4 :915:2006/07/18(火) 21:31:58.76 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる@〜

〜矢口真里〜
01/22/2000(SAT)
08:30

S市に住んでいる亀井をのぞく1,2年の高校生部員と
中学生のうち、S市の演芸コンクールに参加する
田中、道重、久住が学校前に集まっていた。

「よし、全員そろったわね」
部長代行の梨華ちゃんが校門前でみんなを見渡した。

「それじゃあ作戦を確認しておくね。
 A班は私、ミキティ、絵梨香、唯ちゃん、みうな。
 B班は愛ちゃん、こんこん、麻琴、ガキさん。
 A班は自転車で、B班はバスでそれぞれ移動。
 自転車はちょっと距離あるけれど全員で移動するわけにもいかないし辛抱してね。
 目標は杜王港そばの栄米大施設、ゼミナールハウス。
 襲撃目標はB棟2階研修室、だよね?こんこん」

「はい、浜崎あゆみ名義で今日の夕方まで利用申請が出されています」
紺野が梨華ちゃんに返事した。

「了解。情報によると、昨日の晩、浜崎あゆみは
 4人部屋の宿泊ルームを二部屋借りたそうよ。
 でもどうもそのうちの一部屋は浜崎一人が使っていたみたい。
 残りの一部屋に鈴木亜美と、桃子ちゃんにやられた若槻千夏と考えると残りは二人。
 敵は多くても残り4人と推測されるのよね」
「向こうもあんまり人残ってないみたいだなあ」
ミキティが腕組みしながら言った。



5 :915:2006/07/18(火) 21:33:05.02 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じるA〜

「もちろん、あくまで昨日泊まったのがこの人数って話だから
 まだ他にもいるかもしれないし油断は禁物だけどね。
 到着したらまず遠くから私と唯ちゃんで
 管理のスタッフを操るなり気絶させるなりで排除。
 みんなもくれぐれも浜崎一派以外の一般人に不必要な危害は加えないようにね。
 あとはA班が正面突破。B班は裏手から逃げようとする敵を追撃ね」

アバウトな作戦だなあ。大丈夫かよ、梨華ちゃん・・・・。
まあ、オイラは知ったこっちゃないけどね・・・・・・・・・・・。

そうこうしているうちに部員たちはそれぞれ移動し始めた。
残された田中、道重、久住の3人は校舎に向かった。
おそらくコンクールに使う小道具とかを取りに行ったんだな。
他の中学生部員は午後から観覧希望者だけ集まってS市に向かうらしい。

さて、オイラはどうしようかなあ・・・・・。
実は栄高のスタンド使いがさっきから双眼鏡で
みんなの様子をじっと見ているんだけどなあ。
連中の狙いが何かしらないけど、明らかに裏かかれそうだよねえ。

かといっていちいち忠告するのもおかしいしな。
別に寺田先生から手助けしろとか言われてないし、
梨華ちゃんたちとの接触はしたくないし。まぁお手並み拝見と行きますか・・・・・。



6 :915:2006/07/18(火) 21:34:03.15 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じるB〜

〜鈴木亜美〜
08:45

「うん、うん。わかった。とりあえずボアはコンクールに参加する連中を尾行して
 連中が電車に乗ったらまた電話してきて。
 そこからこっちに到着する時間を計算するから」

ピッ

「うまくだまされたみたいですよ」
私は助手席から運転中の安室さんに向かってにやっと笑った。

安室さんとのつきあいは長い。
3年前、ぶどうヶ丘の安倍たちと当時小室学園に在籍していた
私たちがやりあっていた時、安室さんは高3だった。
スタンド使いとしては超一流だったけど、
いかんせん何かに熱中するというタイプでも無かったし
受験を理由にあまり協力してくれていなかった。

だけどスタンド使い同士は引かれあうという法則からか、
安室さんは栄米大に入学、そこで同じ学部になった浜崎さんとつるむようになったので
こうして元小室学園同士、一緒に闘う事になったのだ。

「連中は杜王港の方に向かっているんだね?」
「はい、ゼミナールハウスがもぬけの殻とも気付かずにね。
 そしてあわててコンクール会場に来た時には
 参加している4人の憐れな姿を見る事になるんですよ」


7 :915:2006/07/18(火) 21:34:43.47 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じるC〜

昨日、千夏が中2の嗣永桃子に負けたけれど、その嗣永を
浜崎さんはわざと逃がした。
ぶどうヶ丘演劇部の連中なら杜王港近くのゼミナールハウスを襲撃してくるだろう。
その裏をかいて、演劇部の連中がそっちに向かっている間に
同じ日にコンクールに参加する連中を倒してしまう。
連中があわてて駆けつけた頃には・・・・という作戦だ。

今朝、私は安室さんの車でゼミナールハウスを出てS市に戻った。
一方、昨晩から『D』の娘が誰かを調べていた浜崎さんは
何かをつかんだらしく、韓国人留学生のボアと一緒に杜王町に留まる事になった。
ボアは演劇部の連中の動向をリサーチしたあと、
浜崎さんと再合流してそっちの作戦に従事することになっている。

「問題はその4人でしょ。どうなの?」
「田中れいなと亀井絵里にうちの連中が一人ずつやられていますけど
 私と安室さんなら問題ありませんよ」
「ホントは自分一人でも充分だと思っているでしょ?」
「まあね・・・・。でも参加の4人はともかく、
 そのあと高校の連中が来たときに私一人じゃさすがに骨ですしね。
 少しでも楽に闘いたいですよ」


8 :915:2006/07/18(火) 21:35:13.26 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じるD〜

「で、作戦は?」
「作戦なんて別にこれと言ってありませんけど、
 文化ホールの手前に神社があるんです。
 その敷地内ならあまり人も来ないし、そこにおびき寄せてやっちゃいます。
 連中が文化ホール前のバス停で降りた時に
 田中れいな辺りなら私を見れば脊髄反射で追ってくるだろうし、
 田中が追ってくれば他の連中もついてくるでしょう」
「なるほどね。もう10分ほどで文化ホールに着くけれど、
 その子らはこれから学校を出るって話だし
 それから杜王駅に行って電車に乗ってS市駅、
 さらにバスって考えたら30分くらい余裕あるね。
 とりあえずは喫茶店ででも時間つぶすか」
「そうですね・・・・」

こうして、私と安室さんは文化ホールが近づいたところで
喫茶店に入り、そこでボアからの電話を待った。



9 :915:2006/07/18(火) 21:35:57.85 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じるE〜

09:30

しかし、ボアから田中たちが杜王駅からS市に向かったとの
連絡が入ったのはさらに30分以上経ってからだった。

「ずいぶんゆっくりしているね・・・」
「参加者は午前中に舞台でのリハーサルの時間が割り当てられているんですけど
 ぶどうヶ丘演劇部は10時半からって話ですし
 まあ間に合う時間と言えばそうなんですけどね。
 でもそうなると不安なのはゼミナールハウスに向かった連中ですよ。
 もしももぬけの殻ってわかって田中たちにケータイで連絡していたりしたら
 もしかしたらこちらの狙いがばれるかも・・・」
「それは大丈夫でしょ。バスで向かった連中もいるって話だけど、
 ぶどうヶ丘高校から杜王港まで直通のバスは無いから
 杜王駅で一度乗り換えなきゃいけないし、杜王港行きのバスって
 本数少ないからまだ到着もしていないでしょ。
 とりあえず10時前に文化ホールで張ればOKね」

安室さんの言葉に私は頭の中でいろいろ計算してみた。
たしかに、まだ連中はゼミナールハウスに向かっている時間でもおかしくないな・・・。

「まあ、どっちみち全員倒すんだから一緒ですね」



10 :915:2006/07/18(火) 21:36:38.56 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じるF〜

09:55

文化ホール前のバス停が見える位置でバスが来るのを見張る。

「もうそろそろですね・・・・・・」
私は時計を見てから安室さんに言った。

その時だった・・・・・・・・・。

ブワワワワワァァァァァァァァァァァンンンンッッッッ!!!!!!!

聞き慣れた、「時空間が開いた音」がする!!!!!

「なッッッッッッ??????」
「アミーゴ????????」
安室さんもびっくりして私を見てきた。

パシッッッッッッッ

空間に、見慣れた私の「AROUND THE WORLD」の腕が出現し、
私の首筋近くで拳を握った。

いや、何かを捕まえたんだ・・・・・・!!!!


11 :915:2006/07/18(火) 21:38:04.80 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じるG〜

プチッ

未来から出現したATWは拳に力を入れて
つかんだ何かをつぶすと手を開いて私に見せてきた。

これは・・・何かの種?

「アミーゴ!あそこッ!!!!」
安室さんが指さしながら叫んだ方向を見ると、
そこには女子高生が3人立っていた。

私はぶどうヶ丘演劇部の資料を頭の中に思い浮かべる・・・・。
アイツらは・・・・・・・・

三好絵梨香、岡田唯、斎藤美海!!!!!!!

ってことは、さっきのは岡田のハイドレインジャか!!!!!!!

「なんでてめえらがここにいるんだああああッッッッッッ!!!!????」
私は叫びながらも、あとで慌てないようにと、
時空間にATWの手を突っ込んで、
数秒前の私を襲おうとしたハイドレインジャの種子をつかんで
さっきの行動を終了させておいた。


11 :915:2006/07/20(木) 23:03:40.58 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じるH〜

〜斎藤美海(みうな)〜
09:56

「やばい!ばれてもうたわ!!!!こっち見とる!」
「ちっ、あれが鈴木のスタンドか・・・。噂通り厄介なスタンドみたいだな!!」
岡田さんと三好さんが言った。

「隣の女も仲間みたいやね」
「ふん、二人だろうが三人だろうが関係無いね。
 ヤツが一人じゃないってのは分かり切ってたし。
 でも唯の奇襲も念のためやったことッッッッ!!!
 私のシーズン・オブ・ディープレッドで二人とも溶かしてやるッッッッッ!!」
三好さんはそう言いながら鈴木亜美の方向に向かおうとした。

「ちょ、ちょっと待ってくださいよッ!」
私はあわてて三好さんを止める。
「私たちの仕事は鈴木亜美を神社境内に誘導することと、
 仲間がいれば引き離す事ですよ!?
 両方相手するとは・・・・」
「勝てば良いんだよ、勝てばァァァァ!!!」
三好さんは私を無視して二人の方向に歩き始めた・・・・・。



12 :915:2006/07/20(木) 23:04:27.69 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じるI〜



てっきり杜王港近くの栄米大の施設に襲撃をかけるものと思っていた私達に
S市の文化ホールに向かうように石川さんが言ったのは
杜王港に行く途中、杜王駅まで来たときだった。

私達が学校前に集まる直前、ギリギリまで情報収集しようと
栄米大ゼミナールハウスの駐車場の管理システムを
ハッキングしていたこんこんが
8時過ぎに2台の車が出て行った事実をつかんだ。

こんこんの情報を聞いて石川さんはこれは浜崎側の罠だと直感したらしい。
桃子ちゃんを自分たちの居場所がわかるように逃がしておいて、
当の本人たちは移動して現場はもぬけの殻。
連中はどこに行こうとしている?

石川さんらは安倍さんから聞いていた鈴木亜美の性格などから
鈴木亜美の狙いがコンクールに違いないと推測、
部員を絵里ちゃんたちの護衛に回すことを決断した。
で、敵をだますには身内からって事で
ギリギリになってからみんなに指示を出してきたってわけ。


13 :915:2006/07/20(木) 23:05:39.13 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じるJ〜

実際、れいなちゃんたちの出発を遅らせて、
彼女たちより先に私達が現場に着いて
連中を出し抜くようにという石川さんの作戦は当たったと思うんだけど、
一つだけ石川さんの指示で納得出来ない事がある。

それは・・・・・
石川さんと藤本さんだけが杜王町に残った事。
いや、言い方を変えると三好さんと唯ちゃんの二人と
石川さんが別行動を取るということ。

しかも、その二人と私だけがチーム組まされてる。

案の定、三好さんは打ち合わせ無視しようとしてるし・・・・・・。


60 :915:2006/07/22(土) 01:05:27.78 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じるK〜

〜藤本美貴〜
09:30(少し時間さかのぼって)

「本人には電話してあるし、家から出るなって言ってあるから
 まだ大丈夫でしょ。ちょっと休憩しましょ」
という梨華ちゃんの提案でコンビニの前で休憩している時のことだった。

「もうみんなは文化ホール前でスタンバってるかなあ?」
梨華ちゃんが時計を見ながらのんきそうにつぶやいた。

「なあ梨華ちゃん、聞きたい事があるんだけどさ・・・・」
美貴はジュースを飲みながら梨華ちゃんに質問した。

敵の裏をかいて、みんなをS市の文化ホールに向かわせたあと、
美貴と梨華ちゃんだけは電車に乗らずに
そのまま自転車で杜王町内を北上し始めた。

昨晩、もう一度情報を洗い直していたら
愛理ちゃんから先日の闘いについて重要な話が出てきた。
そこから推測するに、どうやら桃子ちゃんが狙われた本当の理由は
栞菜ちゃんと間違われたかららしい。


61 :915:2006/07/22(土) 01:06:01.46 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じるL〜

「何?」
「連中の狙いが絵里やれいなたちってのはまあわかる話だよ。
 梨華ちゃんよく読めていると思う。
 あと、浜崎あゆみは別の狙いがあるって話もね。
 でもなんで部長代行の梨華ちゃんが向こう行かないんだよ?」

「鈴木亜美がコンクールを狙っているというのも
 浜崎あゆみが別行動するだろうって言うのも、
 情報収集の結果から推測して対処しているわけだけど、
 正直なところあくまで推測でしかないでしょ?」
「まあね」
「こっちの方が推測に自信がないから向こうに戦力を割きたかったの。
 それに言い方は残酷だけど、狙われているのがこっちは一人に対して、
 向こうは四人じゃない?」
「それはわかるけどさあ、梨華ちゃんは代行とは言っても演劇部の総大将だぜ?
 やっぱり向こうに行ってみんなに指示を出すべきだったんじゃない?」

「それはよっすぃ〜に頼まれていたからよ」
「よっすぃ〜?」
「誰が次期部長にふさわしいか見極めてくれって」
「その為には自分が現場にいない方が良いと?」
「まぁそんなところ。もうすぐ今年度も終わるし、
 来年度になったらまたすぐに新入生入ったり
 新しい部長選んだりしなきゃいけないでしょ?
 だからみんなにやらせてみようと思ってね」


62 :915:2006/07/22(土) 01:07:01.09 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じるM〜

「なるほどねえ・・・」
「ミキティには悪いと思ってるわよ。
 こっちに浜崎あゆみが来る可能性高いし、
 しんどい闘いになると思うから」
「それは別に良いよ。どっち行っても強敵だろうし。
 でもさ、もう一つ納得出来ない事があるんだよ。
 別に美貴が仲が悪いから言うわけじゃないけどさ・・・」

「絵梨香の事?」
「うん。アイツ、梨華ちゃんの言うことしか聞かないぜ?
 向こうは向こうでチームワーク必要なのに大丈夫かよ?」
「ミキティの言う事ももっともだけどね。
 でも栞菜ちゃんの事を考えたら
 絵梨香をこっちに連れてくるわけにはいかないよ。
 私も栞菜ちゃんが何故狙われているのか、
 寺田先生が教えてくれないからわからないけど
 いくら入ったばかりとは言えかわいい後輩だし、
 演劇部の仲間なんだから守ってあげなきゃいけないでしょ?
 それに誰にだって秘密にしておきたい事はあるんだし」
「確かに三好はそれじゃあ納得しないわなあ・・・・。
 よく言えば一本気なんだけどさ。
 場合によっては栞菜ちゃんに攻撃しかねないしな、アイツは・・」
「うん、絵梨香はマジメなだけなのよね。
 でも大丈夫よ。絵梨香と唯ちゃんにはみうなを一緒にしているから」
「みうな?」


69 :915:2006/07/25(火) 23:34:15.35 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じるN〜

〜斎藤美海 〜
「勝てば良いんだよ、勝てばァァァァ!!!」
三好さんはそう叫ぶと鈴木亜美ともう一人の女に向かって走り出した。

すると、二人はすぐ近くの神社の方に向かって逃げ始めた!

「逃すかよッ!!」
三好さんは怪焔王の流法で血管針を繰り出す!

「三好さん、落ち着いてくださいッ!
 ここじゃ他人の目につきます!
 向こうもそれがわかっているから神社に逃げようとしているのに・・・」
「他人なんか関係ないんだよ!どうせスタンドも見えないんだしッ!!!
 だいたい、なんでせっかくの獲物を他人にやらなきゃならないんだよおッ!!!」
私の言葉に三好さんは反論しながら血管針をのばす。
どうも今回の作戦が気に入らないらしい・・・・・・・。

と、その時だった。

鈴木亜美と一緒にいるもう一人の色黒の女が
足を止めてこっちを向いた。
そして人型のスタンドを出現させる!!!

「何?」
私たちがその女のスタンドを見ると、
敵スタンドは手から何かをとばしてきた。


70 :915:2006/07/25(火) 23:34:49.48 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じるO〜

あれは・・・・ベアリング弾???
まこっちゃんと同じ?

「はあッ!?なんだそのなまっちょろいのはアアアッッッッッ!!!!!」

そう、まこっちゃんと同じ攻撃方法。
でも摩擦がないという能力を生かしている分、
まこっちゃんのベアリング弾の方が威力もスピードも上。

私も、三好さんも唯ちゃんもそう思った。

敵がそこまで計算していたのかどうかは知らない。
だけど、私達は「まこっちゃんの方が上」と思ってしまったんだ。

「ふんッッッッッッ!!!!!!」
三好さんはシーズン・オブ・ディープレッドでベアリング弾をはじく。

その瞬間・・・・・・・・・・

「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ァァァァァァァァ!!!!!!!!」

「三好さんッ!!!!!」
「み〜よッ!!!!!」


71 :915:2006/07/25(火) 23:35:26.40 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じるP〜

バリバリバリバリバリバリバリバリバリイイイイイイイイイイイイッッッッッ!!!!!!

バターンッッッッッッッッ!!!!!!!!

雷が落ちたような音と同時に、三好さんは白目をむいて倒れてしまったッ!!

私達はあわてて三好さんに駆け寄る。

「み〜よッ!!!!!」

唯ちゃんが気絶している三好さんを抱きかかえる。

バチッ!!!
三好さんからかすかに電気がほとばしり、
唯ちゃんも真冬に静電気が起こった時のように一瞬びっくりした。

「これは・・・・感電している????」
「唯ちゃん、やばいよ!逃げなきゃ・・・・」

女と鈴木亜美は足を止めて、むしろこっちに迫ってきている。

「てめえらああああああああッッッッッッッッッッッ!!!!!!!」
逆上した唯ちゃんが二人に向かって種子を放出しまくった。

「ふんッ!!!無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄アアアッッッッッ!!!!」
鈴木亜美のスタンドが次々と種子をはじき飛ばす。


72 :915:2006/07/25(火) 23:36:42.91 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じるQ〜

そして・・・・

ドシュウウウウウウウウウウッッッッッッッッッッッッ!!!!!!

鈴木亜美の隣で、もう一人の女が冷静に唯ちゃんに向かって
ベアリング弾を打ち出した・・・・!!!

「唯ちゃん!よけ・・・・・・・」
「う、うわああああッッッッッッッッ!!!!!!」

怒りで我を失っていた唯ちゃんは
気付くのが一瞬遅れたためにベアリング弾を避ける事が出来ず、
三好さんと同じ事になるのがわかっていて
ベアリング弾を手で払いのける事しか出来なかった・・・・・・・。

バリバリバリバリバリイイイイイイイイイイッッッッッッッ!!!!!!

「あがッ・・・・・・・・・・・・・」

ズサアアアアッッッッッッ・・・・・・・・・

さっきのVTRを見ているように、
ベアリング弾に接触した唯ちゃんは感電したあと
白目をむいて気絶して倒れてしまった。


115 :915:2006/07/26(水) 22:23:29.46 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じるR〜

「唯ちゃん!!くっ!!!!」

「さあ、アンタ一人になっちゃったよ」
鈴木亜美がさらに近寄りながら私に言う。

私は無言で二人をにらむ。

あと30秒・・・・・・・・・・・・・・。

二人がまた一歩近づく。
そこで、鈴木亜美が口を開いた。

「そろそろ私達の身体の自由がきかなくなる時間?」

「!!!!!!!!!!!!」

やっぱり・・・・・、石川さんが言っていた通り、
栄高は私達演劇部員のデータを持っている!

だけど・・・・・・・・・

私が口を開こうとするともう一人の色黒の女が先にしゃべり出した。
「『だから何?私のスタンド能力の術中にはまることに変わりはない』
 ってオマエは言う」
「だから何?あなたたちが私のスノー・ドロップの術中に・・・
 はッ!!!!????」


116 :915:2006/07/26(水) 22:23:59.24 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じるS〜

動揺する私に色黒の女がベアリング弾をかざしながら言った。

「自己紹介しとくね。私の名前は安室奈美恵、栄米大の3年生。
 スタンド名は『トライ・ミー』。
 能力は私のスタンドが触ったものを帯電させ、
 そのものに触った相手を感電させること。
 そして・・・・・・・・・・・・・・・・・」

安室奈美恵は手につまんでいたベアリング弾をパッと離した。

ドシュウウウウウウウウウンンンンンンッッッッッッッ!!!!!!

「ああああッッッッッッッ!!!!!!」

ドゴオオオオッッッッッッ!!!!!

ベアリング弾は私が抱きかかえている唯ちゃんの肩に突き刺さった!!

「私のスタンド攻撃を食らった相手は感電すると同時に
 しばらくは身体に磁力を帯びてしまうのよ。
 まあ、感電した地点でほぼKOだから普段は関係ないんだけどね。
 たださあ・・・・・・・・・・・」

そう言いながら安室奈美恵はポケットからベアリング弾を何個も取り出した。


117 :915:2006/07/26(水) 22:24:27.76 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる21〜

「今は私が手に持っているから大丈夫だけどね、
 もしもアンタが私の身体の自由を奪ったら、
 その途端にこのベアリング弾はその二人を問答無用で襲うだろうね」

やられた!!!!!!

二人をロックオンまであと5秒。

4秒、3秒、2秒・・・・・・・。

だけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「くそッ!!!」

私は安室と鈴木のロックオンを中止せざるを得なかった。

「理解したようだね。そしてその目はあきらめて能力を中止した目・・・・・・」
鈴木亜美がスタンドを振りかざして近づいてきた。

「すでにやられている二人をかばって無抵抗でやられるなんて
 バカの考えは理解できないけど、
 遠慮無く演劇部員は始末させてもらうよ・・・・・・・・」

鈴木亜美のスタンドが拳を振り上げた。


148 :915:2006/07/27(木) 23:08:12.50 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる22〜




今だッッッッッッッ!!!!!!!





「スノー・ドロップッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!」
私は能力を発動した!!!

ボゴッッッッッッッッ!!!!
ドヒュウウウウウウウウウウウウウウウウッッッッッッッ!!!!!

「な、何をッッッッッッッッッ!!!!!!??????」
大きな音にあわてて振り向いた鈴木と安室に
大きな岩の固まりが飛んできた!!!

そう、射程距離ギリギリ、神社の入り口付近にある
何かの石碑をロックオンしておいたんだ!
(あとで聞いたところによると、江戸時代、なんとかって言う
有名な俳人がこの場所で読んだ俳句が彫り込まれている歌碑らしい)

「ちいッ!無駄な抵抗を・・・・・・・」
鈴木と安室は多少あわてながらも難なく飛んできた石碑を避けた。
しかし・・・・・・・・・


149 :915:2006/07/27(木) 23:09:04.95 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる23〜

「は〜い、おまたせ〜ッ♪」
大きな石碑の裏にしがみついたから鈴木と安室には見えなかったけど、
私はロックオンする前からしっかりと見ていた。
だから彼女の意図を察したし、二人をロックオン出来なくても次の手を打てたんだ。

そう、石碑と一緒に飛んできたのは・・・・・・



高橋愛ちゃんッ!!!!!



「うおおおおおおッッッッッッッ!!!!!!!!!!
 ライク・ア・ルノアールううううううッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!」

愛ちゃんのスタンドが叩いた石碑は一度凹むと、
威力が倍加されたせり出しは鈴木亜美を一直線に襲った!!!

「くッッッッッッッ!!!!!!!!!」
バシイイイイイイイイイッッッッッッッッッ!!!!!!!!!

鈴木亜美のATWはあわてて腕をクロスさせて
ライク・ア・ルノアールのせり出しを防御した。
しかし、まるでバネではじき飛ばされたおもちゃのロケットパンチのように、
鈴木亜美は神社の方に向かって飛んでいく・・・・・・!!!!!


150 :915:2006/07/27(木) 23:09:32.54 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる24〜

ドガアアアアアアアアッッッッッッッッッ!!!!!!

ギリギリのところで能力を解除して、石碑は私の手前でストップした。

「アミーゴッッッッッッ!!!!!!!」
「おっと、鈴木亜美は向こうでちゃんと相手がいるから、
 お姉さんはあっしらの相手してもらうやよ」

「鈴木亜美のAROUND THE WORLDの弱点の一つは
 タイムスリップした場所にいなければいけないこと。
 つまり、鈴木亜美をどこか遠くに移動させてしまえば
 少なくとも未来から先制攻撃される危険性は無くなるのだ」

そう言いながら、近くに潜んでいたガキさんこと、新垣里沙も歩いてきた。

「お姉さん、安室って言ってたやよね。
 お姉さんの相手はあっしとガキさんでさせてもらうやよ」
「三好さんと唯ちゃんがKOされたのは計算外だったのだ。
 でもそっちはもう一人くらいいるかなと思ってたし
 結局は計算の範囲内なのだ。
 みうな、早く三好さんと唯ちゃんを避難させるのだ!」
「うん!!!」

私は唯ちゃんを肩に担ぐと、
倒れている三好さんをスノー・ドロップに担がせて距離を取り始めた。


8 :915:2006/07/29(土) 00:05:21.45 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる25〜

〜鈴木亜美〜

「うおおおおおおおおッッッッッッッッ!!!!!!!」

ドサアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッッ!!!!!

私はATWに衝撃を緩和させながら地面に受け身を取った。
10メートル以上はふっとんだだろうか・・・・・・。
神社の境内にまでとばされてしまっている。

くそッ!!この鈴木亜美の裏をかくとは・・・ッ!!
忌々しくとばされてきた方向を見ると、高橋愛の他に
もう一人、安室さんに近づいている。
あれは新垣里沙か・・・・・・・・・。

連中をはめるつもりが逆にはめられていたとは・・・・。
ってことは・・・・・・・・・・・・。

ブオオオオオオンンンンンンンンンンッッッッッッッ!!!

バシイイイイイイイイイッッッッッッッッッ!!!!!!

時空間が開く音がして、未来のATWが
私の背後に高速で近づいてきた何かのパンチを受け止めた。


9 :915:2006/07/29(土) 00:05:51.99 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる26〜

「てめえッッッッ!!!!!」
私は現在のATWで未来のATWが受け止めた何かに攻撃する!
相手は手でATWのパンチを払うと一度距離を取った。

「やはりオマエか、小川麻琴・・・・ッ!」

それなら・・・・・・・・

突然気配を感じて私は大きくのけぞった!
間一髪で攻撃を避ける。

その方向に視線をやると、空間が歪んで見えている。
そして段々人の形が現れてきた。

「小川がいるならオマエもいて当然か、紺野あさ美ッ!」

私は頭の中で演劇部の資料を思い出す。
小川麻琴はFRIENDSHIP、ものの摩擦をなくす能力。
一方の紺野あさ美はニューオーダー、
スタンド能力を部員にうらあまり見せる事が無く、
資料が手に入った地点では不明となっていた。
ただ、空間を操る能力らしい。


10 :915:2006/07/29(土) 00:06:28.10 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる27〜

「鈴木さん、私達は争いを好みません。
 それにそちらは『弓と矢』が目的の一つのようですが、
 演劇部の『弓と矢』は先月、不審者が乱入したときに
 その混乱で破壊されてしまいました。
 無益な争いは止めようって気はありませんか?」
「ふんッ!『弓と矢』なんて浜崎さんが固執しているだけで
 私はどうでも良いんだよ!!!
 私の目的はオマエらにっくき演劇部に
 恥をかかせた上で廃部に追い込む事!!!
 そして、安倍なつみを引きずり出して3年前の恨みを晴らす事!!
 今更手打ちも何も無いんだよ!」
私は時空間にATWの腕を突っ込みながら言った。

「わかっちゃいたけど交渉決裂かYO!
 んじゃまあ遠慮無く・・・・・・・うげッッッッッ!!!!!!」

ボゴッ!!

未来からATWの腕が出現して小川の土手っ腹を思いっきり殴る。
小川はたまらず腹を抱えてひざまずいた。

「麻琴ッ!!!!!!」
「い、いってえ・・・・・・・・・・」


11 :915:2006/07/29(土) 00:08:02.46 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる28〜

「オマエら、安倍から聞いていないか?
 私のAROUND THE WORLDは3年前から大きく成長して
 15分以上さかのぼれるようになったんだよ。
 つまり、3年前のような隙は生じないってわけだよ。
 さらに・・・・・・・・・・・・」

ダダダッッッッ!!!!!!!

私は紺野に向かって走ると紺野のニューオーダーに殴りかかった。

ドゴオオオオオオオンンンンンンンンッッッッッッッッッ!!!!!!!

ニューオーダーはとっさに腕をクロスさせるが、
防御の上から紺野をぶっとばした。

「AROUND THE WORLDは能力に頼らなくても
 パワーもスピードもトップレベルなんだよ。
 オマエら二人程度じゃ相手にならないんだよッ」

私は二人が倒れている間にさっきのATWの行動を完了させる。

「作戦とか準備とか、圧倒的な力の前には無力な事を思い知らせてやる」
私は続けて二人に言った。


90 :915:2006/07/30(日) 22:14:26.14 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる29〜

〜紺野あさ美〜

「作戦とか準備とか、圧倒的な力の前には無力な事を思い知らせてやる」
鈴木さんは自信満々な口調で私達に言った。

「麻琴、大丈夫?」
「オウ、まだなんとかナ・・・・・・・・・。
 そういうこんこんはどうYO?」
「私もガードしてたから大丈夫」
「OK、んじゃもうちょっとがんばるかあ・・・・・・・」

そう言うと麻琴の身体が突然消えた。

ガシイイイイイイイイイイッッッッッッッッッ!!!!!

次の瞬間には、麻琴は鈴木さんの目の前に移動して
FRIENDSHIPがATWに殴りかかっていた。
しかし、ATWは完璧に防御している。

その隙に私も走り寄る。
「ニューオーダー・ワールド・イン・モーション!」

私は大きく振りかぶって、空間の歪みで作った球体を
鈴木さんにぶつけようとした。
これなら防御しようとした途端に手が歪んで破壊されるから
いくらパワーがあっても関係ない!


91 :915:2006/07/30(日) 22:15:00.57 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる30〜

パシッ!!

「うッ????????」

しかし、ワールド・イン・モーションを持ったニューオーダーの右手は
またもや出現した未来のATWに捕まれてしまった。

「紺野あさ美、オマエのその右手の中のものは結構やばいみたいだな」

ドガッッッッッッ!!!!!

「うおおおおおおおおおうううううううッッッッッッ!!!!」

鈴木さんは麻琴を防御したまま吹っ飛ばした。
そして・・・・・・

ドゴオオオオオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!

「ウグッッッッッッッッッッッッ!!!!!!」

私は未来のATWに右手を捕まれて身動き取れない状態から
現在のATWに殴られて吹っ飛んだ。
なんてパワー・・・・・・・・・・・・・・。
私は地面にはいつくばり、痛みをこらえながら
鈴木亜美という人の実力を実感していた。


92 :915:2006/07/30(日) 22:15:32.74 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる31〜

「安倍も後輩をちゃんと育ててないんだなあ」
鈴木さんはにやにやと笑いながら言った。
そして、その間にATWの腕を時空間につっこませて
さっきから出現していたATWのタイムスリップを完了させている。

やっぱりだ・・・・・・・・・。

鈴木さんはATWがタイムスリップ出来る時間が
15分以上になったから3年前に安倍さんと闘った時のように
時間切れになって自分がピンチになるような事はないと言った。

おそらくそれはホントの事だろう。
その割には、さっきから、未来からATWが出現したら
必ずすぐにその行動を再現させている。
15分も時間があるんだから、さっさと私達を倒してから
ゆっくりタイムスリップさせれば良いのに・・・・・・・。

おそらく、3年前の敗戦が彼女を慎重にさせているのだろう。
隙があればこまめに行動を『清算』している。
それなら・・・・・

「麻琴、まだ大丈夫?」
「oioi、アタシはまだまだイケルZE!!」
「オマエら強がりが好きだなあ」
鈴木さんがあきれたように言った。

「あいにく、あきらめが悪いのがアタシたちの専売特許でネ!!」
麻琴はそう言うと、また神速で鈴木さんに一気に詰め寄った。


130 :915:2006/07/31(月) 22:25:11.68 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる32〜

「くらえええッッッッッッ!!!!!!!!」
麻琴のFRIENDSHIPはまるでボクシングのアッパーカットか
アンダースローのピッチャーのように
地面を削るようなパンチを繰り出す。

いやッ!麻琴の本当の狙いは・・・・・ッ!!!!

バシイッッッ!!!

あぁ!まただッ!!
麻琴はFRIENDSHIPで地面をえぐって、摩擦が無くなった土のシャワーを
鈴木さんにお見舞いしよう考えていたに違いない・・・・!

だけど、FRIENDSHIPの拳がまさに地面をえぐろうとしたそのとき、
やっぱり未来からATWが出現してFRIENDSHIPの腕をつかんでしまう。

「だから無駄だと言ってるだろおおおッ!!!」
鈴木さんは麻琴を蹴ろうとする・・・・。

「麻琴おおおーッッッッッッッ!!!」

ガコオーンッッッッッッッッッ!!!

私は間一髪、鈴木さんと麻琴の間に割って入って
空間を歪ませて鈴木さんをふっとばした。


131 :915:2006/07/31(月) 22:25:44.49 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる33〜

「チッ!!!」
鈴木さんはすぐに体勢を立て直してこっちを見る。
ダメだ!ほとんどダメージは無い・・・・。

だけど・・・・・・・・・・・。

「こんこん、サンキュー。でもマジでどうするYO?
 向こうは未来からこっちの攻撃を全部邪魔しにきてるぜ」
麻琴がヒソヒソ声で話しかけてきた。

「麻琴、その言葉間違いあるよ」
「間違い?」
「説明はあと。あの作戦決行するよ」
「マジかよ?勝算あるのかYO?」
「一つ目の問題はクリア出来たと思う。
 二つ目は試してみないとわかんないよ」
「試してみないとって・・・・、
 oioi、それで失敗したらダメージくらうのこんこんだゼ?」
「大丈夫、もう十分ケガしているから」
「アハハ、こんこんも言うゼ」

私と麻琴はATWのタイムスリップを『清算』中の鈴木さんをにらんだ。

「こんこん、鈴木亜美のタイムスリップ、今は『いくつ』残ってるヨ?」
「今やってるのでゼロになったよ」
「そっか。じゃあ覚悟決めるカ」


132 :915:2006/07/31(月) 22:26:26.22 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる34〜

「もうコンクールに参加する連中も到着しているだろうし、
 そっち行きたいからいい加減アンタらの相手してられないんだよ。
 そろそろ決着を付けさせてもらうよ」
「そうかな・・・・・・・」
鈴木さんの言葉に麻琴が言った。

「鈴木さん、アンタは確かに強いゼ。
 でもヨ、アンタは所詮『対応者』なんだ・・・・」
「『対応者』?」
「あぁ、そうサ。アンタはすべて受け身すぎるンだ。
 こっちが攻撃してからそれを返すだけだし、
 その能力だって未来からの援軍頼りなんだヨ」
「フン、この期に及んで私を挑発かい?」
「さあネ。まあ今更挑発したってこっちは攻めて攻めて
 攻めまくるしか道はないから一緒だけどサ・・・・・・・。
 ただヨ、アタシたちはアンタとは違うッ!!
 道は・・・、未来は・・・・いつだって自分たちでつかみ取るんだYO!!」

「眠たい事言ってんじゃねえッ!!!」
鈴木さんは突っ込んできた麻琴に殴りかかった!

「うおおおおおッッッッッッッッ!!!FRIENDSHIP!!!!!」
麻琴はまた身体を大きく沈めて地面を殴ろうとする・・・・。

ブオオオオオンンンンンッッッッッッッッッッッ!!!!!!!

その麻琴めがけてまたもや未来からATWが出現ッ!!


133 :915:2006/07/31(月) 22:26:50.48 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる35〜

ドムッッッッッッッッッ!!!!!
「うげえええッ・・・・・・・・・・」
鈍い音とともに、ATWのパンチが麻琴のお腹に直撃する・・・・・。

「うぐッ・・・、こんこんッ!!!!!!!!!」
「ニューオーダー・バニシングポイント!!」

少し離れていたところにいた私は
ニューオーダーの両手を空間の穴にくぐらせて
ATWが出現した付近に出現させたッ!

「何を!!??」
「ニューオーダーッッッッッ!!!!!!!!!!!」

びっくりする鈴木さんに対して私は・・・・・・・

今まさに未来に帰ろうとするATWの出現した時空間の穴に
ニューオーダーの手を突っ込んだ。そして・・・・

「うおおおおおおおッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!」

声が小さな私が普段絶対に叫ばないような大声を出して
ATWの開けた時空間の穴の縁にニューオーダーの手をかける!!!

「てめえッッッ!!!!」
「私も空間使いッ!それなら・・・・・ッ!!!!」


157 :915:2006/08/01(火) 20:52:44.14 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる36〜

ニューオーダーの手のひらで空間を歪ませ、
閉じようとするATWの時空間の穴の縁に干渉させて穴が閉じるのを防ぐッ!!!!

鈴木さんは自分のスタンドのパワーに絶対的な自信を持ってる。
だけどパワーと能力は別。鈴木さんもそれがわかっているから
FRIENDSHIPからもニューオーダーからもその能力による攻撃に対してだけは
未来から先に邪魔をさせることで防いできた。
だけどさっき、FRIENDSHIPに対して未来から攻撃中は
ニューオーダーの能力攻撃を未来から防ごうとしなかった。
それは・・・・、AROUND THE WORLDは
一つの空間に一体しか出現させられないからに違いない!!!

私はここに来るまでの麻琴との会話を思い出す・・・・。


159 :915:2006/08/01(火) 20:53:09.91 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる37〜



『なあ、こんこん。鈴木亜美をアタシたち二人で
 担当するのは良いけドヨ、何か作戦はあるのかYO?』
『それだけどね、安倍さんの話の中で、
 安倍さんは一つ間違った事を言ってると思うの』
『間違い?』
『安倍さんは、鈴木亜美は自信家だから
 自分の能力の事を事前に相手に説明していたって言ってたでしょ?』
『うん』
『あれ、嘘だよ。だって実際に鈴木亜美は5分という制限を過ぎたらどうなるか
 安倍さんには言わなかったんだし』
『まあそれは・・・・・』
『鈴木亜美の能力って複雑だからさ、他にも制限が多いはずだよ。
 そして、彼女はそのほとんどを説明していないんだよ』
『例えば?』
『予想だけどね、一つの時間に
 AROUND THE WORLDは2体以上出現出来ないと思うんだ』
『どういう意味だヨ?』
『例えばね、1分後、2分後、3分後・・・って感じにそれぞれ別の時間から
 同じ時間にAROUND THE WORLDが出現して
 相手に一斉攻撃をしてきたらどうなる?』
『・・・・・・・。勝てねーナ』
『でしょ?それをやらないって事は出来ないって事だよ、きっと。
 だからそこを突こうと思うの』
『どうやって・・・・?』





160 :915:2006/08/01(火) 20:53:51.99 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる38〜

「私達は・・・・・未来をこの手でこじ開けるッッッッッッッッッ!!!!!!」
私は思いっきり力を込めて、閉じようとする時空間の穴を拡大させたッッッ!!!

「てめえ、何がやりた・・・・・、はッ?????????」
「こんこん、グッジョブだぜ・・・・・・・・・・」

私に気を取られていた鈴木さんは麻琴に気付いてはっとした。
麻琴はその間に苦しみに耐えながら、鈴木さんと距離を取って構えていた。

「くらえッ!!FRIENDSHIPによる摩擦ゼロのベアリング弾をッッッッッ!!!!」

ドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュッッッッッ!!!!

麻琴は手に持っていたベアリング弾をありったけはじいて
鈴木さんを襲うッ!!!!!!!!!

「ちいッッッッッッッッッ!!!!!」
予想通り、私が時空間の穴を開けているために
未来からATWが助けに来ることが出来ないからか、
鈴木さんは現在のATWを構えさせたッ!!!!!!

「うおおおッッッッッッ!!!!!!!
 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄アーッ!!!!!!」
「なッッッッッッッッ???????バカなッッッッッ!!!!!」
麻琴が驚愕する。


161 :915:2006/08/01(火) 20:54:26.39 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる39〜

カンカンカンカンカンカンカンカンッッッ!!!!!

ATWは次々とベアリング弾をはじく!!!
そしてほぼ同時に・・・・・・。

バシュウウウウッッッッッッッ!!!!
「あうッ!!!!!」

閉じようとする圧力に耐えきれなくなって、
私のニューオーダーははじき飛ばされた。
そして時空間の穴がふさがっていく・・・・・・。

「これで終わりだあッッッッッッ!!!!!」
「ぐぼおうううッッッッッッッ!!!!!!!」

鈴木さんは麻琴のベアリング弾を全弾はじくと
麻琴に走り寄ってぶっとばしたッ!!!

「一つの時間に出現させられるAROUND THE WORLDは一体までと気づいたようだが、
 今まではあくまで用心のためにオマエらの能力を直接受けないようにしていただけッ!
 AROUND THE WORLDのパワーとスピードの前には
 すべてが無意味なんだよッッッッ!!!!!」
鈴木さんは倒れている麻琴を見下しながら言った。

そして・・・・・・・・。


162 :915:2006/08/01(火) 20:54:50.90 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる40〜

「オマエももう終わりのようだな、紺野。
 いくら空間使いとはいえ、そんな無茶なことをしたおかげで
 もうボロボロじゃないか」

鈴木さんは私を見て笑いながら言った。

ATWの能力の秘密という私の予想は当たっていた。
そして、もう一つの問題、私のニューオーダーが
同じ空間使いのスタンドとはいえ、
本当にATWの時空間の穴が閉じるのを防ぐ事が
出来るのか不安だったけど、それもクリア出来た。

だけど・・・・、鈴木さんの言うとおり・・・・、無理をしたせいで
ニューオーダーの腕はもうボロボロだった。
私自身の腕からも血が流れている。
何よりも、スタンドパワーがほとんど残っていない・・・・。

鈴木さんも確かに麻琴のベアリング弾をはじいて
両こぶしに多少のダメージはあるようだけど、
私たち二人に比べたらたかがしれている。

「いろいろ作戦を練ってきたようだったけど残念だったな。
 それじゃあオマエら二人にとどめを刺して、
 さっさと他の連中を片づけにいかせてもらうよ」
鈴木さんはそう言いながら時空間にATWの手を突っ込ませた。

私達二人はノックアウト寸前だ。
だからとどめを刺してから『精算』すれば良かったんだ。
だけど、安倍さんとの闘いでの苦い敗北から染みついた習慣だったんだろう。
おそらく深く考えずに、いつもの『クセ』で鈴木さんはすぐに『精算』を行っていた。


2 :915:2006/08/03(木) 21:26:01.88 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる41〜







私はこの瞬間を待っていた。








「ニューオーダー・・・・・、最後の力を振り絞って・・・・・・・!」
私は自分のスタンドに話しかけるとニューオーダーの右手を
空間の中に突っ込ませた。

「バニシング・・・・・ポイントォォォォッッッッッ・・・・・・・・!!」


4 :915:2006/08/03(木) 21:26:27.68 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる42〜

ニューオーダーの右手は鈴木さんのかなり後方に出現する。
そして、ニューオーダーの手の中で空間を歪ませた・・・・・・・。

「オマエ、何がやりた・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ドウッッッッッッッ・・・・・・・・・

「!!??」

私の行動に気付いた鈴木さんは最後まで言う前にひざまづいた。

「な、何が・・・・・・・・・・・・・・・・」
自分の身に何が起こったか理解できず、
思わずつぶやくいた鈴木さんの肩から激しく血が吹き出ている。

「こ、こんこん、ナイスコントロール。本当にグッジョブだゼ・・・・」
麻琴がヨロヨロと起きながら言った。

「オ、オマエ、まだ・・・・・」
「ア、アンタのパンチを食らう瞬間に
 自分の身体を摩擦ゼロにして足を滑らせたおかげで
 ダメージを少しは軽減できたゼ。少しはナ・・・・・」

麻琴のFRIENDSHIPが身構える。


5 :915:2006/08/03(木) 21:26:59.93 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる43〜

「鈴木亜美・・・・。なんで今アンタがやられてるか教えといてやるYO・・・。
 その肩に刺さっているのはアタシのベアリング弾だヨ・・・・」
「ば、ばかな・・・・・・。いつの間に・・・・・・・・・・・」

「いつって、自分も見てたじゃないカ。アタシがベアリング弾を乱射するのを・・・」
「そ、そんな・・・・、あれはとっくの昔に・・・・・・・・・」
「その中の数発をこんこんがこじ開けた時空間の穴に打ち込んでいたんだYO」

「鈴木さん・・・・・、麻琴が打ち込んだベアリング弾は
 アナタが今開けた時空間の穴から飛び出してきたんですよ。
 そして・・・、ニューオーダーで空間を歪ませる事で軌道を変えて
 あなたにはじき返したんです」
私は麻琴の言葉を続けた。

「へっ、FRIENDSHIPのおかげで摩擦ゼロだからナ・・・・。
 空気を切る音すらせずにアンタに突き刺ささってくれたYO」
「て、テメエら・・・・、そんな手を・・・・、そ、そこまで計算して・・・・・・・・」
「け、計算だけじゃないですよ・・・・・・・・。
 私達にはこじ開けた未来の向こうにニューオーダーの手が見えていました・・・。
 未来でがんばっている自分たちの姿が見えたんですよ・・・・・」
「そしてヨ・・・・・・・・・・・・・・」

「や、やめ・・・・・・ッ」

「未来の自分たちを信じて今をがんばったカラ・・・・・
 今度は過去の自分たちの努力に今応えるんだYO・・・・・・」


6 :915:2006/08/03(木) 21:27:30.05 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる44〜

FRIENDSHIPが拳を振りかざした。

「これで終わりだッッッ!!!!!!!!!
 ユゥウウウゥキャァアアアァアアアアアァンンンドゥゥゥウウウッッッ!!!!」

ドッパアアアアアアァァァァァァァンンンンンンンンンンッッッッッッッッッ!!!!!!!

麻琴のラッシュが鈴木さんに炸裂したッッッッッッ!!!!!

ドゴオオオオオオオンンンンンンンンンンンンンッ!!!!!!!

悲鳴をあげる間もなく吹っ飛んだ鈴木さんは
地面に叩きつけられてピクピクとけいれんしたまま動かないッ!

「勝った・・・・・・ゼ・・・・、こんこん・・・・・」
「勝ったね・・・・・・・・・・、麻琴・・・・・・・・」

ラッシュにすべての力を注ぎ込んだあと倒れた麻琴と私は
すでに一歩も動けない状態のまま顔を見合わせてニコリと笑った。


7 :915:2006/08/03(木) 21:28:02.31 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる45〜

「し、しかし無茶苦茶な作戦だったナ・・・・・。
 未来に向かって攻撃しちゃうなんてヨ・・・・・」
「そう?安倍さんも言ってたでしょ。
 過去は変えられないけど未来は変えられるって。
 だから未来に直接干渉しちゃえば良いかなって思ったの」
「そういう問題なのかナ?」

ふと私は過去を変えられる人がいることを思い出した。
改めて考えたらとんでもない能力なんだなあ・・・・・・。

「こんこ〜んッ!!まこっちゃ〜んッ!!!!」
遠くから声が聞こえる。

「み、みうなカ、良いタイミングで来てくれたナ・・・・・」
「あ、そうだ・・・。麻琴、保険証持ってきた?」
「あ、忘れたヨ・・・・・・・・・・・」
「ダメじゃん・・・・・。今日は土曜だからさ、
 午前中のうちに病院行かないと時間外で割り増しになるよ・・・・・」
「あとで持ってくるって言っておくヨ・・・・。
 それよりも診察って今からなら、絵里たちの出番に間に合うよナ?」
「う〜ん、彼女たちの出番はあとの方だから入院させられない限りはね・・・・・・・・


8 :915:2006/08/03(木) 21:29:09.98 0
銀色の永遠 〜紺野あさ美は未来を切り開き、小川麻琴は夢を信じる45〜


「ははは、その可能性があったカ・・・・」
仰向けに寝転がったまま麻琴が笑った。私も釣られて笑う。

二人で笑いながら見上げた1月の空はこの時期のこの地方には珍しく雲一つなく、
私達の心のように青空がどこまでも続いていた。




TO BE CONTINUED…

鈴木亜美:再起不能
スタンド名:AROUND THE WORLD