751 :1:2005/10/14(金) 03:48:17

銀色の永遠 〜妖精の騎士ブック・サーカス〜


俺の名前は…まぁ気にいっちゃいないが『レミー』とでも名乗っておこう。
最近、いつも俺をうざいぐらい可愛がってくる『さゆみ』が入院したみたいだが、
昨日ぶどうヶ丘総合病院から退院してきた。
さゆみは帰ってくるなり俺に頬擦りして、会いたかったぁ〜と言っていた。
あーあ、これで静かだった生活ともおさらばかよ…
また絵里や小春をこの部屋に呼んで、俺が疲れるのもお構いなしに
ちょっかい出してくるんだろうな。
いい加減この首の蝶ネクタイもはずしてぇ。
ま、こんなプレイボーイな俺だから何をつけててもかっこいいんだがね。
次の日、さゆみが「お散歩行こう」とか、わけのわからん事を言い出した。
しゃあねえ、付き合ってやるか…。
さゆみは自転車のカゴの中に小さな座布団を敷き、そこに俺を乗せた。
そして、走り出す。
風を切るこの感覚が気持ちいい…が、向かい風はちょっと息苦しい。
「レミーちゃん聞いて聞いて。先輩の石川さん、また怪我して入院が伸びたの。
でも、それにもいろいろ理由があってね…」
無邪気なもんだぜ、まったく。
ウサギの俺が答えられるわけねーだろw
俺はさゆみの話をずっと聞き流していた。



752 :1:2005/10/14(金) 03:51:26

『カアアアアアアッ…カアアアアアアッ』
『クワアアアアッ』

なんだか、今日はえらくカラス共が騒いでんな。
祭りでもあんのか?鳥公の考えてることはよくわかんねーぜ。
まぁ、ウサギの俺には関係ないがね。
たまに見かけるハトとか何考えて生きてるんだろうな。
いっつもムカつく歩き方しやがって、いきなり地面突付いては小石を啄ばみ始めるし。
でもあれには意味があるんだったっな。えぇっと確か消化をどうたら…
わかんね、忘れたよ。今度ハトに直接聞いてくれ。

『カアアアアアアアアアアアッ』

それにしてもうるせーな、あのカラス共。
「…レミーちゃん、帰ろっか」
怯えた声でさゆみが俺に言った。
なんだ?急にテンション低くなったなコイツ。
ふと空を見上げると、一羽のカラスが電線にとまって俺らをジィーッと見つめていた。
なんだアイツ。
ガン飛ばしてきやがって…しゃくにさわるやつだな。
これだから、鳥公は嫌いなんだ。
さゆみはその場で自転車を降りてUターンすると、来た道を戻って帰路についた。

763 :1:2005/10/14(金) 17:14:44

その夜。
暗くなった部屋で、俺はさゆみの隣に添い寝してやっていた。
さゆみはうつ伏せになって目を閉じている。
背中を怪我しているらしいので、仰向けになれねーらしいが…
可愛らしい寝顔じゃねーか。

カサ…バサッ…

今日はやけに外が騒がしいぜ。
普通にしてりゃ何も聞こえないような物音だが、俺のピンと張った
自慢の耳には確かに外からの騒音が入ってくる。

ファサッ…カツッ…

これじゃ眠れやしねぇな。
どれ、一つ文句でもつけに行くか。
おっと、その前にさゆみが寝つくまで待ったほうがいいか。
「スースー…」
いや、いらねー心配だったな。
お姫様は、もうすっかり眠りについていたようだ。
…無邪気なもんだぜ、まったく。
俺はさゆみを起こさないようにベッドから這い出ると、静かに部屋の窓を開けた。
ウサギの俺がどうやって窓開けたかって?
自慢じゃないが、俺は後ろ足2本で直立できるっていうくだらない特技があってね。
俺は窓のすぐそばの木の枝に飛び移り、つつーっと地面に滑り降りる。
あーあ、帰ってくる時は俺の『能力』を使わないといけないな。
さゆみの部屋、二階だし。
めんどくせーな、おい。



764 :1:2005/10/14(金) 17:15:55

カッ…カツッ…

それもこれもあの騒音のせいだな。
あの木の上にいやがるみたいだ。ありゃたぶん鳥だ。
ったく鳥公め、ウサギの睡眠を邪魔しやがって…。
俺はそいつのいる木の下に行き、そいつに言った。
「おい、お前。さっきからカツカツカツカツ何つついてんだか知らねーが
静かにしてくれ。子供が寝れないんだ」
ま、ガキなんていないけどね。

カッカッ…カツッ…

ありゃあカラスだな。
シカトか?いい度胸してんじゃねーか。
「おい鳥公!そこのオメーに言ってるンだぜ。お前、お耳がツンボか?」
「…食事中だ。静かにしてもらえないかね?」
そのカラスは、俺を睨んで言った。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…




765 :1:2005/10/14(金) 17:17:28

…鳥公ってやつぁ、ホント何考えてるのかわかんねー目をしてやがる。
だから嫌いなんだ、鳥類はよ。
「ん、お前どっかで見たカラスだな」
どこでだっけ?
俺には鳥のダチはいねーし…あっ、思い出した。
こいつ、夕方さゆみと散歩してる時に俺らを睨んでたヤツじゃないか?
「幸運ってのは、突然やってくるものだな…」
カラスの野郎、急に何言い出してんだ?
「そもそも、生き物は皆それぞれ限られた数の<幸運>を持って生まれてくると、
このオセロは考えている…最も、バカな奴は与えられた幸運を使い切る前に
くたばってしまうがね」
オセロ?
こいつの名前か?
「さっきから何言ってるんだお前。わりーが宗教の勧誘ならお断りだぜ。
俺は仏教徒なんでな」
2本足で立ち、ヘラヘラと答える俺にカラスはイラついたのか、バサッと羽を広げ
地面にゆっくりと降りてきた。
「お、おい何だよ。ケンカしようってのか?暴力反対だぜ」
俺は手荒な真似は嫌いだ。
平和主義者なのさ。
カラスは言った。
「私はここのところ腹の空きが果てしなくてね…食っても食っても空腹が
おさまらないんだ」

『ギ…ギ…』

「えッ!!?」
いつの間に…こいつ、地面にいたリスを足で鷲づかみにしているぞ…ッ!?



766 :1:2005/10/14(金) 17:18:21

ザクッ!!

うわッ見てられねえッ!!!
その気取ったカラスは、捕まえたリスの頭に容赦なく嘴を刺したんだ。
そして…少ししたらリスが悶え始め…腐ったみたいにドロッと溶けた。
「なっ!!!なんだオメエェェェェェェッ!!!!!!!!!!」
狼狽する俺を他所に、カラスのヤツはそのとろけちまったリスを啄ばみ始める。

グチャッピチャリッチャプッグチッ…

チッ…見てらんねーぜ。
なんてクレイジーな野郎だよ…。
しかもその時、俺は見ちまったんだ。
このカラス<オセロ>とかいうヤツの嘴にくっついてる妙なもんを。
まさかコイツは…形こそ違うが…俺と『同じ』…

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

782 :1:2005/10/15(土) 02:45:53

ポチャッ…ポチャッ…

げげッ!!
こいつ、喉から食ってるもんが垂れてるぞッ!?
穴が開いてやがるんだ!!そりゃ腹も減るわけだぜ…。
「ところで…」
そいつは食べるのをピタリとやめ、俺に訊いてきた。
「お前、夕方あの人間の女といたな。忌まわしいあの女…」
あの女…?
さゆみの事を言ってやがんのか?
忌まわしいって…。
「あの女はお前のご主人なのか?」
さゆみがご主人?
「へっ冗談!」
なんでこの俺様が人間に仕えなきゃなんねーんだw
だいたい、俺が崇拝するのは俺を超えたヤツと大黒様だけだ。
絵里にだってホントは勝ってたんだからな!あん時は油断しただけさッ!!
つっても、負け犬ならぬ<負けウサギ>の遠吠えにしか聞こえねーか…orz
カラスは言う。
「違うのか。見たところ、あの女に飼われてるようだが…お前も苦労している
ことだろう?バカな人間に捕まって、箱詰めの一生か…」
苦労…か。



783 :1:2005/10/15(土) 02:47:24

「訊いてもいいか?」
俺はカラスに疑問を投げかける。
「なんだ?」
「お前、なんでさゆみのこと知ってんだ?もしかして、ここにアイツが住んでるって
知ってて、ここにいんのか?」
「…そうか、名は『さゆみ』というのか」

ニタァ…。

ん、なんか今、カラスの嘴が笑ったように歪んだ気が…まさかな。
「ウサギ…もうすぐ貴様を外の世界へ解放してやるよ」
「は?どーいうことだよ」
カラスはカカッと笑い、こう言った。

「私は『さゆみ』とやらに貸してる<ツケ>を払ってもらいにきたのさ…
金ではなく、死という形でね…」

「な…ッ!?」
なんだって!!!
コイツは…さゆみを殺るために、ここに来てるっていうのか…!!?

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…



784 :1:2005/10/15(土) 02:49:02

「さゆみを…殺すのか?」
「そうだ。この怪我の屈辱は、屈辱ある死で償ってもらわねばならないからな…」
よく見るとこのカラス、後頭部に火傷をしてるじゃねーか。
いま言われて気付いたぜ。
まさか…さゆみが能力でこのカラスに…?
「私の嘴で穴だらけにしてグシュグシュに溶かして…食ってやる。
目玉は最後までとって置こう…極上の食感だからな」
な、なんてイカれた考えの鳥公なんだ…ッ!?カラスは執念深いと聞くが…
さゆみを…溶かして食うだとッ!!!!?
「わかったらそろそろ家に帰るんだな、ウサギ。その女と眠れるのも今日が
最後になるだろうよ…お別れの挨拶でもしておくといい」
お別れの挨拶か…そうだな。
俺はカラスに背を向け歩き、闇の中へ消えた。
やれやれ、しょうがねぇ…

ザッザッザッ…




785 :1:2005/10/15(土) 02:54:02

「所詮、動物の…ウサギの人間への忠誠などこんなものか…それも知らずに
愛情を注ぐ人間…フン、間抜けな話だ。やはり、人間とはバカで愚かな生き物よ…」


「確かに…お別れの挨拶はしなきゃなんねーな。てめぇによ」
「ッ!?」

バサッ!!

「貴様…ウサギ!いつの間に後ろに…ッ」
「その前にさっきの質問に答えてやるよ…ホント、苦労してるぜ俺は。
気苦労が耐えねぇ…中3にもなって夢見すぎで…ほっとけないのさ、アイツのこと。
やっぱ、俺がさゆみの<騎士(ナイト)>にならなきゃならねーみたいだな」

そうさ、絵里にはまかせらんねーよ。

「さゆみは俺が守る」

793 :1:2005/10/15(土) 15:31:57

本来、俺はケンカとか好きじゃねーんだけど…
女絡みとなると話は別だぜ。
「出ろッ!!ブック・サーカス!!!」
グワアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!!
これが俺の守護霊だ!!
ショベルカーみたいで、でけぇだろ!?
さゆみや絵里は、この能力を<スタンド>って呼んでるらしいけど…
ったく、絵里のヤツ…『ブック・サーカス』なんて、まるで古本屋みてーな
ふざけた名前付けやがって。
まあそんなことは、今はどうでもいいわな。
「来いよ鳥公、ぶっとばしてやる」
「これは驚いたな…貴様も私と同じような力を持っているとは。幸運の神は
私以外にも降りていたんだな」
そう言うと、カラスは自らの羽を嘴でちょちょいと手入れした。

「随分と余裕こいてるみてーだが…俺のスタンドは強いぜ?お前には勝てねーよ。
しかも見たところ、お前より俺の方がイケメンだしな。さゆみにはもう
近づかねーってんなら、このまま見逃してやってもいいぜ?」

「スタンド…というのか?この能力は…しかし…余裕こいてるのは貴様の方なんじゃ
ないのか?悪いが今の私は幸運の絶頂期にいる。何をやっても結果的に成功している。
しかも、私よりイケメンだと?ナルシストが…フン、ある意味幸せなヤツよ。
自分に過大評価するヤツほど、実は何もできないヤツはいない」

「ナルシストのどこが悪い?自分にも酔えないヤツが、でかいことができた
試しはないんだぜ?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


805 :1:2005/10/16(日) 00:59:05

カラスのオセロと俺は互いに睨み合う。
さて…久々だな、夜中に活動するのは。
いつもはさゆみに合わせて夜は寝るようにしていたが…
今日は俺本来の夜行性の姿に戻るぜ。
「そうか…」
カラスは一人で納得していた。
「自分にも酔えないヤツがでんでんって話、よくわかったよ。
頭ではなく、心で理解した」
そして、こう言った。

「なら派手に死ね」

ブシュウウン!!!!!!
カラスの嘴と羽に、鎧みてーなもんが装備されたぞッ!!
これがコイツのスタンドだな!?能力は検討もつかねーが…
だがッ!!負ける気もしないッ!!!
「KYUWAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!」
カラスが俺を睨んだまま、咆哮した。
ちっ、股の下から石投げてる暇はなさそうだぜ。

バササッ!!

カラスは羽ばたき、木の茂みに隠れる。
いきなり隠れやがって…くそッ!!



806 :1:2005/10/16(日) 00:59:55

ヒュン…

なんだ…今風を切るような音が聞こえ…

ドスッ!!!!

「うおあああああああああッ!!!」
お、俺の右肩に何かが刺さりやがった!!
こ、こいつは…
「羽だとぉぉぉぉぉぉッ!?」
羽を飛ばしてきやがるのか!?このカラス野郎はよぉッ!!!?

バササッ…ヒュン…

今度は別の場所からだ!
「うおぉぉぉっ!?」

ドスドスッ!!

あぶねぇッ!!!!
俺は羽の飛んでくる方向を自慢の耳で聞き取り、推測してかわす。
黒い羽は地面に突き刺さっていた。
くそ、羽が黒いから飛んできても見づらいぜ…あの鳥公、真っ暗だってのに
よくこんな正確に羽を飛ばしてきやがれるもんだ。



807 :1:2005/10/16(日) 01:01:21

ヒュン…ピッ!!

いてッ!!!!!!!!!!!!!!!
み、右耳にカスりやがったじゃねえか!!!!
「ちッ!いい感してるぜカラス野郎!!!」
しかも一箇所に留まらず、移動しては羽を飛ばし、移動しては羽を…と、
なかなかすばしっこい。
カラス野郎がハゲになるまで待つか?
いや、その前にたぶん俺がもたねぇッ!
畜生ッ…いいマトだぜこれじゃあ!

ヒュンヒュン…

今度は二枚くらい飛ばしてきやがったな!?
でも、もうかわすのがめんどくさいぜ。
「ブック・サーカス!!!!!!」
俺は羽が迫ってくる方向を風を切る音でつきとめ、その方向にスタンドを発現させ…

ベリベリッ!!!!!!ドスドスッ!!!!

「へッ、どーだい!!!」
これが俺の能力さ!
物を本のページを捲るようにして剥がす能力!!
飛んできた羽は全て捲り剥がした地面でガードしてやったぜ!!
地面を元に戻すと、二本の黒い羽が地面に突き刺さっていた。

810 :1:2005/10/16(日) 02:39:42

ビュウウウウウウウウ…

なんだ…今度は随分と空気を切る音が重てぇな…。
「ハッ!!」
あ、あの野郎ッ!!今度は自ら俺に突っ込んできやがる!!
「KYURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!!!!!」
カラスはやけに甲高い声で叫び、俺に迫ってきた。
あの嘴で一撃決める気だな…ッ!?
だが待てよ、これはある意味チャンスだぜ。
鳥公みたく自由に空を飛びまわれない俺には、この闘いに負ける気は
しないものの、圧倒的に不利だ。
ぶっ飛ばすには、あのカラス野郎を地べたに引きずり下ろす必要がある。
それをどうするか考えていたが…まさかヤツの方から下りてくるとは好都合だ。
ここはヤツの嘴攻撃をわざと食らって耐えて…食いついたところを
俺のブック・サーカスのでかいシャベルと超パワーで思いっきりぶん殴ってやるか!!!
とっておきの一撃必殺だぜッ!!!
「よしッ!かかってきな鳥公!!!」
「EEEEEIAAAAAAAAAAAAAA!!!!」
ヤツが来る!!
とりあえず怪我してない左肩をタテにして…
いや、待て。
俺は迫り来るカラスを目の前にして考え直した。

811 :1:2005/10/16(日) 02:41:40


このカラス…<嘴>に異常な自信を持ってるぞ…
スタンドを装備している<嘴>…
やばい…身体で受け止めるのは…
直感だが…何かやばい!!!




812 :1:2005/10/16(日) 02:43:25

「うおぉぉぉぉッ!!!ブック・サァァァァァァッカス!!!!!」
「スポイィィィィィッル!クルオォォォォォォッ!!!!!!!!」

バシュウウウウウッ!!!!

「…」
「…」

嘴は…寸前でかわした。
「KYUWAAAAAAAAAA!!!!!」
カラス野郎が痛みに悶える。
かわす瞬間、カウンターでカラス野郎の顔に立ててやった爪が、
見事にヤツの顔面の左ッ側を引き裂いようだ。

ブシュッ…

「いてて…ッ」
まあ俺も左の脇腹をヤツのスタンドをまとった翼で切られちまったようだが…
傷は浅いぜ!!!
「へッ!テメーの方がダメージはでかいみてーだな!!でもブサイクな顔に傷がついて
さっきよりマシになってんぜ。感謝しろよな!!!」
「おのれ…この私の顔に傷をつけたこと…後悔させてやるぞウサ公…ッ!!!」



813 :1:2005/10/16(日) 02:45:01

バァサアアアッ!!!!!!

カラスが空中で俺に向き直り、羽を広げる。
「もう手加減はせん…穴だらけにしてくれる!!!」

バシュンッ!!!

ヤツが一回、大きく羽ばたくと、スタンドをまとった翼から無数の羽が
俺に向かって一直線に飛んでくる。
こんな芸当が出来たのかコイツ!
とてもじゃねえが、全部かわしきれねぇ…だがッ!!!
「ブック・サーカスッ!!!!!」
ベリベリッ!!!
俺にはこれがあるぜーッ!!
てめえの羽は地面を捲っていくらでもガードしてやるんだッ!!!
そして地面が戻る前に…俺がヤツの視覚に入っていないこの間に…

「む…地面は元に戻ったが…ウサギめ、どこに隠れたのだ…?」

816 :1:2005/10/16(日) 04:19:57

へへ、闘いのペースはだいぶ俺の方に流れてるな…。
俺は草の茂みに隠れて、カラス野朗が現れるのを待った。
早く俺の足跡をたどってここに来やがれ…
カラスのヤツ、俺の足跡が途中で消えててビックリするだろうな。
俺はあの羽をガードした後、地面が閉じる前に後方へダッシュし、闇の中へ隠れた。
そしてその際、進んできた足跡をそのまま同じように踏んで数メートル後方へバック。
近くの茂みに飛び移り、身を隠したってわけさ。
人間たちは俺らのこの技を『バックトラック』って呼んでるらしい。
ヤツは必ず俺を追ってくる。
顔に傷をつけてやったんだ、絶対報復にくるぜ。
鳥公、特にカラスって奴は執念深いからな。
さぁ…早く来いカラス野郎。
後ろから襲い掛かる形になるだろうが…容赦はしねーぜ。
それが、弱肉強食の世界ってもんだ。
「……」
おせぇな。
まさか、ビビって逃げ出しちまったんじゃねーだろうな?

カサッ…

「!!?」
なんだ今の物音は…まさかッ!!
俺が振り向くと、そこにいたのは…



817 :1:2005/10/16(日) 04:22:45

「ひっ!?」
一匹の子リスだった。
な、なんだ…あのカラス野郎かと思ったぜ。
コイツ、見たところ女の子みたいだが…
「あ、あの」
子リスが話かけてきた。
アホか、こんな状況の中でガキの相手なんかしてられるわけねーだろ。
「嬢ちゃん、子供がこんな夜中に外ぶらつくもんじゃねーよ。巣に帰りな。
お母さんが心配すんぜ」
「お、お母さんが…帰ってこなくて…さっき出かけたきり…わ、わたし心配で…」
帰ってこないのか…それは、もう取り返しつかないことになってるかもな。
でも、俺たちの住んでる世界ってそんなもんだろ?
こんな時代…平穏を望むのなら、人間に仕えるしかないのさ。
そういえば…このガキ、どっかで見たような毛の模様したリスだな。
「とにかく、早く巣に帰れ。もしかしたらお母さんが帰ってきてるかも
しれねーだろ?ここは危ねーからよ」
あのカラス野郎もいるからな。
ん…そういやさっきあのカラス野郎…リスを…
「わかった…ありがとう、ウサギのおじちゃん」
お、おじちゃんんんんんんん!?
これでも人間で言うとまだ十代だよ俺は!!
「…気をつけて帰れよ。お母さんならきっと帰ってくるさ」
「うん…バイバイ」
まぁ、ガキ相手にマジになったってしょうがねーからな。
ったく…俺って出来るウサギだぜ。
子リスが俺の隠れている芝生からガサガサッと抜け出した。
その時だ。

バシッ!!!!!

子リスが俺の目の前から消えた。


818 :1:2005/10/16(日) 04:25:51

「…え?」
今、何が起きた…?
あのガキんちょが…消えちまったぞ。
消えた…いや違う!
何か黒いもんが降って来たように見えた!!
まさか…

「ふん…あの忌々しいウサギかと思ったが…違ったか。小さすぎだったな。
私としたことが…」
「いたい…いたいよ、カラスさん…」

まさかッ!

ドゴッ!!!

さっきの子リスが俺の目の前で地面に叩きつけられる。
そして…その子リスの身体の上に、あのカラス野郎が降りてきた!!
カラス野郎は子リスの身体を足で鷲づかみする。
どうやら、俺がここに隠れているのには気付いてはいないらしいが…。
「あ…うっ…」
「私はね、ここのとこどうも、すぐ腹が空くんだ…食っても食っても満たされない」
カラス野郎は、静かに子リスに話しかけている。
あのカラス野郎…ッ!!
「さっき君によく似たリスの女性を頂いたよ…実にうまかった。特に目玉がね…
でも満腹にはならなかった。そういえば、君のしっぽとあの女のしっぽ、模様が
まるっきり同じだね。うん…若い<肉>も悪くないか」
「い、いやあああああッ!!!!!!!」
子リスの悲鳴が辺りに響いた。



819 :1:2005/10/16(日) 04:27:36

さっきのカラス野郎が食ってたリス、あのガキの母親だったのかもしんねーな…
そして、その娘。も同じカラスの餌食になろうとしている。
これも、親子のつながりってやつか…。
弱肉強食は自然の掟。
どんなに辛くたって、誰も助けてはくれないんだ。
信じられるのは自分だけ。
力も運も持ってない奴は死ぬのさ…
けどよ。

ガサッ!バシッ!!!

俺は茂みから抜け出し、なんの策もないままカラス野郎に体当たりしていた。
「クワッ!!貴様ッ!!!?」
カラス野郎は体当たりされる直前に子リスから足を離し、後方に飛びのいて
ダメージをだいぶ軽減したようだ。
「う、ウサギさん…」
「ったく。早く巣に帰りな」
「ハ、ハイッ…」
子リスは足早に近くの木に登ると、夜の闇に消えた。
ちっ…状況はまた振り出しに戻っちまったな…



820 :1:2005/10/16(日) 04:28:54

「バカな男だ…私があの子供のリスを食している間なら、そのスキに
手堅い一撃を加えられたかもしれないというのに…貴様、あのリスを助けたな?」
「やれやれ…さゆみだろーとあのガキだろーと…女を見殺しにはできない性格でね」
「か弱きものを助ける…か?ククッ…クカカカカカカッ!!」
「…わりーかよ?」
するとカラスはピタッと笑うのを止め、こう言った。

「そういう奴から死ぬ」

845 :1:2005/10/17(月) 18:40:17
バサッ!!!
カラス野郎が大きな羽音をたてて羽ばたく。
「人間の女に飼いならされた家畜が…そんな分際で何を守る!?」
く、くる…この野郎ッ!!
「ブック・サーカス!!」
「遅いんだよ!!!」
カラス野郎が迫ってくる!は、はえぇッ!!

ギュン!!

やられる!!
ところが、カラス野郎はその嘴で俺を突付こうとはせず、俺の眼前で急上昇し、
俺の後ろへ飛び去った。
「な、なにを…」

『ピギイィぃィィィィィッ!!!!!!!』

状況を理解できない俺に、耳を劈くような女の悲鳴が聞こえた。
動物の悲鳴だ。しかも声色からして幼い。
「まさか…まさかッ…!!!!?」
俺の前に、ゆっくりカラス野郎が降りてくる。
その嘴には、さっき遭遇したばかりの子リスが咥えられていた。
「ふふ…すごいだろう?私のこの首の筋肉…この娘程度の重さなら、
咥えたまま飛行もできるね」
カラス野郎は子リスを地面に叩きつけるようにして嘴から離し、言った。
「お母さん…ママ…」
「てめえええッ!!」

グチャッ!!

俺がカラス野郎に飛びかかろうと、大地を踏みしめた瞬間。
子リスは、まるで腐ったかのようにとろけた。


846 :1:2005/10/17(月) 18:42:39

「あ、あ…」
「守れなかったことが悔しいかい?そんなことより、私は非常に
腹を空かしているんだ…食っても食っても!!腹の空きがッ!!
おさまらない!!!あああああッ!!!!!!!!!!」
ドロドロになった子リスの身体に顔を埋めるようにして、カラス野郎は
勢いよく頭を突っ込み、それを食い始めた。

ぐちゃびちゃぐちょぷぎちゃ…

こ…このイカレ野郎ッ!!!!!!!
「てめえええッ!!!!!そうやって自分の腹膨らかすためにいったい
今まで何人の…何匹の身体を傷つけてきやがったんだ!!!!!!」
「貴様は今まで食った葉っぱの枚数を覚えているのか?」
そう言うとカラス野郎は、あの忌々しい女もこうやって食ってやる、と言った。
……ッ!!!!!!!!

くちゃべちゃぎちょぶぐちゃ…

「その汚らしい音を…やめねえかあああああああああああああッ!!!!!!!」



847 :1:2005/10/17(月) 18:43:42

ぜってえ許さねえッ!!!!!!
自分のためなら人間だろうが動物だろうが皆殺し。
こいつはこの世界に生きていていい生物じゃねえッ!!
くせええッ!!ゲロ以下の臭いがプンプンするぜえええええッ!!!
「テメーにもそのリスと同じ目に合わせてやるッ!脳天カチ砕いて!!脳ミソ地面と
シェイクさせてやんぜッ!!!くらえッ!!!ブック・サーカスッ!!!!」
俺は怒り任せにカラス野郎に飛び掛った。
ブック・サーカスのこのシャベルですり潰してやるッ!!
「おそい…おそいおそいおそいおそいおそいおそいプギャアアアアアアアアアアッ!!」
カラス野郎も俺に向かってきやがった!!
に、逃げると思ったが…逆に向かってくるだとおぉぉぉぉッ!!!!!
度胸で負けてたまっかよ!!この野郎ォォォォォッ!!!!
「KUWAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!!!!!!」
「ぬらあああああああああああああああああああああッ!!!!!!」

ズバシュッバキ!!!!!!!!!

な、なんて奴だ…
このカラス野郎…強い!!!!!!!!

ブシュウウウウウウウウウウウウウッ!!!!!!!!!!!!

俺の左の前足から、鮮血がほとばしる。
「うわああああああああッ!!!足がッ!!!!!!!」
「左ッ!まずは左の前足を捕った!!おやおや、どうやら傷が骨まで達したようだな。
これでちょこまかと飛んだり跳ねたり出来まいッ!!!!!!!」
「て、てめええええええッ!!!」



848 :1:2005/10/17(月) 18:46:19

ちくしょう!!!足がいてえッ!!!!
あの生ゴミくせえ翼に軽く骨まで削られちまった!!
こ、こいつはまずいぜーッ!!
だが、まだ大丈夫だ!!!次にあのクソったれカラスが近づいてきたとき、
一撃で目玉が飛び出るほどのシャベルパンチを叩き込んでやる!!!!!
くそ…リスの嬢ちゃん…ッ!

「なんだ貴様のその目は?そんなに傷ついた腕が痛むのか?
今にも泣きそうなほど真っ赤だな…くくッ」

「泣きそうなほど真っ赤?違うねッ!!これはこの子リスの仇を討ちたいと願う怒りの赤だ!!
そしてさゆみを…妖精を守り続けてやると誓う情熱の瞳の赤だッ!!!!!!」

きやがれカラス野郎!!
今度、俺にその歯クソくせえ嘴を向けた時が、てめえの没する時だぜーッ!!!
「安心しろ…あの女を襲う前に、貴様から先にこのオセロの養分としてやろう。
だが…またさっきのように爪を立てられたら私もたまったものではない…出来る限り
接近戦は避けたいもの…そこで、ちょうどいい処刑法はやはりこれだなッ!!!」
カラス野郎が翼を広げる!!
やべえッ!こいつ、また羽を飛ばして攻撃してくるつもりだ!!!
あれじゃ近づけねえッ!!!!!



849 :1:2005/10/17(月) 18:48:00

「どうだ…どうだどうだどうだどうだどうだどうだどうだあああああああッ!!!!!」

ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!!!!!!!!!!

「う、うおおぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!!」
羽が、漆黒の羽が俺に迫ってくる!!!
「これしかねえのかよッ!!ブック・サーカスッ!!!!!!!」

ビスビスビスビスビスビスビスビスッ!!

地面を捲りあげて羽は全部ガード!!
今の状態では接近するのは無理だ…捲った地面が俺をヤツの目から
隠している間に距離をおくんだ!!
足がいてえが…怯んでる暇もないッ!!
俺は猛ダッシュで後方へと爆走した。
目の前に…茂みがあるッ!!
そこを無理矢理つっこんで乗り越えると…

ザバッ…

…一面のコンクリート。
どうやら街路に出たみてーだ。
いてて…左前足もいてーが…最初に切られた左の脇腹もいてえな。
けっこう出血してんじゃねーか…街路灯に照らされて、初めて自分の怪我の具合が
どれだけひどいもんか実感したぜ。
実感すると同時に、またズキズキと痛みも増してくる。
「この傷はさゆみに手当てしてもらうとして…あのカラス野郎、果たしてここまで
追いかけてくるだろうか…?」
人はまったく通ってないとはいえ、この明かりだ。
カラスの習性からして、ビビっちまって出てこないかもしれない。
ちょっち…休憩するか…


850 :1:2005/10/17(月) 18:49:46

「このオセロが、この程度の明かりに臆するとでも思ったか?」

耳元で囁かれた声。
それはとてつもなく冷えていて、骨の髄まで軋みそうなものだった。
「な、なんだこのカラスはッ!うわああああああああああああッ!!!!!!」
「死ねィッ!!!!!!!」

ブシュウウウウウウウッ!!!!!!!

カラス野郎から距離をとろうとバックジャンプしたが…
む、胸を切られたッ!!
もし後方へ飛んでいなかったら…今頃俺は…ッ!!
「なんのためにこんな街路に逃げてきたのかは知らんがッ!私は誰よりも…
人間よりも強いッ!!その私が貴様ごとき『一匹』のウサギに負けるわけがない!!
空も飛べない『一匹』の貴様なんぞに負けるわけがないのだああああッ!!!」
そう叫ぶと、カラス野郎は空高く上昇した。
「この見通しのいい通り!!もう地面を捲ったとて逃げられはせん!!
ここに逃げてきたことが逆に貴様自身の首を絞めることになったなッ!!
だが私は貴様を忘れんだろう!!この顔に傷をつけた『一匹』のウサギをなああッ!!」
カラスが翼を広げた…羽を飛ばしてきやがるな。
それにしても、さっきから『一匹』、『一匹』ってよぉ…
「くらえ必殺!!スロウ・フェザース!!!!」
ヤツから放たれる無数の黒い羽。
やれやれ、さっきからあんなに飛ばしてるのによく禿げないもんだ。
「おらあああッ!!!ブック・サーカスッ!!!!」

ベリ…ベリベリベリベリベリベリベリベリッ!!!!




851 :1:2005/10/17(月) 18:51:11

「地面を剥がして逃げようなど無駄無駄ァッ!!どこまでも追跡し…ハッ!!?」
余裕の表情に満ちていたカラス野郎の表情が一変、驚愕の色に変わった。
それもそのハズだ。
「貴様…捲った地面を坂道のように固定し…登ってくるだとおぉッ!!!?」
そうだ!!
俺のスタンドは捲るだけが能じゃないッ!!
こうやって、スタンドのアームで捲った地面を支えることだって出来るんだ!!
俺はカラス野郎に向かってジャンプ、飛び掛る。
「テメー、ちょっと教養が足りないみたいだから教えてやんぜ…ウサギはよぉ!!
<匹数>じゃなくて<羽数>で数えるんだよ!!一羽、二羽…ってなァッ!!!!」

ガシィッ!!!!!

俺はカラス野郎の背中に飛び乗り、体重をかけた。
「なにいぃぃぃッ!!!!?」
俺の重量には耐え切れないようだな…カラス野郎は引力につかまり、
まッ逆さまに地面へと墜落していく。
「離せッ!貴様ァァァァァッ!!!」
「落ちろッ!!このドクサレがああああああああああああああッ!!!」

どぐしゃあっ!!!!バキィ!!

「KYUWAAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!!!!!!」
カラス野郎が絶叫した。



852 :1:2005/10/17(月) 18:52:41

「足がッ!!!私の右足がああああああああああああああああッ!!!!!!!!!」
折れているようだ。
見事に根元から明らかにおかしい方向に曲がっている。
俺の方はというと、コイツをクッションにしたため、ほとんど無傷だ。
そして、急いで<そこ>から飛び退いた。
「き、貴様アアアアアアッ!!!!!!」
「おいカラス野郎、上を見てみろよ」
「なに…これはッ!!天井…かッ!!!!」
「天井か、違うな。それは俺が捲ったコンクリートの<裏側>だぜ」
「コンクリートの…ッ!?まさか貴様…これを狙っていたな!!!?」
「さっきまでいた場所は土だったんでな。あれじゃ頑張れば掘るなりなんなりして
出てこれるが…こいつはコンクリートだぜ」
これなら、どう頑張っても逃げ場をつくることはできないだろう。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…




853 :1:2005/10/17(月) 18:53:59

「おのれッ空へ飛んで逃れるんだッ!!」
カラス野郎がバサバサとうるさい羽音を立てる。
「ダメだッ!!足に力が入らない!!地面をうまく蹴れないッ!!」
これ以上コイツの無様な姿を見ていても、俺にはなんの特もないので、
静かに本のページを閉じるように、地面を戻すことにした。
カラス野郎は絶叫する。

「うぐあああ!!キサマなああんぞにィィィィィィィッ…」
「地獄でやってろ」

ドン…バキグシャべシャグキィィィッ!!!!!!

閉じる地面に潰され、骨がグシャグシャに砕ける音と共に、漆黒の羽が
最後の断末魔をあげるかのように抜け、空を舞った。

地面は、何事もなかったかのように元に戻り、平らになった。



854 :1:2005/10/17(月) 18:55:59

さて、帰りたいとこだが…足に力が入らねーし、脇腹も胸もいてぇ…。
この傷じゃあ死にはしねーだろうが…こんな弱ってるところを他の鳥公に
見られちまったら、それこそ殺られちまうぜ。

バサッバサッ…

ほらほら、カラス共がおいでなすった。
どうやら、俺が倒れるまで見物しているつもりらしいな。
化け物みてーなカラスを倒した俺が、普通のカラス共に食われるのか…
ふん、ギャグだな。こいつはよ…

「…ちゃん…」

幻聴まで聞こえてきやがった。
さゆみの声がした気がするが…あいつは今、眠れる森のお姫様だ。
俺も、あの子リスのガキんちょのあとを追うとするか…今度はちゃんと相手してやるかな。
最も、いきなりあのカラス野郎に会うことになりそうだが…。

「レミーちゃん!!!!!!」
……さゆみ?幻聴じゃなかったのかよ…。
「よかった、おしっこに起きたら部屋の窓が開いてて変だなと思ったの!!
こんなとこにいるなんて…探しに来てよかったの!!!」

「き、傷だらけなの!!それにこの羽…あのカラスと闘ったのね!!?
レミーちゃん…うぅ…すぐ手当てしてあげるの!!!」

へへ…運命の歯車は、まだ俺を眠らせてくれはしないらしい…。

カラス野郎オセロ 死亡
スタンド名 スポイル・クロウ

ウサギのレミー(♂)
スタンド名 ブック・サーカス

TO BE CONTINUED…