441 :915:2006/01/09(月) 20:19:56.16 0
銀色の永遠〜紺野あさ美は友人をたしなめる@〜






             「・・・ちゃん・・・、・・いちゃん、ごめんね・・・・」




483 :915:2006/01/10(火) 21:58:36.11 0
銀色の永遠〜紺野あさ美は友人をたしなめるA〜

しまった、寝てしまっていたみたい。
うげ、もう閉館時間じゃん。
あ〜あ、もうあきらめた。あややにでも写させてもらおうっと・・・。
ミキティに比べたらやってる確率高いだろ・・・・。

しっかし、何のために冬休み明け早々、
放課後に図書館にこもったのかわからないな。

まあ、冬休みの宿題をちゃんと休みの間にやらなかった上に
今からやろうとして結局図書館で爆睡こいていた自分が悪いんだけどね。
数学の授業は明日も無いし、明後日の3限までになんとかすれば・・・

そう思いながら図書館を出ようとして、手洗いの前で立ち止まった。
手を綺麗にしてから本を読めって事で、
うちの学校の図書館はドアの近くに水道と鏡が備え付けてある。

あ〜あ、ほっぺたに時計の跡ついてるや。
鏡を見て私はほほのあたりを気にする。

あれ、化粧が崩れてる。目もはれぼったい。
私、泣いてたのかな・・・・・・・・。
最近はあんまりあの夢見なくなっていたつもりなんだけど、もしかして・・・・

そう思った時だった。
窓の外の方で小さな爆発音がした。
遠くの方で何かが上空で爆発したようだ。

爆発、かあ・・・・・。
また演劇部かな。あいつら・・・・・・・・・。


484 :915:2006/01/10(火) 21:59:02.35 0
銀色の永遠〜紺野あさ美は友人をたしなめるB〜

「あ〜、わかった。まぁみんなには気ぃつけるようゆっといて。
 うん、なんかあったらコッチから指示するから。
 とりあえずこちらから手ぇ出す必要はないし、
 今まで通りにしてたらええわ。うん、ほなな」

ピッ

「うちの部長からや。連中が襲って来たけど撃退したやって。これで2連勝や」
「ふっ、つくづく君は変わった男だな」
「ん?なんでや?」
「だってそうじゃないか。3年前、君を裏切った女と
 君に苦い思いをさせた連中の残党が手を組んだんだろ?
 せっかく3年かけて修正出来て、もうすぐだというのに、
 今後の展開によってはまた一から計画を練り直す必要が出てくるじゃないか。
 それなのになぜそんなに悠長に構えている?
 むしろ楽しそうにすら見えるのだが・・・・」
「はは、ええか?
 神様はな、試練を乗り越えられる人間にしか試練を与えへんのや。
 って、神父はんに神様の事言っても釈迦に説法やな。
 あれ?神父にお釈迦さんの話しても通じんか?
  じゃあ馬の耳に念仏、ってますますおかしくなったやんけ・・・」
「やっぱり君は変わった男だよ・・・・」


485 :915:2006/01/10(火) 22:00:18.67 0
銀色の永遠〜紺野あさ美は友人をたしなめるC〜

「はい、わかりました。
 それでは失礼します・・・・」

ピッ

浜崎あゆみと鈴木亜美が去ったあと、
ミキティを捕まえて改めて今日の事を謝った。
不愉快な思いさせたし、後のフォローも部長の勤めだぜ。

で、ミキティと別れたあと、寺田のおっさんに報告していない事を思い出して
電話で今日の事を一通り報告した。

さあ、すべて済んだし、俺も帰るか・・・
そう思ったそのときだった。

!!!!!!!!!!

殺気を感じて、本能的に身をかがめた!

ドゴドゴドゴドゴドゴドゴゴゴゴッッッッッッッ!!!

すさまじい音を立てて、後ろのブロック塀がボロボロになる。
これは!!

「何のつもりだッ!!」
俺は電信柱の陰に立っている人影に叫んだ。
「また操られているのか?麻琴ォォォォ!!!」


544 :915:2006/01/11(水) 22:52:18.11 0
銀色の永遠〜紺野あさ美は友人をたしなめるD〜

普段のアホアホ顔からは想像出来ない怖い顔をしながら
小川麻琴が目の前に出てきた。
やはりFRIEDSHIPのベアリング攻撃か。

「その顔は操られてるとかじゃないみたいだな。」
「全部避けるとはさすがッスね。殺気読まれてましたカ?」
「おっと、会話が成り立たないアホが一人登場〜
 質問文に対し質問文で答えるとテスト0点なの知ってたか?マヌケ」
「ワタシは納得してないって事ッスよ」
「納得?」
一瞬意味がわからなくて聞き返した。

「ミキティを助けるのと今後とは別って事ッスよ。
 何で見ず知らずのヨソの高校の連中と理由もないのにやり合わなきゃいけんだヨ?
 この演劇部、おかしすぎるんだヨ!!!」
「だから俺がまだ何か隠してる、力ずくで聞き出そうって訳か・・・・」
麻琴らしいな・・・・・。心の中でちょっと笑った。

「さすが2年の吉澤先輩!物わかり良いじゃねえか」
「別に何も隠してるつもりはないけどな・・・。だからって、
 たとえ女相手でも闇討ちされて、はいそうですかって笑顔で
 返答出来るほど人間出来ているわけでもなくてな・・・・」
「まぁ、一度は部長様とはやり合わなくちゃと思っていたしなあ。
 ちょうど良い機会だゼ!!」


545 :915:2006/01/11(水) 22:53:29.77 0
銀色の永遠〜紺野あさ美は友人をたしなめるE〜

お互いのスタンドが近距離でにらみ合う。
マトモにやりあってどちらも無傷で済むほど麻琴のスタンドもやわじゃない。
だけど・・・・、俺だって部長だ。
組織は守らなきゃいけない・・・・!!!

「oioioioioioioioioioioioioioioioioioioioioioiッ!!!!!!!!!」

!!!!!!!!!!!!!!!

気がつくと目の前に麻琴がいた。FRIENDSHIPのラッシュ!
あわててMr.ムーンライトで防御する。
防御態勢のまま俺はふっとばされた。

いや、自ら吹っ飛んだんだ!ダメージはゼロ!!
一旦空いた距離を麻琴が詰めてくる。
これが『神速』ってヤツか・・・・。
話には聞いていたけれど、実際なんてスピードだよ・・・

「逃げんなヨォォォォォォォォ!!!!!!!!!!」
麻琴が迫ってきた。

ドゴッ!!!!!!!!

ふっ、俺がただ防御するだけだと思ったか?
ちゃんと「衝撃」は生み出しておいたんだよ!!!
見えない衝撃はオマエを確実に・・・・・って、えっ???





546 :915:2006/01/11(水) 22:55:58.82 0
銀色の永遠〜紺野あさ美は友人をたしなめるF〜

FRIENDSHIPは俺が蹴り出した衝撃をしっかりガードしていた。
「何ィィィィィ!!!!」

「先輩ヨォ〜、ワタシだって研究してるんだゼェ〜?
 そんな単純な軌道じゃさすがに防御出来ますゼ」
麻琴が不敵に笑った。

「ちっ、さすがだな・・・・」
「そろそろ本気出してくださいヨ、先輩ヨォ〜?」
「こいつ〜、都合の良いときだけ先輩って呼びやがって」
俺はそういって笑った。
「オマエだって人のこと言えないだろ。そっちこそ本気だせよ」
「せっかくだから楽しみたいじゃないッスか」
「俺、麻琴のそういう所好きだぜ」
「愛の告白ならもうちょっとロマンティックな所でお願いしますヨ!!」
「心配すんな、それは絶対に無い」
「ひっで〜、乙女心を傷つけやがって」
「乙女心主張するならもうちょっとおしとやかにしろってんだ。」
「ほっといてくださいヨ〜」
「冗談はこれくらいで良いだろ?
 そろそろガチでやろうか・・・・」


547 :915:2006/01/11(水) 22:56:41.14 0
銀色の永遠〜紺野あさ美は友人をたしなめるG〜

そういって改めてにらみ合った。
お互いが攻撃するタイミングを狙っている。
そのときだった。

ドゴーンッッッッッッッッ!!!!!!!

なッ?????????????

ドグシャアーッッッ!!!!!!

気がつけば俺は何メートルも後方に吹っ飛んでいた。
なんだ、今のは・・・・・。
麻琴のスタンド?
いや・・・・・・、麻琴も同じくらいの距離を吹っ飛んでいた。

そして俺と麻琴を挟んで真ん中に立っているのは・・・・


575 :915:2006/01/12(木) 20:53:31.31 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめるH〜

「二人とも、頭を冷やしてください」
そう言ってこの緊迫した場面に
いつものようなのんびりした声で言ったのは・・・・・

紺野あさ美!!!

ばかな・・・、いつの間にィィィィ!!!!

そういや、俺も他の部員も、
こんこんのスタンド「ニューオーダー」の能力だけは知らないんだよな・・・。
さくらおとめでやり合った時も結局一人だけ誰ともやり合わなかったし。
指令で「しゅう」と闘った時も最後まで
特別なスタンド能力を見せる事は無かったと報告を受けている。

今のがニューオーダーのスタンド能力なのか?
部の資料には「空間を操る」とだけ自己申告されているが・・・

「麻琴も吉澤さんも、今は部員同士でやりあっている時じゃないでしょう?」
こんこんがもう一度冷静な声で言った。

「邪魔すんじゃネェェェェェ!!!!!!!!!」
起きあがった麻琴がいきり立って俺にもう一度飛びかかろうとした。


576 :915:2006/01/12(木) 20:53:59.23 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめるI〜

「麻琴」
諭すような声でこんこんが麻琴を見た。
なんだよ、こいつ。おとなしそうな顔と声で変な威圧感持ちやがって・・・・

「誰が吉澤さんとやりあえって言いました?」
いつもの落ち着いた口調でこんこんが言う。
「ご、ごめん・・・・。つい頭に血が上って・・・」
仲が良いとは聞いているけれど、あの麻琴を押さえつけるとはな・・・・・・・

「なんだ、喧嘩止めてくれるのかと思ったけど
 その言い方ってことは、こんこんは麻琴の味方かよ」
「味方って言い方は語弊がありますけどね、
 でも吉澤さんからもっと話を聞きたいって点では麻琴と一緒です。
 それにしても部員同士無駄な闘いは避けなきゃいけない時期なのに
 部長自らやりあってどうするんです?」

「ふぅ・・・・」
俺はため息をつくと、Mr.ムーンライトを引っ込ませた。
「oi?」
麻琴が拍子抜けした顔をした。

「わ〜ったよ。聞きたい事あったら何でも答えてやるよ。
 でも本当に俺が知ってる事なんて何も無いぞ?」
確かに無駄な闘いだよな・・・。こんこんにはかなわないや。

「立ち話も何だし、そこのサテンでも行くか?
 あ、でもおごらないからな」


577 :915:2006/01/12(木) 20:54:45.99 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめるJ〜

「で、何が聞きたいんだよ?」
「まず、演劇部と小室学園の間に3年前何があったかです。
 それと鈴木亜美のスタンド能力について。
 向こうのスタンド能力を知っておく事は必要不可欠です」
サテンで俺と麻琴はコーヒーを頼んだんだけど、
こんな時に、しかもこれから帰って晩飯って時間に
パフェなんて頼むこんこんってやっぱり変だよな・・・・

「鈴木亜美に限らず、当時の対戦相手の能力は
 部室に資料があるはず。それを読んでおけよ。
 それと何があったかは言った通りだよ。3年前、俺が中2の時だけどさ、
 うちの演劇部と小室学園の鈴木亜美らとの間で抗争があった。
 一時は演劇部が壊滅しかけるまで追いつめられたけど、
 安倍さんと入ったばかりの後藤らのがんばりで最終的に勝利したって。
 そうそう、例の浜崎あゆみ、アイツも何か関係あったらしいけどな」
「関係?」
「当時先輩連中の会話の中でよく名前が出てたよ。詳しくは知らない。
 でも先輩連中は浜崎の事を怒っていたよ」
「抗争の理由は何です?」
「だから知らないって。俺が入部したときには既に終わりかけだったし」
「oi!正直に・・・」
「麻琴、黙っていて」
「ホントだっちゅうの。ウソだと思うなら石川に聞いてみろよ。
 アイツも俺とほぼ同時期に入部してるからさあ」

「石川さんには既に聞きました」
「あ、そう・・・・」
「3年前の件については箝口令が敷かれているそうですね」
「箝口令って大げさだな」
俺はちょっと笑いながら言った。石川らしいや。


578 :915:2006/01/12(木) 20:56:17.76 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめるK〜

「先輩連中が誰もしゃべりたがらないだけだよ。
 しゃべっちゃいけないって雰囲気が出来ていたのさ」
「吉澤さんは気にならないのですか?」
「誰だって話したくない過去はあるだろう?そういう事さ・・・」

そう、触れられたくない過去は誰にだってあるさ・・・・

「それと関連して前から気になっていたんですけどね・・・」
「何が?」
「吉澤さんと石川さんが入部した時って同期は二人だけだったんですか?
 当時からの部員って吉澤さんと石川さんしかいないんですよね」
「確かに柴ちゃんとか、他の高2の連中は高校入学とかだからなあ。
 実は俺たちとおなじ頃に入ったのが一つ下の学年に二人いたんだけどね、
 そいつらもちょっと色々あってね・・・・・・。
 でもこの4人は本当に何も知らない。当時はまだ戦力外だったし」

「今の部員数に比べると、当時はかなり人数少ないですよね」
「いや、それなりに人数いたらしいよ。
 ただ、小室学園との闘いの中で結構部員が減っちゃってさ、
 それで廃部寸前まで追いつめられてたんだ。
 俺たちが入部させられたのはその補充。
 でも実際には俺たちが実戦で使える様になる前に
 カタがついちゃったんだけどさ」
「へぇ〜」
「俺たちより前に後藤真希が入部してるんだけど、
 その時はまだ部員を取捨選択する余裕があったんだ。
 ほら、倖田來未なんかその一人さ」
「あぁ、それで倖田來未は後藤さんを恨んでたとかって話でしたよね」

「うん、実はな・・・、後藤って、天然なんだよ・・・・」


616 :915:2006/01/13(金) 22:31:49.15 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめるL〜

「天然?」
「『弓と矢』じゃないってこと」
「え?中学の時にスタンドが発現したって聞いてたけど・・・」
「天然の連中だって小さい時からスタンドを使えてたってわけじゃないさ。
 後藤の場合も中学の時に自分のスタンドを知って、使えるようになったんだ」
「そうなんですか・・・・」

「だから後藤は優先的に入部させられたんだ。小春と同じパターンってわけ。
 そうそう、二人ともさぁ、一次試験受けただろ?」
「はい」
「ワタシはいきなりだったけどナ・・・」
「本当はさ、一次試験って無意味なんだ」
「無意味?」
「『矢』で突き刺す事が大事だから、無意味って言ったらおかしいけどさ、
 ただ、試験って言うけど本当は誰も落ちないんだ。
 一次試験落ちたヤツの話って聞いたことあるか?」
「そういや無いですね。試験に落ちるって死ぬって意味ですよね。
 この学校って確かに行方不明や転校扱いが多いけど
 『弓と矢』で死んだって報告は聞いたこと無いですね」
「『弓と矢』ってさ、『意志』を持っているんだってさ」

「「意志?」」
二人、声かぶってるよ・・・


617 :915:2006/01/13(金) 22:32:27.82 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめるM〜

「そう、意志。一見、部員になりたいって言ってきた生徒を
 寺田のおっさんが『弓と矢』を試しているように見えるけど、
 本当は『弓と矢』自身がスタンド能力の才能を持つ人間を選んでいるんだって。
 だからこんこんや麻琴が『矢』で射抜かれたのも『弓と矢』の意志であり、『運命』なんだよ」
「だから『矢』に射抜かれた地点ですでに合格は決まっていたと・・・」
「そういうこと」
「何が言いたいんです?」
「スタンドの才能を持っている人間は数に限りがあるって事さ。
 3年前の闘いでかなりの部員が辞めていった。
 それくらい激しい闘いだったって事だ。
 でも、俺たち4人が入るまで補充はなかった。
 いくら寺田のおっさんや演劇部が部員を増やしたくても
 『矢』が選ぶ気を起こさないって事は、
 当時はもう才能を持っている人間が学内にそんなにいなかったんじゃないかな?」

「じゃあ、最近寺田の野郎が急に部員を集めてるのは・・・」
麻琴が急に身を乗り出してきた。
「3年の間に新しい学生がたくさん入ってきた。
 分母が増えたからスタンドの才能を持っている学生も当然増える。
 って言うのは俺の推測だけどな。
 この3年は才能ある人間が増えるのに必要な時間だったんだよ」


618 :915:2006/01/13(金) 22:33:31.49 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめるN〜

俺はコーヒーを口にしてから続けた。
「なんか話がそれちゃったな。
 とりあえず俺が知ってるのはそれくらいだよ。
 なんで小室とやり合ったのかなんて理由は知らない」
「誰に聞いたらわかるんです?」
「まずは安倍さん。でもあの人に聞いてもダメだ」
「なんで?」
「さっきも言っただろ?先輩連中しゃべりたがらないんだ。
 それに安倍さんに限らず今の高3は実質演劇部の設立メンバーでさ、
 寺田のおっさんとは当時から苦労を一緒にしてきたからな。
 特に麻琴、オマエが寺田のおっさんを信用してない事はバレバレだよ。
 ヘタなこと言ったら安倍さんにぶっとばされるぜ?」
「な〜に、そん時は・・・」
「オマエ、安倍さんの真の恐ろしさ知らないんだよ。
 だいたい、あの人今は受験の真っ最中だぜ。
 今週も東京まで試験受けに行ってるよ。
 本人も言ってるけど、安倍さんってかなり勉強は苦手だけど
 子供は好きだからな。さすがに今回ばかりは必死だぜ。
 まぁ、他の先輩連中も状況は一緒だろうな」

「じゃあ後藤さん?」
「それが出来れば世話無いけどね・・・・」
「それもダメかヨ?」
「アイツ、高校1年の時にちょっとした理由でいきなり部を辞めてさ。
 それ以来演劇部とは極力関わらない様にしてきたからな・・・」

ちょっとした理由、か・・・・。自分の言葉に一瞬自己嫌悪を感じる。


619 :915:2006/01/13(金) 22:34:25.21 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめるO〜

「麻琴、こんこん」
「何だヨ、改まって?」
「3年前、一番傷ついたのは真希・・・後藤だったんだと思うんだよ」
つい、真希と言ってしまって、あわてて言い直した。

「後藤さんが?」
「肉体的って意味じゃなくて、精神的にな・・・・」
そういって俺はカバンから手帳を取り出した。

「人間、誰かを頼らなければ生きていけないんだけどな・・・・」
そう、真希は立て続けに3人の頼らなければならない人間を
別々の形で失ったんだ・・・・・・・

俺は腕を伸ばしてこんこんのパフェを持った。
こんこんがびっくりする。


620 :915:2006/01/13(金) 22:35:05.70 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめるP〜

「ちげーよ」
こんこんってやせてるくせにホント食い意地張ってるよなあ・・・
そう思いながら、俺はパフェをどかせて、その下に敷いてあった
喫茶店の紙のコースターを取ると、
その裏に手帳を見ながら名前と住所を書き写し始めた。

「後藤さんに何があったんです?」
「ちょっと待てヨ、こんこん!後藤さんの事より今は小室や栄米大の事を・・・」
「そうだな、今は後藤の事よりも3年前の話だ」
俺は書き終わったコースターを二人に差し出した。

「当時の部員の一人だ。
 彼女なら3年前の事をしゃべってくれるかもしれない」
「市井・・・・・・紗耶香・・・・・・」
こんこんがコースターに書かれた名前を読んだ。

「オマエらが何を知って、どう判断しようが俺は知ったこっちゃねえよ。
 俺は部長だし、演劇部を守るために闘うだけだしな」


621 :915:2006/01/13(金) 22:36:00.56 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめるQ〜

俺は・・・、真希のトラウマの理由を知っている。
それがこの二人が知りたがっている「過去」とある程度は関係している事も。
でも・・・それは、他人に勝手にしゃべって良い話じゃない・・・・・。

なのに、俺は市井紗耶香と二人を会わそうとしている。
今更彼女を引っ張り出そうとして、俺はどういうつもりなんだ?

自分が言いたくないからって、他人にしゃべらせる気か?
俺って、最低だな・・・・・・・・・・・・・・・・・

「吉澤さん?」
「あ、あぁ。とにかく俺が知ってる事は本当にそれくらいだ。
 俺だって教えてほしいくらいなんだからな。
 期待してるぜ、お二人さんよ・・・・」

そう言って俺はコーヒー代を置いて、席を立った。




「なんかはぐらかされたような気がするけどヨオ〜
 とりあえず明日その市井ってヤツに会いにいくカ?」
「ねえ、麻琴・・・・」
「ン?」
「男の人って、どういう時に泣くんだろ?」
「ハァ?」
「吉澤さん、席を立つ時泣いてなかった?」
「ははっ、まさカ・・・」


10 :915:2006/01/15(日) 17:19:25.76 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめるR〜

翌日、私と麻琴は授業が終わるとその足でコースターに書かれたマンションに赴いた。
「305、305号室・・・・・」
部屋番号を見ながら順番にドアの前を通り過ぎる。

「ここだ。あ、やっぱり・・・・」
「oi、どうしたヨ?」
「うん・・・・・・・・・・・」

私は麻琴に答える前にとりあえず呼鈴を押した。

ピーンポーン、ピーンポーン

乾いた電子音がむなしくこだまする。

「留守かヨ?」
「ううん、ここ、空き部屋みたい・・・・・」
「マヂかヨ?」
「うん。入り口の郵便受けにはチラシだけがいっぱいだったし、
 ほら、表札も外してあるでしょ?」
「じゃあ吉澤さん、ウソ教えたのかヨ?」
「引っ越した事を知らないだけかもね」

そこへ、両手に買い物袋を持ったおばさんが通りかかった。
隣の部屋の人のようだ。
「アンタたち、この家になんか用?」
「あ、こんにちは。私たち、市井さんに用事があって来たんですけど・・・」
「市井さんならちょっと前に引っ越したよ。
 市井さん、早い内に離婚して女手一つで二人の子供を育てていたんだけどね、
 ようやく再婚出来たっていうんでね」


11 :915:2006/01/15(日) 17:20:11.96 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめるS〜

「その子供って、紗耶香さんですよね?」
私はおそるおそるその名前を出してみた。
「アンタたち、紗耶香ちゃんの知り合い?」
「はい。紗耶香さんの中学時代の部活の後輩なんです。
 直接お会いした事は無いんですけど、
 昔の事でお聞きしたい事があったんで・・・・」

「あぁ、その制服はぶどうヶ丘だね。
 紗耶香ちゃんなら引っ越しするずいぶん前に家を出て行ったよ」
「そうなんですか?」
「紗耶香ちゃん、せっかく中高一貫に行ったのに結局高校に進学しなくてねえ。
 しかも16歳で出来ちゃった結婚しちゃったんだよ。
 その旦那っていうのがミュージシャン目指すとか言って
 定職にもつかずにバンド活動やってるらしくて」

「はあ・・・・」
「当たり前だけど市井さんも結婚を大反対してねえ、
 紗耶香ちゃん、結局家を飛び出しちゃったんだよ。
 経緯が経緯だから、市井さんもあんまり
 紗耶香ちゃんの事はしゃべりたがらなかったし、私も詳しい事は知らないのよ」


12 :915:2006/01/15(日) 17:20:46.14 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめる21〜

「紗耶香さん、どこに住んでおられるかわかりますか?」
「さぁ〜、S市とは聞いてるけどね。
 市井さんも新しいご主人が自衛隊って事で転勤も多いから
 今は九州の方の官舎に住んでいてね。
 でも紗耶香ちゃんとは縁を切ったって言ってるから
 たとえ電話しても紗耶香ちゃんの居場所を教えてはくれないと思うよ」

「そうなんですか・・・。ありがとうございました」
私と麻琴はおばさんに頭を下げて、その場を去ろうとした。

「あ、そうだ。アンタたち」
「はい?」
「市井さんね、再婚するまでは夜遅くまで働いてたから
 毎日、子供達の晩ご飯を用意出来なくてね・・・・」
「はあ・・・」
「それで、近くの仲良かった居酒屋に頼んで
 紗耶香ちゃん姉弟は小さい時から
 いつもそこで晩ご飯を食べさせてもらっていたのよ。
 そこの子が紗耶香ちゃんと歳が近くて仲も良かったから、
 そこに行ったら何かわかるかもしれないわよ」
「それはどこですか?」
「ほら、あそこに商店街見えるでしょ?
 あの中の『袋田の滝』って店なんだけどね」
「わかりました。尋ねてみます。ありがとうございました」


52 :915:2006/01/16(月) 22:43:19.72 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめる22〜

「な〜んか望み薄そうだナア〜?」
麻琴がため息をついた。
「ぼやいていても仕方ないでしょ」
私と麻琴は市井さんの住んでいた隣の部屋のおばさんにお礼を言うと
その足でマンションから見えていた商店街に入った。

「ほら、あのお店だね・・・・。あれ?」
向こうから同じ制服を着た女の人が歩いていた。
「あれ、アンタたち・・・・」
先に声をかけたのは向こうだった。

「こ、こんにちは、後藤さん・・・・・・」
まさか、こんなところで後藤さんに会うなんて・・・・

「アンタたち、こんなところで何してるポ?」
「ワタシたち、ひ・・・」
「クラスの友達がちょっと病気で休んでるんで、
 プリントとか色々届けに来たんです」
私は麻琴の言葉を遮って、とっさにウソをついた。

「ふ〜ん、おつかれさんだねえ〜」
「いえいえ。でも後藤さんこそこんなところでどうしたんです?」
「こんなとこって・・・・・
 ここ、ごとーんちなんだけど・・・・・・」

後藤さんが指さした先には、『袋田の滝』と書かれた看板があった。




53 :915:2006/01/16(月) 22:43:50.87 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめる23〜

「振り出しだね」
「振り出しだネ」
麻琴と私は商店街の肉屋で買ったコロッケを食べ歩きながら同じセリフを言った。

「やっぱり、後藤さんに直接聞いた方が早いんじゃネエ?」
「じゃあ麻琴聞いてよ」
「ヤーだヨ!あの人、ワタシが操られた時、
 マヂで殺そうとしたらしいんだゼ?
 元エースだけあって、そうとうヤバイらしいジャン!!」
「天下の小川さんにしては珍しく弱気だね」
「やっぱ、操られてたとはいえ、一度ボロ負けしてるじゃん?
 本能があの人と闘うのは辞めとけって言ってるんだヨ!」
「本能じゃなくて野生の勘じゃないの?」
「あ〜、その言い方ひっでぇ〜」
「しかし、市井紗耶香と後藤真希は幼なじみ・・・かあ・・・」
「そういうことになるナ。しかしこれからどうするヨ?
 市井紗耶香の手がかりってS市に住んでるってだけダロ?
 しかも結婚して名字が変わってるだろうし、お手上げだゼ?」
「それなんだけどね、まだ時間もあるし、とりあえずS市に行ってみない?」
「oioi、S市って人口何万人だと思ってるんだヨ?」
「バンド活動やってるって言ってたでしょ?
 それを手がかりにしようと思って」
「それも難しいんでナイカイ?
 ライブハウスをしらみつぶしに回るつもりカイ?」
「それくらいやらなきゃいけないかもしれないけどね、
 とりあえずS市の駅前にあるライブハウスに行って聞いてみようよ。
 噂くらいなら拾えるかもしれないし」
「まあ、何にもやらないよりマシか。それよりヨ・・・・」


54 :915:2006/01/16(月) 22:44:25.09 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめる24〜

「それより・・・・だね」
私はコロッケの最後の一口を食べ終えて言った。
「ワタシは『神速』があるけどよ、こんこんはどうヨ?」
「一瞬なら姿を見えにくくする事は可能なんだけどね・・・」
「oioi、そんなステキな事出来んのかヨ!
 あ、昨日ワタシと吉澤さんをぶっとばした時も・・・」
「でも長時間は出来ないし、あくまで空間をゆがませて
 視界を見えにくくするだけなんだよね・・・・。
 それにここって地元じゃない?
 地の利は向こうにあるからねえ・・・・」
「逃げようったって無駄かヨ・・・・」
「そういう事だね」
「かといって話しあいに応じてくれる相手でもなさそうだけどネエ・・・
 だいたい、偽物のブギトレにやられた腕の怪我大丈夫かよ?」
「大丈夫って言いたいところだけれど、
 ただでさえ手加減して勝てる相手じゃなさそうだから微妙だねえ・・・」
「やっぱり、一応話しあいに応じてもらえるか試してみるカ・・・・・・・・・」
「結局そうなるね。最初っからこうすれば良かったのかもね。
 慣れないウソはつくもんじゃないね・・・・・」

そう言って私と麻琴は足を止めた。
そして、ゆっくりと後ろを向く・・・・・・・・・


55 :915:2006/01/16(月) 22:45:11.06 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめる25〜

「杜王町ってね、1980年代前半にS市のベッドタウンとして急速に発展したんだけど
 町の歴史自体は古くてね、昔はお侍さんの別荘とかもあったんだって」

そう言いながら女の人が歩いてきた・・・・

「その別荘ってのがこのあたりらしくてね、
 杜王町の中では割と昔からの町並みが残っているのよねえ・・・
 だから昔からここに住んでいる人が多いんだよ。
 あ、あそこのマンションは別だけどね・・・・・・」

私と麻琴は身構える・・・・

「おまけにうちって商売やってるからさ、結構近所の事詳しいのよ。
 だからさ・・・・・・・・・・・、
 このあたりでぶどうヶ丘に通っている高1なんて聞いたことないんだよね」

そう言って、足を止めた。

・・・・・・・・・・・・・後藤真希!!

「アンタたち、ごとーの家を探ってどういうつもり?」
「偶然ですよ」
本当に偶然なのかな?私は自分の言葉に疑問を持った。


56 :915:2006/01/16(月) 22:46:03.93 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめる26〜

「探している人がいて、ここで聞けって言われたのが
 たまたま後藤さんのお家だったんですよ」
「内容次第では生かしちゃおけないけど?」

「こんこん・・・・」
麻琴がこっちを不安そうに見る。
そんな目で私を見ないでよ・・・・・

「市井紗耶香さんという方を探しているんです」
私は意を決して言った。

その途端・・・・・・・・・・・・!!!!!!

ビュオオオオォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!

「うッッッッッッッ!!!!!!」
麻琴と私は猛烈な風に吹き飛ばされそうになり、とっさに踏ん張った。
何この、どす黒い、でも悲しそうな風は・・・・!

「いちいちゃん・・・・・・・・
     いちいちゃん・・・・・・・・・・・
         いちいちゃん・・・・・・・・・・・・・・」

な、何?なんか後藤さんの様子が・・・・

「いちいちゃん・・・・おねえちゃん・・・・よっすぃ〜・・・・・・・」

え?今なんて?

「みんな・・・・・みんな・・・・・・・・いなく・・・・・・・・」


108 :915:2006/01/17(火) 21:55:32.89 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめる27〜

「アアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!」

ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!

後藤さんの絶叫とともに、
後藤さんを中心に激しい竜巻が発生したッ!!

い、いくら人通りが無いからって、これじゃあすぐに人が来るのに
何を考えてるんだ、この人は・・・・・!?
いや!違う!

この人は・・・・何 も 考 え て い な い !!!!!

「こんこん!なんか様子が変だゾッ!!!」
「見たらわかるって!!」

なんていうか・・・これは・・・・暴走だ!!!!!

このままじゃ周りに被害が・・・・・!!
いや、その前に私たちが危ない!!
「麻琴!サポートしてッ!!!!」
私はニューオーダーと一緒に突っ込んだ!

「ちょっ!!!!!!
 サポートってッ!!!!!!!!!!」
麻琴はあわてながらも風を切り裂いてベアリングを打ち込んだ!


109 :915:2006/01/17(火) 21:56:13.77 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめる28〜

本能的にゴシップ・セクシーGUYの槍がベアリングをはじき返す。
その一瞬、隙が生じる・・・・・・!!!

そして私は・・・・・



「グギャッッッッッッ!!!!!!!!」
人と思えない叫び声とともに後藤さんが吹っ飛んだ!
それとともに竜巻は消え去る・・・・・・

「こ、こんこん・・・・!今何を!?
 あの竜巻に突っ込めるとわヨ・・・・!!!」
「話はあと!!!」
私は倒れている後藤さんに対して身構える。

「ふぅ・・・・・・」
後藤さんがため息を一つついてから身体を起こした。
「後藤さんッ!!!」
「おかげさまで正気に戻ったポ・・・・」
そう言いながら後藤さんは立ち上がった。

ふう、とりあえずは・・・・・・
「目ぇ、さましてくれてありがと。ごとーの悪いクセなんだよね・・・。
 まだめちゃくちゃやっちゃう前で助かったよ・・・・
 これで安心してアンタたちをぶちのめせるね」


110 :915:2006/01/17(火) 21:57:12.13 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめる29〜

「じょ、状況変わってねエエエエエエエ!」
麻琴が頭を抱える。
「後藤さん、何故ですか!?私たち、アナタと闘う理由が無いですよ!!」
「いちいちゃんに近づこうとするアンタたちを生かしておけないポ」
「何がですか?私たちはただ・・・・」

その時だった。目の前に一台の車が止まった。
この車は・・・・・・!!!!!!!!



「oi!こんこん・・・・、あれは・・・・!」
「ねぇ麻琴、今日の運勢どうだった?牡牛座は○だったんだけど・・・」
「へっ、ワタシが見た番組では残念ながらさそり座は12位だったヨ」
「じゃあ麻琴のせいね」
「安心しろイ、牡牛座が11位だったから」
「何よそれ。やっぱり番組によって違うんだね」
「11位と12位だからナ、そりゃあ運勢最悪だゼ」
私と麻琴は強がりで軽口を言い合った。


111 :915:2006/01/17(火) 21:57:49.35 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめる30〜

「竜巻が見えたからもしかして〜って思ったら、
 なんか面白い事になってるねぇ〜」
そう言いながら運転席から出てきたのは・・・浜崎あゆみ!!

「家探す手間が省けて良かったですね」
同じく助手席からは鈴木亜美!!

「浜崎・・・・・・・、鈴木・・・・・・・・・・・・・」
後藤さんが今まで以上に怖い顔で二人をにらむ。

「久しぶりね、ゴマキ」
鈴木亜美が後藤さんに言う。
「ゴマキ言うな!!」
「だってゴマキの方が言いやすいじゃんよ」

「oioi、こんこん。アイツらワタシ達を無視してるぜ?」
麻琴が耳元でささやく。
「相手されたい?」
「・・・・・・・。無視で結構」


112 :915:2006/01/17(火) 21:58:29.56 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめる31〜

「アンタら、何の用よ!それに、その制服・・・・!!!」
「あれ、その二人から聞いてない?」
鈴木亜美が私たちの方を指さす。
「私ね、栄米大付属に転校したのよ。
 で、浜崎さんに力を貸してもらう事になってね。
 せっかくだからアンタにも挨拶しとこうと思って。
 家がこの近くとは聞いていたけれど
 こんなに簡単に見つかるとはね」
「鈴木ィィィィィィ!!!!!!!!!」
その言葉を聞いて、また後藤さんの周りに風が渦巻く!

「アンタ、演劇部辞めたんだってね。
 すっかりふぬけになったんじゃない?
 3年前はもっとすごかったじゃない。
 ほら、あのときは・・・・」
鈴木亜美が後藤さんを挑発した。あのとき?

「それ以上口を開けば殺すゥゥゥゥ!!!」
後藤さんがそう言いながら、鈴木亜美に襲いかかった。
「ゴシップ・セクシーGUY!!!!!!!!」
「ふっ・・・、AROUND THE WORLD!!!!!!!!」
鈴木亜美が、いかにも近距離型っぽい、
黒地に金のラインの入ったスタンドでG・セクシーGUYの槍を受け止めた!


113 :915:2006/01/17(火) 21:59:27.31 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめる32〜

「今日は挨拶に来ただけなんだけどなあ・・・。
 まあ、アンタと直接やり合うのは初めてだよね。
 あのときから、一度はアンタとやり合いたかったんだよね・・・」
「その話はするなああァァァァァァァ!!!!!!!」

さっきから「あのとき」って・・・・
3年前、何があったんだろ?

いや、それよりも・・・・

「麻琴!今の内に逃げ・・・!!!」
「そんな〜、逃げるなんて感じ悪いよね〜。
 せっかくだから見ていったらどお〜?」
私が麻琴を促して逃げようとすると、私たちの背後に
浜崎あゆみが腕を組んで立っていた。
いつの間に・・・・・!!

どうする・・・・・?
いっそのこと、麻琴と二人で浜崎あゆみをここで倒す?
いや・・・・・、今は無理だ・・・・・。相手の実力も能力もわからない。
それに私は年末に操られた麻琴にやられた怪我はようやく治った所だし、
その上から大塚愛に軽傷とはいえやられたから、決して万全じゃない・・・・・
麻琴だってまだ100%じゃないだろう。


114 :915:2006/01/17(火) 22:00:02.23 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめる33〜

ここは・・・・・、浜崎あゆみの提案に乗るべきかな・・・・
私は今日の昼休み、部室で読んだ資料の事を思い出す。
「鈴木亜美」と書かれた項目にあった記載内容、
あれが本当ならやばすぎる・・・・・・・・・
3年前、安倍さんはどうやって勝ったんだろう?
後藤さんも知ってるはず。ここは観察するべきか・・・・
いや、果たして今の後藤さんに冷静な判断が出来ているのだろうか?

「オオオォォォォォナイィィィィロオオオォォォォォォォォンンンン!!!!!!」
後藤さんの絶叫とともに、
G・セクシーGUYが激しい風を巻き起こしながら
鈴木亜美のスタンドに再び襲いかかろうとした!

鈴木亜美が不敵に笑う。この余裕は・・・・!!

「かつて・・・・・・『D』と呼ばれる男がいた・・・・・。
 その男のスタンド能力は、『世界』を支配するにふさわしい能力だった・・・・・。
 そして、『D』のスタンドから名前をもらった私の『AROUND THE WORLD』も・・・・
 『D』と同じ属性を扱う能力・・・・・・!!!!」


149 :915:2006/01/18(水) 23:36:34.10 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめる34〜

「ここらへんじゃなかったっけ?」
「そうそう、すごかったよなあ〜」
「あれ、真希ちゃんだ。お〜い、真希ちゃん、
 今さっきこのあたりで竜巻起こってなかった?」

突然の声に後藤さんの動きが止まる。
やはり、さっきの後藤さんが巻き起こした竜巻を見てだろう、
近所の人たちがわらわらと集まってきた。

「あ〜あ、邪魔入っちゃったね。あみーゴ、今日は無理みたいだね〜」
浜崎あゆみが言う。
「ちっ!」
鈴木亜美も舌打ちして、スタンドを引っ込める。
「まあ、演劇部をぶっつぶすのが先だしね。
 でも安倍もアンタも、倒すのは私だからね!」
そう言って鈴木亜美は車に乗り込んだ。
「みんな、じゃあね〜」
鈴木亜美が車に乗ったのを確認すると
私達をバカにするような言い方をしてから
浜崎あゆみも車に乗り込んで、そして去っていった。


150 :915:2006/01/18(水) 23:37:06.09 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめる35〜

鈴木亜美の目的は復讐のはず・・・・・・
だけどそれは演劇部に対してなのか、
当時痛い目にあった安倍さんや後藤さんら、
当時のメンバーに対してなのか、そこら辺が不明瞭だなあ・・・と思ったけど、
今は・・・・それよりも・・・・!!

後藤さんは私たちが知らない「町娘としての顔」をするために動く事が出来ない。
「そ、それじゃあ、私たちも失礼します!後藤さん、また明日!!」
私は今だ!とばかりにそう言うと麻琴の手を引っ張って走り出した。

「あ〜、なんかすごかったねぇ〜。後藤もびっくりしたポ。
 あ、ゲンさん、良いところで会ったね。いい加減店のツケ払ってよ〜」
「うわあ、真希ちゃんにはかなわないなあ・・・・」

後藤さんって、いくつ「顔」を持っているんだろう・・・・・・・
背中越しに後藤さんの声をかすかに聞きながら、私達はその場を走り去った。


151 :915:2006/01/18(水) 23:37:35.52 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は友人をたしなめる36〜

「これからS市行く?」
「今日はもう疲れタ・・・・・」
修羅場を逃げ出して、一息ついた私達は歩き始めた。

「運勢最悪だもんね」
「お互いナ・・・・・。
 でも明日から後藤さんにマークされるカモ・・・・」
「確実に私達二人は目をつけられたよ」
「どうするヨ?」
「逆にチャンスなんじゃない?
 後藤さんのスタンドは集団を巻き込むタイプじゃないから
 人目につくところにいる限りは襲われないでしょ。
 で、私達を後藤さんが見張っている間に
 別の人に市井紗耶香について調べてもらいましょ」
「そんなこと引き受けてくれるヤツいるかヨ?
 そんなことしてないで見つかるかどうかわからない人間探すよりも
 よっすぃ〜を締め上げようゼ。
 アイツ、絶対まだ何か隠しているヨ。」
「まぁ無理だろうね。たぶん、隠しているというより、
 話す決心がまだついていないんでしょう。
 吉澤さん自身がしゃべり出してくれるにはまだ時間かかるだろうね」
「へ?」
「あくまで予想だよ。
 それよりも引き受けてくれる人、一応心当たりあるから当たってみるよ」



TO BE CONTINUED…