563 :915:2006/01/27(金) 22:59:39.77 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ@〜
「そもそもさ、なんでスタンド使いってばれたのよ?」
「それが・・・・、むちゃくちゃなんです、アイツ。
いきなり人が集まっているところでスタンド出して拳振り回して。
友達は見えないから全然気にしてないけれど
私一人だけ見えるからどうしても反応してしまって・・・・。
そうしたらもう有無を言わさず・・・・・」
「へぇ〜、あの子、結構やるんだねぇ〜。
で、抵抗も出来ずにやられておめおめと帰ってきたと・・・・」
「い、いえ。もしかしたらあばらの一本くらいは・・・・」
「なんか頼りないねぇ〜」
「それよりどうします?これで3人目ですよ?」
「とりあえず、気をつけろってみんなに
言うくらいしかないんじゃない〜?」
「わかりました、至急連絡回します」
564 :915:2006/01/27(金) 23:00:32.71 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむA〜
「あれ?ごっちん、そんなところで何してるん?」
「あ、ミキティ。たまたま通りがかっただけだぽ。ミキティは部活?」
「うううん、ちょっと荷物取りに来ただけ。
今日はさぼり。昨日から部活再開したけどまだ当分は何も予定無いしね。
ごっちんは?暇だったらカラオケでも行こうぜ」
「ごめん、ごとーはちょっと用事があってね」
「ふ〜ん、最近忙しいんだね。じゃあまた〜」
美貴は部室の前をうろついていたごっちんに
手を振ると部室に入っていった。
「うぃ〜っす」
「あ、藤本さん。珍しいですね。土曜日に顔出すなんて」
絵里がダンスの動きを止めて声をかけてきた。
絵里たちはコンクールに出るとかで稽古に余念がない。
「ちょっと用事あるだけだからすぐ帰るよ。
だいたい 今時、週2とはいえ、
土曜に授業があるなんてうちの学校だけだよ・・・・」
そう言いながら部室を見渡すと、
窓際でうまそうに弁当をほおばっているこんこんに近づいた。
「ごっちん、部室の前をうろついていたぜ」
美貴は他の部員に聞こえないようにこんこんの耳元でささやいた。
「やっぱり私と麻琴の動きを気にしてるんでしょうね」
「あぁ、おそらくそうだろうな・・・・」
美貴は部室の隅で漫画を読んでいる麻琴を見た。
麻琴がこちらを見て軽くうなずく。
565 :915:2006/01/27(金) 23:01:10.89 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむB〜
「じゃあ予定通りお願いしますね」
「そっちこそな・・・・」
「それが・・・・」
「ん?」
「吉澤さん、昨日も今日も部活出てないんですよ」
「サッカー部の方は?」
「窓から見張ってるんですけど、いないみたいなんです。
クラスのサッカー部の子に聞いたら3日前から休んでるって・・・」
「学校は?」
「来てはいるらしいんですけど、授業終わったらすぐ帰ってるみたいで」
「何やってるんだろうな・・・・」
「取り合えず私たちは部室から動かないようにしますね」
「あぁ、それが良いよ」
美貴はこんこんの元を離れた。
「んじゃな、帰るわ」
「え〜!せっかく来たんだから・・・」
みんなに聞こえるように言うと、
ぶーたれる絵里を無視して部室を出る。
部室を出ると、さっきまでいたごっちんは姿を消している。
でもどこか近くにいるんだろうな・・・・
599 :915:2006/01/28(土) 21:07:51.06 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむC〜
美貴は駅へ自転車を走らせながら思う。
ごっちんもまさか美貴がこんこんたちと手を組んで
ごっちんを裏切るような事をしているとは思ってもいないだろう。
完全に裏をかいたつもりだ。
でも・・・・、裏切るとか裏切らないとかって問題じゃないよな。
この演劇部、やっぱりおかしな事が多すぎる。
年末は年末でごたごたしたし、今度は抗争だって。
そんな一昔前のヤンキーマンガじゃあるまいし・・・
少なくとも、こうなるには理由と目的があるはず。
栄米の連中との間に、今後平和的解決を目指すにしても
徹底抗戦するにしても、とにかく知らない事が多すぎる。
こんこんによると、3年前から所属していたよっすぃ〜や梨華ちゃんは
本当に3年前の抗争の理由は知らないようだ。
でも、何かを隠してはいるらしい。(どうもごっちんと関係あるようだ)
それが何かはわからないけど、今は一つでも情報が必要なのは違いない・・・
だから、美貴は動かなくちゃいけない・・・・
600 :915:2006/01/28(土) 21:08:43.67 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむD〜
「あれ?美貴姉ぇ?」
杜王駅のホームでS市行きの電車を待っていると、後ろから声をかけられた。
「あぁ、れいなか。こんなところでどうしたんだよ?
亀たち、練習していたぞ。れいなもコンクールに出るんだろ?」
「そん舞台に使う小道具が壊れとったので、新しいのば買おうと思ってね」
れいなが言うには、今回のコンクールは
男役の絵里と女役のさゆのラブロマンスなんだそうだ。
本当ならS市に住んでいる絵里が買い出しに行くのが一番早いけど、
れいなは端役で出番も少ないから
れいなが買い出し役を買って出たらしい。
絵里め、自分が責任者を任されたからって
それにつけ込んでさゆを・・・・とは思うものの、
クリスマス公演に出られなかった絵里とさゆの無念に
れいなと小春が気を遣ったというのも事実だろう。
「そういう美貴姉は?」
「う、うん・・・・・・・・」
さぁ、どうしようか・・・・・・・・。
601 :915:2006/01/28(土) 21:09:34.21 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむE〜
ある意味一番面倒くさいヤツに会ってしまったなぁ。
れいなって結構寂しがり屋だからヘタなウソ言ったらすぐついて来たがるし・・・。
でも、れいなが戦力として貴重なのも事実なんだよな。
こいつ、はっきり言って戦闘の天才だし・・・・・・。
「実はな、人捜しをしていて・・・・」
「人捜し?」
美貴は意を決して、市井紗耶香という演劇部OBが
3年前の件について何か話してくれるかもしれないこと、
だけど本人は今どこにいるのかわからないことを言った。
ごっちんと関係ありそうな事とか、
よっすぃ〜がまだ何か隠していそうな事とかはとりあえず伏せて・・・・
「え〜!れいなも行く〜!!!」
やっぱり・・・・
602 :915:2006/01/28(土) 21:10:07.94 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむF〜
S駅で降りて、美貴はこんこんに渡されたメモを見る。
駅を降りて歩いてすぐにライブハウスがあるらしいのでそこを目指す。
「あ、こんビルみたいやけんね〜」
れいながビルの入り口を指さす。
「地下一階みたいだね。
じゃあ行ってみるか・・・」
美貴が階段を下りようとすると、れいなは
「ちびっと待ってて」
と言って、少し離れた所にあるジュースの自販機に行くと
何かを買ってポケットにしまった。
「ん?何買ったの?」
「えへへ〜、用心ったい、用心」
「用心?」
「まああとのお楽しみ♪」
そう言うとれいなは美貴の背中を押して階段を下りようとする。
変なヤツ・・・・。
603 :915:2006/01/28(土) 21:10:39.06 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむG〜
ライブハウスの入り口を開けると、受付には一人の女性が座っていた。
二十歳くらいだろうか、ショートヘアーの似合うボーイッシュな人だ。
「あの〜、すみません・・・・」
「あ〜、今日は7時からだよ」
受付の女性が美貴たちを見て口を開く。
「いえ、客じゃないんです・・・」
「ん?じゃあ何の用?」
「ちょっとお聞きしたい事があって・・・」
美貴が話を切り出そうとした時だった。
奥から若い男の人が出てきた。
「吉澤さん、それじゃあ、飯ってきますんでお願いします」
「了解、ゆっくりしてきなよ」
男の人は女性に断ると、美貴たちに一礼して出て行った。
この女性、吉澤さんって言うのか。
よっすぃ〜と一緒だな。まぁ別に珍しい名字じゃないし。
「んで、何?」
「あぁ、すみません。実は人捜しをしていて」
「人捜し?」
604 :915:2006/01/28(土) 21:11:48.38 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむH〜
「バンドやっていて、奥さんが17,8歳、子供もおそらくいるって人を
探しているんですけど」
「何それ?ずいぶん漠然とした人捜しだねえ。
名前もわかんないの?」
「すみません・・・・
探しているのはその奥さんの方なんですけど、
結婚する前の名前が市井紗耶香さんって言うんです。
結婚されて、ご主人がS市でバンド活動しているらしいって聞いたので
ここなら何か情報つかめないかと思って・・・」
「さぁ〜、聞いたこと無いねえ・・・。
それに10代で結婚するヤツなんてごまんといるしさ」
「そうですか・・・・」
「で、アンタたちその市井って人とどういう関係?」
「部活の先輩なんです。私たちは直接会った事無いけれど。
ちょっと在籍しておられた時の話が聞きたくて探しているんです」
「ふ〜ん、難しいねえ・・・・。
だいたい、市内だけでも20くらいはライブハウスあると思うよ。
あきらめた方が良いんじゃない?」
「いえ、もうちょっと回ってみます」
「そう、力になれなくてごめんね」
605 :915:2006/01/28(土) 21:12:44.62 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむI〜
やっぱり雲をつかむような話だよなあ・・・・
そう思いながら吉澤さんという女性に礼を言ってその場を立ち去ろうとした。
「れいな、行くよ」
「う、うん・・・」
「どうした?」
「美貴姉、これ・・・」
れいなが指さした先には、一枚のポスターが貼ってあった。
「あぁ、それ。貼ってくれって市から頼まれたんだけどね」
吉澤さんがポスターを見て言った。
それは、れいなたちが参加する演芸コンクールの宣伝ポスターだった。
「一応、頼まれたから貼ったけど、
うちの客層とはちょっと系統が違うからねえ。
アンタたちは出ないの?」
「れいな、参加予定ったい」
「ふ〜ん、がんばってね」
「ありがとうございます。美貴姉、行こっ」
そう言うと、れいなは扉に手をかけた。
そのれいなの肩をつかむ。
「美貴姉?」
れいなはとまどった目で美貴を見る。
「いいや、ここで良いみたいだぜ、れいな・・・・」
吉澤さんの目がにぶく光った・・・・。
642 :915:2006/01/29(日) 18:54:17.08 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむJ〜
「吉澤さん、って言いましたよね・・・・・・。
アナタ、どうしてコンクールに参加するか聞いたんです?」
「美貴姉?」
れいながもう一度美貴に聞いてくる。
「美貴たちは部活してるとは言ったけど、演劇部とは一言も言ってない。
体育系のクラブかもしれないし、文化系でも茶道部とかかもしれない。
どうして、演芸コンクールに参加するような部活だとわかったんです?」
受付の入り口に座っていた吉澤さんは席を立つと、
何も言わずにステージの方に歩いていった。
そして、ステージの段差に腰をかけてから美貴達を見た。
「ふ〜ん、注意力はそこそこあるようだね」
「試したんですか。何のために?」
美貴は吉澤さんを見る。
吉澤さんは足を組んで、こっちをじっと見ている。
美貴は・・・・汗が一筋こめかみのあたりを流れるのを感じた。
なんだ?この威圧感は・・・・・・・・・・・。
「み、美貴姉・・・・・・」
れいなの声もかすかに震えている。
れいなも異常に気づいたようだ。
643 :915:2006/01/29(日) 18:55:12.53 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむK〜
「市井紗耶香を探してるんだよね。どこにいるか知ってるよ」
吉澤さんが突如言った。
美貴は・・・・、返事が出来なかった。
「市井紗耶香の事を知ってるって言ってるんだよ」
吉澤さんがもう一回言って、美貴はやっと我に返った。
「あ、あぁ。済みません、教えていただけませんか・・・」
美貴はやっとの事で口を開いた。
「教えても良いけどさ・・・・・・・・」
!!!!!!!!!!!!!!!!!!
吉澤さんの背後に、人型のビジョンが浮かび上がった。
スタンド使い!!!!!!!!!
「私のスタンドを殴る事が出来たら教えてあげるよ」
吉澤さんが不敵に笑う。
「え?」
「あんた達を試そうって言うんだよ。
あぁ、二人同時で良いよ、スタンド使いさんっ」
この人・・・、何者なんだ?
美貴達の事を知っている?
644 :915:2006/01/29(日) 18:55:47.98 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむL〜
「美貴姉、どうすると?」
れいながそう言いながら前に一歩足を進めた。
美貴はそのれいなを手で制する。
「美貴姉?」
「とりあえず美貴が行くから、れいなは観察しとけ」
「二人同時で良いんだよ?」
吉澤さんはそう言いながら立ち上がった。
「いえ、とりあえず美貴一人で・・・」
「別に二人がかりでも卑怯でも何でもないよ」
吉澤さんが挑発する。
「別にそういうつもりじゃないですよ。
あなたの能力とか手の内とかまったくわからないんでね・・・」
美貴は言いながらブギトレを出現させた。
美貴は、一歩一歩吉澤さんに近づく。
645 :915:2006/01/29(日) 18:56:26.64 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむM〜
3メートル。2,5メートル。2メートル・・・・
射程距離!!!!!
美貴はブギトレで思いっきり吉澤さんのスタンドを殴った!!
ドゴォッッッッッッッ!!!!!
すさまじい音と共に吉澤さんは吹っ飛んだ!!!
あれ?あんなに警戒したのに
普通に殴れちゃったよ・・・・・・・
「えッ?」
「いってぇ〜・・・・・・・」
倒れていたのは・・・・・・・・れいなだった!!!!!!!
「なッッッッッッッッッッッッッッ!!!!????」
ばかなッ!!!!
れいなは美貴の後ろに・・・・・・・!!
そう思ったそのときだった。
「アンタ、これで一回死んでるよ」
後ろから吉澤さんの手刀が美貴の首筋をポンっと軽く叩いた。
696 :915:2006/01/30(月) 22:12:47.74 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむN〜
美貴は思わず飛び退く。
「そんな・・・・・・ッッッッ!!!!!!」
いつの間にか、吉澤さんが美貴の背後に回り込んでいた!!!
「バカなッ!!いつの間にッッッッッッッッ!」
「ど、どういうことっちゃ・・・・・」
れいながフラフラと立ち上がった。
「れいな!見てただろッ!!!!何があった!?」
美貴は吉澤さんから視線をそらさないままれいなに尋ねた。
「どうもこうも・・・・・
美貴姉があの人に殴りかかって、
それで拳がヒットすると思ったら
れいなが吹っ飛んでおったんやけん・・・・・・・・・」
わけがわかんない・・・・。
「どうしたの?もう終わり?」
吉澤さんが挑発する。
美貴は・・・・回り込んで、
吉澤さんの後方にれいなが見える位置に来た。
698 :915:2006/01/30(月) 22:13:14.74 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむO〜
「オラァ!!!!!!」
ブギトレが再び吉澤さんに再び殴りかかる!
ドゴォッッッッッッッ!!!
拳は吉澤さんにヒット!!!
いや・・・・
拳の先にはれいながいた!!!!!
また・・・・れいなが吹っ飛ぶ!!!!
吹っ飛んだれいなは、後ろに立っていた吉澤さんの
すぐ横を吹っ飛んでいった!!
「な、何で・・・・・・」
殴られた頬を押さえながられいなが立ち上がる。
またもやイヤな汗が一筋流れる。
落ち着け、落ち着け・・・・・・・。
よく観察したはずだ・・・・・・・。
もしも、美貴の予想が正しければ・・・・・・
「れいな!」
美貴が声をかけると、れいなもデュエル・エレジーズを出して構える。
699 :915:2006/01/30(月) 22:13:54.23 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむP〜
「ふ〜ん、二人とも近距離型っぽいねえ。
さぁ、どんな能力があるのかなあ・・・・・・」
吉澤さんが静かに言う。
美貴とれいなは吉澤さんを直線上の等距離の間合いに置き、
じりじりと詰めていく。
「おおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
美貴の雄叫びを合図に、美貴とれいなは一気に距離を詰めて
吉澤さんに殴りかかろうとした!!!!
吉澤さんとの距離2メートル!!
そして・・・
目の前に拳を振りかぶったれいなが現れる!!!!
「えええええぇぇぇぇぇッッッッッ????」
振りかざしたD・エレジーズの拳は止まらない・・・・!
だが・・・・、予想通りッ!
700 :915:2006/01/30(月) 22:14:41.30 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむQ〜
バシィィィィィ!!!!!!!
さすがに避けたり受け止めたりすることは出来ない。
でも、来るとわかっているパンチを耐える事くらいは出来る!!
美貴はブギトレの腕をクロスさせてD・エレジーズの拳の直撃をガードした!
「ぐふッ・・・・・・」
足を踏ん張って堪え忍ぶ・・・・・。
「み、美貴姉?」
まだびっくりしているれいなの後ろに
吉澤さんは立っていた・・・・・。
そして、吉澤さんは美貴たちから距離を取る。
「やっぱりな・・・・・・・・・。
やっかいなスタンドですね・・・・、吉澤さん」
美貴はD・エレジーズの拳を手でそっとのけるとそう言った。
「美貴姉!スタンド能力わかったと?」
「あぁ・・・・。」
美貴はれいなに返事してから吉澤さんをにらんだ。
「そりゃあ『自分を殴る事が出来たら』なんて
条件を出すわけですね・・・・・・・・。
あなたのスタンド能力は・・・・
あなたと他人の位置を入れ替える能力!!!!!」
41 :915:2006/01/31(火) 23:15:44.89 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむR〜
「ご名答。さすがに3回も見たらわかるよね」
吉澤さんはそう言って笑った。
「美貴が単独で攻撃した時はれいなは離れた位置に立っていた。
だからギリギリまでれいなと入れ替わらなかったけど、
さっきはれいな本人もあなたに迫っていましたからね。
インパクトの瞬間に入れ替わっても立ち位置はすぐ近くになるから
もっと早くに入れ替わる必要があったんですよね」
「入れ替える片方が私とは限らないし、人と人とも限定しないんだけどね」
吉澤さんがそう言うと、ステージに置いてあったアンプと
観客席の隅においてあった段ボール箱の位置が入れ替わった。
「だから本当はそこら辺にある他の物と
入れ替わっても良かったんだけど、私もバイトの身だからね、
アンタのスタンドのパワーでイスとか機材とか壊されてもイヤじゃん」
吉澤さんは続けた。
「これでアンタたち結構有利になったと思うよ。
私はアンタたちのスタンド能力をまだ見せてもらってないしね。
あとはどっちか一人が外に出ていた方が良いかなあ。
一人の方が入れ替われる対象少なくなって楽でしょ。
あ、私が入れ替われそうなものを壊しまくって
入れ替われるものをなくすって作戦は止めてね。
あとで弁償してくれるならそれでも良いけどさ」
742 :915:2006/01/31(火) 23:16:35.78 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむS〜
この人、美貴たちをなめているのか?
この余裕な態度・・・・・・・・・
まだ隠れた能力があるのか、それとも・・・・・・
実戦をくぐり抜けてきた戦士の経験か・・・・
どっちにしても、ここからは美貴たちも
スタンド能力を駆使する事を考えなくちゃいけないな。
でもどういう作戦でいこう・・・・・・・?
「れいな、どうするよ?」
「美貴姉、出て行く必要は無いったい」
れいなはそう言ってD・エレジーズを構えさせた。
「そうだよな、二人がかりの方が不利ってのも変な話だけど、
やられっぱなしじゃしゃくに障るもんな」
美貴も同調した。
そうだ、相手の能力を破った上で勝たなくちゃな。
とは言ったものの、ちょっと格好付けすぎかな・・・
この状況、正直な話、美貴の能力は生かせにくい。
743 :915:2006/01/31(火) 23:17:27.65 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ21〜
いや、相手が栄高の学生とか純粋に敵だったら
弁償とかそんなこと無視して作戦立てちゃうけど、
この人、敵ではない様な気がするんだよな。
別に美貴達に危害を加えようってわけじゃなくて
純粋に試しているんだと思う。
何のために?って聞かれたら困るけどさ・・・・
だから、ものを壊す事が前提になっちゃう満月の流法は
ちょっと使いづらいんだよなあ・・・・・・・
もちろん命の危険も差し迫っていないのに
時を戻す事が出来る自信も無いし・・・・・・
むしろ、れいなの能力の方が期待大だよな。
れいなもそれはわかっていると思う。
だからといって、れいなに任せて
美貴は外で待っているなんてプライドが許さないけど。
「よっしゃ、いくぜ!!!!」
美貴の言葉を合図に、美貴とれいなは
二人並んで同時に吉澤さんに襲いかかった!
美貴のブギトレが吉澤さんに拳を振りかぶる!!
744 :915:2006/01/31(火) 23:18:34.33 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ22〜
と、突然景色が変わり、吉澤さんが消える。
そして、目の前に迫ってくるれいな、さらにその隣でバックステップを踏む吉澤さん!
今度は美貴を入れ替えたのか!!
美貴はとっさに腕をクロスし、
れいなは振り下ろしたD・エレジーズの拳をグーからパーにする。
そして、そのままれいなは振りかざした手のひらで
ブギトレのガードした腕をぐっと押すと、その反動で
今さっきまで美貴がいた場所に向かってとびついた!!
れいなのバックスピンエルボーが吉澤さんを狙う!!!
「へぇ〜」
吉澤さんは感心したように声をあげた。
その次の瞬間・・・・・、れいなのエルボーは美貴の顔面にヒットしていた。
「ぐえッッッッッッ」
美貴はもんどり打って倒れる。
745 :915:2006/01/31(火) 23:19:23.88 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ23〜
「あちゃ〜」
れいなはばつの悪そうな顔をしながら倒れた美貴に手をさしのべた。
「いてててて・・・・」
美貴はれいなの肘をもらった頬をさすりながら立ち上がる。
「見事な連係プレーだったけどもうちょっいだね」
相変わらず吉澤さんは余裕の表情で言う。
「打ち合わせ無しにしては良い作戦だと思ったんですけどね・・・」
美貴はそう言って精一杯強がった。
そして、また二人で襲いかかる・・・・・・・
「うげッ」
「グハッ」
「いってぇ〜!!」
「あいたたた・・・・」
結局、吉澤さんに指一本触れられなかった。
美貴とれいなは攻撃とフェイントを繰り返したけれどすべて見切られていた。
振りかざした拳は、蹴り上げた足は、すべて、
美貴とれいな、お互いに誤爆するか、むなしく空を切るばかり・・・・
美貴は理解出来た気がする。
吉澤さんの本当の強さはスタンド能力じゃない・・・
経験に裏付けされた観察力だ!!
792 :915:2006/02/01(水) 23:09:15.94 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ24〜
「吉澤さん、あなた、相当修羅場をくぐってきましたね・・・・・・・」
「さあね・・・・・・・・。
それよりそんな無駄話している時間無いよ?
ぼやぼやしているとさっき昼休憩に行った子が帰ってきちゃうから」
吉澤さんは壁時計を指さした。
「だってよ、どうする?」
美貴はれいなに話しかけた。
「美貴姉、ちびっとれいなに任せてくれんかな?」
「何か策があるのかよ?」
「まあ、ね・・・・・・・・」
れいなはポケットに手を突っ込みながらそう言って前に出た。
「れいなも色々考えとるんよ」
れいなはそう言ってから吉澤さんに突っ込んだ!!
「うおおおおお!!デュエル・エレジーズッッッッ!!!」
れいなは右ポケットから何かを出した。
あれは・・・・ペットボトル入りのコーラ!!
れいなが持ったコーラが勢いよくキャップをとばしてはじけだす!
れいな、波紋を使って炭酸をシェイクしたんだな!!!
炭酸プラス波紋の力ではじけ飛んだコーラは吉澤さんの顔近くまで迫った。
吉澤さんは意外そうな顔で軽く避ける。
793 :915:2006/02/01(水) 23:09:54.98 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ25〜
と、空中でコーラは突然軌道を変えて吉澤さんを狙う!!
そう、れいなははじけとんだコーラを石化して即席の槍を作ったんだ!!
「なッッッッ????????」
隙を突かれた吉澤さんのスタンドが思わず石の槍をガードした!!
おお!初めて吉澤さんに防御させたぞ!!!
吉澤さんはガードしたまま吹っ飛ぶ!!!
その瞬間、槍でなぎ払われているのは美貴だった。
「ぐッ!!!!!!!!」
美貴はれいなの攻撃を耐える!!
れいなは予測していたかのように、さっきまで美貴がいた場所に
何かをなげつけた!
美貴と入れ替わって立っていた吉澤さんに何かが覆い被さる。
あれは!
「くもの糸ってヤツたいッ!!」
れいなが叫んだ!
そう、歌舞伎とか手品で見かける、手のひらからたくさんの糸みたいなのが
ぶわーって飛び出すヤツ、あれをれいなは仕込んでいたんだ。
794 :915:2006/02/01(水) 23:10:32.40 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ25〜
吉澤さんに覆い被さった無数の糸が次々と石化していく!
「くッ!!」
その瞬間、吉澤さんは消え、石化したくもの糸は
出現したスピーカーにからみついていく。
吉澤さんはステージ上に立っていた。
「なかなかやるね。
もしもその糸が完全に私に巻き付いていたり結ばれたりしたら
さすがに私だけが移動するってのは無理だったよ。
ほんのコンマ数秒の差だったね」
「ちぇっ、行けると思ったんやけどね・・・・」
れいなは残念そうに言いながらくもの糸の石化を解除した。
「ものを石化する能力か。面白いねえ。
でもそれ以上に面白いのは、
道具を仕込む事によって石化能力を応用させているところだね」
吉澤さんは言った。
「正直に言うとね、人と人とか、容量が似通っているもの同士を
入れ替えるのは簡単なんだけど、容量が違いすぎるもの同士や、
小さすぎるものの場合はちょっと神経使うんでちょっと時間がかかるんだよね。
人間に近い容量のものって案外少なくてねえ、さっきは本当にギリギリだったよ」
吉澤さんはにっこり笑った。
831 :915:2006/02/02(木) 20:57:01.25 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ27〜
「道具ば用意するっちゅうのは最近始めたんったい。」
美貴の方をちらっと見たれいなはステージに近づきはじめ、
スカートのポケットをポンポンと叩いた。
「他にも色々用意しとぅよ」
そう言うとれいなはポケットから何かを取り出した。
「これは風呂敷なんやけどね、広げて防御に使ったりするんたい」
れいなが風呂敷を広げるとたちまち石化して石の盾ができあがる。
「それッ!!」
れいなは突然石化した風呂敷の盾を吉澤さんの方向に投げた。
「おっと」
反応した吉澤さんに生じた隙を見逃さず、D・エレジーズは飛びかかる。
「小細工!」
吉澤さんはそう言うとあわてずに4m先に立っている美貴と入れ替わる!
美貴は反射的に、石化の盾を払いのけると、
さっきから手に持っていたコーラで出来た石の槍を
飛びかかってきたれいなに水平に向ける。
れいなはさっきと同じように槍に手を添えて
その反動で吉澤さんに再び飛びついた!
そして、れいなはまたもやくもの糸を繰り出す!!!
「同じ手を!!!」
吉澤さんは今度は読んでいたのだろう、
あわてずに美貴と再び入れ替わった。
832 :915:2006/02/02(木) 20:57:56.47 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ28〜
「入れ替わりましたね」
美貴はくもの糸を頭にかぶりながらにやっと笑った。
「えッ?」
吉澤さんが戸惑った表情を見せたその時、
吉澤さんは頭から何かがかかるのを感じた。
「これはッ??????」
「入れ替わる瞬間、コーラの槍を元に戻したんですよ!!!
言い忘れたけれど、美貴の能力は物を5分前までの状態に戻す能力!!
そして・・・・・・ッッッッ!!!!!!」
元々この槍は、コーラをシェイクして、ペットボトルの口から
まるでシャンパンのように直線上に飛び出た状態を
石化させた状態だったものだったんだ。
美貴は吉澤さんが美貴と入れ替わる寸前に
槍を立てた状態で手放して、美貴に倒れてくるようにしてから
満月の流法で元に戻していた。
833 :915:2006/02/02(木) 20:58:27.91 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ29〜
元に戻ったコーラは再び一定距離まではじけ出したあと、
重力にしたがって地面に落ちる途中に
吉澤さんの身体を直線上に濡らす。
その長さ、2m以上・・・・・・!
「デュエル・エレジーズ!!!!!!!」
身体を急転させたD・エレジーズの差し出した拳の先が
近くまで飛んできていたコーラの先端に空中で触れた。
その途端、コーラは空中でメキメキと石化していき、
吉澤さんをつかんで離さない石の拘束具に変わる・・・・・・・・・・!!!
「しまッッッッッ!!!!!!!」
「チェックメイト・・・・・・・・・!!!」
石で身動きとれなくなった吉澤さんのあごを
D・エレジーズの拳がチョンっと触った。
896 :915:2006/02/03(金) 22:42:18.38 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ30〜
「アンタたち、良いコンビだよ、まったく・・・・・・・。
おかげでこっちはびしょぬれだ・・・・・・・・・・・・」
吉澤さんはコーラで濡れた服や頭を拭きながらぼやいた。
あれから石化を解除したら、当たり前の様に吉澤さんはコーラまみれになった。
「美貴がいつまでもコーラの槍を手放さない意味を
れいなが理解してくれて助かりました。
まあ、吉澤さんも相当修羅場をくぐってきたようですが
美貴たちもそれなりに場数を踏んでいますんで・・・・・」
美貴は吉澤さんを見ながら言った。
「ふ〜ん、相変わらずだねえ・・・・・・」
「相変わらず?」
「そう、相変わらず。演劇部がね。
それより、市井紗耶香に聞きたい事があるって言ってたね。
何が聞きたいのさ?」
「あ、あぁ。そうですね。
市井紗耶香さんの居所を教えて欲しいんですよ」
「いや、だから何を聞きたいのかって聞いているんだよ」
吉澤さんは頭をタオルでゴシゴシしながら言った。
897 :915:2006/02/03(金) 22:42:44.35 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ31〜
「えッ?」
「まだ気づいてないの?」
「もしかして・・・・・・・・・・・」
美貴とれいなは思わず顔を見合わせた。
「市井紗耶香は私だよ」
「えぇッッッッッッッッッッ!!!!????」
美貴は、今更ながら梨華ちゃんが言ったスタンド使いの法則の話を思い出した。
でもまさか人捜しして最初に聞いた人が本人だったとは・・・・・・・・。
「えぇ?やけん、吉澤さんって呼ばれて・・・・・・・」
れいながびっくりしながら質問する。
「市井紗耶香は結婚する前の名前って自分たちで言ってたじゃん。
旦那の名前が吉澤直樹って言うんだよ」
吉澤さん、いや、市井さんはあきれたような顔をして言った。
「うちの旦那がここを利用してるんでね、
そのツテで私もバイトさせてもらっているの」
「ただいま帰りました〜」
ちょうどその時、美貴たちが入ってきた時に出て行った男の人が帰ってきた。
「お、ちょうどいいや。
私、これから昼ご飯食べに行くからアンタたちもついてきなよ。
私も貧乏だからおごる金は無いけどね」
市井さんは美貴達にそう言った。
32 :915:2006/02/04(土) 19:57:40.75 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ32〜
10分後、美貴たち3人は近くのファーストフード店にいた。
「で、聞きたい事って何?」
市井さんはコーヒーに砂糖を入れながら美貴に聞いてきた。
「3年前、何があったかを教えて欲しいんです」
美貴は緊張しながら切り出した。
「3年前・・・・・・・・・・」
市井さんの顔がこわばる。
「実は、3年前に演劇部とやりあった鈴木亜美が栄高に転校して、
栄高卒業生の浜崎あゆみと一緒に演劇部に宣戦布告してきたんです。
鈴木亜美は3年前の復讐だって言っていますけど、
それだけじゃないと思うんです。
だから、いったい3年前は何が目的でやりあったのか、
何があったのか、少しでも情報が欲しいんですよ・・・・・・」
美貴は一気に切り出した。
「そう、あの鈴木亜美がね・・・・・・・・・・・。
一つこっちからも聞くけどさ、なんで私に聞こうとしたの?」
「よっすぃ〜・・・、吉澤ひとみが今は部長なんですけど、
彼が自分は当時の事は何も知らないし、
安倍さんたち先輩も話したがらないだろうから
市井さんに聞けって言って・・・・・・」
「へぇ〜、よしこが今部長なんだ」
33 :915:2006/02/04(土) 19:58:10.96 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ33〜
「「よしこ?」」
美貴とれいなは思わず声をそろえた。
「そう、よしこ。女子演劇部に異例で男が入ってきたし、
彼ってそこらの女の子よりよっぽど美形だったからね、
みんなでからかってそう呼んでたんだよ」
「へぇ〜」
これは良いこと聞いたなあ・・・・とちょっぴり思った。
「よしこもずるいな」
ん?ずるい?
「まぁいいや。何から話そうかな・・・・・・」
市井さんは切り出した。
「少し前にね、スタンド使いの王を名乗る男がいたの」
「スタンド使いの・・・王?」
「『D』って呼ばれていたらしいよ。
『D』は世界中からスタンド使いを集めて何かをたくらんでいたらしい。」
「はあ・・・・・」
「『D』の正体は百年以上生きた吸血鬼だって言われてるんだけどね」
「吸血鬼・・・・」
れいながぼそっとつぶやいた。
34 :915:2006/02/04(土) 20:00:08.97 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ34〜
「『D』は10年程前に死んだらしい。旅のスタンド使いの一団に倒されたんだって」
「その死んだ『D』と演劇部にいったい何の関係が?」
「まあ落ち着いて順に聞きなよ。
『D』のスタンド能力は『世界』を支配する能力だったって言われているけど、
本当の恐ろしさはスタンド能力じゃなくて圧倒的なカリスマにあったんだ」
「カリスマ・・・・・・?」
「そう、ヒトラーに従う兵隊のような気持ち!
邪教の教祖にあこがれる信者のような気持ち!
そのカリスマで部下を集めまくったんだって。
で、『D』のカリスマ性に魅入られて、
『D』の活動を資金面で援助していた一人が
当時の小室学園の理事長、小室哲哉だったの」
「小室学園の・・・・」
「小室哲哉は色白の不健康そうな顔で、
本人も吸血鬼だって説もあるんだけどね。
それはともかく小室は『D』の遺志を継ごうとしたのかもね、
『D』のようにスタンド使いを集めようとたくらんだのよ。
で、演劇部の持っていた『弓と矢』を盗んだ、と言う訳」
「じゃあ演劇部は・・・・」
「小室の野望を防ごうとしてね。
みんな、それが正義だって信じていたから」
35 :915:2006/02/04(土) 20:00:44.74 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ35〜
美貴には少々意外だった。
演劇部ってもっと怪しいのかと思っていたから・・・・・・
ただ、寺田のおっさんの真意は『弓と矢』を
取り返したかっただけかもしれないし、
少なくともあのおっさんをこれで信頼するのは間違いだよな。
「ともかく、小室哲哉は悪の意志で『弓と矢』を使って
スタンド使いを増やしまくった。
『弓と矢』を取り返して、小室を倒すまで戦いは数ヶ月かかったよ」
「その小室哲哉ってのは今どうしてるんです?」
「ギリギリでトドメを刺す前に逃げられた。
今は大阪に潜伏しているらしいけど、もう今更何も出来ないだろうって」
「当時の事情はなんとなくわかってきたけれど、
まだ何かありそうだなあ・・・・・・。
浜崎あゆみはどういう関係だったんです?」
「浜崎はね、アイツが何を考えていたのか未だに誰もわかんないんだよ。
元々、寺田先生とは旧知の間柄だったらしいんだけど、
うちと小室学園の間を渡り歩いて引っかき回したんだ。
『弓と矢』が盗まれたのも、浜崎あゆみが
一枚噛んでいたに違いないって主張する部員もいたしね」
36 :915:2006/02/04(土) 20:01:41.10 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ36〜
なるほど、と思いつつなんか釈然としなかった。
もしそれが本当なら、浜崎あゆみは当時も今も何がしたいんだろう?
『矢』の欠片を手に入れた事でスタンド使いを増やす事は可能なはずだ。
だから3年前のような『弓と矢』の奪い合いじゃないはず。
『D』とか小室ってヤツのマネをしようとして、
将来目の上のたんこぶとなりかねない
演劇部をつぶしにかかっているのかな・・・・
「じゃあ、なんでよっすぃ〜や梨華ちゃんを含め、
当時の部員は3年前の事をしゃべりたがらないんですか?
今までの話を聞いていると別に何も不都合があるとは
思えないんだけど・・・・・・・・・」
「みんなね、ある出来事を境に気を遣って、
できる限りこの話はしないようにしていたからね・・・・・・・。
本当はよしこも石川も何一つ知らないはずだったんだ。」
「気を遣って?誰にですか?」
「私と後藤真希に、ね・・・・」
美貴は、突然本人の名前を出されてすごく気まずく感じた。
「そうなんですか。す、すみません・・・・・・」
127 :915:2006/02/05(日) 11:37:40.52 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ37〜
「良いよ、気を遣わなくても。
ここまでしゃべったんだから全部教えてあげる。
私はね、途中で演劇部を脱落したんだよ」
「脱落?」
「とある作戦で失敗してね。再起不能になったんだよ。
今でも日常生活には影響ないけれど
闘ったり無理したりは出来ない身体になったのさ」
「そんな、あれだけ・・・・・・・」
「だってアンタたちを攻撃なんて一度もしなかったでしょ?」
確かに・・・・・・・・・・・・。
でもあれで闘えないって言うなんて、
この人の本来の実力は・・・・・・・・・・・・・・・・
これが演劇部設立時のメンバーってヤツか?
「その作戦って・・・・?」
「結構戦況が不利でこっちも怪我人が続出していてね、
でも向こうは『弓と矢』でスタンド使いを増やし続けていた。
そもそもが私たちの当面の目的は『弓と矢』を奪還することだったからね、
そこで現状打破のためにも私が小室学園に潜入して
『弓と矢』を奪い返すって作戦を決行したのさ。
私のスタンド、『CUBIC-CROSS』の能力はまさにうってつけだったんだよ」
128 :915:2006/02/05(日) 11:38:14.11 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ38〜
「結果は・・・・・・・・?」
「取り返す事は成功したんだけど、小室学園から脱出する寸前で捕まってね。
みんなが駆けつけた時には私はサンドバッグ状態だったんだよ」
「そんな・・・」
「『弓と矢』だけは意地でも手放さなかったんだけどね。
で、駆けつけたみんなの中に真希がいたんだよ」
「ごっちんが?」
「私、真希と幼なじみなんだよ」
「聞きました。家が近くだったとか・・・」
「うん、私は両親が離婚して父親がいなかったし、
真希も父親を事故で亡くしていてね、境遇が似たもの同士って事もあって
真希とは姉妹同前だったんだよ。
それで、真希も私を追って演劇部に入ろうとして、
そこで真希がスタンド使いだってわかってね。
真希も正義感強い子だったから、小室との戦いの中で急成長してたんだけど・・・・」
「そのごっちんが何を?」
「ボロボロになった私を見てあの子キレちゃってね・・・・・・・・
私が気がついた時には敵味方かまわず真希のスタンドが巻き起こした
暴風によって倒れていたんだよ。あれは凄惨な光景だったなあ・・・・・・・・・」
「そんなことが・・・・・・・」
129 :915:2006/02/05(日) 11:39:15.76 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ39〜
こんこんが言っていた、ごっちんのバーサーカー状態って
このことだったんだな。
「死人まで出しちゃったからね。
それで真希を怖がって結構な数の部員が演劇部を辞めちゃったし、
実際、真希も私を救えなかった事と自分が無意識とは言えやった事で
そうとうトラウマになっていてね。
残った部員も真希に気を遣った事に加えて
私がやられたのを自分たちの作戦ミスだって悔やんでいた事も重なって
あの事件の事は誰もしゃべりたがらない雰囲気ができあがってしまったんだよ。
『弓と矢』を取り返してからすぐによしこや石川らが入部したんだけど
うちも小室学園も真希の事件で戦力はほとんど残っていなくて
結局なっちと鈴木亜美の一騎打ちで終結しちゃったからさ。
彼女らが詳しい話を知らないのはそのせいさ」
なるほど。でも・・・・・・・
「さっき、よっすぃ〜や梨華ちゃんが知らないはず、って言いましたよね?」
「いくら黙っていても、すべてを隠し通すのは無理だからね。
よしこは真希のトラウマは知っていて当たり前だったし、
そうなると話がつながっているから私の事も聞いていただろうさ。
だから当の本人に許可を得ろって意味で
私に話を聞けってアンタたちに言ったんだろうね」
よっすぃ〜が「ずるい」ってのはそういう意味か。
「知っていて当然?」
「あ、知らないんだ。まあ一応本人らは隠してるつもりだったからね。
みんな黙ってるだけでバレバレだったけど。だってさあ・・・・・・・・・」
130 :915:2006/02/05(日) 11:40:12.97 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ40〜
「「えぇ〜ッッッッッッッッッ!!!!!!!!????????」」
美貴とれいなは今日一番びっくりした。
「ちょ、み、美貴姉ッ!!!!!!」
れいなが美貴の肩をバンバン叩く。
「こらっ!痛いちゅうの!!」
「だって、だってェェェェェェェェェ!!!」
「オマエはこの程度で何騒いでんだッ!」
「んなこと言ったって!!きゃあ〜!!!!!」
「何顔真っ赤にしてんだよ、このお子ちゃま!
だから未だにトゥルトゥルなんだよ!!」
「ちょっ!!れいなはぼーぼーたい!!」
とか言いつつ、美貴もかなりあわてふためいている。
いやあ、マヂびっくりした・・・・・・。
美貴はいろんな意味でのショックで軽くめまいを覚えた。
131 :915:2006/02/05(日) 11:41:24.39 0
銀色の永遠 〜田中れいなは荷物がかさむ41〜
「で〜、やられっぱなしだけど、ど〜すんの〜?」
「既に手はうちました。
向こうの裏をかきます」
「あ〜、そう。次は失望させないでよ〜」
TO BE CONTINUED…
市井紗耶香
スタンド名:CUBIC-CROSS