896 :1:2005/10/19(水) 01:02:56

銀色の永遠 〜こんなにも優しい月明かりの下で〜

朝だ。
新しい朝が来たんだ。
あたしは今日も目覚ましより早起きしちゃったらしい。
ここんとこ、いつもこうなんだ。
身体が勝手に起きちゃうんだ。
やっぱ、目的があると違うなぁ。
ここ最近、毎日慌てることなくエレガンスにハム&エッグをつつくあたしに、
お母さんもビックリしている。
そして毎日のように「これがずっと続けばいいわね」なーんて言ってる。
毎日続くに決まってんじゃん。
毎日、毎日続けてみせるさ。

よし、寝癖なおしもバッチリ。
メイクもバッチリ。
制服キマッタ!そんな日はHappy Day!!

こんなロマンティックな装飾された制服着てるの、学校であたしぐらいじゃない?
「さ…今日もマジメに学校行くぜ」
あたしは静かにスッと家を出ると、外に停めてある自転車に跨った。
今日も、あたし…藤本美貴の可憐な一日が始まるのだ。
角を曲がったところでお弁当忘れたのに気付いて、猛ダッシュで家に戻ったことは
言わないでおこう。




897 :1:2005/10/19(水) 01:04:16

「あー、いてて…」
うーん…傷は塞がったとはいえ、三針縫った頭の怪我がまだ痛い。
小春め、演劇部に入ったからって油断すんなよ。
いつか必ず仕返ししてやるかんな。
ここはいつも自転車をとめてる学校の自転車置き場の前。
あたしは辺りを確認して、空いてるところに自転車を停めた。
おかしいな、いつもはこの時間にいるはずなのに。
ん?誰がいるんだよ…だって?
よし、爆弾発言いくか。
実はあたし、藤本美貴は今、恋してます!!

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!

最近あたしが鳴りを潜めていたのにはわけがある。
この自転車置き場で、この時間、毎日見かける<あの人>に恋してたんだよね。
すんごい美形で、女の子みたいな顔してて、普段は仲間と
はしゃいでる目立つ人なんだけど…。
「おかしいな。今日は寝坊でもしたのか?」
ずーっと自転車置き場にいるのも不自然な話である。
そろそろ行かなきゃ…いやもうちょっとだけ…いやいや、ストーカーかあたしは。
「あ、そうだ」
カバンの中に食べかけのチョコが入ってたな。
教室で食べるのもなんだし、うん。ここで食べてかなきゃダメだな、うん。
うん、うん…そうしないと。
あたしは無理矢理この自転車置き場にいなければならない理由を作ると、
とめた自転車に跨りチョコを齧った。



898 :1:2005/10/19(水) 01:05:22

…このチョコ、いつのだっけ?
まぁいいかw
せっかくこうやって早起きして来てるんだ。
一目でも顔見なきゃ、今日一日やってらんないってもんだろ?
それにしても歯にくっつくなぁ、このチョコ。
「むちゃむちゃくちゃむちゃ」
あ、奥歯にくっついたぞ。
とれねぇ…ッ!
トントン…と誰かがあたしの肩を叩く。
こんな朝っぱらから肩叩いてあたしを呼ぶなんて誰だ?
馴れ馴れしいヤツめ。
「あの…すいません」
「むぐぐっ」
舌の先っちょでくっついたチョコを取ろうと口を広げた状態で、あたしは振り向いた。
「はむぐっ!?」
「ど、どうしました!!?」
思わずあたしは開けていた口を手で覆う。
決して吐きそうになったわけじゃない。
油断していた…このあたしが?
「君…大丈夫?」
「え、ええ大丈夫ですッ!」
でも油断してるに決まってるじゃん!!
向こうからいきなり声かけてくるなんて思わないもん!!!
まさか…まさか毎日見かけるあの人から…声をかけてくるなんて!!!
「な、なななんでなんんん」
なんですか?
この一言が出てこねぇッ!!
この美貴が…照れてあがって、どもっているだとぉっ!?



899 :1:2005/10/19(水) 01:06:47

「あの、これ。読んでもらえる?」
うろたえているあたしをよそに、女の子みたいな顔した彼は、あたしに
メモの切れッ端を渡してきた。
あたしはそれを震える手で受け取る。
「じゃッ!」
すると彼は、自分にできることは終わったとでもいうように、タッタッと走って
学校の方へ行ってしまった。
あたしはその後ろ姿を呆然と見送ることしかできなかった。
「……」
ちょっちょっ待て!!
頭の中身を整理するんだ!!!
まずはこの紙だ。
これはなんだ?
毎日見かけるあたしが恋してたあの人からもらったこの紙は…
手紙だ!!
じゃあ内容はなんだ?
あたしはそっと折りたたまれた紙を開こうとするが、すぐその手を止めた。
いや、待て!!
これは家に帰ってから見ることにしよう。
もし、もしこれがラ、ラ、ラブレターだとしたら…
キタ━━━!!!!!!!!!
とんでもねー楽しみが増えてしまった!!
これはやばい、最近なんだかいい事なしのあたしにとってこれはかなりやばい!
やはり、人間には運勢の波ってのがあるらしいな。
ああっチョコなんか食ってるんじゃなかった!
美貴らしく、おしとやかに待ってるべきだった!!
畜生ッ!あたしのブギートレイン03!!
なんであたしの意思で時間戻してくれないんだよ!!!
できることなら、あの人がくる直前に時間を戻してくれええッ!!!!
とにかく、いつも見ているこの風景は、いつもと違う景色に変わったのだった。



900 :1:2005/10/19(水) 01:09:05

昼休み。
「ミーキティ」
なんか今、真希ちゃんの呼ぶ声がしたような気がする。
「おーい」
「ああ…なに?」
「今日放課後お茶しようぜえ」
「ああ…パス」
「ちぇッ話したいことあったのに…まあ急ぐ必要もないけどさ」
「そう…」
わりぃ、今日はお家に一目散させてもらうよ。

「なんか今日のミキティ、顔が緩んでてキモいぽ…」

905 :1:2005/10/19(水) 02:14:32

放課後。
帰りのHRが終わると同時に、あたしは教室を出て、急いで家に帰った。
信号なんかほとんど無視して自転車をこぐ。

プワアアアアアアアアアアアッ!!!
「ゴルァ!!そこの女ーッ!!」
「死にてェのかー!!赤信号見えてねーのかァーッ!!!!!?」

「うるせーな!!勝手に赤になった信号がわりぃんだよ!!!」
今、美貴を止められるものは誰もいない!!
家に着き、高鳴る胸を押さえて部屋にこもると、あたしは『手紙』を
握り締め、ベッドにダイブした。
でも…それでもやっぱり、半信半疑だし…変な気分。
世の中、こんな都合よくいくもんなのか?
それなら、あたしのスタンドだって自由に時間戻せたっていいだろ。
って今はそんな事、どーでもいいか。
あたしはさっそく、<あの人>からもらった手紙の紐を解くことにした。
ドキドキ…

パラッ…
『夜の九時になったら演劇部の部室に来て欲しい』

きっぱり時間書いてあった。
そこにグッと…きたいとこだけど…
「ハァ!?」
なんで演劇部の部室なんか行かなきゃなんねーんだよ!!
意味がわかんない。
あたしはてっきり携帯番号か何かをメモにしてくれたもんだと思って…。
大体、あたしは小春の件以来ほっとんど演劇部の活動に参加してないんだ。
演劇部のメンバーとは会ったりはしてるけど…。
亜弥ちゃんのこともあったし、活動に参加する気は…今はちょっとないな。


906 :1:2005/10/19(水) 02:15:46

ん…でも待てよ?
これをくれたのは<男>だぞ?
あたしが気にいってたあの人じゃん。
演劇部とは確実に!!…関係ない人じゃん。
なんだ、じゃあ別に演劇部が何か関係するわけじゃ…
ええええッ!?
じゃあ何?
この人、夜の学校であたしに何の用が…

ドキドキドキドキ…

まあ普通はさ、いくら気になってた人とはいえ、ちょっと危なそうな感じするよな?
普通の子なら、行くのはちょっとやめておく…と思うわけ。
でも、あたしは藤本美貴だし。
「お母さん!学校に宿題忘れた!!いってきまーす!!!」
その夜、あたしは九時までに学校に着くよう、家を出たのだった。



907 :1:2005/10/19(水) 02:18:12

夜の校舎って怖い。
緑色に光る非常灯なんて激しく不気味だ。
いつもは当たり前に通っているこの廊下も、夜になると全然表情が変わる。
なんつーか、人の温もりを感じないっつーか…
「それにしても、こんな簡単に忍び込めるなんて無用心な学校だよな。
セキュリティとかどうなってんの?」
独り言がかえって不気味さを増幅させた。
う…怖いな。
だが演劇部の部室に近づくにつれ、あたしの鼓動は別の理由で高まる。
これ、前にも経験したことあるな。
そう…あれは入部を志願した次の日の早朝だ。
あの日、あたしは寺田先生に一時審査と称されて矢で射抜かれ…
『ブギートレイン03』を操るスタンド使いになったんだ。
って、なんでこんな時に、そんなこと思い出してんだ?あたしは。
今は演劇部の部室で待っているであろう<あの人>のことを考えていよう。
そういえば、名前はなんていうんだろう…

ポン、ポン、ポン…

演劇部の部室の前で、あたしは奇妙な音を耳にした。
まるでボールを蹴っているような…リフティングしているような…
しかも、それは部室の中から聞こえてくる。
な、なんだよ気味わりぃな。
腕時計の針は九時…一分前を指していた。
なんか奇妙な感じは拭え切れないけど、とにかくちょうどいい時間だ。
あたしは意を決して部室のドアノブをつかみ…

ガチャッ!

…扉を開け放った。

910 :1:2005/10/19(水) 03:04:46

誰か…いるのか?
あたしは部室の電気をつける。
真っ暗なせいか、それにもちょっと勇気がいた。

パチッパチッ…

点いた明かりが教室を照らすと、そこには…

「よっ。バックレないで来たな!ミキティ」
あ、あ、憧れのあの人が机の上に座ってる!!!!
しかも…あたしのあだ名を知ってンの!?
「あ、あ、あああのッ」
「ん、どした?」
な、何を言ったらいいのかわかんねーよ!!
さっきまで薄暗くて不気味な廊下を通ってきたことなんかすっかり忘れちまった。
は、話をしなきゃ…

どうしてそんなにかっこいいんですか!?
どうしてここに呼んだんですか!?
どうしてあたしのこと知ってるんですか!?
どうして手紙くれたんですか!?

うぐわああああッ!
順序がバラバラだろうがッ!頭の整理がつかねぇ!!
あ、あたしってこんなに純な女だったのか…ッ?



911 :1:2005/10/19(水) 03:06:27

「こうして会うのは初めてだね。いやー、それにしてもここに来るのは
久々だよ。君もそうなんだろ、ミキティ」
「え、あ…うん、ハイ」
彼のいきなりの発言に思わず変な反応しちゃったけど…
ここに来るのが久々?
あたしもそうなんだろ…だって?
「サッカー部の活動で秋にリーグ戦があるんだけどさ、選抜メンバーから漏れちまったよ。
あいたたた。やっぱ一つの部活に専念してるヤツには叶わないね。俺も見習わなきゃ」
「サッカー部…なんですか?」
「うん、サッカー部もやってる。けど、そろそろ潮時かもな。ありゃ趣味でやる
ことにするよ。うん、地元の仲間とフットサルのチームでも作ろうかな」
へぇ、スポーツマンなんだな。
なんだろう、この安心感は…まるで女の子といるみたいだ。
でも、さっきからこの人の発言には、やや気にかかることがある。
サッカー部 も やってる?
サッカー部もって…?
「ミキティは、部活の掛け持ちとかしてんの?」
妙な思案を巡らすあたしに、彼は唐突に話題を振ってきた。
この人は、してるみたいだな。
「い、いやあたしは…演劇部だけですけど」
「そっか、そうなんだ。俺も、サッカー部はやめて『演劇部』だけに専念するかな」
彼はそう言って、机から腰をあげた。
ちょっと待て…今なんて言った?



912 :1:2005/10/19(水) 03:08:30

「え…え?」
「何だよ、演劇部に専念しちゃダメかい?」
「何を言って…この部は<女子>演劇部だよ?あなたは…」
「あ、そうそうミキティ。君をここに呼んだ理由をまだ教えてなかったね」
彼はあたしのセリフを遮ると同時に…

ドギャン!!!!

スタンドを発現させた。
「な、何イィィィィィッ!!?あ、あなたは…ッ!!!?」
あたしは驚愕の声をあげる。
いったい彼は…この人は…ッ!?

「紹介が遅れたな、俺…いや、私の名は吉澤ひとみ。この<演劇部>の部長であり、
唯一の男子メンバーさ。スタンドの名は『Mr.ムーンライト』…さぁ、君もスタンドを出せよ。
二次の<再審査>を始めるぜ、ミキティ…いや、藤本美貴!!!」

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!


936 :1:2005/10/20(木) 00:32:52

演劇部の部長で…唯一の<男子メンバー>だとぉぉぉッ!!?
「そんなバカな!!部長は…あの背の高い人のはずッ!!!」
そうだ、あたしを入部を何度も断り、追い返したあの…。
「あぁ、彼女ならとっくに引退したよ、まぁ新しい部長もいたっちゃいたが、
紆余曲折の果て自主退部しちゃってね。ま、必ず仕留めるつもりだけど」
あ、あたしが演劇部に顔出さなくなってから、一体何が起きていたってんだ!!?
大体、男子部員がいたなんて…聞いてない!!
「さあ、無駄話をするために君をここに呼んだんじゃないぞー。早くスタンドを出しな」
「…あんた、二次の<再審査>って言ったな。それはどういうこと?」
「やれやれ…無駄話はしないって言ってんだけどなぁ!」

バゴォッ!!

「ひッ!!」
彼、吉澤ひとみがスタンド(Mr.ムーンライトとか言ってたな)で、いきなり床を殴った。
その音に思わずビビってしまう。
吉澤が口を開いた。
「この部室には…いろんな『思い出の痕』が残っている…例えばその引っぺがされた黒板、
例えばこの床のタイルに混じっている血の跡とかね」
何を…言っているんだ?この人は。
「いいかい?私たちは<最強>のスタンド使いの集まりなんだ。
高橋の『ライク・ア・ルノアール』に然り、紺野の『ニューオーダー』に然り…」
「何が言いたいのさ、あんた」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…




937 :1:2005/10/20(木) 00:34:40

彼はあたしを指さして言った。
「私たちは、仲間の能力を『知っている』ということなんだよ!わかるか?
つまり弱点をすでに知られてしまっているということと同じ!それをも覆す
最強のスタンド使いの集まりが私たちなんだ!!」
「だから何が言いてェんだッ!?テメーはッ!!!!」
「スタンド使いとは…一つ!自由自在に意思で操れる人間が<スタンド使い>である!!」
そう叫ぶと同時に、吉澤が宙にある何かを蹴った。

フォンッ…バンッ!!

ボールを蹴ったような音だ。
だが、あたしの目には何も見えない。
こいつ…今スタンドで何を…?

メリメリ…バスゥッ!!!!!

「げほああああああああッ!!!!!!?」
突然腹に衝撃が襲い掛かり、あたしは悶絶した。
な、何が起きたんだ!!
腹が…腹がまるで思いパンチを食らったように痛い!!
「が…はッ!?」
「藤本美貴…時を戻すスタンド『ブギートレイン03』を操る。だが、自分の意思では
時間を戻せない…か。お前、自分のスタンド能力も自由に操れないんじゃ
<スタンド使い>とは呼べないんだぞ?いつかスタンドが害になって死ぬぜ?」
こ、この野郎…なんか言ってるようだけど…
スタンド攻撃とはいえ…女に暴力振るうなんて!!
「ブギートレイン…03ィッ!!!!!!」
バヒュン!!
クソッたれ!あたしはこのままサンドバックになるつもりはねえッ!!
「…やっとスタンドを出したか」



938 :1:2005/10/20(木) 00:36:13

「吉澤…ひとみって言ったな。美貴の気持ち踏みにじりやがって…許さない!!」
あたしは腹の痛みを堪え、吉澤に急接近する。
「おおおおおおおッ!!!!!ゴォォォルデンッゴォォォル決めてッ!!」
「なるほど、突きの速さ比べか…」
余裕そうな表情しやがって!!
その自信満々な面を鼻血で濡らして魚拓作ってやる!!

「VVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVV…Vッ!!!!」
「AUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAU…AAAAAAAAAAAAAUッ!!!!」

ガシィッ!!!

拳と拳がぶつかり合い、果てにはお互いのラッシュが止まる。
「うぐっ…」
一発もパンチが入らなかった…こいつ、早い!!
あたしのVVのラッシュと互角にパンチを繰り出すなんて…ッ!!
「なかなかやるじゃないか。なるほど、こりゃ石川も入院沙汰になるわな」
バンッ!!
あたしは吉澤を突き飛ばし、距離をとる。
…なんかやばいぞ!
勝てる気がしない!!
「自分から距離をとってくれるとはありがたいね。そうそう、私の能力について
説明がまだだった。実を言うと、さっき突きの速さを比べてる最中に床を一発
殴っといたんだけどさ」

バンッ…バンッ…

吉澤のスタンドが腿を上下運動させ始めた。
何かを蹴っている…いや、リフティングしているのか?
しかもこの音は…さっき部室に入る前に聞いた音と同じだ!!



939 :1:2005/10/20(木) 00:39:00

「見えないだろうけど、これは私のスタンドが床を殴ったときの<衝撃>だ。
私のスタンドは殴ったものの<衝撃>を取り出すことが出来る!
もちろん威力はそのままさ…くらいなッ!!!!!!」

バスッ!!

まただ!ヤツのスタンドが見えない何かを蹴り飛ばしたぞ!!
あたしはガードの姿勢をとる。

バガシャン!!

突然、頭上にあった蛍光灯が割れた。
「ハァイ。詰んだ…おっと、これは高橋の闘い方だったかな」

バゴオォォッ!!

「おごッ!?」
…え?
頭上からだ…脳天に衝撃が…目の前が…白くなる…ッ!
「ボールって弾むんだよな、それをお忘れなく」
なんてこった…
ヤツが蹴った<衝撃>が天井でバウンドしたとでもいうのか?
ど、どすりゃいいんだ!
見えない<衝撃>と…どう闘えばいいんだよ!!
う、う…頭から血が…傷が開きやがった…ッ!!!



940 :1:2005/10/20(木) 00:41:40

「どうした藤本?お前も能力を使えよ。時を戻す能力なんだろ?
私は種明かししたんだ」
バスッドゴォッ!!

また床を殴って何か蹴っ…
「ぶぐあッ!!」
あ、足に…ッ!

「ほら、ほら」
バスッドゴオォ!!

「あがッ!!」
ま、また腹…

バスッ!!

「これもこれも…経験したから<衝撃>がどこにくるか全部わかるんだろう?
そろそろ戻って来たころなんじゃないの?」

ドグシャアアッ!!

「お、お…」
顔面に見えない衝撃を食らったあたしは、その場にひざまずいてしまった。
口の端から血が…身体中アザだらけみたいだ…ッ!!
このあたしが…手も足も出ないだって!?



941 :1:2005/10/20(木) 00:43:16

「ハァ…ハァ…」
「…ホントに自分の意思で能力を発動できないみたいだな。じゃあ時を戻せるまで
面倒見てやるよ。ちなみに、気付いてた?ほら…部室の電気、全部ぶっ壊れて
真っ暗になっちまってるんだけど、これ…実はワザとなんだよ」
ワザと…だと?
今度は何がしたいっつーんだ!?
「私の『Mr.ムーンライト』には、もう一つ特殊な能力があってね…それはこれさ!!」

ガシャアアアアアアアッ!!

吉澤が部室のカーテンを開くと、サアア…ッと部室いっぱいに月明かりが差し込んだ。
月明かりが逆光になって彼の表情は見えないけど…
きっと余裕そうなツラをしているんだろう。
「あんた…なにを…」
「ふふ…感覚の目でよーく見てみろ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…




942 :1:2005/10/20(木) 00:46:27

こ、これはッ!?

フシュウウウウン…フシュウウウウン…

「あ、あんたのスタンドが…ッ」
…光っている!!
月光を浴びて…白く輝いているぞ!!!
まるで音が聞こえそうなくらい、美しい光を放ってるぞ!!!!
「見えるか?感じるか?これが『Mr.ムーンライト』の特殊能力…
月光を浴びると通常の何倍にもパワーアップするのさ!!」

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

「スタンドから発せられているこの白い輝きは、溢れ出るエネルギーのビジョン!!
これが私のスタンドの本来の姿だッ!!!」
な、なんだとぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!!!!!!?
さっきの状態でも十分強力なスタンドだっていうのに…
まだ『先』があったなんて…ッ!!!
「さて、二次の<再審査>を続けようか。お前が時を戻せるまで、みっちり面倒見てやるよ」
あたしは…とんでもない場所に来ちまったみたいだな…
吉澤は言った。
「最も、その前に死ななければの話だけどね」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

946 :1:2005/10/20(木) 02:32:21

「綺麗な月の光だなあ…いつにもまして綺麗だ…うん、パワーがみなぎってくるよ。
こんなにも月の光と波長を合わせられるスタンドが、他にあるだろうか」
知るか、畜生…ッ。
こいつ、あたしを試してるんだ。
<再審査>ってのは、きっとあたしの能力がどこまでのものか試すためのものなんだ。
くそッ…別に演劇部から除名されたって構わないけど…イコール、それはあたしが
演劇部に太刀打ち出来ないということを認めるのと同じ意味だ。
亀井の『サイレント・エリーゼ』
さゆの『シャボン・イール』
れいなの『デュエル・エレジーズ』
同期の連中はみんな、スタンドの<能力>を自らの意思で使っているというのに…
あたしは<運>に頼らないと能力を使うことができない。
いや…一度だけ、亜弥ちゃんの事で時を戻せたことがあったけど…
でも、今は何のために?
コイツをぶっとばすため?
コイツと会わないようにするため?
あたしが戻れ、戻れと強く願っても、ブギートレイン03は何も答えてはくれない。
「うわあああああああああああッ!!!!」
もう考えていてもしょうがない!
とびかかってぶっ飛ばす!!今のあたしに出来るのはコレしかない!!!
「ブギートレイン!!」
「お前な…これはガキのケンカじゃないんだぜ?」

ズムッ!!!!

あたしのスタンドが放ったド素人な正拳突きは軽々かわされ、背中にエルボーが入る。
「う…げ」
今のは…本体の攻撃だ…



947 :1:2005/10/20(木) 02:35:37

スタンドじゃなくて本体で攻撃してくるなんて…こいつ、手加減したのか!?
くそ…今のはあたしのプライドとやらに傷がついた。
しかも男の力だ、スタンド攻撃ではないけど、かなり強烈なものがある。
あたしは窓に寄りかかって、倒れないように踏ん張った。
「おーお、頑張るね」
「ハァ…ハァ…」
「…いつまで経っても戻れないようだな。こりゃ本気で窮地に立たせなきゃならない
みたいだね。よっしゃ、私もこの部室にでっかい思い出を刻むとしますか…」
そう言うと、吉澤のスタンドの輝きが増した。
く…くる!!
なにかやばそうなのがくるぞッ!!

「うおぉぉぉぉッ!!!!!ぶっ飛んでいきな!!!!!!!!!!!!
らららららららららららららららららららららららららららららららららら
ららららららららららららああッ!!!!!」

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ…

吉澤のスタンドが物凄いスピードで床を殴っているッ!!
ゆ、床が壊れるんじゃないのか?揺れる…ッ!!!
だが、床にはヒビ一つ入らない。

「レッツシンギンッ!シングァソンッ!!!!!!」
ババンッ!!バン、バン、バン、バン…

なにかがいっぱい…この部室で弾んでいるようだ…。
まさか…これもさっきと同じッ!?
「いっぺんに作り出した無数の<衝撃>…正直、私にもいくつあるかわからない。
さて、これには耐えられるかな?藤本美貴さん」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


948 :1:2005/10/20(木) 02:36:54

どうする…。
窓際にいる以上、逃げることもできない。(逃げる気はないけど)

「行くぜッ!!Be Up&Doing!!!!!!
AUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAU!!!!!!!!」

ヤツのスタンドが目にもとまらぬスピードで何かを蹴りまくった!!
見えないが、おそらく<衝撃>がこちらに向かって来る!!
対抗するには…

「真っ向から挑むしかない!!ゴオォォルデンッゴオォォォォル決めてッ!!!
VVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVV!!!!!!!!!」

ドドゴドガドゴドガガドガゴ…

激しいぶつかり合いだ!!
拳で<衝撃>を弾き飛ばすんだッ!!!
しかし…なんて数…

ドグォッ!!!

「…〜ッ!?」
せ、背中…ッ!?
振り向くと、窓にはヒビが入っていた。



949 :1:2005/10/20(木) 02:38:44

「言っただろう。ボールは弾む、と。ほら、手を止めちゃっていいのかい?」
「う…あ…」
その一瞬が、命取りになったらしい。

バスガキメキャバコォドガァッ!!!!!!

「ぐあああああああああああッ!!!!!!!」

ガッシャアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!!!!!!!!

無数の<衝撃>を全身に受け、その勢いで吹っ飛び、窓を派手に突き破ったあたしの身体は
月明かりに包まれ空を舞い…落下した。
ブギートレイン03は、それでも能力を発動させなかった。

「あーあ、こりゃやりすぎたな。でっかい思い出の『痕』を残そうと思ったけど、
これじゃこの窓、修理されちまうぜ」


960 :1:2005/10/20(木) 16:09:21

落ちる…あたしの身体が落ちていく…。
ここは三階だ、まともに落ちたら無事ではすまない。
「ブギー…トレイン…ッ」
このままくたばってたまるかよ…。
あたしはスタンドを発現させると、落ちながらも二階あたりを過ぎる寸前で、
窓の桟に左手の指をかけた。
「お…おッ…」
だが、当然そんな狭い面積の場所で、しかも指で体重を支えられるわけがない。
くそッ重てェ…あたし、そんな太ってないはず…なんだけどなッ!?
ああッ、腕時計にヒビ入ってんじゃねーか。Diorだぞ、これ…
ズルッ!!
「うおぉぉぉぉッ!!!」
指が滑り、結局落ちてしまう。
でも、今のはちょうどいいブレーキになったな…

どしゃああああッ!!バキバキッ!!!

あたしは、茂みの中に埋もれるようにして、地面と激突した。
「ハァ…ハァ…」
くそったれ、マジで死ぬかと思ったぞ。
「うぐ…いて」
身体が動かないや…それに細い枝が何本も背中や腕、足に刺さってるみたいだ。
頭の傷は開いて出血するし…大事な腕時計はぶっ壊れるし…
なんでこんな目に合わなきゃいけないんだ。



961 :1:2005/10/20(木) 16:12:22

あたしはチラリと腕時計を見る。
あれ…?腕時計、なんも傷ついてないじゃん。
さっきのは目の錯覚か?クリスタルガラスにめっちゃめちゃヒビが
入ってたような気がしたけど…
まぁ、よかった。すげー高かったからな、コレ。
腕時計を見ると、針は九時五分を指していた。
今から五分前、あたしは何を考えていただろう。
憧れていたあの人を思って、胸を高鳴らせていたはずだ。
これから始まると思っていた、希望の光に溢れた生活を夢見ていたはずだ。
それが、五分後にはこれか…いきない天国から地獄に叩き落とされた気分だ。
実際、三階から落とされたし。
恋をして必死で背伸びしたけれど、涙に変わった…母さん。
「…くしゅん」
う…う、このあたしが涙を…。
そういえば、今日も嘘ついて家出てきたんだったな。
お母さんとお姉ちゃんは何をしているのだろう…
たぶん、気になるあのドラマを見始めたころだろうか。
今日は傷だらけで帰るよ…いつも心配かけてすみません。
…帰れればいいんだけどさ。
なんだかもう動く気がしないな。
あたしにボコられた梨華ちゃんもこんな気分になったのかな。



962 :1:2005/10/20(木) 16:13:49

サアァァァァァァァ…

月明かりが眩しい。
「今日は…満月だったのか…」
おっきいなぁ…普段はもっと遠くにあるような気がするけど、
どうして満月になるとあんなに大きくなって赤味がかるんだろう。
「ブギートレイン…」
コイツは結局、時間を戻してはくれなかった。
あたしの意思では…どうしても時間を戻せないっていうんなら…

「せめて…せめて先に進ませてくれ…戻れなくてもいいから…」

ずっと先の休日…あたしは何をしてるだろう?
もっと先の人生…誰か教えて!!!

「こんな所で終われないんだよ!!!」

フシュウウウウウン…フシュウウウウウン…

その時、あたしは初めて、自分のスタンド『ブギートレイン03』が、
あの<満月>のように赤味がかった光を放っていることに気付いた。

ビシビシッ!!

そして、腕時計のクリスタルガラスにヒビが入ったのだった。


972 :1:2005/10/21(金) 00:25:22

「藤本美貴…アイツは生きてる。直感だが間違いない。魂の息吹を感じる。
ヤツは今、あの茂みの中でひっそりと息を殺し、少しでも体力を回復させようと
している。あくまで直感だが…」

バゴオォッ!!

「私がこうしてここにいるということは、どうやら時を戻せていないみたいだ。
仮に戻していたとしても、ヤツが部室から落っこちたという事実は存在している…
三日は動けないだろう。さて、とどめの一撃をあそこに打ち込むとするか…
これで時が戻せたとするならそれでよし。戻せなければ…あの怪我だ。
間違いなくアイツは死ぬだろう」

バン…バン…バン…

「聞こえるか?藤本…このリフティングの音が…これは今、地面を殴って、
そこから取り出したばかりの<衝撃>だ。そう…こうやってちょっとずつ<衝撃>の力を
増幅させていくんだ。リフティングの<衝撃>をちょっとずつな…力を込めすぎると
殴ってつくりだした<衝撃>の力が外にもれて分散しちまうからな…あわてず行くんだ…
そうさ、人生つまりStep By Step…」

バン…バン…バン…バン!!

「いくぜ必殺!!愛のおぉぉぉぉッ…ビッグバンド!!!!!!」

ドッゴオォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!!




973 :1:2005/10/21(金) 00:26:23

「…時間は戻っていないみたいだな。ヤツが潜伏してるであろう私の
目の前の茂みは、めちゃめちゃにえぐられているんだから」

「だが…なぜだ…?」

「なぜ何もないんだ!?」

「何故いなくなっているんだッ!!?藤本美貴!!!!!」


「それは、あたしがここにいるからだ…」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…




974 :1:2005/10/21(金) 00:27:25

あたしは<衝撃>で削り取られた茂みを見つめて動揺している吉澤に、
後ろから声をかけてみせた。
「き、キサマ…その姿は…ッ」
「正直、あたし自信もビックリしている…ただ、一つ確実にわかっていることは…
あたしのスタンドも月の光と相性がいいらしいってことさ」
あたしの背後で、赤味がかっている光を放つブギートレイン03を見れば、
少なくともコイツは気付くだろう。

同じタイプのスタンドだと。

「私が…俺が聞きたいのはそんなことじゃねええええええええええッ!!!!
何故…何故テメーはッ!!あれだけの攻撃を受けておきながら!!!
<無傷>なのか…怪我が治ってるのか聞いているんだあああああッ!!!!!!!!!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…




975 :1:2005/10/21(金) 00:29:28

怪我が治っている、か…。
「うん、ちょっと違うな」
「なに?」
「あたしも知ったばかりでうまく言えないけど…簡単にいうと、私の身体を
五分前に『戻した』んだ」
そう…五分前の無傷だった時の状態に、身体だけ『時を戻した』。
あたしもさっき知った。

落下してる時は壊れていたハズの腕時計…
落下したあとに何故か無傷だった腕時計…
そして、勝手に壊れた状態になった腕時計…

それらがパズルのピースのように頭の中でハマり、あたしは自分のスタンド、
『ブギートレイン03』の新しい能力に気付いた。

「これがあたしの新しい能力だッ!!触れたものの時間を戻す能力!!名づけてッ!
ブギートレイン03<満月の流法>(フルムーンのモード)!!!!!!」

ドッパアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!!!!

あたしは先ほど壊れた腕時計を触り…離す。
チッ、チッ、チッ、チッ…
時計は壊れる前の姿に戻り、再び時を刻み始めた。
前に進み始めた!!

「まさか…俺以外にも月の光でパワーアップするヤツがいるなんて…」
「行くよ吉澤ひとみッ!!決着を着けてやんぜッ!!!!!」
「く…再び立ち上がったこと…後悔させてやるよミキティ…ッ!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


7 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/21(金) 02:03:45 0

「Mr.ムウゥゥゥゥゥゥゥンライッ!!!!!!!!!!!!!!」
「ブギートレイン…オォォォォォォォスリイィィィィィィィッ!!!!」

バギュウウウウウウウウウウウウウウウウン!!!!!!!!!

あたしたちは月明かりを浴びて、それぞれパワーアップしたスタンドを
お互いに発現させた。
今のあたしは闘志に満ちている…やる気に満ちている!!!
ブギートレイン03は…あたしは…どこまでも『先』へ進める気がする!!
燃え上がれ!!
そして燃えがあがれ!!
そしてあたしを信じて…Go Go!!!

「おぉぉぉぉぉぉッ!!!!ゴオォォォォルデンッゴオォォォォォル決めてッ!!!!」
「HEY!!Come On Everybody Say!!!!!!!!!」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…

「VVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVV…!!!」
「AUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAUAU…!!!」
「VVVV!!VVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVV……Vッ!!!!!!」
「AUAUAUAU!!!AUAUAUAUAUAUAUAU……AAAAAAAAAAAAAAU!!!!」

ドッッギャアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!



8 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/21(金) 02:05:38 0

パワーはやはり互角ッ!!
だけど…気力では今のあたしの方が上回っているぞ!!!
彼はパワー負けしているわけでもないのに後方へズリズリと後退りしていく。
「どうしたんだ?変な汗かいてるみたいね、吉澤ひとみ」
「く…おのれッ!!」
バシッ!!
吉澤があたしを突き飛ばして距離をおいた。
部室の時とはまるで逆のシチュエーション!!!
彼は今、何を思っているのだろうか?
「やるじゃないか…マジでびびってるよ、俺は。二次の<再審査>は『合格』だな…
その新しい能力とやらを見せ付けられちまったんじゃな。だが…」
吉澤があたしを真っ直ぐ見つめ、指をさして叫んだ。
「俺は負けないッ!!俺は…私は演劇部の部長だ!!!誇りがある!!
キサマに屈すること!それは!!リーダーの資格がないことをさすッ!!!」
「二次は『合格』?なら吉澤、すぐそこから離れな」
「ぜぇ〜ッ…たいに!!負けなあああいッ!!!!!!らららあああッ!!!
地面を殴りまくってぇ!!!その<衝撃>をすべてキサマにィッ!!!」
…もう時間が来る。
例え時間は戻しても、おきた事実は変えることはできないッ!!
「吉澤…あんたは今どこにいる?」
「バカがッ!そんなこと聞いてどうするつもりだッ!!」
「いいから答えてみな」
「茂みの前に決まって…ハッ!!!!!!!!!!?」
やっと気付いたか。
「そう…実を言うと、たった今、突きの速さを比べてる最中にそこのえぐれていた
茂みに触れて、えぐられる前に戻しておいた」
その辺りは、茂みがえぐられる直前の状態に戻っている。
そして…
「時間は来た。時の流れは『元に戻る』」

ドッゴオォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!!


9 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/21(金) 02:07:08 0

「ゲエェェェェェェーッ!!!!!!!!!!!」
とてつもない衝撃音と共に吉澤は吹っ飛び校舎の壁に叩きつけられ、
茂みも時間を戻す前と同じようにえぐれた状態になった。
戻した時間が元の状態に戻る…か。
なんだか奇妙な感じだが…。
「ぐがっはあぁ…ば、ばかな…ッ!!」
彼は意識があるようだ。
ビッグバンドとかいう、強烈な自分の技を食らったようだが…なんていう耐久力だ…。
これが…男のど根性ってヤツなのか?
「くそ…この俺が…負けたとでも言うのか…ッ!!?」
「いや、この勝負…あんたの勝ちだよ吉澤ひとみ」
悔しいけど。
「な、何言ってるんだミキティ…?俺は…この通り動けない。君には
傷一つついていない…俺の負けだ」
「違うね。実際のところ、あたしの方がダメージはでかいんだ…時間がきた」
「時間…だって?」
そう、時間が…

ドドガメキャバキゴガドゴグシャドガメシャバキイィィィィッ!!!!!!!

あたしの時間を戻した身体は五分経ち、身体は元の『時の流れ』に戻った。
その時受けていたダメージは、傷は、しっかりあたしの身体に戻ってきたのである。



10 :1 ◆I7CTouCqyo :2005/10/21(金) 02:08:36 0

「う、うわああああああああッ!!!」
吉澤があたしを見て悲鳴を上げた。
無理もない、いきなり目の前で突然傷だらけになったんだから。
い、いてえな…もう…立ってるのも…マンドクセ…

ドサァッ!!!!

「ミキティ!!」
吉澤が…あたしの名を…呼んだ…な…

「ハァ…ハァ…大したヤツだぜ…藤本美貴」

「さっき言ったとおり…二次の<再審査>は合格だぜ…君が望んでるかどーかは
しんねーが…ミキティ、君は演劇部のメンバーだ」

「ち…おぶってやりたいとこだが…俺のダメージも相当来てるみてーだ…
情けネェ…お豆ちゃんでも呼んで…助けてもらう…か」


藤本美貴
スタンド名 ブギートレイン03(満月の流法を会得)

吉澤ひとみ
スタンド名 Mr.ムーンライト

TO BE CONTINUED…