銀色の永遠 〜放課後はドゥマゴへ行こう@〜
その日は三好絵梨香にとって特別な日だった。
「え?み〜よ?」 「み〜よじゃん!」
「うわー!久ぶりぃみーよ!」 「会いたかった〜。み〜よ」
「お帰り、み〜よ!」
絵梨香がぶどうヶ丘高校の校門をくぐるのは1ケ月ぶりだった。
絵梨香の周りに女生徒達が群がる。絵梨香は学園の王子様なのだ。
「ふふぅん。皆、元気だった?これからまた毎日会えるなんてとっても嬉しいよ。」
絵梨香は深夜の居酒屋のバイトが見つかって停学処分を受けていたのだ。
本来なら怒りに任せて退学しても良かったのだが己の楽園を放棄するような愚は犯さなかった。
「やっぱり学校はイイ。今日の部活も楽しみだなぁ〜。フ・フ・フ」
絵梨香は意気揚々と下駄箱に向かい。
革靴から上履きに履き替え学生としての一日を始め様としていた。
「・・・み〜よ・・・」
弱弱しい声が背後から聞こえる。
声の主は誰か絵梨香には直ぐに解ったが、その弱弱しさに疑問を感じた。
「唯やん、どうしたぁ?何かあったの?」
振り返りながら相棒の岡田唯に歩み寄る。
「そぉ言えば、石川さんッ!全然見ないんだけど・・どうしたの?」
岡田唯は俯きながら
「石川さん・・・入院しとる・・・」
!
「なんで?なんで入院なんか…話が見えないよ。なんで?」
絵梨香は興奮しながら唯に問い詰め。
「まさか・・・・「スタンドを使うヤツ」にッ!!」
絵梨香の周りの空気が絵梨香の感情に呼応するように 歪んだ。
銀色の永遠 〜放課後はドゥマゴへ行こうA〜
岡田唯は三好の「スイッチ」が入ってしまう状況を呪わずには居られなかった。
三好はイイ奴だった。年下の自分にも分け隔てなく接してくれるし、人情に厚い。
その反面、仲間や知り合いが傷付けられる様な場合は人格が豹変する。
手が付けられなくなる程凶暴になる。三好自身でも止められなくなるほど。
「で?病院はどこ?総合病院?」
絵梨香は居ても立っても居られない様子で唯に問い質す。
「ぶどうヶ丘総合病院の533号室・・・・」
岡田唯が病室の番号を言うや否や
「解った。すぐ行こう!」
三好絵梨香は岡田唯の手を引き駆け出した。
唯は慌てて
「ちょぉ!復学の手続きとかは?まだなんやないのッ!?」
唯の言葉を打ち消すように
「優先順位がちがうからッ!」
とだけ絵梨香は言った。
親友を、ましては「チーム」のメンバーを病院送りにした奴。
絶対許せないッ!
絵梨香は周囲の空気を歪ませながら疾走した。
唯はその姿を見ながら嵐の前触れを予見した。
銀色の永遠 〜放課後はドゥマゴへ行こうB〜
杜王町 ぶどうヶ丘総合病院 533号室
「石川さんッ!」
絵梨香は病室に入る為り「チームリーダー」の名前を叫んだ。
「駄目よォ!三好ちゃんッ!ここは病院なんだし大声だしちゃ!」
「チームリーダー」の石川梨華は怪我人らしからぬ元気さで
「チームメイト」を諌めた。
「ごめんさぁい・・・そんなつもりじゃぁ」
絵梨香は自分の気持ちが空回っているのが悲しかった。
「でも、お見舞いに来てくれてありがと!ロクに動けないからもうヒマでヒまで・・・」
梨華は笑顔で見舞いを感謝しているが笑顔なだけにギプスや包帯姿が痛々しい。
「石川さん。その指・・・」
絵梨香はギプスでガッチリと固定された右手に目を落とした。
「あ〜。コレねぇッ。演劇部の二次審査やってたら負けちゃってね〜。」
!
「二次審査?なんでパワー型でも無い石川さんが?オカしくないですかッ?」
食い下がる三好に石川梨華は困ったように言った。
「上がね・・・。私を指名してきたの。コレばっかりは逆らえないよ」
「そんな!なんで石川さんがかませ犬みたいな真似させられなきゃならないんですかッ!」
三好は一目を置いている石川の扱いの軽さ、そしてそれが怪我をして病院送りになった
事にムカッ腹が立ってきた。
カチャリッ!
「石川さん。具合の方はどうですか!」
大分遅れて岡田唯が病室に入ってきた。
「コレを・・・」
花を買って来ていたのだ。
「うわぁ。フリージアね。赤くてとってもキレイ!ありがとう!」
この花は石川の友人が大好きらしい。
「飾って置きますね、花瓶はこれで?」
唯は薄い紫の花瓶を手に取って訊ねた。
「うん、お願い。給水所は解る?」
梨華の問いに、はいわかります。と答えて部屋を出た。
銀色の永遠 〜放課後はドゥマゴへ行こうC〜
「それで。その相手は誰なんですかッ?」
三好は空気を歪めて石川に問い質す。
「み〜よ。これは単なる入部審査なんだよ?こんな事でいちいち揉めてたら組織は成りたた・・」
石川はいつもの調子で空回る三好を諌めようとしていた。
「組織なんてどうでもいいじゃないですか!大体、上の指示はいつだって勝手過ぎます!」
「駄目よッ!上層部批判なんて!!」
梨華は絵梨香の発言に驚いて咎めた。
「私たちはALL FOR ONE&ONE FOR ALLでやって来たンじゃないんですかッ!」
「いいかげんにしなさいッ!三好絵梨香ッ!!」
石川は口調を強め何とか仲間の上層部批判を止めた。
「〜〜〜ッ!石川さんには本当にガッカリしましたッ!」
三好はそう言い残して病室を去った。
石川をあんな目に遭わせた上層部が憎かったし、その批判を諌められたのも悔しかった。
そしてなにより二次審査の相手への怒りが大きかった。
銀色の永遠 〜放課後はドゥマゴへ行こうD〜
三好絵梨香は病室から出るとすぐに花瓶を持った岡田唯に出くわせた。
三好は「復学の手続きに学校に戻る。」と告げてその場を去ろうとしたが
岡田の言葉に足を止めた。
「2年6組 藤本美貴。」
ドドドドドド ドドド ドドドド
「・・・で。そいつの「能力」は・・・・」
絵梨香は静かに、拳を固めながら唯に問いた。
「石川さんは「予知能力」の様だって、でも・・・」
唯は声を詰まらせて
「本人は「時間が戻ったような気がする」って」
!
絵梨香は顎に手を当てて暫らく思案した。
「じゃ〜簡単じゃん。唯やんとの相性バッチリね。」
「また・・・いつも道理やるの?」
唯の質問に
「当たり前!アタシとアナタの能力は合わされば無敵なんだよ。無敵。」
絵梨香は唯に拳を向けて答えた。
「じゃぁ。放課後!頼んだよ。ハイドレインジャ<紫陽花>。」
絵梨香は唯をスタンド名で呼ぶと足早に学校に向かった。
「藤本美貴」への闘志を高まらせながら。
銀色の永遠 〜放課後はドゥマゴへ行こうE〜
杜王町 ぶどうヶ丘総合病院 533号室
「石川さん。あれで本当によかったンですか?」
岡田唯は花瓶を飾りながら石川梨華に問うた。
「いいのよぉ。私から美貴ちゃんの名前出したらその方が張切ってあぶないよぉ。」
梨華は左手の人差し指をクルクルと旋回させながら言った。
「それにね。被害を最小限に抑える為にも美貴ちゃんと闘って貰わないと。」
梨華は体を起こして唯の方を向いた。
「あなたと組む様になってから「全力」で相手を叩き潰す必要が無くなったから良くなったけど
前にも同じ様な事が起きてね。ほら、あの子爆発したら大変でしょ?
標的以外に30人も関係の無い人巻き込む事件起こしちゃってね〜。あの時は大変だったなぁ〜。」
梨華はしみじみ言った。恐らく事後処理は彼女ら「同級生」で行ったのだろう。
「だからね。唯ちゃん、あの子の能力を「ある意味」で抑えられるのは貴女だけなんだから。」
唯は俯いた。唯は「能力」を使うことが、戦闘自体が好きではなかった。
それなのに身に付いてしまったスタンド、ハイドレインジャ。
彼女にとっては重荷でしかない能力。だがそれも今は必要とされているのだ。
うつむいてばかりは居られない。
「はい!わかりました。私も一緒に闘ってきます。」
唯は顔をあげて梨華に言った。
「大丈夫だよ!美貴ちゃんは強い、だからきっと死な無いから」
梨華は笑顔で唯を見送った。
銀色の永遠 〜放課後はドゥマゴへ行こうF〜
終業のベルが鳴る。
「あぁ〜、かったるかった〜」
死ぬほど退屈な地理の授業から開放された。
つうか美貴の人生に関係ねーじゃんこんなの。
こんな気分のときはドゥマゴでダベりたい。
「ね〜真希ちゃん〜帰りにドゥマゴ寄らねぇ〜?」
「んあ!ごとーは人に会うから駄目ぽ。」
ぽ。じゃね〜んだよ。相変わらず付き合いが悪い奴!
「ねぇ!じゃぁ亜弥ちゃん今日は大丈夫?」
「うん!この後用事があるけど終わったら行く〜。久しぶりだしね。」
久々に男より美貴を選んだか。
「じゃぁ。先に行って待ってるね。」
!? !? !?
「痛ェッ!!」
「!どうした?美貴ちゃん?」
「虻!虻に刺された!」
ぐぎゃ〜この痛み、絶対虻だ〜。ついてないなぁ〜。
「どうして虻限定?」
「痛ぇ〜。ちょっと見て?刺された後、無い?」
「別に赤くもなってないよ?」
マジかよ。結構、痛かったのに?
「大丈夫なんじゃないの?」
亜弥ちゃんが言うなら大丈夫なのかな?
「うん。じゃあ先にドゥマゴに行ってるね。」
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「どうだった?」
三好絵梨香は壁際にいる岡田唯に問うた。
「無事、着弾したで。発動まで10分くらい。」
唯は標的である藤本美貴から目を離さず答えた
「これで「時を操作」なんて事はもう出来ないで。」
絵梨香は唯の肩を叩いて言った。
「お疲れさん。あとは大丈夫だから部室で待ってて。」
標的を追って歩き出す絵梨香に唯は言った。
「絶対、殺さんでね!」
銀色の永遠 〜放課後はドゥマゴへ行こうG〜
早々とドゥマゴに到着いた私はアイスコーヒーを頼んで席に着いた。
冷え冷えのアイスコーヒーに砂糖を少しだけ入れるのが美貴のスタイルだ。
ミルクなんて入れない。大人だから。
亜弥ちゃんが来るまで持つようにチビリチビリと飲む事にした。
青い空が今日もキレイだずっとこんな日が続けばいいな。
あたりを見回しても今日は変わった事も無い。平和。
強いて言えば内の学校の一年生らしい、金髪の不良ぽいのと黒髪の優等生ぽいのが
なんで同じ席にいるのか?興味ををそそられる。
そんな事を考えていたらヒマを潰せるかな?そう思ったときだった。
「藤本美貴さん?」
知らない顔に声を掛けられた。
「あたし、三好絵里香って言います」
そう言うと三好とか言うやつは美貴の冷コーに手を掛けた。
冷コーを持ったら生ぬるくなるだろうがッ!
「ちょっとッ!なにしてんだよッ!」
美貴は声を荒げて三好の行為を咎めた。
「ああ!ごめんなさいッ!こんな風にしてたら生ぬるくなっちゃうよね。」
三好はすぐに謝罪したがコーヒーは放さなかった。
「ごめんなさい!この位温かければ良い?」
三好の手にある液体は瞬く間に沸騰した。
「!ッオマエッ!!」
美貴は急いで立ち上がり距離を取る。
「フ・フ・フ」
三好の手に持った物体が蒸発して気化した。
銀色の永遠 〜放課後はドゥマゴへ行こうH〜
「お前ッ!スタンドをッ?!」
美貴の言葉を遮るように
「踏みつける側の人間は踏みつけた側の痛みは分からない。何故だか分かる?」
三好絵梨香は藤本美貴に問うた。
「何言ってんだよッ!!てめーッ!」
美貴は距離を取りながら三好を威嚇した。
「きっと心が痛まないからだよ。」
三好は距離を離すまいとにじり寄り
「石川さん病院送りにしておいてこんな所でのんきにしてるなんて・・・」
石川の名前を聞き、美貴は叫ぶ
「あれはッ!美貴だって望んだワケじゃッ!!」
「・・・・そんな事は聞いてネェェェェエエエエッッ!」
ドギャヤァャヤャャャアッ!!
テーブルが真っ二つに割れ殴ったと思われる場所からは火が出ている。
メラ・・・・ メラ・・・・ メラ・・・
「心が痛まないから。そうやって人を傷つけても平気なんだろ?」
三好は美貴に歩みよる。
メラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラ
火の手が上がりドゥマゴは火事場になった。
銀色の永遠 〜放課後はドゥマゴへ行こうI〜
「くッ!」
火の手が上がるや否や藤本美貴はその場から走り出した。
「・・・逃げてどうなるのさ・・・・」
三好絵梨香はその跡を追う。
「何なんだ。アイツッ!あんな人の居る様な場所で・・・・」
「他人を巻き込んで、平気なのかッ?!」
美貴はそう思いながら普段人道りの無い路地に曲がった。
路地にしては広い通りだったが暗く、気分のいい所ではなかった。
「オイッ!!プッツン女ッ!!」
美貴は三好に向かって吼えた。
「ここなら思う存分出来るだろうッ!そのブッ切れた思考回路を叩き直してヤンゼッ!」
「叩き直されるのはお前の性根だッ!藤本美貴ィイッ!!」
三好の咆哮と共に背後に人影が灯る。
「シーズン・オブ・ディープレッドッ!」
ズギュユューンッッ!!!
「何だ〜ッ!!その赤黒い、ドロドロした奴はーッッ!!?」
美貴はその異様さに一瞬たじろいだ、が戦闘慣れしてきている自信があった!
いざとなれば「時間を戻せる」。
「ブギートレイン03ッ!!」
ドギャンッ!!
美貴の背後に灯る銀色の人影ッ・・・・が
「・・・な・・・何〜〜〜ッッッ!!!!!????」
見慣れたはずの自らの「スタンド」が、形を変えていた!
銀色の永遠 〜放課後はドゥマゴへ行こうJ〜
藤本美貴のスタンド、ブギートレイン03の銀色の体躯の左半分が
小さな紫の球状物体群に「侵食」され消えていたのだッ。
三好絵里香はゆっくりと間合いを詰めながら
「その球体群は私の相棒のスタンド、ハイドレインジャ。ここに来る前に仕込ませてもらったよ」
「覚えがあるだろう?」
美貴は松浦亜弥との別れ際の事を思い出していた。
「ハイドレインジャが体内に接種、発動すればスタンド(精神)そのものを吸収・侵食し始める・・」
三好は続けた
「「時を操作」するには相当精神力が必要なはず・・・」
「スタンド(精神)そのものの力が弱くなってしまえばもう不可能だろう?」
美貴は三好の言葉を否定出来なかった。塚本とのババ抜きでも相手のスタンドに不覚を取った
あの時もスタンドを狙われた。このまま侵食され続けたら時を戻す事はおろか戦闘すら・・
早く倒さねば。
「こんな程度でビビる美貴サマだと思ってんのかッ!このプッツンッッ!!」
ブギーTO3の右拳が煌く。
「おぉおぉおおおぉお!!ゴォールデンゴォオール決めてッツ!!」
ドグォオォオオォンンッ!
美貴のブギートレインO3の右拳が三好のシーズン・オブ・ディープレッドの腹にクイ込む!
ドジュウュユッ!!
「熱ちィッッツ!!」
そう叫び美貴は拳を引き離した。
「ッツウッ!これはッ?」
美貴の問いに三好は答えた
「そう、シーズン・オブ・Dレッドは全身は高熱で覆われている・・そしてこの高熱は」
「三好絵里香の一兆度の怒りだッッッッ!!!!」
「SuRiSuRiSuRiSuRiSuRiSuRiSuRiSuRiSURIVER--------------ッッッッ!!!!」
ドゴォオォゴォォオオォオオンッ!!
銀色の永遠 〜放課後はドゥマゴへ行こうK〜
時は戻らなかった
美貴の身体は地面に激突した。
「手加減したのに派手にフッ飛ぶねぇ〜。」
三好は美貴の体を起こし、手を取った。
「あたしはあんたに「痛み」ッてのを教えに来たんだ。」
三好は美貴の右手を握った
「キレイな手・・してるね・・・」
メキィイッツ!
「ぎゃあぁッ!」
美貴は短く悲鳴を上げる。
「どう?痛い?痛い?石川さんもっと痛かったんだよ?」
三好はシーズン・オブ・ディープレッドに力を込める。
「一気には折らないゆっくり、ゆっくり「折る」ッ!」
スタンドの力が弱まっていくのを感じる。
藤本美貴は絶望を感じていた・・・。
その時、一陣の「風」が吹いた。
なぁ〜んか。風が騒ぐって言うか、気になってきてみたら凄いことになってるね。」
声の主は近づいてきた。
「お陰で約束スッポかしちゃったよ。どうする?」
「ねぇ?美貴ちゃん」
銀色の永遠 〜放課後はドゥマゴへ行こうK〜
「真希ちゃん・・・」
弱弱しく答える美貴に
「だから言ったじゃん。演劇部なんか止めといた方がイイって。」
アタマを書きながら近づく。
「絵梨香。いつまで美貴ちゃんにくっついてるんだよッ!」
ゴゴゴゴゴゴゴ ゴゴゴゴゴ ゴゴゴ
「『ゴシップ・セクシーGUY』!!久しぶりだよ…こいつを人前で出すなんて」
「オラァッ!離れろォォォォォオ!ゴシップ・ハリケエェェエェンッ(風の噂)!!!!!」
ビュュォオォオオオォオオォオオオォオォオオッ!!
「くぅうううッ!」
突風に堪らず掴んでいた藤本美貴を離してしまう。
「クソォ!後藤真希ッ!!今更ッ! 邪魔をするなッ!!」
三好は真希を睨み付け標的を変えた。
「お前みたいに身勝手なヤツに出てくる幕なんかあるかァァアッ!」
「SuRiRiRiYa-----ッッ!」
ドグァアァァァアァ!!
三好の渾身の連撃も真希には止まって見えるように軽々かわす。
「相変わらず、面白味に欠ける立ち回りだね。」
真希は退屈そうにゴシップ・セクシーGUYの槍を目の前でチラつかせた。
「それじゃぁその「厚着」脱いでもらおうか?」
ビュオォォォオオオォオオォオォオォオオォオオッッ!!!!
銀色の永遠 〜放課後はドゥマゴへ行こうL〜
後藤真希のスタンド「ゴシップ・セクシーGUY」の羽は激しく羽ためき
渦を巻く突風を生成する。
「ゴシップ・ハリケェエンッ・BANGッッ!!!」
ドビュヲオォォォォォォォォォオオオオォオオオォッッッ!!!!!
突風は激しく三好絵里香のスタンド、シーズン・オブ・ディープレッドに襲い掛かる。
「S・・・・SuRiiiaaaaaaaaa・・・・・」
S・O・ディープレッドの表層「三好絵里香の一兆度の怒り」は次々と冷却され剥がれ落ちる。
「ッ!・・・後藤ッ〜〜ッ!!!!」
その攻撃は三好本体にもダメージを与え苦悶の表情を浮かべる。
「へ〜エ?アンタのスタンドってそんな形だったんだ。」
真希は三好のスタンドを繁々と見つめる。
S・O・Dレッドは「表層」を失って灰色の痩躯を表した。
「これで。御仕舞いだね。」
真希に言葉に、ゴシップ・セクシーGUYは水平に槍を構える。
「オォオォオオォオオオルッ!ナィトォォォォオォオロォオオォオオォオォォォォオンングッ!!!!!」
ドガァアアァアンンンンンンンッ!
真希の一撃は三好のわき腹をエグった。
「DRY!手応え有りッ!」
銀色の永遠 〜放課後はドゥマゴへ行こうM〜
真希の攻撃に三好は呻き声を上げる。
「ぐぅうぅうぅッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・s・・・・・u・・・・r・・・・・i・・・・・」
「ぽ?」
「S・U・R・I・V・E・Rーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!」
ドギャドギャドギャドギャドギャドギャドギャドドァァァアァアッッ!!!!
至近距離でのS・O・Dレッドの連撃を喰らい、真希は宙に舞った。
「そんな、アバラ骨は折れている・・ハズなのに・・・・」
意識を失い掛け始めた真希の問いに三好は
「折れてるよ。内臓にも刺さっているみたいでのたうち廻る位、痛い。」
「だけどね。痛みでのたうち廻るのはあたしじゃない・・・・」
「藤本美貴ィィィィイィィィイッ!!お前だぁあぁああぁあぁぁあッッッ!!!!!」
三好絵里香の、怒り、執念、狂気に藤本美貴は心の底から恐怖した。
「時を戻せない」、戦闘も不可能。このままじゃ・・・本当に弄り殺されるッ!
「死」・・・そうだ「死の使い」が今、現実に目の前にいるのだ。
藤本美貴は全てを諦めた。
パァンッ
パァンッ パァンッ パァンパァンパァンパァンパァンパァンパァン
パパッパパッパパパパッパパパパパッパパッパパパパッパパパパッパパパパッパ
美貴のスタンドを侵食していたハズの寄生スタンド「ハイドレインジャ」が突然、消え始めた。
「スタンドが・・・・漲っているッッ!」
「解除は有り得ない・・・・まさかッ唯ッ!!!」
一瞬だった。三好絵里香は動揺は致命的な隙を生んだ。
「G・ゴォオォオオォオオォオオォルッッッ決めてぇッッッ!」
「V×100ッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
銀色の永遠 〜放課後はドゥマゴへ行こうN〜
サイレンのツンザく音が鳴り響く。
「真希ちャんッ!オイッ真希ちャンッ!!!」
藤本美貴の声に後藤真希の返事は無かった。
「チッキショォォオッ!」
美貴は抱え揚げようとするが力が入らない。
「クソッ!どうしたら良いんだ!」
力なくその場にへたり込んだ、その時。
「美貴ちゃんッッ!!」
「亜弥ちゃんッッツ!!」
「ドゥマゴが火事で急いで来たら・・・・」
松浦亜弥は息を切らせながら話した。
「細かい事は後ッ!真希ちゃんが大変なんだッ!手伝って!」
亜弥は右肩、美貴は左肩を担ぎ上げて真希を起こした。
「!・・・・・?」
「どうした?美貴ちゃん?」
「あ・・いや、何でもない。急ごう。」
杜王町 ぶどうヶ丘総合病院 533号室
「ねぇ?何か三人で一緒の病室なんて楽しくない?」
石川梨華は、はしゃいでそう言った。
「別に楽しくなんか無いですよ。復学したばっかりだったのに。」
三好絵里香はふくれて言った。
岡田唯は黙っていたが、三好に向かって言った。
「み〜よ。ごめん。わたしがアイツに倒せれなければ・・・・」
三好絵梨華 重傷
スタンド名:シーズン・オブ・ディープレッド
岡田唯 重傷
スタンド名:ハイドレインジャ
TO BE CONTINUED…