658 :915:2006/05/28(日) 23:27:08.73 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう@〜

「あれ、梨華ちゃんいないのか・・・・」
美貴が放課後の部室に入ると、相変わらず中は閑散としていた。
部屋の隅で亀やさゆたちがいよいよ今週末に迫った
演劇コンクールの稽古をしている以外は
何人かがお菓子を食べながら漫画を読んだりしている程度だ。

「なぁ麻琴、今日はいつも以上に少なくねえ?」
「あぁ、中等部の2年は泊まりでスキーの課外授業に行ってるし、
 1年は寺田のおっさんの命令でしばらく集団下校だYO」
「ふ〜ん・・・・・・。梨華ちゃんは?」
「さあ?それよりミキティの方が珍しいZE
 最近出席率良いんじゃねえ?来ても何もしないけどYO!」
「うっせ〜よ」
からかってくる麻琴の質問を苦笑しながら流したけれど
確かに最近美貴の部活出席率は良い方だ。

答は簡単。半分は早く帰っても遊ぶ相手がいないから。
最近、一番の遊び相手であるごっちんと会いづらいんだよね・・・・・・。
その元凶の一つは目の前の麻琴だけど・・・・。

「ん?なんだYO!?」
「なんでもないよ・・・・」

思わず麻琴を見ながらため息をついた。


718 :915:2006/05/30(火) 00:55:45.34 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらうA〜

こんこんと麻琴が栄高との闘いのキーとなる、
3年前の小室学園との闘争を調べるうちに市井紗耶香という女性にたどり着いた。
そこで、こんまこが市井さんを探していると知ったごっちんは
市井さんが闘いに巻き込まれるのを恐れて演劇部に対して怒っている。

でも実際に市井さんを探して話を聞いたのはこの美貴とれいな・・・。

あ〜、こんなことになるんだったらこんこんに頼まれて
S市に調べに行ったりしなければ良かったなあ・・・・・・・・・。
まさかあんな重い話になると思ってもいなかったし・・・・。

今は「ごっちんのことは私に任せて」と言った梨華ちゃんを信用するしかないのだが、
その梨華ちゃんにどうなったのか聞きたいってのが
部室に顔を出したもう半分の理由なんだけど。

「梨華ちゃん来るまで待つか・・・・」
美貴がイスに腰掛けたその時・・・

ガラガラッ

部室のドアを開ける音がしたので
梨華ちゃんかと思ってそっちを見ると・・・・・・・


720 :915:2006/05/30(火) 00:57:22.41 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらうB〜

「あれ、安倍さん・・・・・・・・」
珍しい人が来たもんだな・・・・・。

「こんにち・・・・」
「ちょっと!梨華ちゃんいる!!!???」
麻琴の挨拶は安倍さんの怒鳴り声でかき消された。
みんなが思わず安倍さんを見る。

「さあ、まだ来てないですけど、
 梨華ちゃんがどうかしたんですか・・・・・・・・・・?」
一番近くにいた美貴は恐る恐る安倍さんに聞いた。

「ミキティ〜!聞いてよ!梨華ちゃんってひどくてさ・・・」
安倍さんは美貴に泣きついてきた。

そこへ・・・・
「し〜ら〜たま〜は〜♪、あ、安倍さん!ぐっちゃ〜!!」

のんきそうに入ってきたのは当の梨華ちゃん・・・・。

「あ〜!!!梨華ちゃん!!!アンタひどいべさ!!!!!!」
梨華ちゃんを見た安倍さんは梨華ちゃんにつかみかかろうとした。

「へ?どうかしました?」
「どうもこうもないでしょ!!!
 アンタがちゃんと言ってくれないからなっち大変だったんだから!!!」
「ちょ、ちょっと、安倍さん!
 練習している子たちもいるから・・・・・」
美貴と麻琴はとりあえず安倍さんをなだめて梨華ちゃんと4人で廊下に出た。


59 :915:2006/05/30(火) 20:54:50.42 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらうC〜




「「え〜!!!!!!!!」」




美貴と麻琴は思わず声をそろえてびっくりした。
「ね!ひどいべ?梨華ちゃん何も言ってくれないから・・・・」
「え〜、そうですか〜?」
梨華ちゃんは不思議そうな顔をしている。

だけど・・・・・・・・、こいつ絶対わざとだ・・・・・・・・・・・・!!!

安倍さんの話はこうだった。
受験が終わって一息ついていたところを
梨華ちゃんに突然、ごっちんへの伝言を頼まれたと言うのだ。

伝言内容は
「演劇部員が偶然S市のライブハウスで市井さんと会った」
ということ。

市井さんが結婚してS市に移り住んだ事までは聞いていた安倍さんは単純に
「あ、紗耶香の居場所わかったからごっつぁんに教えてあげてって事なんだな」
と思って、ごっちんにそのまま伝えてしまったらしい。


760 :915:2006/05/30(火) 20:55:29.78 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらうD〜

市井さんを探すなとこんこんと麻琴に警告していたごっちんは当然大激怒。
怒り狂うごっちんを見た安倍さんはそこで初めて、
市井さんと会った事と栄高とのもめ事が結びついて大あわて。

「いや、なっちもアミーゴから電話あったし、
 アンタたちが今、浜崎あゆみとかとやりあってるのは知ってたけどさ、
 その話と紗耶香が関係あるなんて全然言ってくれなかったじゃない!!!
 なんでなっちがごっちんに怒られなきゃいけないのよ〜!!!」
「え〜、そんなつもりなかったんですけど〜」
梨華ちゃんは身体をくねくねさせて言い訳した。

梨華ちゃんの狡猾なところはもう二つある。

一つは、梨華ちゃんの伝言自身に『嘘はない』ということだ。
たしかに美貴とれいなは『偶然S市のライブハウスで市井さんと会った』。
市井さんを探していたけれど、市井さんといきなり会ったのは確かに『偶然』だった。
その意味で、安倍さんにお願いしたごっちんへの伝言は
言葉足らずではあるけれど、たしかに、『嘘はない』事になる。

もう一つは梨華ちゃんは
「『演劇部員が』偶然S市のライブハウスで市井さんと会った」
と安倍さんに言ったこと。その上で、梨華ちゃんは安倍さんには
会ったうちの一人がれいなであったことをそれとなく会話中にばらしておいたのだ。


761 :915:2006/05/30(火) 20:56:11.33 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらうE〜

伝言を聞いた激怒するごっちんは当然、直接警告したこんこんと麻琴が
会ったものだと思って二人の名前を挙げて非難する。
そこでれいなの名前を梨華ちゃんにさりげなくインプットされていた安倍さんは
「え、会ったのは田中っちって聞いたけど・・・」となる。
そうなるとごっちんも当然「あれ?」って戸惑ってしまうし、
安倍さんも『偶然』という言葉に引きずられて、
「たまたまS市のライブハウスに来ていた田中っちが
 偶然紗耶香と会って、栄高と抗争中だから3年前の話が知りたかったところだし、
 ちょうど良いやってことで紗耶香に話を聞いたんだ」
と言うストーリーを脳内で作ってしまう。

普通に考えたらこんこんと麻琴に頼まれたれいなが市井さんを探したという
ストーリーにたどり着いてもおかしくないのだけど・・・・。

完全に思いこんだ安倍さんは先輩という立場上もあって、
梨華ちゃんやこんこん、麻琴、そして市井さんに会ったれいなを
かばってごっちんに弁明するしか選択肢がなくなる。
ついでにいうと、ごっちんと接点の無いれいなの名前しか出さず
美貴の事は言わない事で今後の事実発覚をさらに防ぐ効果もある。

梨華ちゃんは安倍さんに嘘は言っていない。
意図的な言葉足らずで安倍さんに勝手に思いこませて、
その上でごっちんの批判を全部安倍さんに対応させ、
さらに安倍さんの思いこんだストーリーに沿って弁明させたんだ。


762 :915:2006/05/30(火) 20:56:38.62 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらうF〜

重ねて、安倍さんも意図的に嘘をついたわけじゃない。
事実と違う事と勝手に思いこんで勝手に弁解しているだけだ。
嘘とわかっている弁解よりも
事実と違ってもそのことを知らない本心からの弁解の方が強いのは当然。

あとで聞いた話だけど、ごっちんと安倍さんって
演劇部の元2大エースって事で
当時から仲が悪そうに見えていたし結構喧嘩もしていたので
周りは仲が悪いと思っていたけれど、意外なことに事実は逆で、
例の矢口さんと3人で遊びに行ったりと、案外仲が良かったらしい。

その事も計算に入れての梨華ちゃんの策略なんだろう。

「で、ごっちんはなんて言ってました?」
梨華ちゃんは安倍さんをなだめながら質問した。

「ん、ん〜っと、とりあえず納得してくれたよ。
 してくれたって言うかなっちがさせたんだけどね!
 ごっつぁん、紗耶香は闘う事が出来ないんだから絶対近づくなって言ってたよ。
 あと、栄高との事に巻き込むなって」
「了解ですよ、安倍さん」
「了解じゃないだべ、まったく・・・・・・・・・・」

梨華ちゃんってホント策士だな・・・。
自分はまったく労力使わずに丸く収めちゃったよ。


39 :915:2006/06/01(木) 20:31:22.56 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらうG〜

「じゃあ後藤さんの事は一件落着って事で、
 安倍さんにもう一つおうかがいしたいんですけど・・・・」
こんこんが安倍さんに話しかけた。

って、いつの間にいたんだよ・・・・・。

「何?ってこんこんいつの間に・・・」
安倍さんも苦笑した。

「演劇部って過去のスタンド使いのデータをファイルしてありますけど、
 鈴木亜美のデータ読んでもイマイチ意味が分からないんですよ。
 安倍さんがどうやって勝ったかも書いてないし。
 そこら辺を教えていただければありがたいんですけど」
「あ、そうだ。美貴も鈴木亜美の能力は興味あるな。
 どうせやりあわなきゃいけないんだろうし、安倍さんの勝ち方って興味あるな」
美貴もこんこんに続いた。

あの膨大な演劇部の資料の中で、肝心の鈴木亜美のデータだけが不完全。
それには何か重大な秘密が・・・・・・・・・・・・。

みんな興味津々に安倍さんを見る。

「あぁ、それは簡単な話だべ」
安倍さんはみんなを見渡した。


40 :915:2006/06/01(木) 20:31:58.52 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらうH〜








「なっちが書くの忘れてたから」








ズコッ
思わず4人で昭和のリアクション!

「あ、安倍さん!!!???」


41 :915:2006/06/01(木) 20:32:32.24 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらうI〜

「だってめんどうくさかったんだもん〜」
「めんどうくさいって・・・・・・・・」
梨華ちゃんも頭をかきながら立ち上がった。

「実際、アミーゴの能力って説明難しいし・・・」
安倍さんは3年前の事を語り始めた。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「よく逃げないで一人で来たわね」
「お互いね」
誰も来ない杜王港の倉庫裏でなっちとアミーゴはにらみ合った。

『弓と矢』を取り返し、また、ごっつぁんらのがんばりで
小室学園からの新手のスタンド使いを次々と撃破し、
アミーゴは窮地に立たされていた。

とは言っても演劇部ももういっぱいいっぱいだった。
紗耶香のような犠牲も出ていたし、すでに何人も退部していた。
残った部員もそれぞれ心や身体にしこりや傷を残していた。
寺田先生は新入部員を4人入れたけれど、
これ以上誰かを巻き込みたくなかったし、
そもそも彼女らはまだ戦力と言えるほどじゃなかった。

そんな時にアミーゴの方から一対一で勝負を申し込んできた事は
なっちにとっても演劇部にとっても渡りに船だった。


97 :915:2006/06/02(金) 22:45:34.96 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらうJ〜

「最後にもう一度だけ勧告しておく。
 おとなしく『弓と矢』を渡して降参すれば
 もうこれ以上アンタたちには手を出さないよ」
「そんなこと言い出す地点で苦しいって白状しているようなもんだよ、アミーゴ」
「それは・・・拒否って事で良いんだね・・・・・・・・」

アミーゴが言ったその時だった。
なっちの背後の空間が歪み、突然アミーゴのスタンド『AROUND THE WORLD』が出現した。
空間から上半身だけ出てきた『AROUND THE WORLD』がなっちに殴りかかるッ!

「ちぃッッッッッ!!!!!!!!」

ガシイイイイイイイイイッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!

気配を感じたなっちはとっさに後ろを振り向くと、『チェイン・ギャング』で
『AROUND THE WORLD』の拳を受け止めた。

「さっそく不意打ち?相変わらず根性悪いね」
なっちはそう言うとアミーゴをにらんだ。
アミーゴの側にはもう一体、『AROUND THE WORLD』が立っていた。


98 :915:2006/06/02(金) 22:46:06.66 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらうK〜

「違うよ。私は安倍にサービスしてやろうと考えている。
 そしてその考えは少なくとも5分以内に変わらなかったと言うこと。
 だから上半身まで出してたっぷり姿を現したでしょ?」
アミーゴが言うと、なっちを襲った『AROUND THE WORLD』は
空間の中に消えていった・・・・・・・。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「へ?」
「どういう事ですか?」
その場にいた全員が首をかしげた。
美貴も安倍さんの言っている意味がわかんなかった。

「なっちはアミーゴと何回か闘っていてね。
 だからお互いの能力は知っているのよ」
「鈴木亜美のスタンドは二体いるって事ですか?」
美貴は安倍さんに質問した。

「違うよ、『AROUND THE WORLD』は一体しかいないよ。
 鈴木亜美の『AROUND THE WORLD』は近距離パワー型のスタンドで
 別に分身したりも出来ないし」
「???????」

みんなますます混乱した。

「話を聞いていると空間に穴を開けるとかそんな感じの能力ですか?
 紺野の『ニューオーダー』や亀ちゃんと闘った栄高の嘉陽って人がそうですけど。
 ただ、資料には『時間を操る』って書いてありましたね」
こんこんも言った。


99 :915:2006/06/02(金) 22:46:39.74 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらうL〜

「なっちはこんこんの能力をよく知らないけど、
 それだけじゃあアミーゴの能力すべてを説明したことにならないよ」

安倍さんは続けた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「あっそう」

なっちはバカにされたことにちょっとむかっとしながら
後ろ歩きでアミーゴと距離を取る。

「アンタってバカ?せっかくハンデあげてるのに
 人の好意はおとなしく受けるもんだよ」
アミーゴはそう言いながら、なっちがさっき立っていたポイントまで歩いてきた。

「あいにくハンデなんていらないんでね」
「私に負け続けている女がよく言うね。はっきり言ってむかつく!」
憎々しげに言いながらアミーゴがなっちのいたところで止まると、
『AROUND THE WORLD』の目の前にさっきと同じような空間の歪みが生じる。
そして、『AROUND THE WORLD』はその歪みの中に上半身を突っ込んだ。

「ホントに良いんだね・・・・・・」
「ハンデはいらないって言ってるべさ」
なっちが返事している間に、『AROUND THE WORLD』は
空間の歪みから身体を出してきた。


100 :915:2006/06/02(金) 22:47:20.16 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらうM〜

「これでサービスタイムは終わり・・・・・・。
 あとは後悔しながら『AROUND THE WORLD』の
 能力の前にひれ伏すだけだ、安倍なつみイイイイイッッッッッ!!!」

アミーゴは叫ぶと『AROUND THE WORLD』がなっちに殴りかかってきた!!!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ますますわかんないんですけど・・・・・・・・」
梨華ちゃんが困った顔で言った。

「アミーゴの能力はね、さっきこんこんも言ったけど時間を操る能力なのよ。
 あ、操るって言ったら語弊があるかな」
「でもそれだけじゃ『AROUND THE WORLD』が二体いたことは・・・」
「梨華ちゃん、まぁ最後まで聞きなって。
 『AROUND THE WORLD』が開けているのは普通の空間じゃなくて時空間なのよ」

「「「「時空間???????」」」」
美貴達はおもわず声をそろえた。


145 :915:2006/06/03(土) 21:58:01.73 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらうN〜

「そう、時空間。『AROUND THE WORLD』は時空間に穴を開けて、
 過去に移動する事が出来る能力なのよ」

安倍さんは説明を続けた。

「さっきの話で言うと、なっちを後ろから襲って
 上半身だけ空間から出てきた『AROUND THE WORLD』は
 30秒後、上半身だけ空間につっこんでいた『AROUND THE WORLD』なのよ」

やべえ、美貴は安倍さんが何言ってるかわかんないよ・・・・・。

「つまり、スタンドが過去にタイムスリップすることが出来るってわけですか?」
こんこんが聞いた。
「まあそんなところかなあ。タイムスリップってのとはちょっとニュアンスが
 違うかもしれないけどとりあえずそう表現しておくね。
 空間に歪みをつくって、そこから身体をつっこんで
 過去に出現することが出来るんだよね、『AROUND THE WORLD』は。
 だから、未来のアミーゴが過去のアミーゴを助けるって事になるね」

うげ!何その能力!

「それまでなっちがアミーゴに負けたのもね、
 いくらなっちがアミーゴに対して有利に闘っていても、
 ここぞってところで未来からタイムスリップしてきて肝心なところで邪魔してくるからね、
 それでどうしても勝てなくてね。
 なんせ向こうは勝負どころがわかってるわけじゃない?」
「はあ、じゃあ鈴木亜美の言うサービスってどういう事ですか?」
こんこんが重ねて質問した。


146 :915:2006/06/03(土) 21:58:42.33 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらうO〜

「うん、それがアミーゴの能力の一番肝心なところで、かつ、ややこしいところなんだけどね、
 タイム・パラドックスって知ってる?そこから説明しなきゃいけないんだけど・・・」
「え〜っと、よく映画とか漫画で聞きますネ・・・・」
「なんだったっけ、そうそう。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だ!」
美貴は麻琴の言葉に子供の頃見た映画を思い出して言った。
「たしか、主人公が両親の出会いを邪魔しちゃうんだよね。で、両親が結婚しなくなっちゃう。
 このままじゃ自分が生まれてこなくなるからってので
 両親をくっつけるためにがんばるってストーリーだったね」

「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』はタイム・パラドックスを克服しようって物語ですね。
 そもそも、タイム・パラドックスの説明で一番わかりやすいのが『親殺しのパラドックス』という

ものです。
 つまり、過去にタイムスリップして自分が生まれる前に自分の親を殺したら、
 自分は生まれなくなる。じゃあ親を殺したのは誰?という矛盾が生じる事です。 
 これに対して様々な物理学者やSF作家らがタイム・パラドックスを説明しようとしてきました」
美貴の言葉をこんこんが続けた。

「相変わらず難しい事知ってるね・・・」
安倍さんがちょっと苦笑いしている。


147 :915:2006/06/03(土) 21:59:08.87 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらうP〜

「物理学者なんかには、『だからタイムスリップは不可能だ』って結論づける人もいます。
 それに対して映画や漫画、SF小説などでは主に4種類の考え方が提示されました。
 一つ目は『過去は変えられない』という考え方。
 映画『ターミネーター』で未来から殺人ロボットが未来の英雄の母親を殺しに来ますが
 結局その目的は阻止されて目的は果たせませんよね。
 それだけじゃなく、実は未来から母親を助けに来た男は未来の英雄の父親になる男だった。
 つまり、何も変わっていないどころか、タイムスリップは未来を変えないために
 必要な行動だったって考え方です」

「結局がんばっても未来を変える事は出来ないって事かYO?」
「まあそういう事だね。これは運命論的な考え方です。
 タイムスリップしてきて起こした結果すらも予定されていた結果だって言ってもいいかな?
 次に二つ目は過去を変えると未来も変わるという考え方です。
 さっきミキティが言った『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、
 時間とともに主人公の身体が消えそうになっていました。
 これは過去を変えた事によって主人公が存在しないようになってしまったからです」

「でもそれだと、さっきこんこんが言った『親殺しのパラドックス』ってのになるんじゃないの?」
梨華ちゃんが質問した。
「そうです。映画でも、もしあのまま主人公が消えてしまっていたら
 結局両親の出会いを邪魔したのは誰だったんだ?って事になりますよね。
 その意味でタイム・パラドックスを克服したとは言い切れていないと思います」


148 :915:2006/06/03(土) 21:59:36.60 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらうQ〜

「じゃあ三つ目は?」
「三つ目は、過去を変える事は出来るけど、大きな歴史は変えられないという考え方です。
 一つ目とちょっと似ているかなと思いますけど、
 『ネコドラ君』はのび太君の子孫のセワシ君が
 悲惨な人生を送っているのび太君の未来を変えるためにネコドラ君をつれてくるって話です。
 で、のび太君は未来を変えたら君もいなくなるんじゃないの?ってセワシ君に質問するんですが、
 それに対して、過程は変わっても最終的な結果は変わらない、
 東京から大阪に行くのに電車を使わず車を使っても結局到着するようなもの、という説明をしてい

ます。
 でもこれって本当なんでしょうかね?実際にのび太君の結婚相手が変わっちゃってますからねえ。
 それに映画版なんかではよく『タイムパトロール』という
 過去をかえないように見張っている警察が登場していますが、
 これはさっき説明した二つ目の考え方と同じだと思います。
 その意味ではよくネコドラ君は捕まりませんね」
こんこんは笑いながら説明した。


149 :915:2006/06/03(土) 22:00:05.23 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらうR〜

「なんか難しいな・・・・・。四つ目は?」
美貴、頭が痛くなってきた・・・・・。

「四つ目は、過去を変えた地点で時間軸が分岐するという考え方です。
 藤本さんも紺野も好きな『セクシーボールZ』で未来からトランクスがやってくる話ありますよね

?」
「あぁ、セル編だよね」
「あの中で、セルを倒したトランクスは未来に帰るんですが、
 そこは依然、人造人間に支配された世の中なんですよね。
 未来は何も変わっていない。トランクス自身もそう説明していました。
 トランクスの目的は自分が暮らしている未来を変えるんじゃなくて、
 過去で人造人間と闘う事で彼らを倒すヒントを得るためと言っていましたし。 
 つまり、トランクスが未来からやってきて孫悟空に薬を渡した地点から
 セルが倒されて平和になった世の中と、人造人間に支配された地獄のような世の中という
 二つの時間軸が生まれるという設定です。
 だからこの説ではタイム・パラドックスは生じないというか矛盾という概念が無くなりますね」

「こんこんの説明だと、三つ目がアミーゴの能力を説明する上で近いかな」
こんこんの難しい講釈が終わって、やっと安倍さんが話を引き取った。


187 :915:2006/06/04(日) 18:57:23.91 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらうS〜

「さっきの場面で言うと、現れたのが0時00分とすると、その段階で、
 『未来のアミーゴが上半身だけタイムスリップしてきてなっちを攻撃する』
 って事実ができあがるよね?」
「そういうことになりますね」

「アミーゴの能力は5分前までタイムスリップする事が出来るの。
 でもそれは逆に言うと、0時00分から0時05分までに、上半身を時空間につっこんで
 過去にいかなければならないって義務が生じるわけ」

「義務、ですか・・・・?」
美貴は慎重に考えながら質問した。

「そう、義務。自分の能力が有効な時間内に
 決められた動作をしないと、0時00分に現れたのは何だ?って話になるでしょ?」
「あ、サービスってそういう事ですか。
 義務を遂行しないとタイム・パラドックスが生じるってわけですね」
こんこんがうなずいた。

「そういうこと」
「こんこん、安倍さん、私わかんないです・・・」
「美貴も・・・・」
「アタシはなんとなく・・・・・・・・」

こんこん以外の三人はまだピンとこないような顔をした。


188 :915:2006/06/04(日) 18:57:56.02 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう21〜

「じゃあもうちょっとわかりやすく言うね。
 アミーゴとなっちが闘っていて、なっちがチャンス!って時に
 突然空間から未来の『AROUND THE WORLD』がタイムスリップしてきて
 なっちの邪魔をしたり、アミーゴを助けたりする、
 それが『AROUND THE WORLD』の能力なわけ。それはわかる?」
「はい」
「まあそこまでは・・・・」

「アミーゴはそれで助かったのは良いけれど、
 そこから今度は自分が『AROUND THE WORLD』を過去に
 タイムスリップさせる必要が出てくるわけ。
 でないとタイム・パラドックスが生じるからね」
「ですね、それはわかりました」
「その時間ってアミーゴにとっては大きな隙だよね」
「目の前に安倍さんという敵がいるのに、過去に『AROUND THE WORLD』を
 タイムスリップさせるって事はその間、
 鈴木亜美が無防備になることを意味していますね。
 つまり鈴木亜美は5分以内に無防備な時間が
 出来るというサービスを安倍さんに与えたと。
 でも安倍さんはそのサービスを拒否して、
 鈴木亜美が0時00分に『AROUND THE WORLD』を
 タイムスリップさせるのに十分な時間をあげた。そういう事ですね」
「うん、こんこんの言うとおり」

「あ〜、なんとかわかってきたかな」
美貴は必死になって頭を回転させた。


189 :915:2006/06/04(日) 18:58:48.53 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう22〜

「だからアミーゴも普通に闘っている時は過去に
 タイムスリップさせるのは腕一本だけとかなんだよね。
 『AROUND THE WORLD』の身体がまるまる出てくるなんて
 それはもう5分以内に相手を倒して充分時間があるか、
 仲間がタッチしてくれて、自分はフリーな状態ってくらいしか考えられないね」

「はぁ〜、複雑な能力っすネ。
 じゃあ安倍さんはアミーゴをどうやって倒したんっすカ?」
「まあ一言で言うと気合いと力業かな」
「気合いと力業・・・ですか」
美貴は思わず苦笑いした。

「鈴木亜美を一撃で倒して再起不能にした上で5分以上気絶させたとか」
梨華ちゃんが言った。
「お、それなら確かに関係なくなるな」
「梨華ちゃん、ミキティ、アミーゴはそんな甘い相手じゃないべ。
 パワーもスピードもトップクラスだしね。能力使わなくても強すぎる相手だよ。
 だから、確かに最後は再起不能にしたら5分とか関係なくなるけど、
 フィニッシュまでにどうしてもそれなりの時間はかかっちゃうし、
 その間に向こうが能力使おうって思う機会は何回かあるべさ」


190 :915:2006/06/04(日) 18:59:19.65 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう23〜

「じゃあどうやって勝ったんですか?」
「その前に。実際さ、アミーゴの能力って突き詰めると鶏が先か卵が先かなんだよね。
 確かに絶妙なタイミングで未来からやってきてアミーゴに有利なように
 干渉してくるけどさ、未来から見たら、なんでアミーゴは過去のその時間に
 『AROUND THE WORLD』を送るのかって話なんだよね。
 普通に考えたら、例えば0時00分がアミーゴが
 ピンチもしくは逆にチャンスの瞬間であることを
 0時05分までのアミーゴが知っているからなんだけど、
 でもアミーゴにしたら『0時00分に未来の自分から援助が来た。
 だから0時00分に援助に行かなければいけない』って義務でやってるんだよね」
「はあ・・・・・・・・」

「だからさ、繰り返すけど0時00分に未来からのイベントが発生した地点で、
 アミーゴはもう5分以内に『AROUND THE WORLD』の能力を使わなきゃいけないわけ」
「そうしなきゃタイム・パラドックスになるんですよね?」
「うん、それでもし5分以内にタイムスリップをやらなかったらどうなると思う?」
安倍さんはみんなを見渡した。

「どうなるんですか?」
梨華ちゃんが代表して聞いた。
「それはね・・・・・・・・・・」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「し、しまったッッッッッッッッ!!!!!!」

アミーゴは地面の亀裂に足を取られた!


191 :915:2006/06/04(日) 19:00:28.57 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう24〜

これが2年後、柴田あゆみ相手にも使ったなっちの得意技、相手に気づかれない間に
地面に亀裂を作って相手の足をハメてしまうという戦法!!!!

お互い、死力を尽くした闘いは二人の限界ギリギリのところで続いていた。

「決めるべさアアアアアーッ!!!!!!!!」
なっちはアミーゴに殴りかかろうとした・・・・

「ふっ、ここで来たか・・・・」
アミーゴがにやっと笑う・・・・・・・・・。

「うぐッッッッッッ!!!!!!!???????」
アミーゴを追いつめたはずのなっちはそこで動きが止まる・・・・。
お腹には空中から生えてきた未来の『AROUND THE WORLD』の拳がめり込んでいた・・・。

「ピンチは最大のチャンスってね。これで決まったね・・・・」
アミーゴが亀裂から足を引き抜きながら言った。

「げふ・・・・・・ッ、そ、そうだね。ピンチは最大のチャンスだべ・・・・」
「安倍、てめえ何を・・・・・・・はッ!!!!!!!!」


6 :915:2006/06/05(月) 23:50:59.57 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう25〜

なっちは『チェイン・ギャング』で時空間の中に消えていこうとする、
自分のお腹を殴った未来の『AROUND THE WORLD』の腕をつかんだ!!!

「て、てめえ、何を!!!!!!!!」
アミーゴはあわててこっちに走り寄ってきた!

「オラアアアアアッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!」
両手で未来の『AROUND THE WORLD』をつかんでいる『チェイン・ギャング』の
ノーガードの顔面を現在の『AROUND THE WORLD』が殴りつける。

「ぐふうううッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!」

ドガシャアアアアアアアンンンンンンンッッッッッッッッッ!!!!!!!

なっちは激しく吹っ飛んだ!

未来の『AROUND THE WORLD』の腕が時空間の中に消えていく・・・・。

「ふざけたマネを・・・ッ!!!!!!!!!」
なっちを吹っ飛ばしたアミーゴは距離があるうちにと、
そのまま時空間に腕を突っ込んで、わずか数秒前に腕を送ろうとした。

「させねぇべさアーッッッッッッッッ!!!!!!!!」
なっちは痛みをこらえてすぐに立ち上がってアミーゴに襲いかかるッ!

ガシイイイイイイイイッッッッッッッッ!!!!!!!


7 :915:2006/06/05(月) 23:51:46.94 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう26〜

アミーゴはあわてて時空間に突っ込もうとした
『AROUND THE WORLD』の右腕で『チェイン・ギャング』の左拳をガードする。
もちろん、拳に触れると『チェイン・ギャング』の能力を食らうので
腕の部分でつばぜり合いの形に持って行ってだ。

なっちはとっさにその左手でガードしてきた
『AROUND THE WORLD』の右手をつかんだ!!

「安倍、てめえッッッッッッ!!!!!!!」
『AROUND THE WORLD』は左手刀で『チェイン・ギャング』の左腕を払い落とそうとする。

「させねぇって言ってるべさああああああーッッッッッッッッ!!!!!」

今度は右手で『AROUND THE WORLD』の左手をつかむ!

ドガッ!!!

そして、両手がふさがった段階で
『AROUND THE WORLD』の顔面に頭突きをかました!!!

「ぐあッ!」
アミーゴが一瞬ひるむ・・・・・・・・
その隙に、なっちはつかんでいた両手ごと『チェイン・ギャング』で
『AROUND THE WORLD』をベアハッグの体勢に持って行った。


8 :915:2006/06/05(月) 23:52:29.67 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう27〜

「てめえ、何考えてんだよお〜ッ?」

ドゴッ!!!

「うぐッ・・・・・!!」

今度は『AROUND THE WORLD』が『チェイン・ギャング』に頭突きをかましてきた。
なっちは一瞬ひるむけれど、両手のフックを離さない!

「何考えているんだろうねえ〜ッ!!!!!!!」

ドグシャッ!!!!

お返しとばかりに今度は『チェイン・ギャング』の頭突きの番!

ドタアアアアアアアアアッッッッッッッッッ!!!!

そのまま二人はもつれて倒れ込んだ!!!
なっちはスタンド同士と同じようにアミーゴに抱きつく。

「離せッ!!離せっつてんだよおッ!!!」
グランドの状態でアミーゴはバタバタする。

なっちはそのままの状態で両足を相手の足に絡ませると
『チェイン・ギャング』を回転させた。
『チェイン・ギャング』は『AROUND THE WORLD』ごと転がって
さっきの未来からの『AROUND THE WORLD』出現ポイントから外れていく・・・・。


54 :915:2006/06/06(火) 21:56:20.80 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう28〜

過去の『AROUND THE WORLD』の出現ポイント(出口)と
現在の『AROUND THE WORLD』を過去に送るポイント(入口)は
必ずしも同じ場所でなければいけないというわけではない。
だけど、その最大距離は半径2メートル。
そして・・・今現在の間隔はギリギリ2メートルを越えた!

「い、意地でも離さないべ・・・・・・・・・・。
 さっき、なっちは何秒くらい『AROUND THE WORLD』をつかんでいた?
 5秒?7秒?いや、殴った時間も含めたら10秒は出現していたかな・・・・・・」
「安倍・・・・、てめえまさかこのまま残り4分半粘る
 つもりじゃないだろうなあ?」
「さ、さあね・・・・・・・・・・」
「パワーは私の方が上なんだよ!!!
 夢見てんじゃねええええッッッッッッッ!!!!」

『AROUND THE WORLD』は今度こそ右手を引き抜いてフリーな状態にした。

「離せよおッッッッッッッ!!!!!!」

ドガッ!!ドガガッッッッッッッ!!!!!!!

『AROUND THE WORLD』が上になった状態で
『チェイン・ギャング』の肩を激しく叩くッ!!


55 :915:2006/06/06(火) 21:56:46.65 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう29〜

「は、離すもんかあ・・・・・・ッ!!」
「てめえッ!時間すぎたらどうなるかわかってんのか!?」
「さ、さあね・・・・・・・・・・・・・。
 でも、アミーゴ必死になってるからさ・・・・、
 タイムリミットをすぎるとアミーゴにとってよくないことが起きるって
 事だけは間違いなさそうだからね・・・・」
「ふざけんなあアアアアアアッッッッッッッ!!!!!!」

ドゴッ!ドグシャッ!!!

『AROUND THE WORLD』はフリーになった右手で
『チェイン・ギャング』をひたすら殴り続ける!!

残り3分・・・・・・・・・!!!!

さすがに疲れたのか、アミーゴは手の動きを止めた。
「なあ、安倍さあ・・・・・・・・・・・・、
 アンタ、この体勢であと何分保つと思ってるんだ?
 いっとくけど、確かにアンタのスタンドはパワー型で破壊力も大きい。
 でもスタンド能力として亀裂を作るその能力がすごいのであって、
 物を持ち上げたりする力そのものが飛び抜けているわけじゃないだろ?
 その点でアタシのスタンドに負けているんだよ!!」
「そんなご託並べてるくらいならさっさとふりほどきなさいよ」
「調子に乗りやがってッ!!!」


56 :915:2006/06/06(火) 21:57:46.59 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう30〜

アミーゴは身体を左右に振る。
と、なっちはそのアミーゴの力を利用してお互いの身体を回転させ、
なっちの身体を上に持っていった。

「なっちが上になったね・・・・・・・・」
「だからどうしたア!」
「じゃあ言い方変えるべさ。なっちの手の甲が下になって地面にひっついたね」
「だからどう・・・・・・・」

「最大パワーの『チェイン・ギャング』ッッッッ!!!!!!!!」

なっちは手の甲にスタンドパワーを思いっきりこめると
抱きしめたアミーゴごと地面を叩いたッ!

ドドドドドドドドドドドドドドド・・・・・・・・・・ッッッッッッ!!!

「しま・・・・・・くそおォォォ!!」

なっちたちの寝転がっている真下の地面に大きな亀裂が生じて二人を飲み込む!

二人は亀裂の中に落ちていった!!

ドシャアアアアアアアッッッッッッッッッッッ!!!!!!

残り2分半!!


57 :915:2006/06/06(火) 21:58:33.46 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう31〜

「へへッ、2メートルは掘れたかな。
 これでまた距離が出来たね・・・・・」
「ふざけ・・・・、いや、今度はこっちに有利に働いたようだねッ!!」
アミーゴはにやっと笑った。

二人の1メートルほど先の空中に突然『AROUND THE WORLD』の右手が出現する。

ドガッッッ!!!!!!

未来から出てきた『AROUND THE WORLD』は亀裂の奥に見える何かを殴った!

プシャアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッ!!!!

突然激しい水が噴き出す!!

「へッ、やっぱりツキはアタシの方にあったね・・・。
 まさか水道管がちょうど埋まっているとはね。
 普通なら届かない距離だけど、『AROUND THE WORLD』なら
 2メートル先まで出現させることが可能だからな!!!!!」
右手を時空間に突っ込んで、さっきの動作を行っている最中の
アミーゴが言ってる間にも、亀裂の中はどんどん水がたまっていく!!

残り2分!!!

「さあ、水没するのが先かな?
 いや、人間の身体って案外浮くもんだからね、
 ほっといても地上に連れて行ってくれるかな」
二人の身体が徐々に水の中で重さを無くして浮き上がっていく・・・・。


58 :915:2006/06/06(火) 21:59:06.81 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう32〜

「だから・・・・どうしたべさ!!!!!!!!」
なっちはアミーゴに絡めていた足を外して亀裂の奥の細いところに突っ込んだ。
まるで、海に放り投げたいかりのように、なっちの足がひっかかり、
二人が水に浮かぶのを防ぐ!!

「テメエッ!どういうつもりだ!!!!!!」

「アミーゴ・・・、アンタ、『覚悟して来てる人』だよね?
 人を『始末』しようとするって事は
 逆に『始末』されるかもしれないという危険を、
 常に『覚悟して来ている人』って事だよね・・・・?」
「安倍・・・・・!!」
「お互い、いろんなものを背負い過ぎちゃったよね。
 いろんなものを、いろんな人を傷つけてここまで来ちゃった。
 だから・・・・、なっちは・・・・
 すでに『覚悟』しているんだよおッッッッ!!!!」

なっちは力を振り絞ってアミーゴごと水の中に自分の身体を押し込む!!

「てめえ!!!自分ごとおぼれさせるつもりかアアアアアアアッッッッッッ!!!!」

ゴボゴボゴボゴボゴボゴボ・・・・・・・・・・・


100 :915:2006/06/07(水) 23:26:05.38 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう33〜

さ、さあ、どれくらい保つかな?
普段だったら2分くらいは水の中に潜っているくらい出来るかもしれない。
でも、こんなにケガをして激しく動いていたら・・・・

そんなことを考えていた時だった。

「!!!???」

なっちはびっくりした。そして、自分の失敗に気づいた。
アミーゴは突然抵抗をやめてぐったりと動かなくなったのだ!

アミーゴとの勝負の分かれ目はもう「どっちが意地を張り通せるか」
になってしまっている。
だからなっちは『覚悟』をアミーゴに見せつけた。
自分の『覚悟』を見せつける事で精神的に有利に立とうとしたんだ。

だけど、それは大きな間違いだった。

仮にも小室学園のエース、そして、百戦錬磨の強者!!
そのプライドに火をつけてしまった・・・・・・・・!

なっちの一言で本来の格闘センスを思い出したアミーゴは、
力を抜いてひたすらじっとしている。

なっちの方が攻撃を受けていてダメージも大きいし、
何よりもこうしている今もアミーゴを捕まえていなければいけないから
力を込めている分消耗が激しい。


101 :915:2006/06/07(水) 23:26:46.64 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう34〜

その間、アミーゴはひたすら体力の温存に努めて、
なっちが呼吸が出来なくなってアミーゴを抱きしめている手の力が
抜ける瞬間を待っているんだ!!

やばい、そうしている間にもどんどん苦しくなっていく。
残り、まだ1分はある。保たない・・・・・・・・・・・・・・。

なっちは永遠に感じられるくらいの時間を水中で過ごした。

意識が・・・・・・・・・遠くなっていく・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

手のフックが一瞬甘くなる・・・・・・・・・・・・・・・。

「今だッッッッッッッッッッ!!!!!!!!」

アミーゴはその瞬間を見逃さなかったッ!
『AROUND THE WORLD』は『チェイン・ギャング』の腕をふりほどいた!!!

「終わりだ、安倍なつみイイイイイイイイイイッッッッッッ!!!!」

ガキッ!!!!!!!

『AROUND THE WORLD』がふりほどいた勢いで
『チェイン・ギャング』の拳が狭い亀裂の中で、側面に激しくぶつかる!!!

「あははははは!!!!!私の勝ちだッ!!!!!」
アミーゴは水面を上昇して逃げようとした。


102 :915:2006/06/07(水) 23:27:32.23 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう35〜

その時だった。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッッッッッ・・・・・・・・・

突然、二人が沈んでいた亀裂内部の水が引いていく!

「なッ?????????」

水面はたちまちなっちの顔の高さまで下がってくる・・・・

なっちは何十秒ぶりかで息を吸い込むッ!!!!!!!

「アミーゴ、アンタがさっき『チェイン・ギャング』をふりほどいた時に、
 『チェイン・ギャング』の拳が壁にぶつかったんだよね・・・・・・」
なっちはそういうと、亀裂から逃げようとしていた
アミーゴを再び捕まえた!!!!!!!

「な、何が・・・・・・・・・、はッ!!!!!!??????」

二人のいた亀裂の中には、新たな亀裂が出来ていた。
そのため、亀裂内部の容積が大きくなったので、
結果的に水がそっちに流れ込んで水かさが下がっていたんだ!!!

「てめえッ!アタシがふりほどいた時に・・・・・・・」
「ぎりぎりだった。ホントぎりぎりだったよ・・・・・・・・・・・・」

なっちは再び溜まってくる水の中で、
『AROUND THE WORLD』をしっかりつかんで離さない!!


166 :915:2006/06/08(木) 21:26:31.68 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう36〜

あと・・・・20秒・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「くそおおおおおおおおおッッッッッッッッッッ!!!!!!!!」

あと・・・・・・・・・10秒・・・・・・・・・・・・・・。

「さあ、どうなるんだろうね、アミーゴ」

3・・・・・・、2・・・・・・・・・・、1・・・・・・・・・・・・・・・。



0!!!!!!!!!!!!



『AROUND THE WORLD』が未来から出現した時間から5分が経過した!!
『AROUND THE WORLD』は5分前までしか行く事が出来ないから、
タイム・パラドックスが起きないためにもこれで何かが起こるはず!!!!!!!!

「あ、あ、あ・・・・・・・・・・・・・」
アミーゴがおびえた表情をする・・・・・・・・・。

「!?」


167 :915:2006/06/08(木) 21:27:06.79 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう37〜

突然、『AROUND THE WORLD』は信じられない力で
『チェイン・ギャング』の腕を振り払った!!
なっちは一瞬あわてるけれど、すぐに様子が変なことに気づく。

『AROUND THE WORLD』は射程距離2メートルのアミーゴからも離れて
まるで幽霊のようにすぅ〜っと亀裂の中から地上に浮上してしまった・・・・・・・・!!!!

そして、地上にたどり着いた『AROUND THE WORLD』は
5分前の出現ポイントまで行くと、右腕を時空間につっこみ始めた。

「なるほどね・・・・・。
 普段の『AROUND THE WORLD』はオーソドックスな近距離パワー型だけど、
 タイム・パラドックスを生じさせない必要があるんで
 5分が過ぎたらタイムスリップ作業を優先するために、
 噂に聞いたことのある遠隔自動操縦型ってヤツに切り替わるんだね。
 もちろんその間、『AROUND THE WORLD』は制御不能になるし、
 タイムスリップのポイントが離れているのなら、
 自動操縦って事で本体からの射程距離を越えて移動出来てしまう・・・・・・・・・」

「あ、あ、あああ・・・・・・・・・・・・・」

「アミーゴ、今のアンタは最高に無防備だね・・・・・・・。
 聞いたことあるよ。遠隔自動操縦型スタンドの弱点は本体だって」
「あ・・・・、『AROUND THE WORLD』オオオッッ!
 早く戻ってこいィィィッッッッ!!!!!」


168 :915:2006/06/08(木) 21:27:38.79 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう38〜

「無駄だよ、ほら見てよ。もがいている。
 『向こう』でなっちが腕をつかんでたからだね。
 『AROUND THE WORLD』が戻ってくるまであと数秒。
 アンタをぶちのめす時間は充分に・・・・・・・・あるッ!!!!!!」

「ま、まt」

「うおおおおおおおおおおおおおッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!
 ちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅら
 ちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅら
 ちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅら
 ちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅら
 ちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅら
 ちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅら
 ちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅら
 ちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅら
 ちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅら
 ちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅららあああああああッッッッ!!!!」

ドッパアアアアアアアアアアアアンンンンンンンッッッッッッッッッッッッッ!!!!!

「ねえアミーゴ、なっちの勝因わかる?
 なっちの勝手な想像だけどさ・・・・・・・・
 過去は変えられないけど、『未来は変えられる』からだよ、きっと。
 あ、もう聞こえてないか・・・・・・・・・・・・」


201 :915:2006/06/09(金) 22:25:21.62 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう39〜

生身のアミーゴは『チェイン・ギャング』のラッシュを浴びて、
亀裂の外に殴り飛ばされた!!!!!!!!!!!!

ドグシャアアアアアアアッッッッッッッッッッ!!!!!!

亀裂から飛び出たアミーゴが地面に激しく叩きつけられる音がした!!

「勝った・・・・・・・・かな・・・・・・・・」

再び水が溜まっていく・・・・・・・・・・・・・。

あ、やばいなあ・・・・・・・・。
さっき、アミーゴと浮かび上がらないように
亀裂の奥に突っ込んだ足がはまっていて抜けないべ・・・・・・・・・・・。
っていうか、さっきのラッシュで力を使い果たしちゃった。
もう身体動かないし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

う〜ん・・・・・・、このままじゃ今度こそおぼれ死んじゃうな・・・・・・・・。

あれ、これじゃあアミーゴだけが助かっちゃうべさ・・・・・・・。
こういうのって、勝負に勝って試合に負けたって言うのかな・・・・・・・・。
まあ仕方ないか・・・・・・。
みんながなんとかしてくれるかな・・・・・・・。

なっちは今度こそ薄れゆく意識の中でそれだけを思って目を閉じた・・・・・・・・・。


202 :915:2006/06/09(金) 22:26:27.43 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう40〜





「みんな急いで!!こっちこっち!!!!!」
「あぁ!!あれは・・・鈴木亜美ッ!!!!」
「あれ、アミーゴ気絶してるよッ!!!!」
「カオリ、鈴木なんかどうでも良いよ!!
 それよりヤグチ!なっちはどこだよ!!!!????」
「その亀裂の中にいるはずだけど!!!!」
「あんた、『ブン・ブン・サテライツ』で見てたんでしょ!?
 はずって何よ、はずって!!!」
「うわ、これって『チェイン・ギャング』の能力?」
「おい!!亀裂の中、水が溜まってるぞ!
 あ、水の中になっちがいる!早く助けないと!!!」
「なっち!なっちが・・・!!」
「みっちゃん!りんね!ごっちんをどかせてや!!!!
 ウチの『T&Cボンバー』で周りを吹っ飛ばす!!!!」






203 :915:2006/06/09(金) 22:26:58.27 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう41〜

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「てな具合でね。5分過ぎちゃうとアミーゴの『AROUND THE WORLD』は
 すべての動作よりタイムスリップを優先して遠隔自動操縦になっちゃうの。
 その間に無防備になったアミーゴを吹っ飛ばしてなっちは勝ったってわけ。
 まあかなり危ない賭けだったんだけどね」
「なるほど。じゃあ5分間攻め続けて鈴木亜美に
 タイムスリップする時間を与えなければチャンスが生じるわけですね!」
美貴は安倍さんに言った。

ところが・・・・・・

「ねえ、ミキティ」
「は、はい?」
「なっちはね、それまでに何回かアミーゴとは闘ってきたけど、
 その時初めて『AROUND THE WORLD』が
 5分以上タイムスリップしなかったらどうなるか見たわけ」
「はい・・・・・?」
「さっきも言ったけどあくまで賭けだったの。
 アミーゴはとにかく5分すぎるのを嫌がっていたから
 きっとアミーゴにとって不利な事が起こるだろうなあって
 予想していたからなんだけどね。
 じゃあそもそも、なんでなっちは『AROUND THE WORLD』が
 過去に行けるのは5分が限界か知っていたと思う?」

「そうなんですね。紺野もそれがひっかかっていたんです」
「なんで・・・ですか?」
美貴は恐る恐る安倍さんに聞いた。


234 名前:915 :2006/06/10(土) 10:37:13.99 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう42〜

「簡単だべ。アミーゴ本人が言ったから」
「へ?」
みんなは思わず顔を見合わせた。

「アミーゴってプライドが高い上に自信家だからね、
 さすがに5分すぎたらどうなるかまでは言えなかったけど、
 自分の能力を相手に言ってもそれでも勝てるって自信があるのよ。
 っていうか、アミーゴの目指すところは
 相手に能力を知られてもそれでも勝つってところなんだろうね。
 ポリシーが『百年闘っても勝てないと思わせる勝ち方をする』らしいから。
 だから自分の能力の解説を自分から言っちゃうのよね」
「なるほど・・・・・・・」
そこまでは納得した。

しかし、安倍さんの次の言葉にその場にいた全員は戦慄した。

「こないだアミーゴからなっちに電話がかかってきたとき、
 アミーゴが言っていたよ。
 『AROUND THE WORLD』は成長して、
 15分以上タイムスリップ出来るようになったって」

「「「「じゅうごふん〜????????」」」」

「アミーゴの事だから本当だろうね。
 つまり、なっちが勝った時の戦法はもう難しいって事。
 なっちもさすがに15分間アミーゴを捕まえておくなんて無理だよ」
「そんなあ・・・・・・・」


235 名前:915 :2006/06/10(土) 10:38:16.11 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう43〜

「それに、15分まで伸びたって事は、
 それだけ未来から攻撃してくる機会も増えるだろうね。結構苦労すると思うよ」
「じゃあどうすれば・・・・・・・」
「さあ?なっちもわかんないべ」

その時だった。

チャ〜ラ〜チャ〜、チャ〜ララ〜♪

乾いた機械音が響き渡る。
この着メロはたしか、万年最下位の某プロ野球チームの応援歌だな。

「あ、ごめん。あれ、梨沙子ちゃんからだ」
梨華ちゃんがケータイを取り出してボタンを押した。

「もしもし、どうしたの〜?
 ええ!!!???
 うん、うん、うん・・・・・・・・・。
 怪我人出てるの?うん・・・・・・・・・。
 場所は?梨沙子ちゃん、今どこにいるの???
 梨沙子ちゃん、落ち着いて!うん、うん、うん・・・・・・・・」

「おい、まさか・・・!!」
「みんな、中1の子たちが栄高の生徒に襲われたって!
 まだ闘っている途中だけど、何人か怪我しているみたい!!!」
「梨華ちゃん、場所どこなんだよ!行かなきゃ!!!」
「それが、梨沙子ちゃんすっかりテンパってて、
 アバババ言ってるだけで何言ってるのか全然わかんないのよ。
 場所もあんまりわかっていないみたい・・・・・・・・」


236 名前:915 :2006/06/10(土) 10:39:09.11 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう44〜

「雅ちゃんとか村上ちゃんとかは?
 あの子たちの方が・・・・・・」
「今闘っている最中みたいなの。
 梨沙子ちゃんは横で見ていて、それで・・・・・・・・・」
「こうしちゃいられないな・・・・」
「帰宅途中に襲われたんダロ?
 だったら電車通学の子もいるから駅までの間じゃねえノ?
 とりあえず言ってみようゼ!!」
美貴の言葉に麻琴が続く。

「待ってください。場所もちゃんとわからないのに
 行き当たりばったりで行動しても混乱するだけです」
冷静に言ったのはこんこんだった。

「こんこん、そう言うけどなあ!!」
「大丈夫、現在地はすぐわかります」
「え?」
「こんこん、どういう事だYO?」

顔を見合わせる美貴達を無視してこんこんは部室に入っていった。
しかたなく美貴達もついていく。


237 名前:915 :2006/06/10(土) 10:41:42.85 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう45〜

「こんこん、いったい・・・・・・」
梨華ちゃんの言葉が聞こえなかったように、
こんこんは部室の片隅のパソコンの前に座った。
本来、演劇部の台本書きとかビラ作り用とかに買ったものだけど、
実際に一番使われているのは
フリーセルとか付属のトランプゲームだったりするけど。

トゥカカカカカカカカカカカカカカ・・・・・・・・・

こんこんは何かのソフトを立ち上げると高速でキーを叩き始めた。

「こんこん、説明くらいしてくれYO!」
「こんなことがあろうかとすべての部員のケータイを改造して
 発信機をつけておきました。
 ケータイの発信情報と直結しているので
 これで彼女たちの居場所が・・・・・・・・・・・・・・・」

「えええええ????????
 こんこん、いつの間に・・・・・・・・・・!!!!」
美貴はびっくりして思わず自分のケータイを見る。

こんこんはさらに激しくキーボードを叩く。

タンッ!!!!!!!


106 :915:2006/06/12(月) 22:56:44.14 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう46〜

「わかりました、ここは・・・夏まで靴のムカデ屋があったところです。
 この店の主人が謎の事故死を遂げたあと、空き地になっていたんですよね。
 この数は・・・中1全員いるみたいですね」

「相変わらずマッドサイエンティストだゼ・・・・・・」
麻琴もあきれたようにこんこんを見た。
「備えあれば憂いなしです」
こんこんはしれっと言う。

「あんたたち、今はそんなことより早く行かなきゃいけないんじゃないの?」
安倍さんの言葉に我に返る。

「そうだ、梨華ちゃんは美貴の自転車の後ろに乗りなよ。
 麻琴はスタンドあるから大丈夫だよな?」
「オウ!神速でとばしてやるゼ」
「じゃあこんこんはここに残っていて。
 何かあったらすぐに連絡ちょうだいね!」
「わかりました」
美貴達3人は急いで準備をする。

「何かあったんですか?」
どたどたしている美貴達を見て練習中の絵里たちが寄ってきた。


107 :915:2006/06/12(月) 22:57:17.78 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう47〜

「梨沙子ちゃんたちが栄高に襲われているらしいの!
 これから助けに行ってくるから!!」
「えッ!じゃあれいなたちも行くたい!!」
「あんたたちはお留守番!」
「え〜!なんで・・・・」
「今週が発表でしょ!ミキティ、麻琴、行くわよ!!」
「OK!じゃあこんこん、あとはよろしくな!!」
「はい、みんなも気をつけて」

こうして、美貴はぶーたれるれいなたちとこんこん、安倍さんを残して
梨華ちゃんと麻琴と3人で部室を飛び出した。

しかし・・・・・・・・・・、鈴木亜美は「過去に行くスタンド」か。
美貴は「過去に戻るスタンド」。
似ているようで全然違うな・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
どうやって闘えば良いんだろう・・・・・・・・・・・・・・・。


108 :915:2006/06/12(月) 22:57:49.05 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう48〜

「ふ〜ん、このパソコン、こんなこと出来るようにしてたんだ〜」
「備えあれば憂いなしですよ、亀ちゃん」
「・・・・・・・・・・。ねえ、紺野さん」
「なんですか?」
「紺野さんって不思議な人ですよね」
「そうですか?」
「紺野さんっていつも、みんなとは違うところから物事を見ているような気がする」
「違うところ?」
「いつも事件とか起こったときに、一歩先を読んで手を打っているんだけど、
 それはみんなと同じ所からの視点じゃないから出来るように思えるんだ。
 具体的にどうこうって説明は出来ないんだけど・・・・・・」
「紺野は根が臆病だから、慎重に準備を重ねていないと不安なだけですよ」
「そう・・・・・・。ねえ、紺野さん。不思議ついでにもう一つ聞いても良い?」
「お答えできる事なら」
「紺野さんって僕と一緒で高校からぶどうヶ丘だよね。
 しかも高校に入る時に引っ越してきたって」
「そうですよ」
「前にサバイバルゲームで紺野さん一人が勝った時さ、
 ご褒美の焼き肉を寺田先生におごってもらわなかった本当の理由を
 僕だけに言ってくれたよね?」
「言いましたっけ?」
「うん、寺田先生は昔はいい人だったけど今は二人っきりになりたくないって。
 4月に入学してきて、10月に昔はどうだったとかって言うかな?」
「紺野は自分がそんなこと言ったって記憶無いんですけど、
 もし本当に言ったのなら言葉のあやですよ、きっと」


109 :915:2006/06/12(月) 22:58:21.66 0
銀色の永遠 〜安倍なつみは巻き添えをくらう49〜

「そっか・・・・。ねえ・・・・・・・、紺野さん」
「はい?」
「僕たち友達だよね。これからもずっと・・・」
「当たり前ですよ。おかしな事を聞く亀ちゃんですね」
「そうだよね、ごめん。僕、なんでかわかんないけど
 ある日突然、紺野さんがいなくなっちゃうような気がしてさ」
「それこそ気のせいですよ。
 ほら、さゆが呼んでますよ。はやく練習に戻らないと」
「うん、そうだね。ごめんね、邪魔して」
「いえいえ。あ、石川さんたちが現場に到着したようですね・・・」



TO BE CONTINUED…