VVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVV
VVVVVVVVV・・・・・・・」



ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ・・・・



286 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 05:14:23.79 0


ありったけの拳をマッキング・Gのボディに!!!
あたしを攻撃できないらしいマッキング・Gは、あたしの時間を止めて
ラッシュから逃れることも叶わないようだ。


真希ちゃん、許してくれ…
でも…これであんたは救われるハズだ!!!!

また以前のように・・・・あたしたちは毎日を過ごしていくんだ!!!
亜弥ちゃんと、あんたと、あたしの三人で…


「Vッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


ドガアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!



『ガガガ・・・・・・オマエヲ<攻撃>スルコトガデキレバ・・・・・<後藤真希>ノ望みハ
叶ウハズダッタノダガ・・・・守リタカッタ者ニ倒サレルトハ皮肉ナモノダナ・・・・
ソシテ…ドウヤラ<後藤真希>ハもうソノ『器』デハナクナッタヨウダ・・・・・・』



バリバリバリ・・・・・・・ドッパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!




287 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 05:16:05.95 0


最後の一撃を放ったその時。
スタンド『マッキング・G』は世界に溶け込むようにして、その姿を消した。


ポト…


あたしの足元に、矢の欠片が落ちる。

そして・・・・・


「ぐっ!ぐっ!!ぐぅぅぅうううううううううッ!!!!!!!!!!!」


『マッキング・ゴールド』の呪縛から逃れたようだ…
人形のように固まっていた真希ちゃんはスタンドから返ってきたダメージを浴び、
身体から血をふいて、呻き声をあげて倒れた。


「真希ちゃん…みんな…いま病院連れてってやんぜ…」



世界は・・・・時間を取り戻したよ。



バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!



288 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 05:21:06.73 0


  ―ヘブンズ・ドアー―


『…2番線から、電車が発車いたします。この電車は、杜王駅で
各駅停車との接続待ちをいたします…』



やれやれ、やっと発車か。

長い2分だったな…



289 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 05:22:05.98 0


  ―ヒート・キャパシティ―


「西川くん!!西川くん!!!」

「…ハッ!!」

「ハッ!!じゃないでしょう?もう4時半よ、お客様がお待ちになってるわ」

「ご、ごめんなさい!!今行きます!!!」



や、やばい〜ッ!!今度こそやばい!!!

俺は急いで店内へと戻っていった。



290 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 05:25:46.70 0


  ―すぽると☆摩天楼―


「いやぁすごいじゃあないですか!!一日で加筆・修正をここまでやってみせる
なんて…しかもこの短時間で!!!」

編集部の兄ちゃんが歓喜の声をあげた。
俺としては別に急いで書いていたわけでもないんだが、そういう仕事に携わっている
彼が言うんだ。俺はすごい奴なんだろう。

「さすがは受賞時に気鋭作家と称されただけはありますね!!僕はあなたのような
人の原稿が受け取れて光栄ですよ!!これからもよろしくお願いしますね!!
菅沼英秋(ひであき)さん!!!」

「・・・・・・」

「・・・・英秋(えいしゅう)さん?」

「ああ、これからもよろしくな…」



291 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 05:27:13.76 0


  ―ぶどうヶ丘高校・保健室―


あら、もうこんな時間じゃない。

マニキュアも塗ったし・・・・・今日はダンス教室の日なのよ。
私だってまだまだ若いんだから・・・・

あら、そういえばあの子、カバン置きっぱなしだけどどうするのかしら。


・・・・・・・しょうがないわね。


あの子が帰ってくるまで、待っててあげるとしますか・・・・



292 :1 ◆I7CTouCqyo :2006/02/20(月) 05:28:27.49 0


  ―Mr.ムーンライト―


ビュオォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!!!!!



「・・・・・・・・・・・・」



今の吹いた風・・・・・・ちょっと強かったけど・・・・・・



なんだか・・・・・・・・とても悲しげな風だったな・・・・・・・・






TO BE CONTINUED・・・