239 :六部198:2005/11/30(水) 22:14:43 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜1

ある日、一つの事件が起こった。
杜王町の神社で女性の遺体が発見されたのだ。
以下は、その当時の記事の抜粋である。

『女川神社で女性の変死体発見』
〜第一発見者はここの神主で、早朝に境内の掃除をしている途中、裏の雑木林を見たところ、
木に無数の釘で磔にされている女性の遺体を発見。
遺体の状況から、推定死亡時刻は同日の深夜2時ごろで、死因は出血多量によるショック死とのこと。
警察は殺人事件と断定し、不審者などの聞き込み捜査を続けている。-S新聞より抜粋-

『五寸釘殺人事件』
〜尚、この女川神社は古くから呪いの儀式に使われているらしく、事件のあった雑木林には
釘で打ち付けられた藁人形が多数発見されており、犯人はそれを真似たものと見ているらしい。
(中略)付近の住人も何度か白装束に身を包んだ人間を目撃、神主もやめるよう訴えているが、
藁人形の数は一向に減る気配は無い。-週刊男児誌より抜粋-

深夜の犯行ということもあるのか、目撃情報などは一切なく、捜査は難航している。
そして事件から2ヶ月が経とうとしており、それは人々に忘れ去られていった。


240 :六部198:2005/11/30(水) 22:16:09 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜2

小川麻琴は放課後の校舎裏で少しイラつきながら、
地面に落ちている小石を、足で玩んでいた。
何故こんなところにいるのかというと、理由はこうだ。

昼休みの学食から教室に戻ってきたら、自分の机の上に手紙が入っていたのだ。

-今日の放課後、校舎裏で待ってます。小川さんが来るまで待ってます-

差出人は不明。クラスメイトに聞くと、同じ一年生らしき男子生徒が
小川の机の上に手紙を置いたのを目撃している。
(全然来ねーじゃねーかよ・・・つうか待ってんじゃなかったのかよ・・・)

・・・・・それから五分が経過しようとしていた・・・

(・・・遅い・・・)

・・・・・・
・・・・
・・


「小川さん!!」
「どわああ!びっくりした!!」
もう帰ろうかと思っていたら、突然後から声を掛けられて
情けない声を出してしまった。
声を掛けてきたのは、見ず知らずの男子生徒であった。
顔つきからして一年生であろう、そしておそらく
彼が手紙の差出人であろう。


241 :六部198:2005/11/30(水) 22:19:32 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜3

少し幼すぎる顔立ちではあるが、なかなかの美少年であった。
「遅いから探したんですよ〜!普通校舎裏って言ったら、
もっと人目につかない化学実験室の裏ですよ〜!」
その男子生徒は困ったような顔で言った。
「うるせーな・・・だったらちゃんと書いておけよ『化学実験室の裏』ってよ」
「まあ、でもちゃんと来てくれたから良かった・・・
これでバックレられたら、傷心のあまり旅に出るとこでした」
男子生徒は小川の言葉など全く無視して、わけの分からないことを言う。
「・・・はあ・・・で、何のよう?つーかあんた誰?」
小川はため息をつくと、用件とまだ名乗ってもいない彼の名前を聞いた。
「あ、すいません・・・嬉しさのあまり・・・」
男子生徒は頭を掻くと、制服を正し、咳払いをした。

「僕は岩出山篤好(いわでやま あつし)高等部一年です。
身長176センチ。体重59キロ。部活は特になし。趣味は昆虫標本作りと読書。
最近のマイブームは日曜大工で・・・・」
「oioioi・・・自己紹介はそれくらいでいいよ・・・要件は?こっちもヒマじゃないんでね」
小川は岩出山の長くなりそうな自己紹介を遮って本題を聞いた。
「あ・・すいません・・・あの・・・えっと・・・その・・・」
岩出山は急にモジモジしだし、要領を得ない。
「あー!はっきりしてくれ!」
小川はその煮え切らない態度に腹を立てる。
「僕と付き合ってください!!!!」

ズッキュウウゥゥゥゥンンンンンンン!!!!


242 :六部198:2005/11/30(水) 22:24:00 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜4

「な?な、な、な、な、な、何を急に?!!」
まあ、このシチュエーションなら、普通は察するはずなのだが・・・
ともかく、想定外の言葉だったらしく小川は驚いた。
「出会い頭が大切だからといっててて・・・いきなりのラヴワードはまたこの次なんてあるのか・・???」
自分でも何を言っているのかわからないが、それだけ動揺しているということなのだろう・・・

「ずっと小川さんのことが好きだったんです!」
岩出山は頭を下げ、小川に向かって手を差し出した。
「あ、いや・・・で・・・でも・・・悪いんだけど・・・お互いよく知らないわけで・・・」
少し冷静になった小川は、もっともな意見を言う。
気持ちは嬉しかったが、初対面の男と付き合うわけにはいかなかった。
「それに、今は他にやるべきことがあるんだ・・・」
「・・・」
「ゴメンね、君にはきっともっといい娘がいるはずだよ
じゃあ、部活に行かないと」
そう言うと小川は、演劇部の部室へと走っていった。

去り際、岩出山が何か言った気がしたが、振り向くことはしなかった。
(そうだ・・・今の私には色恋にかまけてるヒマはない!)


326 :六部198:2005/12/02(金) 02:27:30 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜8

〜その日の夜〜 帰り道

結局あの後来たメンバーは、安倍、みうな、の2名。
藤本は当然さぼり、久住は病欠・・・etc
であった。
小川は一人でぶらぶらと寄り道をしながら家路についていた。
「こんこんどうしたんだ・・・?携帯も全然通じないし・・・」

ピ ロ ピ ロ リ イ イ イ ィ ィ ン ・・・!

携帯から、メール着信を告げる音がした。
「ん・・?」
メール欄を見てみると、送信者は紺野からであった。
「なになに・・・?」

-件名無し-
-本文-
今夜11時までに女川神社の境内に一人で来い
もし来なければこの電話の持ち主は死ぬことになる

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・


327 :六部198:2005/12/02(金) 02:30:47 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜8

「・・・これは・・・・?!」
小川はすぐさま紺野の携帯電話に電話した。
『お客様のお掛けになった・・・・』
しかし、抑揚のない声が応答をする。
「くそッ!!」
舌打ちすると、今度は彼女の実家に電話をした。

プルルルルル・・・・プルルルルル・・・・

『もしもし、紺野ですが・・・』
彼女の母親が出た。
「あ・・・夜分遅くすいません。私、あさ美さんと同じ部活の小川と申しますが、
あさ美さんはご帰宅でしょうか?」
『あー!麻琴ちゃん?あさ美はまだ帰ってないけど・・・何か伝言でも?』
「あ、いえ・・・また掛けなおします・・・」

プツッ・・・

「まさか・・・あのこんこんが・・・」
小川は腕時計を見た。
時計の針は10時半を過ぎている。
「まずい!ここからだと神社まで走ってギリギリだ!」
そう言うと、全速力で走り出した。
「うおおおおおおお!」

ダッダッダッダッダ・・・・・・


328 :六部198:2005/12/02(金) 02:35:56 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜9

目の前の信号が赤になってしまったが、構わず横断歩道を突っ切った。

キキイィィィィィイッッッ!!!!

「てめー!アブねーだろうがっ!!」
危うく小川を轢きそうになったドライバーが怒鳴る。
「うるせー!!勝手に赤になる信号が悪りいんだよっ!oi!!」
小川は無茶苦茶なことを言って、そのまま走り去った。
時刻は10時51分。
「うおおおお!!間に合わない!!FRIENDSHIP!!」

ツイイイイィィィィイイイ・・・・

[『FRIENDSHIP』の摩擦を無くす能力で、小川の身体は地面を滑るように進んだ。
「oioi・・・初めっからこうしときゃよかったじゃんか・・・
まあ、このスピードなら間に合うな」
そう言って更に加速し、女川神社へと急いだ。


329 :六部198:2005/12/02(金) 02:37:58 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜10

〜女川神社〜 麓

時刻は10時56分。

ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・

「かあああ・・・なんてこった・・・」
目の前に続く階段を見て、小川はため息をついた。
「888階段・・・コイツを忘れてたぜ・・・ちっくしょー!!」
坂ならともかく、階段では『FRIENDSHIP』の能力で滑っていけない。
小川は最後の力を振り絞って一気に階段を駆け昇った。

ダッダッダッダ・・・ダッダッダッダ!!!!

「どらああああ!!!!」
やっとのことで境内まで着くと、陸上選手のように両手を挙げて
雄叫びを上げた。
「はあはあ・・・来てやったぞ!こんこんを返せ!!」

シイイイィィィィィンンンン・・・・・

返事が無い・・・。
(ッ!まさか時間を過ぎたのか?!)
慌てて時計を見たが、まだギリギリ1分前であった。


330 :六部198:2005/12/02(金) 02:43:38 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜11

〜女川神社〜 境内

辺りを見回しても人の気配は無い。
(う・・・人気の無い夜の神社って嫌だな・・・)
そう思うと小川は少し怖くなってきた。

「小川さぁん!!」
「どわああ!びっくりした!!」
フイに声を掛けられ、小川は情けない声を出してしまった。
(あれ?つい最近もこんなことが・・・)
既視感に囚われ振り返ると、そこにいたのは岩出山であった。

「ちょ!なんでお前こんなところにいんだよ?!びっくりするじゃねーか!」
「僕の言ったこと覚えてますか?やっぱり引かれ合う運命なんですよ!
・・・で、そんなに慌ててどうかしたんですか?」
岩出山は無邪気に微笑んだ。
「はッ!そうだ!こんこん見なかった?」
「こんこん・・・?」
「ほら、この前食堂で一緒にいた・・・」
「ああ、もしかして、この携帯電話の持ち主のことですか?」

チャラッ・・・

岩出山は紺野の携帯電話をポケットから出し、
小川の目の前でヒラヒラさせた。

「お・・・お前・・・どうしてこんこんの携帯を・・・?・・・まさかお前がッ?!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・


454 :六部198:2005/12/03(土) 22:13:23 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜12

岩出山は依然笑顔を崩さない。
「答えろぉッ!こんこんはどこだッ?!」
「ああ、あの人は今頃家に帰ってるんじゃないスか?」
「しらばっくれるな!もしこんこんに何かあってみろ!ただじゃ済まないぞ!」
小川は岩出山に詰め寄った。
「ちょっと待ってください!神に誓って本当何もしてませんよ〜。ただ、こっそりあの人の携帯を借りただ

けですから」
それに対し岩出山は両手を前に突き出し、真顔で弁明をする。
「はあ?!お前一体何がしたいんだ?!」
「いや、ただ小川さんに会いたかっただけなんですよ!」

二人の間に沈黙が流れた・・・

「お前ふざけんなよッ?!もう帰るッ!!!」
キレた小川はそのまま帰ろうと階段に向かった。

「僕の趣味は昆虫標本作りで、最近のマイブームは日曜大工なんですよ!」
岩出山が突然大きな声を出す。。
「知ってるよ、前に聞いた!」
小川は吐き捨てるように言って
そのまま階段を降り始めた。

「実はさっき嘘をついちゃったんですよね!!」
その言葉に小川の足が止まる。


455 :六部198:2005/12/03(土) 22:15:11 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜13

「嘘ってなんだ?!」
小川は岩出山のほうに振り返った。
「・・・2ヶ月前に彼女に振られちゃいまして・・・」
「それも前に聞いたッ!!嘘ってなんだよ!!!」
「・・・ここ・・・ちょっと思い出があるんですよ・・・彼女に振られた場所なんですけどね・・・」
「おい!いいかげんにしろッ!!嘘ってなんだ?!」
小川は一発殴ってやろうかと思い、岩出山のほうへ歩き出した。
「・・・実は『会いたいだけ』なんて嘘で、本当は君を・・・」

「打ち付けたくてしょうがないんだッ!!!」
そう言うと同時に彼の身体から大量に何かが飛び出してきた。

ププププププッ・・・ププププッ・・・・・ププップププププププッッッッ!!!


456 :六部198:2005/12/03(土) 22:19:44 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜14

「うおおッ!FRIEDSHIP!!!」
危険を察知した小川は、『FRIEDSHIP』でそれを弾いた。
「これはッ?!」
足元に落ちた物を拾い上げると、それは長さ15センチ程の長い釘てあった。
「おっと・・・そういえば、君もスタンド使いだったんだよね・・・」
岩出山は舐め回すような視線で小川を見る。
(くッ・・・こいつスタンド使いか?!
・・・それより、こいつ・・・私がスタンド使いと知っていた?)

ヴ・・ヴヴ・・・ヴヴヴヴ・・・ヴヴヴ・・・・・ゥゥゥンンン・・・・

岩出山の背後に影が浮かびだした。
それは蜂のような姿をしており、不気味な羽音を響かせながら宙に浮いている。
大きさは1メートル程であろうか。

「『サディスティック・デザイア』って僕は呼んでる。カッコいいでしょ?!」
そう言うと岩出山は、屈託の無い笑顔を見せた。
(oioi・・・なんてこった・・・確かに『引かれ合う運命』だったみたいだな・・・)

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・


495 :六部198:2005/12/04(日) 19:49:08 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜15

「・・・で、何だ?これはお前を振った私への腹いせってことか?」
「腹いせ?とんでもない!」
岩出山は首を振って否定した。
「・・・確かに失恋はショックでした・・・まあ、その他もろもろ『理由』はありますが・・・
これは僕の趣味なんですよ。」
「はあ?」
「言いましたよね?昆虫標本作りが趣味って。そこで小川さんをおおおッ!!!」
『サディスティック・デザイア』が再び釘を射出した。

ププッ・・・・・ププッププ!!!

「うおっ?!」
小川は左腕に釘を2本喰らってしまい、腕を庇った。
だが、幸いにも少し掠った程度であった。

「oioi・・・この小川麻琴を昆虫扱いか?」
「あ・・!いや・・・そういうわけじゃなくて・・・」
岩出山は、自分を睨みつける小川の視線をかわすように
のけぞりながら、手のひらを前に出した。
「まあ、色々あるんですが・・・趣味を兼ねてってことで・・・ね」
そう言うと、申し訳なさそうに首を傾げた。
だが、その目は鋭くこちらの隙を窺っている。


496 :六部198:2005/12/04(日) 19:51:35 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜16

ヴゥゥゥンン・・・

『サディスティック・デザイア』が岩出山の前に出ると、
腹を折り曲げてその尻をこちらに向けた。
(また来る・・・)
小川はビシッと空手の型のような構えを取った。
「前の彼女の時は初めてだったし、夢中になりすぎて誰だかわからなくなったからな、
でも今度はちゃんとやるんで・・・ちょっと痛いかもしれないけど、フフフ・・・」

(前の彼女の時・・・2ヶ月前に振られた?・・・ん?2ヶ月前?・・女川神社・・・釘・・・大量の・・・


小川の頭の中に、ちょうど2ヶ月前に見た新聞の記事が浮かんだ。
「ッ・・・!あの事件ッ!!まさかお前がッ?!」

「YES I AM!!」
岩出山はニヤリと笑い、胸をピンと張って答えた。

バアアアアァァァァァンン!!!!!

「さて・・・トークは終わりだ・・・まずはおとなしくしてもらいますよッ!!」
岩出山が叫ぶと、『サディスティック・デザイア』から釘が射出された。

プププッ・・・ププププッ・・・・・ププップププププッッッッ!!!


497 :六部198:2005/12/04(日) 19:53:09 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜17

釘が小川に迫る!
「・・・『おとなしく』だと?」
小川は重心を低く取り、『FRIEDSHIP』と共に呼吸を整えた。
「oioioioioioioioioioioioioioioi!!!!!!!!!!!」

ババババババッッッッ!!!!

なんと小川は、迫る釘をすべて掴み取ったのだ。
そして、それを岩出山に見せる。
「馬鹿めッ!この小川麻琴を、お前のそのどす黒い欲望の対象に選んだことを
後悔させてやるッ!!!!!」

ズッギャアアアアアアアアアアンンンンンンンンン!!!!!!!!!!

「喰らえぇーッ!!FRIENDSHIP!!!」
小川は『スタンドパワーを纏わせた』釘を岩出山に投げつけた。

ドシュウウウウウウウぅゥゥゥゥゥ!!



498 :六部198:2005/12/04(日) 19:54:06 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜18

ヴヴヴウゥゥゥンン・・・バシバシッバシッ・・・

だが『サディステック・デザイア』が、羽を使ってそれらを難なく叩き落す。
「ふっ・・・無駄ですよ!そんなことで!・・・ッ?」
気を取り直して次の攻撃に移ろうとした岩出山の視界から、小川が消えていた。
「なッ?!どこに?」

「ここにいるぜぇっ!!」

バギイィッッ!!

いつの間にかすぐ真横まで接近していた小川に殴られ、
岩出山は大きくのけぞり、後退した。
「はッ!まんまと囮に引っ掛かったな、マヌケめッ!!」
小川は勝ち誇ったように言うと、少し乱れた髪をかき上げた。

「・・・・・・」
岩出山は、口元を手で押さえながら黙って俯いている。
「oioi・・・もう終わりか?さっきまでの威勢はどうしたんだ?」
「・・・・・な・・・」
「何だって?!」
「よくも・・・僕の顔を殴ったな・・・」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・


499 :六部198:2005/12/04(日) 19:56:29 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜19

岩出山が怒りに満ちた表情で、小川を睨みつける。
「oi!何キレてんだ?先に仕掛けてきたのはおめーだろうがよ!」
威勢のいい言葉とは裏腹に、小川は少し嫌な予感がして無意識に距離をとった。
「うるせー!!!!この岩出山篤好を傷つける奴は何人たりとも許せねー!!!」
岩出山は小川を指差し、怒声をあげた。
「死に腐りやがれええッ!ビチグソがあああッッ!!!!!!!」

ギャーースッ!!!

『サディスティック・デザイア』が一気に小川との距離を詰め、襲い掛かってきた。
「近距離で私に勝てると思っているのか?FRIENDSHIP!!」
小川が叫ぶと、『FRIENDSHIP』の高速突きを繰り出す。
「oioioioioioioioi!!!!!」
「おせーんだよッ!」
(なッ?!フェイント?!!)
『FRIENDSHIP』の拳は空を切り、さらに小川の後に回り込まれてしまった。
「喰らいなっ!!」

ドスドスドスドスドス!!!

小川の背中にいくつもの釘が刺さる。
「ぐあああああああああああああああああああああ!!!!」
「おらぁッ!まだこんなもんじゃねーぞおぉ!!」
岩出山は、痛みに耐えかねて膝をついた小川を生身で蹴りまくった。

ベシッ!ベシッ!

(ちっくしょおおぉぉぉぉ!!こんな奴にやられてたまるかあぁッ!)


500 :六部198:2005/12/04(日) 19:58:17 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜20

「僕がッ・・・!」

ガシッ!

「本気を出せばッ・・・」

ガシッ!ガシッ!

「てめーみたいなクソアマなんかあッ・・・!」

ガシッ!

「いつだってぶっ殺せるんだよッッ!!!」

ガシッ!

「昨日だって、一昨日だって!!!」
岩出山は、小川の背中に突き刺さった釘を思いっきり蹴りつけた。

ズブゥ・・・

嫌な音を立てて、釘が小川の背に更に喰い込む。
「うああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
小川の悲鳴が境内にこだました。


501 :六部198:2005/12/04(日) 19:59:45 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜21

「・・そろそろ終わりだな・・・」
岩出山がそう言うと、彼のスタンドがホバリング飛行で
仰向けにされた小川の上に来た。
「どうするつもりだ・・・?」
なんとなくわかってはいるが、小川は時間稼ぎのため尋ねた。
「文字どうりてめーを『釘付け』にするのさ・・・本来ならこの僕の端整な顔を傷つけた罪を、
もっと思い知らせてやりたいが・・・あまり長居すると、み・・・ん?」

ピロリロリン・・・・・ピロリロリン・・・・・!!

突然携帯電話の着信音が響いた。
紺野の着信音だ。
(ッ!今だッ!)
それにほんの一瞬気をとられた岩出山を見逃さず、
小川はバネのように飛び起きると、その勢いを利用して
『サディスティック・デザイア』を蹴り上げた。
「oiyaaaaaaa!!」

バギイィッッ!!


502 :六部198:2005/12/04(日) 20:01:29 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜22

蹴り上げられた『サディスティック・デザイア』は、
地に足が着いていないせいなのか、勢いよく吹っ飛んでいった。
「ぐはッ・・・てめー・・」
岩出山は腹部を押さえ呻いた。
それを見た小川は、無言で自分の携帯電話を見せた。
画面には電話番号と、『呼び出し中』の文字が表示されている。
「着信音程度で気をとられるとはな・・・とんだ素人だぜ」
「・・・ッ!てめーがやったのか?!」
「おめーがベラベラしてる間にこっそりな」
小川は携帯電話を切り、「ふんッ」と鼻で笑った。

「ま、これでおめーは無防備になったわけだ」
「はッ?!サディステック・デザイア!戻って来い!!」
慌てて岩出山が叫んだが、スタンドはどんどん遠くへ行ってしまう。
「無駄だぜ・・・アイツはFRIENDSHIPの能力で、
空気抵抗を無くしてすっ飛んでいった・・・今から戻しても間に合わなねーよ」
射程外まで行ってしまったスタンドは一体どうなるんだろうか・・・
一瞬そんなことを思ったが、今はそんなことはどうでもいい。


503 :六部198:2005/12/04(日) 20:04:33 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜23

「てめーは罪もない女を殺し、そしてこの私まで殺そうとした・・・その罪は重い・・・」
小川の表情は怒りに満ちていた。
卑劣なこの男が許せなかった。
「ぼ、僕を警察に突き出すか?釘は現場に残ったが指紋も無いし、
第一スタンドは人には見えない!僕を法律で裁くことなんか出来ないだろ?」
岩出山は悪びれずに言った。
「法律?違うな・・・裁くのはーーー!!!」

バキャスッ!

『FRIENDSHIP』が岩出山を殴りつける。
「この小川麻琴のスタンドだあああああああああああああ!!!!」

oioioioioioioioiooioioioioioioioioioioioioioioioiooioioioioioioioi!!!!
ドッパアアアアアアアアア!!!!

「うげえええええええええ!!!!」
岩出山は悲鳴を上げ、地面に倒れ込んだ。
ポケットから紺野の携帯電話が落ち、
小川がそれを拾い上げた。
「で、こんこんはどこへやったんだ?」
「ひいッ!だからあの人には何もしてませんって!
お願いだからもうやめてくれえ!僕が悪かった!!」


504 :六部198:2005/12/04(日) 20:07:33 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜24

「これだけやっておいて、信じると思ってんのか?」
「本当です!だからもう許してください!警察にも自首して事情を話しますから!」
岩出山は地面に頭をすりつけて土下座した。
その態度には嘘は感じられない、どうやら本当に盗んだだけのようだ。
「・・・はあ・・・」
小川はため息を吐いた。
それは紺野が無事だという安堵と、このあまりにも情けない男の姿に対してであった。

「よかったな・・・もしこんこんに何かあったらお前は死刑だった・・・」
「ああ、ありがとうございますぅ!」
「でもムカつくから、もう一発殴らせてもらうぜ!」

バキッ!

「うげッ・・・」
岩出山はそう言ってそのまま気絶してしまった。
「・・・ったく・・・私はこんなやつに・・・」
小川は頭をかきむしりると、物々と独り言を言いながら
その場を後にした。


566 :六部198:2005/12/05(月) 23:36:18 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜25

〜次の日、朝〜 ぶどうヶ丘高校 

小川は、紺野の教室を訪れた。
そして彼女の席まで行くと、携帯電話を差し出した。
「ほれっ、こんこん」
「あれ?マコトって私と同じ携帯に変えたの?」
紺野が見当違いの返事をする。
「は?・・・いや、こんこん携帯盗まれたでしょ?取り返してきたんだよ」
「え?」
紺野は、自分のカバンをまさぐった。

「あ!無い!私の携帯!」
そう言って小川を見上げる。
「oioioi・・・今気づいたのかよ!うッ・・・痛たたたた・・・」
大きな声を出してしまったので、昨晩の傷が痛んだ。
「どうしました?」
「あ、いや・・・なんでもない・・・」
「とにかく・・・礼を言います」
紺野は席を立ち、小川に頭を下げた。
「まあいいってことよ・・・じゃ、また・・・」
そう言うと小川は、自分の教室へと帰っていった。


567 :六部198:2005/12/05(月) 23:40:43 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜26

〜前日〜 女川神社 境内

「うう・・・」
小川に殴られ、気絶したしまった岩出山が目を覚ました。

(・・・?あれ?)
気づくと自分を見下ろしている影がぼんやりと見える。
「・・・あの程度でやられるなんて・・・・とんだ期待はずれだな・・・」
『ソイツ』は吐き捨てるように言った。
「・・・あッ・・・・・うぐッ・・!!」
その声に聞き覚えがあった岩出山は、起き上がろうとしたが、
足で地面に押さえつけられてしまった。
「小川が来た時に、何も言わずにさっさと後から殺りゃあ良かったんだろうがッ!」
「いや、でも芸術的に・・・うげッ!」
『ソイツ』は言い返そうとした岩出山を更に踏みつけた。
「それに紺野もちゃんと誘拐してりゃあ人質にできたろうが!」
「いや、あの娘は僕の好みじゃないし・・」
「おめーの趣味嗜好なんか、どうだっていいんだよッ!このダボがあッ!!
どう落とし前つけてくれるんだぁッ?!」

ゲシッ!ゲシッ!

『ソイツ』は容赦なく岩出山を蹴り続けた。


568 :六部198:2005/12/05(月) 23:43:39 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜27

「ひいぃぃ!やめてください!貰ったお金は明日返しますから〜」
岩出山は情けない声で懇願する。
「あぁ?明日だと?おめーみてぇな役立たずに『明日』は無えんだよ!!」
「え?うわああ?!!熱いぃぃぃぃ!!!!!」
「そのまま煮えたぎって死にやがれッ!!!」

ジュワジュワジュワジュワ!

岩出山の身体が、蒸気を発しながらどんどん溶けていく。
「いやだああ!!ゲボァ・・・死でぃだぐないぃぃ!!・・・・みよ・・・・!!!」

シュウウウゥゥゥゥゥ・・・・・・

「・・・これだから『黄金の精神』を持たない奴は・・・」
『ソイツ』は舌打ちをして、骨だけになって絶命した岩出山をもう一度蹴りつけると、
自分の携帯電話を取り出し、誰かに電話した。
「・・・もしもし?・・・ごめん、駄目だった・・・
でも、代わりにいい方法思いついちゃった・・・うん・・また連絡する」

・・・・・・・・
・・・・・・
・・・



569 :六部198:2005/12/05(月) 23:47:55 0
銀色の永遠 〜ラスティ・ネイル〜27

〜そして時は再び次の日へ・・・〜 ぶどうヶ丘高校

紺野に携帯電話を返した小川は、昨晩の傷を庇いながら自分の席に着いた。
「痛ッてー!!」
無意識に背もたれにもたれかかってしまい、思わず声をあげた。
(うう・・・ちくしょー・・・岩出山のやつ・・・やっぱぶっ殺してやりゃあよかった・・・)

「マコト大丈夫?」
それを見たクラスメイトが心配して声を掛けた。
「ああ・・・平気・・・」
「ふーん・・・ねえ、それより今日の新聞みた?」
「え?何?」
「やっぱ見てないんだ・・」
「うるさいな〜・・・で、何なの?」
「何かね、また女川神社で変死体が見つかったんだって!」
「・・・・え?」

「今度は白骨死体だって」
「oioi・・・まじかよ・・・」
「なんか怖いよねー」
「まったっくだ・・・」

(まさか、岩出山・・・じゃないよな?・・・あのまま死んじまったとか・・・
いや、でもたった一晩で白骨化するなんてありえないしな・・・
・・・うッ・・いててて・・・やっぱ病院行くか・・・)


570 :六部198:2005/12/05(月) 23:48:30 0
小川麻琴:重傷
スタンド名:FRIENDSHIP

岩出山篤好:何者かによって殺害
スタンド名:サディスティック・デザイア


TO BE CONTINUED…