921 :915:2005/11/17(木) 22:54:59 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じる@〜
「それ・・・ぼくにくれないか もしいらないなら・・・スタンドだけ・・・」
『能力だけ取り出してDISCで保管するという事か?
それもいいかもな・・・『適材適所』・・・
・・・必要になる時がいつかあるかもしれない・・・』
「あぁ。少なくとも逆よりは役に立つと思うんだよ」
『・・・そうだな。確かに逆よりは使い道がありそうだな・・・』
『逆よりはな・・・・・・・・』
954 :915:2005/11/18(金) 21:24:58 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じるA〜
-金曜日-
その日、いつものように部活はさぼるつもりだった。
なのに珍しく放課後部室に向かったのは
今日、家にママの友達連中が遊びに来ると聞いたから。
相手するのもメンドいし、部室で適当に時間つぶすか・・・
その程度の気持ちだったのが運の尽き。
部長のよっすぃ〜に捕まって寺田のおっさんからの指令とやらを
引き受けなければならない羽目になってしまった。
「はぁ〜?美貴イヤだよ!こないだもやったじゃん!」
「みんな順番にやってるんだからワガママ言うなよ
今回は勧誘じゃなくてスタンド使いかどうか、
そうだったらその能力を調べるだけだからさ」
「それが一番危険だっちゅーの!
誰が『あなたのスタンド能力は何ですか?』って聞いて答えてくれるのさ?
結局バトった上に怪我しなきゃいけないのはこっちなんだから!」
「今回は戦う事もまずないと思うよ、相手は初等部の女の子だし」
955 :915:2005/11/18(金) 21:25:36 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じるB〜
よっすぃ〜の言葉に美貴は思わず聞き返した。
「しょ、初等部〜?????」
なんだ、相手は小学生のガキですか。
確かにそれじゃあ戦闘になる可能性も少ないな。
スタンドって結局強い弱いの概念は無くて
状況に応じた適材適所の能力とその能力を応用出来るだけの知恵、
そしてスタンドパワーの源である精神力が勝負を決するのだ、
それがこの数ヶ月の間、戦闘を重ねる中で導き出した美貴の結論だ。
小学生の女の子でそこまでの知恵と精神力があるとしたらよっぽどだろう。
そう一瞬でも思った美貴の心の隙をつかれた。
結局よっすぃ〜に言いくるめられて今回の指令を受ける事になっちゃった。
まぁ良いか。簡単そうな時に仕事しておけば次をスルー出来るし・・・
「でもさ、なんでこの子がスタンド使いだって思うわけ?」
「寺田先生によると、この子の親類にスタンド使いがいた可能性が大なんだって」
「図分遠回りな予想だね・・・・・
言っとくけどうちの家族にはスタンド使いいないよ?」
「でも道重や亀井の例もあるし、親子や兄弟でスタンドが出現する例は珍しくない。
だから調べるんだよ」
ま、良いか。
「わかった、じゃあその仕事引き受けるよ。週明けで良いよね?」
956 :915:2005/11/18(金) 21:26:11 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じるC〜
-月曜日-
翌週、授業が終わるとすぐに美貴は初等部の正門へと向かった。
いくら同じ学校だと言っても初等部の校舎に入るのはまずいし、
正門のあたりで下校してくるのを待った方が賢明だな。
しかし相手がスタンド使いかどうかなんてどうやって見極めよう?
例えばスタンド使いがたばこの煙を吸ったら
鼻の頭に血管が浮きあがるとか、そんな簡単な判定方法があったら良いんだけど。
って悩んでいたけれどすぐに気づいた。
相手は小学生。とにかくこっちのスタンドを見せちゃえば良いんだ。
それで相手が何か反応をしめせばスタンド使い認定だし
何も反応無ければ見えてないから非能力者で決まりだろ。
ターゲットの写真片手に正門で待っていると
小学4年生の割には小柄な女の子が一人で歩いてきた。
一人なのは好都合だな。友達とか一緒だと面倒くさい。
そんなことを思いながら美貴はその子に話しかけた。
「萩原・・・舞ちゃんだよね?」
957 :915:2005/11/18(金) 21:27:51 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じるD〜
-火曜日-
「で、結局その舞ちゃんって子はスタンド使いだったんですか?」
昼休み、よっすぃ〜に報告しているそばで
お弁当を食べながら聞いていたコンコンが横やりを入れた。
「うん、舞ちゃんがどういう子かはわかったから結論は?」
よっすぃ〜にも言われてしまった・・・・・・。
「さ、最近の小学生の女の子が見ているアニメは
プリキュアって言うんだって。
美貴らの時代はセーラーム・・・・」
「それで?」
「ま、舞ちゃんはシャイニング娘。のファンで、ヤニーズはあんまり興味無いんだって。
やっぱりあの年齢だと男のアイドルを好きになるよりも
女性アイドルに憧れるのかなあ?
美貴が小学生の時はSNYAPが好きだったけど・・・」
「ふ〜ん、そ・れ・で?」
「そ、それくらいです・・・・」
美貴は小さな声で言った。
958 :915:2005/11/18(金) 21:28:37 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じるE〜
最初、舞ちゃんに話しかけた時はめちゃくちゃ警戒された。
このご時世だし、少年少女の行方不明事件も多発してるんだから
親に知らない大人について行くなと教育されているのは当たり前だ。
なんとか警戒を解いて舞ちゃんの事を色々聞くことが出来た。
好きなアニメ、好きな芸能人、隣の席のケンタ君が
舞ちゃんにいたずらしてくる事・・・・・・・・・・・
一通り話をしたあと舞ちゃんは帰って行った。
「で、結局スタンド使いかどうかは確かめられなかったんだね?」
よっしぃ〜の言葉が耳に痛い。
「はい、すんません・・・。今日は必ず・・・・」
美貴はそう言うしかなかった。
でもなんでだろ?
美貴もかったるい事は嫌いなタチなんで、
さっさとこっちのスタンド見せて、場合によっては
軽く攻撃してみたらそれでお終いだと思ってたんだけど・・・・
そんな事を思いながら昨日と同じように初等部の正門で待っていたら
これまた昨日と同じように舞ちゃんが歩いてきた。
よし、今日こそは!!
「お〜い、舞ちゃ〜ん!」
959 :915:2005/11/18(金) 21:29:25 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じるF〜
-木曜日-
「ミキティ、調べて欲しいのはそういうことじゃないから」
昼休み、よっすぃ〜の言葉に美貴はまた小さくなるしかなかった。
くっそ〜、いつもだったら文句の一つも言うところだけど
確かに今回は反論しようがない・・・・
隅の方でいつものように弁当をほおばりながら
コンコンがコロコロ笑ってる。
これで三日連続。舞ちゃんとそれなりに会話はした。
舞ちゃんが集めてるシールをもらったので
お返しに美貴のプリクラをあげた。
演劇部のコーチもしてくれているのりりんこと
音楽の菅井先生が初等部も教えているので
のりりんの悪口を言い合った。
明日の音楽番組にシャイニング娘。出るね。
でも最近あの番組出るのはお笑いタレントばっかりで
もう音楽番組じゃないから期待しない方が良いよ・・・・
舞ちゃんと別れてから美貴も自分で何やってんだよとは思うんだよ。
何を仲良くしゃべってるだけなんだと。
でも舞ちゃんとしゃべってる時はそれで良いかなって・・・
よし、今日こそは心を鬼にして有無を言わさず先制攻撃だ。
それくらいやってみよう!
よっすぃ〜に怒られながら、美貴はそう心に誓った。
960 :915:2005/11/18(金) 21:30:04 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じるG〜
「でね、ゆかりちゃんはしょうた君とおつきあいしてるんだけど
ゆかりちゃんはまさと君の事も好きなの」
「うわ、それって二股?最近の小学生はすごいねえ」
放課後、いつものように正門前で舞ちゃんを捕まえて談笑していた。
え〜っと、なんか大事な事忘れてるような気がするけどなんだったっけ・・・
まぁ良いか。そう思いながら舞ちゃんと話し続けた。
「二股って言葉わからないか。ちょっと難しかったね。二股っていうのは・・・」
「げふっ???????????????」
一瞬、美貴は呼吸が出来なくなった。そして脇腹の強烈な痛みに気づいた。
「な、何?」
思わず横を向いたその時、みぞおちに第二撃が。
ズドン!!!!!!!!!!
961 :915:2005/11/18(金) 21:30:42 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じるH〜
「ぐっ!!!!」
な、何かが飛んできた!それが美貴に直撃したんだ!!
まずい、舞ちゃんを守らなきゃ・・・・・・
思わず何かが飛んできたと思われる方向から舞ちゃんを守る様な
立ち位置に移動した美貴の人より少し広めのおでこにまた何かが直撃した。
カアァァァァァァァァァアアン!!!!
いってえ〜!!!!!!
美貴は痛みの余り思わずうずくまった。
そして頭をおさえた手のひらを見ておでこから血を流している事を確認した。
どうしよう?次の攻撃が来る・・・・
しかし次は来ない。よし、今の内だ!
「ま、舞ちゃん、またね!!!!!!!」
とにかく逃げよう!そう思った美貴は舞ちゃんを置いて
脇目もふらずにその場を走り去った。いや、逃げ去った。
舞ちゃんを守らなきゃ。そう思ったはずなのに。
962 :915:2005/11/18(金) 21:31:19 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じるI〜
「その話よくわかんないんだけど」
腕組みをしながらよっすぃ〜が言った。
あのあと部室に逃げ込んだ美貴は愛ちゃんに
おでこに絆創膏を貼ってもらいながらよっすぃ〜に今日の報告をした。
「わからないって何が?」
「まずさ、なんでミキティは戦おうとしなかったのかって事。
最低限、スタンドで身を守るべきだったんじゃないのかなあ?」
「そ、その時は気が動転していてとにかく逃げなきゃって・・・・」
「それともう一つ、ミキティは舞ちゃんを守らなきゃって思ったって言ったよね?」
「うん、そうだけど・・・・」
「その舞ちゃんのスタンド攻撃じゃないンすカ?」
よっすぃ〜の言うべきセリフを先に言ったのは愛ちゃんだった。
963 :915:2005/11/18(金) 21:32:08 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じるJ〜
「え?それはその通りなんだけど・・・・・・」
美貴が自信なさげに言うとよっすぃ〜は
「何かが飛んで攻撃してくるスタンド、って可能性があるね。」
と言った。
確かにそうだ。それが舞ちゃんのスタンド能力なんだ。
つまり美貴は舞ちゃんに攻撃されたんだ・・・・
美貴が食らった3発は何か堅い固まりだった。
そう、まるで岩か何か・・・・
っていうか、それが普通たどり着く結論だよね。
なのになんで美貴は・・・・・・
「違うと思いますよ」
57 :915:2005/11/19(土) 19:52:46 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じるK〜
-金曜日-
「あ、お姉ちゃん。昨日はいきなりどうしたの?」
「なんでもないから、舞ちゃん」
放課後、昨日と同じように美貴は初等部の正門前で舞ちゃんに話しかけた。
う〜ん、大丈夫だろうなあ・・・・・・
しばらく舞ちゃんと話しているとそれはやってきた。
「ぐっ!!!!!!!!!」
昨日と同じように脇腹に何かをぶつけられた衝撃が走る。
今日は服の中に雑誌を挟んでおいたからまだマシだけど。
とにかくやばい、スタンド攻撃だ!逃げなきゃ・・・・
そう思ったその時だった。
美貴のケータイが鳴った。
「藤本さ〜ん、OKです。捕まえましたよ〜」
電話の向こうからコンコンの声が聞こえた。
58 :915:2005/11/19(土) 19:53:24 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じるL〜
-木曜日-
「違うと思いますよ」
突然そう言ったのは部室に来たばかりのコンコンだった。
隣に亀もいる。
「違うって、何が?」
よっすぃ〜が怪訝そうにコンコンに聞いた。
「藤本さんを攻撃したのは舞ちゃんのスタンドじゃないですよ」
コンコンはそう言いながらポケットから何かを差し出した。
「これは?」
「藤本さんと萩原舞ちゃんがしゃべっていた現場に転がっていました。
藤本さんはこれを当てられたんですよ」
それはどこにでも転がっているただの石だった。
59 :915:2005/11/19(土) 19:53:55 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じるM〜
「石?」美貴はその小石をつまんでしげしげと眺めた。
ホントにどこにでもあるただの石だ。
「そう、ただの石です。」コンコンは続けた。
「その石は正門から30メートルほど離れた木の上から飛んできました。
スタンド能力と言うよりも、
『普通の石を力も精密動作性も併せ持ったスタンドが投げた』
と理解するべきです。
相手がネズミとか小動物ならともかく、藤本さんくらいの大きさの的なら
距離としては狙える範囲だと思います。
つまり近距離パワー型スタンドによる直接的物理攻撃。
だから離れた位置にいる舞ちゃんのスタンドでは無いんです。」
「ちょ、ちょっと待てよ、コンコンは美貴たちの様子を見てたのかよ?」
あわてる美貴にコンコンはいつもの様にニコニコとしながら言った。
「そうですよ。離れた所から双眼鏡でばっちり観察してました。」
「じゃあなんで助けてくれなかったんだよ?」
「だって敵の能力もわからないのにむやみに飛び出しても仕方ないじゃないですか。
おかげで藤本さんに攻撃してきたのが誰かもだいたいわかったんですから」
この子、笑いながら結構恐ろしい事言うよな・・・・。
でも冷静かつ的確な判断だ。
普段はぼぉ〜っとしてるようだけど、案外頭良いんだな。
「誰か?つまり、別のスタンド使いがいる、って事か?」
よっすぃ〜がコンコンに聞き返した。
「はい、ついでに言うとそのスタンド使いは舞ちゃんのお友達とかでしょう。」
「なんでそんなことがわかるんだ?」
60 :915:2005/11/19(土) 19:54:30 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じるN〜
「最初の1発目はわからなかったんですけれど、
2発目、3発目は同じ位置から投げてきたのを確認しました。
つまり敵は移動していない、ということです。
しかし、藤本さんが逃げたあと、敵は木と木の間を飛び移って移動していきました。
移動する事は出来るのです。普通、狙撃者は自分の位置を悟られたくありません。
それなのに、出来るのに移動するという行為を怠ったということは
所詮相手はその程度の知恵の持ち主ということです。
そして戦闘慣れしてないものの考え方です。」
コンコンは続けた。
「それと、最初、敵と藤本さんの直線距離から舞ちゃんは少しずれた位置に立っていました。
だから舞ちゃんの方を向いていた藤本さんは脇腹に攻撃をくらったんです。
そして3発目、舞ちゃんを守ろうと思った藤本さんは
ここで初めて敵と舞ちゃんの直線上に立ちました。
この時は頭に攻撃を受けましたが、藤本さんと舞ちゃんの身長差は約20センチ。
たとえ藤本さんが避けても石は舞ちゃんの頭上を通り過ぎていった事でしょう。
そのあと藤本さんがうずくまって初めて藤本さんが避けると舞ちゃんに石が当たる、
そんな状況が出来たから敵は攻撃の手を休めたんです。
そしてその間に藤本さんは逃げたという訳です。
相手は舞ちゃんに石を当てたくなかったんですよ。」
「じゃあ舞ちゃんはスタンド使いじゃないわけだ?」
美貴はコンコンに尋ねた。
61 :915:2005/11/19(土) 19:55:03 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じるO〜
-金曜日-
正門から少し離れた中庭から電話をくれたコンコンの方向に走っていくと、
そこにはコンコンと亀、さゆ、小春がいた。そしてそびえたつ電話ボックス。
電話ボックスの中からはガンガン叩く音と
「出せ、こら!出せって言ってんだよ!」と叫ぶ色黒の小さな女の子。
そしてサイレント・エリザベスに捕まり
なすすべもなくふわふわと浮いているサルのようなスタンドがいた。
「この中の子が犯人だったの?」
「はい、そうです。案の定子供だから戦闘は素人ですね。不注意すぎます。」
コンコンがにこやかに笑いながら言った。
美貴と舞ちゃんに気を取られ、コンコンたちの接近に気づかなかった
その子、岡井千聖ちゃんがコンコンたちに気づいた時には
登っていた木をさゆに爆破され、
小春のビスケッツで電話ボックスに閉じこめられ、
トドメに絵里のモグモグ・ウェーウェーでスタンドの動きも封じられたのだ。
って、結局他人を使っておいて自分は何もしてないんだね、コンコンは。
62 :915:2005/11/19(土) 19:55:33 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じるP〜
そう、このサルのようなスタンドが美貴に石を投げつけてきたんだ。
爆破した木の近くには美貴が投げつけられたのと同じような石が何個も転がっていた。
「でもなんでこの子、美貴を攻撃してきたんだろう。」
「それを今から聞くんですよ。まあどうせお友達の舞ちゃんを
藤本さんに取られると思ったとかそんな理由だと思いますけど。」
コンコンが言ったその時、突然絵里のサイレント・エリザベスも
その子のサルのスタンドも消えてしまった。
「絵里、なんでスタンドを解除するんだよ?」
「僕は解除する気無いんですけど仕方ないですよね」
「仕方ない?そうか、こういう事だったのか・・・」
「そうです。あの子が原因です」
コンコンが指さした方向から舞ちゃんが歩いてきた。
63 :915:2005/11/19(土) 19:56:39 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じるQ〜
-木曜日-
「じゃあ舞ちゃんはスタンド使いじゃないわけだ?」
美貴が聞くとコンコンは首を振った。
「いえ、あの子もスタンド使いです。ただし全然違う能力の。
それに藤本さんはやられていたんですよ」
「え?美貴、スタンド攻撃受けた覚えはないけれど・・・」
「昨日、藤本さんが帰ったあと紺野さんに言われるままに僕が色々試してみたんです。」
そう言ったのは絵里だった。
「結論、舞ちゃんに本体が10メートル以上近づくとスタンドが消えてしまうんですよ。
サイレント・エリーゼみたいな遠隔操作型スタンドだけが近づいても大丈夫なんですけどね。
舞ちゃんはちゃんとエリーゼが見えていましたよ。」
「それが舞ちゃんのスタンド能力です」
コンコンが続けた。
「つまり、スタンドを出せなくしてしまうという能力なの?」
美貴は震えた。それがホントならなんて恐ろしい能力だ・・・
「正確には『闘争心をなくす』能力だと思います。」
コンコンはそう言った。
「だから藤本さんは舞ちゃんとしゃべっている間、
攻撃しようという気も起きなかったし、スタンドも出せなかったんですよ。
スタンドって精神力のヴィジョンですからね。
闘争心が萎えているからスタンドを出すことも出来ないんでしょうね」
「何それ・・・・・・・・」
「実際、僕も舞ちゃんに近づくと
能力の事とかどうでもいい気持ちになっちゃうんですよ」
亀が言うと、
「まぁ明日になればわかりますよ」
コンコンは笑いながら言った。
64 :915:2005/11/19(土) 19:57:20 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じるR〜
-金曜日-
「寺田先生から舞ちゃんの家族の話を聞いたよ」
よっすぃ〜が言った。
千聖ちゃんが攻撃してきた理由はコンコンの予想通りだった。
あのあと、やってきた舞ちゃんに「千聖ちゃんをいじめないで」と散々泣かれた。
舞ちゃんの涙に釣られて電話ボックスの中で千聖ちゃんも泣き出したので
美貴たちは二人を泣きやませるのに大変だったよ。
美貴が舞ちゃんに毎日話しかけてくるせいで
舞ちゃんを美貴に取られると思った千聖ちゃんは嫉妬したらしい。
そんなことないよと千聖ちゃんに美貴は謝った上で、スタンドは危険だから
あんまり使っちゃダメだよと千聖ちゃんに約束させてから二人を解放した。
泣きやんだ二人は手をつないで帰って行った。
二人を見送ったあと、部室に帰るとよっすぃ〜がいたので
今こうして報告しているという訳。
65 :915:2005/11/19(土) 19:57:53 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じるS〜
「舞ちゃん自身は普通の家庭の子なんだけど、
舞ちゃんのおじいさんが少々不幸な生い立ちだったらしい」
よっすぃ〜の説明によるとこうだ。
舞ちゃんのおじいさんが小さい頃はまだ普通の家庭だった。
しかし、中学になった頃から両親、
つまり舞ちゃんのひいお祖父さんとひいお祖母さんの間で
喧嘩が絶えず、とうとう離婚してしまった。
おじいさんの兄弟の間でも喧嘩が絶えず、一家は離散したらしい。
ところが数年後、ひいお祖父さんとひいお祖母さんは仲直り。
舞ちゃんのおじいさんたちも帰ってきて家族は元の鞘に収まった。
おじいさんの弟一人をのぞいて。
その弟だけが結局帰ってこなかったらしい。
「その弟というのがスタンド使いで、家族の喧嘩も彼が原因だったんだ」
よっすぃ〜は続けた。
彼はその後日本を離れ、フランスに移り住んだらしいが
80年代後半以降、その足取りはつかめていない。
66 :915:2005/11/19(土) 19:58:30 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じる21〜
なんでも水を介して7/100ボルトの電気信号を脳の大脳辺なんちゃら・・・
よくわかんないけれど、とにかく脳を刺激して周りを怒らせるだけ、
それが彼のスタンド能力だったそうだ。
フランスのある地方では彼のスタンドによって仲の良いグループが
突然死ぬほどの大喧嘩をした、という話が何例かあるらしい。
「兄弟で似たようなスタンド能力という例は道重姉妹の他にもないことはない。
勝負に負けた相手の魂を奪い取るという能力を持った兄弟もいたそうだ。
萩原舞ちゃんの場合、大叔父と原理は似たようなもので、
逆の作用が働く能力になったんだな。
スタンドが出せないというのは、このスタンド能力というより
闘争心が出ないという舞ちゃんのスタンド能力の結果による副産物だ。」
よっすぃ〜はそう結論づけた。
「敵に回ったら非常に危険な能力だけど、遠距離からの攻撃に無力という弱点もあるし
何よりも舞ちゃん本人がスタンドを使ってどうこうしようって気が無いから
舞ちゃんに関しては特別に指令が無い限り放置しても大丈夫だろう。」
確かにその通りだ。
でも美貴はよっすぃ〜の言葉に違和感を覚えた。
この部って、常に敵を想定しているよな・・・・・・・・・。
67 :915:2005/11/19(土) 19:59:27 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じる22〜
「そこでだ、ミキティ」
「はい?」
「舞ちゃんの能力はわかったけれど、千聖ちゃんのスタンドについてはまだ不明な点が多い。
というわけで千聖ちゃんの調査よろしく」
「ちょっ!なんでまた美貴が??????????」
「だって舞ちゃんとあんなに楽しそうに会話してたじゃん。適任だろ?
これからは小学生相手の調査は全部ミキティに任せるから」
「やだー!!!子供はもう勘弁して〜!!!」
「あ、思い出しました」
会話を聞いていたコンコンはそう言うといきなり美貴の制服の襟をつかんだ。
「もう用はなくなったので盗聴器回収しておきますね」
そう言ったコンコンの手の中には小型の機械があった。
「ちょっと待てよ!もしかしてオマエ等美貴と舞ちゃんの会話コレで全部聞いてたのか?」
「当然ですよ。観察していたって言ったじゃないですか。
藤本さんがアニメの話とか一生懸命してるのは意外だけどほほえましかったですね。
あれ、何で怒ってるんですか?
それにしても最近は盗聴道具もすっかり安くなったんで・・・」
やっぱりコンコンって油断出来ねえ!
68 :915:2005/11/19(土) 20:00:08 0
銀色の永遠 〜藤本美貴はジェネレーションギャップを感じる23〜
「で、君はそのスタンド使いの子供をどうするつもりだい?」
『まぁ、アノ時に使い道があるかもしれんからとりあえずキープやな』
「アノ時か。使い方が難しいスタンドだから、そこは君の腕の見せ所だな」
『あぁ、それまでいろいろ研究しておくわ。ん?何がおかしい?』
「いや、あの男と言っていた逆の能力がホントにあったんだと思ってね。」
『あの男?』
「ごめん、こっちの話だ。そうだ、君に大事な事を言うのを忘れていたよ。
先日、辞令が来てね、国に帰る事になったよ」
『ほう、ほんなら君の夢がついに叶うわけか?』
「あぁ。やっと刑務所の教戒師に空きが出来るそうだ。
異動願いを出し続けた甲斐があったよ」
『そうか、それはおめでとう。でもさみしなるなあ』
「帰るのはもう少し先だからまだしばらくはこっちにいるよ。引継ぎもあるしな・・・」
TO BE CONTINUED…