260 :915:2006/06/15(木) 22:46:19.78 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ@〜

「あ〜、つっかれたあ〜」
「ホントホント、うちの班のインストラクターが最悪でさあ・・・」
「うちは良い人だったよ。最後はみんなにジュースおごってくれたし」
「え〜、良いなぁ、ももんところはそんなの無かったよ」
「ま〜たももはおごってもらったとかそういう話に反応するんだから〜」

私、矢島舞美は学校行事で二泊三日のスキー合宿を終えて杜王駅で解散。
演劇部同級生の嗣永・清水・梅田の3人とバスを待っていた。

「ねえ、せっかく早く帰ってこれたんだからカラオケでも行こうよ」
「ダメだよ、もも。先生が今日は寄り道しないで早く帰れって言ってたでしょ」
「そんなまじめな事言いっこ無しだよ〜」
「それにさあ・・・・・・」
佐紀ちゃんが私たちを見渡した。

「昨日の晩言ったでしょ。石川さんからメールが来たって」
「あぁ、おとついちなたちが襲われて入院したって話?」
「うん、中1がターゲットになったって事は私たちも
 いつ栄高の連中が襲ってくるかわかんないから
 できる限り単独行動は避ける事と、あんまり外でうろうろしないようにって」
「ももはいつでもかかってこいだけどなあ」
「無茶苦茶言わないでよ。
 私はいくら自分がスタンド使いだからってそんなのごめんだよ」
「私も攻撃力まったくないスタンドだしなあ・・・」
「何よ、えりかもさきちゃんも弱気だねえ。
 舞美はそんなこと無いよね?」
「私だって出来たら闘いたくなんてないよ。
 先輩に任せられるもんなら任せたいけど」


261 :915:2006/06/15(木) 22:46:50.40 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむA〜

「ちぇっ、みんなノリが悪いなあ」
「だいたい、さっき疲れたって言ったのはももじゃない。
 それなのによく遊びに行こうなんて言えるね」
「スキーとカラオケは別なんですぅ!」

その時、一台のバスが来た。
「ほら、バス来たよ」
「ほ〜い」
「んじゃ二人とも気をつけてね」
「お互いね」
「じゃあね、バイバ〜イ」

私は帰る方向が違うえりかとさきちゃんに手を振って
ももと一緒にバスに乗り込んだ。

私たちはいくつも空いている中で
何も考えずに適当に二つ空いている席に並んで座った。
前の席には女性が二人座っている。

「あれ、忘れ物かな?」
ももは座席に何かを見つけて手に取った。

「あ、『北斗の拳』だ」
ももが手に取ったのは20年くらい前に流行った漫画だった。


98 :915:2006/06/18(日) 19:40:27.62 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむB〜

「舞美は『北斗の拳』って読んだ事ある?」
「そんなの読むわけないよ。男の子の漫画でしょ?」
「ももはこういうの結構好きだよ。
 『ピンクダークの少年』なんて最高じゃん」
「私は少女漫画くらいしか読まないしなあ」
「まあ、ももも『北斗の拳』は
 夕方にアニメを再放送してたのをちょっと見た事があるくらいなんだけどね」

動き出してすぐに、バスの振動からか眠気が襲ってきた。
やっぱり夜遅くまで同室の子らとおしゃべりしていた上に
私は上級者クラスに入ってひたすらすべっていたからなあ、
ももは漫画読んでるし、私の方がももより先に降りるから
バス停に近づいたら、ももが起こしてくれるよね・・・

そんなことを考えているとどうしても私はうとうとし始めた・・・・・・・・。




ガタンッ



バスが止まった振動で目が覚める。
バスの外の景色を見ると、バス停で停車しているようだった。
ここは・・・、私が降りるバス停はまだだな。
一人、女性の乗客が降りている。


99 :915:2006/06/18(日) 19:41:51.97 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむC〜

その女性客と窓越しに目があった。
こっちを見てにやっと笑う。
あの服装は、私たちの前の席に座っていた二人組のうちの一人だ。



!!!!!!!!!!!!!!!!!




す、鈴木亜美・・・・・・!!!!!!!!






間違いない!

「もも!すず・・・・・・ッ?????????」

私はももの方を振り向いた。


100 :915:2006/06/18(日) 19:42:20.02 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむD〜







そこにももはいなかった。







154 :915:2006/06/19(月) 23:25:43.83 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむE〜

「ももッ!!!!!?????」

私はあわてて立ち上がると周りをきょろきょろする。
乗客が何事かと私の方を見る。

いない!!隣に座っているはずのももがいない!!
そして足下にはもものバッグが置いたままだ。

バスは扉を閉めて走り出す・・・・・。

次に私はもう一人、いるはずの人間がいない事に気づいた。
そう、鈴木亜美の隣に座っていた女もいなくなっている。
鈴木亜美とは無関係で、それ以前のバス停で降りた?

とにかく、こうしちゃいられない・・・・!!
私は降車ボタンを押すともものカバンを持った・・・・・・・。










155 :915:2006/06/19(月) 23:26:17.04 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむF〜

「桃子ちゃんの家の人には舞美ちゃんの家に泊まるって工作しておきました」
「ごくろうさん、石川」

あのあと、私は学校に戻って部室に飛び込んだ。
寺田先生や部長代行の石川さん、藤本さんら高校生の先輩たちが
集まって話をしている。

「ももが消えたのはやっぱり鈴木亜美のスタンド能力ですか?」
「いいえ、鈴木亜美の能力は安倍さんから聞いているけれど
 純粋な戦闘型スタンドだし別人ね」
「隣に座っていて消えたって女ってのがあやしいな?
 どっちにしても、桃子ちゃんが無事かどうか、
 もしさらったのなら何も言ってこないのは何故か、
 いくら寝ていたとはいえ、舞美ちゃんがまったく気づかないのは何故か、
 謎だらけだなあ・・・」
藤本さんが石川さんに続いた。

「問題はそれだけじゃないですよ、藤本さん」
紺野さんが口を開いた。
「なんで舞美ちゃんは無事で
 桃子ちゃんだけがいなくなったか、それが不可解です」
「そういやそうだよね。もう一人の女の能力が関係あるのか・・・。
 でもこっちの戦力を削るためなら、鈴木亜美もいたのに
 舞美ちゃんに手を出していないってのが不思議だしね」
「まるで桃子ちゃんをさらうためだけに行動したみたいだよな」
「それこそ普通なら理由がわからないですよ、藤本さん」
「そうだよなあ・・・」


156 :915:2006/06/19(月) 23:27:16.90 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむG〜

「とりあえず向こうの出方がわからんから様子見するしかないやろ。
 明日、もう一度考えよっか」
「桃子ちゃんが今どんな目にあっているかわからないのに
 放置しろって言うことですか?」
寺田先生に藤本さんが反論した。
「そうやない。情報も無いのに不用意に動いたら被害が大きくなるだけや。
 嗣永が今どこにいるかもわからんやろ?」

「ももちゃんの居場所なんてこの際関係無いガシ。
 栄高に乗り込んで浜崎と鈴木さえ倒せばすべて解決やよ。」
高橋さんが物騒な事を言う。

「あほ言え、今時殴り込みなんて言ったらそれこそ大騒ぎやわ」
「そうだ、こんこん!桃子ちゃんの居場所わかんないのかよ?」
「それが、発信機も反応無しなんですよ・・・・。
 電波の届かないところにいるか、
 もしかしたら連れ去られた経緯を考えても
 スタンド能力でどこかに閉じこめられているとか・・・・・」

「石川、とりあえずこれから下校する中1に連絡して
 気をつけるように言っといてくれ」
「わかりました。先生は?」
「すまんな、ちょっとせなあかんこともあるし部屋にこもるわ」
そう言うと寺田先生は部室の奥にある先生専用の部屋に入っていった。


239 :915:2006/06/20(火) 22:25:15.72 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむH〜

「こんな緊急時に用事って何だろ?」
「さあ?まあ私たちって元々先生をあんまり頼ってないし良いんじゃない?」
「確かにそうだね」
「とりあえず、悪いけどガキさんと麻琴は中1の子たちに連絡してきて。
 愛ちゃんとミキティは今日来ていない高校生部員に連絡。
 こんこんは引き続きパソコンで桃子ちゃんの居場所が出ないかチェックね
「了解」
「んじゃとりあえず電話してみるYO」

「連絡の前に、ちょっと舞美ちゃんに聞きたいんですけど」
みんなが動こうとするのを紺野さんが止めた。

「何・・・ですか?」
私は紺野さんを見る。

「舞美ちゃんは、桃子ちゃんがさらわれたのはどんな能力だと思います?」
「さぁ、ホントに気がつけばいなかったですから・・・・」
「何かいつもと違う、変わった事はありませんでしたか?
 ホントに些細な事でも良いんです」
「う〜ん、あ、座った席に漫画が置いてあったくらいかなあ。
 前の人が忘れていったんだと思いますけど。
 あれ?そういやあの漫画どこ行ったんだろ?
 ももが拾って読んでいたんですけどね」
「その漫画がスタンド能力に関係あるのかもしれませんね」
「まさか。だっていくつも空いている席の中から
 私たちはたまたまそこに座ったらすでに置いてあったんですよ?」


240 :915:2006/06/20(火) 22:25:55.54 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむI〜

「舞美ちゃんたちがたまたま座ったのがそこだとしても、
 二人が座るのがそこだと鈴木亜美が知っていたら?」
「なるほど!」
藤本さんが手を打った。でも私はまだわかんないし、
高橋さんや新垣さんなんかも首をかしげている。

「鈴木亜美のスタンドは時間を遡って出現する事が出来るそうです。
 たとえば舞美ちゃんたちが座席に座ったのを確認してから、
 舞美ちゃん達がバスに乗ってくる前の自分に
 鈴木亜美のスタンドがその場所を指で指し示すとか。
 それなら舞美ちゃんと桃子ちゃんがどこに座るかわかりますし、
 それを見て漫画を置いておいたならつじつまはあいますね」

「へぇ〜」
新垣さんが感心した。

「はぁ、なるほど・・・・。
 でもそれでは漫画がどんなスタンド能力なんですか?」
「さあ、そこまでは。
 でも世間には紙の中に相手を閉じこめるスタンドも
 いるそうですし、漫画を読んだら閉じこめられるとかあり得る話ですね」


241 :915:2006/06/20(火) 22:27:02.93 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむJ〜

「こんこんの説、信憑性高いわね。
 みんな、連絡ついでに漫画とか本が落ちてあっても
 不用意に拾ったり読んだりしないように伝えて!」
「了解ッ」
小川さんや藤本さんたちは携帯電話を手に持ってそれぞれ
連絡を取りに動き出した。

それを見てから石川さんが私に話しかけてきた。
「舞美ちゃんはさゆと家が近くだったよね?
 悪いけどさゆたちが稽古終わるまで待って、一緒に帰ってくれない?」
「わかりました」
私は返事をしてから、紺野さんの方を見た。

紺野さんは部室のパソコンの前に座ると、
パソコンにヘッドホンをつなげて耳に装着した。
そして、なにやら熱心にキーボードを叩き始めている。







「ふぅ〜・・・・・・・・・・・・・。おっさん、出てこいや。
 おるのはわかってんねんで」


242 :915:2006/06/20(火) 22:27:46.97 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむK〜

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「おっさん、かくれんぼはええねん」

「相変わらず勘が鋭いようで、ひっひっひっ」
「それくらいわかるわ。それよりもどういう事や?
 『D』の娘は有原違ったんかい。
 そやのになんで嗣永がさらわれるんや?」

「ひっひっひっ、私もわからないね・・・・」
「わからんで済むかいな」
「でも有原栞奈が『D』の娘なのは間違いないね。
 きっと浜崎が勘違いしたのよ、ひっひっひっ・・・・」
「能書きはええからとにかく嗣永の居場所と
 浜崎の狙いをとっとと調べてこいや」
「ひっひっひっ、相変わらず人使いが荒いね。
 ただでさえ有原の護衛させられてるのに」
「護衛についてるのはおっさんやなくてソニンやろ」


243 :915:2006/06/20(火) 22:28:22.41 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむL〜

「ひっひっひっ、わかったよ、
 じゃあこの調査はサービスって事でいつもの半額で請け負うよ」
「アホぬかせ。おっさんの情報不足からきたミスやろ。
 これは保険適用や」
「相変わらずつんくちゃんはせこいね、ひっひっひっ」
「グダグダ言ってんとはよ行かんかい」
「わかったよ。ひっひっひっ・・・・・・・」



シュウウウウウウウウッッッッッッッッッッッッ・・・・・・・・・




「窓くらい閉めていかんかい。
 相変わらず行儀の悪いヤツやで、和田のおっさんは・・・。
 石村も失ったし、矢口も仕事を選り好みしよるのに比べたら
 金さえ払えば確実に動いてくれる和田は便利っちゃあ便利やけどな・・・・」


302 :915:2006/06/21(水) 23:10:17.89 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむM〜

『ガガッ 相…わ…ず行…の悪い…ガッ…で、和田の…っさんは・・・ ガガガッ』
「(案の定聞き取りにくいですね・・・・・。
 やっぱり部長室に直接入って盗聴器を設置しないと・・・・・。
 いえ、それはやっぱり危険すぎますね。
 でも今みたいに部室から扉越しじゃあ、音量小さい上に
 みんなの話し声が邪魔してよく聞こえないし・・・・。
 それにしてもしゃべっていた相手は誰なんだろう?
 まぁ、私たちのために動いてくれているみたいだし
 今回は寺田先生を放置しておいても大丈夫か・・・・・・・・・)」



「紺野さん、紺野さん」
「あ、はい。どうしました?舞美ちゃん」
「ももの場所わかりました?」
「ダメですね、やっぱり反応でないんですよ」
「それにしてもすごいですね。部員みんなの居場所がわかるなんて」
「簡単な工作とちょっとパソコンの知識があれば誰でも出来ますよ」
「いやあ、そんな簡単にできると思えませんけど・・・。
 ところでヘッドホンで何か聞いているのも関係あるんですか?」
「え、えぇ。発信音とかいろいろね」
「へえ〜・・・・・・・・・」





303 :915:2006/06/21(水) 23:10:57.70 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむN〜




う〜ん・・・・・・・・・・。

ここは・・・・・・どこだろ・・・・・・・。
ももはこんなところで何してるんだろ・・・・・・・・・。


あ〜ッ!!!

そうだッ!ももはたしかスキー帰りに舞美とバスに乗っていて、それで・・・・・・・。
なのに、なんでこんな何もないところにいるんだろ??????

う〜ん、どう考えても普通じゃないな。
普通じゃないってことは・・・・・・・・・やっぱりスタンド攻撃かなぁ。

それならそれで相手を倒せば良いんだけどね。
とりあえず状況を把握しよっと。

ってことで見渡したけど、なんか・・・・・・、ホントに何もないね。
草木が一本も生えてない荒野って感じ。
空もどんより曇ってるし。

こんなところでつっ立ってても仕方ないか・・・。


304 :915:2006/06/21(水) 23:11:49.42 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむO〜




ももはとりあえず歩き始めた。




・・・・・・・・・・・。疲れた。




5分も歩いちゃったよ。のどもかわいたしぃ〜。
なんでももがこんな目にあわなきゃいけないんだよぉ〜。

ももはしゃがみ込んだ。

「なんだよ、このスタンド攻撃・・・・・。
 さっさと出てこいっちゅうの。
 そうしたらパーンってやっつけちゃうのに・・・・・」

ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロ・・・・・・・。

そんな独り言をぼやいているその時だった。
前方にものすごい砂埃が舞い上がり、
何台ものバイクや車のエンジン音がした。

「ひゃはーッ!!!聖帝先遣隊のお通りだあッッッッッッッ!!!」


338 :915:2006/06/22(木) 20:37:36.05 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむP〜

サングラスにモヒカン、上半身裸に中途半端なプロテクターをつけた
変な集団が近づいてくる。
何あの格好?ただの変態じゃん。

関わるの面倒くさそうだし、とりあえず無視っとくか。
そう思いながら連中が通り過ぎるのを黙って見ていたら
案の定、連中はももの前で車やバイクを止めてこっちを見てきた。

「おい!!ガキだ!ガキがいたぞ!!」
「へっへっへっ、ガキがこんなところを一人でうろついてやがるぜ」
「ガキは聖帝様に献上だあッ!!」

好き勝手にガキガキガキと言いたい放題うるさいなあ・・・・。
嗣永桃子は大人と言え!って憲法知らないの?

ももは段々むかついてきた。

「おい、よく見ろよ。チビだけどよく見たら出るところはそこそこ出ているぜ?
 おい、お嬢ちゃん、おじさんと良いことしないか?」
「オマエ、こんなガキとヤりたいのかよ?このロリコンがあ」
「へっ、どうせ聖帝十字陵建設のために働かされるんだ。
 その前に、聖帝様のために汗水たらして働く俺たちに
 ご奉仕してくれても結果は一緒じゃねえかあ〜?」
「おい、お嬢ちゃん。いい加減無視してないでなんとか言えよ?」


339 :915:2006/06/22(木) 20:38:08.87 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむQ〜

変態野郎・・・・・・・・・・。

と、そこでももはやっとあることに気づいた。
こいつら、変な格好しているけれど、よく見たら
さっき読んでいた漫画の登場人物と同じ格好じゃない?

それにたしか、漫画の舞台って
核戦争で地球が滅んだあとの世界って話だったけど、
見渡したらまわりはまさにそんな状態だよね。

あぁ、そういうことか。

これが敵のスタンドの能力の一部だな、きっと。
『読んだ漫画の世界に閉じこめる』スタンドってわけかあ。

うん、そうだよね。
この日本にはあり得ない荒野。
変な格好したおじさんたち。
現実じゃあり得ないもんね。

じゃあ、こいつらは漫画のキャラなわけね。
それなら・・・・・・・。



340 :915:2006/06/22(木) 20:38:42.97 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむR〜

「おじさん」
ももは変態野郎に声をかけた。

「へっへっへっ。なんだい、お嬢ちゃん?」
「あのね・・・・ゴニョゴニョ・・・」
「うん?よく聞こえないなあ、なんて言ったんだい?」
変態野郎はももに顔を近づけてきた。

「あのね・・・・・」

ももは内緒話をするように変態野郎の耳元に口を近づけた。
そして、頭をポンと軽く叩くとぼそっとつぶやいた。

「死・ん・じゃ・えっ♪」
「はあ??」

ももは変態野郎を無視して後ろを向く。

「おい、てめえ・・・・・、ふざけ・・・・」

無視して歩きだす。

「ふざ・・・・ふざ・・・・、あがが・・・ぶべらッ!!!!!!!!」

パアアアアアアンンンッッッッッッッッッッ!!!!!!!


7 :915:2006/06/23(金) 21:21:23.18 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ20〜

変態野郎はFLYHIGHの能力で頭から破裂した。
漫画のキャラだからヤっちゃっても良いよね?

とは思いつつ、さすがに見るのはグロいので
後ろを振り返らずにさっさと歩こうとする。

「な、なんだ?破裂しやがったぞ!!??」
「ガキが何かやりやがったあッ!!!!!」
「てめえッ!!!!!!」

他のモヒカンたちが騒ぎ出す。

お願い、もう面倒くさいからももにこれ以上関わらないで・・・・。

「待ちやがれッッッッッ!!」

願いもむなしく、モヒカンがももを取り囲んだ。
ももは深いため息をついてモヒカンを見渡した。
10人くらいいるかな?
相手するの面倒くさいなあ・・・・。
あぁ、もうすべてが面倒くさい。
息をするのも面倒くさいって感じ〜。


8 :915:2006/06/23(金) 21:22:27.30 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ21〜

「おい!こいつもしかして・・・・!!」
「なんだよ、オマエ知ってんのかよ!?」
「いや、知らねえけどよ、このやられ方って・・・」
「ちょっと待て!もしかして・・・・」
「そのもしかしてじゃねえのか???」
「なんだよ、てめえら何言ってんだよ?」

なんかモヒカンたちのうちの何人かが騒ぎ出した。

「間違いないぜ!身体の中からの爆弾みたいな破裂・・・」
「ま、まさか・・・!!」
「こ、こいつ、北斗神拳の使い手だあッッッッ!!!」
「ほ、北斗神拳ってあの拳王の・・・!!」
「待てよ!北斗神拳って一子相伝だろ?
 使えるのって北斗の兄弟、つまり拳王と例のケンシロウってのと、
 あとは病人のトキしかいないって聞いてたぞ?」
「女が使えるなんて俺も知らねえぞ????」

はぁ?

「ど、どっちにしても北斗神拳の伝承者なら
 なおさら生かしておくわけにはいかないだろ!!」
「そ、そうだよな。
 見逃したってのがばれたら俺たちがあとでどうなるかわかんねえし」
「よ、よし、てめえら、やっちまええッッッッッッ!!!!!」

モヒカンたちはみんなでももを襲ってきた。


9 :915:2006/06/23(金) 21:23:01.73 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ22〜

「はぁ〜・・・・・・・」

ももは何度目かのため息をついてから、スタンド名を口にした。
「FLY・・・・・・・・・・・HIGH!!!!!」

スタンドが見えない連中にFLYHIGHが触るのなんて簡単だもんね。

「ひでぶッ!!」
「たわばッ!!」
「あわびゅッ!!」
「あべしッ!!」
「ぶはぅッ!!」
「ぬるぽッ!!」
「がッ!!」
「うわらば〜ッ!!」

モヒカンたちは次々と断末魔の声をあげた。


60 :915:2006/06/24(土) 20:24:41.29 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ23〜

「う、うわあああああッッッッッ!!!!!!」

あ、一人腰を抜かしているおかげで
ももの攻撃を免れてる。
そうだ!!!

「おじさん」
「た、助けてえええッ!!!」
「ねえ、おじさん」
「お願いします、命だけは、命だけは・・・・」
「もも、街に行きたいんだけど」
「なんでもしますから命だけはお助けを〜」
「人の話聞いてよ。こんなところ歩くのイヤだから
 街まで連れてってよって言ってるんだけど」
「へ?ま、街ですか・・・・?」
「もも、車とか運転出来ないのよね。
 おじさん、街までももを乗せてってよ。
 それなら助けてあげても良いよ」
「ほ、本当でございますか?????」
「ももの気が変わらないうちに動いた方が良いよ」
「は、はひッ〜!!!!!!!」

うん、これで街までの移動が楽になったな。ラッキー♪

こうしてももは移動手段を手に入れた。
車って言ってもジープだからオープンカー。
暑いしクーラーも無いし砂埃で空気も悪くて最悪だけどね。


61 :915:2006/06/24(土) 20:25:18.37 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ24〜

ももはおじさんに運転させている車の後部座席で
車に積んであったカンパンをほおばりながらこれからのことを考えた。

って、ろくな食べ物が無いよね・・・・・・・。

さてさて、街に行ってからどうしよう?
敵のスタンド使いがこのままももをほったらかしって事が無いと良いけど・・・・。

それに、この漫画って相当バイオレンスな世界の設定のようだね。
まあいくら強くてもスタンド使いみたいな超能力者はいないみたいだし
FLYHIGHさえあればなんとかなると思うけど・・・・・・

とりあえず、『北斗の拳』ってどんな漫画だったっけ?
たまにアニメを見ただけなんでよく知らないんだよね。

たしか・・・・、1999X年、地球は核の炎に包まれた・・・
ってナレーションで始まるんだよね。

んで、主人公のケンシロウってのが怒ったら服が破れるんだよ。
それで「あたたたー」って言いながら悪者を指で突いたらパーンって・・・
あ、そうか。それでさっきのモヒカン連中が騒いでいたんだね。
もものFLYHIGHの能力をケンシロウの技と間違えたんだ。

あとは・・・恋人を悪者に誘拐されて助けに行くとか
お兄さんが何人かいて、その人達と闘うとかだったよね。
ラオウ、だったっけ?
う〜ん、全然話がわかんないや・・・・・・・・。


62 :915:2006/06/24(土) 20:25:47.40 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ25〜

「ねえ」
「は、はいッ!!」
「ラオウってどういう人だったっけ?」
「ラオウ?け、拳王のことでございますか?」
「そうなのかな?よくは知らないから聞いてるんだけど」
「け、拳王は世紀末覇者を名乗り、天を目指している男でございます。
 なんでもケンシロウの兄で、北斗神拳の伝承者争いで敗れたとか・・・」
「北斗神拳?あぁ、ケンシロウが使ってるヤツだね」
「お、お嬢様・・・・・・・」
「何?」
「お嬢様の使っておられるのは北斗神拳じゃないのですか?
 そうじゃなかったら、お、お嬢様はいったい何者で・・・・」

「ももが何者かおじさんに答えてももに何か得があるの?」
「い、いえ・・・・・」
「じゃあももの質問にだけ答えてよ」
「は、はい、申し訳ありません・・・・」

「ケンシロウってたしか恋人を誘拐されたとかって人だよね?」
「そうです。南斗六聖拳の一人で南斗孤鷲拳の使い手、シンに
 連れ去られたとかで」
「その人はどうなったの?」
「ケンシロウに倒されたそうでございます。
 ただ、噂ではその恋人もすでに亡くなっていたとかだそうで・・・」


63 :915:2006/06/24(土) 20:26:17.08 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ26〜

「ふ〜ん。じゃああんたは誰の家来なの?」
「はッ、聖帝様でございます」
「聖帝?誰それ」
「聖帝とはこの乱世に覇を唱え・・・」
「お願い、意味わかんないから簡潔に言って」
「も、申し訳ありませんッ!
 聖帝様は本名をサウザー様とおっしゃられ、
 先ほども申しました南斗六聖拳の一人でございます」

「南斗六聖拳って北斗神拳みたいなもん?」
「いえ、正確に言いますと、北斗神拳は拳法の流派の一つでして、
 対になるのが南斗聖拳でございます。
 内部からの破壊を得意とする北斗に対して、
 外部からの破壊を得意とする南斗は
 まさに表裏一体、陰と陽の関係でございます」
「意味わかんな〜い」
「つ、つまり、北斗神拳と南斗聖拳は昔からのライバルなわけでございます。
 それで、北斗神拳が一子相伝、つまり親から子へと
 一人にだけ伝えているのに対し、
 南斗聖拳は弟子を取り、様々な流派が枝分かれしているのです。
 現在、南斗は108派あると言われており、
 その中でも特に優れている6人の男達が南斗六聖拳を名乗っているのでございます。
 聖帝サウザー様は南斗鳳凰拳の使い手で、六聖拳の中でも特に秀でておられ、
 天下を取るにふさわしい帝王の星の下に生まれた方でございます」


64 :915:2006/06/24(土) 20:26:48.68 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ27〜

「う〜ん、よくわかんないけど、とりあえず
 ケンシロウってのとラオウってのと、そのサウザーってのが闘ってるわけね」
「は、はい。
 ただ、先日、ケンシロウと拳王は闘ってお互い負傷したらしく、
 拳王は現在行方不明、拳王軍は崩壊状態であります。
 ただ、聖帝様に与しておられました南斗六聖拳の一人、ユダ様が
 先日、ケンシロウの仲間でこれも六聖拳のレイに倒されたらしくて・・・」

「らしい、らしいばっかりじゃん」
「つ、つまり、拳王は負傷で現在行方不明でして、
 その間に聖帝様が天を取ってしまおうと行動しておられるのですが、
 ケンシロウの動きも気になるというところでして・・・」

「ふ〜ん。まあいいや。ももには関係ないかな」
「そ、そんなぁ。これだけ説明したのに・・・」
「アンタの努力なんて知らないわよ」

とりあえずどういう状況かは・・・・あんまりわかんないや。
要するにケンシロウとラオウとサウザー、この3人に注意だね、たぶん。


156 :915:2006/06/26(月) 20:28:24.73 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ28〜

問題は敵スタンド使いが何をやりたいかだよね。
このまま閉じこめておくだけの能力だったらイヤだなあ。
でも多分相手は栄高だろうし、
そうなったらももが行方不明って事でみんなが助けてくれるかな。

そうじゃなくて、敵のスタンド能力がこれだけじゃないんだったら
逆に自力でこの世界から脱出出来るチャンスなんだけど、
じゃあどういう形で攻撃してくるか、だしなあ・・・・・。

あとは、とりあえずお金が無い世界らしいし、
長引いちゃったらこれからしばらく食べるのとか生活どうしよう?

なんて考えていたら、ボロボロで今にも崩れそうなビルの群れが見えてきた。
ところが、車は違う方向を目指している。

「ねえねえ、あそこじゃないの?」
「いえ、あそこは廃墟でして誰も住んでいませんので・・・」

「ふ〜ん、あっそう。」

なんかあやしいなあ・・・・・・・・・。
あ、良いこと考えちゃった♪


157 :915:2006/06/26(月) 20:28:56.14 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ29〜

それからしばらくすると、また別のビルの群れが見えてきた。
そのさらに向こう、遠くには変な形のピラミッドのような建物が見える。

「ねえねえ、あのピラミッドは何?」
「あ、あれは聖帝十字陵でございます・・・・」
「せーてーじゅーじりょー?何それ?」
「聖帝様がお眠りになられる聖なる墓標でございまして、
 聖帝様の権力を周囲に知らしめる・・・」
「相変わらず難しい言葉使うね」
「も、申し訳ありません!」
「まぁいいや。要するにサウザーってのが作ってるんだね。
 それより今度こそ街だよね?」
「はい、その通りでございます・・・・・・」


こうして、ももはようやくこの世界で言うところの街にたどり着いた。

「う〜ん、汗もかいたし砂っぽいし、シャワーでも浴びたいけど
 そんな感じじゃなさそうだね・・・・・・・」
車が止まり、ももは周りを見渡す。
「さてどうしようかなあ・・・・・・・・・・・」
そう言いながら車から飛び降りたその時・・・・

「ひいぃぃぃぃぃぃぃぃッッッッッッッッッッッ!!!!!!」

ブロロロロロロロロロロロロロロロロロ・・・・・・・・

待っていたとばかりに、モヒカンは車で逃げ出してしまった。


158 :915:2006/06/26(月) 20:29:34.87 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ30〜

「あ、さっそく逃げちゃった・・・・・」

まあちゃっちゃと動いてくれるに限るんだけどね。

で、周りを見渡す。暗い顔をした人たちが
もものことを何者かって顔で見ている。
ももは知らないふりしてがれきの一つに腰掛けた。

さて、何分で来るかなあ?
あんまりレディを待たせるのは良くないよ。

そう思いながら少し待っていると、
ピラミッドの方向からたくさんのエンジン音が聞こえてきた。

うん、計算通りだね。
さっき素通りしたビルの群れ、あそこも本当は街だったんだろうな。
だけどあのモヒカンは嘘をついて、自分の仲間がいる街に
ももを連れて行こうとしてるってのがわかったから
あえてだまされてあげたの。

「こ、こいつです!!!!」

さっきのモヒカンがももを見つけて指さした。
たちまちももは同じようなモヒカン連中に囲まれる。


159 :915:2006/06/26(月) 20:30:10.63 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ31〜

「こいつが北斗神拳の使い手って女かあ!?」
「ホントにこんな小娘がかよ?」
「油断するな!10人も一瞬で倒したヤツだぞ!」

モヒカンたちがガヤガヤしている。

「ふわ〜ッ」
ももは連中を無視してあくびを一つした。

雑魚に用事は無いっちゅうの。
ももの狙いは一つ、こいつらのボスを倒してしまうこと。

その時だった。
モヒカン連中の後ろの方から一台の大型バイクがやってきた。
バイクの後ろにはめちゃくちゃ大きくて趣味の悪い座席がついていて
バイクに引っ張られる形になっている。

その座席には金髪のおじさんが座っていた。

バイクがももの前で止まる。

「こいつか、我が軍の兵10人を一瞬で葬り去った
 北斗神拳の使い手という子供は」
「は、はい!そうでございます!!!」

さっきのモヒカンが土下座しながら叫ぶ。

「娘、にわかには信じられんが、貴様は何者だ?」
座席から金髪のおじさんが見下ろす形でももに話しかけてきた。


5 :915:2006/06/27(火) 22:11:30.83 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ32〜

「おじさん、もしかしてサウザーって人?」
「いかにもその通りだが、貴様は何者だと聞いているのだが」
「さあ?アタシと闘ってみたらわかるんじゃない?」

「ふっ、俺を愚弄するとはな・・・・・・・。
 だが、この聖帝、貴様如き小娘に使う拳は持ち合わせておらぬ」
サウザーっておじさんはそう言うと右手を挙げた。

その手が合図だったのか、いかついおじさん二人が
サウザーの後ろから前に出てくる。

「貴様の腕前、見せてもらおうか」
サウザーが言った。

こいつ、えらそうだなあ。ももはこういうヤツ大嫌い!

ももは立ち上がってお尻をパンパンと叩いて砂を払った。
そのももに向かっておじさん二人が襲いかかってきた。

おじさんの一人が大きな刀をももに振り下ろす。

う〜ん、ちょと拳法ぽく見せないとだめかな?
なんて思いながらももは届かないけれど
とりあえずおじさんを指さした。
それと同時にFLYHIGHでおじさんを殴る。


6 :915:2006/06/27(火) 22:11:56.21 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ33〜

「うおおおッ!!!!!!!」
スタンドが見えない人には、FLYHIGHに殴られたおじさんは、
まるでももが指さした動作でふっとばされたようだった。

そのまま、驚いているもうひとりのおじさんも同じようにふっとばす。

「な、何が・・・・・・・・・」
触られてもいないのにふっとんだおじさん二人がきょとんとしている。

「ほう、北斗神拳は気をとばす事も出来るのか。
 しかし・・・・・・・・・・」
サウザーが言った時だった。

「な、何が・・・・おこ・・・おごぱらぁッ!!!!!」
「うわあ、た・・・・・、たずぺえッ!!!!!」

パアアアアンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!

おじさん二人はFLYHIGHの能力であっさりはじけ飛んだ。

「面白い・・・・・・・」
サウザーはバイクの座席から飛び降りるとマントを脱いだ。


7 :915:2006/06/27(火) 22:12:26.00 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ34〜

「次はおじさんの番だよ」
「ふっ、そのなめた態度、気に入らんな。
 だが、生まれつき帝王の血が流れる
 我が身体に北斗神拳は効かぬ。
 それゆえ、あのラオウもこのサウザーとは闘おうとせぬ」

なんか難しい事を言いながらサウザーが
身構えもせずにももに近寄ってきた。

「なんで構えないの?」
「南斗鳳凰拳に構えなど無い。
 構えなど所詮受けの形、南斗鳳凰拳にあるのは前進制圧のみ!!!」

「あっそう」
ももはさっきと同じようにカモフラージュに
腕をふるうと同時にFLYHIGHでサウザーを殴った。

ドゴッ!!

(もも以外には)見えない何かでサウザーのお腹に圧力がかかる。

「うおッ!!!」
サウザーは吹っ飛ばされないように踏ん張った。


8 :915:2006/06/27(火) 22:12:59.68 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ35〜

「ふっ・・・、貴様、面白いヤツだな。
 俺の知っている北斗神拳と少し違うようだが・・・・。
 だが言っただろう。我が身体に北斗神拳は効か・・・・」

パアアンンンッッ!!!!

サウザーの身体の一部が風船のようにはじけ飛んだ。

「グオオッ!ば、ばかなッ!!!」
サウザーは片膝をつく。

ももはサウザーに近づいた。

「な、何故だ!?何故我が身体に北斗神拳がッ!!
 ま、まさか・・・・!!き、貴様、何故知っている!!!???
 我が身体は心臓の位置が左右逆、
 秘孔の位置も表裏逆だという事を何故知ってい・・・・・」

「ごめん、おじさんの言ってる意味あんまりわかんないんだけど、
 とりあえず北斗神拳とか秘孔とか、実は関係ないんだよね♪」

パーン!パーン!パーンッッッッッッ!!!!!!

「おしさばろべぇッッッッッッッッ!!!!!!!」

FLYHIGHが拳をふるうと、サウザーは骨も残さずはじけ飛んだ。


49 :915:2006/06/28(水) 23:32:17.49 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ36〜

「うわああああああッ!!!!!!!」
「せ、聖帝様があああッ!!!!!」
「この女、何者だああ??????」

モヒカンたちが震えながらみんな口々に言い合っている。

パンパン!!!

「はい、ちゅうも〜くッ!!!」

ももは手を叩いてからモヒカン連中に声を掛けた。

「はい、アタシ、嗣永桃子って言いま〜す。ももって呼んでね!
 さっそくだけどお、みんなのご主人様のサウザーって人は
 どうなっちゃったかな〜?
 見ての通り、ももが倒しちゃったよね〜?」

モヒカンたちは黙りこくった。

「じゃあさあ、みんなはこれからどうすれば良い〜?
 サウザーの敵討ちしたいなら相手してあげるけど
 一番強い人について行く方が身のためだよね?
 じゃあ、誰について行くのが一番良いかな〜?」


50 :915:2006/06/28(水) 23:33:02.31 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ37〜

モヒカンたちは何も言えなくなっている。
その時・・・・・・

「サ、サウザーを倒したもも様が一番強いんだ!」
「そ、そうだ!俺たちはもも様について行くべきなんだ!!」
「もも様〜!!」
「も〜も様ッ!!も〜も様ッ!!も〜も様ッ!!」

沸き上がるもも様コール。うん、大成功〜♪
女王様気分も悪くないね。

これで食べ物も寝るところもしばらく困らないね。
あとは・・・・・・・・・・

「じゃあ、サウザーのものはももの物で良いよね!?」
「うお〜ッッッッッッ!!!!!」

ももはモヒカンたちに確認すると、
サウザーが乗ってきた趣味の悪いバイクの後部座席に座った。

「それじゃあさっそく、サウザーのお家に連れてって♪」
「はっ!!」

ついさっきまでサウザーに頭をさげていた
モヒカンたちはもうすっかりももの家来♪


51 :915:2006/06/28(水) 23:33:47.01 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ38〜

ブロロロロロロロロロロロロ・・・・・・・・・・・・・

こうして、たくさんのバイクや車の群れは街を出て突き進む。
途中、例のピラミッドの近くを通った。

「あれ、なんで子供が石をひいているの?」
ピラミッドを造るために大きな石を運んでいるのは
ももか、それよりも小さな子供ばっかりだった。

「はっ、サウザー様・・・、サウザーの命令で、
 大人よりも逆らわない子供を使う方が効率的との考えでして・・・」
「あ〜、もう良いよ」
「はっ?」
「あんなもん作っても無駄だからもう良いよ。
 子供も解放してあげて」
「はっ、さすがもも様!」
「ちゃんと子供たちに言ってね。
 サウザーを倒したもものおかげだって」

これでももの名前が広まるな・・・・・。

さらにしばらく進むと、お家というよりも「お城」って
言った方が良さそうな建物にたどり着いた。
サウザー城にはすでに連絡が行っていたみたいで
たくさんのモヒカンたちがももを迎え入れた。


52 :915:2006/06/28(水) 23:34:16.46 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ39〜

さっそくももはこの世界じゃ貴重って言われる水を
たっぷり使って汗を流したあと、
サウザーの使っていたベッドでごろごろする。

うち、貧乏だからこんな暮らしも悪くないかな、
いやあ、やっぱりこんな世界にいつまでもいたくないなあ・・・
なんて思いながら、うとうとしていた時だった。

「も、もも様〜!!!!!!」
モヒカンの一人が叫びながら部屋に入ってきた。

「もう!レディの部屋にノック無しで入らないでよ!!!」
「も、申し訳ありません!」
「で、何?」

ももはわくわくしながら尋ねる。

もしも敵スタンドの能力が単純にももを漫画の世界に
閉じこめるだけじゃなくて、プラスアルファがあるなら
こうしてももがサウザーを倒したって話が広まれば
ほっておけないだろうし、何か進展があるだろうなって思ったんだよね。
だから子供を解放するときにその事を強調させたんだし。

「ケ、ケンシロウとシュウが乗り込んできました〜!!」


105 :915:2006/06/29(木) 22:02:16.93 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ40〜

ちょっとがっかり。主人公かあ。
あんまり敵本体と関係なさそうだね・・・・。
まぁいいや。

「ケンシロウは知ってるけど、シュウって誰?」
「はっ、シュウは南斗六聖拳の一人でして、
 南斗白鷺拳の使い手であります。
 同門でありながらサウザーに逆らって
 レジスタンスとして活動しておりました」
「へぇ〜。じゃあ二人とも広間に通して。もももすぐ行くから〜」

とりあえずももはゆっくりと準備して広間に行った。
広間には二人の男が待っていた。
おお〜、青いジャンバーに赤シャツのお兄さん、
まさにアニメで見るケンシロウって感じだね。

もう一人は、うわ〜・・・・・・・・・・。
目のところに大きな傷があって目をつぶっている。
もしかして目が見えないのかな?
この人がシュウって人だよね?

「ごめんなさいね、お待たせして〜」
ももはのんきに手を振って二人に近寄った。


106 :915:2006/06/29(木) 22:03:01.26 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ41〜

「ば、ばかな・・・・。
 こんな小さな少女があのサウザーを・・・・・・」
シュウっておじさんがこっちを向いて言った。

「あれ?おじさん、目が見えないんでしょ?
 なんでももが小さいとかわかるの?」
「私は目が見えずとも心の眼が開いている。
 気の流れで相手の事が手に取るようにわかるのだ。
 人は私を盲目の闘将と言う」
「ふ〜ん」
ももが言ったその時だった。

「なぜ・・・・、なぜ・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「へ?」
ケンシロウってお兄さんがぷるぷると震えている。
なんか様子が変だぞ?

「お、オマエは何者だ!!!???」

突然、シュウさんが飛び退いた。
「ケ、ケンはどこに行った!!!!????」
シュウさんが叫ぶ。

「へ?おじさん何言ってるの?
 ケンシロウって、おじさんが一緒に来たこのお兄さんでしょ?」
ももは不思議に思って言った。


107 :915:2006/06/29(木) 22:03:32.74 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ42〜

「ど、どういう事だ!!!!
 なぜ、私の隣にいたケンが・・・・
 いつの間に女性になっているんだ!!!!????」
「おじさん、どういう事?
 どこからどう見てもそこにいるのは男の人・・・」

ももが言いかけたその時だった。

「ほわたーッ!!!!!!!!」
「ぐおおおッッッッッッ!!!!!!」

ケンシロウが突然仲間であるはずのシュウさんを思いっきり蹴った!!
不意を突かれたシュウさんは防御することも出来ずに
派手に吹っ飛ぶ!!!!!!

「え?え?え?」
ももはびっくりしてケンシロウとシュウさんを代わる代わる見た。

「いったいどうしてなんだ・・・!!」
相変わらずケンシロウが意味不明な事を言う。

「な、何が・・・・・・・・」
シュウさんはうずくまって苦しみながらつぶやく。

「何故オマエはスタンドを使えるんだ!嗣永桃子!!」
ケンシロウがまた叫んだ。


30 :915:2006/07/02(日) 01:19:05.14 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ43〜

「スタンド?もしかして・・・・、あなた、本体?」
「答えろ!!何故スタンドを使えるんだ!!??」
「何言ってんのよ!ももはスタンド使いなんだから
 スタンドが使えるのは当たり前でしょ?」
「それがおかしいって言ってるんだよ!!
 私の『コミック・カフェ』の術中にかかったら
 スタンドは使えなくなるはずなのに!!!!!」

あ〜、やっぱりこいつが本体なんだ〜。
ももはうれしくなった。これでこいつを倒せば・・・

「い、いったい何がどうなっているのだ・・・」
シュウさんが混乱している。

「だから知らないって!アンタのスタンド能力でしょ?
 むしろどういうスタンドなのかこっちが説明してほしいくらいなのに」
ももはケンシロウ(の格好をしている人)に言った。

「私の名前は若槻千夏。スタンド名は『コミック・カフェ』。
 能力は相手が読んだ漫画の世界に閉じこめるスタンド・・・・」
ケンシロウが話し始めた。

「そして、私自身は漫画の登場人物の身体を乗っ取る事が出来る。
 もし私が寝たりしたら能力は解除されてしまうから、
 私自身が漫画の世界に乗り込んで、
 相手を倒してしまうのが『コミック・カフェ』の必勝パターン・・・・」


31 :915:2006/07/02(日) 01:19:43.70 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ44〜

あぁ、なるほど。目の前にいるのはケンシロウの身体を乗っ取った
若槻千夏って女の人なんだね。
だから目が見えないシュウさんは
容姿じゃなくて中身で判断しているから
若槻千夏に入れ替わって別人だと思ったんだね。

「ふ〜ん、そういう能力なんだ」
「そして、『北斗の拳』の世界ではスタンド能力は存在しないから
 世界観を壊さないためにもスタンド能力は使えないはずなんだ!
 スタンドが使えなければおまえなんかただの中学生!
 それなのにサウザーを倒すなんて、
 スタンドを使ったからとしか考えられないんだよ!!」
「うん、そうだよ。もものFLYHIGHでサウザーを吹っ飛ばしたんだよ」

「こ、この二人は何を言ってるんだ・・・?」
シュウさんがうろたえる。

「吹っ飛ばした?
 オマエの能力は『時間を止める』んじゃないのか?」
「へ?勝手に人のスタンド能力を決めないでよ。
 もものスタンドは殴った箇所を風船のように破裂させる能力だよ。
 ほら・・・・・」

ももはFLYHIGHを出現させて、床を殴った。


32 :915:2006/07/02(日) 01:20:09.63 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ45〜

シーン・・・・・・・・

「あれ?」

いつもならパーンって破裂するのに何も起こらない・・・・。

「ど、どういうこと?」
「ど、どういうことだ・・・・」

ももとケンシロウ、いや、若槻千夏の声がはもった。

「おとつい、おまえたちを襲撃したときに
 長谷部の攻撃を避けたりした嗣永桃子が見せたスタンド能力の片鱗は
 『時を止めている』としか考えられないという報告だったのに、
 全然違う能力じゃないか・・・・・・・・・・・」
「へ?おとつい?もも襲われたっけ?
 あぁ、みややりぃたちが栄高に襲われたって話は聞いたけど
 ももはスキーに行っていたからその場にいなかったよ?
 誰かと間違えてない?
 でも『時を止める』能力なんて誰かいたかなあ?」
「へ?う、うそ・・・・・・・・???
 そういや鈴木さんとおかしいとは言ってたんだ・・・・・・。
 中2はスキー合宿に行ってるって情報だったのに
 長谷部や橘たちが中1を襲った時に嗣永桃子がその中にいて、
 でもその後に居場所を確認したらスキーに行ってるって話だから、
 きっと一日遅れで合流したんだろうって二人で言ってたんだけど・・・。
 じゃあオマエの能力は父親と同じ『時を止める』のじゃないのか?」


33 :915:2006/07/02(日) 01:20:52.90 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ46〜

「だからもものFLYHIGHのスタンド能力は
 ものを破裂させる能力だって!!!!
 だいたい、父親と同じってどういう事よ?
 もものパパはスタンド使えないよ?」
「いや、おまえの父親はエジプトで・・・・」
「エジプト?何言ってるの?
 もものパパはもう何年も病気で入院していてね、
 おかげで家族は貧乏してるんだし、
 両方の意味で海外なんて行けるわけないじゃん」

若槻千夏は頭を抱えた。
「さ、最悪だ〜!!!!!!人違いだったんだ〜!!!!」

「ちょっと、自分一人で納得してないで説明してよ」
「私のスタンド能力はできる限り漫画の『世界観を壊さない』ように出来てるんだよ!
 だから、ほとんどのスタンド能力は世界観にあわないから
 使えないようになるのが普通なんだ!
 逆に言うと、『ドラゴンボール』とか
 超能力が使えるキャラが出てくる漫画とかだったら
 スタンド能力がそのまま使える可能性が高いから不向きなんだ・・・。
 『北斗の拳』は超能力とか出ない漫画だから選んだのに・・・・・・・」
「あ、じゃあもしかして、たまたま、もものFLYHIGHの能力と
 『北斗の拳』の北斗神拳が見た目一緒だからももはスタンドが使えたんだ。
 で、さっき床を破裂させようとしたけれど、
 北斗神拳は人の身体しか破裂させられないから
 ももも人以外には能力が使えないんだね?」
「たぶんそういう事・・・・・・・・・・」


34 :915:2006/07/02(日) 01:23:31.52 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ47〜

「ふ〜ん、要するに、なんか勘違いしてて、
 結果的に大失敗しているって事だよね。
 逆にももはラッキーだったってわけだ♪
 まっ、ももの日頃の行いが良いからだよね?」
「あ、アンタってもしかして結構良い性格してない?」
「うん、友達にもよく言われるよ♪」
「ねえ、皮肉って意味わかる?」
「もも、難しい言葉わかんな〜い。
 とりあえず、お姉さんを倒せばオールOKなんだよね?」

「ま、まだ・・・・・、勝てば良いんだよお!!!!!!!」

「あ〜あ、やけくそになっちゃって・・・・・・・・・・・・・」

「な、なんだ???何が起こっているんだ・・・!!??」
シュウさんが困惑しながら叫んだ。

「それじゃあお仕置きた〜いむッ♪」


114 :915:2006/07/03(月) 23:18:01.54 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ48〜






いくらケンシロウの身体を乗っ取っていたって所詮生身の人間。
FLYHIGHであちこちを破裂された若槻千夏は
耐えきれなくなってスタンド能力を解除してしまった。

気が付けばももの足下には気絶した日焼けでコギャルっぽいお姉さんと
バスの中で読んでいた『北斗の拳』の単行本が転がっていた。

「ふう、元の世界に戻れたみたいだね。
 なんか間抜けなスタンド使いだったなあ。
 それにしてもここはどこだろう・・・・・・・・・・」

ももは周りを見渡した。どこかの教室みたい。
そして、女の人二人と目があった。
「あ・・・・・・・・・・・・・・」

「どういうこと〜?」
「まさか千夏の能力を破るとはね・・・・・・。
 さすが『D』の娘ってところか・・・・・・・」


115 :915:2006/07/03(月) 23:18:37.32 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ49〜

「お、お姉さんたち、もしかして
 浜崎あゆみと鈴木亜美だよね・・・・・・・?」

この二人ってボスだよね・・・・・。
浜崎あゆみは知らないけど、鈴木亜美は『あの』安倍さんが
昔苦労したとかって話だよね・・・・。
さすがにもももこの二人を同時に相手するのはつらいかな・・・・。
も、もしかして大ピンチなんじゃないかな・・・・・。

「千夏に適当に痛めつけさせてから試そうと思ってたんだけどね・・・。
 まあ私だけでも充分か・・・・・・・・」
ももの質問を無視して鈴木亜美が言った。

ももはFLYHIGHを出して身構えた。

「浜崎さんッ」
「はいよ〜っ」

小石?何かの破片?
浜崎あゆみから何かを受け取った鈴木亜美が
それを自分のスタンドに持たせた上でももに近づいてくる。

ももの額をいやな汗が流れる・・・・・・・。

その時だった。


116 :915:2006/07/03(月) 23:19:16.96 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ50〜

突然、鈴木亜美の行く手をまるで遮るかのように
空中からスタンドの腕だけが出現した!

「アミーゴ、なんで?」
「ど、どういう事??」

浜崎あゆみと鈴木亜美もびっくりしている。
よく見ると、空中から出現した腕は
鈴木亜美のスタンドと同じデザインだ・・・・・・・。

「失敗したって事かな?」
「そういう事ですかねえ・・・・・・・」

鈴木亜美はスタンドを解除した。空中から出現した腕も
まるで穴に吸い込まれるように消えていく・・・・・・・

「やっぱり『D』の遺伝子がレクイエムを成功させるって
 仮説は間違いだったのかなあ・・・・・・?」
浜崎あゆみがももを見て言った時だった。

「ち、違うんです・・・・・・・・」
気が付いたのか、若槻千夏がももの足下で口を開いた。

「ひ、人違いなんです・・・・・・」
「千夏、どういうこと?」
鈴木亜美が首をかしげる。


210 :915:2006/07/06(木) 00:34:56.45 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ51〜

「嗣永桃子は『D』の娘じゃないんです・・・・・・・」

「あぁ、そうそう。このお姉さんにも言ったんだけどね、
 ももはおとついアンタたちの仲間が闘ったメンバーの中にいなかったよ?
 その時はスキー行ってたんだし。
 誰を捜してるのか知らないけど、誰かと勘違いしてなくない?」

「ちっ、どうもおかしいと思ったらそういうことか。
 あのバカども、負けただけならともかく
 ミッションもまともにこなせなかったのか・・・・・・!!」
鈴木亜美が吐き捨てるように言った。

「そういうことなんで、ももに用事は無いよね?」
ももはそう言ってバイバイしながらドアの方に後ずさりで向かおうとした。

「ぶどうヶ丘演劇部員をそんな簡単に
 帰すとでも思ってるのかい?」
鈴木亜美がスタンドを再び出現させた。

「あ、やっぱり?」
ももは苦笑いでごまかす。
やっぱりやるしかないかなあ・・・・・・・・・。

その時・・・・・・・・・・。


211 :915:2006/07/06(木) 00:35:24.00 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ52〜

「ひっひっひっ・・・・・・・」
突然気持ち悪い声が部屋にこだまする。

どこから・・・・・・・・・・

「お嬢ちゃん、ピンクのかわいらしいパンティはいてるね、ひっひっひっ」

!!!!!!!!!!!!

ももはぎょっとした。
笑い声は、ももの足下からだった!!!!!!

床に・・・・・・痩せた神経質そうなおじさんの等身大の写真が貼り付いている?
いや!違う!!!

その写真がしゃべっている!!!

ももは思わずスカートを押さえた!

「和田、てめえッッッッッッッッッ!!!!!!」

突然何かがももの足下に飛んできた。
ももはすかさず飛び退く!!

ガガッ!!!!!!

浜崎あゆみがパイプイスを引きちぎって
パイプ部分を投げつけてきたんだ!


212 :915:2006/07/06(木) 00:36:39.17 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ53〜

パイプはおじさんの写真のいた辺りの床に突き刺さる。
だけど・・・おじさんの写真が移動している???

違う!これは写真でも、絵が描かれているのでもない!
壁の中でおじさんが動いている!!

これは・・・・二次元になって床とか平面に潜り込む能力??

「ひっひっひっ、相変わらず元気そうだね、あゆ」
「アンタもまだ生きてたのかよ?」
「憎まれっ子世にはばかるでね、ひっひっひっ」
「で、日和見主義者のアンタが何の用よ?」

「ひっひっひっ、日和見主義者ってあゆに言われたくないよ。
 ちょっとつんくちゃんに頼まれてね、
 このお嬢ちゃんを捜してこいって言われたから
 ここかなと思ったらビンゴだったんだよね、ひっひっひっ」

つんく?誰それ・・・・・・・・・・?

「それでその子を見つけたからどうしようって言うんだよ?」
鈴木亜美が言った。

「ひっひっひっ、調べてこいって言われただけなんだけどね、
 つんくちゃんに貸しを作っておくのも悪くないからね・・・・」

和田っておじさんが床の中から言ったその時、
おじさんが動いてももの足を二次元状態の手が登ってくる!!

まるでももの足に手の絵が描かれているような状態になったその時・・・


213 :915:2006/07/06(木) 00:37:17.03 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ54〜

その手にひっぱられるようにして、
ももはおじさんのように床の中に引きずり込まれた!!!!

あっという間にももは平面状になって床から天井を見上げている!!

「ひっひっひっ、それじゃあね・・・・・・」
おじさんはそう言うと、小柄なももを小脇にかかえて
床を滑るようにして教室の扉の方に向かう!!

「のがすかッ!!!」
「待ちなッ!!」
鈴木亜美が追いかけようとするのを浜崎あゆみが制した。

その間に、おじさんとももは教室を出て行った・・・・・・・・・。

「おッ、おじさん!」
「ひっひっひっ、何だい?お嬢ちゃん」
「おじさんはいったい何者なの?ももをどうする気?」
「おじさんはお嬢ちゃんの味方だよ、少なくとも今はね、ひっひっひっ」


331 :915:2006/07/07(金) 22:02:38.41 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ55〜




「浜崎さん、なんでです?」
「何が〜?」
「とぼけないでくださいよ。
 さっきの男、何故追いかけさせてくれないんですか?
 いや、男が出現する前にあの子を捕まえる事だって
 私なら出来るはずだし、今の私はそうしたいと思っている。
 それなのに出現しなかったということは
 浜崎さんが私にスタンドを使わせないって事でしょう?」
「その通りだよ。あの子は逃がしてやれば良いんだよ」
「何故です?こないだも言いましたけど、
 たしかに『矢』の新しい力を引き出す実験は必要かもしれません。
 でもうちももう戦力はあまりいないんですよ?
 連中は一人でも倒しておかないと・・・・」
「その通り。『矢』のかけらももうこんなにちっちゃくなっちゃったしね、
 実験をするのがやっとだからスタンド使い増やすなんて出来ないだろうね〜」
「だからなんで・・・・」
「だからだよ。アミーゴ、明日何があるか知ってる〜?」
「明日・・・ですか?」
「よせば良いのに嘉陽をしめちゃったでしょ?アンタ」
「そりゃあ役立たずは・・・、あっ!!」



332 :915:2006/07/07(金) 22:03:04.55 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ56〜

「そう、演芸コンクールの日だよね。
 そしてぶどうヶ丘演劇部からは主力級が4人参加するらしいね」
「でもそれがどう関係あるんです?」
「アンタの望みは何よ?ぶどうヶ丘演劇部への復讐でしょ?」
「そりゃあまあ・・・」
「向こうの裏をかいてやろうよ」
「浜崎さん、単刀直入に言ってくださいよ」
「嗣永桃子の話を聞いてアタシたちがここにいるって知った連中は
 ここを攻めてくるでしょ。」
「まあそうなるでしょうね」
「向こうも中学生や高校生。そう簡単に大人数で夜出回ったり出来ないでしょ。
 だから今日中に攻めてくるとしたら血の気が多い連中が
 先走って来るだけだろうね。
 そいつらを抑える事が出来たら攻めてくるのは明日の午前中でしょ。
 なんせ午後からコンクールもあるしね。
 連中がここに来ている間にアミーゴは
 演芸コンクールに参加する連中を倒しちゃいなよ。
 ステージに立てなくするのでも良いし、
 ステージ上で赤っ恥かかせるのでも良いし。
 もちろんアンタ一人じゃなく、こっちの戦力は出し惜しみしちゃダメだよ」
「あぁ!なるほど!!
 ここを空にしておいて、向こうの戦力が二分されている間に
 コンクール参加者をつぶしてしまうんですね!でも浜崎さんは?」
「今晩中に本当の娘は誰なのか調べあげさせるよ。
 あゆはそれによって行動を決める」
「わかりました・・・・・・・・・・・・」


389 :915:2006/07/09(日) 00:01:19.05 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ57〜






「舞美ちゃん、もうすぐ終わるからごめんね」
「良いですよ、ゆっくりしてください」

私は石川さんに道重さんと一緒に帰るように言われて、
道重さんたちの稽古が終わるまで、
することがないからぼ〜っとしていた。
道重さんたちもいよいよS市での舞台発表が明日なので
下校時間ぎりぎりまで練習している。

その時だった。

「桃子ちゃんの反応出ました!」
「本当!?」
パソコンとにらめっこしていた紺野さんの声に
私や石川さんたちは一斉に紺野さんの周りに集まった。

「こんこん、場所はどこ何だYO?」
「場所は・・・・、杜王港近くの・・・栄米大のゼミナールハウスですね」
「ゼミナールハウス?」
「栄米大の学生がゼミやサークルで使う宿泊兼研修施設ですよ」
「わかりきっていたけどやっぱり浜崎あゆみと鈴木亜美の仕業か・・・」
小川さんと藤本さんがパソコンの画面をにらみながら言った。


390 :915:2006/07/09(日) 00:02:38.28 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ58〜

「あれ?」
紺野さんが首をかしげる。

「反応また消えちゃいました・・・・」
「あ、ホントだ!」
「おい、もしかして桃子ちゃんピンチなんじゃないかYO?」
「その可能性もありますね・・・・」

みんなが画面を不安そうに見つめる。

その時、石川さんが部室を出て行こうとする新垣さんと高橋さんに
気づいて二人を呼び止めた。
「マメ!愛ちゃん!どこ行く気!?」

「どこって、杜王港に決まっているのだ」
「栄高の連中の居場所がわかったんやから
 さっさと乗り込んでぶっつぶすやよ」

この二人、相変わらず過激だあ・・・・・。

「待ちなさいよ、まだ・・・・」
石川さんが止めようとしたその時、

「あ、また反応でました!」
「お、ホントだ!!あれ、でも場所移動してない?」
紺野さんの声に藤本さんが反応する。


391 :915:2006/07/09(日) 00:03:23.39 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ59〜

「はい、これは・・・・ゼミナールハウスから市街地に向けて移動していますね。
 それもこのスピードは・・・・車に乗っていますよ」
「車?まさか浜崎あゆみに捕まってるんじゃないのかYO?」
「さあ、そこまでは・・・・」

チャ〜ンチャチャ、チャチャチャチャ〜ン♪

突然、私のケータイの着メロが会話を遮る。
「あ、桃子からです!」
私はケータイの画面を見て叫んだ。

「ホント?」
「とにかく出ます!」

ピッ

「もしもし!?桃子?」
「あ、舞美?ごめんね、急にいなくなって〜」
「それは良いけど桃子、無事なの?誰の車に乗ってるの?」
「あれ、なんで車に乗ってるってわかったの?
 栄高の連中といろいろあってね。
 結局スタンド使いの変なおじさんが助けてくれたんで
 今はその人の車の中だよ」
「お、おじさん?」


392 :915:2006/07/09(日) 00:04:12.79 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ60〜

ケータイの向こうで
「変なおじさんはひどいなあ、桃子ちゃん、ひっひっひっ・・・」
って、変な笑い声が聞こえた。

「舞美、もものバッグとか荷物どうなった?」
「私が預かってるけど・・・」
「じゃあ帰りに舞美の家に寄るよ」
「あぁ、私今学校だから部室に来てよ。
 先輩とかみんな心配して集まってるから」
「ん〜、わかった〜。じゃああとでね〜」

ピッ

「桃子ちゃん、なんて?」
石川さんが心配そうに尋ねてきた。
「誰かわからないけどスタンド使いの男の人に助けてもらったそうです。
 今その人の車だからとりあえず部室に来るように言いました」
「そう、それが正解ね・・・」


393 :915:2006/07/09(日) 00:04:45.48 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ61〜

「桃子ちゃんの無事が確認出来たんなら
 尚更そこに殴り込みに行くチャンスやね」
高橋さんが言った。
「だから殴り込みは騒ぎになるからまずいって。
 それにもう周りも暗くなってきてるよ。
 みんな帰りが遅くなるのに家の人になんて説明するのよ?
 それ考えたらとても全員で乗り込むなんて出来ないよ」
「でもいつまでもやられっぱなしじゃいけないのだ。
 それに校舎とかじゃないなら周りに人も少ないだろうしこれはチャンスなのだ」
石川さんに新垣さんが反論する。

強硬派の三好さんが休みでまだ良かったなあってちょっぴり思った。

「う〜ん・・・・・・」
みんなが考え込む。
「まあ、ガキさんと愛ちゃんの言う事も一理あるけど、だけどなあ・・・。
 奇襲かけるにはこっちも準備不足だよなあ」
藤本さんが腕を組んでうなった。

と・・・・・・・・・・・・・・・、

カタカタカタカタカタカタカタカタ・・・・・・


394 :915:2006/07/09(日) 00:05:28.27 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ62〜

「テルネット・・・・・・、133.19.255.255・・・・
 ファイヤーオール突破・・・・・・・、ポート・・・・・
 5342・・・不可・・・・・・、5343・・・・・・・成功・・・・・
 スーパーユーザー権限でログオン・・・・・・・
 パスワード解析・・・・、パターン1・・・・・・突破・・・
 スパイウェアインストール・・・・」

突然、ブツブツ言い始めた紺野さんにみんなの視線が集まった。
紺野さんは高速でキーボードを叩いている。

「な、何やってんだYO?」
「乗り込むという考えは否定しません。
 でも石川さんや藤本さんの言うとおり情報や準備は必要です」
「情報?」

カタカタカタタカタタ・・・

紺野さんはさらにキーボードを叩く。

「こんこん、何やってるの?」
たまりかねて石川さんが聞いてきた。


395 :915:2006/07/09(日) 00:06:05.40 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ63〜

「それは・・・・、あ!成功しました」
「何が?」
「やっぱり・・・・・・・・」
「だから何がやっぱりなんだよYO?」

「栄米大のネットセキュリティーはかなり強固に出来ているので
 今まで何回か侵入を試みましたが出来ませんでした。
 でも周辺施設であるゼミナールハウスは管理者もいないし
 セキュリティーレベルが大幅に落ちています。
 そこでそちらの方から侵入を試みて見ました」

「な・・・・・・・・・・」
「こんこん、なんちゅう事を・・・・」
みんな目を白黒させている。

「今、ゼミナールハウスの事務所のパソコンに
 スパイウェアをインストールして乗っ取りました。
 こちらから操作可能です」

「ふえぇ〜」
新垣さんが昭和的なリアクションでびっくりする。

「栄米大文学部3回生浜崎あゆみ名義で明日の夕方まで
 宿泊施設及び研修室を借りてますね。
 浜崎グループ以外に利用者はいないようです」


396 :915:2006/07/09(日) 00:06:38.90 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ64〜

「それなら好都合やがし」
高橋さんが拳を鳴らす。

「そうね、いい加減やられっぱなしも癪だし
 相手の居所がわかっているならチャンスかもね」
「そうだな・・・・。覚悟決めるか・・・」
石川さんと藤本さんも同調した。

「あの〜・・・僕たちは・・・・」
「絵里たちは当然不参加、
 アンタたちは明日大事な舞台があるでしょ」
「え〜、れいな大丈夫たい。
 午前中にちゃっちゃとアイツら倒して
 午後から晴れた気持ちでコンクールにでるっちゃ」
「バカ言わないの!ケガでもしたらどうするの!」
「そうだよれいな。美貴たちにまかせとけって。
 んじゃ梨華ちゃん、明日の作戦練ろうぜ」

そのとき・・・・

ガラガラガラッ!!

「ただいま〜!!!」
ももが脳天気に言いながら入ってきた。


397 :915:2006/07/09(日) 00:07:07.41 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ65〜

「もも!」「桃子ちゃん!」「大丈夫だった?」

みんなが取り囲む。

「はい、ももは大丈夫でしたよ。
 向こうのスタンド使いも一人倒しましたし」
ももがニコニコしながら言う。

「で、その助けてくれたって男の人は?」
石川さんが質問した。

「あぁ、学校ついたらももを車から降ろして
 どっか行っちゃいました」
「何者なの?その人」
「さあ?なんとかって人に頼まれたって言ってましたけど・・・」
「なんとか?」
「なんて言っていたかなあ・・・、忘れました♪」

ももの話を聞いたけど、結局、新しい情報とか特に手に入らなかった。

「まあ仕方ないね。とりあえず今日はもう遅いし解散しましょ。
 高校以上のメンバーとれいなたちコンクールに参加する子は
 明日8時半に学校に集合ね」


398 :915:2006/07/09(日) 00:07:39.96 0
銀色の永遠 〜嗣永桃子は愛故に苦しむ66〜

石川さんの締めでみんな帰宅する事になった。

「あ〜、桃子ちゃん、どうするYO?」
突然、小川さんが何かを思い出して叫んだ。

「どうするって何がですか?」
「桃子ちゃんさ、敵に捕まってこんなにすんなり帰ってくるって
 みんな思っていなかったから、
 お家には舞美ちゃんの家に泊まるって連絡してあるんだロ?」

「あ〜!!そういやあ!」
「あ、そうなの?舞美」
「うん、そうなんだよ・・・・」
「じゃあ、もうママにやっぱり帰るって説明も面倒だしこのまま泊めてよ」
「イヤだよ!だってももってうちの冷蔵庫勝手に開けるじゃない!」
「え〜、そんなことしないよぉ♪」
「ウソだ〜!佐紀ちゃんも雅ちゃんも困ったって言ってたもん!!」

先輩はみんな明日大変だろうけど、
私はとにかく今、ももとの闘いが大変・・・・

TO BE CONTINUED…