431 :314:2006/03/12(日) 21:10:25.25 0
銀色の永遠 〜清水佐紀は身長を伸ばしたい!1〜

「ねえ!友理奈ちゃん!!何でそんなに身長伸びたの!?」
清水佐紀は、廊下の真ん中で、
普段の優しい笑顔や他人を嗜める時の怒りと優しさの混ざった顔とも違う切羽詰った顔で、
熊井友理奈に対して質問を投げかけていた。
「えっ?『何で?』って言われてもなあ……うーん、分かんない」
友理奈の可愛らしい困り顔から出てきた答えを聞くと、
佐紀は満足のいかない答えだったようで、憮然とした態度で友理奈から離れて行ってしまった。

「何だったんだろ?」
「気にしないほうがいいよ」
「あっ、ももち」
友理奈が声に気付き振り返ると、嗣永桃子が呆れ顔で教室から顔を出していた。
「キャプテン、今までも背伸ばしたいって言ってたじゃない?
その上、この間、小学生だと思われたらしいよ。
それ以外にも身長のことで、色んなことが最近重なったらしくて。
それで、あの状態になっちゃったみたいよ。
……身長低いほうが良いこと多いのになあ」
桃子の口元に不敵な笑みがこぼれたが友理奈はそれを気に止めなかった。
「最後のほうよく聞こえなかったんだけど……ま、いいや。ありがとね、ももち」


432 :314:2006/03/12(日) 21:11:27.99 0
銀色の永遠 〜清水佐紀は身長を伸ばしたい!2〜

……数週間後

「あれっ?キャプテンは?ももち?」
友理奈がドアを小さく開け桃子に話しかけていた。
「ん?あっ、くまいちょー。キャプテンならもう帰っちゃったよ。
……でも、最近、キャプテン何かそわそわしてるんだよね。授業終わったらすぐ帰っちゃうし。
それにここ数日、身長がどうとか言わなくなったし。何でだろ?」
桃子は小さく思案したが答えは見つからないようだった。
桃子の言ったことなど気にならない様子で、友理奈は、桃子に気持ちを伝えた。
「そうなんだ。じゃあ、ももちでいいや。なかさきちゃんの所にお見舞いに行くの。ついて来てよ

?」
「だーめ。今日は小春と帰る約束してんの。他を当たりなさい」
お姉さんの顔を見せた桃子は、そう言うと、
桃子は机に下げられていたピンク色のキーホルダーの付いたカバンを持つと、
マイペースなゆっくりとした歩みで教室を後にした。


433 :314:2006/03/12(日) 21:12:48.68 0
銀色の永遠 〜清水佐紀は身長を伸ばしたい!3〜

………………………………

「じゃあね、小春。また明日ね」
「うん、じゃあねえ〜、桃子」
体の周りで小人が踊っている少し背の高い後姿が小さなドアの中に消えて行った。
久住小春と桃子はある一件を気に非常に親しくなり、最近では一緒に帰ったり、
お互いの家に遊びに行くほどの仲になっていたのである。
「うーん、家帰っても暇だしなあ。くまいちょーについて行けばよかったかなあ。
……そうだ。キャプテンの様子見に行こっと。
最近様子がおかしいし何か面白いものが見れるかも」
桃子はそう独り言つと、スキップでその場を後にした。


桃子が佐紀の家に着くと、佐紀の家のドアが小さく開いていた。
「んっ?キャプテンと…誰だあれ?」
桃子がその隙間から中を覗き込むと、玄関に座っている佐紀の姿とその横に座り
黒いアタッシュケースを開きデジタルカメラやテレビの商品説明の載った赤いカタログを
佐紀に見せているスーツを着た中年の男の姿があった。
男は佐紀が小さいことを差し引いても背が高く見え、180cmはある様であった。


434 :314:2006/03/12(日) 21:13:52.78 0
銀色の永遠 〜清水佐紀は身長を伸ばしたい!4〜

「それでね、佐紀ちゃん。今日はこれなんてどうかな?」
男は、カタログの中の最新型のデジタルカメラを指差し、
少し高い声でセールストークを始めた。
男の巧みな話術によって陰で二人の会話を聞いていた桃子もそれを買いたくなり始めていた。

(はっ!だめだめ。わたしは佐紀ちゃんの不思議を解明しに来たんだった。
でも、あの人ただのセールスマン…だよね。
藤本さんが倒したっていうスタンド使いの亀井さんのお父さんとも違うっぽいしなあ)

――――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――――

「いえ、それは大丈夫です。だから『あれ』を下さい」
佐紀の目は徐々に焦点が合わなくなり虚ろになっていた。
「そうだよね。佐紀ちゃんは『あれ』が欲しいんだよね」

(『あれ』って何のこと?……それにキャプテンの目が……まさかこいつが原因なの?)


435 :314:2006/03/12(日) 21:14:48.19 0
銀色の永遠 〜清水佐紀は身長を伸ばしたい!5〜

男はアタッシュケースから小瓶を取り出すと佐紀の前に置いた。
小瓶の中には、黄色い錠剤が数粒入っていた。

「一応説明をさせて頂きますと、これ、なんと一日三回飲むだけで身長が伸びちゃうんです。
その魔法の薬が今なら一瓶9800円、9800円になっております」
テレビショッピングのような過剰演出な言い方で男は商品の説明を終えた。

(背が伸びる〜!?嘘に決まってんじゃん!
そんな簡単に身長伸びるならキャプテンも苦労してないっつうの!
ねっ、キャプテン。……あっ!だからキャプテン買うのか。
でも、あのキャプテンがそんな如何わしいもの買うわけが……)

「佐紀ちゃん買ってくれるんだよね?だってそんなに身長伸びてるもんね」
「はいっ、おかげでもう155cm越えたんですよ!」
佐紀の目は未だに虚ろで何か夢でも見ているかのようであった。
そのセリフも誰かに言わされているような、そんな嘘臭いものであった。

(嘘だ。だってキャプテンそんなに大きくなってないじゃん。まだわたしより小さいし。
145、6cmってところじゃんか……んっ!?何あれ)



436 :314:2006/03/12(日) 21:16:05.10 0
銀色の永遠 〜清水佐紀は身長を伸ばしたい!6〜

――――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――――

セールスマンの男の体から細身のスラッとした体格のスタンドが現れていた。
胸の部分にはテレビを模した様な形が見て取れ、目の色はワインレッドであった。

(あれは…スタンド?ってことはやっぱりあいつが犯人みたいね。
しかたない、キャプテンのためにこの桃が一肌脱いじゃおっかな。
でもキャプテンあんなだし、桃に『もしも』は無いけど、
一応援軍呼んどいたほうが良いのかなあ)
そう言うと桃子は胸元から携帯を取り出し、佐紀の家から離れた。


437 :314:2006/03/12(日) 21:16:57.89 0
銀色の永遠 〜清水佐紀は身長を伸ばしたい!7〜

「待てえ〜、まいちゃ〜ん、ちさと〜」
「いやだよ〜だ。逃げよ〜まいちゃん」
170cmはありそうな長身の少女が150cmにも満たない身長の
ランドセルを背負った女の子を追い掛け回していた。

「元気だなあ、えりかちゃんは」
「そうですね、藤本さん。でも藤本さん何でここにいるんですか?」
「えっ!!何でって!いやあれだよ。あれ。うん。あれだ!あれ!!」
聞かれたくないことを聞かれたのか、明らかに美貴の顔は狼狽していた
(そんなにまいちゃんたちと、毎日のように遊んでるの知られたくないのかなあ?)
「あれって何ですか。まあ大体分かるんでこれ以上は聞きませんけど」
「で、でも、舞美ちゃんとえりかちゃんも中等部だろ。何でまいちゃんたちと遊んでんの?」
美貴は、自分の事に触れられたくないらしく舞美に自分のされた質問を返した。
「藤本さんのおかげでまいちゃんと、ちさとがスタンド使いって分かったんで、
吉澤さんから二人にスタンド使いのことを教えてやってくれって言われまして。
それから仲良くなってよく遊ぶんです。普段は愛理やなかさきちゃんやめぐも一緒なんですけど。

今日は二人です」
「ふーん、そうなんだ」


438 :314:2006/03/12(日) 21:18:16.89 0
銀色の永遠 〜清水佐紀は身長を伸ばしたい!8〜

二人の会話の後ろでは、三人が走り回っている音が聞こえていていた。
その自然な音の中に電子音が響いた。

プルルルル プルルルル プルルルル プルルルル

「舞美ちゃん、携帯鳴ってるよ」
「えっ?ああ、これわたしのですね。誰からかな。あっ、桃からだ。
珍しい、なんだろ。はい、矢島です。桃でしょ、何か用事?
えっ、ほんと!?だったら、うん。分かった。すぐ行く」
桃子からの電話を受けたらしい、
矢島舞美の顔からは小さな不安がこぼれていた。

「藤本さん、すみません。何か、スタンド使いが現れたらしくて、わたしたち行かないと。
えりかちゃん行くよ」
そう言うと舞美は美貴に背を向け自慢の足で走り出した。
「えっ、何!?ちょ、ちょっと待ってよお〜。
あっ、まいちゃん、ちさと、気をつけて帰るんだよ」
二人が走り出したので、その場には三人が残された。
「はっ!ちょっと待ちな。美貴も行く!じゃあね二人とも」
美貴は二人に手を振りながら、自慢の『シルバーチャリ・乙』に乗りこみペダルをこいだ。
ぐんぐん自転車は加速し、前を走る二人の姿を捉えた。


439 :314:2006/03/12(日) 21:19:10.26 0
銀色の永遠 〜清水佐紀は身長を伸ばしたい!9〜

二人に追いついた美貴は、併走しながら舞美に疑問を投げかけた。
「舞美ちゃん、何があったんだ?」
「詳しくは分からないんですけど、桃が言うには清水佐紀ちゃんがセールスマンに襲われてるとか


「だったら、急いだほうがいいな!美貴先行くから!」
美貴はペダルをこぐスピードをさらに上げ二人を引き離した。
「いや、ちょっと藤本さん、待ってくださいよ!藤本さん、佐紀ちゃんの家知らないじゃないです

か。
ああ、行っちゃった」
舞美の叫びもむなしく美貴はスピードを上げていった。

「しかたない、わたし先行くからえりかちゃん追っかけてきてね」
舞美はシンクウェルの輝彩滑走の流法を発動させ美貴を追いかけた。
ローラーブレードの歯が地面を少しずつ削り、舞美の体をトップスピードへと押し上げる。

ギュルルルルルルルルルルルルルルルルルル!!!!!


440 :314:2006/03/12(日) 21:20:55.63 0
銀色の永遠 〜清水佐紀は身長を伸ばしたい!10〜

舞美のスピードは凄まじくあっという間に美貴に追いついた。
「藤本さん、おいてかないで下さいよ。それに藤本さん、佐紀ちゃん家知らないじゃないですか」

「はっ!!そっか、いや〜、そうだったね」
美貴は照れを隠しながらペダルをこぎ続けた。

(はあっ。この人本当はかなり『ばか』なんじゃないのかな。バトルはすごいって聞くけどなあ。
あの吉澤さんと引き分けてるらしいし。どうなのかな?)

「それじゃあ、行きますよ。スピード上げるんでついてきて下さいね」
舞美の体が大きく躍動しスピードが上がっていった。
美貴もそれに負けじとペダルをこぐ速度を限界まで高めていった。


(はあ、はあ、二人とも速過ぎだよお。それにわたしのスピードじゃあ着くころにはもう戦い終わ

ってるだろうしなあ。
桃だけじゃなくて舞美ちゃんと藤本さんもいるんだから。ま、それでもいいよね。わたし、人を殴

るとか出来ないし)

梅田えりかは心の中でそう呟くと、少しペースを落としジョギングをするようにゆっくりと走った



(だけど、やっぱり演劇部員なんだし少しは戦えないと駄目なのかな……)


441 :314:2006/03/12(日) 21:21:56.15 0
銀色の永遠 〜清水佐紀は身長を伸ばしたい!11〜

………………………………………………

「えりかちゃん行くよ!輝彩滑刀の流法!!」

ジュイーーーーーーン!!!

舞美は、輝彩滑刀をえりかに振り下ろした。もう少しで直撃を受けるところだったが、
間一髪のところで、えりかは身をかわした。

「舞美ちゃん危ないよお。こんなこともうやめようよ」
「何言ってんのえりかちゃん!?そんなことじゃもし独りの時に襲われたらどうすんの?
えりかちゃんの能力なら大概の人になら勝てるのに。
えりかちゃん本気だと、すごかったじゃん」
「そ、そんなことないよ。わたし、動物や人を殴ったり出来ないし……あっ!かわいそうに」

えりかが膝を折り見つめた先には、ミミズが潰れていた。
どうやら先ほど舞美が殴りかかった時に、踏んづけてしまったようだ。

「はあ、やっぱり駄目か。えりかちゃんが本気になってくれたらなあ。
わたしやめぐが守ってあげないと駄目なのかな…」

………………………………………………


442 :314:2006/03/12(日) 21:22:49.80 0
銀色の永遠 〜清水佐紀は身長を伸ばしたい!12〜

ゆっくりと佐紀の家を目指していたえりかだったが、
距離は少しずつ、けれど、確かに縮まり、
えりかに美貴、舞美、桃子の雄々しい姿を見せてくれるはずであった。
けれどそこに見えたのは、えりかの想像の大きく外をいくものであった。

――――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――――



144 :314:2006/03/16(木) 00:25:32.26 0
銀色の永遠 〜清水佐紀は身長を伸ばしたい!13〜

「な、何これ!?舞美、藤本さん、桃、どうしたの!?」
えりかがここに来るまでに、先に戦ったであろう三人は地面に伏していたのだ。
しかし、三人は倒れてはいるのだが、目立った外傷が無かった。
だが、三人の目は焦点が合わず、時折、笑顔になったり、
焦燥した表情になったりと常軌を逸した状態になっていた。

「あれ?もしかして、君もこの子達の仲間なの?」
玄関のドアが開き長身の男が姿を現した。

「あ、あなたが舞美が言ってた佐紀ちゃんを襲ってるっていうセールスマンの方ですか?」
「襲ってるっていうのは、心外だなあ。私は佐紀ちゃんや彼女たちを夢の世界に誘っただけだよ。
あっ、そうだ。自己紹介がまだだったね。私の名前は高田明。一応小さい会社の社長なんだが、
現場が好きでね。よくこうやって色々な家を訪問させてもらっているんだ。
特に、最近は邪魔だったあの亀造の奴がいなくなったから仕事も楽だしね。
……最後にこいつの紹介をさせてもらおう」


145 :314:2006/03/16(木) 00:26:18.37 0
銀色の永遠 〜清水佐紀は身長を伸ばしたい!14〜

そういった男は、スタンドを発現させた。
「君も見えるんだろ?こいつは『ドリームシアター』って言うんだ。
能力は名前のとおり相手に『夢』を見せるんだ。
それが、悪夢か良い夢かどうかは私のさじ加減だがね」

高田と名乗った男の言葉を聞いたえりかは絶望した。
そこに倒れている三人が勝てない相手に
自分が勝てる可能性を欠片ほども見つけられなかったからである。
えりかの体は小刻みに震え、立っているのがやっとの状態だった。

「あれ、震えてるね。じゃ、こっちからいかせてもらおうかな!」
そう言った男は、スタンドの拳をえりかに向けた。
大したスピードではなかったが、今のえりかにその拳をかわす術は無かった。

その大きな体は、ほんの少しの時間だが、宙を舞い、地面に強かに打ち付けられた。

グシャャャャャャャ!!!


146 :314:2006/03/16(木) 00:27:17.97 0
銀色の永遠 〜清水佐紀は身長を伸ばしたい!15〜

「ゲホッ、ゲホッ、どうすればいいの?このままじゃあ殺されちゃうよ」
「殺す!?私は人を殺そうなんて思ったことは無いよ。
私はみんなに商品を買ってもらいたい、ただそれだけなんだよ」

商品を売るために能力を使う。本末転倒な話だったが、
その言葉も絶望の世界に囚われているえりかには、届かなかったようであった。

「ふう、そんなことじゃこの子達を助けるなんて到底無理だね!」
高田は、舞美の顔を踏みつけながら、口を開いた。

ビューーーーーーーン!!!!!

――――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――――

「グワッ!!!何だ!?今の!?何だこれ、つ、冷たい!!!」
気がつくと高田の頬には、何かに殴られたような痕があった。
その部分を高田が触ってみると、まるで、冬の日の朝のような冷たさであった。


147 :314:2006/03/16(木) 00:28:02.67 0
銀色の永遠 〜清水佐紀は身長を伸ばしたい!16〜

高田が視線をえりかにやると、その痩躯の後ろに純白のドレスを着たスタンドが現れていた。
美しいドレスに身を包んだスタンドは、おとぎ話か何かに出てくる氷の女王のようであった。

「わたし、痛いのは苦手だし、人を殴るのはもっと苦手。
だけど、仲間が踏みつけられてるのを黙って見過ごすような人にはなりたくないの!!
だから…わたし……わたし戦う!!」

先ほどまで、おどおどしていた少女とは思えない、力強く凍えるような視線をえりかは見せていた



バーン!!!!!!!!!!!!!


148 :314:2006/03/16(木) 00:29:05.41 0
銀色の永遠 〜清水佐紀は身長を伸ばしたい!17〜

「フン!本気になったって訳か。だったらこっちも能力を使わせてもらおう」
真剣な表情を見せた高田はえりかの体の正面に入り、えりかと視線を合わせようとした。

(んっ!?何かマズイ。もしかして……『相手と視線を合わせる』これが奴の能力の発動条件なの

?」

間一髪のところで、視線を外したえりかだったが、ある重大なことに気がついた。

(そうか。顔を上げられないこの状態じゃあ、まともに戦えない。
だから、能力がばれても大丈夫ってことなのね)

「……気付いたみたいだね。どうやら君は勘が良いし、頭も悪くないみたいだ。
そこの三人は、一発で目を合わせてくれて楽だったよ」

目を瞑ったえりかは、静かに手を高田に向けて伸ばした。
「アイスブレット!!!」
えりかの手から小さな氷の弾丸がいくつか飛び出した。
しかし、その弾丸の大半は、見当違いの方向へと飛んで行き、
その全てが高田にダメージを与えることが出来なかった。


149 :314:2006/03/16(木) 00:30:30.10 0
銀色の永遠 〜清水佐紀は身長を伸ばしたい!18〜

「やっぱりその状態じゃ、私に勝つのは無理だね。ほら、いくよ」

先ほどと同じ力の無いスローな攻撃だったので、
殴りかかってきたドリームシアターの攻撃を気配で感じ
なんとか防御したえりかだったが、
状況は悪く、防戦一方といった様子であった。

「はあっ、はあっ、このままじゃあ何時かやられちゃうよ。
今のスピードや正確性じゃあ確実に勝てない…………やるしかないのかな。
これやると、すごい疲れるし、相手の人ボコボコになっちゃうし嫌だなあ。
あいつやりすぎちゃうだろうな。でもみんなを守るためにはこれしか‥‥ないか」

ゴオォォォォォーーーーーーーーー!!!!

えりかの体から迸るほどの冷気が放出された。
「なんだ?これは?景色が…変わっていく!?」
えりかの体から放出された冷気は、徐々に二人の周りを取り囲み
辺りを白く染めていった。


真っ白になった世界に凄まじい吹雪が通り抜けた。

ビューーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!