396 :915:2006/04/16(日) 22:17:02.41 0
銀色の永遠 〜re:bornその@〜

ここは・・・・どこ?

私は・・・・・・・何でこんなところで寝ているんだ?

段々とはっきりしていく意識の中で、
私は状況を整理しようとした・・・・・・。

そうだ、思い出してきた・・・・・・・・・。

私は・・・・・・、ごとーは・・・・・・

演劇部との闘いで重傷を負ったあと、町を飛び出したんだ。
そこでやりあったスタンド使いの男の術中にはまって・・・・

ごとーは死んだのかな?
じゃあここは天国?あ、何人も殺してきたごとーが天国なんて行けるわけないか。
じゃあ地獄だな、うん。

それにしても・・・・身体がまったく動かないな・・・・。

ごとーは起きあがろうとしたけれど身体がまったく動かないので
仕方なく首だけで周りを見渡した。


397 :915:2006/04/16(日) 22:17:58.55 0
銀色の永遠 〜re:bornそのA〜


・・・・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・。





ここ、どこ?



目に入ったのは、いかにもアキバ系といった
顔の半分くらいが目のアニメ風の女の子の絵のポスターだった。

「なッ??????????」

あわててもう一度周りを見渡す!
ワンルームといった部屋の中に、壁中アニメのポスターだらけ!!!
さらにはいくつもある棚にはたくさんのフィギュアが!!!
そんな、アニメグッズだらけの部屋の中にあるベッドの中で
なんでごとーは寝ているんだ!!!!????


443 :915:2006/04/17(月) 23:06:26.08 0
銀色の永遠 〜re:bornそのB〜

こんなの、天国でも地獄でもないッ!!!
ごとーは生きている!!!
ここは・・・、ここはどこなんだあああああッ!!!!!

くそッ!!なんで身体動かないんだ・・・・

ごとーは自分の身体を見てからびっくりした!!

モゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾ

な、なんだこれは????????

布団をかけられたごとーの身体の中で、
何かがたくさんはいずり回っている!!
まるで小さな虫のような・・・・・・・・、
いや、これは・・・・

たくさんの小さなスタンド!!!!

ムシャムシャムシャムシャムシャムシャ
ボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリ

虫たちはごとーの体中をはいずり回りながら
何かを食べている!!!!


497 :915:2006/04/19(水) 01:20:52.48 0
銀色の永遠 〜re:bornそのC〜

「う、うわああッ!!!!」
ごとーはどうにもならなくて叫ぶしかない・・・・。
身体がまったく動かないからなすすべがない・・・・。
ごとーの身体はどうなってんだ!
何をされているんだ!!!???

そこへ・・・・・・・・・・・

「あ、目が覚めたんだ」

男の声がしたのでそっちを見ると、
ごとーより少し年上くらいの男がこっちに近寄ってきた。
色白で少しふっくらしていてちょっと女っぽい、
いかにもアニメヲタクって感じの男だ。
ということはこの部屋の住人だろうか?

「てめえ!これはてめーのスタンドだな!
 ごとーをどうする気だぽ!?
 だいたいここはどこなんだよ!!!???
 なんでごとーがこんなところに・・・・」

「いきなり何個も質問しないでよ」
男はそう言いながら近くのイスに座った。
「だいたい命の恩人に向かっててめえって言い方はひどいなあ」
男は笑いながら手に持っていたマグカップを口にした。

命の・・・・恩人???


498 :915:2006/04/19(水) 01:21:27.86 0
銀色の永遠 〜re:bornそのD〜

あ、そうだ・・・・・・・・・
ごとーはあのとき死にかけていたんだ・・・・・・・。
それをこの男が助けてくれた?
でもこの身体を這う虫みたいなスタンドは・・・・・。

「本当はこっちも聞きたい事あるんだけどね、
 まあ言いたくない事もあるだろうし・・・・・・・・・・。
 とりあえず2週間も寝ていたから状況も全然わかんないだろうし
 順番に説明してあげるよ」
「に、2週間???????????」
「そうだよ、2週間寝たきりだったんだよ、君は。
 ついでに言うとここは東京だよ」
「と、東京????なんでそんなところに・・・・!!!!」
ごとーはびっくりした。

「なんでって、僕がここに住んでいるからさ。
 まあ東京って言っても都心からかなり離れてるけどね」
「で、でもごとーは杜王町で・・・・」
「まあ順番に話そうか・・・・・・・」

こうして、男はいきさつを話し始めた・・・・。

「僕の一族に有名なお坊さんがいてね、
 関東大震災の時に奇跡を起こしたってので有名らしいんだけど
 彼だけじゃなく、僕の家族や親戚、ご先祖様には
 不思議な能力を使える人間が何人もいてね・・・。
 僕もその一人なんだけどさ、『スタンド』って言うらしいね?
 最近知ったんだけど。」

こいつ・・・、やっぱりスタンド使い・・・・・!


522 :915:2006/04/19(水) 20:58:58.55 0
銀色の永遠 〜re:bornそのE〜

「あれ?なんか気にくわない事言った?」
「え?」
「なんか僕に対して怒っているみたいだからさ・・・。
 味が変わったし・・・・・」
「そ、そう?」

なんだコイツ????味????

「まあいいや。
 んで、僕のスタンド『フライング・プリエスト』は
 人間の病気や怪我を食べて治しちゃうスタンドなのさ」
「怪我を・・・食べる?」
「うん。今の君みたいな怪我人の怪我を食べてしまうのさ。
 言っとくけど、僕のスタンドでなければ
 君は死んでいたかもしれないんだぜ?
 それくらい傷が深かったし出血もしてたんだから」
「そ、そう・・・・・・・」

「実は杜王町の実家に住んでいる妹が大怪我をしてね、
 まあ大学も春休みでバイトもあるけど暇はしてたし、
 実家までドライブがてらに妹を治療してやるのも良いかなって思って」

妹が大怪我?まさか・・・・


602 :915:2006/04/21(金) 22:44:53.41 0
銀色の永遠 〜re:bornそのF〜

「で、車でちょうど家のすぐ近くまで来たところで
 裏道からびしょぬれの男とそいつには不釣り合いな女の子が出てきてね。
 なんかイヤな予感がしたからのぞいてみたら
 その女の子とそっくりな君が倒れていたのさ。
 それで、あぁ、スタンド使いにやられたんだなって思って
 治療のために連れて帰る事にしたんだよ。
 結局実家にも妹の入院先にも立ち寄らずにさ」
「な、なんで?」
「なんでって・・・・。ほっといたら君死んじゃうだろ?
 まぁホントの事を言うとさっさと治療して
 それから家に帰るつもりだったんだけどね、それが出来なかったんだよ」
「出来なかった?」

「一つは、君、君は今まで相当危ない橋を渡ってきたね。
 そして、何人もその手にかけてきた・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「君を食べてみてそれがわかってね、
 とても病院に連れて行けないなって思ったんだよ。
 きっと裏事情がありすぎるんだろうなって」
「なんでそんなことわかるのさ・・・・・」
「まあ話は最後まで聞きなよ。
 仕方ないから僕が最後まで治そうと思ったんだけど、君は罪を背負いすぎている。
 だから僕のスタンドでも最低限の治療すら時間がかかる状態だったんだ。
 病院には連れて行けない、すぐには治せない。
 だから東京の下宿でじっくり治そうって思ったのさ」


603 :915:2006/04/21(金) 22:45:51.37 0
銀色の永遠 〜re:bornそのG〜

「どういうこと?」
意味が・・・わからない・・・・・。

「僕の『フライング・プリエスト』は病気や怪我を食べて治療するスタンドなんだけどね、
 病気や怪我以上に人の負の心が大好物なのさ。
 君は負の心をあまりにもたくさん持ちすぎていてね、
 こいつらは怪我を食べる前に先に君の罪の心ばっかり食べちゃうから、
 心を食い尽くした時にはもうお腹がいっぱいで怪我をあんまり食べられないんだよ」
「負の・・・・心?」

「悪の気持ちや罪の意識とかその手の類さ。
 でもこいつらに食べてもらったからって、
 そういった気持ちがきれいさっぱり消えるわけじゃないよ。
 人間の気持ちなんて次から次へとわき出るものだからね。
 だから風邪とかならすぐに食べて治せるけど、ガンとか不治の病は無理なんだ。
 重傷や重病であるほど食べなきゃいけない量が多いんだけど、
 結局不治の病の人って心の方が大きすぎて、
 こいつらが病そのものを食べる前にお腹一杯になっちゃうのさ。
 君も一緒。こいつらがお腹が減ってまた食欲が湧いてきた時には
 君の負の心がまたたくさんわき出ていてね。
 結局その繰り返しなんで一回の食事で怪我をたくさん食べられないんだ。
 だからこうして少しずつの治療しか出来ないのさ。
 ホントならいくら大怪我でもその程度なら1週間もあれば全治出来るんだけどなあ。
 君、もうちょっと自分の事も周りの人のことも大事にしなきゃダメだよ」


42 :915:2006/04/23(日) 22:11:26.91 0
銀色の永遠 〜re:bornそのH〜

「余計なお世話だぽ・・・・。
 そうだよ、ごとーはキミが言うとおり、ごとーの手は血で汚れてしまってるぽ。
 それがわかってるのならごとーなんかほっとけば良いのに。
 だいたい、話を聞いていたらキミは結局妹を治療してないんでしょ?」
「まぁそうなんだけどね・・・・・・。
 向こうは一応入院して治療されている身だし。
 それに一応杜王町まで行ってみたものの、
 妹には嫌われているから会いづらくてねえ・・・・・・・」
「ふ〜ん、なんで嫌われてるの?」
「そりゃあこの部屋見たらわかるだろ?
 誰がアニメヲタクの兄貴なんか好きになるんだよ」
「あはは、たしかに」
「そういうさゆみのヤツもホントはアニメ大好きで
 いっつも宿題やるときとかもアニメソング聞きながらのくせにね」

さゆみ・・・・・・・・・・。

やっぱり・・・・・・・・・・・・・・・・。
怪我をした妹って演劇部員の誰かの事だと思ったけど・・・・・・・。


110 :915:2006/04/25(火) 22:15:39.43 0
銀色の永遠 〜re:bornその10〜

「だったら尚更ごとーの事なんかほっといて
 妹を治してあげたら点数稼げたんじゃないの?」
「そうなんだけどね。
 たとえどんなに悪人でも死にかけている人を
 ほったらかしにしておくなんて出来ないし、
 それに・・・・・」

「それに?」

と・・・・・・、
ごとーの身体を這っていた虫のスタンド達の動きが緩慢になった。

「お、食事終わったみたい。こいつらお腹いっぱいだって」

これで・・・動けるかな?
こんなところにいつまでもいられないや。
さっさと・・・・・・・・・

突然、ごとーの身体に何かが塗りたくられる感触を覚えた。
虫たちが・・・・何か出している???

「な、何????」
「ん?どうしたの?」
「何かが身体に・・・・・・・」
「あぁ、何って、フンだよ。フン」
「ふ、ふん・・・・・・・・??????」

112 :915:2006/04/25(火) 22:16:11.04 0
銀色の永遠 〜re:bornその11〜

「人間だってどんな生き物だって食べたら出すだろ?」
「ちょ、ちょっと!!!」
「別に汚くないから安心してよ。
 フンって言ってもあくまでスタンドの作り出した概念みたいなものなんだしさ。
 その証拠に時間が経ったら自然消滅するよ」
「だ、だからって何でごとーの身体に・・・・!!!!」
「こいつら、面白い習性があってね、お腹が一杯になったときに
 餌をまだ食べ尽くしていなかったら、
 そうやって速乾性のフンで餌を固めて動けなくしてしまうのさ。
 時間をおいてまた食べられる様にね」
「餌って!!!!!!!ごとーを餌って!!!!!!」
「でもそのフンがギブス代わりになってるし、
 痛みも空腹も吸い取ってくれるみたいなんだよ。
 だから君は安心して寝ていれば良いさ」
「そ、そんなあ・・・・!!!」
「それじゃあ僕はそろそろバイトの時間だし出かけるね。
 おとなしく寝ているんだよ」

そういうと男は立ち上がった・・・・・

「ちょっと!!!」

このまま放置???
さ、最悪だ・・・・!!!!

こうして・・・・身動きがまったくとれないごとーと
道重さゆみの兄であるアニメヲタクな大学生の変な共同生活が始まった・・・・。


228 :915:2006/04/28(金) 22:12:03.42 0
銀色の永遠 〜re:bornその12〜

兄重(杜王町時代、近所でかわいいと評判の道重さゆみの兄、という意味で呼ばれていたそうだ。
もっとも、東京に出てからも「アニメヲタクの道重」と言う意味で
結局同じ呼ばれ方をしているらしい。
それをまったく気にしていないのがこの男らしいところだけど・・・・)は
バイトや就職活動で家を留守にする事が多い。
帰ってきてからも録画していたTVやDVDのアニメばっかり見ているし・・・。

こっちは、暇だろうからってテレビをつけて出て行ってくれるけれど、
チャンネルも変える事が出来ないし、どっちみち昼間はどの局も
ワイドショーかドラマの再放送くらいしかやっていないので
ごとーはひたすら寝る事にしている。

おかげで夜になって兄重が帰ってくる頃には目が覚めまくっているので
ひたすら兄重と話すくらいしかすることがなくなる。

考えたらこのタイプの男の人と話すのって珍しいなあ・・・・。
アニメヲタクってのもそうなんだけど、
それ以上に何かつかみ所がないキャラなんだよね・・・・。

「ねえ?」
晩ご飯を食べている兄重にごとーは話しかけた。
「うん?」
「あんた、なんで冷やご飯ばっかり食べるの?
 わざわざ朝にご飯炊いて保温もしないでさ・・・・」
「だってその方がおいしいもん。
 冷やご飯にたくあん、これが最高なんだよ」
「はあ・・・・・・・・」


229 :915:2006/04/28(金) 22:12:49.10 0
銀色の永遠 〜re:bornその13〜

やっぱり変わっているなあ・・・・・・・・。

「そういやこないだ聞きそびれたんだけどさ、
 アンタ、なんで点数稼ぐチャンスだったのに
 妹をほったらかしてごとーを助けたの?」
「あぁ、なんでだろね」
「なんでだろねじゃないでしょうが」
「だってさあ、妹思いなところを見せようと思って
 杜王町まで帰ってきたのは良いけれど
 正月に帰った時もほとんど口きいてくれなかったし
 そんな事考えていたらやっぱり躊躇しちゃったんだよね」
「なにそれ、妹にびびってんだ」

「びびってるって言われてもなあ・・・・。
 うち、親父も消極的で一日中部屋にこもってパソコンやってるし、
 女三人の権力がめちゃくちゃ強かったんだよ」
「ふ〜ん、だから妹が怖くて逃げたんだ」
「別に逃げたつもりは無いけど・・・・・・・」
「だってそうでしょ?
 ごとーを助けたのは妹に会いたくないからって
 自分の中で言い訳したいからでしょ?」


230 :915:2006/04/28(金) 22:13:26.30 0
銀色の永遠 〜re:bornその14〜

「へ?」
「近くまで来たのは良いけれど、
 妹に会って無視されるのが怖くてどうしようかって思っている時に
 たまたまごとーを見つけたから、ごとーを助けるって口実で
 妹と会わなくて済むって自分に言い訳してるんでしょ?
 アンタ、最低の弱虫だね」

「あぁ、違うよ、そういう意味じゃないって」
「はぁ?じゃあどういう意味よ?」
「逆だよ。君を見捨てたら、妹はもう一生
 僕に口をきいてくれないんじゃないかなって、そう躊躇したんだよ」
「?」

こいつ、何言ってるんだろ?
その妹を病院送りにしたのがこのごとーなのに。

「意味がわかんないって顔しているね。
 前に言ったけれど、僕の『フライング・プリエスト』は
 本来は人の心を食べるスタンドでねえ。
 人の心には『味』があるんだよ。
 だからわかったんだ。君と僕の妹は同じなんだって」

「同じ?」


349 :915:2006/04/30(日) 23:52:13.48 0
銀色の永遠 〜re:bornその15〜

冗談を!ごとーとあの道重さゆみは全然似ても似つかないじゃん!
道重さゆみは演劇部だ!寺田の一味だ!
だから・・・・、この後藤真希に消去されなきゃならない運命だ!

だって、だって・・・・、スタンド使いは・・・・・。

「さゆみは・・・・、妹はお姉ちゃんっ子でね・・・・・・・・」
「お姉ちゃん?」
「僕と妹の間にはもう一人上の妹がいたんだよ」
「いた・・・・・・・・・・、って・・・・・・・・・」
「もう半年以上行方不明でね・・・・・・」

あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「仕事に出たっきり帰ってこなくてね。
 上の妹もスタンド使いだったからさ、簡単に連れ去られるような女じゃなかったし、
 だから僕にはわかるんだよ。
 相手はスタンド使いだし、だから妹はもうこの世にいない、って」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「杜王町って少年少女の行方不明者数が圧倒的に多いんだけど、
 それと同時に若い女性の失踪事件も後を絶たないんだよね。
 おそらくスタンド使いの仕業なんだろうけど、僕の妹もそれだと思うんだ」


350 :915:2006/04/30(日) 23:52:57.65 0
銀色の永遠 〜re:bornその16〜

お姉ちゃん・・・・・・・・・・・・・。
ごとーのお姉ちゃんも・・・・・・・・・・・・・。

「答えてくれなくても良いけどさ、君の心からは
 大好きな姉を失った僕の妹と同じにおいがしたんだ。
 だから君を助けなきゃって思ったし、
 もしも君を見捨てたら、妹は僕を許さないだろうなって、そんな気がするんだよ」

そっか・・・・。
あの子もごとーと同じ、スタンド使いに
お姉ちゃんを奪われた子だったんだ・・・・。

「そうだよ・・・・・・。
 ごとーも・・・・・・、ごとーのお姉ちゃんもいなくなったんだ・・・・。」
「そっか。やっぱり君と僕の妹は一緒の境遇なんだね」
「そうだね。アンタと・・・・、アンタの妹とまったく一緒だね・・・・。
 ごとーのお姉ちゃんもスタンド使いでね、しかも強かった。
 だから原因はスタンド相手としか考えられない・・・」

「杜王町もぶっそうだねえ。
 下の妹も黙っているけれど、あの怪我って絶対スタンド使い相手にやりあったんだろうな。
 ん?どうかしたの?」
「う、ううん、なんでもない。
 そうだよ、杜王町ってスタンド使いが多すぎるんだよ。
 だから余計な争いや犠牲が生まれるんだよ」


351 :915:2006/04/30(日) 23:54:19.70 0
銀色の永遠 〜re:bornその17〜

「らしいねえ。僕の友達もそう言っていたよ」
「友達?」
「ついこないだだけど、ガレフェスで知り合った友達が杜王町に住んでいるスタンド使いだったんだ


「ガレフェス?」

「コミケみたいなもんだよ。ガレージキットフェスティバル」
「あぁ、ヲタクの集まりの事か」
「うん。簡単に言ったらガレージキットって、フィギュアとかプラモデルとかを
 自作している人たちの発表会兼即売会でね。
 その知り合った相手ってのが僕と違って
 他のアニメは完全に守備範囲外なんだけど、機動戦士ガンジャムシリーズが好きでね。
 ガンジャムのプラモデルとかフィギュアとかもいっぱい出てるからさ。
 それ目当てで来ていたんだって。
 僕は『機動戦士ガンジャムNEET』のヒロインのブチャマリアが好きだから・・・・」

「そんな話どうでも良いから・・・・」

「あ、ごめん。ともかくガレフェスって ものすごい人が集まるからさ、
 やっぱり気分悪くなって倒れちゃう人とか出るんだよ。
 それでちょっと僕の『フライング・プリエスト』で介抱してあげてたら、
 介抱してあげた相手が『フライング・プリエスト』が見えていてね。
 おっ、お互い能力者なんだって事で意気投合して
 一緒に飲みに行って話をしていたら杜王町に住んでいるって言うじゃないか。
 僕も杜王町出身ですよって事でさらに仲良くなってねえ」
「ふ〜ん」
「その彼も他のスタンド使いと知り合ったのはつい最近って言ってたけどね。
 女の子を変質者から助けたら、変質者も被害者もどっちもスタンド使いだったんだって。
 怖いねえ、結局二人で変質者を倒したらしいけど、
 女の子もスタンド使いじゃなかったら抵抗出来なかっただろうねえ」


420 :915:2006/05/01(月) 20:40:56.65 0
銀色の永遠 〜re:bornその18〜

「ふん!被害者の女の子ってのも一緒だよ!」
「一緒?」
「スタンド使いなんて誰かを傷つける存在でしかないんだよ。
 その女の子ってのもアンタの友達ってのも
 どうせいろんなところでやりあっているんでしょ。
 たとえ今はそうじゃなくてもそのうちスタンドを悪用するようになるよ」
「そうかなあ?」
「そうだよ!スタンドなんて闘いしか生まないんだよ。
 ごとーのおねーちゃんもアンタの妹も、
 スタンド使いと知り合わなければ幸せだったんだよ!
 スタンド使いなんて・・・・みんないなくなっちゃえば良いんだ!」

「じゃあ僕は?」

「へ?」

「僕はこんなスタンドだから人を助ける事は出来ても
 虫一匹殺す事すら出来ないけど?」
「あ、アンタは・・・・・・・・・」

「それにその僕の妹も君のお姉さんもスタンド使いなんだよね。
 もちろん君も」
「そ、それはそうだけど・・・・。
 スタンドなんて人を傷つけるだけで
 世の中の役に立つ事なんてほとんどないじゃん!!」


421 :915:2006/05/01(月) 20:41:55.63 0
銀色の永遠 〜re:bornその19〜

「う〜ん、それも極端な意見だなあ。
 その僕の友達も、普段は美容師の仕事にスタンドを役立ててるよ」
「え?び、美容師?????
 ちょっと!アンタ今なんて言ったの!?」
「え?そ、その友達もスタンドを美容師の仕事に役立てているって・・・」
「美容師・・・・・・・・」
「そ、そんな、美容師がスタンド使いでヲタクやっているっておかしいかな?
 でもさっきも言ったけど彼は美少女アニメとかは全然興味ないから
 なんとか仲間に引きずり込もうとは・・・・」

「あ、ごめん。そういう訳じゃなくて。
 ごとーのおねーちゃんも美容師だったんだよ。だから・・・」
「あ、そうなんだ?」
「うん、おねーちゃんもスタンド能力を美容師の仕事に利用していてね。
 でもおねーちゃんなわけないよね。
 その人って根本的に男なんだし、それにおねーちゃんはもう2年も前に・・・・」

「あれ?」
「どうしたの?」
「いや、その彼が言っていたんだ。
 自分の同僚もスタンドを美容師の仕事に利用していたって・・・・」
「えッ!!!!!?????」
「彼、ちょっと前に杜王町に戻って今はそっちで働いているんだけど、
 それまでは東京で働いていたんだって。
 その時の同僚が自分と一緒でスタンド能力を利用して
 美容師の仕事していたって言ってたよ」


422 :915:2006/05/01(月) 20:42:54.74 0
銀色の永遠 〜re:bornその20〜

「それっていつの事だよ!!??」
「さ、さあ・・・・。
 彼が杜王町に来るまでの話だとは思うけど・・・・」
「ちょっと!そいつに電話してよ!!
 詳しい話を聞かせてよ!!!!!!!」
「で、電話番号は知らないよ・・・・」
「なんでよ!!友達じゃないのかよ!!!」
「い、いや・・・・、そりゃ初対面でそこまでは・・・・」
「じゃあどうやって連絡取ればいいのさ!!!」
「か、彼、いつもネットに出てくる時は10時くらいにメッセが立ち上がるからさ、
 いつもそれでチャットしてるし、
 今日もその時間にネットに接続してきたら聞いてみるから・・・・」
「ホント?絶対だからね!!!」
「も、もし出てきたらね・・・。
 毎日ってわけじゃないから・・・・・・・・・」

それから10時までが何十時間にも感じられた。
まあ、時間を置いて冷静に考えたらおねーちゃんな訳がないんだよね。
おねーちゃんは杜王町で働いていたんだから・・・・

だけど、もしかしたら・・・・・・・・


485 :915:2006/05/02(火) 20:10:10.66 0
銀色の永遠 〜re:bornその21〜

時計が10時を指す。
「ねえ、10時になったよ」
パソコンでなにやらアニメのサイトを巡回している兄重に
相変わらず身動きが取れない状態でごとーは話しかけた。

「う、うん。でもまだみたいだね」
「早くしてよ!」
「僕に言われたって・・・・」

イライラがつのる。

それからさらに15分くらいしたときだろうか・・・・

ピロ〜ン♪

「あ、出てきたよ」
「ホント!?」
「ちょっと待ってね」

兄重はノートパソコンをごとーが見える位置に持ってきてくれた。

「今話しかけるよ」


486 :915:2006/05/02(火) 20:10:41.23 0
銀色の永遠 〜re:bornその22〜

『うな重>こんばんは』

「その『うな重』ってのは何よ?」
「僕のハンドルネーム」
「わけわかんないハンドルネームだね・・・・」

『TMR>こんばんは』
『うな重>ちょっとお聞きしたい事があるんですけど』
『TMR>うな重さんがわからないような事で
     俺なんかが答えられるような事もそうは無いと思うけど(笑)』
『うな重>今日はガンジャムの話じゃなくてスタンドの事でお聞きしたいんです』
『TMR>それは・・・・ちょっとまじめそうな話だね。なんですか?』
『うな重>前に言っておられた、スタンド使いの美容師の女性の事ですが、
      彼女と知り合ったのは東京でですよね?』
『TMR>そうだよ。前に働いていた美容室っていうのが去年の夏で閉店してね。
     そこそこ人気店だったんだけど、当時のオーナーがご年配で、もう引退するって事でね。
     それをきっかけに杜王町に帰ったんだけど、彼女とはそこで一緒に働いていたんだよ』
『うな重>その女の人のお名前はなんて言うんです?』
『TMR>後藤田真希子さんって名前だけど、後藤田さんがどうかした?』


487 :915:2006/05/02(火) 20:11:32.42 0
銀色の永遠 〜re:bornその23〜

「後藤田真希子????????」
ごとーはびっくりした。
「なんか数年後に国会議員の嫁にでもなりそうな名前だねえ」
「ちょっと!!これって偽名なんじゃないの!?」
「まあまあ、もうちょっと落ち着いて。話聞こうよ」

『うな重>実は知り合いが人捜しをしていてその関係なんですが・・・・。
      その後藤田さんって方と知り合ったのはいつ頃ですか?』
『TMR>はっきり覚えてるよ。あれは2年前のちょうど今頃だけど、
     後藤田さんが突然店に飛び込んできて自分を雇ってくれって言ってね。
     オーナーは人は余っているからって断ったんだけど、
     とにかく自分の腕を見てくれって言って。
     で、実際すばらしい技術だったんで逆にオーナーが惚れ込んで
     それで一緒に働くようになったんだよ』

「2年前の今頃って・・・・、おねーちゃんが失踪したのと同じ頃じゃん!」
「ちょっと可能性高くなったね。
 ねえ、そのお姉さんの写真って持ってないの?」
「ごとーのプリクラ帳におねーちゃんと撮ったのがあるけど・・・」
「プリクラ帳かあ、カバンの中に入ってる?
 君のカバンも回収はしていたからそこにあるけど」
「うん、ピンク色のヤツ」
「あぁ、これだね」

『うな重>ちょっと待ってもらえますか?』
『TMR>はいはい』



488 :915:2006/05/02(火) 20:12:12.86 0
銀色の永遠 〜re:bornその24〜

「どれ?これだね。あ、君とよく似たお姉さんだね。
 じゃあこれをスキャンして・・・・・・。画像処理して・・・・・・・・・。
 よし、出来た。転送っと・・・・」

『うな重>今送った画像の右側の人じゃないですか?』
『TMR>おお!後藤田さんだ!
     うん、プリクラだからわかりにくいけど、たぶん後藤田さんだね!!』

「やっぱり!おねーちゃん・・・・・・、生きていたんだ!!!!
 でもなんで・・・・・・・・・・・」

『うな重>その後藤田さんと連絡取れますか?』
『TMR>それがさ・・・・、杜王町に移ってから一度電話したらケータイの番号変わっていてさ。
     その店で働いていた他の同僚もみんな連絡つかなくなったって言ってるんだよ・・・』

「そんな・・・・・・・・」
せっかくおねーちゃんが生きているってわかったのに・・・・


489 :915:2006/05/02(火) 20:12:59.71 0
銀色の永遠 〜re:bornその25〜

『うな重>何か連絡つく方法ありませんかねえ?』
『TMR>う〜ん・・・・・・。あ、そうだ。後藤田さんってさっきも言ったけど、飛び込みで仕事くれって来てさ、
     住むところも手持ちのお金も無い状態だったんだよ。
     それで結局同僚の家に転がり込んでね。最初は住むところが決まるまでって話だったんだけど
     彼女とうまがあったのと家賃を負担してもらえるって事で結局1年半、共同生活していたんだよ。
     その彼女に聞いたら何かわかるかも』
『うな重>なるほどですね。その方のご連絡先を教えていただいてもかまいませんか?』
『TMR>うん、それは大丈夫だよ。○○さんって名前で電話番号は090-××××-××××だから。
     西川からって言ったらわかると思うし。
     でもわかっていると思うけどスタンドの話は伏せてね』
『うな重>了解しました。ありがとうございます』

「じゃあ早くその人に電話かけてよ!!」
「え〜、僕、見ず知らずの女性に電話するなんてイヤだよ・・・・」
「アンタそんなんでよく就職活動やってるわね!だからアニメヲタクなのよ!!」
「そ、そんなこと言われたってえ・・・・・・・・。
 あと一週間くらいで治るから、それから自分で電話してよ」
「ホント!?」
「うん、たぶんね・・・」


490 :915:2006/05/02(火) 20:13:36.54 0
銀色の永遠 〜re:bornその26〜

あと一週間!やっとこの生活から抜けられる!!!!

『TMR>あのさ、答えにくい事かもしれないけど・・・・、後藤田さんに何があったの?』
『うな重>その後藤田真希子って方、2年前に杜王町を失踪したみたいで・・・。
      しかも偽名らしいんですよね・・・・』
『TMR>杜王町?彼女、杜王町出身なの?????』
『うな重>はい、知らなかったんですか?』
『TMR>全然知らなかったよ!
     あ、じゃあやっぱり・・・・・、彼女が失踪したって言うのもスタンド関係?』
『うな重>そこまではわからないんですけど・・・・・。
      でも家族に何も言わずに失踪して、東京で偽名を使って働いていて、
      おまけに連絡が取れなくなったってやっぱり何かあるんでしょうね』

『TMR>うな重さん、実は俺も気になってるんだけどさ・・・・・・』
『うな重>はいはい』
『TMR>こないだ言っていた、変質者のスタンド使いに襲われたっていう女の子の話だけどさ』
『うな重>その女の子もスタンド使いだったって話ですよね?』
『TMR>うん、それなんだけど、その子ってお店の僕の担当の子でね。
     元々友達の二人組に教えてもらったって言って僕のお店に来たんだけど・・・・
     その友達ってのが二人とも先月末に大怪我してね。
     もしかしてその彼女たちもスタンド使いなんじゃないかなとか思い始めているんだよ』
『うな重>へえ〜。僕の妹もスタンド使いで、同じ頃に大怪我したんですよね・・・・』
『TMR>もしかして君の妹さんもぶどうヶ丘とか?』
『うな重>そうですよ。今度ぶどうヶ丘の高1です』
『TMR>もしかして妹さんと僕のお客さんも友達なのかも。
     なんか偶然とも思えない話だねえ・・・・。でも彼女らはとっても良い子だしね。
     きっと悪いスタンド使いと闘って大怪我したとかじゃないかな・・・・』
『うな重>どっちにしても、何人ものスタンド使いを病院送りにするなんて危険な存在ですね』
『TMR>そうだなあ。俺も気を付けないと・・・・』


491 :915:2006/05/02(火) 20:14:07.84 0
銀色の永遠 〜re:bornその27〜

二人のチャットを読んでいて冷や汗がにじみ出る。
今は兄重のスタンドの食事中じゃなくて良かったなあ。
食事中だったらまた味が変わったとかどうとか言われていたぞ・・・・・・・・・・
こいつのスタンド、無害そうに見えるけど、
人の心が読めるって結構厄介なヤツだなあ

しっかし、こんな偶然ってあるんだなあ・・・・。
いや、スタンド使いとスタンド使いはまるで磁石のようにお互い引かれあうって言うから・・・
まさかさっき言ってた美容師が助けた女の子ってのも・・・・・
そういやミキティが後輩に良い美容室教えてもらったって言ってたな・・・・

ごとーが黙りこくったからか、兄重と美容師のチャットは
雑談になり、そしていつしかアニメの話に移っていった・・・・・・・・・・・・






















519 :915:2006/05/03(水) 12:42:38.67 0
銀色の永遠 〜re:bornその28〜

〜一ヶ月後〜

ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア・・・・・・・

「そう、情報ありがとね」
「た、たすけ・・・・」

ボゴッ、ドサッ

すべてを聞き出すと、男のみぞおちに一発入れて、そして地面に放り投げた。
男の顔を冷たい雨が打ちつける。

「君、ホント無茶するね・・・・・・・・・」

遠くから見ていた兄重が近寄ってきて、
自分がさしていた傘の中にごとーを入れてくれた。

「アンタ、これ以上ごとーに関わらない方が良いよ。
 相手はやくざなんだし、誰かに見られたらアンタまで狙われるよ」
「全員気絶させておいておいてよく言うよ・・・」
「まあね」

路地裏にはごとーがぶっとばしたやくざが10人以上白目をむいて転がっていた。

「これからどうするの?」
「もちろん、おねーちゃんを助けに行く」
「助けに行くって、イタリアに?それに相手はマフィアだよ?」


572 :915:2006/05/04(木) 09:43:49.59 0
銀色の永遠 〜re:bornその29〜

おねーちゃんが共同生活していたという女性はやっぱり何も知らなかった。
だけど、その女性におねーちゃんの一年半の様子を色々聞いて、
その中の断片的な情報を一つ一つ調べていった結果、
最終的にとある暴力団にたどり着いた。

その組は、ライバル組との暴力団抗争で劣勢に陥っていた。
その理由は、相手の組員に超能力の使い手がいたから。
超能力というのはもちろんスタンドの事だろう。

そんな中、イタリアのとあるマフィアに超能力者の暗殺者チームがいることを
たまたま知ったその組は、ツテを頼ってイタリアンマフィアに接触、
助っ人として来てもらってスタンド使いの暴力団員を倒した。

その決闘の場が、杜王港だっだ。
そして、たまたまそこを通りかかって、様子を見てしまったのが
ごとーのおねーちゃん・・・・・・・・・・・。

その瞬間、おねーちゃんはやくざから追われる身になった。
だから家族に何も言わずに姿を消したし、偽名を使ったりしていたんだ。

おねーちゃんは人の多い東京に紛れ住み、仕事も得る事で安住出来ていた。
計算外だったのはその店が急に閉店になった事。
再び仕事を探し始めたからだろう、
去年の秋、おねーちゃんはついにやくざに見つかって、
再来日したイタリアンマフィアのスタンド使いに捕まったらしい。
そして、おねーちゃんは『相手の身体からハサミやカミソリを生み出す』
というその男によってイタリアに連れて行かれた・・・・


573 :915:2006/05/04(木) 09:44:30.62 0
銀色の永遠 〜re:bornその30〜

何故おねーちゃんを始末せずにイタリアに連れて行った?
疑問といえば疑問だけど、とにかく・・・・

「マフィアだろうが外国だろうがなんだろうが、
 おねーちゃんが生きているなら助けにいくしか選択肢ないでしょ。
 それにごとーの黄金の意志はどんなスタンド使いにも負けない!!」

言ってから、自分で自分が少しイヤになった。

ごとーは気づいたんだ。
いや、本当はずっと前から気づいていたのに、気づかないふりしていたんだ。

ごとーの黄金の意志なんて、とっくの昔に錆び付いていたんだ。
ごとーは杜王町を守りたいって思っていた。
そのためにはスタンド使いを皆殺しにすれば良いとまで思うようになっていた。

だけど・・・・・・・・・・・
いつの間にかごとーはミイラ取りがミイラになっていた。
ごとーこそが町の脅威になってしまっていたんだ・・・・・・・。

でも、おねーちゃんを助け出した時、その道が困難であれば困難であるほど、
ごとーは自分の中で無くした何かが見つかるような気がする。
黄金の意志がもう一度輝いてくれるような気がする。
根拠は無いけど、確信はあるんだ!!

「僕は・・・君の力になれないし、気をつけてとしか言えないなあ・・・・」
「うん、色々ありがとうね。それと・・・・・・」
「それと?」


574 :915:2006/05/04(木) 09:45:04.55 0
銀色の永遠 〜re:bornその31〜

「ごめんね」

「何が?」
「ううん、何でもない。それよりさ、妹を大事にしなよ。
 きっとアンタの妹は、今はたくさんの仲間に囲まれて幸せだろうけど、
 いつか、その仲間同士で闘わなきゃいけない時がくるかもしれない。
 その時、最後に助けてあげられるのは家族なんだから・・・・・・・」
「なんか僕の妹を知ってるような言い方だね。でも覚えておくよ」

「それじゃあね、ごとーはもう行くよ」
「行くって、パスポートも無いのにどうやって?」
「こないだ、こいつらの隠れ家を襲った時に
 パスポートを偽造する機械を見つけたから作っておいたんだ。
 善は急げだし、明日にでもイタリアに行くよ」
「ホントに無茶するねえ。命だけは大事にしてね」
「うん、わかった」

そう言うとごとーは兄重の傘から出た。
「あ、傘持って行きなよ」

ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア・・・・・・・

うしろから兄重が声をかけたけど、ごとーは後ろを振り向かずに
雨が降る町の中に消えていった・・・・・・・・

次の日、ごとーは偽パスポートとやくざから奪い取った組のお金を使って
南イタリア、ネアポリス空港行きの飛行機に乗った。


TO BE CONTINUED…(?)