575 :六部198:2006/01/28(土) 03:14:20.18 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜1

時刻は深夜の0時を過ぎていた。
とある公園のベンチに、全身傷だらけの少年が独りひざを抱えてうずくまっている。

サアアァァアアァァァァアアアァァァァ・・・・・・・

先程から降り始めた雨が、少年を打ちつける。
しかし、彼はそんなことも気にせずに何やらブツブツと呟いている。
「・・・・った・・・・」

身体が震えているのは寒さのせいなのか、傷が痛むからなのか、それとも別のものなのか、
それは誰にもわからない。
おそらく、当の本人にも・・・
ただ、ひとつ分かっているのは、彼はひどく絶望しているということだ。

「こんなの・・・ぼくのせかいじゃなかった・・・」
そう言いながら、震えが段々大きくなっていく。

ザアァァアアァァアアァァァアアアアァァァァァァ・・・・・・・

震えに連動するように、雨が強くなっていく。

「・・・こんなの・・・・・・・」

少年の背後に大きな影が現れ、そして静かに彼を飲み込んでいった。
「・・・・」

ザアァァアアァァアアァァァアアアアァァァ・・・・・!!!

いつの間にか土砂降りになった雨は、その晩止むことはなかった。


576 :六部198:2006/01/28(土) 03:15:34.03 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜2

明けて次の日の放課後。
田中れいなは、いつものように演劇部の部室にいた。
公演も一通り終わり、しばらくは自主トレということになっている。

ダンス、発声、読書、リフティング、植物観賞、サボり・・・etc

各々自分なりの『自主トレ』に励んでいた・・・。

そして、当の田中はというと、波紋の呼吸を繰り返し練習していた。
そのせいなのか、最近歌声に『芯』のようなものを実感できるようになっていた・・・

(イタリアの先生の言ってたこつはこういうことだったと!今、心で理解できた気がする!)
田中は成長する喜びをかみ締めながら、それに浸っていた。
(ありがとう・・・えと・・・名前なんだっけ?『なんとかリーニョ系』の名前やったんやけど・・・
まあよか・・・ありがとう!ナントカリーニョ先生!)
心の中でお礼を言うと、一秒間に30回を目標に波紋の呼吸をし始めた。


619 :六部198:2006/01/29(日) 03:32:12.30 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜3

ガラッ!

扉が開く音がした。
入り口を見ると、藤本美貴が部室に入ってきた。
何日か振りの出席だったか定かではないが、とにかく久しぶりであった。

「あ・・・美貴ね・・・」
藤本と目が合った田中は、声をかけようとしたが詰まってしまった。
藤本が田中を認識した瞬間、その表情がみるみる間に険しくなっていったからであった。
そしてこちらに近づいてくる。
「オメーよ〜、昨日のメールなんなんだよ!」
「え・・・?あ・・・」
田中は昨晩、藤本に『ある』メールを送ったことを思い出した。

「・・・まあ、ああいう意味わかんないメールはいっさい返しませんけどね 」
なぜか丁寧口調で答える藤本。
だが・・・それには明らかに怒気が入り混じっている。
その雰囲気に「ヤバさ」を感じた田中は、すぐに言い訳を考えた。
「あ・・・いや、あれはコミュニケーション ・・・」
「んなコミュニケーションいらねぇっつってんだよッ!!!」
田中の言葉を遮るように藤本が怒鳴った。
その声に他の部員達の視線が二人に集中する。

シイイィィィィィン・・・・・


620 :六部198:2006/01/29(日) 03:39:04.67 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜4

部室内が静まり返り、同時に張り詰めた空気が充満する。
「・・・ねえ、イライラする・・・」
そう言いながら藤本がこちらを睨む。
「う・・・」
周りの部員達の視線も、何故か自分を責めているような気がする・・・
その中で亀井と道重は、二人向かい合ったまま何事も無いように下を向いている・・・
亀井にいたっては、何か変な歌を口ずさんでいた。

ガラッ!タッタッタッタ・・・・

いたたまれなくなった田中は部室を飛び出した。
「あッ・・・れいなッ!」
去り際に誰かが呼び止めたような気がしたが、振り向かずにそのまま走っていった。

「oioi〜、ミキティ・・・どうしたのよ?ナニそんなにキレてんの?」
小川が藤本をなだめながら訳を尋ねる。
「あ〜?これだよ!」
そう言いながら、藤本は乱暴に携帯電話の画面を見せた。
「・・・ったく、真夜中にふざけんなつーの!・・・ブツブツ・・・」
「・・・ミキティ・・・これ、もしかしてさ・・・ちょっと貸して」
小川が藤本の携帯電話を手に取り、なにやら操作し始める。
「ふう・・・見てみなよ」
「あぁ?」
小川が携帯電話をさしだす。
藤本は面倒くさそうにそれを見た。
「・・・?あ・・・」
彼女の怒りが少しづつ納まっていく・・・
そしてバツが悪そうに頭を掻いた。
「・・・ったく、oioiだぜ・・・」


621 :六部198:2006/01/29(日) 03:46:47.15 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜5

田中は部室を飛び出したあと、S駅近くまで来ていた。
すでに夕方の6時を過ぎている。
空はすっかり暗くなっていた。


「はあ・・・」
溜め息を吐きながらブラブラしていると、いつの間にか路地裏に入っていた。
この時間の駅周辺は、会社帰りのサラリーマンや、遊んでいる若者などで人通りもかなり多いのだが、
一度路地裏に入ると、パッタリと人がいなくなるのであった。
こういうところで犯罪が発生することも多く、普通なら足を踏み入れたくない場所だが
俯き加減に歩いていたためか、知らず知らず迷い込んでしまった。

『・・・何いってんだぁ?!オラァッ!』
誰かの怒鳴り声が聞こえる。

バキィッ!ドサァ・・・!!

そしてその後に大きな音がした。
顔を上げて見ると、遠くの角で男が倒れてるのが見える。

『・・・舐めたこと言ってんじゃねーぞ!』
倒れてる彼を1人の男が蹴りつけている。
よく見ると、見たことのある人物だった。
(うわ・・・不良の『最上』だ・・・・・・ん?)
蹴られている方を見るとそれは、少し前に転校してきた
同じ学年の『片倉』という男子生徒であった。


622 :六部198:2006/01/29(日) 03:47:53.91 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜6

(・・・見てられなか)
田中は片倉少年を助けるべく、彼の元に向かっていった。
片倉少年と直接の面識は無かったが、やはりそのままにしておくわけにはいかない・・・。
「ちょっと待ち・・・」
「うぎゃあああああああああああああああああ!!!!!!!!」

突然煙のようなものが湧き上がったかとおもうと、大きな叫び声が響いた。
それは片倉少年を蹴りつけていた最上のモノだった。
「これは・・・!」
そばに駆け寄った田中は息を飲んだ・・・

シュウウウゥゥゥウゥゥウゥゥゥゥ・・・・・

なんと最上の下半身が無くなっている・・・
いや・・・『溶けて液体状になっている』のだった・・・

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・・・・・


693 :六部198:2006/01/30(月) 21:22:23.84 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜7

呆然としている田中をよそに、片倉少年は地面に這い蹲ると、
なんと『ソレ』すすり始めた。

ジュルジュルジュルジュル・・・ズズゥゥゥ・・・・

「はああああ・・・・・」
一通り『ソレ』をすすり終わった片倉少年は恍惚の表情を見せる。
「あんた・・・」
田中はそう言うのがやっとだった。
「た、助けてくれ・・・」
上半身だけになった最上が田中に気づき、助けを請う。
しかし・・・

ジュワアアアアァァァァア・・・・・・

最上は泡を立てながら溶けてしまった。
そして片倉少年は、また『最上であったモノ』をすする。

(喰ってる・・・いや、飲んどるのか・・・)

「んんmm・・・こういうのは見られるとまずいんだっけな?」
片倉少年が田中に向き直る。
その目には、何か狂気のようなものが宿って見える。
田中は肩の毛が逆立つのを感じながら硬直していた。


694 :六部198:2006/01/30(月) 21:27:30.81 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜8

「か、片倉君・・・一体何を・・・?」
「『カタクラ』?・・・んmm・・・」
田中の問いに、片倉少年が首をひねる。
「ああ・・・確かそんな名前だったっけか?コイツは」
「え?」
「コイツはかわいそうなヤツなんだよ、今のヤツ・・・
えーと・・・・『最上』とかいったかな?ソイツに虐められてたんだよ」
そう言って片倉少年は悲しそうな顔をした。

(一体なにを言ってると・・・?)
まるで他人ごとのような言い方に何か違和感を感じる。

「まったく・・・俺に言えば速攻でぶっ殺してやるって言ってたのによ〜
頑なにそれを拒むんだわ・・・『乱暴なことはしたくない』ってさ・・・」
片倉少年は肩をすくめるようなポーズをとる。
「まあ、そういう優しさがコイツのいいトコロかもしれないんだがな・・・
でもそれが災いして小さい頃から虐められてたんだよ、
転校してきても早速目をつけられてあのザマだ」
「・・・」

「でも、昨日初めて俺にお願いをしたんだ!」
少しの沈黙を置いて、片倉少年は自分を親指で指しながら大きな声で言った。
田中は思わず「ビクッ」としてしまった。
「俺も最初は話しでカタをつけようとしたんだがな・・・まあ、今の通りだ
結局クズはクズだ・・・しょうがないから喰っちゃった・・・・不味かったけどな」
片倉少年が笑みを見せる。
いや、コイツは本当に『片倉少年』なのだろうか・・・?


779 :六部198:2006/02/01(水) 16:22:19.04 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜9

『柱の男』・・・人を喰らうその姿から、田中の頭にそんな言葉が浮かんだ。
だがそれをすぐに打ち消す。
それでは今起こったことが説明できない。
第一ヤツは身体全体で喰っていた。
(まさか・・・嫌な予感がするたい・・・)

「これからは俺がコイツの代わりになってやるんだ・・・だがその前に・・・」
そう言って『片倉らしきモノ』が田中に一歩近づく。

「今のを誰かに話されると困るんでね・・・」
「来るなッ!」
田中が身構える。
「それは無理な相談だ・・・この『パーソナル・ジーザス』がお前を始末させてもらうッ!!!!」
「何ッ?!」

ドッギャアアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!

片倉の口から液状のモノが飛びだした。
「『デュエル・エレジーズ』ガードするっちゃッ!!」
田中はスタンドでガードしようとした・・・がッ!
「ッ?!い、いや・・・駄目だ!!」
田中はガードを取りやめ、ソレをかわした。

ビシャッァァッ!!

液体は田中の横を通り抜け、後ろの壁にかかった。


780 :六部198:2006/02/01(水) 16:23:06.99 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜10

シュウウウゥゥゥワアアアアァァァ・・・・・

その音に田中は振り返る。
するとなんと、壁が溶けているのであった。
(ッ!!・・・さっきの人が溶けたのはこれのせいやったのね・・・そしてコイツは・・・)
「スタンド使いッ!!」
田中が片倉を睨む。
「ほう・・・お前もコイツと同じスタンド使いなのか?!」
片倉はその視線を気にすることなく、デュエル・エレジーズを見てニヤリと笑う。

「・・・お前・・・本当は誰やね・・・?」
「俺?さっきのを聞いてなかったのか?
フフ・・・まったく人の話はちゃんと聞くもんだよ」
「答えろッ!」
「たしかコイツは『パーソナル・ジーザス』って呼んでいたな」
「スタンドの名前やなかッ!」
「だ ・ か ・ らあぁ!俺の名前を聞いてんだろ?今言った通りだ!それ以外の名前は無えよ!
さっきからお前と話てんのは、『片倉景広』のスタンドであるこの『パーソナル・ジーザス』だッ!」

ズニュウウウウウゥゥゥゥゥゥゥ・・・・

片倉の口からスタンドが姿を現した。
ドス黒い液体が、ヒトの形を作っている。
そのスタンドが一歩前に踏み出すと、片倉少年は
その場に力なくペタリと座り込んでしまった。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・・・・・


781 :六部198:2006/02/01(水) 16:29:23.13 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜11

田中は意味が分からずに立ち尽くしている。
自分としゃべっていたのは彼のスタンドということはわかった。
だが本体である片倉自身は、呆けたように座り込んでいる。
「おいおい・・・スタンドが本体だけのものとでも思ってるんじゃねーだろうな?あん?」
「え・・・?」
「そいつはお門違いだ・・・その気になれば本体に潜り込んで乗っ取ることも出来るんだぜ?
まあ、本体次第だろうがな・・・心の隙を突けば簡単なことだ。
その結果、コイツの意識はどこかに飛んじまったみたいだがな・・・フフ・・・」
パーソナル・ジーザスは「ピチャピチャ」と音を立てながら、田中に近づく。

「お前も気をつけないと、自分のスタンドにやられちまうかもな?」
「来るなあ!」
「い・や・だ・ね!お前を始末しなきゃいけないって言っただろ?」
パーソナル・ジーザスが構える。
先程のように液体を飛ばすつもりであろう。

「くそッ!『デュエル・エレジーズ』ッ!!」
田中は先手必勝とばかりに、パーソナル・ジーザスに接近して殴りかかった。

ビシャッ!

その拳はいとも簡単にパーソナル・ジーザスを捕らえる。
だがッ・・・!

「うぐあああああああああ!!!!」
人気の無い路地裏に田中れいなの叫び声が響いた。


852 :六部198:2006/02/02(木) 23:32:14.05 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜12

田中は右の拳を、もう片方の手で押さえながらうずくまった。
その拳からは煙が出ている。
「うう・・・これは・・・?」
田中はP・ジーザスを見あげる。
「おいおい・・・大丈夫か?」
そう言いつつも、その言葉に気遣いは感じられない。
間抜けな人間を馬鹿にしている、といったものだった。

「せっかくだから教えてやるよ。
ご覧の通り、俺の能力は物を溶かす能力だなんだが・・・
実は、俺に触れるだけでも溶けちまうんだよな・・・防御は最大の攻撃也ってやつかな?」
P・ジーザスが勝ち誇ったように田中を見下す。
そして、大仰に手を頭上に掲げた。
「あ、でも『何で本体や、今立っている地面は溶けないんだ』なんて野暮なことは聞くなよ?
そういうルールなんだからな」
そう言うと、その手を振り下ろした。

ビシャア!

だが、田中は身体を回転させそれをよける。
そして、その勢いでうまく立ち上がると、
ネコ足立ちの構えをとった。
それは、田中が本気のときに無意識に出るという・・・


853 :六部198:2006/02/02(木) 23:32:38.65 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜13

田中の足元がシュワシュワと泡を立てながら溶けている。
自分の右手を見てみると、
手の皺が無くなっており、つるつるしている。
痛みはあるが、手の表面の皮の部分だけで済んだようだ。
一瞬触れただけなので、どうやら『全解』は免れたようだ。
だが・・・。

(どうしたらいいと・・・?れいなのスタンドは直接攻撃型・・・
でも、ヤツに触れたらこっちがやられる・・・)
田中の額に汗が流れ出す・・・
明らかにスタンドの相性が悪い・・・。

「ネコ足立ちの構えか・・・独りぼっちの子猫ちゃん?」
「は・・・?何ば言ってるんや?」
「フッ・・・」
P・ジーザスが腕を振り上げる。
すると、その腕から飛沫が飛び、田中に襲い掛かった。
田中はそれを難なくかわす。
しかし、それを予測していたかのようにP・ジーザスが間合いを詰めてきていた。


854 :六部198:2006/02/02(木) 23:33:12.81 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜14

P・ジーザスの蹴りが放たれる。
田中はそれをスウェーバックでかわそうとしたが、
反応が一瞬遅れたのか頬の辺りを掠めてしまった。

ジュウ・・・

「くッ・・・」
ガードすら出来ないことに、田中は苛立ちを募らせる。
「お前は休み時間、いつも寝た振りをしていたな!
話相手がいないのか?!」
P・ジーザスが妙なことを言う。
「そ・・・そげんこつなかッ!本当に眠かったとよんだ!」
田中は慌ててそれを否定した。
「本当は孤独なんだろ?」
「お前なんかに何が分かるッ?!」
「・・・」
P・ジーザスはそれに答えず拳を振るう。
田中はブロック塀を破壊し、その破片でガードした。

「コイツ・・・景広はいつも、お前を見てたからな・・・」
膠着状態になり、P・ジーザスが口を開く。
しかしその間もブロック塀の欠片を溶かし続けていた。
予断は許されない状況だ・・・。
「は?何でれいなのことを・・?」
「お前はまったく気づいてなかったみたいだな・・・
まあ、何か『惹』かれるものがあったんだろ」
「・・・スタンド使いは互いに引かれあう・・・か・・・」
田中は思わず、そう呟いた。



855 :六部198:2006/02/02(木) 23:34:29.93 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜15

「引かれあう・・・?なんだそりゃ?」
田中の言葉を聞いたP・ジーザスが聞き返す。
「ッ!!」
ブロックの欠片に限界がきたため、田中はそれを前に押し出した。
「おわああ!!」
バランスを崩したP・ジーザスが、声を上げて後ろによろめいた。
それと同時に、地面に落ちたブロックの欠片がどろどろになって消滅した。

「フンッ・・・まあいい・・・どっちにしろお前、友達がいないんだろ?」
P・ジーザスは、体制を立て直し構える。
「そげんこつはなかッ!え、絵里やさゆもいるし、美貴・・・美貴姉だっているっちゃ!」
田中は語気を強めて反論した。
そして、密かに波紋の呼吸をし始めた。
「うらあッ!!」
P・ジーザスの蹴りが飛ぶ。
よけるか、今のようにブロックの欠片でガードするかと思いきや・・・
なんと田中はデュエル・エレジーズの両肘を立てて防御姿勢をとったのだった。
「はッ!さっきの言ったことを聞いてなかったのかッ?!」
P・ジーザスの蹴りがデュエル・エレジーズに触れる。

バシイィッッッッ!!!!!!!

激しい音と共に、P・ジーザスが後方に吹っ飛んだ。
「うおおおお!!ビリっときたあああぁぁあ!」
P・ジーザスは驚きを隠さずに田中を見上げた。


856 :六部198:2006/02/02(木) 23:35:40.22 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜16

「おいッ!お前何だ?何をしたんだ?」
P・ジーザスは、一体何が起きたのか理解できずに田中に尋ねる。
「波紋疾走・・・れいなのもう一つの特技たい・・・
波紋の力をD・エレジーズに蓄えて、液体で出来ているお前を弾いた・・・」
田中は静かに答えた。
「ハ・・・モン?スタンドの能力じゃないのか。なるほど・・・どおりでダメージが無いわけだ・・・
スタンドはスタンドでしか倒せない。そしてダメージを受けたのは、やっぱお前なわけだな・・・」
そう言って田中を指差す。

田中の両腕の表面が溶けている・・・
(やっぱりだめか・・・なんとなく予想はしてたけど、
やっぱりアイツば倒すには直接スタンドば叩き込まなかとね・・・
なんとか固めて倒せればよかんばってん・・・)
田中は痛みを波紋で和らげながら、心の中で勝機を探っていた。

「さっきの話だが・・・向こうは本当に、お前を友達だと思っているのかな?」
P・ジーザスは立ち上がり、膝を払う仕草をした。
その度に地面に飛沫が飛び、煙が上がる。
「え・・・?」
「いや、お前がただ『友達と思い込んでる』だけじゃないのかなってな」
「え・・・そげんこつ・・・」
・・・「そんなことない」と言いかけて黙ってしまった。


857 :六部198:2006/02/02(木) 23:39:58.84 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜17 

たしかに昔はそうだった・・・
部でも独りでいることが多かった。
しかしカーズ細木の件以来、同学年の道重や、その親友の亀井、
部の仲間ともうまくやっていけているのだった。

だが・・・P・ジーザスの言葉に、先の藤本とのことをが頭によぎった。

自分は良かれと思って、藤本のためにあのメールを送った・・・
それに対し返ってきた言葉が・・・


         『んなコミュニケーションいらねぇっつってんだよッ!!!』


あまりにも酷い仕打ちだ・・・
他の部員の前で激しく怒鳴られた・・・
しかも、それを見て誰も自分をかばってくれなかった。
亀井と道重、二人とも知らん顔をしていた。
怒鳴られたことよりも、そのことの方が田中にはショックだった。
彼女の頭の中で、絶望と怒りが静かにその鎌首をもたげ始めていた・・・


858 :六部198:2006/02/02(木) 23:41:52.64 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜18

「ふふっ・・・」
田中の心中を見透かしたように、P・ジーザスが笑う。
「今のことを黙っててくれるなら、俺がお前を傷つけたやつをぶっとばしてやってもいいぜ?」
「えッ?」
予想もしない提案に、田中は呆けた顔になってしまった。
「『えッ?』って・・・別に俺はお前が憎いわけじゃない。
お前がその気なら、協力してやるって言ってんだよ・・・」
「・・・」
「人間ってのはさ、強いやつに寄ってくるもんなんだろ?
お前の強さを見せ付けてやれば、自然に本当のお友達が集まってくるさ・・・」
「・・・」

しばしの沈黙が流れる・・・

ポタッ・・・ポタッ・・・

路地の片隅にある蛇口のゆるい水道の雫が、二人の間に流れる静寂を引き立てる。

ポタッ・・・ポタッ・・・ポタッ・・・

「本当に協力してくれると?」
田中が静かに口を開く。
「ああ・・・勿論、このことを黙っててくれればな・・・」
そう言ってP・ジーザスは奇妙な笑みを見せた。
恐らくこれが、彼なりの友好的な顔なのだろう。

それを受けて、田中はコクリと頷いた・・・


64 :六部198:2006/02/05(日) 03:05:18.90 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜19

田中が黙って頷いた。
「おお、話がわかる奴だな。気に入ったぜ・・・」
P・ジーザスは、満足そうに田中に歩み寄った。


「ば っ て ん が 断 るッ!!」


「何ッ?!」

ドッギャアアアアァァアァァアアアァァァァァァ!!!!!!!!!!

デュエル・エレジーズが、P・ジーザスに飛び掛った。
「波紋&デュエル・エレジーズゥゥゥッッ!!!」
そして、波紋を含ませたデュエル・エレジーズの蹴りが、P・ジーザスを捕らえる。
「くそッ・・・!」
P・ジーザスによける必要はないのだが、
波紋の効果で弾き飛ばされてしまうと厄介なのでそれをよけようとした。
が・・・不意を突かれ反応しきれず、それを喰らってしまった。

バチイイイィィィィィ・・・!!!!!

P・ジーザスは波紋の反発を受け、水道に激突した。

「くううう・・・」
一方田中は、P・ジーザスに触れたことによるダメージを受けていた。
しかし、痛みにかまっている暇は無い!
すぐさま波紋で痛みを和らげ、次の攻撃の準備を始めた。


65 :六部198:2006/02/05(日) 03:05:40.55 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜20

「・・・テメェ・・・」
P・ジーザスが凄まじい形相で田中を睨んだ。

ブシャアアアアアアアアアァァァァァ!!!!!!!!!

P・ジーザスの影響で溶けて栓が無くなった水道が、
勢いよく水飛沫を上げて彼に降りかかった。

「こん田中れいなば甘く見るんやなかッ!」
田中は自分の胸を叩き、P・ジーザスを指差した。

(何ば考えてるんだ・・・美貴姉が怒ってたのは、きっとれいなが気に触るこつばしやからや。
さゆや絵里、他のみんなが何も言ってくれなかったとよのも
多分、タイミングが合わなかったとよからに違おらん!)
田中は一瞬でもP・ジーザスの提案に乗ろうと考えた自分を恥じ、深く後悔した。

「なら交渉は決裂だなッ!当初の予定通り、テメーはぶっ殺すッ!!」
P・ジーザスは立ち上がって構えた。
「テメーをドロドロに溶かして、生きたままジュルジュルすすってやる!」
「ふんッ!やれるもんならやってみろぉッ!!」
そう言って、田中もデュエル・エレジーズを構えた。


66 :六部198:2006/02/05(日) 03:08:12.36 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜21

バギイィィッ!!

突然デュエル・エレジーズが足元を叩いた。
「何やってんだ?」
P・ジーザスが田中に問う。
「見ての通り・・・これで終わりたい」
「はあ?訳の分からないことを!地面なんか叩いてトチ狂ったか?!」
「地面?違うね・・・れいなは地面やあなく、足元の水ば叩おったんだッ!」
「何ッ?!」

そう!壊れた水道から吹き出ていた水が、いつの間にか田中の足元まで伝ってきており、
それがみるみる間に音を立てながら固まっていく。
そしてそれは一本の線つくり、まるで導火線のように進んでいった。
その先にあるものは勿論・・・

パキパキパキパキパキ・・・・・

「なッ?!これはぁッ?!か、固まる・・・」
P・ジーザスの全身を覆っていた水が、どんどん固まっていく!

パッキイイイィィィィィンンンンンン・・・・


67 :六部198:2006/02/05(日) 03:10:31.31 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜22

「これであんたばぶっ飛ばせる!」
田中がP・ジーザスに向かって突進した。
「クソッ・・・動けねえ・・・!」

「おおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!
ぶっ壊すほどおおおおおぉぉ!!!!!!!!!!!!」

「チクショオオオオオォォォォォォォォォォ!!!!!!!!」

「シュートオオオォォォォォオオオォォォッッッッl!!!!!!!!!!」

バリバリバリバリィィィィィ!!!

「ぬうううuuuuuuuああああaaaaaaahhhhh!!!!」
デュエル・エレジーズの渾身の一撃がP・ジーザスを砕いた。

ドッギャアアアアアアアアンンンン!!!

・・・・・・・・
・・・・・
・・




154 :六部198:2006/02/05(日) 23:53:28.99 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜23

「ハア・・・ハア・・・」

ドッと疲れが襲い掛かってきて、田中はその場に座り込んでしまった。

「う、うう・・・」
「ッ!!」
突然うめき声が聞こえ、田中はその方向に目をやった。
「あ・・・」
見るとP・ジーザスの本体である片倉景広が、目を覚ましていたのだった。
しかし、なぜか目立った傷が見当たらない。

「あれ・・・?なんでこんなところに・・・あれッ田中さん・・・」
片倉が田中に気づき、キョトンとこちらを見ている。
どうやら何も覚えていないようだ。
「てゆーか、その怪我どうしたの・・・?」
「え?・・・あ・・・いや・・・」
田中は説明に困り、しどろもどろになってしまう。
「こ、これはちょっと転んじゃって・・・はは・・・
そっちこそ、どうしたん?」
「それが・・・昨日から全然覚えてないんだ・・・
公園で考え事をしてて、気づいたらここにいたって感じ」
片倉は目頭を押さえ、何度かまばたきをした。


155 :六部198:2006/02/05(日) 23:54:19.66 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜24

「あ、そうなんだ・・・・」
田中はそう返事をするしかなかった。
そして、そのまま沈黙してしまう。

今起きたことを説明するべきか迷っていたのだ。
だが、それは言わないことにした。
知らないほうがいいってこともある。
そう思ったからだ。

「そ、それじゃあ、また明日・・・」
そう言って田中はその場から離れようとした。
「あ、待って!」
だが、すぐに片倉が呼び止める。
「な、何?」
「あ、いや・・・また明日・・・」
「う、うん・・・」

・・・・・
・・・


路地裏を後にして表通りに出た田中は、チラッと腕時計を見た。
(・・・まだ6時半前だ、部室に戻ろう・・・)
そう思い、歩き出そうとしたときだった。
「れいな!」
聞き覚えのある声に呼び止められ振り向くと、
そこには藤本の姿があった。


156 :六部198:2006/02/05(日) 23:54:54.17 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜25

藤本は田中に駆け寄ると、その姿に驚いた。
ジャージがドロドロになっており、両手も溶けかけているからだ。
「おい!オメー、何があったんだ?!まさか敵かッ?!」
藤本は田中の肩を掴み訳を尋ねる。
「はは・・・ちょっと・・・でも、もう平気たい・・・」
「どう見ても平気には見えねえだろうがッ!誰にやられた?!」
「いや、本当にもう大丈夫やけん・・・美・・・美貴姉こそ?」
田中は無理やり笑顔を作って、逆に藤本に尋ねた。

「あ、その・・・なんだ・・・」
藤本は両手を胸の前に持ってきて、何かのジェスチャーをしているのだろうか
指をぎこちなく動かしている。
「・・・?どうしたと?」
田中は怪訝な顔で藤本を覗き込んだ。
「・・・いや、その・・・悪かった・・・な・・・」
藤本の口から意外な言葉が出た。
「え?」
田中は思わず聞き返した。


157 :六部198:2006/02/05(日) 23:55:44.05 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜26

「だから・・・部室でのこと・・・怒鳴って悪かったよ・・・
美貴の携帯さ・・・古いし、ちょっとフォントとか行数もいじっててさ・・・」
藤本は恥ずかしそうに頭を掻いて自分の携帯電話の画面を見せる。
そこには無茶苦茶な文字列が並んでいた。
「???」
田中は意味が分からず、それを見つめる。
「ちょっとまってな・・・えっと・・・こうやって・・・」
そう言って藤本が携帯電話いじる。
「こうか・・・ほれ・・・」
そして改めてそれを田中に見せた。
「あ・・・それは・・・」

それは昨晩藤本に送った『HAPPY BIRTHDAY』と書いてある、自作の豪華な『AA』であった。
「マコトに言われて初めて気づいたよ・・・ゴメンな・・・美貴、こういうの苦手だし・・・」
藤本はもう一度頭を下げた。
「はは・・・そげなこつやったのね・・・」
「ホントゴメン!許してくれッ!!」
藤本は田中に手を合わせる。
「あ〜、いや、全然気にしとらんばい!早く頭ば上げてください!」
田中は恐縮して、藤本の肩を両手で包んだ。

「そういえば、まだ部活はやってるんと?」
「ん?ああ、みんな心配してるよ!さゆや絵里もマコトに事情を聞いて心配してる」
「事情を聞いて・・・って?」


158 :六部198:2006/02/05(日) 23:56:20.13 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜27

あの二人もあの場にいたのに事情を聞くってどういうことだろうか・・・
どうも今日は意味が分からないことが多すぎる・・・

「いや、あの二人はずっとウォークマン聞いてて
まったく気づいていなかったみたいなんだよな・・・」
藤本は少し呆れたように説明した。
「あ・・・そうやったのね・・・なるほど・・・はは・・・」
(信じてよかった・・・)
「さ、早く帰ろうぜ!」
今度は藤本が田中の肩を抱き、学校へと促す。

「んで・・・お前何があったんだよ・・・」
「あ、それは後で話すたい。寺田先生にも報告しないと・・・」
「そっか・・・わかった」

・・・・・・
・・・


「つーかさ・・・れいな・・」
「はい?」
「美貴の誕生日、まだ来てないんけど・・・」
「えッ?!あれ?1月26日じゃなかと?」
「・・・『2月』26日だよ・・・」
「えーッ?!一ヶ月間違いーッ?!聞き違えとった・・・」
「・・・ったく・・・お前、どうやったら『1』と『2』を聞き違えるんだよ・・・
フライイングしすぎだぜ・・・」」
藤本は田中の頭をやさしく叩いた。


159 :六部198:2006/02/05(日) 23:58:34.09 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜28

無事部室に着いた田中は、部員達に迎えられた。
みんな本当に心配していたようだ。
田中の状態を見れば、なおさらであろう。

ひと段落して制服に着替えた田中は、寺田に報告するべく
彼の部屋に入った。

「おお〜田中あ!心配しっとったんやで〜!」
中に入ると、寺田が立ち上がり、相変わらず軽い調子で迎えた。
だが、顔は少し憔悴しているような感じがする。
「すいません・・・心配かけてしまって・・・」
「まあまあ、無事でなによりやわ。まあ、座りぃや」
そう言って寺田が田中の肩に手を置いた。

ゾクゥッッ・・・・

「ッ!」
その一瞬、寒気を感じた田中は寺田を見た。
「ん?どないしたんや?さ、さ、座りぃ」
「あ・・・はい・・」
(気のせいか・・・なんやろ・・・最近、先生・・・なんか・・・)
田中は気を取り直してソファーに座った。

160 :六部198:2006/02/06(月) 00:02:39.79 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜29

・・・・・・
・・・


「そっか〜、そないなことがな〜・・・難儀なこっちゃ」
田中の報告を聞き終わると、寺田は頷きながら感想を述べた。
「あの・・・先生・・・ちょっといいですか?」
「ん?なんや?言ってみぃ」
田中には聞きたいことがあったのだ。

スタンドが本体を乗っ取ることなのあるのだろうか。
なぜスタンドを倒したのに本体にはダメージが返っていないのか。

「・・・あ〜・・・まず一つ、スタンドが本体を乗っ取った例は、過去にもいくつかあるんや・・・
スタンドに意思、というよりも完全な自我がある場合。そして本体の精神力が弱い場合。
多分、片倉の場合は二つとも当てはまったっちゅうわけやな」
寺田はお茶をすすり、いったん話を止めた。

「俺はちらっと本人を見たことがあるけど、恐らく虐められてたとかちゃうか?」
「あ・・・そういえば・・・『最上』って人にって言ってたかも・・・」
「そんでまあ、田中がそのスタンドを倒したことによって意識を取り戻したって感じやろ
・・・あと、ダメージ云々のことやけど・・・」
「はい・・・」
「やつは、自動操縦型やったんちゃうかな?自我があって自動操縦型ってのも珍しいが、
無いことも無いやろ?何か「スイッチ」のようなもんで発動、でも本体の精神が弱くて乗っ取られた。
憶測に過ぎんが、そう考えるしかないわな・・・」
「そんなもんですか・・・」
「そんなもんやろ・・・まあ、今日は大変やったな。もう時間も遅いし、今日はこれで解散や」
そう言って寺田は話を打ち切り、その日の演劇部の活動は終わることになった。

161 :六部198:2006/02/06(月) 00:03:41.69 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜30

次の日。
田中はいつもと同じように登校していた。
教室の前まで行くと、隣の教室に入る片倉の姿が見えた。
「あ・・・片倉君!」
田中は声をかけてみた。
すると彼もそれに気づき、こちらを見て
少しぎこちなくお辞儀をしてきた。
「あのあと、大丈夫やったと?」
田中は片倉のそばまで行き、小声で話しかけた。
「ああ、平気だよ。そっちこそどう?」
「れいなは全然平気っちゃ!」
田中はボディビルダーのように力こぶを作った。

「そういえばさ・・・最上君が行方不明なんだって」
「え?」
「知ってる?僕と同じクラスの最上君。ちょと不良っぽい」
「へ〜、そうなんや」
田中は昨日のことを思い出して、どきどきしながら適当に相槌を打つ。
「大丈夫なのかな?無事に見つかるといいんだけど・・・」
「心配しとると?」
「当たり前だよ!ちょっと悪いとこもあるし、一昨日ちょっと揉めちゃったけど
彼はクラスメイトだから。」
「そ、そうなんだ」
田中はそう答えるしかなかった。

心配してる・・・彼の本心なのだろうか・・・
しかしそれは、本人にしかわからないだろう・・・


162 :六部198:2006/02/06(月) 00:04:14.40 0
銀色の永遠 〜コーマ・ブラック〜31

「それじゃ・・・」
「ちょっと待って!」
片倉が再び教室に入ろうとしたが、田中がそれを止める。
「え?何?」
「昨日れいなに何か言おうとしてたよね?」
「え・・・?あ・・・それはまた今度ね・・・それじゃあ・・・」
片倉は顔を赤らめ、そそくさと教室に入ってしまった。

「・・・?一体なんやったんやろ?」
取り残された田中は、そのまま自分の教室へ入っていった。


田中れいな 
スタンド名: デュエル・エレジーズ
ジャージ台無し  

片倉景広 
スタンド名:パーソナル・ジーザス


TO BE CONTINUED…