417 :1:2005/10/06(木) 16:29:26
銀色の永遠 〜エリックかめりんはお姫様を守りたい〜

〜Enemies side〜

トゥルルルルルルル…トゥルルルルルル…ピッ
『はい』
「あ、もしもし、ひろりん?」
『…じゃーな』
「嘘だよ。電話切ろうとしないでくれ」
『何か用?』
「うん。拙者の頼みを聞いてほしい」
『金なら貸さないぞ。欲しい服があるんだ』
「そんなことじゃないよ。金じゃなくて、お前の力を貸して欲しくて」
『力って…スタンド関連かよー?俺のくっだらね〜能力なんか何に使うんだ?』
「拙者と組んで欲しいんだ。拙者達は絶対相性がいい」
『はぁ?演劇部になんかすんのか?』
「そう」
『わりーけど勘弁。痛い目あいたくねぇし。大体なんでお前があの女の「演劇部潰し」に
力貸そうとしてんのかがわからん』
「うまくいったら、Hさせてくれるそうだ。拙者限定で」
『ならますますやだね。俺を出し抜いて童貞捨てようなんてよー』
「そう言うと思った。ただとは言わない、取引きしよう」


418 :1:2005/10/06(木) 16:30:27

『取引き?』
「うん。もし拙者に力を貸してくれたら、2年C組の平山さん紹介してあげるよ。
ゴマキのコネで」
『えっ、マジで?えっえっ!?ヤらしてもらえたりする?』
「それは君の努力次第だけど」
『…紹介はしてくれるんだな?』
「うん」
『…よし、わかった。いいよ』
「ありがたき幸せ。じゃ明日放課後に打ち合わせしよう。場所は…
カフェドゥ・マゴでどう?」
『明日かよ。S市に服買いに行こうと思ってたんだけど…まぁいいや、わかった』
「いきなり悪いね、成宮。じゃ明日」
『おぅ』
プツッ!ツー…ツー…


419 :1:2005/10/06(木) 16:32:05

〜Elizabeth said〜

私は…いや、もう自分を偽るのはやめよう。
僕の名前は亀井絵里。
ぶどうヶ丘高校の1年生だ。
お父さんは『エリック亀造』っていう、この辺じゃ結構有名なエリートイケメン販売員で、
それ故に、友達には『エリックかめりん』って呼ばれる事がある。
ヨロチク〜(>▽<)
なんちゃって。

この頃、さゆが僕と遊んでくれないんだ。
理由は知ってる、最近演劇部に電撃入部した久住小春ちゃんにベッタリだからだ。
ああ見えて、さゆってとても面倒見がいいんだよ。
そんなさゆに、小春ちゃんもベッタリでさぁ…orz
あーあ、中学一年生の女の子にヤキモチ妬くなんて…ハァ。
…片思いって辛いなぁ。
でもでもっ!
今日の放課後、デート(って思ってるのは僕だけだけど)する約束したんだ!!
カフェドゥ・マゴでお茶しながらおしゃべりするんだ。
学校帰りにカフェでデートだなんて、オシャレだと思わない?
その日の授業は、とっても長く感じた。
早く放課後にならないかなぁ〜♪



420 :1:2005/10/06(木) 16:34:40

〜Enemies side〜

放課後。
カフェドゥ・マゴにて、拙者達は紅茶をすすって会議していた。
学校帰りにカフェで対談…なかなかオサレなシチュエーションだ。
…向かいの席に座っているのが『男』ってのが何とも言えないが。
相手は同級生の、耳にキューピーちゃんのピアスをした成宮寛貴である。
「で、演劇部員の顔は写真でわかったけどさ。俺の能力なんて何に使えるわけ?」
「うむ、一言で言うと、拙者の『目』の代わりになって欲しい」
「目?」
成宮は拙者を疑問の眼差しで見た。
「そう、目だ。それで拙者の弱点を克服する」
「山Pって、そんなに視力悪かったっけ?」
「そう意味で言ったんじゃない、あくまで『スタンド』としてね」
「へー。それよりよ、S市に新しい古着屋出来たらしいんだよ。今から行かねー?」
ダメだコイツ、服のことしか考えてないみたいだ。
「平山あやちゃんとお友達になるからには、それなりにやっぱいいカッコしねーとなぁ」
「お前、何か勘違いしてないか?それはちゃんと拙者に協力してくれたらって話だよ。
取引きだって、言っただろ?」
「わかってますって、わかってますって」
嘘だ。絶対わかってないぞ、この洋服バカ。
さっきだって、演劇部の部員の写真を見せたのに「ふ〜ん」とか言って適当に見て
終わったんだ。コイツは気持ちばっかりが先走ってて、拙者との『取引き』を
すっかり忘れているに違いない。

「小春ちゃんのこと悪く言うのはやめて!絵里、さっきから言ってることが
なんか変なの!!」

女の子の怒鳴り声がちょろっと聞こえた。
こんな場所で友達と口論ですか…苦労してますね、ごくろーさん。


421 :1:2005/10/06(木) 16:37:13

「おい」
拙者も苦労してますよ、話がなかなか噛み合わなくてさ。
こいつに頼んだ拙者もバカか…だが、どうしても成宮の能力が、拙者には必要なんだ。
「おい、山P」
「なに?」
「ちょっと、さっきの写真見せろ」
「え?」
なんだコイツ?急にやる気出したような顔しやがって…。
拙者が無印良品で買った、演劇部のメンバーの写真が入った小さなアルバムを渡すと、
成宮は真剣な眼差しで二枚の写真と遠くに座っている女子高生と女子中学生を交互に
見比べていた。
あの二人、ぶどうヶ丘高校・中学の生徒のようだが…。
「どうか…したのか?」
「いきなり来たぜ、山P…こいつはビンゴだ。見てみろ」
成宮が写真を二枚抜き取り、拙者に見せる。
「も、もしや…!?」
「な、当たりだろ?」
この子達は、あそこで口論しているらしい二人だぞ!!
「なあ、こいつら名前なんていうんだ?」
「ああ、名前は…」



422 :1:2005/10/06(木) 16:38:26

……。
なんだっけ?思い出せん。
ゴマキにちゃんと教えてもらったハズなんだがなぁ。
「こっちのショートの子が亀…亀吉?すまぬ、わからん」
「お前な…まぁいいや。で、どうする?やるのか?」
「えっ今から?拙者は構わんが…」
お前は平気なのか?
さっき拙者が頼んだこともろくに理解してないようだが…。
「思い立ったら即行動ってなッ!お前の『移動中の目』になりゃいいんだろ?まかしとけ」
り、理解してんじゃねーか…ッ!!
「とりあえず名前わかんねーから、今からショートで茶髪の子を『亀』、もう一人は…
口元にホクロがあるな、あの子を『ホクロ』と呼ぼう。あのおばちゃんがテーブルに
コップを置いたら、さっそく仕掛けるさ」
拙者の判断は間違ってなかった。
やはり、拙者達は相性がよかったらしいな。
「頼んだよ、成宮」
「ああ、しっかりサポートしてやんぜ」

437 :1:2005/10/06(木) 23:23:29

〜Elizabeth side〜

ルンルン気分でカフェドゥ・マゴに来たはいいんだけど…。
どうも面白くない。
「それでねそれでね、小春ちゃんったら、さゆのたらこスパ食べちゃったの」
「へぇ〜…」
こんな風に、小春ちゃんの話を延々と聞かされているからだ。
しかも好きな子にだよ?
僕の惨めな嫉妬はどんどん募っていくばかりだ。
「小春ちゃんの話はもういいよ…」
「そういえば、絵里って小春ちゃんとあんま絡んだことないよね?」
ぼ、僕の言ってること聞いてないし。
「…うん」
でも強く言えない自分が情けない。
おっかしいな〜、こんなはずじゃなかったんだけど…。
「じゃあさ、今度お出かけしよーよ、小春ちゃんと3人で」
3人で…?
なんかイライラしてきたぞ。
「いーよ、2人で行ってくれば」
「え?」
「僕、小春ちゃんのことよく知らないし」
「じゃあ、その時に知ればいいの。同じメンバーとして、交流深めたらいいの」
「別に知りたいとも思わないけどねー」
「絵里?」
「それに、僕あーいう子苦手だし。言葉遣いやら考え方、中学生とは思えないもん」
よくわからない苛立ちを、僕は自分でも気付かぬうちに、小春ちゃんの
『悪口』を言う事で解消することにしていた。
「大体、入部の仕方がイレギュラーだしね。なんか認められない」
惨めだなぁと思いつつも、悪口は止まらない。
…もう何でもいいや、どうとでもなれ!!



438 :1:2005/10/06(木) 23:25:14

と、思った矢先に…
「小春ちゃんのこと悪く言うのはやめて!絵里、さっきから言ってることが
なんか変なの!!」
さゆはすごい剣幕で僕を怒鳴った。
うぅ…怒鳴らなくてもいいじゃんか。ここ、公共の場だよ?
そんなに小春ちゃんのことが大事なのかな。
「…ゴメン」
怒っているさゆとは対象的に、僕は消えていってしまいそうな声で言った。
「…なんか怒ったらお腹すいてきた。何か頼むの」
「うん」
「これ食べたら、今日は帰るの」
さゆの口調は相変わらずだが、表情も声色も物凄く怒ってる気がする。
あーあ…僕は何やってんだろ。
せっかく久々にさゆと長くおしゃべり出来るハズだったのにな。
僕は、バカだな。
嫌われちゃったかもしれない。
「すいませーん、オーダーお願いしますなの」
「かしこまりました」
もうすぐお開きか…さゆが次の注文頼んで食べ終わるまでの間、
まともに会話できるのかさえ怪しい。
気まずい空気の中で一言もしゃべらないなんてことになったりしないよね?
顔を上げているのも気まずくて、僕は自分の飲みかけのダージリンティーに
視線を落とした。
…ん?あれ?
このダージリンティー、変だ、何か…奇妙だぞ?
なんかへんなモノが浮いてる。これ…なんだ?



439 :1:2005/10/06(木) 23:29:40

「えーっと…紺野さんのオススメはどれだっけ。あ、これこれ、
紅芋のアイスを一つなの」
「かしこまりました」
その浮いている奇妙な物体が気になって、僕はコップの淵に顔を近づけた。
「…え?」
なんだコレ!!このコンタクトレンズをちょっと大きくしたような物、
顔とクラゲみたいな足がついてるぞッ!!!気持ち悪いッ!!!!!
「こ、これは…ッ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

ブチュン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

それは小さな水しぶきを立てて、突然僕の右目に飛びついてきた!
「あッ!!!」
僕は思わずコップから顔を離し、右目を押さえて声をあげる。
い、痛い!!!
変な物が僕の目に…痛い!!!
「絵里もなんか頼む?…って、どうしたの?」
これは…スタンド攻撃だ!!
何者かのスタンドが僕の目を攻撃してきたんだッ!!!
「さゆ…スタンドが…ッ」
「は?」
「僕の目を…攻撃して…」
僕は右目を押さえていた両手をゆっくり離し、さゆに見せる。



440 :1:2005/10/06(木) 23:31:25

ところが、返事は意外なものであった。
「なんともないじゃん」
「え?」
んなバカな。
あれ、でも…そういえば痛みもひいてる気がする。
お、おかしいな。
カバンから小さな鏡を取り出し、僕は自分の右目を映して見た。
…なんともなってないぞ。
「…あれッ?」
赤くもなってなければ、充血すらしてない。
えッ?今のはなんだったんだ?
「…バッカじゃない」
こんな時に幻覚なんか見たってのか?僕は。
さゆの一言が、心に鋭く響いた。
うぅ…泣きたい。


450 :1:2005/10/07(金) 00:42:47

結局あれからろくな会話も出来ず、ぎこちない空気のまま、楽しみに
していたデートは幕を閉じた。
カフェドゥ・マゴを出て、いつもならさゆが杜王駅まで送ってくれるんだけど、
さゆのお家へと続く曲がり角のある道で、彼女はバイバイと言った。
やっぱり、怒ってるんだろうなぁ…。
さゆのうしろ姿がどんどん住宅地に進み、溶け込んで行く。
それと一緒に、さゆの心も僕からどんどん離れていくような…ッ!!!!
「さゆッ!!!」
僕は叫ぶと、さゆの背中を追いかけた。
…こんなことで嫌われてたまるか!!
まだ、話したいことだっていっぱいあるんだッ!!!
僕の呼んだ声に、さゆは無言で振り向き、立ち止まる。
僕は彼女の前で立ち止まると、深々と頭を下げ、
「ごめんッ!!!!!」
と言った。
「…どうして謝るの?」
「あ、あのね…僕ね、その…ヤキモチ妬いてたんだ。小春ちゃんにさゆを
取られちゃうと思ったんだッ。だからつい小春ちゃんの悪口言っちゃたんだ…」
そして、さらにもう一度「ごめんなさい!!」と付け足した。
さゆは黙って何も言わない。
シーンと、重たい空気が流れる。
「あのさ」
さゆの声が聞こえると同時に、僕は顔をあげて彼女を見た。
「正直言ってね」
…ゴクリ。
「絵里のこと見損なったの」



451 :1:2005/10/07(金) 00:45:27

……。
僕の中で、何かが砕け散った。
ショックだ。
なんだか気が遠くなっていく気分だ、吐きそう。
「でもね」
そう続けたさゆの表情が、歪んだ。
「…ッ!!?」
「…さゆ?」

ドンッ…

さゆは眉毛をしかめたまま、僕の身体に倒れこんできた。
「え?えッ!?」
な、なになになに?
どうしたの!?
さゆが僕の胸に飛び込んできたぞッ!
お、怒ってるんじゃないのかな?
「でも…何?さゆ」
さゆは何も答えない。
それにしても、さゆの髪の毛っていい匂いするなぁ…なんかドキドキしてきた。
腰に手を回しても…いいよね?
僕はそっとさゆの身体を抱き寄せた。
「さゆ…」



452 :1:2005/10/07(金) 00:46:54

ヌルッ…

えっ?
なんだ、この感触は。やけに生暖かくて…ヌルヌルしてる。
ちょっとザラついてる気もするけど…。
てか…さゆの背中、なんでこんなに濡れてんだ?
腰に回していた右手を離し、濡れた手のひらを見てみる。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

「ッ!!!!!!?」
僕の手のひらは、ドス黒く赤い液体で濡れていた。

血だ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「さ、さゆッ!!!!?」
「ガ…ガホッ…」
そこで初めて、さゆが血を吐いた。

457 :1:2005/10/07(金) 03:08:31

〜Enemies side〜

「な、言ったとおりだろ」
成宮は得意げに言った。
「ああ…あの二人がケンカして道で別れようとしたらしい時はマジで焦ったが…」
拙者はカップの底に残った紅茶を一気に飲み干す。
うむ、うまい。
「あの『亀』って女、相当『ホクロ』が好きらしいな。さゆとか言っていたが、
そんなに大事な友達なのか」
「おかげでこちら側としては助かったけどね。でも成宮、もっと正確な
位置を教えてくれないか?急所はずしちまった」
拙者の攻撃はかなりのダメージを与えられたが、急所は見事に
外れてしまったのだ。
まあ、もう動けはしないと思うが…。
「シャボン玉型の爆弾スタンドを操る『ホクロ』は倒したな。お前に
とっちゃ、まず一安心ってとこか」
「うむ…『ホクロ』のスタンドは拙者にはちょっとデンジャラスなスタンドだった
からね。丸ごとやられる危険性があった」
あとは『亀』のみである。
この勝負、意外と早くケリがつきそうだ。
最も、あの二人はこの勝負の存在も知らず終わっていくんだろうが…。



458 :1:2005/10/07(金) 03:11:42

「まあ訊かんでもあとでわかることなんだけど、『亀』の能力って
なんなのさ、山P?」
確かに、こいつにはもうすぐわかることだが、知っていて戦うのと知らないで
戦うのは天と地ほどの差がある。教えておこう。
「最近また動けなくなった押尾さんが言うには…『音を消す』スタンドだとか」
「音を消す…か」
「ああ、押尾さんのスタンドがまったく動かなくなるほど強力なやつだ」
自動追尾で強力なパワーを誇る『ラッシュ・フォーメン』が、まったく動かなく
なったと聞いた時は、拙者もビックリした。
あんな子が、あの自信過剰な押尾さんを亀に(手も足も出させなく)するとは…。
「押尾先輩か。俺さ、あーいう顔からあからさまにDQNが滲み出てるバカって
大嫌いなんだよね。動けなくなったとかいってマジでウケるんだけどw
ざまぁみやがれってんだ。DQNも、それを好きになる女もみんな氏ね」
そういえば押尾さん、むかし成宮のスタンドを馬鹿にしてたっけなぁ。
パワーもスピードもない、カス以下のスタンドだなって。
だが、拙者はそうは思わない。
弱いスタンドほど、侮ってはいけないのだ。
3年生のマドンナ、倖田先輩のスタンド『バタフライ』も弱いスタンドから成長した。
そして成宮のスタンド『スピーキング・ハート』。
こいつのスタンドは強いとか、弱いとかいったレベルで判断してはならないと思う。
「おい、山P!『亀』がスタンドを出すみたいだ…」
「…わかった」
「ん…サイレント・エリーゼっていうらしい…よし、『ホクロ』をヤった位置から、
2mくらい進め」
成宮は、持っていたタバコに火をつけ、静かに言った。
「…スタンドを飛ばして探すようなことはしない…か。『亀』は、戦い慣れしてるな」



459 :1:2005/10/07(金) 03:13:45

〜Elizabeth side〜

「うわああああああああああああああッ!!!さゆぅぅぅぅぅッ!!!」
さゆの足から力が抜けて、全体重を僕にかけてきた。
ぐ、ぐったりしているッ!!
「さゆ!!さゆぅぅッ!!!」
「……」
い、一体いつこんな怪我を…僕がさっきさゆを追いかけた時、
彼女の背中はなんともなかった。
じゃあ、いつ!?
僕が謝ってる時に!?
僕がすぐ側にいながら…こんな怪我をさせちゃったのか!!?
でも一体誰が!?どうやってッ!!!!?
これはまさか…どんな方法でやったかは知らないけど、スタンド攻撃じゃあないのか!!?
冗談じゃないッ!今度は夢なんかじゃないぞ!!
現にこうして、息を荒くしたさゆが僕の腕の中にいる…ッ!
クッ!!!!!!!
許さない!!!!!!!!!!!!
上空に『サイレント・エリーゼACT1』を飛ばして敵スタンドを見つけるか。
いや、それは危険だッ!
敵スタンドは、この近くのどこかに身を隠している可能性がある。
もしエリーゼを飛ばしてしまったら無防備になり、それこそマトになって終わりだ!



460 :1:2005/10/07(金) 03:15:32

ここはエリーゼACT2『サイレント・エリドリアン』を出して、攻撃に備える!!
早く、早くさゆを病院へ連れて行かなきゃ…。
どこだ…どこからくる…ッ!?
辺りを見回す。
う…う…わからないッ!!!!
「えり…うし…ろ」
「さゆッ!?」
良かった!!意識はあるんだッ!?
そして今、後ろって言った…!!
僕はさゆを抱きかかえたまま、身を翻す振り向いた。

ヒュンッ…ピッ

僕の頬が、浅くだが確かに切れた。
そして見つけた。
小さくて黒いモグラのようなスタンドが、地面から上半身を出しているのを。
振りかぶって何か投げつけてきたようである。
それが…なんなのかわからないけど…
こいつが…こいつがさゆをこんな目に…ッ!!!!!!!!!!!!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

「やれッ!サイレント・エリドリアンッ!!!」
しっぽで叩き潰してやるッ!!

ドシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!




461 :1:2005/10/07(金) 03:17:34

手ごたえがないッ!?逃げられたか!!
僕はさゆに振動を与えて疲れさせないよう、お姫様抱っこの形で彼女を抱えた。
どこだ…どこから来るッ!?
「早く出て来いッ!お前の頭を叩き潰して煎餅みたいにしてやるッ!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

ふと、足元に何か気配を感じて、チラリと視線を移す。
小さな黒いモグラのスタンドは、そこにいた。
「なにィーッ!!足元に…こんな近くにィィィッ!!!!!」
モグラ型のスタンドは、鋭利な刃物を片手で握っている。指が発達しているんだろうか。
「くそおおぉぉッ!エリドリ…」

ザクッ!!!!!!!!

「ぎゃああああああああああッ!!」
エリドリアンの攻撃より先に、モグラ型スタンドに足を…ふくらはぎを刺された!!
体勢が崩れる…倒れてしまうッ!!
いや…倒れてたまるか!!
これ以上さゆは傷つけさせないんだッ!!
「うおぉぉぉぉぉッ!!!」
痛みをこらえ、血が流れる足でグッと踏ん張る。
いっ、いっ…痛い!!!!!!!!!!!!!!!!
まずいぞ、この状況…やばすぎる!!!
救急車呼んだ方がいいんじゃないのか?
でも、救急車が来るまでに僕がもたないかも…そしたらさゆは…ッ!
モグラが地面に潜ると、持っていた凶器が砂に変わった。
刃物が砂に…だからさゆの背中にザラザラしたものがあったんだ!
こいつの武器はなんとなくわかったけど…とにかく立ち止まってるのは危険だ!



462 :1:2005/10/07(金) 03:18:31

僕は足の痛みをこらえ、歩きだす。
病院に…ぶどうヶ丘病院に逃げるんだッ。

シャカッ…ブショオッ!!

突然、足首に走る激痛。
「うわあああああッ!!切られたッ!!!!」
な、なんで僕が歩きだした先に現れたんだ!?まるで僕の行動が
読まれているかのような、この感覚はッ!!?
なんだか狙いも段々正確になってきてる気がするッ!!
ガクン…
あれ?切られた足に力が…入らない!!!!!!
「うおッ…」
うわああッ倒れる!倒れてしまう!!
さゆが地面に叩きつけられてしまう!!!

ドシャアアアッ!!




463 :1:2005/10/07(金) 03:20:11

「いて…」
危なかった…僕がなんとかクッションになってさゆは無事だけど…
僕の方の怪我も、ちょっとやばくなってきた。
「絵里…」
「さ、さゆ…大丈夫?」
「シャボン…イィィィィィィィィィィィィィィィルッ!!!」
ギュルンッ!!
さゆは、自らのスタンドを出してみせることで僕に答えたのだ。
「だ、大丈夫!?無茶しないで!!」
「…おそらく遠隔操作型と見たの…ッ。シャボン玉ぁッ!!!」

ブッシュウウウウウン!

さゆのスタンド『シャボン・イール』が上空にシャボン玉を撒き散らす。
「なにを…?」
「これは一つ一つがレンズになってるの。さゆはこれを使って、
モグラさんスタンドの『本体』を探すの…」


487 :1:2005/10/07(金) 22:05:50

〜Enemies side〜

成宮のスタンド『スピーキング・ハート』は、眼球に寄生して、その相手の
思っていることを知ることのできる能力を持っている。
パワーもないし、水がないと発現させることができないが、一度寄生することができれば、
その相手の涙腺から水分を吸収し、スタンド攻撃を受けない限り眼球から離れることはない。
「目玉ってのはさ、人間の中で最も弱い部分がむき出しになってる上に、
一番脳味噌に近いよな…おい、山P。『亀』と『ホクロ』が別々に動き出したけど…
どうするよ?」
『ホクロ』のヤツ、あの身体で動き出すとは…
しかも、シャボンのレンズで拙者たちを探すだって…ッ!?
や、やばいな。
「…山P、『ホクロ』の行動に同様してんのか?」
「うん、ちょっと…」
当たり前じゃないか。
拙者のスタンド『メタルマサカー』は地中を移動し、砂の中に含まれる『砂鉄』を
集めて凶器に変え、攻撃をするスタンドだ。
だから、地面を拙者ごとあのシャボン玉で爆破されたら、ひとたまりもないのだ。
これでは、何のために最初に『ホクロ』を攻撃したのか…わからん。
しかも、その『ホクロ』が本体である拙者らを探し始めているのだ。
先に『ホクロ』を叩かないとやばい…だが成宮の『スピーキング・ハート』は
『亀』に寄生してるのだ。
つまり一対一。
『ホクロ』のスタンドが相手では、確実に拙者の方が不利だ。
まずいことになってきたぞ…ッ。



488 :1:2005/10/07(金) 22:07:50

「嫌な汗をかくなよ、山P。本体を探すったって、俺らの顔も知らないのに
どうやって探すんだ?ヤツらは今、本体の俺らがこうしてカフェで
紅茶すすってるなんて思ってもいないさ。むしろ、本体は一体だと『亀』は
思ってるみたいだぜ」
「そうなのか…?」
「当たり前だろ。ヤツらに俺らのことは、わかりッこないのさ」
確かに…それもそうだ。
「すいませんお客様。高校生の方のおタバコはちょっと…」
ドゥ・マゴの店員が、タバコを吹かしている成宮に注意を促す。
「あ、すいません。今消します、ゴメンなさい」
成宮は灰皿の上でタバコをもみ消すと、その灰皿を店員に渡した。
まあ多少の改造がしてあるとはいえ制服だし、こうなるとは思っていたが。
「でもまぁ、危険なことはしたくないしな。押尾のバカたれじゃないけど、
一人一人…順番に順番に…ヤッて行こうかッ!『亀』は、今ならヤれる!!」
な、なんて頼もしいヤツなんだ、成宮寛貴!!
拙者は心底、コイツに感謝した。
これが終わったら飯でも奢ってやろう。



489 :1:2005/10/07(金) 22:12:30

「ん…待て…」
「どうした成宮?」
「いや…『亀』がおかしなことを考えてる」
おかしなこと?
まさか、『亀』なりの作戦でも思いついたのか…?
だがどんな作戦を考えようとも、ヤツが心で思ったことは、
すべて成宮の『スピーキング・ハート』が聞き取る。心配はないが…
「『亀』は、何を考えているんだ?」
「ああ…あんま戦闘とは関係ないみたいだけど…『亀』のヤツ、命と引き換えに
してでも『ホクロ』のことを守りたいらしい。『亀』の中にあるのは<友情>じゃない、
こりゃ<愛>だぞ。しかもかなりでっかい…」
「愛?なんで?『亀』は女だろう?」
「そうだけど…深い事情はわからんが、確かに<愛>だよ。なんだ…
『亀』からフツフツと湧き上がってるこの闘志は…『亀』の方からお前が
襲ってくるのを待ってるみたいだ…ッ!」
そう言って成宮がゴクリと唾を飲んだ。
一体、『亀』はどういう性格したヤツなんだ…?
だが、拙者を待ってるというのなら、望むところだ…!!
「成宮、サポートを頼むぞ。『亀』をヤる…ッ!」
「わかった、それにしてもぶったまげたな。コイツの『ホクロ』への強い想い、
男そのものだよ…尊敬に値するぜ」

494 :1:2005/10/08(土) 01:23:08

〜Elizabeth side〜

さゆはノロノロと歩き出した。
「ぜってー見つけてやるの…こんなことしやがって…ただじゃおかねぇの…」
「で、でもさゆっ、本体がどんなヤツかわかるの?顔もわかんなければ、
男か女かさえもわからないんだよ?」
「その点なら平気なの。このシャボン玉はスタンド能力のシャボン、
スタンド使いにしか見えないの。これを低空飛行させるの。シャボン玉を見たりよけたり、
意識して歩いたヤツが、スタンド使いに違いないの」
な、なるほど…この町にスタンド使いが何人いるかわからないけど、
この地中にモグラ型スタンドがまだ潜伏していたとしたら、
本体はそこまで遠くには離れていないはずだ。
「それに、敵の狙いは間違いなくさゆたち二人なの。まとめて始末される前に、
二手に別れて追い詰める…つまり、二対一なの」
さゆは、スタンド『シャボン・イール』の口から吹き出した『シャボンのレンズ』を
一つ、目の前に持ってきて眺める。
「見える…見えるの。ここら一帯にはいないみたいなの…」
シャボンとシャボンが反射して、よく街中が見えている…らしい。
シャボン玉を追って歩き出すさゆの背中は、血でベットリ濡れていた。



495 :1:2005/10/08(土) 01:25:14

あんな怪我をしてるのに、敵を探そうとするなんて…なんて精神力なんだ!!

もう…さゆに苦しい思いはさせない。

指一本も触れさせるものかッ!!

そして…僕が…

さゆを守るぞ!!!

僕がッ!あのモグラのスタンドからさゆを守るぞッ!!!!!!!!

「出て来いッ!モグラ野郎ッ!!ひき肉にしてアリの巣に詰め込んでやるッ!!!」

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!



496 :1:2005/10/08(土) 01:27:59

ファサ…
背後から砂が地面に落ちる音が微かに聞こえた。
「うしろッ!?」
素早く振り返るのと、モグラのスタンドが2本のナイフを
投げつけてきたのは同時くらいだった。
さっきはさゆを抱えていたから機敏な動きはできなかったけど…今は違うよッ!!
クネッ!クネッ!!
僕は滑らかな身のこなしで、飛んできた2本のナイフを交わす。
どうだッ!激しい練習の末、やっとの思いで体得した、これが…
「『ドルフィン・ダンス』だッ!!お前の攻撃なんて、もう当たらないッ!!」
モグラの投げたナイフは虚しく空を切り、砂になって散った。
ナイフにも射程距離があるみたいだ。
モグラスタンドから、約5メートルってとこか…。
ズボッ!
ヤツがまた地中に潜った。
そういえば、こいつは地中に潜ってる間はどうやって僕の位置を
確認してるんだろう?
先ほどからの攻撃を見るに、一度攻撃を終えて潜ったら、次の攻撃の際には
かなり的確な位置に出現している。
その間、僕の位置を確認している素振りはまったくない。
もしかしてコイツ…押尾のスタンドと同じで自動操縦なんじゃないか?
だとしたら、何を感知して襲い掛かってきてるんだろうか。

音?
振動?
熱?
におい?



497 :1:2005/10/08(土) 01:30:38

ザッ…
左側から気配がッ!!
またナイフ攻撃かッ!!
「きかないんだよッ!!」
クネッ!
僕はまたも、ドルフィン・ダンスの滑らかな動きでナイフを交わす!!
「えぇぇぇぇぇいッ!迷ってる暇はないッ!!サイレント・エリドリアンッ!!」
ドギャンッ!!
ズボッ!
ちっ、また潜られたか…ッ!
でもこのモグラのスタンドの攻撃…だんだん慣れてきたぞ。
僕のエリドリアンのスピードなら、ヤツの出現、攻撃から地中に
潜るまでの間にしっぽを叩き込むことができそうだッ!!
音を…音を奪ってやるんだッ!!!
「どこだ…どこからくる…?」
神経を研ぎ澄ませ…足で地面の異変を感じるんだ…。

サファ…

右斜め後ろだ!!
「見つけたぞ!エリドリアンッ!!!!!」
ドヒュウウウウウウウウンッ!!
スピード全開でモグラにサイレント・エリドリアンを急接近させる!
モグラの方もそれを阻止しようと、僕のスタンドに砂のナイフを投げつけるが…
クネッ!クネッ!
「空中旋廻だッ!!スタンドだってドルフィン・ダンスを使えるんだッ!!」
そしてモグラが地中に潜る前に…

バッシィィィィィィィィィィィィィン!!!!!!!ポーン…



498 :1:2005/10/08(土) 01:33:10

「やったあああああああああああああッ!!」
音を奪ってやったぞ!!!
モグラは地中に潜ったようだが…五感の一つは奪ったんだ!!
もうまともには動けないはずッ!!
勝った!!これで本体も探しやすくなった!!!
音が何も聞こえなくなって、悶え狂ってるヤツが本体だ!!
この事実を早くさゆに伝えるん…

ドスッ!!!

「な…え…?」
肩が…左の肩が…痛い?
そっと後ろを振り向くと、2、3メートルぐらい先でモグラが上半身を出していた。
モグラが地中に潜ると、肩に刺さったナイフが、サラッと砂に戻る。
左肩からフシュッと血が吹き出た。
「な、なんで…?」
音は…奪ったはずなのに!!!
自動追尾だとして、感知するのが音じゃないにしても…
なんで攻撃が続けられるんだよl!?
敵は一体、どんな精神力をしてるヤツなんだ…ッ!!?
やばい、これはマジにやばすぎるぞッ!!!

ガボッ…

パニくっている僕を他所に、モグラがナイフを持って再び地中から姿を現す。
その場所は…サイレント・エリドリアンの真下だった。

503 :1:2005/10/08(土) 02:26:18

〜Enemies side〜

勝負に必要なのは根性や努力なんかではない…。
覚悟だ。
覚悟が必要なのだ。
覚悟を決めたものだけが、勝利という名の輝きをつかむ事ができる。
今は暗い地中の中だが、拙者は必ず輝きをつかむんだッ!!!
音が消される前に、成宮が言っていた。
「エリドリアンのしっぽでお前の<音>を奪う気だ!」
だから拙者はあえてくれてやったのだ、<音>を。
今の拙者に<音>なんか必要ない。
成宮という<目>があればいいのだ。彼が拙者の<視覚>なのだ。
そして『亀』は、予想通り勝ったと思い込み、油断した。
『亀』の位置は、成宮がルーズリーフに書き殴って教えてくれている。
そして、渾身の力で投げた砂鉄のナイフは左肩に一発決まった!!
拙者は、『亀』のスタンドが浮いている位置を教えるよう、紙に書く。

「左ななめ前2m先上空」

紙にはそう書かれた。
よしッ!!
拙者はスタンド『メタルマサカー』を地中に潜らせ、その場所へ突き進む。
砂鉄のナイフはその間に作っておくッ!!
そして、地上に出ると…いたいた。
油断したバカのスタンドが。
…くらえッ!!

ヒュン…ズシャアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!

拙者のメタルマサカーのナイフ攻撃は、見事に『亀』のスタンドの背中を縦に切り裂いた。



504 :1:2005/10/08(土) 02:28:31

〜Elizabeth side〜

ヒュン…ズシャアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!

モグラの投げたナイフが、僕のサイレント・エリドリアンの背中を切り裂き、
空中で砂に戻った。

バリバリバリ…

「う、うわああああああっ!!!!」
エリドリアンの切られた背中のダメージが…僕の背中に…ッ!

ブシィッ!!!

「ぎゃああッ!!!」
僕の背中も裂けてしまったようだ…ものすごく痛い!!!
痛みに負け、僕は地面に手をついてしまう。
しかも、その拍子にエリドリアンがモグラのスタンドの<音の概念>を
落としてしまった。
や、ヤツに<音>が…戻ってしまったぞ…ッ!!!
ガボンッ!
「くっ…また地面に…ッ!」
ヤツはピンピンしている…きっとまた、すぐに攻撃は再開されるぞ!
この背中じゃあ、もうドルフィン・ダンスは使えない…
ど、どうする!?
どうやって闘うッ!?



505 :1:2005/10/08(土) 02:31:11

くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!悩んでたって始まらないよ!!!!
こうなったら、しっぽで殴りまくってやる!!
モグラ叩きだ!!
ヤツが何も出来なくなるまで、殴って殴って殴り倒すッ!!!
そして鼻から脳味噌ぶちまけさせてやるんだッ!!
「サイレント・エリドリアンッ!!!!」

シーン…

…?
あれ?
「どうしたサイレント・エリドリアンッ、戻って来い!!」

シィーン…

サイレント・エリドリアンが僕の叫びに答えない。
な、なんで…?
なんで戻って来ないの?
エリドリアンが…いなくなってるぞ。
辺りを見回すと、地面に這いつくばってる変な物体が目に入った。
あ、あ…これは…

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

507 :1:2005/10/08(土) 02:39:39

「…あッ!?ああッ!!!」
え、え…エリドリアンがぁーッ!!!!!
背中が真っ二つに割れたまま…死んでる!!!!
「さっきのナイフだ!ナイフで縦に裂かれたから…ッ!!」
…いや、待てよ。
だとしたら僕も、この背中のダメージで死んでいるはずだ。
そういえば…以前も似たようなことがあったぞ。
あれはそう、押尾のスタンドと闘ってる時に『サイレント・エリーゼ』が
死んだように動かなくなって…。

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…

ま…まさか…ッ!!!!!!!

ドォン!!!!!

いつの間にか、僕の隣に人の形をした何かが立っていた。
これは…もしかして…ッ!!
「サイレント・エリーゼACT3…!?」

『…命令シテ下サイ』

お、お…うわおぉぉぉぉぉぉッ!!
喋った!!!!

「も、もしかして…僕、成長したんですか?」
『我が名ハ『サイレント・エリザベス』…命令ヲ、ドーゾ」

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!!

512 :1:2005/10/08(土) 03:35:36

サイレント・エリーゼACT3…サイレント・エリザベス!!!
サイズはエリドリアンよりちょっぴり大きくなり、前の爬虫類っぽい姿とは
対照的な、人型のスタンドのようだ。
背は小学生並みに低いけど、腿の部分がムチッとしてて、
エリーゼやエリドリアンに比べると、見た目はすごく強そうッ。
「で、でも命令ったって…僕は君の能力をしらないけど…」
『デハ、ワタシは何ヲスレバ、イイノデショウカ?』
何をすれば…今はあのモグラをなんとかすることが先決だッ!!

ガボッ!

3m先くらいで、モグラが上半身を出した!!
「アイツを倒して!!サイレント・エリザベス!!!!!!」
『R・o・g・e・r!了解シマスタ!!』

ギュウウウウン!!!!

「!!!!!」
おぉぉぉぉ…ッ!!
な、なんてスピードなんだ!!!
もうモグラの目の前まで近づいたぞ!!!
エリーゼやエリドリアンとは比べものにならない速さだッ!!!
「す、すごい…すごいぞエリザベス!!」



513 :1:2005/10/08(土) 03:39:53

バシンッ!!!!

エリザベスはモグラスタンドが握っていたナイフを蹴り飛ばす!!
ナイフが砂になって…散った!!!
やった!!ヤツはこれで今、完全に無防備になったぞ!!!
そしてエリザベスが構えを取った!憲法か何かかな?
繰り出すのは…足だッ!!!!
『ウオォォォッ!!!モグ!モグ!モグ!モグ!』

ペシッ、ペシッ、ペシッ、ペシッ。

「…へ?」
あの…全ッ然威力なさそうなんですけど…。

バキィッ!ズテン!!!

『ウゲッ』
素手のモグラに引っ叩かれ、エリザベスは尻餅をついた。
「な、なにやってんだお前えぇぇぇぇぇッ!!!」
『シマッタ、油断シテシマイマスタ』
ゆ、油断んんんんんんッ!?
「ふざけないでよッ!!!真面目にやれッ!!!」
あ、あ、こんなことしてる間にモグラがいなくなった…地中に潜られた!!
な…なんてこったああああああああああッ!!!!
成長どころか、ひどくなってるぞッ!!!
全然ダメじゃないかああああああああああああああああああッ!!!
『ア、ソウダッタ忘レテタ。最後ノ呪文ヲ唱エナクテハ…
エリザベスは、ウッカリ者デスヨ?』
「じゅ、呪文だって…?」
サイレント・エリザベスは両手を重ねて前に突き出し、叫ぶ。
『ウェー!ウェー!(上へ!上へ!)』


514 :1:2005/10/08(土) 03:42:11

シーン…

「な、何もおこらないじゃな…」

ズボッ!!!

!!?
その時、信じられない事が起きた。
モグラ型スタンドの身体が丸ごと、地面から飛び出して宙に浮いたのだ。
「も、モグラが地面から飛び出して…フワフワ浮いてもがいてるぞ…
一体これはなんの能力なの?ねぇ、エリザベス?」

『<モグモグ・ウェーウェー>…ウチニアルお人形さんガ、いつもコウ鳴くンデスケドネ、
マァ簡潔ニ言ワセテモラエバ、蹴ッタモノヲむりやり<無重力化>シテ、
宙ニ浮カセル能力ナンデスネ、ハイ』

518 :1:2005/10/08(土) 04:19:33

〜Enemies side〜

し、進化するスタンドとは話で聞いていたが…!!
拙者を無重力化しただとッ!!
しかも『亀』自身が『サイレント・エリザベス』とやらのスタンド能力を
知らなかったので、成宮の『スピーキング・ハート』も、ヤツの能力を
知ることが出来なかったようだ…ッ!
せ、せっかく<音>も取り戻したというのに…ッ!!
「ま、まずいぞ山P!お前の身体が…」
「わかってる。影響が出てきたようだ…」
拙者の身体は引力を無視して、宙に浮き始めた。
う、う…我がスタンド『メタルマサカー』も自由に動かない…ッ!!
「な、なにもできないッ!!」
「落ち着くんだ山P!ここじゃ目立ちすぎる…とりあえず店を出るぞ!!」
「だが、店を出てどうする?身体を動かそうとも、浮いちまってるから
歩くこともできんッ!」
「だから落ち着けと言ってるんだッ!!俺の『スピーキング・ハート』が
ヤツの目玉にとりついてる事を忘れるな!!今聞こえたんだ…
技の射程距離は5mってなぁ!!」
射程距離は…5m?



519 :1:2005/10/08(土) 04:23:19

「それがどうかしたのか…?」
「わかれよバカ、ヤツを技の射程距離の外に追い出すんだ!」
「そんなことどうやって行うんだ?お前のスタンドでは、そういった行動を
促すような力は持ってないんじゃ…」
すると成宮は、自分の胸をドン!と叩いた。
「生身の親から授かった、この身体があるだろ?」
ま、まさか…直に本体を射程距離の外に出すつもりなのか!?
「そんなことをしたら、顔がわれてしまうじゃないか!」
「…山Pさぁ」
成宮は静かに言った。
「<死人に口無し>って言葉…知ってる?」
……。
確かに、もはや方法はそれしかないのかも知れん…。

バキッ!

「いてッ!」
ちッ…『亀』が拙者のスタンドを、蹴りで攻撃し始めた。
「どうした?」
「気にするな、ヤツが拙者のメタルマサカーをサンドバックにしているだけだ。
それよりすまん、浮いてしまって自分で歩いたりできないから、拙者をおぶって
ほしいのだが…」
「しゃあない…うほッ軽いな!さすが無重力状態の身体だな…よしッ急ぐぜ!!
『亀』のヤツ、お前をこのまま殴り殺す気だッ!!」

ボスッ!!バキッ!!

口の端から血が流れ出てくる。
うむ…そのようだな。

541 :1:2005/10/09(日) 02:55:03

〜Elizabeth side〜

「このッ!このッ!!このッ!!!」
バキッ!ドカッ!!ゴチッ!!!
『マ、マダ蹴るノデスカ?かめりんサマ、ナンテ<バイオレンス>ナお方ダ…ガクブル』
蹴り殺してやるッ!このド畜生がァーッ!!
さゆはもっと痛くて苦しい思いしたんだぞ!!

これも!
これも!!
これもぉッ!!!

全部さゆの傷みと苦しみだあぁっ!!!!
「思い知れ!!どうだッ!どうだッ!!どうだあぁッ!!!」
ドゴドゴドゴドゴドガドゴドゴドガドゴッ!!!!
回し蹴り!百裂キック!!飛翔脚ッ!!!
僕はサイレント・エリザベスで、終わることなく宙に浮いているモグラスタンドを
自分の足の怪我の痛みも忘れて蹴り続けた。
『ギ…ギ…ッ』
モグラのスタンドは、ピクピクともがいている。
ズキン…
「うっ…」
背中の傷が痛み、僕は思わず地面に跪いてしまう。
くそッ…まだ蹴り足りないのに…ッ!!



542 :1:2005/10/09(日) 02:58:37

ザッザッ…

足音…?
誰かが前方からやってきたぞ…ッ。
だ、誰だ?
「まさか…本体!?」
いや、そんなはずはないか。
今頃本体は身体を浮かせてボロボロになっているハズだ。
前方からやってくる人は、どうやら怪我も何もないようである。
「きみ…その怪我どうしたんだい?」
僕の前に現れた、両耳にキューピーちゃんのイヤリングをつけた男子学生は、
モグラスタンドや僕のサイレント・エリザベスには目もくれずに、心配そうに訊いてきた。
「あ…いや、その…」
なんて答えればいいんだよ…答えようがないよッ!!
スタンドの見えないこの人には、どこぞの女子高生が足や背中から血を流して
地面に手をついている異常な光景にしか見えてないのであろう。
「す、すごい怪我じゃないか…すぐに病院に行ったほうがいいッ!!」
そう言うと、その学生は僕の腕をつかみ立たせると、僕を地面に引きずるようにして
急ぎ足で歩き始めたのだ!
「えッ!?」
ま、まずいぞッ!!
モグラスタンドから距離が離れてしまうッ!!
さっき、サイレント・エリザベスは『かめりん様が<射程5m>の外に出ると、
技の効果が解除される』と言っていた。
このままじゃ、射程5mの外に出てしまうぞッ!!!
さゆを…さゆを守らないといけないのに!!!



543 :1:2005/10/09(日) 03:02:21

「ぼ、僕は大丈夫です!なんでもないんです!!離して下さいッ!!!」
僕は必死に彼が僕を病院に連れていこうとするのを止める。
すると、その学生はこんな事を言い出した。
「さゆを守らないといけないのに…か。そういえば『ホクロ』のヤツはどこへ
行っちまったんだ?」
「…え?」
今…なんて?

バキィッ!!

「がぅっ!!?」
突然、目の色を変えた学生が僕の顔を殴った。
な、何が…一体!?

ガシィッ!!

「う、うわッ!!」
倒れそうになる僕を彼は捕まえ、後ろから羽交い絞めにする。
『忠告シマスかめりん様。アナタハ<射程5m>ノ外ニ出テシマイマシタ!
モグラ野郎ガ復活シマス!!』
サイレント・エリザベスが僕の所に戻ってきて言った。
「あぁッ!!モグラがッ!!」
地面に足をついてしまったぞ!!!
「お、お前は…ッ!!」
この僕を捕まえている男は…一体何者なんだッ!?
まさか…敵は二人!?
「すでに二人のスタンド使いが…来ていたっていうのかッ!!?」
「気付くのがおせぇんだよッ、バーカ!山Pッ!!やれッ!!!」
「う、うわあああッ!!エリザベス…ッ!」



544 :1:2005/10/09(日) 03:04:22

僕がサイレント・エリザベスで身を守ろうとした時だ。

「なんだってええええええええええええええッ!!!」

遠くからの叫び声がするやいなや、モグラが奇妙な行動を起こしたんだ。
いいマトになっているハズの僕を無視して、すごいスピードですぐそこの
曲がり角を曲がって行ってしまった。
「…え?」
「や、山P…?」
彼も、突然のモグラの行動に驚いている。
そして、すぐに…

バッグオォォォォォォォォォォォォォォォォォォンンンンン!!!!!!!!!

耳を劈く爆破音が、辺りに鳴り響いて…。


545 :1:2005/10/09(日) 03:06:09

〜Enemies side〜

『亀』の野郎…やりたい放題やってくれるッ!!
スタンドの目を通して見えるこの光景…とてつもなく恐ろしいッ!
あ、あ…鼻からも血が…ッ。
まともじゃないぞ、この女…このままでは、拙者は本当に蹴り殺されてしまう!!

「いいか…今俺が『亀』を射程の外に出してやる…そしたらすぐに砂鉄を槍かなんかに
変えて、『亀』をヤれッ!『亀』は俺がおさえててやるから、一撃でやるんだ!!」

つい先程、成宮はそう言って、角を曲がり『亀』の前に姿を現した。
拙者は曲がり角の影で、電柱に捕まり、尻を無理矢理地面に押し付けていた。
なんて異様な光景なんだろうか。
何も知らない人間から見たら、電柱にしがみついている、ケンカに負けたらしい
妙な男子学生にしか見えないであろう。
く、くそ…『亀』のヤツ、どうしてくれようか…ッ!!!



546 :1:2005/10/09(日) 03:08:22

その時である。
拙者の視界に、フワフワ宙を舞っているシャボン玉が現れたのだ。
「こ、これは…ッ!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

まさか…『ホクロ』か!?
そして姿を現す女子高生。
怪我のせいなのか元からなのか顔は色白で、口元にホクロがあるこの中学生は…ッ。

バアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

い、いかん!!
このシャボン玉に視線をくれてはいけない!
まだ…誤魔化せるハズだッ!!
「お兄さん、すごいボロボロなの…。一体どうしたの?」
『ホクロ』が手を後ろに組んで拙者に尋ねる。
そして、シャボン玉の数は増えていく。
何も見えないふりをするんだ…何としてもやりすごすのだ…ッ!!!
「…お兄さん?」
「な、なんでもない…袋叩きにあっただけだ…」
く、くそ…シャボン玉が顔の近くまで来たぞ…ッ!!
『ホクロ』のヤツ、まさか拙者を疑っているのか?
だとしたら…まずい。
「お兄さん、なにか見えない?」
やはりな…だが、こんなあからさまな質問をしてくるところを見ると
『ホクロ』も相当焦っているに違いないぞ…負けるものか。
精神力で負けてたまるものかッ!!!



547 :1:2005/10/09(日) 03:13:19

「見える…?何がだ…?」
「例えば…シャボン玉とか」
そのまんまじゃないか…この様子ならやりすごせるッ!!
「何の話だ…すまないが、ほっといてくれないか?」
「なにも見えてないの?」
「見えるって何がだ?言ってることがわからんが…」
「そう…見えてないの。わかったの…」
そう言うと、『ホクロ』は拙者から離れた。
や、やった!!
『ホクロ』をやりすごしたぞッ!!
シャボン玉が視界に入ってきたときはマジにブルッたが…勝った!!!
しかもタイミングよく重力が身体に戻ったようだ!!!

「てめーがモグラのスタンド使いなの」

「…えッ!!!!!?」
勝利を確信した拙者に、突然『ホクロ』が信じられないセリフを吐いた。
「は?きみ、一体何を言って…」
拙者のセリフに対し『ホクロ』は右腕に絡まったスタンドを見せて答える。
スタンドの口にはギザギザのストローがくわえられていた。
そして『ホクロ』が左手に握っている、ピンク色の小さなボトルは…。
「ここに舞っているのはスタンド能力でもなんでもない、普通のシャボン玉…
さっきそこの駄菓子屋から自主的にもらってきたの。このシャボン玉が
見えないなんて、そんなわけないの。お前、見えないフリをしていたの…怪しいのッ!!」

「山Pッ!!やれッ!!!」

成宮の拙者を呼ぶ声が聞こえた。
ば、バカ!!これで完全に…
「やっぱりね…お前がスタンド使いなの。吹っ飛ぶがいいの…」


548 :1:2005/10/09(日) 03:14:59

な、な…

「なんだってええええええええええええええッ!!!」

やばいッ!!
ヤツのスタンドから爆弾シャボンが放たれるッ!!!!!!!
「も、戻ってくるんだ!!メタルマサカーッ!!!!!!!」
「シャボン玉ああああああああああああああッ!!!!!!!!」

バッグオォォォォォォォォォォォォォォォォォォンンンンン!!!!!!!!!

拙者はギリギリ、メタルマサカーが砂鉄から作り出した『鉄の盾』で、
ヤツの爆弾シャボンをなんとか防いだが…。

「お、お前は…」
「や、山P…ッ!?」

爆発の衝撃で吹っ飛んだ拙者は、『亀』の前に姿をあらわにしまった。

554 :1:2005/10/09(日) 04:41:02

〜Elizabeth side〜

なんだか、どこかで見たことがあるような男が吹っ飛んできた!!
「お、お前は…」
「や、山P…ッ!?」
そうだ、思い出したぞ!!
前に押尾とカフェドゥ・マゴにいた…山Pって人だ!!
彼の顔には、殴られたようなアザがあった。
鼻血も出ている。
これは…僕のスタンドに蹴られたダメージに違いない!!
こいつが、このモグラの本体だったのかッ!!!
そして今の爆発を起こしたのは…!!

ドッドッドッドッドッドッドッドッドドッドッドッドッドッドッドッドッド…

「さゆッ!!!!!!?」
「絵里…モグラの本体を見つけたの!!」

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!

す、すごいよッ!さゆ!!!!!
そんな大怪我してるのに…なんて精神力なんだッ!!!
僕だって…キミに負けてはいられない!!



555 :1:2005/10/09(日) 04:43:06

バキィッ!!!!!

僕は、後ろの男のスネをカカトで力いっぱい蹴り飛ばした。
「いっっっ…てえええええええええええええええッ!!!!!!!!」
彼は痛みのあまりか、僕を拘束していた手を離す。
僕はそのスキをついて、急いでさゆの元に駆けつけた。
「こ、このアマ…」
「成宮ッ!!」
モグラの本体である山Pも、僕と同じように成宮という男の側に駆け寄る。
だけど…もう追い詰めたぞッ!!!
「観念しろッ!!!」
最も、無事では済まさないけどねッ!!!!!!
「絵里、もう大丈夫…攻撃はすでに完了したの」
スタンド『シャボン・イール』を構えていたさゆが、僕にそう告げた。
「こ…このシャボン玉は…ッ!?」
山Pが激しくうろたえる。
彼らの周りを包み込んだ無数のシャボン玉…
あれはさゆの作り出したシャボン玉型の爆弾だ。
ちょっとでも触れれば割れて小爆発、その衝撃でさらに誘爆して敵を
火の中に飲み込む、さゆらしからぬ凶悪な技だ。
まさに、綺麗なバラには棘があるッ!!
一つ一つの威力は弱いが…それがまとめて爆発すると…!!
「山P、気をつけるんだッ!!一つ一つの威力は低いらしいが…
誘爆したらとんでもないことになるぞッ!!」
成宮…と呼ばれる男が叫んだ。



556 :1:2005/10/09(日) 04:45:02

今…なんて言った?
どういうことだ?なんでコイツがさゆの、この技の仕組みを知っている?
そういえば彼の…成宮のスタンドはどこだ?
成宮にはスタンド能力のシャボン玉が見えているようだから、スタンド使いには
違いないけど…彼はさっきからずっとスタンドを出してはいないぞ。
いや…なんか違う気がする。
むしろ出してないんじゃなくて、もうすでに出しているんじゃないのか…?
そういえば、さっきカフェドゥ・マゴで、僕のコップから右目に何かが飛びついて…。

ま、まて…待て待て!!待てよ!!!

だとしたら…すべての辻褄があうぞ…ッ!!!!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…





557 :1:2005/10/09(日) 04:47:02

〜Enemies side〜

なんということだ…。
無数のシャボン玉が拙者達を取り囲んでいる。
一つ一つの威力は弱いらしいが…誘爆したら危険なことになる…ッ!!
万事急すとは…この事か…。
(山P…まだ終わっちゃいねぇ…)
成宮は拙者にしか聞こえないような小さな声で言った。

(成宮…どうする気だ?)
(ちと危ないけど…あえて爆発させる。一端メタルマサカーを戻してふせるんだ、
爆煙に紛れて逃げるぜ)
(逃げる…?だが拙者らは顔がわれてしまったぞ…?)
(策がないわけじゃない…とりあえず一端こいつらから距離をとって、隠れるんだ。
『亀』の右目には俺のスピーキング・ハートがとりついている…うまく逃げて
隠れることができれば、攻撃は再開できるッ)
(だが…うまくいくだろうか?)
(あいつらは確実にお前よりも重傷だ…絶対追いつくことはできないさ)

拙者のパートナーが、この成宮寛貴で本当に良かったと思う。
この男は…どんな状況になっても諦めない、不屈の精神を持っている!
どんなに不利になっても、勝利への輝きを見失ったりはしない男だッ!!



558 :1:2005/10/09(日) 04:49:49

「ふせろ!!山P!!!!!」

成宮が小石を投げてシャボン玉を一つ爆破させた。

バゴッ…バゴバゴババババババババアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!!!

もの凄い爆風!!
拙者と成宮は伏せて、爆発の衝撃に耐える。
そして…

シーン…

爆発が…終わった!!!
よしッ!今だッ!!!!!!
爆煙がはれる前に、ヤツらから逃れ、隠れるんだ!!
そして、またすぐに拙者のスタンド『メタルマサカー』の攻撃を再開してやるッ!!
「成宮行こうッ!!」
「あ…あ…」
成宮は拙者の声に答えない。
代わりに、激しく動揺している声を漏らす。
「バカな…やめろ…『亀』…う、うわああああッ!!」

バリバリバリバリッ!!!!

「うぎゃああああああああああああああッ!!!!!!!!!!」
成宮の絶叫が辺りに木霊した。



559 :1:2005/10/09(日) 04:52:05

「な、なにが起きたというんだッ…成宮!!!」
爆煙で、成宮の姿はよく見えない。
「が…あ…やりやがった…あ、アバラが…腕も…ッ!」
「な、何を言ってるんだ!?」
し、しまった…爆煙が…はれていく。
一体…コイツの身に何が起きたというんだ!!!
「成宮ッ!!?」

「変だと思ったんだ…モグラは地中に潜ってるはずなのに、どうして的確な
位置に出現して、攻撃出来るのか…不思議でならなかったんだ…」

『亀』の淡々と語り始める。
爆煙がはれきっていないので、ヤツの影しか見えない。

「でも…彼の発言の数々でわかったよ。とんでもなく痛い思いをしたけど…
これで彼は、もうまともには動けないと思う」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

560 :1:2005/10/09(日) 04:56:26

シュウウウ…と風が吹いて、爆煙は完全にはれた。
拙者の隣には、血を吐いてわき腹を押さえる成宮…さらに前方には、
右目を押さえている『亀』がいた。
そして『亀』のスタンドの右手には、成宮のスピーキング・ハートが
握り締められ、苦しんでいる。
ま、まさか…まさかコイツは…

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

『亀』は、右目を押さえていた手をそっと離した。
あ…あ…ッ!
右目が…『亀』の右目が…
グシャグシャになっているだとぉぉぉぉぉッ!!!

「お前…潰したのか!!?スタンドごと…自分の右目をーッ!!!!!!」

563 :1:2005/10/09(日) 06:11:20

信じられない!!
自分の眼球を潰すなんて…『亀』の右目はクシャクシャになって、
頬に血が伝っていた。
どうしたら…こんなマネができるんだ?
何がヤツをここまでさせるというんだ…?
『ホクロ』のスタンドこそが、拙者にとって危険なものだと、ずっと思っていた。
だが、それは間違いだった…本当に危険だったのは…
『亀』の行動力だったのだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「もう、僕の心を読ませたりなんか、しないからね…ッ」
「絵里をこんな目にあわせるなんて…絶ッ対ゆるさないの!!!!
シャボン・イール!!!アイツを蜂の巣にしろなのッ!!くらうのぉぉぉぉッ!!!!」

ブシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!!!!!!

『ホクロ』のスタンドが、口からシャボン玉を勢いよく吐き出す。
それは、拙者に一直線に向かってきた。
も、もう…ダメなのか?
ゴマキ…

564 :1:2005/10/09(日) 06:13:16

「山P、諦めんな」

ドンッ…

いきなり成宮に体当たりされ、拙者はシャボン玉の射線上から外れる。
だが、拙者を押した成宮は…

ドバボバボオォォォォォォォォォォォォォォンンン!!!!!!!!!!

「成…宮?」
『ホクロ』のシャボン玉の直撃を受けた成宮は、身体から血をバリバリと
吹き出させ、倒れた。
「俺のスタンド…力ないからさ…もうこんなことしか…できね…」

ドサッ…

「成宮…ッ!!!」
彼は、もう何も答えなくなった。
…やりやがったな。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…




565 :1:2005/10/09(日) 06:14:53

「貴様達…やりやがったなあああああああああッ!!!!!!!」
許さない!!!
「メタルマサカアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!」
ボッゴォォォォォォン!!!!!!
拙者は叫び、自らのスタンドを地中から飛び出させた。
一本の、巨大な砂鉄のナイフを持って!!
「これでッ!!直接ブッた切ってくれる!!!!!!!!!」
もう、ゴマキとHだとかどうでもよくなった!!
拙者は…成宮!!お前のために、こいつらを始末するぞッ!!!!!!
「いけえぇぇッ!!メタルマサカーッ!!!!」
拙者はスタンドを、まず『ホクロ』に向かって飛ばす!!

「その首かっ切って!!!血の池地獄を作らせてやるッ!!!!!!!」

だが、『ホクロ』の行動に、拙者は度肝を抜かれた。
なんと向かってきたのだ、拙者の方へ。
しかし、うろたえている暇などないッ!
「ば、バカめッ!!いいマトだッ!!!!」

ドスッ!!

「ぐっ!!!」
刺した!!
うなぎのようなスタンドの身体に…突き刺してやったぞ!!!



566 :1:2005/10/09(日) 06:16:04

ブショォォォォッ!!!

『ホクロ』の左腕から勢いよく血が吹き出す。
だが…ヤツが止まるような気配はないッ!!?
な、なんだコイツはああああああああああああああッ!!!

ピタッ…

『ホクロ』が、スタンドの顔面を拙者の腹につけた。
「な…にッ…?」
「これしきの攻撃で…怯むなんて思わないでほしいの」

なんなんだ…こいつらは。
『亀』に『ホクロ』
この二人…なんという精神力を…ッ。

「さゆ達の『演劇部』は…絵里は…誰にも潰させたりなんかしないの…。
それじゃあ……さよなら」

こいつらを突き動かすものは一体…なんなんだ?
演劇部を…仲間を思う心が…こんな希望に溢れているような…
圧倒的な精神力の源だとでもいうのか…

「ゼロ距離射撃…シャボン玉ああああああああああああああああッ!!!!!!」

ドッゴオォォォオォォォォォォォオォォォォォォォォオォォォンンン!!!!!!!!





567 :1:2005/10/09(日) 06:16:44

〜Elizabeth side〜

ぶどうヶ丘総合病院 523号室

右目をエリザベスで殴って潰したときは、ホントどうなるかと思った。
失明は覚悟してた。
でも先生の話によると、瞳のところを傷つけたわけではないから、
意外とすぐに治るらしいんだ。
眼球の中の水分が、出ただけなんだって!よかったあぁ〜!!
でも、大怪我をしたことに変わりない僕とさゆは、入院を余儀なくされてしまった。
僕としては、さゆと二人っきりで同じ病室だし、いっかな…なーんて思ったり。

「さゆ、そういえば」
「なに?」
「昨日さ、モグラ達と遭遇する前の話なんだけど…」
「うん?」
「僕のこと見損なったって言ったあと、なんて言おうとしたの?」
「ああ…ちゃんとそうやって自分の否を認められるエリノコトガスキナノ」
「え、なに?最後の方よく聞こえなかった。ワンモア!!」
「…言わな〜い♪」
「えぇっ!なんて言ったの?教えてよ〜ッ!!」



568 :1:2005/10/09(日) 06:20:49

亀井絵里 重傷
スタンド名:サイレント・エリザベス(サイレント・エリーゼACT3)

道重さゆみ 重傷
スタンド名:シャボン・イール

山口智久 再起不能
スタンド名:メタルマサカー

成宮寛貴 再起不能
スタンド名:スピーキング・ハート

TO BE CONTINUED…