302 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/12/19(月) 02:35:35 0

銀色の永遠  〜寺田にTERROR〜


夜の学校とは不思議なものだ。
薄暗くなっただけで、普段とは表情を変えるんだから。
漂う空気も重たくなるし…
ん?この壁のシミは不気味だな。水垢かなんかだと思うが…
こう薄暗いと、目に入るものすべての物に曰くが付いてるんじゃないかとさえ思えてくる。
あの非常灯の青い光なんか、なんであんな不気味な色をしてるのか理解に苦しむな。
なんにしても気味が悪い、別のことを考えよう。

道重さんのウサギ、見つからなかったな…

私にはウサギの気持ちなどわかりえないが、もし私がウサギだったら、
人間を大嫌いになるだろう…今日の出来事は。
まぁでも、もし小春がウサギに生まれたとしたら…その時は猫や鶏と仲良くなりたいな。
…なにメルヘンなことを考えてるんだか、私ってば。
なんだか杜王町に来てから、ちょっとお茶目になったかもしれない。
ふふ、ミラクルエースであるこの私がお茶目だなんて…
道重さんのウサギはあのカラスとお友達だったのだろうか?
とにかく…レミーちゃんが道重さんの家に帰ったことを祈ろう。



303 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/12/19(月) 02:36:54 0

カツ…カツ…カツ…


私の足音が、誰もいない校舎の中で響いていた。
この学校、無用心だな。
セコムぐらいつけてもバチは当たらないと思うんだけど。
まぁそんなものがついてないから、こうやって忍び込む事が出来たわけなんだけど…

演劇部の部室の前に来て、私は深呼吸をした。
これから行うことは、ハッキリ言って『冒涜』だ。

演劇部を愛してやまない新垣さん、常に高みを目指している高橋さん、
この部活で友情を手に入れたみうなさん…演劇部に数々の希望、夢を抱いているみなさん。


ごめんなさい。


でも、どうしても私は納得できないから…許してください。
私は部室の扉を静かに開け、足を踏み入れた。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…



304 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/12/19(月) 02:38:43 0

そこからさらに奥。
そう、寺田先生の部屋だ。
私がここに用事があってきたのだ。
寺田先生はもう帰ったようだな…よし。

ガチャッ…

あれ?扉が開かない。
外に鍵穴があることから、どうやら戸締まりして帰ったようである。
部室の扉には鍵をかけていないのにここだけ…
怪しい。実に怪しい。

「ミラクル・ビスケッツのみんな」

『ミラクルフォゥーッ!!!!』

「シッ!!静かにしてNo.6。No.1、このドアの…そう、ノブの部分ね。
鍵ごとやっちゃって欲しいの」

『承知シタ』


パシュンッ…キィィ…




305 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/12/19(月) 02:41:02 0

…よし、開いた。
あとは帰る時にNo.4あたりに頼んで、元に戻してもらうとして…

「さて…」

私は寺田先生の部屋に足を踏み入れた。
この部屋に入るのは初めてだ。
私はここに入部する時、一次審査とやらを受けていないから。
噂に聞く『矢』に射抜かれてスタンド使いになったわけじゃないから。
よくよく考えたら、私はイレギュラーな存在だな。
それ故に、ミラクルエースの称号か。
演劇部には、私以外にも『矢』で貫かれずにスタンド使いになったものはいるのだろうか?

演劇部…か。

この部はおかしすぎる。
なんで早く気が付かなかったんだろう。
思えば、さくら組とおとめ組に別れて演習(サバイバルゲーム)を行うことが
もうおかしかったんじゃないだろうか?
何故あの時、私は何も疑問に感じなかったんだ。

ここは、演劇部なのに。

私は…舞台で歌って踊って…華やかな衣裳を着たかっただけだ。
それも自分が成長するための回り道だと思った。
でも、そういう活動をしていないわけじゃないんだ。
現に、クリスマスには舞台公演の予定がある。
緊張もあるが、すごく楽しみだ。
きついレッスン?そんなもの乗り越えてみせる。
けど…やっぱりおかしい。


306 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/12/19(月) 02:43:01 0

「今朝、藤本さんも私たちとは別の指令に出向いたそうだ…」

指令?
指令って何?
公演が迫っているんだ。演劇部にとって、今はそれ以上に意味のある
活動なんてないハズじゃないか。
そんな時期にまで…指令?

子供だからってバカにしないでよ。
動物を虐めることの…何が指令だって言うんだ!!!

私は寺田先生の机の前に立ち、机の上に乗っているものを調べる。
ペン立て、カラの湯飲み、しおりが挟まれている読みかけの本、
そして、何かのCDのディスク…。
男の人の机にしては整頓されているな。
だが私はこんなものを眺めに来たんじゃない。

推測が許されるならば…部員が普段渡される『指令』の影には、
きっと何らかの『シナリオ』があるハズなんだ。
寺田先生の『シナリオ』の進行を促進するための指令、そして『シナリオ』の
邪魔になるものを排除するための指令…
その『シナリオ』は、きっと私たちが持っている『スタンド』と
大きく関係しているに違いない…むしろ、それしかないと思う。
なぜなら、クリスマス公演の話は、指令として通達されたわけじゃないからだ。
部活動らしい活動には、寺田先生は『指令』などと釘打ったりはしていない。
今の段階では、寺田先生が何を企んでいるのか…私にはわからないが…
けど、これだけは言えるッ!!

これだけの数のスタンド使いがいる演劇部だ…いずれ部員の誰かが消される!!!



307 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/12/19(月) 02:44:05 0

私は震えた。
私の知っている誰かが、寺田先生の『シナリオ』の邪魔者になったとしたら…
その人は、どうなってしまうんだ?

「ふざけないで…ッ」

なんとしても『鍵』を握ってやる…
あの胡散臭い大阪弁教師の化けの皮を剥がせる『鍵』を…!!!

机の一番大きな引き出しを開けてみる。
これは、部員の名簿だろうか?
それからこのレポート用紙。
これにいつも指令を書き込んでるのかな?
ん?この黒い物体はなんだろう?
何これ…大きくて冷たい…
気になって取り出してみる。
大きさのわりに重いなぁ…って…

「け、拳銃…!?」

な、な、なんでこんなものがこんな所にあるんだろう!?
拳銃なんて…刑事ドラマでしか見た事がない。
寺田先生…あの人、いったい何者なんだ!?


ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ…



308 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/12/19(月) 02:45:07 0

ハラッ…


その時、妙な物音がした。
微かな音だった。
無音に近い状態であったからこそ、聞き取ることのできた音…
拳銃を握ったまま、なんとなく私は視線を机の上に落とす。

「…ッ!!?」

おかしい。
何かおかしいぞ。
机の様子が…変わっている。

「さっきは…こんなところに紙なんかひろげられていなかった…ッ」

その紙には、こう書いてある。


『このラクガキを全て見終わったとき』


このラクガキを…全て見終わったとき…?
電気を点けていないので、薄暗くてよくわからないが、紙にはそれしか書いてない。
何…?
いったい…これは…


309 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/12/19(月) 02:46:19 0

ハラッ…


また紙の落ちる音がした。
机の上に、今読んでいた紙と同じ大きさの紙が乗っている。
紙にはさっきとはまた別のメッセージが書かれていた。


『おまえは』


ちょ、ちょっと待って…これは…いったいどういうことなの!?
この部屋には私しかいない!!
天井を見上げるが、誰かが天井から紙を落としているわけではなかった。


ハラッ…


ま、また紙が落ちた音だ…ッ!!
紙が…独りでにこの机の上に出現しているとでもいうのか…!?
私は紙に目を落とす。
つ、次のメッセージは…


『死ぬ』


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


314 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/12/19(月) 05:25:13 0

パチンパチン!!


「ハッ!!!」

突然、部屋の明かりが点いた。
思わず叫び声を上げそうになるが、そこはなんとか我慢して冷静を保つ。
手の中の拳銃は、ビスケッツに分解させて隠した。
そして目の前の…この部活の顧問が口を開く。

「なんや…久住やないか…」

「て、寺田…ッ!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


「…先生」

まさか…部屋に戻ってきたのか?
これはまずい…非常にまずい!!
こんな時間に何やってるんだ…そう思ってるに違いない!!!
それにドアノブを壊してこの中に入ったんだ!!
私が彼でも同じことを思う!!
そして…怪しいと思うだろう!!!

「こんな時間に何の用や?」

落ち着け…久住小春…
圧倒されるな…なんてことはない!!
今は誤魔化すんだ…なんとかこの状況を乗り切るんだ!!


315 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/12/19(月) 05:27:00 0

「何の用や?と聞いてるンやけどな、久住」

「あっ、うっ、そ…その…ほ、報告に来ました。今日の指令の…カラス…
吉澤さんが始末しました…カラスはスタンド使いだったんです…」

「始末?俺は始末しろと言った覚えはないねんけど」

「そ、それはしょうがなかったんです。そうしなければ、私も石川さんも、
やられてしまったかも知れないんです」


ここでは下手なことは言えないぞ…
もう嘘でもいいからカラスを殺してしまったことは過失(実際そうだが)にするんだ…
今は誰の立場も悪くする事が出来ない。


「そうか、ならええよ。よく頑張ってくれたな…久住、お前も精一杯頑張ったンやろ?
お前はワイの見込んだミラクルエースやからなw」

「あ…は、はい…」


な、なんだ…この人は…変にヘラヘラしちゃってるけど…
こんなあっさり誤魔化しが聞くもんだとは思わなかった。



316 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/12/19(月) 05:28:06 0

「って、ちょっと待てや。今石川って言うたな」

「えッ!?」

「おかしいな、今日の指令は吉澤に久住…それと藤本に頼んだハズやねんけど」


あれ?
この人、藤本さんと石川さんが指令を交代したこと知らないんだろうか?


「やばいわ〜アイツらのケガ、石川がやったにしちゃあ変にボコボコだったから
変やなぁーと思うとったんや。なんや、そういうことかいなw」


どうやら知らなかったらしいな。
けど、今の発言で彼は墓穴を掘ったな…

アイツらのケガ、石川がやったにしちゃあ変にボコボコだったから…。

アイツら…まるで知っている人みたいな言い回しですね。
ボコボコだったのを知っているっていうことは、藤本さんを襲った(と思われる)人と
繋がりがあるということだ。
つまり、石川さんに与えた指令は石川さんを誰かに襲わせるためのものだったと…
藤本さんにやられたらしい人は、きっとこの人の差し金だったんだ!!
と、いうことは…

彼は…石川さんを消すつもりだった…?

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


361 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/12/20(火) 06:44:38 0

私の読みは、あながち外れていないのかも知れないぞ。
なぜ、石川さんを消すつもりだったのか…理由はわからないが…
この男、危険だ…
きっと、彼の『シナリオ』の障害となりうるものは…『指令』と称して
消されてしまうんだ…それが演劇部の部員でさえも!!!

「お前はホンマええな、久住」

「え?」

い、いきなり何を言い出すんだ…この男は。
なぜ私を見て、そんな穏やかな表情をする!?

「お前はどんな時も笑顔やからな…きっと頭では難しいこと考えてんねんけど、
表情には決して出さない…常に笑顔や。これ、ミラクルちゃうん?」

「…それは…どういった意味で…」

「ん?なんか変なこと言うてもーたかな。まぁ気にすんなやwはっはっは」


は…はっはっは、じゃあないッ!!!!
何を呑気に笑っているんだ!?
この男…こんな穏やかな表情の裏でいったいどんな残忍な表情を持っているのだろうか。
寺田光男…こいつ、危険すぎる!!
私の第六感がそう言っているッ!!



362 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/12/20(火) 06:46:05 0

「さて、これやこれ。ちょっとどいてくれるか?」

寺田は私と机の間に割ってはいると、先ほど宙から出現した謎の紙を丸めて
ゴミ箱に捨て、机の上のディスクを手にとって眺める。
そしてカバンから黒いCDケースを取り出し、そのディスクをしまおうと
しているようだった。

「神父はんから借りた大事なディスクや…こんな粗末にしてたらあかんわな。
いつ日本を離れるか…ようわからんしなぁ」

一体何をブツブツ言っているんだろうか。
だが、そんなことより…
この人、私が鍵を壊してまでここにいる理由が気にならないのか?
いや、それとも何か感づいているのだろうか…
とにかく、この時間に私がこの場所にいるのは彼にとってかなり『異常』なことなハズ。
不思議に思わないわけがない…
まさか、こうやって何も気にならないフリをしているだけなんじゃないだろうか?

な、なめないでよ…こいつ!!!

だいたい私は、あなたには何の感情も抱いてないんだ。
興味の欠片もない、忠誠心なんてもっての他だ。
私は道重さんのいる演劇部にきたんだ。
彼女の夢を語る姿に惹かれて、この世界に足を踏み入れたんだ!!
ワイが見込んだミラクルエースだって?
そんなこと自分がよくわかっている…私は生まれたときからミラクルなんだよ!!
この『ミラクル・ビスケッツ』がその証だ!!!



363 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/12/20(火) 06:47:15 0

「ホント、最近忘れ物が多いンや…久住も気ィつけや」

彼は私を背に、振り返らずして言う。
…気をつけるのはあなたの方だ!!!!!


グッ…グググググググググググググググググググググググググググググググ…

メギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!


私は、先ほどビスケッツに分解させた拳銃を、音もなく手の中に再形成させた。
銃口は、彼の後頭部に向けている。
銃弾は…この重さだ、恐らく入っているに違いない。
私の推測が確かなら、彼は石川さんを始末しようとしたはずなんだ。
それと同じように、私も始末しようと今考えているんじゃあないだろうか?
何かを嗅ぎまわっている私を始末しようと…

それなら、やられる前にやってやる!!!!



364 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/12/20(火) 06:48:18 0

チャキッ…

なんてスキだらけの背後なんだ…私が銃口を向けているのに、彼は気付いていない!!
今なら確実にやれる!!
この、冷たい引き金を引くだけでいいんだ。
一瞬で終わりさッ!!
彼の死体はビスケッツに分解させて、ぶどうヶ丘公園の池にでも捨ててしまおう。
彼らにそんなことさせたくはないけど…
でもッ!!これで石川さんも私も、始末されなくて済む!!!
これから彼の邪魔になるかもしれない他の部員も…
もう後には戻れない…だが、やらなきゃいずれやられるんだ…!!!
彼は、CDケースにディスクをしまい終えようとしていた。
いまだ、私の向けた銃口には気付いていない。
なんなんだ…あなた、本当にそれでも演劇部の顧問なのかッ!?
めちゃくちゃスキだらけじゃないか。
実は戦闘の経験浅いんじゃないのか?つーかスタンド持ってるのか!?
私の方は汗もかいてないし、呼吸も乱れていない…気持ちは俗に言う明鏡止水ってヤツだ。
…ディスクをしまい終えた、タイムリミット。
いける…私は覚悟を決めた。

脳みそ、机の上にブチまけて下さい…寺田先生!!!!!!!!!


ドタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!!!



365 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/12/20(火) 06:50:03 0

そんな音が鳴ることはなかった。
その拳銃はカチリという着火音を鳴らし、銃口から小さな火を点しただけだった。
…なんだこれは?
寺田が振り返る。
私は呆然と固まっていた。

「…それ、面白いやろ?力也先生から譲ってもろたんや、そのライター。欲しいか?
って、ミラクルちゃんには縁がないもんやと思うけどな。煙草は二十歳まで我慢しぃなw」

ライター…だって?
拳銃の形をしたライターなのか?
な、なんだこのふざけたオモチャは…ッ!!!!
こんなライターがあるなんて…小春は知らない!!!

ダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラ…ガタガタガタガタガタガタ!!!!

汗が吹き出てきた!!
呼吸も乱れて始めている!!
拳銃の形をしたライターを持っている手の震えが止まらない!!

「それ、返してぇな」

寺田が私の握っている拳銃に触れる。
その途端!!!

「…え?」

私の手の中から、拳銃が消えた。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


366 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/12/20(火) 06:51:08 0

何だ…なにが起きたんだ…
今、私は拳銃を握っていたよな?
それが何故、一瞬で消えたんだ?
一体…何をした!?


「さ、気がすんだら早よ帰りや、久住。そうそう知ってるか?杜王町の少年少女の
行方不明者の数…全国平均の8倍って数やねんで。狂ってるわ。だから
お前も、あまりお母さんに心配かけたらあかんで…」


そう言うと、寺田はカバンを肩に引っ掛け、部屋の扉に向かう。
私は、恐怖で動けなくなってしまっていた。
地獄の片鱗を見させられたようだった。


「公演も近いし、生活リズム崩したらアカンで。また夏先生に怒鳴られたくないやろ。
お前はミラクルエースなんや…歌もダンスも、才能がある…その『能力』もな。
ドアの鍵、ちゃんと『再形成』させて帰ってや。あと電気も消してな。じゃな」


ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!



367 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/12/20(火) 06:54:19 0

私はどこかで道を踏み誤ってしまったのだろうか?
そんなバカな…私はいつも、正しい道を選んでいたハズだ。
だが、この背中にビシビシと響いてくる『敗北感』はなんだろう…
道を踏み外したのだろうか。
私はもう、この部から逃げ出すことはできないのか?
彼に…寺田光男について行かなきゃダメだというのか!?

カチャッ!!

私の足元に、さっきまで握っていたはずの拳銃の形をしたライターが落ちた。
無意識のうちにそれを拾った私は、恐怖に震えながらそれを持って帰ったのだった。

今は、まだ演劇部にいるしかない…







ハラッ…

『お前は、もう逃れられないんや』


TO BE CONTINUED…