924 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/03(木) 20:19:48 0

銀色の永遠 〜激闘!!おとめ組vsさくら組〜

〜藤本美貴〜

とある、日曜日。
休みだっていうのに、あたしは学校の高等部の生徒ホールにいる。
時刻は十時五十五分。
ホントだったらよー、あたしはまだベッドの中で夢の中だったんだけどなー。
話はこうだ。
この間、同期の三人に追いかけられ、結局捕まり(トホホ)演劇部に出席した日。
部長の吉澤ひとみが部員全員の前で重大発表した。

「寺田のおっさんが、たるんでるこの10人でサバイバルしろだってさ」
「だってよ、みうな」
「ミキティ、なんで私に言うのよ」
「まぁまぁ。えーっと…まず俺じゃん?」
「w部長がたるんでるとかww世話ねーなwww」
「オメーの名前も入ってるから安心しろよミキティ。
『吉澤 藤本 田中 高橋 紺野 亀井 小川 久住 新垣 道重』
この十人で二手のチームに別れてサバイバルしろだと」
「ええええッ!!!藤本さんはわかるけど、なんで僕までッ!!!」
「テメーはいつも一言多いんだよなぁ亀井。あんた、どっかで美貴のこと
バカにしてんだろ?」
「おいまだ話は終わってねーぞ。このサバイバルは、ただのサバイバル
じゃーない。なんとッ、ご褒美があるんだ」
「ご、ご褒美?それは…」
「聞きたいか?よし言うぞ…正直、俺も動揺している…ぐふッ…ぶハッ!!
いいか、勝ったチームで…むふふ」
「気持ち悪いな。早く言ってよ」
「わかったわかった。勝ったチームで、尚且つ生き残ったヤツには…」
…ゴクリ。


925 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/03(木) 20:20:46 0

ま、そういうわけだ。
あたしはご褒美に釣られてここにいるのだ。
寺田先生に『焼肉を奢ってもらえる』というご褒美に…

ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ…

チームは各5人ずつに別れ、学校の敷地内で行われる。
その5人で校舎をうろつき回り、遭遇した相手と戦闘。逃げてもいいらしい。
5人バラバラに行動するのが基本だが、別に固まって行動してもいいそうだ。
ただし固まっていたら、もし罠にかかった場合、その場で全員リタイアなんていう
間抜けな展開になってしまうかもしれないが…。
リタイアしたメンバーは、演劇部の部室で待機、とのこと。
ちなみに、リタイアの基準は相手を再起不能、もしくは「降参」と言わせること。
生き残った人数の多いチームで、尚且つその中でリタイアしていない者が勝者となる。



926 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/03(木) 20:21:56 0

つーかさ、なんで演劇部なのにサバイバルなんかしなきゃなんねーんだか。
結局スタンドがメインの活動じゃねーか。
どーせならあたし、普通に課外活動とかしてみたいんだけど…。
高等部の生徒ホールを基地とする、あたしのチーム『おとめ組』のメンバーは、
小川麻琴、田中れいな、道重さゆみ、久住小春、そしてあたし藤本美貴である。
へ、平気なのかよ…なんかパッとしねーな。
ちなみに、『さくら組』の連中は中等部の生徒ホールに集まってるらしい。
「あ、もうすぐ時間じゃん」
サバイバルゲームは午前11時から午後2時までの3時間。
ようは…全員ぶっ飛ばされなきゃいいんだろッ!!

「みんなッ!!ぜってー勝つかんな!!!!!!」
「「「「おぅッ!!!!!!!!!」」」」

すべては焼肉のためにッ!!!!!!!!


944 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/04(金) 01:07:08 0

〜久住小春〜

私は今、道重さんと一緒に行動している。
現在、化学室付近だ。
彼女が言うには、小春ちゃんを一人にしておけないの、ということらしい。
まったく…私もまだまだ信頼されてないもんだ。
「道重さん、早く校舎の外に出たほうがいいんじゃないんですか?」
「大丈夫なの」
なにが大丈夫なもんか。
彼女のスタンドはシャボン玉の爆発物を吐き出すスタンドだ。
校舎の中ではまともに動けないはず。
「とりあえず、この化学室を調べるの。ここは外へ通じている…ここを確保して
身を隠し、小春ちゃんのビスケッツにあたりを偵察させれば…中だろうと外だろうと
敵の位置を確認して、すぐに攻めにいけるの」
「中継基地にするんですね。ここが見つかったらどうします?」
「それも平気なの。中から来たら外に誘い込んでシャボン玉で包囲、外から来たら
生物室の窓から集中砲火するの」

じゃあ、私はあまり意味がないんじゃないか。
攻めるのは道重さんで、私はただの偵察要員か。



945 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/04(金) 01:09:34 0

「私はそれぞれの特性に合わせて攻めに行った方が無難だと思いますけどね。
例えば、道重さんのスタンドなら…新垣さんのスタンドが生み出す樹木やツタを
簡単に焼き払うことが出来る。逆に狭い空間で真の力を発揮するような高橋さんや
吉澤さんと遭遇したら…あなたに勝ち目はありませんよ?私は負けませんがね」

「適材適所ね…でもそういった弱点は本人たちが一番よくわかってるハズなの。
だから堂々と姿を出すとは思えない…もちろん、さゆみだってわかってる。
さっきのような考えがあるから、それが正しいと信じてここにいるの」

まったく…まぁ、彼女の夢はお姫様だ。
誰かをコマとして使う、そんな発想は当たり前かも知れない。
やれやれ、付き合ってやるとするか。
それに、これも勝つためだ…私は彼女を信じている。

「…わかりました」
「じゃあ小春ちゃん、お願い」
「はい。出ておいで…私のミラクル・ビスケッツ!!!」

『ミーラクルッ!!フォウゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!』
『No.6!腰フッテンジャアネェ!!』
『キモイワアアアアアアアアアア!!!』

「相変わらず、みんな元気そうなの」
「ビスケッツのみんな!この化学室、誰もいないか調べて来て!!」

『コハルー!!マカセロオォォォォォ!!!』
『イィィィィィッハアァァァァァッ!!!!』

なんだか、今日はやけにビスケッツ達のテンションが高いな。
今朝、オロナミンCを飲ませたからだろうか?


946 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/04(金) 01:11:36 0

まぁいいか。
私はビスケッツの七人を化学室に向かわせ、しばし待った。

「…」
「小春ちゃん、どうなの?」
「待って下さい、一度No.3とNo.4を戻し…」

ブシュッ…

「…え?」
なんだ?
…血?
私の右のヒジが…裂けたわけだが。

ブシュブシュブシュッ!!!!!

「う、ご…ッ!!!!」
「こ、小春ちゃんッ!?」
は、腹が…私の腹が…ッ!!!
こ、これはいったい…何が起きたと言うんだ…まさかッ!!



947 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/04(金) 01:13:09 0

「び、ビスケッツのみんな…!!」
『コハルゥーッ!!早ク…ハヤク皆ヲ戻シテェーッッッ!!!』
No.2だけが、大急ぎで私の元へ帰ってくる。
「な、No.2!!どうした…!?」
「小春ちゃん…ヤバイの…何かとてつもなくヤバイの…ッ!!
早くビスケッツを全員呼び戻すのッ!!!」
さ、さっきからやっているんだが…
「な、なかなか戻ってこないんです…なにか…ガッチリ抑えられてしまっているような…」
『ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!』
『コハルウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!』
な、No.3にNo.6…よく戻って来てくれた…。
だが…他のみんなは…戻ってこれないようだ。
「さ、三人が限度です道重さん…どうやら残りのビスケッツ達は…
捕まってしまっているようだ」
しかも、ただ捕まっているだけではないな、これは。
このケガを見てみろ…ッ!
おそらく、残りの四人は『やられてしまっている』に違いない。



948 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/04(金) 01:14:54 0

「ハァ…ハァ…おのれ…ッ!!」
「あくまでこれは部活内での演習に過ぎないはずなの…なのにここまで…
ここまでマジに痛めつけるなんて…こんなに容赦ないヤツは…ただ一人ッ!!」

ガラッ!!

道重さんが化学室のドアを開ける。
その化学室の机には、無残に刻まれたビスケッツ達が散らばっていた。

『ニ…ニゲロコハル…』
『ア…ア…』
『コイツハ…ヤバイ…』
『ヤバスギルウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!!!!』

そして、その奥に立っていたのは…

「…吉澤ひとみッ!!!」

道重さんが、彼をフルネームで叫んだことにより、私は初めて実感した。
…これはあくまでサバイバル。
今、私たちは『さくら組』の連中とはマジで敵同士なのだ…と。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…



949 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/04(金) 01:17:12 0

「小春ちゃーん…どうしてそんなケガしたか…わかる?」
あ、あなたが攻撃したからだろう…
その後ろに立つ『Mr.ムーンライト』でビスケッツ4人を血がバリバリ出るほど
握りつぶしたからじゃないのか?
だが…彼の目は何か違う…。
ほ、本当に私が思ってる通りか?
そう思うと、言い返す言葉が浮かばない。
「…わかんないのか?お前…このままじゃやばいってわかってる?」

バゴォン!!!

吉澤さんが床を殴った。
彼の能力だ…ああやって、衝撃を取り出しているのだ。
そして、あんな風にリフティングして、威力を増幅させている。
「俺が…もしその気だったら…お前のビスケッツは全員握りつぶされていた」
「な…ッ!?」
ビスケッツが全員やられたら…私はどうなるんだ?
「お前のようなタイプのスタンドはな…全員野放しにしたら自殺行為なんだよッ!!」

バゴォッ!!!!!!

な、何かを蹴飛ばしたぞッ!!
取り出した…見えない衝撃波に違いないッ!!
「う、うあ…」


950 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/04(金) 01:18:50 0
その時、私の前に黒い影が立ちはだかった。
「み、道重さんッ!?」
私はすぐに気付いた。なんて瞬発力だ。
「シャボン・イールッ!!」
ズリュン!!
彼女はスタンドを右腕に出現させ、それを盾のように構える。
…衝撃をガードする気だ!
だが、道重さんならできる!!
道重さんのシャボン・イールなら…それが出来るッ!!!

バインッ!!

何かが地面で弾む音がした。
ま、まさか今のは…

ガボオォォォォス!!!!!!!!!!!

「おぅげえええッ!!!!!!!!」
道重さんが歪んだ声をあげた。
「AU!!腹に決まったなッ!!さゆみん知ってるか?…ボールは弾むんだぜッ!!」
や、やはりッ!!
今のは見えないボールとなった衝撃が地面にバウンドした音!!
「確かに、さゆみんのスタンドなら俺の衝撃はガードできるだろうなッ!
でも、それも見えなきゃかなわない事よ!!!」
なんということだ…まさか…いきなり室内では鉢合わせたくない人物と
出くわしてしまうとは…

ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッド…



951 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/04(金) 01:20:10 0

「小春ちゃん…」
道重さんが私にしか聞こえないように囁いた。
「は、はい…」
「合図したら…勢いで外に吹っ飛ぶの」
「…え?」
外に吹っ飛べ…だって?
この人は、まれに理解し難い発想をするが…まさか…まさか…。
道重さんが、吉澤さんにスタンドを向けた。
「お、おい…さゆみん…お前まさか…ここで…」
吉澤さんも気付いたか。
このお姫様志望の女…マジになっている!!!

「シャボン玉ああああああああああああああああああああああッ!!!!!!!!」

「ミラクル・ビスケッツ!!!…ぬあああああああああああああッ!!!!!」


ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!




952 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/04(金) 01:22:53 0

私は爆破の衝撃で外に吹っ飛んでしまった。
化学室からは、パチパチと爆ぜる音が聞こえる。
「み、道重さんと吉澤さんは…どうなったんだ?」
二人は逃げたのだろうか…?
最大威力のシャボン玉ではないみたいだが…あれでは二人とも無傷では済まないだろう。
まさか…室内でシャボン玉を使うなんて…。

『コハルゥ!!頼マレタコレとコレ!!持ッテキタヨォォ!!!』
『ダケド2ツダケダ!!今分解デキルノハ俺とNo.2ダケダカラナ』

「…OK、ありがとう」
二人の確認をしにいった方がいいのだろうか?
よし。
「ビスケッツの三人共、あの二人が…」
どうなったか確認してきて!!
と、言おうと思ったが…
ダメだ…もし、吉澤さんがピンピンしていたら…またビスケッツの誰かが
犠牲になってしまう。

「お前のようなタイプのスタンドはな…全員野放しにしたら自殺行為なんだよッ!!」

やり方は荒いが…これは彼の<教え>だ。
今はこの三人、誰も失うわけにはいかないんだ!!
私のこの傷は、その教訓として反省することにしよう…。
『小春…ドウシタ?』
「いや…なんでもないよNo.6!みんな、行こう!!!」
ここに長居はしてられない。
私は隣の校舎に駆け込み、一時、身を隠すことに決めた。


962 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/04(金) 03:02:46 0

〜藤本美貴〜

あー…うまい。
誰もいない便所で飲む午後の紅茶はうまい。
女ならエレガンスにストレートでしょ。
あたしは、トイレの一番奥の個室に潜み、一人で一杯やっていた。
校内うろつくなんて体力の無駄無駄。
ようは最後まで生き残ってりゃいいんだろ?
なら、初めっからこうやって隠れてりゃいいわけよ。
あたし、焼肉食べたいもん。
昨日の夕飯、シャケだったし…orz
でもね、そうすっと今度は、代わりに違うものと闘わなきゃならなくなるんだ。
………
……

そう、それは時間。
あー…待ってらんねぇ。
ちょっくら外の空気でも吸いにいってみようかな。
で、そういう時に限って…鉢合わせちゃったりするもんなんだよなァー。
美貴ってたまにあるんだ。
なんか、理由もなくすげー駅で亜弥ちゃんに会えそうな気がする…そう思って
見に行ってみると、ホントに駅で亜弥ちゃんに会えたりとか。
今も同じで、すげートイレの外に『さくら組』の誰かがいそうな気がする。
「…ちょっとドキドキするな」
あたしは確認してみたくなる衝動に駆られてしまう。



963 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/04(金) 03:05:30 0

い、いいのか藤本美貴!!
焼肉食べたいンだろう!!?
ああ食べたいさ!!
でも…

あたしは目先の好奇心も好きなんだ!!
肝心要は好奇心だから!って前に安倍さんも言ってたしよー!!

ガチャッ!!

「……」
…やっぱり、あたしの予感ってすごいわ。
そいつは廊下に座ったまんま、あたしの顔を見て陽気に言った。
「待ってたヨー」



964 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/04(金) 03:08:18 0

高橋愛。
彼女は演劇部のエース候補と言われている。
「長すぎッスよ、おトイレ」
「ずっと…そこで待ってたのかよ」
「ウン。会いたかったカラ」
「ヘェ…もしあたしがずっと出てこなかったらどうするつもりだったんだ?」
「別にィ。ぶっちゃけ、あっしは他のヤツラに興味ないンよ。だったら、
待ってる方がマシ」
…なんであたしがトイレにいるってことを知ってたのかは置いておこう。それより…
他のヤツラに興味はない、か。
ふーん、面白いじゃん。
「…あたしも一度、あんたとはマジでやってみたいと思ってたんだ。
あんたには…実力がある!!あたしにとって…実力のある人間こそ真理!!
エース格こそ友であり尊敬する者!!」
…ってちょっと褒めすぎか?
あたし、漫画の読みすぎかもなw
「やる気十分!!っつーことでいいのカネ?」
「そうだよ…行くぜッ!!」

ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッド…

「ブギートレイン…オォォォォォスリィィィィィィィィィッ!!!!!!!!!!!」
「ライク・ア・ルノアァァァァァァァァァァァァァァァァルッ!!!!!!!!!!!」

ドッバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!




965 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/04(金) 03:12:00 0

あたしの銀色に瞬くスタンド、ブギートレイン03。
高橋の紅く灯っているスタンド、ライク・ア・ルノアール。
共にタイプは近距離パワー型!!!!
手加減はしない…いや、出来ないッ!!!!!!!!!

「おぉぉぉぉっ!!!!!ゴォォォォルデンッゴォォォォォル決めてッ!!!」
「なるほどネ。突きの…速さ比べかァーッ!!!」

まずはこれで仕掛けるッ!!
だがこれで倒せるなんて思っちゃいないッ!!小手調べだ!!!!!!

「VVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVV!!!!!!!!!」
「おちょきんしねまぁアァアアァアアアァアアアァアアアアッ!!!!!!!!!」

バリバリバリバリ…ドッパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!

ガシィィィィッ!!!!!!!

あたしの拳と高橋の拳がぶつかり合い、お互いの動きが止まった。
はえぇな…噂は伊達じゃねーようだ。
手がジンジンしてきやがったよ。
以前、吉澤ひとみとも同じように『突きの速さ比べ』をしたことがあるが…
コイツは違うッ!!
高橋は…一味違うッ!!
「あんた…やるじゃん。あたしの肩に一発くれるなんて」
「へへ。攻撃はこう…・シャープにキメなァねー」

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!


985 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/04(金) 21:07:25 0

「そしてあっしのライク・ア・ルノアールは、あンたのブギートレインのスピードを…」
高橋があたしの拳を弾き、屈む。
その後ろにあった柱は、べっこんべこんに凹んでいた。
まるで穴だらけだ。
「圧倒的に上回っているッ!!!!!!!!!!」
そう叫んだのが合図となったか、凹んでいた壁が急速に戻り始める。
いや違うッ!!
凸り始めたのだッ!!!!!

グボイィィィィィィィイィィィィンッッッ!!!!!!!!!!!

「やべッ!!!!」
「オォラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッハアアアアアアア!!!!」

ドドガドガドガドドンガドドオオォォォォォォォォォンッ!!!!!!!!!!

せ、迫り出しのラッシュ!!!
こいつッ…あたしとやり合っている最中に、背後の柱も叩いていたんだッ!!
なんてスピードのスタンドだ、この野郎ッ!!
しかもこの迫り出し、高橋の突きの倍以上のパワーだ。
まずい、ガ、ガードが弾かれてしまう…

バキィィィィッ!!!!



986 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/04(金) 21:09:22 0

迫り出しのラッシュのラスト一発が、あたしの限界だったようだ。
あたしの腕はガードクラッシュを起こし、弾かれてしまう。
「ハッ…!?」
「あら。丸見え」
弾かれた腕の下から、高橋が顔を覗かせた。

ドゴォッ!!!

「おぅっ!!!!!」
腹に一発もらってしまったッ!!
あたしはその衝撃を利用して、大きく間合いを取り、体制を立て直す。
「おやおや。そんな距離とっちまってイイのかね?」
「…そうだな、お互い、パワー型だしな」
だが、今のでわかった。
スピードはこいつの方が上かもしれない…だが!パワーならあたしの方が上だ!!
そして、能力に関しても…
「さぁ。かかってきーヨ」
「ふん…年上には敬語使うもんだぜ?あたしが何も考えなしに距離をとると思うのか?
だとしたら…まだまだ勉強不足だな」
「へ…?」
高橋のすぐ後ろの柱は、今にも凸り始めようとしてる。
「自分の能力で…鼻から血ィ吹き出しなッ!!!!!!」
「お」

グボイィィィィィ…ドドガドガドガドドンガドドオオォォォォォォォォォンッ!!!!!!!!!!



987 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/04(金) 21:13:56 0

「めッ!!!!こ!!!!!!!!!!!!」

ドシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!

背中から後頭部にかけて、自分の作り出した高速ラッシュにやられた高橋は、
あたしの前まで吹っ飛んくると、力なくうつ伏せに倒れ込む。

「ブギートレイン03<満月の流法>ッ!!その柱の時間を、あんたが迫りだしを
作った直後まで戻した。おーおー、さすがに背中からの連撃には耐えられなかったか?」

シーン…

反応、なし。
…なんだ。結局、こんな程度か。
「でもまぁ、あんたは自分で殴ったパワーにやられたんだ。こらえてくれ」
高橋は何も答えない。気を失ってるなこりゃ。
こいつの事、ちょっと買い被りすぎたみてーだな。
「こいつは再起不能だな。さて、ここにいてもしょーがねーし、またどっかに
隠れて…」
やりすごそう。
焼肉はあたしのもんだ。
あたしは倒れる高橋に背を向け、歩き出した。




988 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/04(金) 21:16:01 0

「・・・・・・・・・・・・・・・ふざケるんじゃねェーぞ」

ッ!!?
高橋の声ッ!!!
振り返ると、高橋の身体が地面に持ち上げられ、変な体制で立ち上がっていた。
能力で作った迫り出しに…よっかかっているのか?
「こんなことで再起不能るほどあっしは甘くネェーんだよぉッ!!!!!!!!!!」
「無理してんじゃねーよ。頭からダラダラ血ィ流してるヤツが何言ってやがんだ。
正直、あぶねェーぞ。大人しく部室戻って休んで…」
「オメが!!!部室に戻るンだよォォォォォォォォッ!!!!!!!!!!!」
な、なんだコイツ。
こんな部活の演習で、何マジになってやがんだ…?
「お、おいやめとけよ」



989 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/04(金) 21:17:43 0

ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!


な、なんだッ!!
今の爆発音は…
「なにが起きたんだ…?」
「…どーやら、他の連中もマジでやり始めたみたいだネェ」
爆発…演劇部で爆発を起こせるほどのパワーのスタンドを持っているのは…
「…さゆ」
アイツ、マジな威力のシャボン玉を使ったってのか?
「よそ見してんじゃネェーよ。ライク・ア・ルノアールッ!!!!!!」
ドギュウン!!!

…どうかしてるよ。
本気でサバイバルゲームをする気なのかよ。
演習ごときで…全滅したらどうする気だ?
この演劇部…やっぱりどうかしてるッ!!!!

「ブギートレイン03ィ!!!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


35 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/05(土) 00:34:51 0

〜亀井絵里〜

藤本さんの居場所を突き止め、それをACT1で高橋さんに伝えてから20分が経った。
あの人は…藤本さんと闘って、どうなってるんだろう。
僕は今、紺野さんと共に校舎の裏に身を潜めていた。
「高橋さん…藤本さんと出会えたんだろうか。それに、さっきの爆発音…」
「あのー、前から思ってたんですけど…どうして愛ちゃんに敬語なの?」
紺野さんが、どーでもいい質問をしてくる。
まぁ、確かに同じ学年で敬語ってのは奇妙かもしれない。
でもそれには、ちゃんとした理由があるんだ。
「僕、高橋さんのこと尊敬してるんです。前に一緒に闘ったとき、あの、
恥ずかしい話なんですけど…あの人の背中に黄金の意思を感じたんです」
「そうなんだ。でも、こんこんや麻琴にも敬語じゃないですか。どうして?
私たちにも、黄金の意思を感じた?」
「いや、なんというか、敬語を使わずにはいられないんですよ。奇妙ですよね」
たぶん前世で上下関係にあったに違いない。
つーか、あなただって普段敬語じゃないか…ってツッコミは、
なぜだかする気にならないな。
「ふーん…まぁこんこんとしては、亀井ちゃんの一人称がいつから『僕』に
変わったのかってことも、気になってるんですけどね、うん」
「そ、それは…」
自分を偽るのをやめたからだ!!と言いたいけれど…。
やっぱり、女の子を好きになったとは言えないや。
「…まぁいいんじゃないかな。すべてはなる様にしてなったんです」
「はぁ…」


36 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/05(土) 00:37:03 0

紺野さんは不思議な人だ。
彼女のスタンドの名前はなんていったかな。そう…

スタンドの名はニューオーダー。

僕はこの人のスタンドを目の当たりにしたことがないんだ。
ちょっと気になるなぁ。
でも、なんだろう。
この人といると、なぜか安心感が生まれる。
どんな状況だろうとホッとしていられるような気がする。
紺野さんと一緒にいると…誇り高い気持ちになれるんだ。
今の僕のポッカリと穴のあいた心境からして、それだけが救いである。
「…ハァ」
僕は重いため息を吐いた。
推定で2、3キロはあるんじゃない?

「さっきからタメ息ばかりですね、そんなにさゆと離れたのがショック?」
「うん」
「仲いいもんね」

それだけじゃないけど…。
もし、校内歩いててさゆと遭遇したら、彼女と闘わねばならない。
僕にさゆと闘えなんて、そんな酷な話があるものか。
だったら遭遇しない方がマシ…
「……」
ごめん、嘘だ。
さゆのスタンドは広い場所で初めて能力を発揮するスタンド。
だから屋内にいるわけがない。
こうして外にいるのは、心の奥ではさゆと遭遇したいと思ってるからかもしれない。



37 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/05(土) 00:39:03 0

「僕は…どうしたらいいんですか?なんで同じ部活の仲間同士で闘わなきゃ
なんないんですか?たるんでるから?それに、ご褒美なんて何か意味があるんですか?
たとえ勝負に勝っても、僕はどう足掻いても好きな人とその喜びを分かち合う
ことが出来ない。そんなご褒美に、いったい何の意味があるっていうんです?」

「…そんな風に考えてたら、もったいないです」

「え?」

「私たちは…運命に逆らう術を持たない。あなたとさゆが離れ離れのチームに
なったのも、なる様にしてなった運命なんです」

紺野さんが前髪を気にしながら、語り始めた。

「人生が転がる石のようなものであるとすれば…その動きの流れを良いように
解釈して楽しむというのは、運命の奴隷である人間に出来るささやかな抵抗だと、
私は思うんですよ」

「は、はぁ…」
なんだか、僕には難しい話になってきたぞ。
でもなんだろう、この奇妙な感覚は。
耳にスーッと入っていく紺野さんの声が、身体に浸透していくこの気持ち。

僕は紺野さんの話を…頭ではなく心で理解しようとしている?

「あなたは大好きなさゆみんと別のチームになったことを悔やんでいる。
だが、それでどうなるんです?さゆがあなたを好きになってくれるんですか?
今、あなたには選択肢が無数に存在する。その無数にある選択肢の中から、
自分にとって最良の策を取るべきだと、この紺野あさ美は思うわけで…」




38 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/05(土) 00:40:39 0

僕は彼女の話を黙って聞いた。
いや、感じた。

もし、さゆと仲間同士だったら…きっといつも通りに二人でコンビを
組んでいたのだろうか。

だが、こうして別々となった今、僕はさゆに近づきたいのか遠ざかりたいのか
それすら自分でもわからない所まで陥ってしまった。

いや、本当はわかっている。

会いたいことに違いはない。
でも会った時に取られる対応が怖いんだ。

彼女は、戸惑いも躊躇いもなく、僕にスタンドの銃口を向けるのだろうか。




39 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/05(土) 00:42:47 0

「ありふれた優しさは、彼女を遠ざけるだけです。おそらく、
彼女は冷たく心を切り捨てる。ただ、その中から生まれる運命もあります。
あなたたちは違う視点で触れ合うことが出来るはず。あなたたち二人は
お互いの存在価値が見出せるはず」

お互いの…存在価値?
僕にとってさゆはなんだ?
さゆは…お姫様だ!!
僕が守るべきお姫様なんだ!!
そうだ、今までだってそう動いてきたじゃないか。
クソッたれ押尾やイケメン二人組から…僕は彼女を守ろうと
東奔西走していたハズじゃないか!!!
それが別のチームになったからって揺らぐなんてことはない。
でも、今はそれだけじゃダメなんだ。
そうだ…伝えるんだ僕の想いをッ!!
これは味方同士だったらできなかったであろう行為だ!
なぜなら視点が変わらないからだ!!
だが、敵同士ということで、僕とさゆには相手を別の視点から
見ることができる。
これは…チャンスなんだ。
世の中には一秒だって『愛に出逢えない人』だっている…って、
前に行った<エステ・シンデレラ>のお姉さんも言ってたしね!!
もしかして、別々のチームになったことは僕にとって好都合だったんじゃないか?
そうだ。僕はツイている!!!

「生きる喜びを日々から拾い上げる努力は必要なんです」

そうだッ!
生きる喜びを日々から拾い上げる努力は必要なんだ!!!!

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!


40 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/05(土) 00:43:56 0

「亀井ちゃん、とてもイイ表情してるじゃないですか。BERRYY CUTEッ!!」

「なんだか…とても晴れやかな気分だ。すべてが素晴らしく感じる。
道端に落ちてる犬のクソさえも愛せそうな気分です、ハイ」

これも紺野さんのおかげだ。
なんだか、心の中がとても満たされたようだ。

「そういえば、お昼ご飯はどうすればいいんだろうね。こんこんとしては
しっかり食べておきたいんだけれど」
「大丈夫ですよ。昼ご飯を抜いたぐらいじゃ、死にはしませんって」
すると紺野さんは、ノンノンと人差し指を振った。


「生きるために食べるのではなくッ!生きているから食べるのだッ!!」


バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!



41 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/05(土) 00:45:13 0

もう僕には、彼女が何を言っても輝いて見えるよ。
僕は立ち上がると、サイレント・エリーゼを発現させた。
「どこへ行くの?」
「さゆんとこ!!!」
そうだ、僕はさゆと遭遇しなければならない。
いや、僕以外の人とは遭遇させちゃいけないんだ!!
僕はサイレント・エリーゼを空に飛ばし、さゆを探すことに決めた。

「紺野さん、ありがとう。おかげで勇気が湧いてきました!!」

そう言って、僕は校舎の裏をあとにしたのだった。

さゆ、待ってて。
僕はきみに全てを伝えるッ!!!!!


「亀井ちゃん、頑張るんだよ…うんうん。こんこんは見てるからね」
ゴソゴソ…
「ん、おぉッ!ポケットの中にどんぐりガムがッ!!そうだ、こないだ
麻琴と女二人で駄菓子屋に懐かしいお菓子を買いあさりに行ったんだよなぁ。
まだ残ってたとは。もうけもうけ・・・・・・・・・・・・モグモグ」


106 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/06(日) 02:07:24 0

〜藤本美貴〜

「ハァ…ハァ…」

息を切らし、高橋はあたしを睨みつけている。
後ろ髪をゴムでしばっていた彼女の姿は、自らのラッシュを背後から受けた際、
ゴムがはちきれてどこかへ飛んでいってしまったらしく、ゆるくパーマのかかった
ロングヘアーの姿に変わっている。
ナチュラルな自然体だ。

「オメーは…あっしの『突きのラッシュ(おちょきんしねま)』でぶっ飛ばす」
「本気で言ってやがんのか?けが人に負けるほど、あたしは弱くねーよ」
「ケガ人?誰がケガ人だって言うン?」

…やせ我慢しやがって。
『勇気』と『無謀』は違うんだぞ?

「…オラオラオラッハアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」
「ケガ人が…おせェンだよ!!無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!!!!!」

がむしゃらに突っ込んでくる高橋を、あたしは押し返す。
それは、いとも簡単だった。
後頭部にダメージを受け、血を流しているコイツにはもはや正確な
判断ができているとは思えない。
ただ闇雲になっているだけの『突きのラッシュ』に、あたしが負けるわけがない!!

この程度なのか…高橋愛。



107 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/06(日) 02:08:24 0

最後の一撃に力を込め、あたしは高橋をぶん殴り飛ばした。

「無駄ァッ!!!!!!!!!!!」

「がぼげッ!!!」
高橋の身体は、力なく教室の方へと吹っ飛んでいく。

ブショォォォォォォォォォォォォォォォォォォ…

「かかったな…」
「え?」

ドガッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!

派手にドアをぶち破り、高橋は教室の中へ姿を消した。

な、なんだ…今の高橋の不敵な笑みは…最後のセリフはッ!!
かかったな…だと!?
いったい何に!!?
あたしは辺りを見回す。
高橋がここいらに迫り出しを作っておいたような様子はない。
じゃあ、ヤツはいったい何をした?
まさか負け惜しみのハッタリ?
いや…あいつがそんなことをするとは思えない。
どうやら高橋が教室から出てくる気配はないようだ。

…確認してみるか。

あたしは高橋がぶっ飛んで行った教室に足を踏み入れることにした。



108 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/06(日) 02:10:00 0

「ありゃあ…なんだ?」

教室の真ん中の机に、何かが乗っかっている。
近寄って確かめてみると、それは上履きであった。
高橋の上履きだ。
アイツ、いったい何がしたいんだ?

…っておい、高橋どこだ!!
「いねェじゃねーかッ!!!!!!」

ここは教室だぞ!?
密室のはずなんだ!反対側のドアが開いた形跡はない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハッ!!!」
奇妙に思いあたりを見回した時、あたしは初めて自分が
罠にかかっていたことに気がついた。

「な、なんだぁ!この教室はああああああああああああああああッ!!!!!!!!」

教室の壁や天井が穴だらけだ!!
いや違う!!
アイツの…高橋の能力ッ!!
その時、教室の窓がガラッと開く。

「かかったなァーッ!!ザマーミロ!!!」



109 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/06(日) 02:13:13 0

た、高橋愛ッ!!!!!!
「お、お前ッ…そのケガで窓の桟に…ッ」
指を乗せて身体を支えているのかッ!!
いや、ヤツにもうそんな力はないハズ!!
大方、校舎の壁に迫り出しを作って、そこに立っているんだ!たぶん!!!

「教室の壁や天井はッ!!倍加して凸るンやよーッ!!!」

「…おめー、まだあたしの新しい能力を理解してねェらしいな」
あたしは教室の床に触れる。
ドギュユウウン!!!!!!!!!!
「ブギートレイン03<満月の流法>!!教室の時間を戻しちまえば、あんたの
仕掛けた罠なんて全部意味がねーんだよッ!!!」
ビビらせやがって…この勝負、あたしの勝ちだ!!!!!
あたしは窓の外に立っている高橋に近づき、高橋の顔面目掛けて拳を振り上げる!!
「落ちろッ!!!!!」

「はぁイ。詰んだ」
…え?

ゴシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!

何が起きたのかわからなかった。
気付いたら顔が冷たい床についていた。
の、脳天?脳天に大打撃を受けたのか?
血が…流れているようだッ。
バカな…教室の時間は戻したはずなのに…ッ!!!!!!!

「頭にッ!!勝ったああああああああッ!!!!」

辺りに高橋の声が響いた。


110 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/06(日) 02:17:42 0

「オメが時間を戻すと思ったンだ!!教室全体を凹ます前に、あらかじめ窓の手前の
天井をフルパワーで凸らせておいたンやよ!!!わざわざ窓を開けてやったのも
このタメだッ!!すべてはフェイクだったってワケ!!!!!!!!!!!!!」

高橋は窓から教室に飛び込んでくると、あたしの胸倉をつかみ、置きあげる。

「笑うよなァ…自分が思ったとおりに相手がハマッてくれると腹の底から
『ザマミロ&スカッとサワヤカ』の笑いが出てしょーがネェーのぉぉッ!!!!
さぁ、改めてあっしの『突きのラッシュ』を…」

やれやれ…これだけはあまり使いたくなかったのだが…。
あたしは涼しい顔を高橋に向けてやる。

「…ハッ!!?」
「おめぇ、まだあたしの能力をわかってねェーみてーだな」
「お、おま…怪我はッ!?」
「ヒント、満月の流法」

頭に受けた攻撃のダメージは、自分の身体の時間を戻すことによって
一時的に回避させてもらったぜ。
これ、マジで使いたくねーんだよな。
後でもう一発くらうのと同じようなもんだからな…。

あたしは元気な身体で高橋の手を払いのけた!!!

112 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/06(日) 02:19:40 0

「な…ならネェ!!あっしは再起不能らネエエエエエエエエエエエエエエッ!!!!!」

「それじゃあな…逆転さよならッ!!満・塁・ホームラアアアアアアンッ!!!!!!」

ドッギャアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!

あたしは打ち下ろす拳で、高橋の脳天を叩いた!!

「お…ま…」

高橋が強烈なダメージに呻く。
そして、ようやく黙ったのだった。

ハァ…ハァ…か、勝った…。
だが…。

「や…やっちまった」

教室から逃げ遅れた…ッ!!
そう、教室全体にかけた<満月の流法>は、時間の流れに戻ってきたのだ。
もう、すぐにでも教室の壁や天井は凸り始めてしまうッ!!

も、もう一度戻さなければッ!!!!!!



113 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/06(日) 02:21:20 0

「ブギートレイン0ス」

ドギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!

なッ!!
こんな時につい今し方自分の身体にかけた時間も戻ってきやがった!!

「ぎゃああああああああああああああああああッ!!!!!!!!!!!!!」

再び味わう脳天への衝撃に、あたしは悶える。
「うぐあああああああああああああッ!!!!!!!!!!!!!!」
は、早く教室の時間を戻さねばならないのにィッ!!!!!!!!
だが、もう身体が言う事をきかない!!
二度目の…痛みに耐えられない!!!!!!!
そして…

グッボォォォォォォォォォォォイイイイイイインンンンンンンッ!!!!!!!!!

ドドガメメタァグシャゴキガシャアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!

あたしと高橋の身体は、教室全体から放たれた迫り出しに潰される。

こ、ここまでか…ッ。
まさか…相打ちになるなんて…!!!!!!!!!!

「がああああああああああああああああああああッ!!!!!!!!!!!!!」

…やがて教室全体のラッシュが終わると、あたしはようやく、
床に膝をつくことが出来たのだった。

焼肉…畜生。


114 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/06(日) 02:22:49 0

ガサッ…

「ハァ…ハァ…」

ザッ…ザッ…

「…負けネェ…ぜってェ…負けネェ…ハァ…ハァ…」


120 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/06(日) 05:28:24 0

〜久住小春〜

隣の校舎の中に身を隠したまではいいが…
依然、私は道重さんがどうなったか、気になって仕方なかった。
あの人は、どこか抜けている人だ。
だから果てしなく心配だ。
確かに、私にとって良き教育者ではあるのだが…彼女もまだ若い娘。
それに、私は普段彼女とよく行動を共にしているからわかる。

あの時、なにか考えがあってシャボン玉を放ったとは思えない。

…さて、そろそろ自分の身の心配をしよう。
吉澤さんにやられてしまったミラクル・ビスケッツNo.1、4、5、7は
致命傷だ。だからこうして私の身体にダメージが戻ってきたのだろうが…
しばらく彼らを使うことはできないだろうな。

すまない、私が不甲斐ないばっかりに…
『気ニスンナ!コハル!!!!!』
『コハルのタメナラナンダッテスルンダカラ!!アタシ達!!!』
『アトの3人ヲ信ジテヤッテクレ!!!』
『…ウム』

ありがとう、ビスケッツの四人。
きみ達は、本当に私の誇りだ。もちろん、他の3人もだ。



121 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/06(日) 05:29:46 0

しかし、やはりさっきの戦闘はダメージがでかかった。
だが吉澤さんも無傷で済んでいるとは思えない。だから…残る『さくら組』は…

高橋愛、新垣里沙、紺野あさ美、亀井絵里 

この四人だ。
誰だ…私が次に遭遇する『さくら組』のメンバーは…誰なんだ!!





うぅむ…ッ!!





「小春ちゅわん」

122 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/06(日) 05:30:59 0

「うわあああああああああああああああああああああああッ!!!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉうッ!!!」

突如、耳元で囁かれた声に、私は死ぬほどビビる。
そして私の叫び声に驚いたのか、私に声をかけてきたそいつも悲鳴をあげた。

「って…お、小川さんじゃないですか!!こんな時に変なジョークかますの
やめて下さいッ!!!」

…しかし、いつの間に後ろに立っていたんだ?
全然気付かなかったが…。

「じょ、ジョークなんてかましたつもりないんだけどなァ…それよりあんた、
その傷どうしたんだい?さっきの爆発音と何か関係あるのかよ、oi」

小川さんが私の顔の傷や、血の滲んでいる制服を見て言った。

123 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/06(日) 05:34:43 0

「…道重さんが室内でシャボン玉を使いました。相手は吉澤さんです…
おそらく二人とも無傷ではないでしょう」

「oi…マジかよ、チッ」
小川さんが舌打ちする。

「吉澤さんは、ワタシが相手したかったんだけどな…あの人は部長だ。
演劇部について、何か裏の情報を持ってるだろうしよォー」

「…あなたが何を企んでいるのかは知りませんが、今はこの状況をなんとかしましょう。
小川さん、あなたはもう『さくら組』の誰かと遭遇しましたか?」

私の質問に、小川さんは首を横に振って答える。
「いんや、まだだね。だが、早速おいでなすったようだぜぇえ…」
「えッ!?」
「この学校で、最も演劇部を愛する女がよォ…」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


195 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/07(月) 03:38:37 0

その女は姿を現すと、ニィと笑って私と小川さんの前方に立ちふさがる。
この人には、できることなら遭遇したくなかった…。
私は以前、この人と激突したことがある。
そして、その恐ろしさを知っている。

「新垣さん」

自分で声が震えているのがわかった。

実際、この人はいい人だ。

だが彼女の考え方は、このミラクルな私にですら理解の及ぶものではない。
小川さんの言った、最も演劇部を愛する女。
私はその言葉の意味を、身をもって体験している。

「『根掘り葉掘り聞きまわる』の…『根掘り葉掘り』ってさぁ」

新垣さんが話を始めた。
だが突拍子すぎて、私にも小川さんにも、その意味がよくわからない。

「『根を掘る』ってのはよくわかるのだ。根は土に埋まっているからな…
でも、『葉を掘る』ってなんなのだ?葉なんか掘れないのだ、そんなことしたら
突き破って裏側へ出てしまうのだ」

言わんとしていることはわからないわけでもない。
だが、今する話でもないだろう。



196 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/07(月) 03:40:30 0

「oioi、ガキさんよおぉぉ…いったい何が言いテェんだかワタシにはさっぱりだ。
…小春もわかんないよな?ワタシだけじゃないよな?」
「え、ええ、まぁ…」
「ホッ…と、言うわけだよ。それともなんだ?そんな話するためだけにここに
来たってのカイ?」

小川さんが新垣さんを指差して言った。
「だいたいこっちは二人だぜェ?BYE BYEすンなら、今のウチだよガキさーん」
そう言って、小川さんは陽気に手を振って言った。
なんというか、能天気な人だな。
この人みたいな、難しいこと考えなさそうな人の頭なら、生きてるだけで楽しいかもな。
あいにく、私にはそういった楽天家思考は持ち合わせていないが。

「人の目は嘘をつかない…マコ、あんた今…わたしをバカにしているな?」

「バカにしてるんじゃなくて、心配してんだよォォォ!ガキさん、ここはどこだ?
ああ、答えなくてもいいよ。そこまでバカにしてねぇーし」

「…何が言いたいのだ?」

「oioioioioioioioioiッ!!ここは屋内なんだよ!!!」

小川さんが両手を大きく広げる。
屋内…?

…あ、なるほど!!ピコーン

ミラクル思考の私には、小川さんの言いたいことがわかった。



197 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/07(月) 03:43:17 0

ここは校舎の中…つまりコンクリートで出来た壁に囲まれている。
床も、もちろんタイルだ。
新垣さんのスタンドは種を植え付けて、植物を生み出すスタンド。
だが、コンクリートの中から発芽することの出来る植物など、いない。

「ガキさん、あんたのスタンドはさゆみんと同じで屋外で能力を発揮すんじゃ
ねーのかイ?ま、それを承知でこのワタシとやろうってんなら話は別だがな」

私には、小川さんが闘いたいのか闘いたくないのか、その意思は
ハッキリわからないが、これだけは言える。
今、私たちはめちゃめちゃ有利である、と。
ここでは、新垣さんが半分も実力を発揮できない上に…実質、二対一!!
今なら、この人には確実に勝てる!!

「屋外…屋外ねぇ」

ところが新垣さんは、この状況を焦るどころか、逆にニィと笑ってみせた。
なんだ、この余裕そうな微笑みは…?
この状況で、どうしてそんな表情ができる?

「出来なかったらこんな所うろついてないのだ…ラブ・シード!!!」

バゴンッ!!

新垣さんが、すぐ側の壁を殴った。
その行為に、私も小川さんも身構えてしまう。
そして…壁に埋もれた拳を抜くと…

ニュ…ニュニュニュニュニュニューン!!!!!!!

ツタが壁のヒビから伸び始めていた。


198 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/07(月) 03:45:45 0

「な…なんだってェェェェェェェェェッ!!!!!」

小川さんは身体全体を使って驚いた。
正直、私も驚きを隠せない…

ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!

「ミラクルちゃんにマコ…わたしの『豆』が、自然どおりに土や生き物から
養分を取って成長していると考えないでいただきたいのだ。
この『豆』はスタンドの作り出した『豆』…つまりはスタンドの『豆』!!!
わたしの意志で、どこに植えようが成長させることが出来るのだ…ッ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

「お前たちには、果たして本当に『葉を掘る』ことが出来るのかな?ニィ…」

「…おもしれェよoi。さすがはガキさんだぜ。そうだな、オメー演劇部に
けっこう詳しそうだし…面白い、やろうか」

…こうして私は、今日二度目の戦闘に身を投じることとなる。

ドッドッドッドッドッドッドッドッドットッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッド…


202 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/07(月) 04:53:03 0

〜亀井絵里〜

サイレント・エリーゼで校舎の外はくまなく探してみたけれど…
どういうわけか、さゆの姿はどこにもなかったんだ。
さゆどころか、他のみんなの姿もない。
どうやら外にいたのは、僕と紺野さんだけだったみたいだ。

「さゆ…どこにいったんだ…?」

さゆが校舎の中を徘徊してるっていうのか?…そんなバカな。


さっき化学室がめちゃめちゃになっているのをエリーゼの目で確認したんだけど、
やっぱりアレはさゆがやったんだろうか。
ガス爆発の跡には見えなかったし…。
もし、あれがさゆの仕業だったとしたら、いったい誰と闘ったんだろう?
あの惨状だ…化学室はモヌケの殻だったけど、さゆが無傷とは思えない。

もしかして、もうリタイヤして部室にいるんだろうか?

いや…そうは思えないな。
さゆはああ見えて自分から負けを認めようとする子じゃないからなぁ。
彼女、けっこう頑固なところあるし。

…だ、だとしたら、急いで探さないと!!
さゆが、僕以外の誰かと遭遇してしまう前に…ッ!!!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


267 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 02:39:37 0

「サイレント・エリーゼ、校舎の中だッ!!」
僕は校舎の裏口の影に隠れ、サイレント・エリーゼを校舎の中に進入させる。

ふと、もし今『おとめ組』の誰かにこんなとこ発見されたら、遠くにスタンドを
飛ばしてしまった僕は何もできずにやられてしまうんだろうな、なんて思った。

化学室の入り口のあたりは、爆風でドアが吹き飛んでしまっているようだ。
…これ、平気なのかな。
いくら部活の演習とはいえ、ここまでやってしまったら寺田先生、
校長先生に怒られちゃうんじゃないだろうか。
そんなことを考えていたが、廊下に点々とついてる変な物を目にすると、
僕のそんな考えは一気に吹っ飛んでしまった。

「これは…血だ!!」

化学室の入り口あたりから、左右に血痕が別れている。
片方は階段を伝って部室の方へ、もう片方は校舎のさらに奥へと続いていた。
誰かが部室に戻り、誰かがまだ校舎を彷徨っているようである。
しかも、血の量は校舎の奥へ続く側の方が多い。

…あの爆発がさゆの起こしたものだとするなら、この血はさゆのものか、
僕と紺野さん、そして藤本さんを討ちにいった高橋さん以外の二人どちらかのもの。


ドッドッドッドッドッドッドッドドッドッドッドッドッドッドッドドッドッドッドッドッドッドッド…

「さ、さゆのじゃありませんよーにさゆのじゃありませんよーにッ!!」
亀様仏様お稲荷様…
そう心の中でお願いしながら、血の量が多い方を辿う。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

268 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 02:41:35 0

「…あぁっ」
そんなお願いはあっさり裏切られてしまった。
くそ…僕は、スタンドはその位置のまま、すぐさまその場所へ向かう。
誰とも遭遇していないようなのが、せめてもの救いか。

さゆは、廊下の壁に座ってもたれ掛かって休んでいたんだ。
制服の袖は破れてなくなっており、頭や腕、右足から血を流しているみたい…。
ハッキリ言って、重傷だ。

「さゆ!!」

僕が呼ぶと、その声に反応してさゆが顔をあげる。
ホッペに煤がついてるじゃないか…綺麗な顔が台無しだよ。
「絵里…さゆみを倒しにきたの?」
意外と声はしっかりしているな…でも、どこか痩せ我慢している感じが否めない。
…心配で心配でしょうがない!!
今からすぐにでも部室に戻してやりたい!!
だけど…
「そうだよ…きみを再起不能にしに来た」
彼女の『誇り』をも同時に守るためには…こうするしかない。
僕は一度サイレント・エリーゼを戻した。
「手加減なしなの、絵里」
ふらふらっと立ち上がると、さゆはまた壁にもたれ掛かる。
どうやら自立するほどの体力もないらしい。
彼女のためにも、長期戦はできない!!

「ACT3…サイレント・エリザベス!!!」
「シャボン・イール…」

ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!



269 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 02:43:27 0

僕がスタンドを出し、真っ先にとった行動は…

ギュウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!!!!!!!!!

さゆの懐に潜り込むことだった。
これで、シャボン玉の射程距離から逃れるッ!!
僕を撃つことは自分を撃つ事になるんだ。灯台下暗し…ってちょっと意味違うか。

「さゆ…すぐラクにしてあげるからね。いくよッ!サイレント・エリザベス!!!」
『R・o・g・e・r!了解シマスタ!!』

彼女を傷つけるなんて僕にはできない。
だから…降参してもらうッ!!!

『ウオォォォォ!!モグ!モグ!モグ!モグ…』
「う…ぐぇ」

僕は触るようにしてさゆの身体に蹴りを当てる!!
それでも今のさゆには苦しそうだけど…ごめんよ!我慢して!!!

「『ウェー!ウェー!(上へ!上へ!)』」

スタンドと共に最後の呪文を唱えると、さゆの身体はフワリと宙に浮き始めた。
こうして彼女から身体の自由を奪う!!
浮いているから移動することも出来ない、ただの的だ。
これで勝負は…ついたも同然!!

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!


270 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 02:44:52 0

「僕の勝ちだよ…さゆ。さぁ、もう降参して?」
「なんで…?なんでトドメの一撃を入れないの?とっておきのダメ押しを入れないの?」
「な、何を言ってるんだよ!!さゆ、自分の怪我の具合がわかって言ってるの?
立つのがやっとなハズだ!!」

現に、僕のエリザベスが近づいても、何も反応できなかったじゃないか!!

「それに…さゆにこれ以上傷ついて欲しくないんだもん!」
「どうして?」

そ、それは…僕が…
「僕、さゆのことが…女の子として…す、す…」

「甘いの、今のさゆみと絵里は敵同士…今さゆみに決定的な一打を入れなかったこと、
後悔するといいの!!」

ああッ!話の途中なのにッ!!orz
それはともかく、僕はさゆの腕の異変に気付いた。
「え…?シャボン・イールって…」
そんなに…身体、長かったっけ?



271 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 02:46:14 0

「さすがは絵里の技…スタンドも全然自由が利かないの…でも、さゆみはツイているの」

体長が…さゆのシャボン・イールの体長がめちゃめちゃ伸びている!!
そして、その先にある顔は、僕のサイレント・エリザベスを見つめていた。

「絵里のスタンドに、うまいこと顔を向けることができたの…」

さゆのスタンドの口が開いた。
ま、まさか…ここでシャボン玉を!?

「バカな!!この距離じゃ危険だよ!!!さゆ自身の身体も…ッ!」
爆発に巻き込まれてしまう!!

「藤本さんが言っていたの。あんたらに覚悟はあるのか…って。これが…
さゆみの覚悟なの…ッ!!!」

「や、やめるんださゆ!!それだけはーッ!!!!!!!!!」

「必殺…シャボン玉ああああああああああああああああッ!!!!!!!!!」


ドゴォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!!!!!



272 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 02:48:23 0

サイレント・エリザベスはシャボン・イールの口から高圧力で吹き出された
シャボン玉の直撃を受け、さらに爆発し吹っ飛んだ。

バリ…バリバリバリバリバリバリ…ッ

そのダメージは、もちろん僕に返ってくる。
「う、うげええええええええええええええええええッ!!!!!!!」

ブシャアアアアアアアアアアッ!!!!!

み、右腕がッ…右腕が痛い!!
しかも爆発の衝撃で、スタンドがさゆから5m以上離れてしまった!!
ドサッ…と、地面に足のつく音が聞こえたぞ。
地に足をつけたか…。

さゆは…さゆは無事なのか!!?

シャボン玉の威力はやたら低いようだったけど…。
爆煙が晴れると、そこにはさらに傷を増やしたさゆがいた。
スタンドも、もう出していない。無防備だ。



273 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 02:50:10 0

「ハァ…ハァ…これが覚悟…なの…?何も出来なくなっちゃ…だいぶ意味、ないの…」

ドン、と音を立て、さゆは壁にもたれ掛かる。
どうやら…スタンドを出す余力もないらしい。

「さゆ、よく頑張ったね…もう、一緒に部室、戻ろうよ。僕も…
けっこうダメージ大きいよ」

ホントは右腕がちょっと痛いくらいでまだ全然平気だけど…今はさゆの側にいたい。

「うん…絵里ごめんね」
「い、いいんだよ…そんな…僕だってさゆに技かけちゃったし…。
さぁ、早いとこ部室戻って手当てを…」

その時だった。
なんだか、たどたどしい足音に気付いたのは。

ザッ…ザッ…
「ハァ…ハァ…あっしは…負けネーんだ…」

向こうからこちらに歩いてくるのは…
た、高橋さん…?

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

286 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 05:22:54 0

「あっしは…ぜってぇ…負けねぇ…」

ゆっくり、ゆっくりこちらに近づいてくる。
なんだ…あの怪我は…。
綺麗なライトパーマがかかっていたハズの髪は振り乱れ、顔面血だらけ、
おまけに着ている制服もボロボロだ。
歩き方もおかしくて、いつも胸をはっている姿とは真逆で猫背になり、
片足を引きずっていた。

藤本さんと…闘ったんだろうか?
そして、怪我をしながらもここを歩いているということは…
あの藤本さんに、勝ったっていうこと?

「す、すごい…」

僕は思わず声を漏らしてしまう。
でも、大丈夫なのかな?
誰がどう見たって大怪我だよ。
あれはもう再起不能の領域入ってると思うんだけど…。
でも、それでもまだ闘おうとするその精神に、僕は憧れる。
理解は出来ないけど。



287 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 05:24:50 0

「亀子に…重ちゃんカァ?そこにいンのは…」

弱々しい声で、高橋さんが言った。
「高橋さん…大丈夫ですか?」
声をかけてみるものの、なんだか今の彼女はすごく…怖い。
めちゃめちゃ危ない感じがするぞ。

「亀子ォ…アカンよォ…『敵』と仲良くしてちゃア」

「い、いや、もう勝負はついたんです…僕らこれから部室に戻ろうと…」

「…そんなナマッちょろイ話…認めンよー。だってアンタら…『意識』あるジャン」

…え?
なんだか、様子がおかしいぞ。
「絵里…」
さゆが疲れきった声で、不安そうに僕の名前を呼んだ。
「大丈夫、大丈夫だよ」
そう言って、さゆの手をギュッと手を握る。
…冷たい。
手が冷たい人は心も冷たい、なんて話を聞いたことがあるけど、僕は
そんなさゆの手の冷たさを、なんだか愛しく感じてしまった。
早く、安心させてあげないと。

「高橋さん、血だらけじゃないですか。もう部室にもどr」
「ライク・ア・ルノアァァァァァァァァァル!!!!!!!!!!!!!」

ドギュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!!!!!!



288 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 05:26:04 0

「え…?」

な…なんだってええええええええええッ!!!!
まさか…闘う気なのか!?その傷だらけの身体で!!!!!
しかも高橋さんがまるで獲物を狙う狼のように見つめているのは…
間違いなくさゆだ!!
ま、まずいぞ!!さゆは今、まともに動けないんだ!!!!!

「アイツは超えた…もうあっしを止められるヤツはいないンよォォォォォォッ!!!!!」

のそのそと歩いていた高橋さんが、突然走り出した!!
こちらに…さゆに向かって!!!

「な…なんかあの人危ねェーの…シャボン・イール…ッ」

ボン

ダメだ、さゆは重傷で、スタンドパワーも弱い。
さゆの腕が透けて見えるくらいだ。
それでもさゆは、その弱りきったスタンドを向けると、高橋さんを牽制する。

「シャボン玉っ」

フシュウウウウウウウウウウウウウウウウウン…



289 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 05:28:05 0

吹き出されたシャボン玉は、量も少ないし威力も少なそうだが…
この射線上は確実に高橋さんに命中する!!!

僕は…『さくら組』だけど…
ごめん!!高橋さん!!!
これでやられちゃって下さい!!!!!!!!!

「無駄なンやよ…そんなガキの遊び道具でええええええええええええええッ!!!」

ズゴォォォォォッ!!!!!!!!!!

高橋さんが壁を殴る!!
すると壁は彼女の能力で凹み、すぐさま凸り出した!!!
それは、シャボン玉と高橋さんの間に生まれた防御壁!!!!

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!

シャボン玉は凸り出していた壁にぶつかり、爆発する。
さゆの渾身込めたシャボン玉が…防がれてしまった!!
そして、その爆煙を突き抜け、僕らの目の前に高橋さんが姿を現す。
その目は、もはや凶戦士としか思えないイカれた眼つきだった。

「う、うああ…ッ!」
「な、なんて人だ…」

なんという闘争本能!!
これが…演劇部のエース格…ッ!!!



290 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 05:30:48 0

「亀子ォーッ!!!!邪魔だどくンやよォォォォォォォォォォォ!!!!!」

高橋さんのライク・ア・ルノアールが構えた!!
ヤバい…めちゃくちゃヤバい!!!
アレを出す気だ!!高橋さんは、さゆにアレを食らわす気なんだッ!!!
こんな怪我をしてるのに…アレを食らったら…さゆが死んじゃう!!!

「おちょきんしねまぁアァアアァアアアァアアアァアアアアッ!!!!!!!!!」

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!!!!!!」

ドンッ…
「え、絵里!!?」

ドドガメメタァグシャゴキガシャアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!


気付いたら、身体が動いてた。
重い…重いな…。
高橋さんの『突きのラッシュ』って、こんなに重かったんだ。

僕の身体は今、宙に浮いているようだ。
事故にあった瞬間の人間は、体内や脳でアドレナリンが分泌されて、一瞬が
何秒にも何分にも感じられるって話を聞いたことがあったけど…ホントみたいだ。
さゆは平気かな…?突き飛ばしちゃったからな…。
お姫様…守んな

ガッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!ボキッ!!



291 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 05:33:18 0

僕の身体は強化ガラスの窓に勢いよくぶち当たる。
窓は割れてしまったが、運がいいことに窓から飛び出さずに、跳ね返って
床に落ちることができた…けど…
うわあ…なんだこの首筋の暖かいの。ぬるま湯を流し続けているみたいだ。
…血?血なの?
これ、量やばくないかな。

「亀子を…盾にしたな…?オメー…許さねェーぞォ…」

た、高橋さん…この人、狂ってる!!!
さゆが、危ない…守らないと…ッ!!!!
僕は立ち上がろうとしたが、足がもつれて顔から床についてしまう。
か、身体の自由が利かないィ…?
起き上がろうとする腕にも力が入らない。

…っていうか、折れてないか?僕の左腕…。

「うわぎゃあああああッ!!!!」

い、痛い!痛いぞッ!!
気がついたら痛みを感じ始めてきたぞ!!!
うわあッ!!痛みになんか負けてる場合じゃないのにィッ!!!



292 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 05:35:57 0

「仲間を傷つけるヤツぁー…誰だろーと許さネェーんだかンなァァァ!!!」
「う、あ…」

高橋さんが咆哮する。
そのショックからか、さゆは失神してしまったようだ。
このままじゃさゆが…さゆがやられてしまう!!
狂った高橋さんに殺されてしまうッ!!!!
地面に這いつくばり、絶望に打ちひしがれている時だった。

「当身」
ドスッ

かなり場違いな、和やかなムードを漂わせる声が聞こえたんだ。
その声がすると同時に、高橋さんは頭を垂らすと、なぜかスタンドをしまう。
その時、初めて気が付いた。
高橋さんのうしろに…紺野さんが立っていたんだ!!

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!



293 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 05:37:25 0

「愛ちゃん…もう疲れたでしょう…少し休んだ方がいいです」

「こ、紺野さん…高橋さんにはもう何を言っても通じない!!は、はやく
その人から離れて…ッ!!!」

「大丈夫。もう眠っちゃいましたよ」

「…え?」

…高橋さんから、先ほどまでの狂ったオーラが感じられない。

もしかして…気絶している?
立ったまま気絶してるっていうのか…?

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…



294 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 05:40:56 0

「気を失っても倒れないとは…なんだか愛ちゃんらしいです」

そういえば、彼女は松葉杖をついてる時も闘いに身を投じていた。
僕を助けるためにだ。
今だって、勘違いではあるけど、さゆが僕を盾にしたと思い込んでブチ切れていた。
この人、頭はおかしいかも知れないけれど、仲間に対して熱い何かを持っている!!

でも…マジで怖かったよ…。

「紺野さん、ありがとう…」

なんだか…安心したら眠くなってきたぞ。
後頭部や左腕が痛いけど…ちょっとだけ目を閉じよう。
でも、よかった…これでまた、さゆと一緒に…

スースー…

「亀井ちゃん…あなたは…間違いなく『王子様』だ…あなたの想いは
あの光り輝く太陽のように、守るべき『お姫様』を照らし包んでいる…
そして、その想いは間違いなくあなたにとって大きな糧となっている!!
…よく頑張ったね、亀井ちゃん…ゆっくり休んでいいからね…」


313 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 18:17:25 0

〜久住小春〜

「行くぜェェェェェェェFRIENDSHIP!!!!」

ギュウウウウウウウウウウン!!!

小川さんがスタンドを発現、これが戦闘開始のゴングとなった。

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!

「小川さんッ!!彼女のスタンドは近距離から中距離まで攻撃が可能です!!
ここは接近戦を避け、彼女の『豆』が届かない遠距離を保って戦闘を
繰り広げるのが得策じゃないでしょうか!?」

「わかってるッ!!だが、ワタシのFRIENDSHIPは近距離タイプだし、
あんたのミラクルなっちゃら達も個々ではダメージを与えられるタイプではないッ!!
だから…ぜってぇ接近せにゃならネェーッ!!!!!!」

そう言うと小川さんは、まるでスケート選手のように廊下を滑り、
新垣さんに向かっていった。

314 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 18:18:45 0

「アホか!!?小川さんッ!!新垣さんのスタンドはあなたが思っているほど
ナマッちょろいスタンドじゃあないッ!!!!!」

新垣さんの植物は爆発的なパワーを持っている!!
ツタだろうと木だろうと生み出す!!
そして、どんな場所でも成長するときた!
翻弄されないよう、慎重に闘わねばならないというのに…ッ!!
身体に『豆』を植えつけられたら終わりだ!!

「マコ…貴様、何か策があるという目をしている…何かを企てている!!」

トトトトトッ…

新垣さんがスタンドの指から豆を発射した。
スプラッシュ・ビーンズだ!!それは廊下の床に落ちると…

ズリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュリューン!!!!!!!!!

小川さんの前方に、ツタで出来たネットが作られた!!

「抵抗、摩擦をなくして滑走しているな…だがこれでどうなのだ!!
そのツタの網は何重にも絡まった強力な網!!!それで包み込んでやるのだ!!!!
さぁ来い!サッカーボールがゴールのネットに突っ込んでくるようにッ!!」

「戻れ小川さん!!!」
だが勢いのついてしまった小川さんに、それが出来るかどうか…
車は急に、止まれない。
小川さんも…止まれない!!!

315 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 18:20:52 0

「心配にはおよばネェーよ小春ちゃん…ワタシは逃げも隠れもしない…
この戦い…すぐにケリをつける!!コイツでなぁーッ!!!!!!!!!」

小川さんがポケットから、いくつもの小さな玉のようなものを取り出し、投げた。
あれはなんだ…?
「べ、ベアリングですかッ!?」

「使うゼェェェェェェェ能力ゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!!!!!!!!!」

小川さんが宙に浮いたベアリングを殴りつける!!

「oi!!oioioioioioioioioioiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiッ!!!!!!!」

ギュン…ギュンギュンギュンギュンギュン!!!!!!!!!!

ドドドドドドドドドドドドドッ!!!

べ、ベアリングが新垣さんの作り出した植物のネットを穴だらけにして…
ズタズタにした!!
どういうことだ!?
あれはスタンドの『豆』が作り出した植物…いわばスタンドの『植物』!!!
ただのベアリングが穴を開けられるわけがない!!

「そのベアリングはワタシのスタンドが殴りつけたベアリング!!
スタンドパワーを込めて殴りつけたベアリングだァァァァァァッ!!!
そして、道は切り開けたようだなァ〜?『葉を掘る』ことは簡単だったぜェェェ!!!」

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!


316 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 18:22:41 0

そういうことだったのか!!
小川さんの能力、話に聞いていただけだったが…こんな活用法があるなんて!!
物の抵抗、摩擦をなくす能力…ここまでとは…ッ!!!
小川さんがあの高橋さんを一度再起不能にした実力を垣間見た気がした。

「射程距離に入ったァ!!ハッピーうれピーよろピくネーッ!!!
ピーピーピーピー!!!ピーマコ小川でッス!!!!!!!!!」

小川さんが、まさに新垣さんに飛びかかろうとしている!!
だが…なんだろうかこの胸騒ぎは…。
こんな光景、前にも見た気がする。
即視感(デジャブ)というやつだろうか。
「…いや!!!」
…新垣さんはあんなことで終わる人ではないはずだ!!!
私のミラクルな直感がそう教えた。
あのままじゃヤバイ!!!

「ミラクル・ビスケッツ!!!!!!」
『コハル!!コハル!!モエーッ!!!モエーッ!!!』
「No.6!!小川さんを援護してあげて!!!」
『ヨシキタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

あの光景に、私は記憶がある!!
新垣さんと初めて会ったあの日!!!
私は違法駐車していた車を盾に使い、新垣さんに急接近したあの時!!!
彼女は…すでにもう一つの行動を終えていたじゃないか!!!!

「なんということだ…ッ!!小川さん!!!」

じれったい…なんてじれったいミスショット!!!!
新垣さんは初めからこれを狙っていたのか!!!!!


317 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 18:24:15 0

「入ったのはお前なのだ」
「な、なんだァァァ!!テメー眉毛が…」
「食らうのだ!必殺…まゆげビィィィィィィム!!!!!!!!」
「oiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiッ!!!かわせない!!!しまったァァァァァッ!!!!!!」

やっぱりだ!!
彼女は、自分の眉毛に『豆』を植え込む荒業<まゆげビーム>を狙っていたんだ!!
だけど…

「小川さん…私と一緒でよかったですね…やってちょうだいNo.6!!!」
『愛スル人ォはコハルダケェェェェ!!!!!オイッ!!!!!!!!!』

そして…あの人の変わりに私が叫ばせてもらおうッ!!


「シャボン玉あああああああああああああああああああッ!!!!!!!!」


318 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/08(火) 18:25:27 0

私は先ほどの化学室での爆破の際、道重さんの放ったシャボン玉を二つほど
勝手にもらってきたのだ!!

No.6に頼み、小川さんと新垣さんの間にシャボン玉を一つ再形成させる!!

「「なにィィィィィィィィッ!!!!!!!!!!!!!!!!!」」

二人の叫び声をあげた。
そして…新垣さんの<まゆげビーム>の先っぽがシャボン玉に触れると…


ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!


「みぎゃああああああああああああああああ!!!!!」
「oiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiッ!!!!!!」

大爆発した。
う、うは…たった一発なのに、なんて威力なんだ。
小川さんが爆発の衝撃でこちらに吹っ飛んでくる。

「私の作戦としてはちょいとおおざっぱ過ぎるが…道重さんと協力してあげた
ダメージ1ってとこです!!新垣さん!!!!」

道重さん…あなたのハチャメチャな行動に対して…礼を言わせてもらいます。
グラッツェ!!さゆみん!!!!

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!


395 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/10(木) 06:52:45 0

「小川さん、大丈夫ですか?」
「oiiiiiiッてめー!!!!ワタシまでぶっ飛ばすつもりかコラァーッ!!!
寸でのところで能力を解除したからいいようなもののッ!!!」
「ならば結果オーライ、感謝して下さい」

さて、ここからどうしたものか…廊下がシャボン玉の爆煙の影響でけむい。
道重さんなら狙えばピンポイント射撃やらなにやらで、屋内でも多少はスムーズに
シャボン玉を扱えるかもしれないが、私のミラクル・ビスケッツには無理だ。
触れて割ったら爆発してしまうし、再形成させるだけで精一杯なのだ。

「く…前方がよく見えませんね…しかもこの空気の悪さだ…一酸化炭素中毒を起こしかねない」
「お、おい…小春ちゃんよぉおぉッ!そこの壁を見てみろ…ッ!!!」
「え?」

小川さんに言われ、壁に目をやる。
黒煙でわかりづらいが、目を凝らしてよく見ると…
「なにかが…動いている?ハッ!!?」
これはツタじゃないのか!?
しかも壁だけじゃない、天井にも何かがうごめいているように見える。

「ガキさんのツタだッ!!アイツ、ワタシたちをこの校舎ごと取り込む気だぜェーっ!!」
「バカなッ!!いったいどれだけのスタンドパワーを持っていればこんなことが…!?」
「この生命を生み出すほどのスタンドパワー!こいつァ…マジになってるゥゥッ!!」

何と言う事だ!!
我々のいるこの廊下にツタを伸ばし、このまま丸ごと捕まえる気だ。

「ゆるさネェのだ…生き物を大切にしねェ輩は…」

ミュルミュルミリュミリュミリュ…


396 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/10(木) 06:54:05 0

「うああッ小川さん!!ツタが伸びてくるーッ!!!」
「FRIENDSHIP!!!!!!!」

ガシッ!!

「え?」

突然のことに困惑したが、小川さんが私を抱えて来た道を戻り始めた。
そう、お姫様だっこの形だ。

「こりゃ室内で闘う方が危険だなァァ…ッ!!」
「ど、どうする気ですか?」
「今は…」
「今は…?」

「逃げる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!

…ちょっと待てえええええッ!!!
「何ですかそれはッ!?」
「ここにいたらワタシらが不利なんだよoi!!このまま滑って
外に出るぜェェェェェェェイッ!!!!!!!!」

そして、私達の行き着いた先は…


454 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 02:30:00 0

「プール…ですか?」
小川さんの腕から下ろしてもらい、私は辺りを見回した。
50メートルの屋内プールか…25メートルのプールしか見たことのない
私にはとても新鮮に思えた。なんて大きいのだろう。
プールにはもちろん水が張っている。
おそらく、水泳部が使うからだ。今日はいないようだが。

「ちっ…さっきの爆破のせいか知らないけど、ポッケに穴空いちまったよォ…
ベアリング全部落としちまったぜィ。今追い込まれたらやばいなー」
「小川さん、一つお尋ねしますが…」
「あン?」
「どうしてプールなんかに?」
「ああ、たまたまァ」

…は?
たまたま?

「もう一回お訊きしますね。何故にプールまで逃げてこられたのですか?」
「oioi同じこと何回も言わすなよーゥ。偶然だよ、ぐ・う・ぜ・んッ」

こ、この女…ッ!!!!!!

「貴様…このミラクルエースをバカにしてんのかぁーッ!!」
「怒鳴るなって。あそこにいたらどっちみちやられてたサ。つーか、お前さっきから
礼儀知らなさすぎなんじゃねーか?バカだのアホだの貴様だの」



455 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 02:31:54 0

バカな…何も考えず行動したというのか…ッ!!!
新垣さんは…そんなことじゃ出し抜けない人だというのに!!!

ガシャ…ガシャン!!

突然の大きな音に、思わず出入り口である強化プラスチックのドアを振り向く。
木の…枝だ!ほれ見ろ!!

「新垣さんがッ!!もう追いついたというんですかッ!!」
小川さんのスピードについてきたとでも言うのか!!
「ガキさん…見かけによらずマジでやるみたいじゃねーか」
「どうするんです!?来ますよッ!!!!」
「と、とにかく距離をおくぜーッ!!小春ッ早く乗りな!!!」
「え、ど、どこに?」
「ワタシの背中だよッ!提供したげますよホラ!!」

うぅ、なにがなんだかわからないが…迷っている暇はない!!
私は小川さんの背中に飛び乗った。
おんぶ…という言葉はちょっと子供っぽいから使いたくない。
ミラクルな私には似合わない言葉だからだ。

「そりゃああああああああああんんんん!!!!!!!!」

小川さんがジャンプした…水面に向かって!!
「う、うわああッ何を…ッ」
「FRIENDSHIP!!!!!!!!」

サッシュウウウウウウウウウウウウウウウウンンンン!!!!!!!!



456 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 02:34:21 0

す、滑ってる…水面を滑っていると言うのか!!!
「ミラクル…おぉ…ミラクル!!!!」
私は思わず感嘆の声をあげてしまう。
「れいなが水面を歩けるって話を聞いてさァ…ワタシもチャレンジしたってワケですよ。
滑りながら右足が沈む前に左足を出すッ!!スゲーだろォッ!?な!!?」

「確かにすごいのだ。見かけによらず、マコはスピーディな動きをするな…」

すぐ背後から聞こえる声。
バカな!!こっちは水面にいるというのに!!!!
だが間違いない…この特徴的な声色は…ただ一人ッ!!!

「ニィ…」

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!

「うわあああああああッ!!小川さんッ!なんか追いつかれてます!!!!!」
新垣さんが、自らが作り出したであろう木の枝の先端であぐらを掻いている。
その爆発的な成長スピードは、小川さんの水上滑走のスピードに追いつくほど早い!!
「な、なんだコイツはッ!!うわあああああああああッ!!!!」
「小川さん焦っちゃダメ!!!」
「逃がすものか…スプラッシュ・ビーンズ!!!!!!!」

ヒュンヒュンヒュンヒュン…

新垣さんの乗ってる木の枝から、大量の『豆』が飛び出した!!
やばい…これに当たっちゃやばい!!
だが予想外なことに『豆』は私たちを狙わず、私たちよりも前方にあるプールの
グリーンベルトを打ったのだ!!

…ん?まさか…ッ!!


457 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 02:35:24 0

「小川さん止まって!!!」

グイィィィィィッ!!!

「ぐええええええええええええッ!!!首ひッぱんじゃあネエエエエエエエエ!!!」

ズリュリュリュリュリュリュリュリューン!!!!

前方に…木が横に生えてきた!!!
まるで水面ギリギリに架けられた橋だ!!

「oiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiッ!!!!止まれねェーッ!!!!!!!!!!!!」
「ちょ、ちょっと待…」

ガッツウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウンンンン!!!!!!!!!!!

私の努力も虚しく、小川さんは水面に架けられた木に豪快につまずいてしまった。
まずい、けっこう飛び上がってしまったな…水面に叩きつけられてしまう…ッ!!
そして、着水する直前。

「だりゃああああああああああああああッ!!!」

バシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!

ゴ…ゴボボ…ッ!
小川さんが私を包み込むように抱いて、先に水面に叩きつけられたのだ!!

460 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 03:10:43 0

「ぶふぁッ!!!」
私は水面から急いで顔を出す。
う…傷がプールの塩素にしみる…ッ!!!
そうだ、小川さんは…

バシャアアアアッ!!!

「ぶはーッ!!い、いてェーッ!!!は、鼻に水が…」

よ、良かった…大したことはなさそうだが…
この人、水面に落ちる直前に…私をかばってくれたのか?
新垣さん乗っている木の枝は成長を止め、プールに浸かる私たちを悠々と眺めている。
これはまずいぞ…ッ。

「勝負あったのだ…お前たちはもう、わたしのラブ・シードの射程距離に完全に入っている。
次の瞬間、スプラッシュ・ビーンズを身体に植え込んでやれるッ!…さぁどうするのだ?」

な、なんということだ…。
やはりこの人を出し抜くのは至難の業だというのか…ッ!!



461 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 03:15:41 0

「ガキさんよォ…ワタシは今な、すッ転んだ時、木に足をぶつけて
捻挫しちまったみてーなんだ」

小川さんが静かに話し始めた。

「けっこう立ってンのが辛かっただろうな。地上だったら。
ま、水中だからそんなことはないんだけどよー」
「…お前、何が言いたいのだ?」

悪いが新垣さんと同意見だ。
この状況でいったい何を言い出してるんだ…?


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


「わからねーなら教えてやる…運はこの小川麻琴に回ってきたってことだよーッ!!
行くぜェェェェェッ!!!FRIENDSHIP!!!!」

ドギュウウウウウン!!!!

緑色で、まるでフードを被っているかのようなスタンド!!
小川さんがスタンド『FRIENDSHIP』を発現させる!

「妙な動きをとるんじゃネェーのだッ!!わたしは上!お前たちは下なのだッ!!!!」
「だったら…叩き落してやるさ」

バッシャアアアアアアアアン!!!!!!!!

小川さんが、両手で大きく水しぶきをあげた。
そして、スタンドがその水しぶきに猛烈なラッシュをかけたのだ!!


462 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 03:17:26 0

「oi!!oioioioioioioioioioioioioioioioioioioioi!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

パパパパパパパパパパパパパパパパパッ…

そして、スタンドの拳に当たった水滴は…
抵抗や摩擦を一切無くし、新垣さん目掛けて飛んでいく!!

「とくと浴びるといいさ…水滴の弾丸をよぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!」
「なあああにィィィィッ!!!スプラッシュ・ビーンズッ!!!!」

パパパパパパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンンン!!!!!!

抵抗をなくした水滴の威力は凄まじいものであった。
新垣さんの飛ばしてくる『豆』を打ち砕き、なおかつ新垣さんの乗っている
木の枝をも削っている。
豆はほとんどが水面に落ちてしまい、私達の身体には一つも着弾しない。

「ぐ、ぐう…なんだこの水滴は…い、痛いのだッ!!!!!」
「oioioioioi!!!どうした弱音かーイ!!?こっちは弾数無制限だがなァーッ!!!」

それは、例えるなら水滴の散弾銃!!
打った水滴はヒットすればよし、ヒットしなくても水面に着水し、自動的にリロード!!!

すごい…あの新垣さんが…手も足も出なくなっているッ!!!



463 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 03:21:58 0

「小川さん…あなた実はすごい人なんじゃないですかーッ!!!」
「oioi!!今頃気付いたのかよーゥ!!!!!!」

正直な話、さっきまではただのバカだと思っていた。
だが、許して欲しい。
小川さん、あなたは水面に落ちる直前で私を庇ってくれた。
そして…土壇場で強くなる人だということ今、私は知った!!!

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!


「た、たまらないのだ…うあああああああああああああああああッ!!!!」

ドボンッ!!!!!

新垣さんは水面に逃げ込むようにして落下する。
なるほど、水滴の弾丸をかわすために水中へエスケイプか…。
だがッ!!これで状況は五分五分のハズ…!!!
この勝負、勝てるかも知れない!!


ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッド…

467 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 04:15:07 0

「ぶはっぶはッ!!おのれ…わたしを水中に引きずりおろした事…
後悔させてやるのだマコ…ッ!!!」

新垣さんが小川さんを睨む。
濡れた新垣さんに、普段の姿と違って何か色っぽいものを感じたのは
私だけだろうか?

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

「へへーんッ!自分から落ちたんだろうが!!てめェーはもうマトなん…ん?」

小川さんの動きが止まった。
ど、どうしたんだ?

モゾ…

「…ん?」
何かが私の足元で動いた気がする。
生き物?
いや、そんなわけない。ここはプールなんだ。

ニュル…

「いややっぱ何かいるッ!!?」
「な、なんだこりゃああッ!!足が動かなネェッ!!!なにかが絡まってきやがるゥゥ!」

うおぉッなんなんだこれは!!!?
この気持ち悪いヌメヌメ感、そして触れたときの不快感。
まさか…これは…いや間違いないッ!!



468 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 04:16:38 0

「海草だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!!!!!!」

「言ったはずなのだ。お前たちはもう、わたしのラブ・シードの射程距離に
完全に入っていると!そして…油断したな!!マコ、お前が砕き叩き落していたのは
この海草たちの『種』だったのだ!!!!」

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!!

なんということなんだッ!!
この人は…やはり一味違う!!
常に一手二手先に読んでいる人なんだ!やはり、何の考えもなしでは
彼女を出し抜くことは出来ないというのか…ッ!!

「さすが、わたしの『芽』なのだ…愛情を込めた分だけ、元気に成長してくれる…」

ニュルニュル…

「イヤだァァァァァッ!!いっぱい絡み付いてくるーッ!!!」
こ、これは気持ち悪すぎる!!思わず声に出してしまうくらいだ。



469 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 04:18:27 0

「畜生…ッ!なんで海草ごときに…ッ!!ワタシは…ワタシは負けネェーッ!!」
「マコ、往生際が悪いのだ。運命を感じて眠るのだ」
「テメーの見られたくない涙を見るまでは絶対負けねーッ!!!」

小川さんのペースも、もはや乱れてしまっている。
完全に、新垣さんの時間がやってきてしまったようだ。
どうすればいいんだ…このままじゃ負けだ。
考えろ…考えるんだ久住小春!!


−私は『ミラクルな大スター』になるんだろ?−
−なら『ミラクルエース』の私にしか出来ない事をやれよ−


「覚悟を・・・決める時です」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


473 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 05:25:13 0

「新垣さん、一つだ!!」

私は高々と人差し指を立てて言った。
「…なんなのだ?」
「一つ…一つだけ教えて下さい…あなたのスタンドは植物ですよね?」
「…見ればわかると思うが」
「すると、それは一般人に見えないだけであって、特性としては普通の
植物となんら変わりませんね?」
「お前…何を言って…」
新垣さんが私を怪訝そうな目つきで見つめてくる。
それでも私は続けた。
「…変わりませんね?」

ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ…

「その『目』は…お前!!何かを企んでいるなッ!!」
「…気付くのが遅かったですね」

準備は…すべて整った!!!
これは自分の中での賭けになるが…これをやってやる!!!



474 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 05:26:33 0

「小川さんッ!あなたも腹をくくって下さいッ!!!!」
「な、なにをだッ!!?」

説明してる暇はない!!
今だッ!!!

「砕け!!ミラクル・ビスケッツ!!!!!!!!!!!!!!!!」

『女の子ナラアアアア!!!!!』
『誰デモ思ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!!!!!!!!!』

頼むぞミラクル・ビスケッツ!!!
今は三人しかいないけど…私はあなた達を信じているッ!!!

「ハッピーエンドスートリー!!!!!」

ズキュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!!!!!!!!!!!!!

それは私が叫ぶと同時に起こった!!

「な、なんなのだ!!なにが起こったのだ!!!!?」
「oioioioioioioiッ!!何がどうなってんだッ!!水が…」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


「プールの水がねええええええええええええええええええッ!!!!!!!!!!」

バババババババババアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!!


475 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 05:28:40 0

水だけではない。
制服が吸い込んでいた水分をも、消させてもらった。
制服はカラッカラに乾いている。
このプールという、大きな浴槽に溜まっていたすべての水分は、
全て私のビスケッツ二人が分解したのだ!
さすがに量が多いので、新垣さんと話をするという時間稼ぎを行わねばならなかったが…
やれやれ、うまくいったようだ。

そして、水分がなくなるということは…

「わたしの…わたしの海草ちゃん達がああああああああああああああッ!!!」

新垣さんが慌てふためいた。
それもそのハズ。
水分がなくなった海草は…すべて乾燥してヘタってしまったからだ!!
だが、まさかプール一帯に海草が生えていたとは…なんという成長力だろうか。
まぁ今となっては好都合だが。

「久住小春ッ…貴様なんということをするのだッ!!!」

「海草は水がなければ揺らぐこともできない…人間で言う骨抜きの状態ってヤツですか。
しかも、カラカラに乾燥した海草というのは…」

『コハル出シテイイ!?アーッアーッ出ルウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!!!!!』

ボフンッ!!!

ミラクル・ビスケッツNo.6が、持ってきたもう一つのシャボン玉を再形成させた。

「よく燃えるんですよ」



476 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 05:33:05 0

よかった、二発持ってきといて。
道重さんがいなかったら…勝てない勝負だったな。
再形成された小さなシャボン玉が、乾燥した海草に触れると…

「やめろぉぉぉぉぉッ!やめるのだああああああああああああああああああッ!!!!」

ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!!!!!!

新垣さんの叫びも虚しく、シャボン玉は爆裂した。
その威力はそれほど強いものでもなかったが、スタンドの海草を燃やすことぐらいはワケない。
シャボン玉の爆発で燃える炎もスタンドだしね。
火はあっという間に私たちを包んだ。

パチ…パチパチ…

「アチチチチチチチチッ!!!!!!!」
小川さんが飛び跳ねる。
私も実際、飛び跳ねたいほど熱い。
だが…勝負はまだついていない!!

「た、頼む…火を消して欲しいのだ…」
新垣さんのラブ・シード本体自体は木の人形のようなスタンド。
どうやら、海草から燃え移ったようだ。

プスプス…

新垣さんの身体から煙が立ち昇り始める。
道重さんと強力してあげた、ダメージ2ってとこだろうか。


477 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 05:35:47 0

「頼む…火を…」
「あなたほどの人が、命乞いですか?」
「そうじゃないのだ…わたしはどうなってもいいのだ…負けも認めよう。ただ…
この子たちをこれ以上燃やすのだけはやめてくれええええええええええッ!!!!」
そう叫ぶと、新垣さんが信じられない行動を起こした。

「oioioioi!!身体で…コイツ身体で海草に燃え移った炎を消そうとしているぞォッ!」

私はその姿に唖然としてしまう。
ここまで…自分の身を捨ててまで生き物を守り抜こうとする精神に私は心を打たれた!!
やはり…あなたはいい人ですね。
生き物を愛する姿は、この世のどんなものよりも優しいことだ。
この私の目に、間違いはないだろう。

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!



478 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 05:38:07 0

『コハルスマネエェェェェェッ!!!コレは俺一人ジャ支えキレネーッ!!!!!!!!!』

その時、No.6の悲痛な叫びが響いた。
支え…きれない?
なんだか明かりがちょっと暗くなったような気がして、天井を見上げると…

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

「oioioioioioioi!!!水が落ちてきてんじゃねーのかッ!!!」
「や…やっぱり無理があったか…ッ」

さすがにNo.6だけでは、これでけの量の水をうまく再形成することはできなかったか…
だが、ちょうどいい…火の始末になるだろうし。

「・・・・・・・・・・・・・」
「お、おい!こは」


ダッポォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンンンンンンンンン!!!!!!!!


くあああっ…きつい…!!
振ってくる水がこんなに重いなんて…ッ!!!
まさか…プールで溺れるとは思わなかった…この私が…。
でも…カリは返しましたよ小川さん。


ゴ…ボゲ…





479 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 05:41:06 0

バシャアアアアッ!!!


「ハァ…ハァ…死ぬかと思ったぜィ…それにしても…小春のヤツ、まさかワタシを
庇ったのか?余計なことしやがって…いきなり乗っかってくるからビビッたじゃないか」

「まぁ、サンキュー」

「ガキさーん、小春ーッ…二人とも返事なしかよoi…誰が部室まで運ぶと思ってんだ…
ワタシだってひでぇ怪我してんのによォォォォ!!」

「…ま、いーか」


538 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 23:00:17 0

〜田中れいな〜

さっき、ドカーンって化学室の方で何かが爆発する音が聞こえたと。
気になって行ってみたら化学室がふっとんで丸焦げだったばい。

…誰もいなかったと。

プールの方ですごく重たい水音がしたとよ。
気になって行ってみたら…誰もいなかったと。

ちょ、ちょ…闘いの痕跡は間違いなくあるっちゃ。
血の跡だって見た。
でもなんで?
なんでれいな、誰とも遭遇せんと?

「みんな、どこにいるたい…orz」

れいな、別に焼肉とかどうでもよか。
みんなと…みんなと部活動がしたいっちゃ!!

ズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズ…




539 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 23:01:39 0

みんな、外にいるんだろうか?
気になって高等部の下駄箱を調べて見たが、みんなのローファーは
ちゃんと置いてあるたい。

うわッ!絵里の靴、フェラガモっちゃ!!
そういえば、お小遣いやお年玉を溜めに溜めて靴を買ったって話を
聞いたような覚えがあると。
まあれいなもドルガバのサングラス持っちょるけど…
なんだかんだで絵里はやっぱり年上たい。
れいなも早く高校生になりたいと。
美貴姉の靴はディーゼルかぁ…高校生はみんな随分いいもん履いてるっちゃ。

…なんだか無駄に歩き回った気がすると。
ちょっと休むことにするばい。
れいなは下駄箱の隅の段差に腰掛ける。
このまま『れいなの不戦勝』とかふざけた結果になるんだろうか?
それだけは勘弁してほしいと。
部活に来た意味がなか。
さっきも言ったが、れいなは焼肉とかどうでもいいと。
れいなはみんなと部活動がしたい、それだけっちゃ。



540 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/11(金) 23:03:01 0

ザ…ザ…

「…お?」
誰かの足音ばい!!
誰かが校舎の中に入ってきたと!!やったぁ!!!!!!
上履きで外に出ていたんだろうか…とにかくやっと遭遇できたっちゃ!!!
おとめ組の連中だったら戦闘にはならないけど、一人でいるよりマシたいッ!!!

ガタッ…

向こう側で靴に履き替えた?
おかしいたい、美貴姉も吉澤さんも絵里も高橋さんも新垣さんも紺野さんも小川さんも、
靴があったし、全員上履きに履き替えているハズたい。
外から来て、靴に履き変えるなんてことがあるんだろうか…?

ザッザッ…

校舎の中に入っていくと。
靴で校舎の中に入るなんてありえない。
ということは…上履きに履き替えた?

これは部外者に違いないと!!

今日は演劇部が学校全体を使って活動するということで、演劇部以外の
生徒が学校に来るわけがなか。
じゃあ誰が?
演劇部以外の高等部の生徒が、なんで今日学校に来ると?

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


561 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/12(土) 06:24:26 0

気になったれいなは、その姿を確認しようと下駄箱からそっと顔を出す。

…男子生徒ばい。

後姿だが、学ランを着ているのですぐわかったと。
一年の下駄箱から出てきたみたいだ。絵里とタメか。
なんだ…せっかく誰かと会えたかと思ったのに…orz
しかし…一年坊(と言ってもれいなの一個上だけど)のくせに、タッパあるっちゃ〜。
遠くから見てもわかると。確実に180はあると見た。

ザッ…ザッ…

あの兄ちゃん、どこへ向かう気なんだろう…
なんだかフラフラとおぼつかない足取りで歩いている。
…危ないと。れいなは遭遇してないとはいえ、この校舎の中ではきっとまだ
激戦が繰り広げられるハズたい。
ちょっと注意して、帰ってもらうとするね。

「ちょ。そこのあんた」

れいなが後ろから声をかけると、その人は振り向いた。
「…あァ?」



562 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/12(土) 06:26:37 0

こ、こいつ不良っちゃ!
なんかガラ悪いし、学ランもやたら派手に改造してある。
ズボンも良く見るとボンタンを履いてるたい。
でも…。

「ぶっw」

お、思わず笑いが込み上げてきたと。
なぜれいながウケているかというと、答えはただ一つ。

ジロジロ…

「ん?俺の頭になんかついてるんッスか?」

この人…髪型が破滅的にダサいっちゃ!!!!!!!!!!!
これ、何十年前のセンスなんか?
いいと思ってやってるン?

「い、いえ…w」

さすがに声に出してそんなことは言えないので、誤魔化した。



563 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/12(土) 06:29:12 0

ささ、気を取り直して、この兄ちゃんに注意するたい。

「あのっすね、今日演劇部がちょい大味な活動しとるけんね。だから今日はそれ以外の
生徒は来ないことになってるっちゃ。だから帰って欲しいと」

「ああ、いいッスよ別に。気にしねーッスから」

「気にしねーッスからじゃないと。れいな、意地悪で言ってるんじゃないとよ。
今、演習の真っ最中やけん、危ないっちゃ」

れいながそう言うと、その兄ちゃんはれいなに背を向け、また歩き出す。
聞く耳もたんといった感じばい。
こ、こいつ…れいなのことナメとーと?

「ちょ、待つと。れいなの言ってる意味、わからんとね?」
「わかるッスよ。でも、中坊の女に従う義理はないッスね。じゃ」

な…なんだこいつはああああああああああああ!!!!!!!!!!
ムカついたと。
今のすげームカついたと!!!
やっぱりれいなの事ナメてるばい、この兄ちゃん。
…こういう調子こいたヤツには、きつめに言ってやらねばならんね!!!!

「おいオメー!!止まれっつってんのがわかんねーのかダボが!!わかんねーなら
その耳の穴ゴリゴリとシャベルでほじってやるとよボケッ!!!!!!」

れいなは巻き舌になってその兄ちゃんの背中に向かって怒鳴りつけるが…
何も言い返してこないと…これはシカトってやつっちゃ。
シカトって…なんかすごく許せんばい!!!



564 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/12(土) 06:32:13 0

「おいコラ!止まるっちゃ!!!じゃないとそのサザエさんみたいな
髪型刈り上げると!!!!」

ピキーン…

そう言うと、その兄ちゃんは足を止めた。
やっとわかってくれたみたいやけん、苦労したと。
でも、けっこう言いたい放題言い過ぎたやろうか?イライラしてたし…
ま、いいっちゃ。
今、学校の中にいるのは本当に危ないことっちゃ…むしろ感謝して欲しいと。

「あんた…いま俺のこの髪型なんて言った?」
「え?」

その兄ちゃんは、突然ドスのきいた声を出して言った。

「俺の髪型をバカにするヤツぁなぁ…誰だろうと許さネェー!!!!
誰がアトムみてーな髪型だ!!?あァ!!!?」

「え、そ、れいな、アトムなんて言ってないと」

「確かに聞いたぞコラァーッ!!!」

よ、様子がおかしいたい。
もしかしてこの兄ちゃん、れいなにキレとると?
なんだか…変なことになってきたっちゃ。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


698 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/14(月) 10:24:41 0

とりあえず状況を整理するたい。
呑気にはしてられないが、慌てても何もいいことはなか。
…この兄ちゃんは、なぜか校舎の中に入ろうとしていると。
そして、それを止めたれいなにキレているようっちゃ。
髪型のこと言ったのがなんかまずかったんやろか?
でもアトムなんて言ってないと。
そもそも、アトムって何?

ユラリ…

その兄ちゃんが動いた。
れいなをギッと睨みつつ、半歩こちらに寄ってくる。
そして、その時見えたッちゃ。
その兄ちゃんの右肩から、腕が出てきたと。
「なにッ!スタンドばい!?」
間違いなか!!
うおぉッ!けっこうスピードあるっちゃ!!!

「デュエル・エレジーズ!!!」

ガッキイィィィィィィィィィィンンンッ!!!

間一髪のところでガードしたが…
な、なんてパワーたい…腕がしびれるっちゃ。
つーかこの兄ちゃん、スタンド使いなンか!?
怪しい…怪しいにおいがプンプンするばい。
スタンド使いの不良が、演劇部の活動中にいったい何しにきたと!?
まさか…絵里やさゆを襲って返り討ちにされたヤツらと何か関係があるんじゃ…
なぜか『演劇部』を潰そうとしたらしい、押尾や山下達と何か…

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


699 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/14(月) 10:27:00 0

そうか…わかったと…。
コイツ、演劇部のみんなが演習で弱ってるところを一人ずつ潰すつもりなんだ!!
だから終了一時間前のこの時間に学校に現れたに違いないと!
な、なんて卑怯なヤツたい!!!
だが、神様は演劇部の味方をしたようだっちゃ。
なぜなら…

「この無傷で元気ビンビンの田中れいながお前の相手をするからたい!!!!!!!」

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!!!

この兄ちゃんのスタンド、能力は知らんけど、近距離パワー型と見たとッ!!
なら正々堂々、真正面からぶっ飛ばしてやるたい!!
この…れいなのデュエル・エレジーズで…ッ!!!!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

「うっ…ぐっ…あああああああああああああああああああッ!!!!!!!!」

な、なんだ?
兄ちゃんがいきなり頭を抱えて苦しみ始めたと!!!

「デカチチが…デカチチが…うあああああああああッ!!!!!」

な、何を言っとうとコイツはーッ!!
「と、年頃の女の子に向かって変なこと言うんじゃなか!!!」
「治してぇ…なんでもかんでも治してぇんだよ!!!なんだかわかんねーけど
治したくてしょうがネェーんだよーッ!!」

コイツ…頭おかしいっちゃ!!
何がしたいんだかわからん。治すってなんのこっちゃ。


700 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/14(月) 10:29:22 0

「ウガアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!」

突然、叫びながら兄ちゃんがれいなに背を向けて走り出す!!
に、逃がさないと!!

「待つばいッ!!!!!」

くそ、意外と足の速いヤツっちゃ。
いったい何がしたいんやろか。
さっきまでのれいなへの怒りはどこへ行ったと?
それに…どこへ向かってるん?

その時だ。
前方の曲がり角から、見慣れた女子生徒が現れたと!!
う、嬉しい…やっと誰かと会えたと。
その人は…

「oiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiッ!なんだテメーは!!」

小川さんたい!!
ビショビショの身体で、同じくビショビショに濡れた新垣さんを肩に、
小春ちゃんをもう片方の腕に抱えてると。
新垣さんを運んでるということは、戦闘があったってことっちゃね。
それにしても、すげー力持ちばい…二人同時に抱えて…って今はそんなこと
どうでもよか!!

「小川さん!!そいつ侵入者ばいッ!!!しかもスタンド使いっちゃ!!!!!」

れいなは走りながら小川さんに叫ぶ。


701 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/14(月) 10:30:27 0

「ウオォォォォォォォォォッ!!治したい!治したいぃぃぃッ!!!!!!」

「オメーは確かB組の東方…ッ!!!」

小川さんが二人をドサッと乱暴に下ろす…というか落とすと、構えを取った。
「なんだかよく知らないけど寄ってくんじゃねェェェェよォォォォォゥ!!!」
ドヒュン!!!

小川さんがスタンドを出したと!!
緑色で、まるでフードを被ってるようだっちゃ!!

「行くぜoi!!oioioioioioioioioioioioioioioioioioi―ッ!!!」
「ドラララララララララララアァァァァァァーッ!!!!!」

ゴゴッドガガガガガガガガガガガガアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!

激しい拳のぶつかり合い!!
あれが…あの兄ちゃんのスタンドッ!!
まさしくバトルタイプのスタンドたい!!!



702 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/14(月) 10:32:25 0

「うおぉぉッ…!!」

お、小川さんが押されとると!!
なぜだ?あの人のスタンドのスピードはかなりのもんのハズっちゃ…
…ん?まさか…足をケガしとると!?
まずいっちゃ!!
早く援護せねばならんとッ!!!

「ドラァッ!!!!!」

ガスッ!!!

小川さんの腹に、兄ちゃんのスタンドの拳がめり込んだ。
「う…げ」
お、遅かった…?
「くそッ!!デュエル・エレ…」

「ドラララララララララララララララァーッ!!!!!!!!!!!」

「うげええええええええええッ!!!!!!!!」

ドッギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア〜ン!!!!!!!!!!



703 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/14(月) 10:34:18 0

ば、バカな…ッ!!
やりやがったばい…この男、マジでやりやがったと!!!
ラッシュを食らい、バリバリ血を吹き出しながら、小川さんは窓ガラスを
突き破って外に投げ出された。

「お、お…オメエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!!!!!!!!!!」
「治してェェェんだよぉぉぉぉぉぉッ!!!!!!」

そいつはしゃがむと、倒れている小春ちゃんと新垣さんに触れる。
ズキュン!ズキュン!!!

「その二人に触るンじゃなかとよーッ!!」

れいなが叫ぶと、今度はなぜか聞き分けよくすぐ二人から手を離し立ち上がった。
だけどこいつ…全力でぶっ飛ばすたい!!!

「まだ…治したりネェ…」

「さっきからオメーは何を言ってるとねッ!」

そいつはれいなに背を向けると、割れた窓ガラスに足をかけて、外へ飛び出す。
に、逃がさないっちゃ…!
ここは一階だ。おそらく向こう側の、化学室のある校舎に向かおうとしてるに違いないと!

「待つっちゃ!!!!」

れいなはそいつの後ろ姿に向かって叫ぶ。
その時、そいつの首のあたりに、なんか変な物が見えた。
ウネウネした、なんか気持ち悪いヤツ…あれは何と?
学ランとカラーでよく見えんけど…


704 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/14(月) 10:44:33 0

ええええええええええいッ!!んなこと考えてる余裕はないっちゃ!!!
仲間を傷つけやがって…ただじゃおかないと!!!
れいなは割れた窓ガラスの桟に足をかけ、外に飛び出る!!

…はずだったんやけんど…

ピシャン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

まるでガラスを擦り合わせたような音がすると思ったら、
れいなの目の前には地面があったと。

…こけた?れいなが、こけたと?

立ち上がろうと試みるが…どうにも力が入らない。
力が入らないというか、いれる場所がなかったと。
それに右足が動かん。スカスカっちゃ。
そっと、動かない足を見てみる。

なかった。

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!!!」

な、何が起きたと!!!
足がッ!!れいなの右足がバッサリ切り落とされてるばい!!!!
モモの断面からダクダクと血が溢れている…ッ!!

「い、痛い痛いッ!痛いとーッ!!うがあああああああああああああッ!!!」


705 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/14(月) 10:49:33 0

バカなッ!!!
いったいれいなは何をされたというんっちゃ!!!!?
振り向き、頑張って窓ガラスの方を見ると…
な、治っている!!どういうわけか、割れていたはずの窓ガラスが治っているっちゃ!!
しかも、窓ガラスにはどす黒い何かがベットリかかっているようだ。
まさか…治ったと?
治りゆくガラスの破片に足を挟まれてしまったんやろか…?

お、落ち着け…落ち着くたい、田中れいな!!

とにかく、今アイツを逃がすわけにはいかないと!!
小川さんも、おそらく新垣さんも小春ちゃんも、もはや動けんハズたい。
れいながやらなきゃ、やる人がいないと!!
追いかけねば…あの兄ちゃんの好きにはさせんばい…!!!!
そうだ…呼吸を…波紋の呼吸で痛みを和らげて…

ズキン…ズキン…

「うああああああああッ!!ダメだ!!!!痛くて呼吸が整わんとッ!!!」

い、嫌な汗が吹き出るたい!!
すべてが痛みゆえに、生理的に滲み出てくると…ッ!!!!!!
「ハァ…ハァ…」
この血の量は…まずいっちゃ。
そうだ…デュエル・エレジーズで血を石に変えて止血して…


706 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/14(月) 10:52:18 0

ザッ…

横たわるれいなの目の前に、兄ちゃんの足が目に入った。
「グレーとだぜ…こいつァ」
近づいてきたのか…これは…やばすぎるっちゃ…。
右足、痛いと…

すぐそこに、小川さんも倒れている。
あれ…あんなバリバリ血ィ吹き出して、おまけに窓ガラスぶちやぶったのに、
意外とケガ少ないっちゃね。つーか無傷?

おかしい話っちゃ…れいな、今日部活しに来たはずたい。
サバイバルゲームだけど、なんだかんだで楽しみにしていたと。
それが…それがこんな…

「治してぇ…なんでもかんでも治してぇ…ッ!!!!」

終わり方するなんて。

みんな、さよなら。
さびしい時もあったけど、楽しかったと。
みんな、大好きだったばい…。

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ズキュン…


707 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/14(月) 10:53:29 0

〜???〜


「…こいつダメや」

「どういうこと?」

「精神力強すぎやで…私には扱いきれへん」

「…頑張れとしかいえないな。唯やんがやらなきゃ誰がやる?
寺田せんせに言われたってのもあるけどさ、あたし達の学校、
めちゃくちゃなままにされたらイヤでしょ?」

「わかっとる。あー、こいつら全員のケガ治してやんなきゃならないんか…
み、み〜よすごいすごい!!ボロボロだった化学室!ピカピカや!!!
やっぱ他人のスタンドおもろいわ。治す能力って楽しいな☆」

「へぇ…」




708 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/14(月) 10:57:39 0

〜亀井絵里〜

昨日行われた演劇部の演習は、無事に幕を下ろした。
ホントは無事じゃ済まなかったハズなんだけど、結果的には無事済んだんだ。

一番、軽傷だったのは吉澤さんだった。
彼が言うには『教えることが出来たし、それで小春が成長したようだから満足』と
いう事で、自主的に部室へ戻ったらしい。

逆に一番の重傷は高橋さんで、軽く記憶も飛んでいたくらいだ。
あとから自分の起こした行動を紺野さんに聞かされた高橋さんは、
僕やさゆに深々と頭をさげて、何度も謝っていた。

そして、最後まで怪我もなく生き残ったのは紺野さんただ一人だけだった。

別に隠れてもいないし、逃げてもいない彼女の勝利…
紺野さんの周りには、争いという言葉はないのかも知れない。
争いが、紺野さんを避けて通ったんだろう。
そういえば、前に彼女がこんなことを言っていたなぁ。

「争いは実にくだらないです。バカのすることですから」

で、ご褒美の焼肉だけど…紺野さんは食べに行かなかったんだ。
前日にも、焼肉をお腹いっぱい食べたから太っちゃう、とのことだった。
…みんなに気を使ってくれたのかな?最初はそう思っていた。
だけど、後から僕にだけこっそりワケを教えてくれた。

「寺田先生は昔はいい人だと思ってたし、いろいろ相談したりしたけど…
正直、今はあの人と二人っきりになりたいと思えませんから」

ということらしい。


709 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/14(月) 11:00:24 0

今日、僕は元気に通学している。
左手でカバンを持って、軽快に歩いている。

教室に着くと、広瀬くんのところにB組の東方くんが来ていた。
広瀬くんって人付き合いいいけど、けっこうガラの悪そうな人達と付き合い多いなぁ。
虹村くんとか近寄りたくないし、山岸さんは美人だけどなんか怖そう…。
そうだ。ちょうどいいし、東方くんに昨日のお礼を言おう。
寺田先生に頼まれて『お医者さん』をかって出てくれた彼にお礼を。
で、そのついでにおトイレ行こっと。

「東方くん、昨日はありがとうね!!」
「あァ?」

うひぇー、昨日は眠っている間に治してもらったからわかんなかったけど、
やっぱ不良って怖いなぁ。
あんなナリしてるけど、彼の能力ってこの世のどんなものよりも優しいんだもんな。
ホント、人は外見だけで判断しちゃいけないよ。
でも、あの髪型は面白いや。動物飼えそうだしねw
僕は逃げるようにして、教室から出て行った。



710 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/11/14(月) 11:03:52 0

「仗助くん、あの子と知り合いだったの?」
「おれが聞きたいぜ。大体おれ、女の知り合いなんて全然いねーんだからよ〜。
それより…」
「そうだったね、さっきの話の続きしてよ」
「ああ、気付いたら廊下で寝てたんだよなー。家でゲームやってたとこまでは
覚えてんだけどよー。そんでインターホン鳴って…ん〜やっぱ思い出せねぇぜ。
おまけに、やたらスタンド使ったような疲労があってなー」
「ヘェ…なんだろうねそれ」
「あぁ、考えれば考えるほど奇妙だぜ」
「そのこと、億泰くんにはもう言ったのかい?」
「いや、まだだぜ。あいつバカだしよー。こーいう事は康一に相談した方が
話になるだろーしなぁ〜」
「うーん…でも、ぼくにもさっぱりわからないなぁ〜。だいたい昨日は
学校は休みだったし…」



サバイバルゲーム(演習)…紺野あさ美の一人勝ち
演劇部…完全回復
ぶどうヶ丘高校・中学…完全修復


TO BE CONTINUED…