銀色の永遠 〜エリートイケメン販売員と世界一可愛い秘書〜

「ただいまー、お母さん」
「あら美貴ちゃんお帰りなさい、今日は遅かったじゃない」
「うん、ちょっと知り合いのお見舞いで病院行ってて」
「あら、どうしたの?」
「うん、ちょっとね」
あたしはそう言うと、リビングに置いてあったお煎餅を齧った。
言えるわけないじゃん、自分が病院送りにしたなんてさ。


ついさっきのことだ。
あたしは病院のベッドで動けなくなっている梨華ちゃんに問い詰めていた。
「さて、教えてもらいましょーか。なんで美貴のこと襲ったのか」
「まあ隠すことじゃないから話すけどさ、そのスタンドしまってくれない?」
「あら、勝手に出ちゃうもんなのコレ?」
「…相当あたしに怒ってるみたいね。でももう攻撃する意思なんてないから
ホント勘弁して。まぁまぁ落ちついてよ」
「わかったよ」
するとあたしのスタンドは、サーッと身体の中に溶け込むようにして消えた。
それを見た梨華ちゃんは、心底安心した表情になって語り始めた。
「さっき襲ったアレはね、テストだったの」
「はあ?テスト?」
「そう、演劇部に入るための最終テストよ。一時審査は矢で射抜かれた時。
で、二時審査つまり最終テストはスタンド能力の審査なのよ。実際に戦闘してね」
「いや、意味わかんないんだけど。それでなんであたしが殺されかけなきゃ
なんないのよ」
「美貴ちゃんは一時審査を通過してしまったからよ。普通の人間なら、矢で
射抜かれたら死んでしまうもの」
梨華ちゃんは、あたしが死ななかったのは強靭な精神と確固たる意思があったからだ、
と語った。


31 :名無し募集中。。。:2005/09/10(土) 22:18:51 0
「もし二時審査を通過できなかったら?」
「死んでもらうしかなくなるだろうね。今んとこ、そういう人はいないけど…
戦闘ができるてわかれば合格なんだけど、それがわかった時にはあたし
動けなくされちゃったし」
ふっとんで窓ガラス突き破ったしなぁ。ま、美貴は悪くないけど。
あたしだって腕にこいつの指が刺さったんだ。おあいこだ。
「とにかく、藤本美貴ちゃん。あなたは『合格』よ。これであなたもあたし達
演劇部の仲間ってわけ。あたしは当分は活動できないけど、よろしく…ありゃ、
指がこんなだから握手できないや」
「一体どういうこと?この演劇部って、あたしが思ってるような演劇部じゃないの?」
「あたしも、よくわからない。でも、コレだけは言える」
梨華ちゃんは折れてない左手であたしを指挿した。
「スタンド使い同士っていうのはね、なんでかわからないけど…引かれ合う
ものなの。いずれどこかで出会うのよ。味方か敵か…それはわかんないけどね」
スタンド使いは引かれ合う…あたしは、今スタンド使いとかいうヤツなんだ。
「あ、いたたッ。美貴ちゃんに殴られたとこめちゃくちゃ痛いよ〜。参ったな〜、早く
治さないと学校行けないしな〜、噂の東方杖助くんと友達になっておけばよかったなぁ」


「スタンド使いは引かれ合う…か」
気づいたらすでに三枚も煎餅を平らげていた。やべ、手も洗ってなけりゃうがいもしてないや。
洗面所で手を洗おうとした時、見慣れない固形の石鹸が気になった。
「お母さん、石鹸変えたの?」
「ああ、それね。今日家に来た訪問販売の人から買ったのよ」



32 :名無し募集中。。。:2005/09/10(土) 22:20:23 0
「訪問販売の人から買ったって…」
お母さん、最近買いすぎじゃないか?
昨日は包丁で、一昨日はタバコの臭い取り機だった。
手を洗って、あたしはお母さんに言った。
「最近なんでもかんでも物買いすぎじゃない?」
「それはわかってるんだけど…その時は『どうしても必要だ!』って思っちゃうのよ。
奇妙よねえ」
「それ、悪質な訪問販売じゃないの?お母さん、PL法とか知ってる?」
「うーんまぁホントにいらないものは買ってないわけだし」
「ふーん、まあいいけどさ」
変なもん買うくらいなら、美貴の小遣いアップしてくれよな。
その日は、そんなに深く考えなかった。
しかし、次の日あたしは、石川梨華の言っていたことを身をもって体験する
ことになるなんて思ってもいなかった。



33 :名無し募集中。。。:2005/09/10(土) 22:21:19 0
土曜日。今日はゆっくり寝ていられる。
一応演劇部には入部したことになったっぽいけど、まだよくわからんから
学校に行くこともないだろう。
「美貴ちゃ〜ん!お母さんちょっとお友達とお茶会行くから、出かけるなら
戸締まりお願いね〜!」
「は〜いはいはい」
もう、ガキじゃないんだからそんなことぐらいわかってるっつーの!
今は寝かせてくれ…

ピンポーン

ピンポーン

誰だか知らないけど、お母さんもいないし、居留守使うか。

ピンポーン

シカト。

ピンポーン

ピンポーン

「ああああああああッ!もうッ!!」
誰だよ人が気持ちよく寝てる時にッ!!!

ピンポーン

「はいはいはいはい!今出ますよ!」




34 :名無し募集中。。。:2005/09/10(土) 22:24:28 0
玄関を開けると、スーツを着たイケメンが立っていた。
「ど〜も〜。毎度お馴染み!エリートイケメン販売員のエリック亀造とッ!!」
「世界一可愛い秘書のプリンセスさゆみんですッ☆」
…確かにイケメンだけど、こういうタイプのイケメンって、あたしダメだわ。
あと、この隣にいる女もダメ。なんか本気で自分可愛いとか思っていそうなとこが
あたしを無性にイライラさせる。
たぶん前世でこーいうタイプの顔のやつらとなんかあったんだろうな。
「あの〜お母様はいらっしゃいますでしょ〜か??」
「母なら今いないっす」
「あ、そうなんですか!では失礼いたしします」
そう言うと、スーツの男(エリック亀造とか言ったな)は勝手に玄関に上がり込んできた。
「ちょ、ちょっ…なんですかいきなり」
「いや〜今日も素晴らしい商品をいっぱいお持ちしたんですよ☆」
「そ、そういうことじゃねぇぇッ!お前ら何勝手に人ん家上がりこんでんだよ!!」
そうか、お母さんの言ってた訪問販売ってこいつらだな!
こんな胡散臭いヤツからお母さんは半ば無理やり買わされてるに違いない。
人の家にどかどか入ってくるように、人の話も聞かずにどかどか売りつけてくる
ようなヤツらに違いないッ!!
「すいません、悪いんだけど、うちそーいうの必要ないんで」
「まあまあ、それは商品見てからでも遅くはないですよ。さゆみん、アレを出してくれ」
「はい、エリックさん♪」
35 :名無し募集中。。。:2005/09/10(土) 22:25:50 0
プリンセスさゆみんがアタッシュケースから出したのは一本の筒だった。
それをエリックに手渡すと、エリックは筒の蓋を開けた。
「これはですね〜、幸せを呼ぶ掛け軸と言われてるんですよ〜」
「ハァ?幸せを呼ぶ掛け軸?何それ」
「まあ見てもらえればわかると思うンですけど…」
エリックは掛け軸をあたしに見せるようにして広げた。

『マリコ やけど』

「あの…美貴のことバカにしてます?」
ふざけやがって。こんな意味不明なこと書いてある掛け軸に幸せを呼ぶ力
なんざあるわきゃね〜!!
まだ子供だと思ってバカにしてんな。
「帰って下さい、もううちには来ないで」
「…本当に?」
エリックはさっきまでとは違う声のトーンで言った。
「本当にいいんですか?」
「…なにがです?」
「世の中には幸の薄い人も多々いるのに…本当に『必要ない?』」
なんかそんな言われ方されても困るんだけど…
「お客様は幸せが『欲しくない?』」
そりゃまぁ、幸せは欲しいけどさ。
「うっ!!」
む、胸が…重い!!
36 :名無し募集中。。。:2005/09/10(土) 22:29:06 0
「胸が重いッ…なんなんだ一体…ッ」
な…なんだか、急にこの掛け軸が必要なんじゃないかと思ってきたぞッ!
「お客様大丈夫ですかッ!これは悪霊の祟りかも!!」
「…あんた、うるさいよ」
「やはりお客様にはこちらの掛け軸が必要ですねッ」
悪霊だあ…確かに悪霊かも知れないな、コレ。
「何なんだ!この胸に噛み付いてるヘンチクリンな白い亀はよぉッ!」
「えっ…」
これももしかして…スタンドなの?
「おい、早くこれを外しなさいよ」
「お客様にも…見えるのですね。わたくしの『エリザベス・キャメイ』が…」
やっぱりスタンドなのね、このインチキ販売士が!
「それはお客様の『迷い』の表れなんですね、ハイ。こちらの掛け軸をお求めに
なられれば迷いも消えて、その重い胸も楽になるかと思われますが…?」
「買うつもりもないけど一応聞くわ。いくらなの?」
「さゆみん、アレを出してくれ☆」
「はい、エリックさん♪」
さゆみんがエリックに青い小さなケースを渡した。
「今ならこちらの画鋲をおつけして、9800円になります☆」
画鋲付きで掛け軸が9800円だって!!こ、こいつなめてやがるッ!!
こうやって、スタンドの見えないお母さんに石鹸やら包丁やら売りつけてたんだな。
こいつ…許さない。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


37 :名無し募集中。。。:2005/09/10(土) 22:30:04 0
「ブギートレイン03ィ!!」
バーン!!
あたしは自らのスタンドを出すと、胸に噛み付いている白い亀を攻撃した。
「うらあッ!」
ドゴォッ!!!!!!!
エリックのスタンド『エリザベス・キャメイ』をぶん殴ったが、スタンドは依然
食いついて離れない。
だが、エリックにダメージは与えたようだ。
「うげっ!!」
「ああッ!エリックさん!!」
吹っ飛んだエリックはさゆみんに抱きかかえられて体勢を持ち直している。
「う〜いてて…」
どうやら顔にダメージを与えたらしい。エリックの顔には殴られたような痣が
出来ていた。
「…あなた、ゆるさないの」
プリンセスさゆみんがあたしを睨む。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

「何よ、やろうっての?」
「ダメださゆみん、手荒なことをしちゃいけないよ。あくまでもエレガントに!
そしてナチュラルにッ!より良い商品を販売するのが我が社のモットーなんだから」
「そうだったの…ごめんなさい、エリックさん」
「わかればいいのさ」
「エリックさん、素敵」
なんだこいつらはーッ!そういうことは他所でやれってんだ!
「まあお客様、そんなわけで…」
エリックがあたしに向き直る。すると…

ズシイィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!

「か、亀がッ!!で、でかくなるッ!!!!!」


38 :名無し募集中。。。:2005/09/10(土) 22:32:09 0
「この亀はね、僕の意思で大きさ変えられるンですね、ハイ。でもこれは
あまりエレガントじゃないんで普段は自動操縦にしてあるんですね」
「ぐあああああああああああ…お、重いッ!」
欲しい!この掛け軸欲しいッ!!
いや何考えてんだあたしは…そうだ!ブギートレインでこの亀をぶん殴ってやめさせるんだッ!
拳に力を込める。が!
「ダメだぁッ!苦しくて力が入らない!!」
負けるッ!亀の重さに耐えられない!!!
「ってなところで、解除してさしあげます〜」
すると亀はみるみる小さくなり、先ほどまでの大きさに戻った。
「ハァハァ…なんで?」
「僕ってけっこう根に持つタイプなんで…まあ、これでおあいこですよ」
そう思うなら、とっとと帰ってくれ。
「まあ今日のところは引き上げたい…とは思うのですが…あなたもスタンド
使いで、僕のトリックを見破ってしまったということなので話は別です」
石川梨華は言っていた。
スタンド使いは引かれ合う。敵だろうと…味方だろうと…
「ケリをつけましょうか、お客様。さゆみん、アレをだしてくれ」
「はい、エリックさん♪」
これは…トランプ?
「僕は殴りあいは好まないんで…これでケリをつけましょう。三回勝負で
もしお客様が勝ったら僕は杜王町から出て行きますよ、この仕事もやめます。
でももし、僕が買った場合は…」
「…あんたが勝った場合は?」
「あなたの舌を頂きます」




39 :名無し募集中。。。:2005/09/10(土) 22:35:58 0
もちろん、自信のない時は勝負せずに降りることも可だが、それは2回まで。
しかも相手もその回の勝負を放棄しない場合、強制的に勝負は始まる。
つまり、運を見方につけた方が勝者ってわけね。

「カードは切りました。お客様もそちらお切りになりましたね?」
「ええ」
「イカサマはして『いませんね?』」
「してないわよ」
「亀が反応しない。どうやらイカサマはしてないようだ」
「ちょ、ちょっと。こんなんついてたら勝負にならないじゃない!」
「大丈夫です、もう外しますから」
胸に噛み付いていた亀は、エリックの手の中に戻っていった。
「それではッ!第一回戦勝負ッ!!いっせーの〜…」
「せッ!!!!!!!!!!!!」


40 :名無し募集中。。。:2005/09/10(土) 22:36:45 0
ルールは簡単。
お互いが三つのトランプの山から好きなトランプを一枚引いて、絵を見ずに
相手に見えるようおでこに持っていく。
あとは勝負して数の大きい方が勝ちってわけだ。
強さは1〜13の順で、最強はジョーカー。こいつで勝負して勝ったらその時点で
試合は終了、ということだ。
もちろん、自信のない時は勝負せずに降りることも可だが、それは2回まで。
しかも相手もその回の勝負を放棄しない場合、強制的に勝負は始まる。
つまり、運を見方につけた方が勝者ってわけね。

「カードは切りました。お客様もそちらお切りになりましたね?」
「ええ」
「イカサマはして『いませんね?』」
「してないわよ」
「亀が反応しない。どうやらイカサマはしてないようだ」
「ちょ、ちょっと。こんなんついてたら勝負にならないじゃない!」
「大丈夫です、もう外しますから」
胸に噛み付いていた亀は、エリックの手の中に戻っていった。
「それではッ!第一回戦勝負ッ!!いっせーの〜…」
「せッ!!!!!!!!!!!!」




41 :名無し募集中。。。:2005/09/10(土) 22:37:25 0
うえっ…こいついきなりハートの12出したよ…
「どうします、勝負致しますか?」
う〜ん、これに勝てるカードは13かジョーカー。勝てる確立は53分の6か…
「迷ってるなら勝負してみては?」
「やけに言うじゃん。そんなにあたしのカード低い数字?」
「ま、それは言えませんけどね。たぶん僕の負けでしょう」
そんなにあたしと勝負したいのか?あやしい…
「いいや、パス」
「ホントにいいんですか?」
「うん、まだあと一回パスできるし」
「そうですか、それじゃあ…」
二人同時に手持ちのカードを表にして置く。
「な、な…」
バカな…あたしのカード、ジョーカーだったの!!?
「だから言ったじゃないですか。『僕の負け』だって」
この一発で勝負が決まるかもしれなかったのに…くそったれ!



42 :名無し募集中。。。:2005/09/10(土) 22:37:48 0
「さて、二回戦行きましょうか。いっせーの…」
「セッ!!!!!」
エリックはクラブの3だった。
こ、これは勝負だなw
「これは勝負だな」
やべっ!言葉に出しちゃった!怪しまれたか…?
「え、本当にいいんですか?やめた方がいいと僕は思いますけどネ」
「いや、あたしはイってもいいよ」
「そうですか、じゃあいきましょう」
ほいっと二人でカードの表を見合わせる。
ば、バカな…
「あたしが1だとぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
「僕は言いましたよ。『やめた方がいい』って」
こ、こいつうめえ!
まずいな。これが最後の勝負になるのか…これで勝てても1−1。延長戦
持ち込みで少なくともあと2回は勝たなきゃならない。しかもパスはあと一回。
やばい…こんな短い勝負とはいえ、一気に形成が決まるなんて…。
「さて、お客様続けましょうか。僕らの運命を書けたトランプ対決を!」



43 :名無し募集中。。。:2005/09/10(土) 22:38:36 0
「最後の勝負になるかな…それじゃあいっせーの〜…」
「せッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
くそッ8かよ!微妙な数字出してきやがるッ!
勝てるのか…これで…あたしのカードで!?
「どうします?勝負しますか?」
「あんたはどうしたい?」
「え、僕?」
「ええ、あたしはもう決めたよこのカードに。何があってもこいつを出す」
自分のカードの数字はわからない。勝てる保証もない。
が、あたしはスターになる女だ。このくらいの自信がなくてどうする。
「じゃあ、勝負しますか」
あたしとエリックはカードをゆっくり見合わせた。
あたしのカードの数字は…5。



44 :名無し募集中。。。:2005/09/10(土) 22:39:06 0
「勝負はつきましたね?」
ま、負けた…あたしは負けた?
勝負を始めてものの数分。ついさっきまでのあたしは今こうして敗北感に
打ちひしがれているなんて予想できただろうか。
「じゃあ、約束どおり…舌を」
「ちょッ!ちょっと待て!!一つ教えてよ!!!」
「なんでしょう?」
「美貴の舌なんて引っこ抜いてどうするつもり?!」
なんとかしなきゃ!とりあえず時間稼ぎだッ!
でもクラスでも下から3番目の脳味噌しかもってないあたしがそんな短時間で
今、この現状から逃れる術など思いつくわけがなかった。
「舌をもらう理由?決まってるじゃないですか」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

「ビジネスの邪魔をされるわけにはいかないからです。もしお客様がわたくしの
ことを言いふらしたなら、わたくしの仕事に多大な支障をきたすからです。
ね、さゆみん☆」
「ハイ♪」
「て、てめぇらふざけんじゃねえッ!んな理由で舌引っこ抜かれてたまるか!!」
あたしは立ち上がると、胸に噛み付いている亀を掴んだ。
「ブギートレイン03ィッ!!!!」
ドゴオォッ!!!!!!!!!!!!!!
渾身の一撃だッ!!
「ぶぎゃッ!!!!!!!!!!!!」
ダメージはエリックに返って行く。彼は彼自身のスタンドのダメージを受けて、
あたしの家のドアを突き破って吹っ飛んだ!




45 :名無し募集中。。。:2005/09/10(土) 22:39:54 0
「どうだッ!あんたが舌を抜くってんなら、美貴は力ずくであんたをぶちのめす!
あんたの悪徳商法ッ!法律で裁けないのなら…」
あたしはエリックを、自らのスタンドと共に指差した。
「てめーは美貴が裁く!」
今の一撃がきいたのか、エリックは何も言わない。が、意識はあるようだ。
「…もう許さないの」
「え?」
ずっと黙って立っていたプリンセスさゆみんとかいう秘書がボソッと口を開いた。
「お前ッ!正々堂々戦ったエリックさんに乱暴して!!タダじゃおかないの!!」
正々堂々と…だとッ!このヘドな販売の仕方が正々堂々っだっつーの!?
「シャボン・クイーン!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドーン!!!!!!!!
「こ、こいつは…」
スタンド!?この女もスタンド使いだったのか!
しかもエリックの『エリザベス・キャメイ』と違って思いっきり戦闘タイプのスタンドっぽい!
しかし、やけに乙女チックな格好をしている。梨華ちゃんのザ☆ピースに
通じるものを感じた。
「ダメだよさゆ!手荒な手段は嫌いだと何度言ったらわかるんだ!早くそれを
しまいたまえッ!」
「う、う…エリックさん…」
こいつ…このエリックとかいう男…一体何を考えているんだ。
まともに戦えば、パワーはあたしのブギートレイン03の方が圧倒的に勝っている。
だが、それでもあくまで美貴の舌を抜く気だ。
恐ろしい…この男の「そこ」が恐ろしいッ!
46 :名無し募集中。。。:2005/09/10(土) 22:40:25 0
「あんた、何考えてるのかわかんないわ。あたしがその気になれば、今すぐ
この亀を叩き潰して、あんたを再起不能にだって出来んのよ?」
「その点ならダイジョーブ!なぜなら、あなたは『そんなことはできない』からだ」
「なんだって?」
エリックは立ち上がると、砂埃にまみれたスーツをパンパンと払った。
「お客様は最初にわたくしと『賭け』ましたよね?お客様が勝ったら僕は杜王町から出て行き、この仕事も
やめると。わたくしめが勝ったらお客様の舌を頂くと」
確かに、確かにそう言った。でも、そんなことで舌を抜かれたくはない。
「結果、わたくしのコールド勝ちでした…しかしお客様は、それはイヤだと暴れましたね?」
何が言いたいんだ、コイツ。確かにあたしは負けた!けど…
「今のあなたは、例えるならデパートで玩具を買ってもらえず、駄々をこねるお子様
そのものです」
イヤだ、賭けに負けたのは認めるけど…舌は抜かれたくなんかない!!
「けじめはつけてもらわないと、ね」

バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!

な、なんだ!急に舌を抜かれなきゃいけないような気になってきたぞ!!
「ハッ!」
ふと気づくと、亀は胸に噛み付くのをやめ、あたしの身体を上ってきていた!
「舌ヲ…モラ…ウ」
このスタンドッ!あたしの舌を抜くつもりだ!!ああッでもッ!舌は抜かれなきゃ
いけないような気がするッ!あたしは負けたからッ!!!!
「うっ…や、やめてッ…」
「わたくしは何もしていませんよ?お客様が負けを認めたのではないですか?」
そうか、これがヤツのホントの能力!!相手をその気にさせる能力ッ!



47 :名無し募集中。。。:2005/09/10(土) 22:41:20 0
「舌…モ…ラ…ウゾ」
亀の手がアゴを掴んだ!抜かれる!あたしの舌が引っこ抜かれる!!
誰か、助けてくれ…ッ!!
「うわあああああああああ!!ブギートレイン03ィィィィッ!!!!!!!」
プワアァァァァン!!!!
こ、この音…前もどこかで…

「どうします、勝負致しますか?」
えッ!!こ…これは…ッ!
あたしの目の前には、トランプをおでこの辺りに持ってきているエリックがいる。
その絵柄は…ハートの12。
も、戻ってきている!梨華ちゃんの時と同じでッ!また過去に戻っている!!
もし、そうなら…いや、絶対そうだ!あたしのカードは…ジョーカー!!!
「迷ってるなら勝負してみては?」
「ええ、そうね。勝負しますか」
するとエリックの表情が変わった。ニヤリ。
「お客様、本当によろしいのですか?」
「うん」
「本当に本当に?」
「うん」
「本当に本当に本当に本」
「しつこいよ。あたしは何と言われてもコイツでいく。あんたがパスしても
あたしが降りずにこれを出せば勝ち負けは決まるのよね?」
「え、ええ、まあ…」
あたしは自分の強運に感謝した。

 エリック亀造  杜王町から出て行く     プリンセスさゆみん  泣く泣く会社に残る
 スタンド名:エリザベス・キャメイ(健在)    スタンド名:シャボン・クイーン(能力は不明)