33 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/21(金) 04:16:44 0

銀色の永遠 〜夢の世界へようこそ〜


「よしッ今日も可愛い!!」
私の名前は道重さゆみ。
ぶどうヶ丘中学の三年生なの。
可愛さでいえば、高校も含めて一番だと思うの。
さゆを越える女なんて、まずいないの。
下手すると、杜王町で…いや日本で一番可愛いかも知れないの。
これは困ったの…♪




34 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/21(金) 04:19:18 0

最近、私は学校へ登校する前に、よく寄り道しているの。
もちろん今日も。
「あーあ、遅刻しちゃいそうなの」
ま、いっか。
私は毎朝のように、海岸へと足を運んでいた。
今日も…いるといいな。
「…いた」
白い帽子と学ランを思わせるようなジャケットを羽織った
すっごい男前な人が、ここのところ海岸で何かを調べているようなの。
毎日見てるから、何を調べてるのかわかりかけてきたの。
あれはヒトデだ…あのお兄さん、ヒトデを調べているみたいなの…。
「か…カッコいいの…ドキドキ」
海岸の近くにある大きな木に身を隠し、私はいつもその男前なお兄さんを眺めていた。
距離もそんなに離れてないから、見つかっちゃったら恥ずかしいの。
ああッ!横顔見えた!!ステキなの…ドキドキ
や、やばい…将来はあんなお兄さんみたいな王子様に迎えに来て欲しいの!!
っていうかあの人がいい!!
そんなわけで、今日からアプローチすることに決めたの!
私は抱えていたカゴを、その大きな木の枝に引っ掛けた。
カゴの中味はサクランボ。
隣通し、あなたと私、サクランボ♪
いい詞なの…あのお兄さん、さゆのプレゼントに気付いてくれるかな。



35 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/21(金) 04:21:19 0

パキッ!

「あっ」
しまった!!
足元に落ちていた小枝を踏んづけちまったの!!
お、音立てちゃったのッ!!!
お兄さんが音に気付いて、私の方を見た。

う、うわあああああああああああああああああああ…カァァァァァッ!!!!

めっちゃ恥ずかしいの!!
ジッと見てたのバレちゃったかも!
私は思わずパタパタと駆け足でその場から逃げ出した。
でも…
「やったの!顔覚えてもらったかも知れないの!!」
そういえば、紺野さんが前にこんなことを言っていたの。

『人生が転がる石のようなものであるとすれば、
その動きの流れを良いように解釈して楽しむと言うのは、
運命の奴隷である人間に出来るささやかな抵抗だ』

私の場合、今のはむしろ好都合だったかも知れない。
顔も見られたし、きっとプレゼントにも気付いてくれたの。
そうだ、さゆはツイているの。



36 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/21(金) 04:22:57 0

それにね、あのサクランボのカゴの中には、私直筆の手紙が入ってるの。
なんて書いたの…って?
えへへ、秘密☆
さ、この足で学校へ急ぐの。
今からなら一時間目には間に合うハズなのッ!

パタパタパタ…


「…フゥ。やっと…やっと見つけられそうだぜ。今の女は…あの男の
知り合いだろうか?それにしても、日本のタバコってまじぃな」

スッパァ〜…


75 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/22(土) 02:23:50 0

「さゆみんまた遅刻〜?」
「さゆ〜、先生が怒ってたよ。これで三回連続だって」
「謝りに行った方がいいんじゃない?」

一時間目が始まるギリギリに教室に到着した私を、クラスメイトが口々に迎えた。
「うーん、授業終わってから謝りに行けばいいの」
ああ、疲れたの。
走って登校するってのは、かなりの体力の消耗なの。
お腹も空いてきたし。
でも、それでもいいの。
今は、王子様のために生きるの!!

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!

授業が始まると、私は頬杖をついて社会科の教科書の文字の羅列を目で追っていた。
先生はそれをちんたらちんたら読んで説明している。
あーあ、シマンネ。
公民なんかに興味ないの。
カクン…カクン…
なんだかウトウトしてきたの。
ここんとこ、早起きしてたもんなぁ…
さゆは受験生だけど、ぶどうヶ丘高校に推薦で行くつもりだから、
別に授業マジメに聞かなくてもいっか。
一時間だけ…一時間…

スー…スー…



76 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/22(土) 02:28:49 0

ゴン…ゴゴゴン…ゴゴン…

「…ぅん?」
私は重たい音に気がついて、目を覚ました。
なんの音だろう…って、アレ?
さゆは今、教室で居眠りしちゃおうと目を閉じて…うん、教室にいたハズなの。
でも、ここは教室じゃないの。
窓の外から景色を見ると、そこにはメリーゴーランドやコーヒーカップがあった。
「なんだろう、ここ。ここは…遊園地?」

ゴゴン…ゴゴ…ゴゴォン…

この音は遊園地の観覧車が動く音か。
私、観覧車に乗ってるんだ。
でも、ここはどこの遊園地かな。初めてくる場所みたいだけど…
それよりも、どうしてさゆは観覧車なんかに乗っているんだろう。
「おかしいの…私は教室にいたはずなのに…」
格好は制服のまんまだし…それに何より奇妙なのは、この大きな遊園地に
人っ子一人見当たらないことなの。
あ…なるほど。
「これは夢なの」
わかってしまえば奇妙でもなんでもない。
そういえば、夢の中で意識を持つと何でも自由に出来るという話を
聞いたことがあるの。
「こりゃいいの。夢の世界でも満喫するの♪」
私はイスに踏ん反り返り、観覧車の天井を見つめていた。



77 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/22(土) 02:30:22 0
ぐぐぅ〜…

そういえば、お腹空いてたんだっけ。
ポンッ。
「おお〜っと。いつの間にか明太スパロールがさゆの手の中にあるの」
こりゃ便利なの。
めちゃめちゃ楽しくなってきたのッ!!
「ムシャムシャ…ウマー」
夢の世界で意識が持てるなんて、そうあることじゃないの。
もっといろんなことをしておくの。
チラリと外を見ると、窓ガラスで反射した自分の顔が見えた。
よし、今日も可愛いッ。
でもこの髪型も飽きたなぁ…アシンメトリーとかちょっと興味あるの。
イメチェン…悪くないの。
ああッでも!!
けっきょく可愛いのに変わりはないからイメチェンにならないかも…。
そうやって、じーっと窓に映っていた自分の姿を見ていた。

ボンッ!!!

「うわあーッ!!」
窓に映った私の鼻が、いきなりでかくなったの!!
か、可愛くない可愛くないッ!!!!
「え?えッ?」
慌てて自分の鼻を触って確かめてみる。
なんだ…元の大きさのまんまなの。
「あー、ビックリした」
さすが夢、とでも言うべきなの。



78 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/22(土) 02:31:58 0

『ラリホォー』

「え?」
今、なんか聞こえたの。
誰?さゆの他にも誰かいるの?
私は辺りを見回すが、観覧車の中には誰もいない。
「なんか気味悪くなってきたの…」
…ん?
なんだか明太スパロールを握っている手がくすぐったいの。
まるで何かが這っているような…
ふと視線を落とすと、スパゲティーがミミズに変わっていた。

ニュロニュロ…

「おわあああああああッ!!!!」
ミミズがいっぱいパンに挟まれてやがるのッ!!
なんなのコレは!?
さゆ、ミミズ食ってたってことなの!!?
「な、なんだこの夢はあぁぁぁぁッ!!」

『ムッヒュッヒュッヒュ…夢の世界へようこそ…』

「誰!?さっきからどこにいるの!!?」
声は耳元から聞こえてくるようだけど、ここには誰もいないのッ。
チラリと窓に映った自分を見る。
だが、その姿は私の物ではなかった。

『さっきからここにいるんだよおぉ…ラリホォォォォォォォ〜っ!!!』



79 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/22(土) 02:34:57 0

「ひぃやああああああああああああああああああああッ!!!!」
私は思わず叫び声をあげてしまう。
ピエロみたいな顔したヤツがいるの!!
すごい不気味なの!!!超怖いの!!!!

グジュルグジュル…ドギャアアアン!!

「ひィッ!!」
窓に映っていた不気味なピエロみたいなヤツが、ぬるりと窓から
飛び出して来たの!!
そして、私に手を伸ばしてくる。
「うわああああああああああああああッ!!!!!」
なんだこの夢はあああッ!!
不気味だ!不気味すぎるッ!!は、早く覚めてほしいのッ!!!

ガシィッ!!

く、首をつかまれた!!
恐怖で…声も…出せない…のッ!!!
『ラリホー。ちょっとおたくに聞きたいことがあるんだけど』
「ひ…ひィん…ッ!!」

キーンコーンカーンコーン…

チャ…チャイムの音が…聞こえてきた…ッ。

フワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア…

『ちッ、おしい…これからだって時によ…ラリホー』




80 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/22(土) 02:36:57 0

…ハッ!!

教室がザワついているってことは…休み時間か。
目が覚めた…みたいなの。
「さゆみん、爆睡じゃん。つーか寝汗すごいよ?」
友達の一人が声をかけてきた。
「…怖い夢をみたの」
「怖い夢?お化けでも出てきたの?」
「それが…思い出せないの。けど、とにかく恐ろしかったの…」
自分でもよくわからないけど…まあ夢で良かったの。
さ、早弁でもしよっと。
お昼はサンジェルマンでパンでも買えばいいの。


124 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/23(日) 03:44:58 0

お母さんのお弁当って、おいしいの。
こういうのに慣れちゃうと、駅弁とかコンビニのお弁当がまずく感じて
食べられくなるんだよなぁ。
たまにはお姉ちゃんの作ったお弁当が食べたい。
お姉ちゃん…今どこで何してるの?
「いや〜、やっぱ高等部の高橋先輩って可愛いよな。彼氏いんのかな?」
「ハァ?お前、時代はC組のれいなだろ。遅れてんなw」
「俺小ヤンキーになんて興味ねぇし」
教室に、いつも集団でトイレに行ってる男子が戻ってきた。
どーでもいいけど、なんで男子って集団でおしっこいくんだろ?
身体の構造が同じなのかな?
「やば、もうすぐ休み時間終わっちゃうの」
私は食べかけのお弁当に蓋をすると席を立った。
「さゆみん、どこ行くの?もう授業始まるよ?」
「ちょっとおトイレ」
とっとと済ませなきゃなの。
「ふわぁ〜あ」
廊下ででかいアクビを一発。
なんかご飯食べたら眠くなってきたの。
…ん?なんか視線を感じるの。
視線を感じたその先を見ると、見慣れない男の子が壁によっかかって
私を見ていた。
色黒で、日本人ではないみたい。外人かな?
つーか、明らかにこの学校の子じゃないの。
私服だし…さゆより年下に見えるの。



125 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/23(日) 03:46:43 0

「クチャクチャ」
ガムを噛んでるみたいなの。
「ニヤッ」
あ、男の子が笑った。
なんか牙みたいのが見えたような気がするけど…とりあえず笑い返しておくの。
「ニコッ」
やれやれなの、こんな子供まで虜にしちゃうなんて…私ったら罪な女なの。
「…フン」
あれ、なんか今すごい嫌そうな顔されたの。
その外人の男の子は私に背を向けると、歩き出してどこかへ行ってしまった。

キーンコーンカーンコーン…

「あッ!!チャイム鳴っちゃった!!!」
もおぉッ!おトイレ行きそこなったの!!
あのクソガキ!!
私は急いで教室に戻っていった。
席に着き、急いで授業の支度をする。
でも、なんで学校にあんな子がいたんだろう…?ちょっと不気味。
「ねぇねぇ」
気になった私は、隣の席の男の子に話しかけた。
「うわッ!道重さんが俺に声かけてくるなんて!!」
「さっき廊下で私服の男の子見たんだけど、これって先生に言った方がいいのかな?」
「なんだそんな話かよ。今日、校内見学の日なんだってさ。だから小六の
ガキンチョがたくさん来るみたいな事を朝のHRで先生が言ってたよ」
「あ、そうなんだ」
私、遅刻したから朝のHR出てないんだよね〜。
じゃあさっきの外人の子供は小学六年生かなぁ、ちょっとガラ悪かったな。
ガララッ…
先生が教室に入ってきたところで、私はその事について考えるのをやめた。



126 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/23(日) 03:47:55 0

あ〜、生物の授業よくわかんないの。
遺伝子ってなによ。
優性だの劣勢だのってなによ。
優性の方が良さそうな響きするけど。
そういえばおトイレ行き忘れたなぁ、授業終わったらすぐ行こう。
…なんだか眠くなってきたの。
早弁、失敗だったかなぁ…。
私は机に突っ伏した。
「道重さん、また寝るの?」
隣の男子が何か言ったみたいだけど、眠いから無視しておいた。
「……」

スー…スー…


127 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/23(日) 03:49:35 0

バシャアアアアアアアアアアアン!!

「あっ!!」
観覧車の中だ…ここは遊園地!?
つ、続いてる…さっきの夢が続いているッ!!?
「さっき見た夢の続きだなんてッ!!」
夢の中にいるっていうの?
さゆはまた夢の中に…ッ!?
外を見ると、誰もいないはずの地上から色とりどりの風船が空へ昇ってきた。
なんとなく、私は手の届きそうな赤い風船に手を伸ばしてつかんだ。
風船のヒモの先に、カードが着いている。
「これは…」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

た、タロットカード…?
その暗示は…
「死神ッ!?」
『DEATH 13』って書いてあるのッ!!!

ウジュルウジュル…

カードの中にいるカマを持った死神が、妙な立体感を帯びてくる。
このカードは…このカードの絵は…わああああああああああああああッ!!!

『ラリホォォォォォォォォォォォォォォ〜ッ!!!!!!!!!!!!』
ドギャアアアアアアアアアアアア〜ンンン!!!!

「いやあああああああああああああああああッ!!!」
悪夢なの!!
さっきの夢の続きなんて見たかねぇーのッ!!


128 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/23(日) 03:51:06 0

ガシィッ!!

うわあッ!また首をつかまれた!!!
『さ、今度こそ<覚めちまう>前に質問するかな』
すげえ気味悪いの!不快なの!!
なんだかわかんないけど、この手を離させよう!!
私のスタンド『シャボン・イール』で吹っ飛ばしてやるのッ!!!
「出るのッ!シャボン・イール!!!」

シィーン…ズモモモモモモモモ…

「出ない!!スタンドが出せないのッ!!?」
『やっぱりスタンド使いか。空条承太郎の知り合いのようだし、
不思議でもないけどよ』
これは…コイツはスタンドなの!?
それに空条承太郎って…だれ?

ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッド…

『だが…俺は空条承太郎には興味ないぜ。ラリホォー!俺が探しているのは…』
ピエロを思わせる顔をした死神の顔がすごい勢いでグルグル回りだす。
ダガダガダガダガダガダガダガダガダガ…
うぅ、どこからか小太鼓を叩いてる音が…ッ!
『コイツ、ただ一人ッ!!』

ジャアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!



129 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/23(日) 03:53:28 0

シンバルの大きな音がすると、死神の顔が男の人の顔に変わった。
でも、見たことないの。
『ラリホゥ。コイツのいる場所を教えろ』
そんなこと言われても、さゆにはこんな赤い髪のキザッぽそうなイイ男の
知り合いなんていないの。
「し、知らないの…」

ドガアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!

そう言うと、死神の顔が元に戻って、観覧車の壁に私を叩き付けた!
「ひいぃッ」
思わず震え上がってしまうの。
『ヘイヘイヘイヘイ!知らねーとか信じるわけねーだろうがこのダボがッ!!』
「ほ、本当に知らないの!!」
『嘘つくな』
「マジなの!!」

ジャキイイイイインッ!!

し、死神が私のホッペにカマの刃先を突き立ててきたのッ!
怖い!!超怖いの!!
おしっこも引っ込みそうなの!!!
『こっちはなぁ!お前のためにわざわざ来てたくもねー学校に来てんだよ!!
あああッ、早く一服してえ。ガムじゃ満足できねーぜ。
早く教えないとその大事な顔に傷つけちゃうよぉぉぉぉぉぉん?』
が、学校に来ているだって…ッ!
ガムじゃ満足できない…?
私の脳裏に、さっき廊下で出会ったガラの悪そうな男の子の姿が過ぎった。
まさか…



130 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/23(日) 03:56:44 0

「まさか…コイツの本体はさっきの…」
『早く言え』

ピリッ…

「ひゃああああああああああああああああああッ!!!」
『おっと、動くとホッペの皮がもっと大胆に裂けるぜ?ラリホー』
ホントに傷つけやがった!!
な、なんて恐ろしいヤツなの!?
スタンドも出せないし…なんてことなのッ!!
「信じられないの…あんな小さい子が…こんな恐ろしいスタンドを使うなんてッ!!
まだ小六ぐらいなのに…」
『11歳だ。イレブンイヤーズッ!!もうすぐ12歳になるけどな。
あの男と出会ったのも11年前の、俺が11ヶ月の時さ!天才なんだよ、俺は!
見た目はガキだが厨房のお前よりずっと頭はいいし、物も知ってるぜ?』
11歳ィィィィッ!?
しかも11年前の11ヶ月の時って…コイツいつから物心ついたんだ!!?
それに一体いつからスタンド使いだったっていうのッ!?



131 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/23(日) 03:58:35 0

「ひ…ひ…ッ!!」
『ビビってないで早く教えろよ。早く言わないとお前の目ン玉ほじくって鼻の穴に
詰めて窒息させるぜ?それとも、俺の目玉がいいかい?ラリホー』

ドロロロォォォォォォォォォォォン…ボトボト

うわあッ!!
死神の笑ってるような目の穴から、目玉がボトボトさゆの顔に落ちてきたの。
「いやあああああッ!!気持ち悪いッ!!!!!!!」
『ほらほら、早く言えよ。言えばやめてやるよ。ラリホォォォーッ!!』
「お…おうえぇぇぇぇぇぇ」
口の中に入ってくるうぅぅぅぅッ!!!

…ちし…ん…み…しげさ…

フワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア…


『だああああっもうッ!!目ェ覚ますんじゃねえ!!!
このクソガキがあああああああああああッ!!!』



132 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/23(日) 04:00:05 0

「道重さん!!!」

ガバアッ!!

「…先生?」
「道重さん。具合でも悪いの?…寝るのは勝手ですけどね、呻き声とか
出すなら保健室行きなさい!マジメにやってる人だっているのよ!?」
「ご、ゴメンなさいなの…」
なんだ…夢か…。
内容は思い出せないけど…すごい恐ろしい夢だったような気がするの。
「道重さん、大丈夫?汗びっしょりだよ」
隣の席の男子が、心配そうに小声で尋ねてくる。
「うん…ちょっと怖い夢見ただけなの…覚えてないけど…」
でも、夢だったわけだし。
こうして私は、平和な学校で平和な時間を送っている。
…なんだか、安心したらおトイレ行きたくなってきた。
「先生ッ!!おトイレ行ってきていいですか?」
「もう…それくらい授業始まる前に行っておきなさい。いいわよ」
「ごめんなさぁい」
私はなんとなくスキップして、おトイレまで行った。
何かヤバイこと忘れてしまってる気がするけど…まぁいいか。
トイレを済ませて鏡を見ると、ホッペに傷がついていた。
「えッ…え?さゆの顔に…傷が…」
そんな…超ショックなの。
なんでホッペにこんな傷が…どっかに引っ掛けたのかな。


168 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/24(月) 01:39:26 0

放課後。
私は久々に部活に出ることにしたの。
でも、午後はマジメに授業受けていたのでちょっと眠いの。
うーん、入院しててしばらく出てなかったからな。小春ちゃんや絵里とは
会ってたけど、ちょっと緊張するの。
「こんにちは〜なの」
相変わらずきったねー部室なの。
しかも酷くなってる。
窓ガラスや蛍光灯が新しくなってるところを見ると、これは部室で誰かが
大暴れしたに違いないの。
それにしても、相変わらず人がいないの。
部室の隅で、高橋さんが雑誌を読んでいるが、どうやら来ているのは
彼女だけのようなの。
「おっ、さゆじゃン!ヒサブリ。怪我はもういいの?」
「はい、だいぶよくなったんで。あ、クラスの男の子が高橋さんのこと
可愛いって言ってましたよ」
「へェー」
さて、部室に来たはいいが何しよっかな。
なんか特に活動することなさそうだし…。
私は空いていた席に座り、ボーッとしていた。
あぁ眠い…そうだ、一発芸でも考えてみるの。
例えば、あそこに置いてある小道具のフライパンやフラフープ…

うーん…

コクリ…コクリ…

カクン…

スー…スー…



169 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/24(月) 01:40:14 0


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

『この世界から逃れることは出来んッ!!ラリホォ〜ッ!!!!!!!』

ドッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!!




170 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/24(月) 01:42:19 0

「うわあああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!」
私は恐怖のあまり叫び声を上げた。
「さ、さゆ…?」

ズルッ!!ガクッドシャアアアアアアアアアッ!!!!!!!!

思わず席を立ったが、その勢いで思いっきりひっくり返ったの。
「うわああああああああああああああああああああああ!!!!」
「しげッ!!!!!!!」
ハッ!?
…なんだ、夢か。
なんだか今日の私、すごく変なの。
「ど、どーしたン?男みてェーな声出して」
「うぅ、わからないの…ただ」
「ただ?」
「一瞬だけど、とてつもなく恐ろしい夢を見たのは確かなの」
だけど、それが思い出せない。
今日だけで三回目なの…こんな思いをするのは。
高橋さんはそんな私を見て、「疲れてンじゃない?」と言うと、私に帰るよう指示した。

で…でも…何か恐ろしい夢を見たってのは確かなの。
しかも何度も。
目が覚めると、死ぬほど疲れているし…
まあ、早起きしてたからな、最近。
しかし…。
私はカバンから携帯電話を取り出し、電話帳を開いた。



171 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/24(月) 01:44:00 0

「今日はいきなり呼んでごめんなの」
「いや〜いいって、僕もさゆとお泊りしたいなーって思ってたんだ!!」
その夜、私は絵里を家に呼んだの。
とにかく、今日は寝ると必ず思い出せないくらい恐ろしい夢を見てるの。
先生も言ってたけど、呻き声とかあげてるらしいし…
だから怖い夢を見続けないよう、もし私が寝てるとき、苦しそうな顔をして
呻き声たてたら叩き起こして欲しいと絵里に頼んだの。
「頼んでおいてアレなんだけど、もし眠くなったら寝ちゃってもいいからね」
「ん、僕は大丈夫!こう見えても夜更かしさんだからね。それにしても、
レミーちゃんって僕が触るとしょ〜がなくなついてやってるって感じがするなぁ。
まだ初めて会った時の事、根に持ってんの?あれは油断かまして目つぶってた
キミが悪いんだよ」
絵里が布団の中で、身体に包帯を巻いたウサギのレミーちゃんと戯れている。
確かに、すごくだるそうな顔してるの。
レミーちゃんの態度、明らかにさゆの時と違って楽しくなさそう。
「まったく…僕が<亀>だからナメられてるのかなぁ?」
そういえば、『ウサギとカメ』っていう童話あったなぁ。
油断してたウサギが、地道なカメに負けちゃう話だった気がする。
この一人と一羽の闘いって、どんなだったんだろう。
その勝負に負けたから、レミーちゃんは絵里に逆らわないのかな。
すごくかったるそうだけど。


172 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/24(月) 01:45:20 0

「なんかウケるの」
「うるさいなぁw…さゆ、そろそろ寝たいんじゃない?」
「え、なんで?」
「すごく眠そうな目してるよ」
絵里はよく気付くなぁ、なんでだろ。
昔はそんなでもなかったのに。
「明かり消そうか?」
「うん、そうしてほしいの…絵里、ホントに座敷布団でいいの?こっち
来てもいいんだよ?」
そう言って、私はベッドをポンポン叩いた。
「い、いいい、いや、僕はここでいいよ。いろんな意味でやばいもん」
「はぁ?」
まあ、いいか。
電気が消えると、眠気は最高潮にまであがる。
あんま寝たくないハズなのに、瞼がどんどん仲良くなっていくの。
頼むから怖い夢だけは…勘弁なの。

……

ウツラウツラ…



173 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/24(月) 01:47:41 0

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

せっかくアトつけて窓のすぐ外のでかい木に隠れたってのによ…
友達を家に泊めるとはッ!このクソ女!!
俺のスタンド『死神13(デスサーティン)』は無敵だが…
外で誰かが起こしたら逃げられちまう!!
めんどくせえ、こんなめんどくせぇことになるなんて。

シュボッ…スッパァ〜

だが…絶対聞き出してやるぜ。
俺の目的はそれだけだ。
ちくしょうッ!ショートヘアーの女、早く寝やがれってんだ!
オメーが起きてるとこっちは集中できねーンだよッバーカ!!
ん、あの女の方は…もう寝に入ったみてーだな。
しかたねェ…よし。

『ラリホォォォォォォォォォォォォォ〜ッ!!!!!!!!!!!!!』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

181 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/24(月) 04:56:43 0

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

「…ハッ!」
ここは…そうだッ!!
「夢!?夢の世界なの!!お、思い出したの…」
ここは夢の中なの…そう、悪夢の。
スタンド使いが作りだした…悪夢世界(ナイトメアーワールド)ッ!!

『ケケケケケケーッ』
ポストが笑ってるの!!

『ドヒャヒャヒャヒャヒャーッ』
お花さん達が踊ってるの!!

今度は観覧車じゃなくて地上の方に降りたみたいだけど…
これは気持ち悪すぎるの!!
『ドッヒャヒャノヒャーンッ!!!!』
お花さんが大笑いしながら私を近寄ってくる。
か、可愛くない!!コイツら全ッ然可愛くないのッ!!
「やだああああああああッ!!」
思わず走りだしてしまう。
どうする…ここは夢の中なんだ!走ってもどこにも逃げられないの!!
これならまだ観覧車の中の方がマシ…

…ん?

か、観覧車といえば…



182 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/24(月) 04:59:21 0

ズオォォォォォォォォォォォォォォォォォォ…

『ラリホォォォォォォォォォォォォォォ〜ッ!!!!!!!!!!!』

「ひゃああああああああああああああああああああああっ!!!!!」
うわ出たああああああああああああああああッ!!
この世界は…コイツの世界だったああああ!!!
「来ないで!!お願いなのッ!!!!!」
私は走り出そうとするが、何かが足に巻きついた感触を感じ、その足を止めた。
そーっと足を見てみると…緑色の紐のようなものが、まるでヘビのように
ふくらはぎまで絡み付いてきている。
「なんだこれはッ!うわあああああああああああああああッ!!!!!」
そのヘビが段々と纏まりだして、塊になっていく。
人の形をしたものに。
「緑色でスジがあって…まるで光ったメロンなの。これは…」
スタンド…かな?
でも、誰のスタンド?
『ラリホーッ!!その表情ッ!何か知ってそうな顔だな!!!』
その光ったメロンみたいなものの顔が、いきなり死神の顔に変わった。
「わあああああああああああああああああああああああッ!!!!!!」
『そいつを知ってるんだろ!?花京院の<法皇の緑(ハイエロファントグリーン)>ッ!!
ほらほら!!早くヤツの居場所を吐けよ!!!!』
カキョーイン!?はいえろふぁんとぉぉぉッ!!?
知らねええええのッ!!!
マジで知らねえの!!!!!!!
こ、声が…恐怖で声がでな…
誰か…

トットットットットットットッ…


183 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/24(月) 05:00:36 0

軽快な足音がこっちに向かってくる。
今度は…なに?

「どらああああああああああああああああああああッ!!!!!!!!!!」
『ラッ…!?』

死神に飛び掛る小さな影。
それは…

「レミーちゃん!!!!!!?」

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!



184 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/24(月) 05:01:29 0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「う、うぅ…」
さゆは…呻き声出したりたら起こせなんて言ってたけど…
今がまさにその時だ。
こんなに早く、その時がくるなんて…。
どんな夢を見てるんだろう、彼女は。
とにかく、苦しそうな声を出してるし…起こそう。
僕は起き上がると、さゆのベッドに近づいた。
「さゆ?だいじょう…」
「う…うぅ…〜ん…」

ドキッ!!!!!!!!!!!!!

こんな時に…不謹慎だけどさ。
呻き声あげてるさゆって、色っぽい。
喘いでるような…そんな感じでなんだかじれったい。
ま、待てよ!!
なに考えてるんだ僕は。
起こすのがもったいないとか考えちゃダメなんだ!!
好きな子が怖い夢見てるかもしれないんだぞ!!?
「うぅ…あ」

ビクッ!!!!!!!!!!

「さゆ、ごめんね。ごめんね」
君は同性だからってんで考えてもいないと思うけど…
僕はもう、理性に勝てそうもないや。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


185 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/24(月) 05:03:35 0

死神が突然現れたレミーちゃんに驚いたのか、一瞬にして
消えていなくなった。
「レミーちゃん…」
よかった、こんな夢の中でこの子に会えるなんて…超嬉しいの。
私は、この子を力いっぱいギュッと抱きしめる。
「レミーちゃん、怖かったの」
「いて…いててててててててててててててててッ!!!」
…は?
喋った?
「うわああああああああああああああッ!!!!」
ビックリして、思わず抱きしめていたレミーちゃんを投げ捨てる。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?」
しゃ、喋ったの!!
ウサギが喋ってるの!!!
「あぶネェッ!!けが人になんちゅーことをッ!!!?」
「な、なんで…口聞けるの?もしかして…夢だから?」
夢って、ここまでなんでもアリでいいの?
「夢…?さゆみ、いま夢って言ったのか?」
私はレミーちゃんの質問にコクリと頷く。
なんか…とても奇妙な感じなの。
「なんだ、夢か。そーだよな、俺とさゆみが会話できるわけねーもん。
何事かと思ったけどよ…まあ夢とわかったことだし、ゴロゴロすっかな」
「ちょ、おまッ!!これは夢じゃないの!!悪夢世界!!!
スタンド攻撃なのッ!?」
「スタンド?何がだよ?」



186 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/24(月) 05:05:01 0

「だからね、これはつまり…」

『ラリホォォォォォォォォォォォォォォォ〜ッ!!!!!!!!!!!!』

うわああッ!!出たなの!!!!!!!!!
「うおおぉ、なんだコイツ」
『ケヒャヒャ。お前の部屋のウサギも俺の世界に入ってきたようだな!!
最も、会話できるようにしたのは俺だがね。ちょっと変わった趣向でステキだろう?
さ…ここまでしてやったんだ。そろそろ、ヤツの居場所を吐くよな?』
コイツは…一体何の話をしているんだろう…。
わからない、わからないの…。
「ごめんなさい…本当になんの話だかわからないの…」
『……』
死神が黙る。
わかって…くれただろうか?
『こりゃあ困った…<質問>を<拷問>に変えないといけないらしいな…』
…え?
『ラリホオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!!!!!』
わ、わかってねええええええええええのッ!!!?

フォン!フォンフォン!!!

そして死神は…どこからか取り出した大鎌を、勢いよく振り回し始めたの!!!


273 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/25(火) 03:23:28 0

「なんだコイツはッ!!うわあああああああああああ…なんて言うとでも
思ったのかバーカ。夢にビビるほど俺は気弱じゃねーよ!!」
こ、このバカうさぎッ!!
レミーちゃんってこういう性格だったの!?
『俺はウサギになんか用はないんだよ。バラバラにしちまうぞゴルァ!!!!』
「やってみろ…このレミーに対して!!出ろッブック・サーカス!!!!」

ボンッ!!

「わああッ!レミーちゃんの耳がぁッ!?」
でっかくなったの!!
もちろん、スタンドは発現されていない。
「うおあああッ!!俺様の耳があああッ!!!!?」
『キサマらは死神世界の夢の中にいるんだよッ!ここでは俺がルールなのさ!!
ラリホォーッ!!!!!』
なんてことなの!
逃げることは絶対不可能ッ!!
私のホッペに傷がついていたことからして、恐らくここで受けたダメージは
そのまま現実の世界へ持ち越されるみたいなの。
しかもここではスタンドも出せず、目が覚めたら全てを忘れてしまう…
さ、最強のスタンドなの!!
もしコイツがその気になってしまったら…

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…



274 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/25(火) 03:25:12 0

…ん?
なんだかうなじの辺りがくすぐったいの。
そっと手を置いて見ると…
モゾモゾ…
「うわあああッ!!さゆみの髪の毛が動いてるのッ!!!!」

シュルシュルシュルシュルッ!!!バシィッ!!!!!!

私の綺麗な黒髪が急激に伸び始め、私の両腕に絡まる。
「縛られたのッ!!」
な、なんてことなのッ!!
「可愛くないッ!!こんなの全ッ然可愛くない!!!」
「かっこよくねぇッ!!こんなでかい耳なんざ全ッ然かっこよくねぇ!!!」
私とレミーちゃんは口々に自分の身体に起きた異変に驚愕した。
ギュッギュウゥゥゥゥゥ…
うぅ、自分の髪が…自分の腕を締めあげてるの…ッ。
『可愛くないだのかっこよくねぇだの…お前等自分が元々イケてるとでも
思ってたのか?このナルシストどもめ』
「「ナルシストの何が悪いッ!!」」
私とレミーちゃんの声がハモッた。

「自分にも酔えない人が大きなこと出来た試しはないのッ!!」
「自分にも酔えない奴がでかいこと出来た試しはねぇんだぜ!?」

『ら、ラリホー…ペットは飼い主に似るっつーが、ここまでとはな』
死神は苦笑いしているようだった。



275 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/25(火) 03:26:35 0

とにかく、この状況をなんとかしなければ…。
スタンドは出せない…この世界から逃れる方法はないの!?
『まぁいい、とりあえずこのウサ公からバラすことにしよう』
死神は大鎌の刃先をレミーちゃんに向けた。
「う、うわあああああああッ!何する気だテメーッ!!!」
『この女がいつまで経ってもヤツの居場所を吐かないからな。この女が
悪いんだ。この女の責任だ。恨むならご主人様を恨め。ラリホー』
もし、このホッペの傷ように、ここで出来た傷が現実へ持ち越されるとしたら…
目が覚めた時レミーちゃんは…

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

「うおぉぉぉぉぉぉぉッ!!耳が重たくて動けねえッ!!!」
大鎌の刃がレミーちゃんの首にかかる。
「うわああああああああああやめろぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!!!!!!」
『ブッタ切れろーッ!!!』

「ちょっと待つの!!!!!!!!!!!!!!!」

レミーちゃんの危機に思わず叫ぶ。
『…やっと喋る気になったかい?』
うぅ…喋るも何も、何も知らないの。
髪の毛は私の腕を拘束したままだし…手も足も出ない。
でも、このままじゃレミーちゃんがやられちゃう…どうする?
と、とりあえず時間稼ぎするのッ!



276 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/25(火) 03:28:15 0

「そ、その…その人を探してどうするの?」
うわあ、すげー微妙な質問しちゃったの。
『…知りたいか?ラリホー』
の、乗ってきたの…ッ。
私はコクコクと頷く。
よし、この隙に打開策を練るの!!!

『俺はな…屈辱を晴らすためにわざわざ日本に来たのさ。ラリホー。
十一年前、あの男に自分の<クソ>を食わされたっていう屈辱を晴らしにな。
殺しはしねぇ…この屈辱を晴らすためには…ヤツにもそれ相応な屈辱を
味あわせてやるんだ!!ラリホオォーッ!!』

「それは復讐ってこと?復讐からは何も生まれないの!!考え直すのッ!?」

『うるせーぞこのガキッ!ヤツは何も出来ない俺の飯の中に<クソ>を混ぜて食わせた!!
テメーにはわからんだろうよッ!この劣等感!!この劣等感抱えて俺は十一年も
生きてきたんだ!!ヤツに俺以上の屈辱を味合わせてやった時ッ!!
初めて俺は本当の<天才児>として名を成す男になるッ!!!!!!!!!!』

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!




277 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/25(火) 03:29:12 0

『ラリホォォォーッ!わかったなら吐け!!ヤツの…花京院の居場所をなぁッ!!』
「どうして!?どうしてさゆみに訊くの!!?」
『お前が空条承太郎の仲間と見たからだ!!』
その、空条承太郎ってのがわからない。
この死神を操ってる少年(たぶん)は…私を誰かと間違っているんじゃないだろうか?
「空条承太郎って…誰?」
『まだとぼけるのか?俺は見てたんだよ、海岸にお前と承太郎がいるとこをなぁ!!』
海岸に…私と?
まさか…あの白いジャケットのお兄さんがそうなの?
本名、初めて知ったの。
『承太郎は抜け目ないヤツなのさ…一度出会った相手だし、例え夢の中とはいえ
あいつに聞き出したらすぐ足をつかれちまう。さあ、もういいだろう!!吐け!!
早くしないと、このウサ公の首撥ねて内臓くり抜くぜ?ラリホ〜ッ!!!!』
れ、レミーちゃんがやられるッ!!
レミーちゃんが大鎌に首を撥ねられる!!!
くそっ、打開策も思いつかないの…どうしたら…どうしたらいいのッ!?
「うわあああッ!!さゆ」
「お願いッ!もうやめ」
『ムッヒョッヒョ!ラリ』

…………シーン




278 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/25(火) 03:30:35 0

あれッ?
音が…この世界の音が…
なにも聞こえなくなった?
死神がキョロキョロしている…何かを探しているというか…
なんだか焦っているようだ。
ボボンッ。
突然、私の髪の毛も、レミーちゃんの耳も元に戻る。
一体何が起きたの?
音が何も聞こえなくなるなんて…
…ん?音が聞こえなくなるってことは…まさか…。

シュワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア…

「あッ!」
音が元に戻ったの!!
そうか!音が聞こえなくなった原因がわかったのッ!!
「あれはッ!?」
あそこに浮いているは…絵里の<サイレント・エリーゼ>ッ!!!
『バカな!!無防備な精神を<死神13>で包み込んでいるというのに…
なんで他のスタンドがいやがんだあああッ!?』

ドヒュウウウウウウン!!

死神がうろたえ、宙に舞う。
『夢の世界にスタンドを持ち込んだなんて…まさかッ!!?』
「えぇッ!!夢の世界だって!?これ、夢の中なの!!?」
メリーゴーランドに乗っている、見慣れたショートヘアーの女の子。
ほんのちょっと王子様に見えたけど、それはまさしく…
「え、絵里なのッ!!!?」

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!


279 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/25(火) 03:31:51 0

「ああッ!!さゆ!!!」
絵里は驚いた…というより気まずそうな顔で私を見る。
でも、どういうこと?
どうして絵里のサイレント・エリーゼがこの世界にいるの?
さゆみのシャボン・イールは出ないのに…。
『す、スタンドを出して眠ったのか…ッ!!なぜその秘密を!!もしや…
キサマも花京院と繋がりがあるなッ!!?』
「カキョーイン?誰それ?」
絵里は冷静に答えた。
絵里…死神見ても驚かないの?
「でもすごいな。夢の中でこうしてさゆとおしゃべり出来るなんて…って
これは僕の妄想の世界になるから、本物のさゆじゃないんだよね」
いや、激しく本物なの!!
ゴロゴロしようとしないだけレミーちゃんよりはマシな反応だけど…
って、アレ?
レミーちゃんがいなくなってるの。
どこにいっちゃったんだろう…
「…さゆゴメンよ、夢の中だから本当のこと言うよッ!!理性抑えられなかった
ゴメンなさい!!ホント許して!!!悪気はなかったんだ!!!さゆの呻き声が
やばすぎて耐え切れなかったんだ!!うわあああああッ僕は最低だ!!!!」
…え?
絵里、一体なにを言ってるの?



280 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/25(火) 03:33:04 0

「で、でも途中でやめたんだよ!!呻き声も聞いちゃわないように、
サイレント・エリーゼACT1で部屋中の音を消して寝たんだ!!辛かった…
でもここは夢の中なんだよね?…ねぇ、続きしてもいいよね?」
ハア?
絵里の言ってることがさっぱりわからない。
続きって、なんの続きなの?
「なんだか言ってることがよくわからないけど…ここは夢の世界とは違うのッ!!
ここはあそこにいるスタンド<死神13>とか言うのが作り出した悪夢世界なの!!
本体は…たぶんガキなの!!!」
私は死神を指差して絵里に教える。
絵里はその死神をジッと見つめた。
「で、DEATH13…?演劇部の資料で見たことがあるぞ…確か夢の中に現れる
スタンド!!詳しいことは謎って書いてあったけど…コイツが…」
『ラリホーッ!お前らはまだ俺の悪夢世界にいるんだぜ?スタンドを
持ち込んだからって…いい気になるなよッ!?ラリホォォォッ!!!!!』
死神はそんなこと言ってるけどいい気になれるわけがないの。
だって絵里のスタンドは…


サイレント・エリーゼは…


周囲の音を消すだけなんだもの!!!!!!!

ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!



281 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/25(火) 03:34:21 0

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

うぅ…ハア・・・ハァ・・・
なんて恐ろしい夢見てんだ俺は。
内容は思い出せないけど・・・とにかく恐ろしい夢だったぜ。
なんか死ぬほど疲れてんな…俺。
つーか何も音が聞こえねえぞ!!
これは俺の耳が悪くなったんじゃねえッ!!
このムカつく能力…身体で覚えてる!
ゴルァ絵里!!なんでテメーはサイレント・エリーゼ使ったまま寝てんだ!
アホか!?
何も聞こえねーってのは逆におちつかねえよ!!
幸せそうな寝顔しやがって…腹立つな!!
よし、起こしてやる!!!
くらえ…フライングバルセロナアタック!!!!

俺は絵里の顔面に勢いよくダイブした。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




282 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/25(火) 03:36:08 0

な、なんでACT2のエリドリアンやACT3のエリザベスにしなかったの!?
これじゃどうにもならないのッ!!!
「あ、あれれ…僕の身体が…?」

フワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア…

き、消える!?
絵里が消えていくの!!
『チッ、なんてこった…ウサギにも、あのショートの女にも逃げられちまうなんて…ッ』
死神はギロッとこちらに顔を向けた。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

も、もう成す術はないの!!
「うがーッちゅ!!逃げるのッ!!!」
『ラリホォォォォォォーッ!!!!!!!!!!』


…ゆ……さ………さゆ…

誰かが…私を呼んで…

フワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア…


『ナニィッ!?ここまで来て逃げられるだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!!!!!?』





283 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/25(火) 03:38:19 0

「さゆ!!!」

…ハッ!!?
「え…絵里…起こしてくれたの?」
「う、うん」
また恐ろしい夢を見たの…すごく疲れてるのが自分でわかるの。
内容も思い出せないし…こんなこと続いてたら、いつかさゆみは
おかしくなってしまうの。
「ハァ…ハァ…もう、眠ることは出来ないっていうの…?」
「いや…眠ることは出来るよッ!!」
そう言った絵里は、何故か制服姿だった。
いつの間に着替えたんだろう…?
「さぁ!さゆも急いで服着替えて!!原因を捕まえに行くよッ!!!
今エリーゼを飛ばしたから…あッ、僕外出てるね!!逃げられると
大変だから急いで!!」
げ、原因?
逃げられる…?
なんの話だろう…
と、とにかく、今は言われたとおりにしておくのッ!!
絵里は何かを知ってるみたいだし…
「…あれッ?」
パジャマのボタン、掛け違えてる。
おかしいな、いつもボタンは下から留めてるし、掛け違えるわけないのに…。
ってそんなこと気にしてる場合じゃないのッ!!
私は急いで部屋着のスウェットに着替え、部屋を出たのだった。


342 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/26(水) 01:12:28 0

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

畜生ッ!ここまでしたのに…
あんな小娘一人にヤツの事を聞き出すのが、こんな骨を折るほど
苦労することだなんて…ッ!!
「ハァ…ハァ…」
あいつらは…追ってこないらしいな。ショートの女が夢の中での記憶を
持ってるだろうが…まぁ大丈夫だろう。
俺が本体だとはわかるまい。
ふぅ…やってらんねーぜ、ケッ。しゃーねえ…明日また出直すか…

シュボッ…スッパアァァァァ〜…

それにしてもホント、日本のタバコってまじぃな。

ペリ…ペリペリペリペリペリペリペリペリペリッ!!

な、なんだ…何かが剥がれているようなこの音は…
「うおあぁぁぁッ!?じ、地面が捲くれ上がっていくだとぉぉぉぉぉッ!!!?」

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ…

「うぐあああああああああああああああああああああッ!!!!!!!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


344 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/26(水) 01:14:48 0

「うぐあああああああああああああああああああああッ!!!!!!!」

ドシャッ!!

色黒の少年が、捲りあがる地面の坂道を鉛筆のように転がり落ちてきた。
あの外人の少年は…見覚えがあるの。
今日校舎の中で出会った、ガムを噛んでいた牙のある不気味な少年なの!!
でも、どうしてこんな子供が、こんな時間に外にいるの?
「絵里、どういうこと?」
私の頭の中だけでは整理できないので、絵里に助けを求めてみることにしたの。
「さゆの言ったことを信じただけだよ!!本体はガキだってことをさ!!!
だからエリーゼを飛ばして空から探したんだ!!レミーちゃんを抱えて
連れてってね!子供がこんな時間に外にいるわけないから、探すのは
すごく簡単だったよ!!」

私が言ったこと?
さゆみ、絵里になんか言ったっけ?

「覚えがないの」
「そっか…どうやら夢の中にスタンドを持ち込まないと記憶は残らない
みたいだね。偶然とはいえ、スタンドを出して眠ってよかった…レミーちゃん!!
戻っておいで!!」
絵里が呼ぶとレミーちゃんは地面を戻し、怪我してるとは思えないほど軽快な
ステップでこちらに戻ってきた。
そして、私に飛びついてくる。
「意地でも僕には懐かないってか…いいもんいいもんッ!!
でも、キミは間違いなく天才ウサギだよ、うん。指示通り動いてくれてありがとう」
…なんだかさっぱり状況がつかめないの。
私たち、一体ここで何してるの?



346 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/26(水) 01:21:04 0

絵里がレミーちゃんの鼻先を撫でようとすると、レミーちゃんは
プイッとそっぽを向いた。あららw
それを気にせず、絵里は話を続けた。
「さゆは何も覚えてないみたいだ…たぶんレミーちゃんも。僕以外、
みんな忘れてる。いたということさえ覚えていない…変わったスタンドだね。
キミの<DEATH13>は…」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

「ケッ…だったらどうだってんだよ。俺のスタンドは夢の中で初めて
能力を発揮できるスタンド。今の状況じゃ何もできねェ…どうする?
煮るか?焼くか?」
そう言って、少年は地面にあぐらをかいた。
「僕はサディストじゃないからそんな事は望まない。それよりも訊きたいことがあるッ!
なぜ…なぜさゆを襲った!!?」
えぇッ!!?さゆみ、襲われたの?
いつ?
何のことだかわからないの…もはやキョどることしかできないの。
そんな私を放置して、絵里達は話を進めていく。
「…そこにいる女から花京院の居場所を聞き出すためだッ!!」
少年がさゆみを指差してるの。
…えッ?私!?
「さゆ、カキョーインって人、知ってる?」
ブルンブルン。
私は首を大きく横に振った。
「テメーッ!!ここでも嘘をつくかああッ!?」
「そんな、そもそもカキョーインなんて単語が初耳なの」
「じゃあなぜ承太郎は知っているッ!?奴らは仲間同士なんだ!!
今は一緒にいないようだが、なんらかのカタチで連絡を取っているハズ!!
お前も仲間なら知っているはずだろーがッ!!!」
なんかこの子、根本的なところから勘違いしてるみたいなの。



348 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/26(水) 01:23:32 0

「ジョータローって誰なの?」
「そこまでシラ切る気かテメー…今朝も海岸で一緒にいたとこ、
俺は見ているんだぜ?」
今朝…?
海岸で一緒にいた?
「あッ」
ポン。
私は思わず手を叩いた。
「さゆ、何か知ってるの?」
「いや、今知ったの。へええ〜あのお兄さん『承太郎』って言うんだぁ!」
男らしい名前なの…。
「あのお兄さん?ねぇねぇ、お兄さんって誰?」

「ん?さゆみの好きな人☆」

ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!




349 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/26(水) 01:25:26 0


「えぇッ!!さゆ好きな人いんの!!!!!!!!!!!?」
絵里が変に難しい顔して詰め寄ってくる。
「う、うん。いや〜これがまたたくましくてイカしてるの。一目惚れだから
まだ『会話もしたことない』んだけどね♪あ、でも今朝サクランボあげたの!!
食べてくれたかなぁ〜…」
ウヒョルンと私が語っていると、なぜか二人は氷凍いていた。
「さゆ…好きな人いるんだ…orz」
「会話もしたことないだって…じゃあ俺は一体なんのためにオメーに
付きまとったんだ…?」
少なくとも、私には付きまとわれていたような記憶はないの。
やっぱこの子、さゆみの虜になっちゃったのかな。
少年はヘナヘナと地面に膝をつき、脱力してしまった。
「やっと…やっと足取りをつかんだってのによ…なんだよこのオチは。
ふざけんなカス。一体、花京院典明は今どこにいやがるんだ…」
なんだか話は飲み込めないけど…
この子、カキョーインって人を探してるんだろうか?
「覚悟を決めて直接承太郎に訊くしかねえってのかよ」
そりゃ直接訊いた方が確実に早いと思うの。
覚悟を決めるってのがよく理解できないけど…承太郎お兄さんに直接…
…ん?直接…?
そうだッ!!いいこと思いついたの!!
「ねえ、君は人を探しているんだよね?」
さゆみの問いに、少年はコクリと力なく頷いたの。
よしッ!ここは人肌脱いで…
「さゆみが協力してあげるの」

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!




350 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/26(水) 01:28:05 0
「さゆみが直接承太郎さんに訊いてあげるの!!!」
そのついでにお知り合いになるの!!!サクランボの感想も聞くのッ!!!
「ハァ?おま…本気で言ってンのか?俺はお前のこと何度も夢の世界に
引きずり込んだんだぜ?」
「そんなこと言われても、さゆみにはサッパリ記憶ないの」
ホントになんのことだかわからないの。
何されたのか気になるけど、今はどうでもいい話なの。
「お前、もしかしていい奴なのか…?」
「よく言われるの。じゃあ早速明日にでも…」

「ダメだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

突然、絵里が怒鳴った。
「ダメダメ!!絶ッッッッッッッッ対にダメ!!!!!!!!!!!!!!!」
「は?」
思わず目が点になってしまう。
絵里ってば、なんかめちゃめちゃリキんでるの。
「そんなことする必要ないよ!!!!!」
「なんで?」
「なんでってその…とにかくダメ!!」
「困ってる人を助けるのはいい事だと思うの」
「良くない全ッッッ然よくない!!!」
「意味わかんねーの。絵里がなんと言おうと私聞きに行くから」
「あっあっ、じゃあ僕が聞きにいくよ!!」
「ハァ?絵里は関係ないじゃん」
「う…うぅ…ッ」
なんかよくわかんないけど…絵里、必死杉。
とりあえず、ワケわかんないからほっとこう。
「さゆみ…って言ったな。恩にきるよ…お前いい奴だな。ラリホー」
んっ!!?
なんか今の言葉は聞き覚えあるの…何かすごく恐ろしいような…
まぁ、いいか。


351 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/26(水) 01:29:27 0

次の日。
私は憧れの人と初めて会話することに成功したの。
彼はとても素っ気無い人だったの。
話しかけたらいきなり「うるさい、向こうへ行け」とか言われたの…
本題に入るまでも苦労したの。
「そんなことを聞いてどうする?」とか「やれやれだぜ」とか。
とっても気難しい人だったの…
でもッ!!
そこにシビれる!あこがれるゥ!!
結局サクランボの感想は聞けなかったけど…ってか食べたかどうかも怪しいけど…
でも、これは大きな一歩だったの!
絶対めげないの!!
頑張って次へ繋げるのッ!!!



352 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/26(水) 01:30:27 0

…さて、浮かれるのはこのくらいにしておくの。
「やぁ、ホントに聞いてくれたみたいだな。遠くから見させてもらっていたよ、
メルシーボークー(ありがとう)」
昨日出会った外人の少年は、意気揚々と私との待ち合わせ場所に来た。
「で、ヤツは今、どこにいるって?」
「うん…」
「なんだよ?」

「花京院さんはね、もう…」


マニッシュ・ボーイ
スタンド名 DEATH13

TO BE CONTINUED…