823 :六部198:2007/01/06(土) 21:48:39.24 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜1

「おつかれーッス」
「じゃあ、また明日なの」
「この後さー、ちょっとカラオケにでも寄ってかんと?」
「あ、いいですねー小春のミラクルな歌声を聞かせてあげますよ」

部活動が終わり、部員達がそれぞれ、これからの目的に向う。
私・・・紺野あさ美は、部活の練習に使った小物などを片付けながら、それを見守っていた。
部室を片付けるのは当番制で、今日は私の当番なのだ。
そんな中、先輩の藤本さんが私に声を掛けてきた。
「大丈夫?」
「え?」
私は聞き返したが、その言葉の意味はよく分かっている。
「いや、最近のこんこん、何か疲れてる感じがしてさ・・・」

・・・その通りだ・・・

「あ、ええ・・・確かにちょっと疲れ気味かもしれませんね」
私はそう言って、藤本さんに微笑んで見せた。
だがそれは、おそらく引きつったものだったのであろう。
そして無理な表情は人を不安にさせる。
その証拠に藤本さんは、心配そうにこちらを見ている。
「まあ、ここんところ色々あったからな。しょうがねーか」
そう言って藤本さんが私の肩にそっと手を置いた。
「そうですね・・・」
私はその手に自分の手を重ね、遠くを見つめた。


824 :六部198:2007/01/06(土) 21:49:29.83 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜2

「片付け代わろうか?」
私を気遣っているのか、藤本さんがそんなことを言う。
だが、私は首を横に振った。
「いえ、それには及びません。与えられたことは全うしないと」
ご好意は嬉しいけど、そこはキチッとしなければ。
「そっか・・・じゃあ、また明日な」
藤本さんは軽く頷き、私に背を向けて部室の扉に手を掛けた。
「ええ、また明日」
私は藤本さんを見送り、片付けを再開した。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・


825 :六部198:2007/01/06(土) 21:50:20.18 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜3

・・・ここ最近の私は確かに疲れている。
肉体的にも精神的にも・・・である。
そして原因・・・はっきりとしたものではなく漠然としたものではあるが、
おそらくアレが原因なのであろう。

いつからだったか・・・いや、はっきりと覚えている。

あの日・・・1週間前の放課後、私は親友の小川麻琴と『カフェ・ドゥ・マゴ』でお茶をしながら談

笑していた。
そして話はいつの間にか、杜王町に関する噂話になっていった。
まあ噂なんてものは結局、人づてになる度に大げさに誇張されてしまった作り話が殆どで
特に興味は無かったが、『何故そのような話になったか』については興味があった。
火の無い処に煙は立たず、必ず基になった事象があるはずだから。
後日改めて独自に調査をしよう・・・そう思って私はメモを取りながら、小川麻琴・・・マコトの

話に耳を傾けていた。

そんな中、ふいにマコトが話を止めて顔を横に向けた。
それに釣られてマコトの視線を追うと、見知った顔がそこにあった。
同じ学年の『浦えりか』さんだ。私と同じ演劇部の加護亜依さんの紹介で知り合った人だ。

初対面の人と話すのがあまり得意ではない私だが、不思議と彼女とはすぐに打ち解けることが出来

た。
マコトと同じように何かウマが合ったんだろう。

そしてここからは、彼女も一緒に話に加わることになり、一つネタを聞かせてくれたのだが・・・
今思えば、それは聞くべきではなかったのかもしれない・・・

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・


826 :六部198:2007/01/06(土) 21:51:10.26 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜4

内容は、ある人が階段を下りてなんたらかんたら・・・
・・・ごめんなさい・・・正直、あまりよく聞いてはいなかったんです。
所謂、怪談めいた話だったので、
『噂話』とはちょっと趣が違うとかな・・・って。

覚えているのは、『錆付いた階段を降りる』『鳥のフンで滑る足元』
『懐中電灯』『低い手すり』『途中で話掛けられる』『見てはいけないモノ』

そして浦さんは最後にこう付け加えた。
確か、話を聞いた4時間後に空メールが来て、それを4分以内に
4人に回さないと呪われてしまうらしい・・・そして一週間後に同じ目に遭って死んでしまうとか。

その日の深夜、自宅のシャワーを浴びてベッドに潜り込んだとき、
携帯のメール着信音が部屋中に鳴り響いた。
送信者の表示は見知らぬメールアドレス。勿論、マコトや浦さんのものではない。
そして、開いてみると何も書いていなかった・・・空メールだ・・・
内心ちょっとゾッとしたが、マコトか浦さんの悪戯だと思って私はそれを無視した。

この手のモノは、誰かが止めないとキリが無い。
それに、呪われるなんて非現実的すぎる・・・



・・・その日から、私は夢を見るようになった・・・





827 :六部198:2007/01/06(土) 21:52:26.14 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜5

なんてことはない、ただ単に暗闇の中で階段をひたすら降りる夢だった。
おそらく、浦さんの話の中の『階段を降りる』というキーワードが引っかかり、
それが夢に出てきてしまっただけなのだろう。

翌朝、私はマコトと浦さんに昨晩のことを訊いたが、二人は知らぬ存ぜぬだった。
ちなみに、二人のところにメールは来なかったらしい。
まあ、どうせ二人のうちのどちらかの悪戯、もしくは偶然が重なっただけだろう。
連続して事が起きると、人は自然とそれを関連付けてしまう傾向がある。
そう思った私は、この件をすべてを忘れることにした。

いや、忘れることなど出来なかった・・・
その日も同じ夢を見たから・・・
次の日も、また次の日も・・・階段を降りている私がいた。

一寸先も見えないような暗闇。錆び付いた鉄製の階段。足元を照らす懐中電灯。低い手すり。滑る

足元。

おぼろげであった映像は次第に鮮明になっていき、日を追うごとにリアルに感じ始めていく。
目覚めたときに、一瞬『こちら側が』夢の中なのでは?と勘違いしてしまうほどであった。
そして、目が覚めたときの不快感・・・十分睡眠をとったはずなのに、疲れが取れない。
『悪夢』・・・私の心を侵食し、蝕んでいくそれは、『悪夢』と呼ぶべきなのだろう。


・・・今現在も、この状況は続いている。
連日連夜の悪夢のせいで、私の疲れはピークに達しているのかもしれない。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・


828 :六部198:2007/01/06(土) 21:53:35.17 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜6

そうこうしている間に、私は部室の片付けを終えていた。
散らかり放題だった小道具は種類ごとに箱に入れられ、机などは後方にまとめてある。
「ふう・・・これでよし」
綺麗になった部室を見渡し、私は一息ついて額を手で拭った。

ガラガラガラッ!

窓を開けると、穏やかな夜風がカーテンを揺らした。
少し冷たいが、軽い労働の後の火照った身体には心地よい。
空を見上げると、綺麗な星々が夜空を彩っている。
冷たい風が私の身体を癒し、美しい星々が心を癒してくれる・・・なんて・・・ちょっとロマンチ

ック過ぎるかな?
「ふふッ・・・」
私は少し気恥ずかしくなり、誰もいない部室の中で笑みを漏らした。
こういう発想の役回りは、重さん(道重さゆみ)や石川さんのほうが似合うな。

「よいしょっ!」
私は窓を閉めて着替えを済ませると、カバンを肩に掛けて部室の扉を開けた。
時刻はもう、7時を回っている。もう他の生徒達は帰ってしまったのだろうか。
廊下は、しん、と静まり返り、各場所に設けられた蛍光灯のみがその存在をアピールしている。
・・・音楽室のほうからピアノの音・・・は聞こえない・・・

ピアノの音色の代わりに、遠くでサイレンのような音がしている・・・どこかで何かあったのかな



それにしても酷く眠い・・・帰って休まないと・・・でも、また今日もうなされるのだろうか・・



・・・・・
・・・


859 :六部198:2007/01/07(日) 13:42:51.60 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜7

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・私は懐中電灯を片手に、木造の古い扉に手を掛けた。
扉の上についているプレートを見ると、かすれた文字で『音楽室』と書かれている。

ここは何処かって?
ぶどうヶ丘高校の旧校舎3階、音楽室前だ。

何故こんなところにいるのかって?
今度の公演で使うピアノを探しに来たから。

何故ここのピアノかって?
それは古びたヤツが欲しいから。

ガッ・・・ガタッ・・ガラガガガ・・・ガラッ・・・

古いせいか所々に引っかかりを覚えるが、なんとか扉を開けられた。
部屋の中から漂い出てくる埃とカビの臭いが鼻を突く。
しかし、何故この校舎は取り壊されずに残っているんだろう。
まあ、そのおかげでここの古いピアノを持ち出すことが出来るのだから良しとしよう。


860 :六部198:2007/01/07(日) 13:43:33.10 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜8

埃を吸い込まないようにハンカチで口元を押さえながら音楽室に一歩入り、
部屋の中をライトで照らしながらピアノを探した。
「あ・・・あった」
ボロボロで蓋が開きっぱなしになっているグランドピアノが、窓際にポツンと置かれている。
「ずっとこうやって誰かが弾いてくれるのを――」
言いかけて私は言葉を止めた。そんな感傷は私には似合わない。
それと、重大なことに気づいたのだ。

こんな大きなピアノを、どうやって部室まで運ぶのか?

どうやったって私の力じゃあ持ち上げられない!
私のスタンドでも、数百キロもあるピアノを持ち上げるパワーは無い!
ど、どうする・・・ッ??!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・


861 :六部198:2007/01/07(日) 13:44:16.64 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜9

「じゃあ、始めましょうか」
後ろで誰かの声がした。
びっくりして振り返ると、そこには後輩の久住小春ちゃんがいる。
「ちょっと紺野さん、どいてもらえますか?」
小春ちゃんは私を強引に押しのけ、ピアノの前に立った。
「ビスケッツ、お願い」
小春ちゃんが叫ぶと、7体の小さな人形のようなものが現われた。
そうだった、小春ちゃんのスタンドで分解して運ぶんだった。
なんで忘れていたんだろう。

「この子・・・」
別の声がする・・・重さんだ。そういや、彼女も一緒に来てたんだったな。
『この子』とは、多分ピアノのことを言っているんだろう。
「ずっとこうやって、誰かが弾いてくれるのを待っていたのかな?」
うん。やっぱこういうセリフは重さんが似合うな。
「なんか、かわいそうなの」
そう言って重さんは、ピアノの鍵盤を指で押した。
しかし、中の弦が切れているのか音は出ない。


862 :六部198:2007/01/07(日) 13:45:05.85 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜10

「ピアノが待ってるとか、あるワケねーじゃん」
重さんの感傷に水を挿す言葉・・・藤本さんだ。
「つーか早くしよーぜ。もうこんな時間だよ」
藤本さんは自分の腕時計を指差しながら小春ちゃんに見せて文句を言った。
時計の針は午後7時40分を指していた。
「美貴姉、デリカシーが無さすぎっちゃ!」
奥にある木製の机に座っているれいなが言った。
そう、今ここには、私、小春ちゃん、重さん、藤本さん、れいな、がいるのだ。

ビスケッツ達が声一つあげずに黙々とピアノの分解作業をしているのを尻目に、
藤本さん、重さん、れいなの3人は、手伝う様子も見せずに
ペチャクチャとおしゃべりを続けている。
まあ、小春ちゃんのビスケッツがいれば、私達が手伝う余地はないんだけど・・・
だったら何でこんなに大勢でこんな所に来てるんだろ?
そんなことを考えながら私は、ビスケッツと藤本さんたちを交互に見やりながら腕を組んで
分解が終わるのを待った。


863 :六部198:2007/01/07(日) 13:45:51.89 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜11

さすがにビスケッツ達の仕事は速く、程なくしてピアノの解体作業は終わり、
私達は音楽室から出た。
「じゃあ、帰りましょうか」
そう言って私が階段に向かおうとしたとき、藤本さんが呼び止めた。
「おいおい、こんこん。どこ行くんだよ?」
「どこへって・・・部室に戻るに決まってるじゃないですか。
いつまでもこんなところにいてもしょうがないですし」
何を言っているんだ、この人は。

「何を言っているんですか?」
小春ちゃんが私の気持ちを代弁してくれた。
しかし、それは藤本さんにではなく、私に言っている。
「そっちの階段は崩れてて使えないっちゃ」
「え?」
れいなの言葉に、私は目を丸くした。
「崩れてる・・・?じゃあ、どうやってここまで上がって来たの?ここは3階だよ」
「そりゃあ階段で上がってきたに決まってるの」
重さんがおかしなことを言う。
「階段は崩れてて使えないって、たった今れいなが言ったばっかりでしょ?」
・・・?意味が解からない。
「いや、だから、こっちの階段から上がってきたんじゃないですか。紺野さん」
そう言って小春ちゃんが指差した先には、『非常口』と書かれてある扉があった。


864 :六部198:2007/01/07(日) 13:47:11.94 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜12

非常口の扉を見て私は思い出す。
そうだ・・・おかしなことを言っていたのは私だった。
「・・・あ・・・そういえば、ここから上がってきたんでしたね。忘れてました」
私が頭を下げると、小春ちゃんが「しっかりしてくださいよ」
と言って、クスっと笑った。

「大丈夫?」
藤本さんが、心配そうな表情で私に言った。
「え?」
「いや、最近のこんこん、何か疲れてる感じがしてさ・・・」
ここんところ色々あったし、さっきの発言せいもあってそう見えてしまったのでろう。
「別に、どうってことは無いですよ」
私は力こぶを作って藤本さんに見せた。

そして私は非常口の扉に手を掛けた。
懐中電灯を持っている私が自然と先導するような形になる。

「おつかれーッス」
「じゃあ、また明日なの」
「この後さー、ちょっとカラオケにでも寄ってかんと?」
「あ、いいですねー小春のミラクルな歌声を聞かせてあげますよ」

後ろでみんなの声がする。
「まだ終わってませんよ。部室に帰るまでが遠足です」
私は前を向いたまま、生徒を引率する先生のように言った。


865 :六部198:2007/01/07(日) 13:48:23.30 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜13

扉を開けて非常階段の踊り場に出た私は、思わず手で口と鼻を押さえた。
「うッ・・・こ・・・これは・・・!」
酷いニオイだ・・・鼻が捻じ曲がりそうだ。
鳥のフンが、鉄製の錆びた非常階段に目一杯こびり付いているのだ。
私達は本当にこんなところを通ってきたの?
「センセー、早くして下さーい!」
藤本さんが、立ちすくむ私の背中を押す。
「ちょ、ちょっと・・・分かりましたから・・・押さないでください!危ないです!」
周りはすっかり暗くなっており、景色すらも見えない。
この懐中電灯以外に明かりは無いのだ。
藤本さんをなだめながら、私は慎重に階段を降り始めた。
ちなみに並びは私を先頭に、藤本さん、れいな、重さん、小春ちゃん。
と、続いている。

カンカンカン・・・カンカンカン・・・

「おっと!」
時折足元が滑る。鳥のフンのせいだ。
手すりに掴まろうとしたが、すぐにその手を戻した。
低い手すりにも、異臭を放つモノがべったりと付いているからだ。

カンカンカン・・・カンカンカン・・・

ライトのおかげで足元は見えるが、『足元まで』しか見えない。
視界は2メートルもないだろう。
所詮、懐中電灯だ。このか細い光では、闇を完全に照らすことなど出来ない。

カンカンカン・・・カンカンカン・・・


926 :六部198:2007/01/09(火) 02:03:05.15 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜14

カンカンカン・・・カンカンカン・・・

暗闇の中、階段を踏みつける靴音だけがその存在を主張するかのように響く。
しかし、なかなか一階まで辿り着けない・・・
まるで、地の底にまで続いているかの・・・

・・・んッ?ちょっと待って・・・

階段を降りている・・・一寸先も見えないような暗闇。
鉄製の階段。足元を照らす懐中電灯。低い手すり。滑る足元。

これは・・・そうだ、1週間前から見ている夢の中の出来事と同じじゃないか!
どうして今まで気づかなかったの?!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・

これは夢?それとも・・・偶然夢と同じ状況に陥っているの?
それに・・・さっきのみんなの言葉・・・昨日も聞いた・・・
・・・きのう?昨日・・・なの?本当に?
そういえば、昨日部室の片づけをして昇降口を出てから、私は何をしていた?
今はいつ?そして今、一体どこへ向かってるの?

・・・私の中に、そんな疑念が生じたときだった。

「ボソ・・・ボソボソ・・・」

???・・・低い声・・・誰かが後ろでなにやら呟いている声が聞こえる。
な、なに?


927 :六部198:2007/01/09(火) 02:03:50.27 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜15

私は足を止めて、恐る恐る振り向いてライトの光を向けた。
すぐ後ろには藤本さんがいる・・・
そして、さらに後方にいるみんなの方へ光を向けた。

だが、見えない・・・暗すぎて、あまりにも闇が深すぎて見えないのだ・・・

「どうしたの?こんこん」
私に気づいた藤本さんがこちらを見ている。
「あ、いえ・・・なんでもないです」
私は適当に言いつくろって、再び前に向き直って足を進めた。

カンカンカン・・・カンカンカン・・・カンカンカン・・・カンカンカン・・・

カンカンカン・・・カンカンカン・・・

カンカンカン・・・

「ボソボソ・・・ボソ・・・ボソボソ・・・」

・・・まただ・・・というか、この呟き声は誰のもの?
藤本さんではないし、他の子達の声でもない。
しかも、一人ではない。複数の声が聞こえる。
物凄く陰気な・・・感じだ・・・
これは、浦さんの怪談と一緒じゃないか・・・
私は言い得ぬ不安を覚えて、全身から冷や汗が出るのを甘んじて受けていた。

と、そのとき・・・


928 :六部198:2007/01/09(火) 02:07:41.41 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜16

「う ハ は ハ ハ ハ は は ハ ハ は ハ は ハ ハ は は は ハ ハ
ハ は ハ ハ は ハ は ハ は は は ハ は ハ ハ は ハ は は ハ 
ハ ハ は ハ ハ ハ ハ ハ は ハ ハ ハ ハ は ハ ハ ハ ハ ハ は 
ハ ハ ハ ハ は ハ は ハ ハ は ハ は ハ は は ハ は ハ ハ ハ 
ハ は ハ は ハ ハ ハ ハ ハ ハ は ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ は ハ 
ハ ハ ハ は ハ は ハ ハ ハ は ハ ハ ハ ハ ハ ハ は ハ ハ ハ 
は ハ ハ ハ は ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ は ハ は ハ ハ ハ ハ 
ハ ハ ハ ハ ハ ほ ハ ハ ハ は ハ ハ ハ ハ ハ ハ は ハ ハ 
ハ ハ ハ ハ ハ は ハ ハ は ハ ハ ハ ハ は ハ ハ ハ ハ ハ ハ 
ハ ハ は ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ は ハ ハ ハ ハ ハ は ハ ハ 
ハ ハ ハ は ハ ハ ハ ハ は ハ ハ ハ ハ は ハ ハ ハ ハ ハ ハ 
ハ ハ ハ ハ は ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ は ハ ハ 
ハ ハ ハ ハ ハ は ハ ハ ハ は ハ ハ ハ ハ ハ は ハ ハ ハ ハ 
ハ ハ は ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ は ハ ハ は ハ ハ ハ ハ ハ 
は ハ ハ ハ ハ ハ は ハ ハ は ハ ハ ハ ハ ハ ハ は ハ ハ ハ 
ハ ハ は ハ ハ ハ ハ は ハ ハ ハ ハ は ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ 
ハ ハ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


929 :六部198:2007/01/09(火) 02:08:21.58 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜17

近所中に響き渡るような、もの凄い笑い声!
それは、小春ちゃんと重さんのモノだった。
一体なんなのッ?!何がそんなにおかしいのッ?!

「どうしたと?さゆも小春も何がおかしいと?」
れいなが二人に話しかけた。
すると笑い声が止み、またボソボソと呟く声が聞こえた。
「え?ナニ?よく聞こえないっちゃ」
れいながそう言うと、呟き声は聞こえなくなった。
耳打ちでもしているのだろうか・・・

「フフッ・・・ハハハハハハハハハ!!!!!」

れいなの笑い声だ!
そして、さらに小春ちゃんと重さんのも混じる。
恐ろしく無邪気で、楽しそうな笑い声。
だが、聞いてるほうはちっとも楽しくない!
ナニが起きているのか理解できない!

そんな中、藤本さんがイラつきながら3人を一喝した。
「おいッ!うるせーんだよ!!!」

だが、笑い声は止むことはなかった。
「藤本さん、これなの、ハハハハハ・・・これ!コレ!コレナノ!!!」
重さんの声だ。正気を失っているようだった。
「え?なにそれ?」
藤本さんがそのナニか興味を示したようだ。


930 :六部198:2007/01/09(火) 02:09:04.12 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜18

ダメだッ!藤本さん!見てはいけない!耳を傾けちゃダメだッ!
なんともいえない不安を感じてそう言うおうとしたが、既に時遅しであった。

「プッ・・・ハアハ!!!ウヒャハハアアハハハハハ!!!」

ああ・・・藤本さんまで・・・!!!

カンカンカンカンカンカンカンカン!!!!!!

気が付くと私は走り出していた!みんなを置いて!
無様だッ・・・!この紺野あさ美が恐怖に駆られて逃げ出しているんだから!!
心を落ち着ける『個数』すら思い浮かばない。
私は今、必死で逃げている!

ズルッ・・・!

我を見失い、慌てて階段を駆け下りたせいで、
私は足を滑らせてしまった。

「きゃああああああああ!!!!」

もしも夢ならば、ここで・・・


931 :六部198:2007/01/09(火) 02:09:37.55 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜19

急速に階段からすべり落ちるリアルな感覚。
これは夢ではない!現実<リアル>ッ!
このまま落ちたら怪我どころでは済まない!

ガシィッ!

私は必死に手すりにしがみ付いて、何とか落下を喰い止める事ができた。
ああ・・・身体中に鳥のフンが付いてしまった・・・

私は酷い臭いに顔をしかめながらも立ち上がり、落下中にも手放さなかった
懐中電灯を前に向けた。
目の前には『非常口』と書かれた扉がある。
いつの間にか、1階まで到達していたようだ。

もう、笑い声も聞こえない。辺りは水を打ったような静けさを取り戻していた。
後ろに灯りを向けたが、藤本さん達の姿は見当たらない。
当たり前だ。恐怖に駆られ、みんなを置いてきたのだから。

浦さんが言っていたことは本当だったんだ。
あの話を他の人に伝えなかったから私は呪われ、しかもみんなを巻き添えにしてしまった。
あの呟き声が誰のモノかはわからない。でも、確実にいえることは、
声の主は『見てはいけないもの』・・・藤本さん達は、ソレを見てしまったんだ。
そして私はみんなを置き去りにして逃げてしまった。
頭の中に、無残な姿をした4人のイメージが焼きついた。

「最低だ・・・私は・・・」
私は自分の身体を抱きしめ、非常口の扉を背にしてうずくまった。
激しい自己嫌悪・・・ソレが今の私の中を支配している。


932 :六部198:2007/01/09(火) 02:10:17.12 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜20

「ねえ・・・こんこん・・・」

ビクゥッ!!!!

静寂、そして自己嫌悪という名を借りた陶酔を打ち破る声。
声色から判断すると藤本さんのモノで、真横にいるようだ。耳元で話しかけている。
私は少しほっとしたが、妙な違和感を感じて振り向くことを躊躇した。
何故かは解からない・・・でも何かオカシイ・・・

ドッドッドッドッドッドッドッドッドッド・・・・

「ねえ・・・紺野さん・・・」
同じように重さんの声・・・
そして反対側からは、れいなと小春ちゃん。
妙に艶かしく聞こえる。
・・・気配が違うとでも言うのだろうか・・・今、私のそばにいるみんなは、
『私の知っているみんな』ではないような気がする。

私はじっと前を向いたまま固まってしまった。
視線をすぐ横にずらすと、ソレが見えてしまいそうだ。
そして、ソレを見てはいけないような気がする・・・

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・


933 :六部198:2007/01/09(火) 02:11:37.91 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜21

「ねえ・・・見て」
4人が一斉に囁きかける。
「ホラ・・・こんなに、すごい・・・ねェ・・・」
だが、私は目を閉じてそれを無視しし続けた。
『見てはいけないッ!』と、私の直感がそう言っている。
きっとこれは、さっきみんなが見てしまったモノなんだ。

ガシィッ・・・!!!

「ッ!!!!」
別の『ナニか』に、正面から物凄い力で肩を掴まれた。
でもおかしい・・・私は今、扉にくっつくように向かっている。
そこに何かが入り込める隙間など無い。
なのに、どうして・・・?

だが、そんなことはこれから起こることに比べれば、どうでもいいことだった。
目の前にいるコイツが信じられないことをしだしたからだ!

ググ・・・グググ・・・グッ・・・

・・・私の瞼を・・・『指』で無理やり開かせようとしているのだ!

「コッチをミロおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!」
もはや誰のものとも検討がつかない、まるでコンピュータ合成されたような声。
そして、ソレに被さるかのように私の悲鳴がこだました。

「うわああああああああアアァアアアあああああアアアアァァァああああぁぁあああああ!!!」


970 :六部198:2007/01/10(水) 01:17:41.81 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜22

「やめろおおおおおお!!!!『ニューオーダー』!!!」
瞼を無理やり開こうとするその手を振り払い、私は自らのスタンドの名を呼んだ。

バシュウゥゥッッ!!

黒地にピンクのラインが入った、アディダスのジャージを彷彿とさせる
人型のスタンドが私の前に姿を現わすッ!!!
私は眼を閉じたまま、ニューオーダーで目の前にいるナニかを思いっきりぶん殴った!

ドガアアァアッ!!ガシャアアアン!!!

確かな衝撃、そして扉をぶち破る音。
そしてこの感覚・・・まさか?!
『殴れた』ということで、少し恐怖心が薄れた私は眼を開けてソレを見下ろした。
辛うじて人を形どったドロドロの塊・・・その身体に藤本さん達の顔がへばり付いている・・・

「フフエッフフエヘハッハエフヘウアヘ!!やりやがったなあああ!!!
てめーの薄汚い『スタンド』で殴りやがったあああああああ!!!!!!」

・・・ッ!!『これ』が見えているッ!ということは・・・コイツはスタンドッ!!
私はスタンド攻撃を受けていたのかッ!!

そう思った瞬間、私の中にあった恐怖は完全に消えうせた。戦う意思が生まれたからだ!
そもそも、この紺野あさ美に『恐怖』や『パニック』などという言葉は無いのだッ!!

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!


971 :六部198:2007/01/10(水) 01:20:36.40 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜23

我を取り戻した私は毅然とスタンドを構えた。
早く藤本さん達を助けないと!
おそらく、先程の件で攻撃を受けて取り込まれてしまったのだろう。

「おおお・・・おとなしくうぅぅ・・・していればあああぁぁぁ
クルしまずにっぃぃぃぃラクになれええぇぇぇぇたものをおおぉぉぉぉ!!!」
敵スタンドは、顔を覆いながら訳のわからない事を言っている。
だが、そんなことは関係ない。私は敵スタンドを指差してこう言った。
「みんなを解放しなさい」
「みんな・・・?何のことだ?」
・・・しらばっくれているのか?
「もう一度言います。
今すぐに解放しなさい!さもなくば、痛い目に遭ってもらいますよ!」
私は一歩前に出て、さらに強い口調で迫った。
しかし、コイツは薄ら笑いを浮かべながら立ち上がった。
「おいおい・・・ここまできて、まだ気づいてないのか?『みんな』なんて初めからいねーよ!」
「・・・?何を言って――」
「だーかーらー!全部オマエが作り出したイメージだって言ってんの!」

「え?」

イメージ?私が作り出した?

ゥゥゥゥゥウウウウゥウウウウウウゥウウゥゥウゥゥゥ・・・

ドロドロのスタンドの言葉に戸惑っていると、
遠くからサイレンのような音が近づいてきた・・・何か・・・嫌な感じだ・・・


972 :六部198:2007/01/10(水) 01:23:47.66 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜24

サイレンの音に不安を感じて辺りを見回す私をよそに、敵スタンドはさらに言葉を続ける。
「さっきから起こってることも、全部お前が作り出した『イメージ』なんだよ。
お前の頭に残った『キーワード』や『出来事』が、こうして出てきてしまったワケだ」
「・・・なんでそんなことを教えてくれるの?」
私は敵スタンドに向き直って尋ねた。
完全に信用しているわけではないが、タネを明かしては元も子もない。
コイツの真意が測りかねる。
「それは、親切心ってやつだぜ。一応、俺自身は中立だからな。」
『親切心』・・・『中立』・・・その言葉に私は思わず吹き出した。
「人を襲っておいて、よく言えたものね」
「いやいや、親切だよ・・・まあ、ストーリー上お前を襲ったが、
それでも大して苦しまずに逝かせてやろうとしたんだから。
本来ならストーリー通り、俺を見たときに恐怖によるショックで死ぬようになってのに・・・」
敵スタンドはそう言って、少しおどけたような仕草をした。
が、すぐにそれを止めてこう言った。

「だが、もう駄目だ。お前が悪いんだ・・・来るぞ、アイツが・・・
俺に危害を加えたものを罰する・・・」

ゥゥゥゥゥウウウウゥウウウウウウゥウウゥゥウゥゥゥ・・・

まただ・・・サイレンの音・・・

「来るぞおぉぉぉぉ!!!アイツがああぁぁぁ!!!
『赤い三角頭』があぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

赤い三角頭・・・?一体なんなの?


973 :六部198:2007/01/10(水) 01:24:25.95 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜25

ゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウ!!!!!!!!!

サイレンがどんどん近づいてきて、その音がさらに大きくなっていく。
それと連動するかのように、敵スタンドが大声で笑い出した。
「ヒャフフヘラヘラフレヘラアアヘッヘヘ!!!アイツは『オマエを殺すまで決して倒れることはない!』
アイツの『大鉈』で苦しンでシヌんだアアァァァァアはハハはは!!!!」
私はその騒音に耐えかねて耳を塞いだ。
だが、それでもサイレンの音は遮断できない。
まるで、頭の中から直接響いているかのようだ。

「くッ・・・」
私は思わず膝をついた。

ウウウウウウゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・

少しずつサイレンの音が遠くなっていく・・・
いや、違う・・・私の『意識』が遠くなっているんだ・・・

一体何なの?解からないことが多すぎる・・・

誰が・・・何のために・・・?

・・・うーん・・・イモ・・・かぼちゃ・・・ムニャムニャ・・・

・・・・・
・・



974 :六部198:2007/01/10(水) 01:27:27.67 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜26


・・・
・・・・・

「うーん・・・ハッ!!」

気が付くと、私は板張りの床にうつ伏せに倒れていた。
起き上がって辺りを見回してみると、壊れかけた壁や、ガラスが割れて枠だけになった窓が目に入る。
目が覚めたの・・・?でも・・・
「ここは・・・旧・・・校舎・・・」

私はふと、『今はどちら側なのだろう』と不安になり、腕時計に目をやった。
時刻は午後7時50分と少し。日付は・・・5月○日。
そう、私が部室の片付けをしていた日・・・
つまり、片付けを終えて校舎を出てから、あまり時間は経っていないようだ。

・・・全部夢だった・・・?何もかも・・・?

手に付いたはずの鳥のフンは無い。藤本さん達の姿も見当たらない。
懐中電灯も持っていない。そして、ドロドロの敵スタンドもいない。
すぐ側には、『非常口』と書かれている壊れた扉が転がっている。
これは・・・さっき私が敵スタンドを殴った反動で壊れてしまったからなの?
それとも最初から?

壊れた扉を踏み越えて非常口に向かうと、鉄製の階段が姿を現す。
少し錆付いてはいるものの、随分ときれいだ。
しかもすぐ側には街灯があり、意外と明るくて視界が利く。
勿論、鳥のフンなどどこにも見当たらない。


975 :六部198:2007/01/10(水) 01:28:49.90 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜27

全てが夢だったと考えると、オカシイところがある。
あのあと眠ってしまったのなら、目覚めた時に校舎の前にいるはずだ。
それとも、夢遊病患者のようにふらふらと歩き回っていたのだろうか・・・
いや、そう考えるべきか・・・
ここ数日の出来事に疲れ、そうなってしまったのだろう。
病院で診てもらったほうがいいかな・・・

まあどっちにしろ、今私がやるべきことは家に帰ることだ。
私は足元に落ちていた自分のカバンを拾い上げ、出口に向かった。。

ギシ・・・ギシ・・・ギシ・・・

足を一歩進めるごとに、床板が軋む音がする。
今にも抜け落ちそうだし、響きもあまり心地の良い感じではない。

ギシ・・・ギシ・・・ギシ・・・

途中、2階に上がる階段が目に入ったが、当然のように崩れてなどいない。
「やっぱりね・・・」
私は独り言を呟き、口の端を少しだけ上げた。


976 :六部198:2007/01/10(水) 01:31:37.06 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜28

『スタンド使いはお互いに引かれ合う』・・・か・・・

どうやら、夢の中にまで連れ込んでしまったようだ。
しかし、夢にまでスタンドが出てくるなんて、私もどうかしてる。
演劇部生活が長くなったからかもしれない。
そう思うと、笑いがこみ上げてきた。
どっぷりと演劇部に浸かっている自分に、呆れてしまう。

そういえば、夢の中のスタンド言っていた『赤い三角頭』・・・
自分の夢に出てきたってことは、おそらくそれに関する何かを
私は知っているのかもしれない。
どこかでそんなモノが登場する映画や本を見たのかな?
ちょっと気になるな・・・明日ちょっと調べてみよう。

しかし、浦さんの話がここまで尾を引くことになるなんて・・・
あの子からしたら、『してやったり』といった感じなのかな。
今日のことを彼女に話したら、きっと大笑いするだろうな。

ギシ・・・ギシ・・・ギシ・・・

もうすぐ旧校舎の昇降口に出る。
10メートルほど先の角を曲がれば、すぐそこだ。
私は少しだけ歩く速度を上げ、そこへ向かった。

ゥゥゥゥウウウウウウウウゥゥゥウウ・・・

ん?・・・床板を踏む音に混じってサイレンの音が聞こえてくる。
なんだろう・・・あの先から、何か物凄く嫌な感じがする・・・


977 :六部198:2007/01/10(水) 01:32:28.17 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜29

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・

「・・・どうして・・・?」

それが、昇降口に出た私の第一声だった。
『いるわけが無いモノ』それが私の前に立ちはだかっているからだ。

胴体まで覆い隠す、金属製と思しき大きな赤い三角の兜らしきモノを被った異形の者。
『赤い三角頭』・・・それが私の中に浮かんだ言葉だった。
身長は普通の成人男性ほどだが、右手にはその身長程もある大きな鉈を所持しており、
そのせいもあって実寸よりも大きく見える。
そしてなにより、圧倒的な『死』の臭い・・・

「どうしてッ・・・!!!」
私はもう一度、今度は叫ぶように言った。
しかし、その答えなど返ってくる由もなく、赤い三角頭は無言で私を威圧している。

『くるぞ、アイツが・・・俺に危害を加えたものを罰するアイツが・・・』

ドロドロのスタンドが言っていた言葉が、頭の中でリフレインされた。

夢じゃなかったの?!
どこまでがッ?!
いや、全てが?!
それとも、これは夢の続きッ?!
一体、何がどうなっているのッ?!!!!

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド・・・・!!!!!!


59 :六部198 :2007/01/11(木) 20:18:03.43 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜30

「・・・ハッ!!」

私が混乱状態に陥っていると、赤い三角頭はすぐ目の前にまで迫っていた。
しかも手に持った大鉈を、今にも振り下ろさんとしている!!!

ブゥウン!!!

空を切る歪な音がしたかと思うと、あっという間に大鉈が私の頭上に振り下ろされる。
私は間一髪でそれを避け、床を転がるように後ろへ退いた。

ドガッシャアアアアァァンンンンン!!!!!!!!!

大鉈は木製の床をいとも簡単に突き破る。
もしもアレをまともに受けてたら・・・そう思うと、背筋が凍る感じがした。

私は、もう一歩後ろに退いて自らのスタンドを呼び出した。
「ニューオーダー!!!」

バシュウゥゥゥ!!!!

黒地にピンクのラインが入っ(略)

N.O.<ニューオーダー>を前面に立て、私は構えを取った。
これが夢でも現実でも関係ない!
出来ることをする!
今は、この危機を乗り越えなければッ!!

バアアアアアアアアアァァァァァアンンンンン!!!!!!!


60 :六部198 :2007/01/11(木) 20:18:45.42 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜31

コイツが『スタンド本体』ということなのだろうか。
攻撃者が二人いる可能性も捨てきれないけど、
さっきのアイツは、たしか『俺に危害を加えたものを罰するアイツ』と言っていた。
赤い三角頭が作った『夢という牢獄』から脱しようとする者を看守が罰するように、
私を直接始末しに来たのかもしれない。

私は、かつて演劇部にいた村田めぐみさんのことを思い浮かべた。
彼女のスタンドの能力は、眩暈から幻覚に移行するように二段階に発展する。
それと同じタイプなのだろうか。そう考えると納得いくが、どうだろう。

ブォンッ!!

空を切る音。
「ッ!」
考え込んでいる僅かな間に、赤い三角頭が私に向かって大鉈を振り下ろしている!
マズイッ!かわしているヒマがない!

「くッ・・・ワールド・イン・モーション!!」
私はとっさにN.O.の右手に空間の歪みを纏わせ、それを大鉈の前にもっていった。

バチィィィィッ!!!

『ワールド・イン・モーション』に触れた大鉈が弾かれる!
その隙に私は再び歪みを右手に纏わせて赤い三角頭の懐に潜り込み、
そのわき腹にお見舞いしてやった。


61 :六部198 :2007/01/11(木) 20:22:46.50 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜32

ガキィッ・・・!グシャグシャアアアァァッッ!!

何かがひしゃげる様な、それでいて弾けるような奇妙な音と共に、赤い三角頭がよろめく。

・・・よしッ!戦える!
私は心の中でガッツポーズをしながら、そのまま追撃を喰らわせるべく
ワールド・イン・モーションでN.O.の右手に空間の歪みを作り、手負いの箇所を狙った。

しかし・・・ッ!!
赤い三角頭は弾かれた大鉈を強引に返してきた!
何てパワーなの・・・

どうしよう・・・このまま攻めるか?
いや、ダメだッ!
「くッ・・・!」
私は歪みを手前に持っていき、更に左手にも歪みを纏わせた。
先程のようにコイツの大鉈が弾かれた隙を突いてやる算段だ。

バチィィィィッ!!!

予想通り大鉈が弾かれ、赤い三角頭が体勢を崩した。

「これで決めるッッッ!!!」

再びがら空きになった脇腹に、強烈なのを入れてやるッ!

ドッギャアアアアアアァァァァァアァアアァァァァァ!!!!!!!


62 :六部198 :2007/01/11(木) 20:24:00.79 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜33

「なッ・・・?!」
それが私の口から出た言葉だった。

ワールド・イン・モーションは、たしかにコイツの脇腹にヒットしたけど、
すぐさま体勢を整えられてN.O.の左手が掴まれてしまった・・・!
手を引こうとしても、物凄いパワーで振りほどけないッ!

まずい・・・この状態でいるのは危険だ・・・何とかしないとッ!

しかし、私がこの事態を打開しようと考えるスピードよりも速く、
赤い三角頭がN.O.を上に放り投げた。

ドガアアァァァッッ!!

私の身体が、N.O.と共に正面から天井に叩きつけられた。
「ぐえッ・・・」
受身など取れるはずもない。
その衝撃に、思わず無様な嗚咽が漏れた。

人は空を飛べない。
天井の次に待っているのは地面だ!

でも、もしもここで待っているのが地面では無く・・・いや、変な想像は止めておこう・・・
私は迫りくる地面への覚悟と対処法を決めるべく、首を下に向けた。

だが・・・視線の先にあったのは、やはり地面などではなかった。
もっとヤバイモノ・・・ッ!


63 :六部198 :2007/01/11(木) 20:24:38.78 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜34

下で赤い三角頭が大鉈を構えているッ!!!
まるでホームランを狙う外人の野球選手がボールを狙うように、
アッパースイング気味に私を待ち構えているのだッ!!

詰めが甘かった・・・
ワールドインモーションでガードしようにも、仰向けに落下するこの体勢では大鉈の軌道が読めない。
仮に成功して大鉈を弾けたとしても、私が地面に叩きつけられた隙に、すぐ次の一撃が来るだろう。
・・・このままじゃ、私の身体は文字通り一刀両断ッ!
でも、パンが一つなら分け分けね。と、いうようにはいかないッ!

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド・・・・!!!!!!

・・・絶望を希望に変えるには、ある程度の覚悟がいる。
その差が大きければ大きいほど、代償も大きい。

大鉈を回避するには、距離を開ければ良い。
その方法は、この状況では一つだけ。

「・・・」

一瞬だけ躊躇したが、生と死を天秤に掛ける時間も必要も無い。
覚悟を決めろッ!紺野あさ美ッ!

「ワールド・イン・モーションンンン!!!!」

落下速度と向かうべき方向、そしてダメージをギリギリまで計算して、
作り出した歪みをN.O.の右手纏わせ、それを自分目掛けて解き放った!


64 :六部198 :2007/01/11(木) 20:25:09.71 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜35

バキャァ!メキョォッ!!

身体の内部から直接伝わって響く嫌な感覚。そして、激痛。
でも寸でのところで大鉈の凶刃をかわし、私の身体は概ね予想通りの速度と角度で後方へ吹っ飛んでくれた。
「我ながら・・・完璧です・・・」
私は赤い三角頭が大鉈を空振りしたのを見届け、そう呟いた。

ズザアアァ・・・

上手く地面に着地することが出来たが、ワールド・イン・モーションのダメージに顔をしかめた。
視線を赤い三角頭に向けると、ヤツは仁王立ちで私に睨みを利かせている・・・ように見える。
なにしろ大きな赤い兜を被っているので、よく分からない。
距離は10メートルと少し。つまり、仕切り直し。といった感じか。

それにしても、あの圧倒的なパワーとスピード・・・近距離タイプのスタンドなの?
でも、それにしては近くに本体がいるような気配は全く無い。
かといって遠距離タイプはありえない。

私は、ふと視線を自分の右の腰辺りに落とした。
スカートが破け、そこから血が滲み出ている。
今のワールド・イン・モーショは緊急脱出用で
攻撃するためのものではないものの、40数キロのモノを吹っ飛ばす威力だ。
ダメージは見た目よりも大きい。
それに対してヤツは・・・先程食らわせてやったはずの、
ワールド・イン・モーションのダメージが殆ど見受けられない。

・・・状況は・・・不利か・・・

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・


65 :六部198 :2007/01/11(木) 20:25:58.79 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜36

ズリ・・・ズリ・・・ズリ・・・ズリ・・・

大鉈を引きずりながら、赤い三角頭がこちらに迫ってくる。
何故このようになってしまったのか、未だに検討がつかない。
コイツの本体も不明。根本的な目的も不明。
今がまだ夢の続きだというセンも拭いきれない。
・・・いや、『夢』と考えるのはやめたほうがいいか・・・
普通の生活からすれば非現実的ではあるが、演劇部に所属するようになってからはこんなことは『ざら』だ。
それに、もしも夢なら自分が死んだりすればそれから醒めるが、違っていたら永遠の眠りに就くハメになる。

ズリ・・・ズリ・・・ズリ・・・ズリ・・・ズリ・・・・・・グウゥゥン・・・!

一歩一歩距離を縮めてくる赤い三角頭が大鉈を振り上げた。
・・・どうしても、この私を始末したいらしい。
だが、そうはいかない!

「バニシングポイント!」
私は目の前に空間の入り口を作った。
そして、その中にN.O.の右腕を突っ込む。
ありったけのワールド・イン・モーションのオマケ付きだ!
勿論空間の出口は赤い三角頭の目の前、狙いはその足元!

バキャァ!メキョォッ!バキュアォッ!バギバギバギィッ!

反力と圧力を滅茶苦茶にブレンドしてやった歪みは、赤い三角頭の足を容赦なく捻じ曲げた。
1秒ほど動きがとまったが、やはりそれでも前進は止まらない!
捻じ曲がった足に構うことなく、まるで何事も無かったように。
なんてタフなの・・・て、感心してる場合じゃないか・・・


66 :六部198 :2007/01/11(木) 20:26:40.49 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜37

そのタフさに、自動操作型のスタンドという可能性が浮かぶ。
それだとパワーとスピードとタフさを兼ね備え、なお且つ遠距離での展開が可能、
という事に概ね納得できる。
だが、だとしたら厄介だ・・・例えここで、この赤い三角頭を撃破したとしても、
本体にダメージはない。しかも、また再び攻撃してくるだろう。
何とかして本体を探し出さないと・・・

まあ、とにかくコイツに近づいてまともにやり合うのは危険だ。
バニシングポイントを利用したヒット&アウェイが妥当だろう。
そう思って私は数歩後ろに飛び退いて、再び距離を開けることにした。
でも・・・もしも、ここでアイツが突っ込んできたら・・・

と、その時・・・

ド ド ド ド ド ドドドドドドドドドッッッッ!!!!

赤い三角頭が突然、こちらに向かって猛ダッシュをしてきたのだ!
しかも、速いッ!!

「な、なにいいいい!!!???」
嫌な予感が当たり、私は思わず叫んだ。
ていうか、今まで大鉈を引きずって歩いてきたのは、なんだったんだ?

赤い三角頭が大鉈を振りかぶる!
それに対し、私は迎撃体制に入らざるを得ない。
ヒット&アウェイどころではないッ!


67 :六部198 :2007/01/11(木) 20:29:04.22 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜38

ブアアァッ!!

大鉈が振り下ろされるッ!
だが私はワールド・イン・モーションで何とかそれを弾く。
しかし、それでも攻撃は止まない。
ワールド・イン・モーションに弾かれても、強引にラッシュをかけてくる。
まるで、追い詰められたひ弱なイジメられっこが、
土壇場で泣きながら両手をぐるぐる回して反撃するかのように。
更に性質が悪いのは、コイツは全然ひ弱ではない・・・ということだ。
追い詰められてイジメられているのは、むしろ私のほうだ。

ガキィッ!バチィッ!!バシィッ!!!

「くッ・・・」
防戦一方だ・・・今日はずっといいトコ無いな。

心なしか、少しずつスピードと正確さがアップしているような気がする。
しかも、さっきから・・・

ガキッ!!バスバスッ・・・!グキャァッ!ガッ!!

大鉈だけじゃなく、所々で蹴りやパンチを入れてくる。
それまでの機械的な動きから、少しずつ人間味を帯びてきているのだ。
勿論、それもワールド・イン・モーションで弾いているが、まったくひるむ様子は無い。

また大鉈が振り上げられる・・・今度は少し、大振りだ。
私は今までのようにそれに備え、N.O.の腕を頭の前にもっていった。
一応、大鉈は防ぐことが出来るだろう・・・だが、またすぐに次がくる・・・そして堂々巡り。
この状況を何とかしないと、私の体力が・・・


68 :六部198 :2007/01/11(木) 20:31:01.51 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜39

攻撃を防ごうとワールド・イン・モーション・を頭上に掲げた瞬間だった・・・

ンンンンンンンンンン・・・・・

一瞬、時が止まったかのような錯覚に襲われた。
大鉈は私の頭上、N.O.の腕直前でピタっと止まっているからだ。

「これは――グハアァッ!」
言いかけた私の腹に赤い三角頭の膝が入り、
その衝撃で後方へ吹っ飛ばされる。

ズザアアァァァァァアアアァ・・・!!!

そして、起き上がろうとした私の目に入ったのは、振りかざされた大鉈であった。
今度こそ、これは私を『二つに割る』のだろう。

まさか、これを狙っていた・・・?
私はフェイントに引っかかってしまったというワケなの・・・ッ?!

自動操作型のスタンドに、こんな真似は出来ないはずッ!

一体・・・コイツは・・・

私は、ここで人生の幕を下ろすというのだろうか?
未来は・・・希望は・・・無いのか・・・?

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!!!!!


114 :六部198 :2007/01/13(土) 17:33:03.99 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜40

薄暗い旧校舎の廊下・・・
目の前にそびえ立つ赤い三角頭が、闇の中にうっすらと浮かび上がっている。
窓の外をふと見上げると、大きな月が顔を覗かせていた。
無様な私の姿は、さぞ可笑しいことだろう。


・・・・・・・・ん?


一つの疑問。
それが、私に生きる力を与えてくれた。

ブウゥゥンッ!!!

振り下ろされる大鉈。
私は決死の思いで、起き上がり様に素早く赤い三角頭の足元をすり抜けた。

ズバアァッ!!

「くああぁッ・・・!!」
大鉈の切っ先が、ギリギリで左足のふくらはぎに触れる。
でも何とか股を抜いて、後ろに出ることが出来た。

ドガッシャアアアアアア!!!!

大鉈が地面を直撃する。
私は痛む足を引きずり、そのまま赤い三角頭と距離を取った。
見渡してみれば、この廊下は赤い三角頭によって滅茶苦茶に破壊されてしまっている。
でも、今はそんなことはどうでもいい!それよりも、確認しておかなければいけないことがあるッ!!


115 :六部198 :2007/01/13(土) 17:33:53.42 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜41

さっきから、嫌な予感がやけに的中しているのはどうして?
天井に叩きつけられたときの後の行動・・・
そして、距離をあけたときに突然ダッシュしてきた・・・
嫌な予感は当たりやすいとは言うものの、ピッタリと一致することなどはそう簡単には無い。

ズリ・・・ズリ・・・

赤い三角頭がこちらに振り向き、前進してくる・・・

ここで私は、ある予想をする。
多分、コイツはこちらにダッシュしてきて、私の頭上に大鉈を振り下ろすだろう。
そして、それを防ごうとN.Oに作らせたワールド・イン・モーションの横をすり抜け、
私の左肩から袈裟切りに斬りつけるだろう。

ダッダッダッダダッダだダダダダダダ・・・!!!!!

赤い三角頭がこちらに突っ込んでくる!
私はニューオーダーにワールド・イン・モーションを二つ作らせ、迎撃体勢をとった。

ブウゥゥンッッ!!!

大鉈が頭上に振り下ろされるッ!
私は予定通り、頭上にワールド・イン・モーションを構えた。
だが、大鉈はそれをすり抜け、私の左肩を襲った!
しかし、それも予定通り。

バチイイィィィィッッッッ!!!!!

もう一つのワールド・イン・モーションが大鉈を弾き、私はその隙に後方へと飛び退いた。


116 :六部198 :2007/01/13(土) 17:34:23.74 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜42

やっぱり・・・
私の予想は二つとも当たった。
いや、すでに『ダッシュしてくる』ということは『インプット済み』だから、正確には一つだ。

もう少しだ・・・あと少しで答えに辿り着ける。
思い出すんだ・・・そして考えろ・・・!

・・・・・・・

『だーかーらー!全部オマエが作り出したイメージだって言ってんの!』

『――お前の頭に残ったキーワードや出来事が、こうして出てきてしまったワケだ』

あのドロドロのスタンドが言っていた言葉を思い出す・・・

一週間前に浦さんから聞かされた話・・・
階段を降りる夢・・・見てはいけないモノ・・・アレは私が作り出したイメージ・・・
そして、赤い三角頭の行動の一部もイメージ・・・イメージしたことが出てきた・・・

ハッ?!!!!

『くるぞおぉぉぉぉ!!!アイツがああぁぁぁ!!!『赤い三角頭』があぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

赤い三角頭『すら』も、イメージとして現われたんだったとしたら?
コイツが『スタンド』ではなく、あのドロドロが『本当のスタンド?』
倒すべき相手はコイツではなく、ドロドロのほうだったのではッ?!


117 :六部198 :2007/01/13(土) 17:35:31.58 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜43

ブウゥゥンッッ!!

「ッ!!!」

私の考えをよそに、再び大鉈が襲い掛かってきた。

「くッ・・・!」
私はそれを咄嗟に弾き返す。

バチイィィッッッ!!!!

弾き返した後も赤い三角頭は躊躇することなく連激を加えてくるが、私はそれを『無心』で捌く。
今は攻撃についてあれこれ考えてはいけない。
ダッシュにしろフェイントにしろ、多分、コイツのレパートリーを増やすだけだろう。
それにどっちにしろ、こいつ自体は倒せない。

ドロドロはこう言っていた・・・
『オマエを殺すまで決して倒れることはない!』・・・と。
そして私はそれをイメージしてしまった。
ワールド・イン・モーションのダメージを物ともしなかったのは、そういうことだったんだ。

・・・近くで接して気配を探ってみると、『スタンド特有のそれ』は感じられない。
ただの『無』だ。気配すらも無い。
やはり目の前のコイツはスタンドではなく、『私がイメージ』した『私を殺すための偶像ッ!?』

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・!!!!!!!


118 :六部198 :2007/01/13(土) 17:36:30.87 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜44

・・・いや!待て・・・ッ!
それ以前に、赤い三角頭とドロドロのスタンド、『双方共に』私が作り上げたイメージだったとしたら?!

たしかドロドロは『俺を見たときの恐怖によるショックで死ぬはずだった』と言っていた。
そして『ストーリー通り』とも言っていた。
それってドロドロはスタンドではなく、あくまで怪談の中の登場人物、
つまり『見てはいけないモノ』そのものだった?

ショック死などというのが本当に苦しくなくて楽なモノなのかは分からないけど、
どうにせよ怪我や病気などよりかは楽かもしれない。
でも、それはアイツの優しさとかではなく、怪談の中の登場人物であるアイツには
『そういう方法でしか出来なかった』ということなんじゃあないのか?!

しかし恐怖を克服した私に、ストーリー通りのショック死などということは意味が無い。
だから、より直接的なものへシフトさせようとして、大鉈で敵を処刑する『赤い三角頭』というキーワードをセットした。
キーワードをセットしたのはドロドロかもしれないけど、それを実現化させたのはアイツじゃあない。
別の・・・いや、本当のスタンドだッ!でも、それはどこに?

・・・相変わらず物凄いパワーとスピードで迫り来る赤い三角頭の攻撃を弾きながら、
私は頭をフル回転させてさらに思考を凝らす。

頭をフル回転・・・?

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・

・・そう、物をイメージ・・・考えるのは頭だ・・・

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・


149 :六部198 :2007/01/15(月) 00:01:57.44 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜45

私は閃きを感じ、後頭部に手をやってみた。
しかし何も無い・・・髪の毛の感触しか伝わらない。

・・・そう都合よくはいかないか・・・

いや、違う・・・スタンドは原則スタンドでしか触れられないんだ・・・
私はニューオーダーで自分の後頭部に触れてみた。

・・・・・・!!!!!!!!!

これはッ!!!!
頭に何かが突き刺さっている!
そしてそれを伝って背中に手を伸ばすと、そこに何かが引っ付いている。
ヌメヌメとした感触がニューオーダーを通して伝わってきて気持ちが悪い。
大きさは私の頭より少し小さい程度だろうか。

なるほど、こういうことだったのか・・・
背中に引っ付いているコイツが、全ての元凶ッ!
そうとなればッ!!

「ワールド・イン・モーション!!」

私は赤い三角頭の足元に歪みを発生させて飛び退いた。
そして飛び退きながらも、できるかぎり多くの歪みを地面にセットした。
こうすれば、たとえ赤い三角頭が突っ込んできても多少の時間が稼げる。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・


150 :六部198 :2007/01/15(月) 00:03:05.04 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜46

私は『覚悟』を決め、背中にいるスタンドを強引に引き剥がして
頭に突き刺さっている何かを引っこ抜いた。
「おおおおお!!!!」

ベリイィッッ!!!!
ズボオアアアァァアァッッッッッ!!!!!!

「くあああッッッ!!!!!!!!!」

後頭部に不快感が駆け巡る。
傷みではなく、まるで銀紙を噛んだときの様な感覚に似ていた。
それと同時に、まるでホームシアターのスクリーンのスイッチを消したかのように、
目の前にいた赤い三角頭の姿がスゥッと消え失せた。

・・・それは、私の考えが当たっていたことを証明していた。

スタンドを見てみると、平べったい極薄の吸盤状のボディに
細くて鋭い長い針のようなものがついており、その先から黄色っぽい液体がポタポタと滴り落ちている。
そして、薄っすらと血も付着しているのがわかる。

おそらく、こういうことだろう・・・
私がイメージしたモノを、この針のようなモノで吸い上げて、このスタンド能力で実現化させていた。
一週間前から見ていた夢も、多分コイツの仕業だ。
いや、あれは夢ではなく、実際に私がこの旧校舎の階段へ赴いていたのだ。
だから疲れがとれなかった。実際に動いていたから・・・
そして、『能力が発動している間だけ』私の後頭部に針を打ち込んでいた。
他のスタンド使いが見れば一目瞭然なのに、今までコイツの存在が
誰にも気付かれなかったのは、そういうことだったんだ。


151 :六部198 :2007/01/15(月) 00:03:54.41 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜47

針を刺し込まれたとの感覚が無かったのは、蚊が人を刺すときの様に
麻酔のようなモノを同時に流していたからだろう。
たぶん、針先から流れ出ているこの黄色っぽい液体が、それなのだろう。

・・・さて、厄介な赤い三角頭も消えたことだし、そろそろコイツをどうするかを決めないと。

私は手に持ったままのスタンドを見つめた。
スタンドは鳴き声一つあげずに、黄色い液体を垂れ流しながら針をワサワサと動かしている。
逃れようとしているのだろうか・・・しかし、手足目口鼻を持たず、ボディ以外には
針しか付いていないデザインのコイツには逃げることなど出来ようも無い。

私は針を掴み、それを思いっきりへし折った!

ボギイィッッ!!!

鋭いが細いそれは、意外と鈍い音をさせながらあっさりと折れた。

やれやれですね・・・
殆ど反応が無いのが少し寂しい気もするけど、
ここはキッチリとヤキを入れておきましょう。
無防備な相手を叩きのめすのに少しだけ罪悪感がよぎるけれど、
これは正当防衛ってやつです。


152 :六部198 :2007/01/15(月) 00:04:48.48 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜48

ブワアァッッ!!

「こおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
私は敵スタンドを上に放り投げ、ニューオーダーでありったけの拳を叩き込んだ。

「ベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラ
ベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラ
ベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラ」

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!!

拳を思う存分注ぎいいいいいい!!!!
敵スタンドを思いっきり床に叩きつけてフィニッシュッ!!!!!!!

ビタアアアアンンンンンン!!!!!!!

「マーベラスッ!!!(完璧ですッ!!!)」

ドッギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァン!!!!

そして最後に両拳を腰の前でグッと引き、敵スタンドに対して軽く一礼する。

「押忍ッ!」

敵とはいえ、礼儀だけは忘れてはいけない。
それが私の流儀だ。

バーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!


153 :六部198 :2007/01/15(月) 00:06:25.84 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜49

・・・・・・・・・・・・・

・・・旧校舎を後にし、無事に自宅へと辿り着いた私は、シャワーを浴びて
さっさとベッドの中に潜りこんだ。

もう悪夢にうなされることは無いだろう。
だが、眠りに就く前に気になることがあった。

頭の中のキーワードを実体化させるスタンドは、いつから私に憑り付いていた?
それは多分、全ての始まり・・・『ドゥ・マゴ』で怪談話を聞かされたその時だ。
本体は誰?
それは・・・もしかして、突然怪談話をし始めた浦さんじゃあないのか・・・?

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・

今思うと、彼女にはおかしな点が幾つかある。
彼女と私は性格や趣味嗜好が似ていた。
だからすぐに打ち解けることが出来たんだけど・・・
本当はそうではなく、あらかじめ私を調べてそれに合わせていたんじゃあないか?
初めて会ったとき、彼女は私のことを随分と詳しく知っていたような気がする。
紹介してくれた加護さんから色々と聞いていたのかもしれないけど、
彼女は加護さんよりも私のことを知りすぎていた。
それはつまり、彼女はずっと前から私のことを知っていた・・・
もしくは、ずっと前から私のことを知っていて、且つ私を陥れようとしている誰かに
頼まれて、加護さんを通して私に近づいた・・・とも考えられる・・・

でも、そうだとすると、彼女の動機は何?


154 :六部198 :2007/01/15(月) 00:07:26.64 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜50

まあいい・・・どうにせよ、明日本人に確かめればいい。
あのスタンドは、どう見ても遠隔操作タイプだ。
自動操縦タイプだと、場面に応じた動き・・・すなわち途中で
イメージや映像を切り替えるという細かい操作は出来ない。

もしも浦さんが本体なら、大怪我で学校を休んでいるはずだ。
普通に登校していれば、彼女は本体ではない。
違っていたとするならば寺田先生にこのことを報告して、
改めて調査してもらえばいい。
・・・先生のことはあまり信用できないけど、スタンド絡みとなれば
ある程度は信用してもいいかも。

・・・さあ、もう寝よう。
明日も色々と大変な一日になる。

私は布団を頭から被り、目を閉じて久しぶりに訪れるであろう眠りに就いた。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・
・・・・・



155 :六部198 :2007/01/15(月) 00:09:04.58 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜51

次の日の朝、始業前に浦さんのを探していると、見知った2人を見つけた。

「あ、こんこん、おはようなのれす!」
「おはよう、こんこん」
私に気付いた2人が挨拶をしてきた。
辻さんと加護さんだ。
「おはようございます」
私はペコリと一礼すると、浦さんとの共通の友達である
加護さんに浦さんのことを聞いた。
すると、加護さんは急に神妙な表情を見せた。
「ああ、何か夕べ大怪我をして入院したって聞いたよ。
しかも、家の中で1人だけだったのに打撲やら骨折やら・・・」

「!!!」

やっぱり・・・彼女が本体だったのか・・・
「・・・こんこん?どうしたのれすか?怖い顔して」
辻さんが心配そうに私を覗き込んできた。
私の表情が強張っていたのだと思う。
「・・・浦さんに大怪我を負わせたのは、私なんです」
私が俯き加減で呟くように言うと、2人も表情を強張らせた。
「どういうこと?」
加護さんが私の肩を掴み、ワケを尋ねてきた。

「・・・夕べ、彼女のスタンドに襲われたんです・・・いや、正確にはもっと前から・・・
詳しいことは、後で話します・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・


156 :六部198 :2007/01/15(月) 00:10:42.97 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜52

その日の昼休み、私は2人にことの経緯を話した。
ちなみに他の人には一切伝えていない。
一応、事件は済んだことだし、寺田先生や
吉澤さんに話すと、変に事が大きくなってしまう・・・
という、加護さんの提案だった。

実際、あれから1週間経った現在でも特におかしなことは起こらなかった。
そして実は、加護さんも浦さんのことはよく知らなかったと言うのだ。
知り合った時期は私とほぼ一緒で、程なくして私を紹介して欲しいと言われたのだそうだ。

多分、私に何らかの個人的な恨みを持っていた浦さんが、
復讐のために襲ってきったのだろう。
そして私に直接近づくのは怪しいので、人を介して近づこうと考えた・・・というのが、私の見解だ。
どういう『恨み』なのかはわからないけど、人は些細なことで傷つき、それを恨む。
もしかすると、私が全て悪かったのかもしれない。
しかし、だからといって突然襲ってくるのは筋違いだ。
言いたいことがあるなら、直接言えばいいのだ。

ともあれ、原因がわからないのは気分が悪い。
私は折を見て、彼女が搬送されたというぶどうヶ丘病院を訪ねるつもりだ。
そこでじっくりと話し合って解決していこうと思う。


バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・


157 :六部198 :2007/01/15(月) 00:12:23.60 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜53

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・

薄暗い一室・・・そこにポツンと置かれたソファーに、二人の少女が座っている。
一人はロングヘアで、目鼻立ちがはっきりした、面長で少し大人っぽい少女だ。
そしてもう一人は、少しウェーブがかった髪をアップにまとめており、
顔立ちは童顔で子供っぽく見える。

「あーあ・・・アンタの『オトモダチ』も結局役立たずやなぁ・・」
髪を指でいじりながら、面長の少女が言った。
すると、もう一人の童顔の少女がそれに反論する。
「おいおい、そんなこと言わんとってーな。結構頑張ったと思うで。
それに、アンタのくだらん『お遊び』に付き合わされた彼女が可哀想やないか」
そう言ってソファーの前に置かれた簡素な机に足を投げ出し、持っていたタバコに火を点けて紫煙をくゆらせた。
『オトモダチ』に同情しているような言葉だが、その態度や表情からは一切それは窺えない。
どちらかというと、『役立たず』という言葉に同調しているかのようにもとれる。

「お遊びねえ・・・フフ・・まあええわ、しゃあない。それより――」
面長の少女は一旦話を打ち切り、別の話題に切り替えた。
「『フジモト』の方はどないなってん?全然音沙汰が無いやんか」
「ん?ああ、『ミキティ』のこと?あれはもう止めた」
「あぁ?どういうことや?」
「どうもこうも無いわ。面倒くさいから、パスやパス」
そう言って童顔の少女が手をヒラヒラさせながらソファーに寝転がると、
面長の少女は呆れたように溜め息を吐いた。
「はあ〜・・・なんやねん、それ」


159 :六部198 :2007/01/15(月) 00:14:15.26 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜54

「まあ、気が向いたらやったってもええで。せやけど、あんまり期待はせんとってーな。
別にウチはアンタ等がミキティに何されたとか、
他にもどんな企みがあるのかとかは興味無いねん。
まあ、『エリカ』ちゃんを倒した『ミキティ』の実力を確かめておきたいってのはあるがな・・・」
そこまで言うと童顔の少女は一度言葉を切って起き上がり、面長の少女に向き直った。
「ほんで、話を戻すけど、どうすんねん今回の『後始末』は?
このままやと、『こんこん』がアンタの『タネ』を嗅ぎつけるのも時間の問題やで」

「心配御無用。ちゃんと考えとるわ」
面長の少女はそう言ってニヤリと笑った。
それに反応して、童顔の少女は眉をピクリと動かした。
「ほう・・・どんなことやねん?」
「ん?それは内緒や。企業秘密ってやつやな」
「フンッ・・・どうせろくでもない事やろうが。この、ド陰険な性悪女がッ」
「おやおや、アンタの口からそんな言葉が聞けるとは思わなかったわ〜。
まあ、ご想像にお任せしときます」
「『ご想像』ねえ・・・ウチの想像やと、とんでもない事になっとるで」
「フフフ・・・多分、その通りになると思うわ・・・さて、そろそろ部活も始まるし行きましょか?」
面長の少女が不敵に笑いながら立ち上がると、
童顔の少女もタバコの火を灰皿で消してソファーから立ち上がった。


162 :六部198 :2007/01/15(月) 01:04:21.99 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜55

「ていうか、煙ばれないようにしとってな」
面長の少女が鼻をつまみながら、残っている煙を迷惑そうに手で振り払った。
「大丈夫やて。こうやって・・・シュッシュッ・・・と」
童顔の少女は灰皿を部屋の隅にある棚の裏に隠し、
そこに置いてあったスプレー缶を手に持って周囲に噴霧した。
「・・・それ、ホンマに効くんやろな?」
「平気やって。もう、疑り深いなあ・・・ちゃんとここに『消臭』て書いとるやろが。
その証拠に臭いも消えたやろ?」
童顔の少女はスプレー缶のラベルを指差して見せつけると、
それを元の場所に戻した。

「はあ・・・『あいぼん』、もうタバコ止めなはれ」
面長の少女が大げさな手振りをしながら言うと、
それが可笑しかったのか、童顔の少女はプッと吹き出した。
「なんでちょっとセリフがかっとんねん。
まあ、『唯やん』が悪い事企む癖を止めたら、ウチも止めたるわ」
「あ〜・・それは無理や・・・」
「無理なんかい!」
童顔の少女は、所謂漫才師の突っ込みのように手の甲で面長の少女の胸を叩いた。

「そういえば唯やん、この前、駅前で美味しいお好み焼き屋を見つけたんやけど、行く?」
「お、ええな・・・行こうや」
「じゃあ、いつにしようか?」
「ああ、そうやな――」

・・・・・・
・・・



163 :六部198 :2007/01/15(月) 01:05:13.43 0
銀色の永遠 〜ノクターン〜56

紺野あさ美 事件から数日後、ぶどうヶ丘病院を訪ねようとした矢先、浦えりかが失踪したことを知る。
スタンド名 ニューオーダー

浦えりか 紺野が病院に訪れる数日前に、病室から忽然と姿を消してしまった。
スタンド名 バッド・シード

TO BE CONTINUED…


今月のお店・・・

今回ご紹介するのは、S市に新しくオープンした、
極上のお好み焼きが自慢の『お好み焼店・鉄板オヤジ』 だ。
店内に入ると、頑固一徹だが気は優しいオヤジ(ここでは店長のことを『オヤジ』と呼ぶ)が、
威勢よく、それでいて温かく迎えてくれます。その時点で気分はもう、家族そのものッ!!
そして、お好み焼きの種類は、全12種類。
ここでお勧めしたいのは、豚肉とキャベツがだけの『一徹』<¥500>。
シンプルではあるものの、安くて美味いということで、お店の一番人気だ。
誤魔化しが効かない分、材料にはかなりこだわっているらしく、
すべてが自家製。自分で作っているから安心で納得の品質。
それでいて余計な手間がない分、安く提供できるというわけだ。
その味は、是非とも自分の舌で確かめて欲しいッ!百の文字よりも、一度の食事であるッ!
(決して筆者の表現力が足りないからではない・・・と言い訳しておこう)
ちなみに、オヤジに頼めば上手に焼いてくれるので、初心者でも安心ッ!

アクセスは、杜王駅前から歩いて5分。詳しくは、右下の地図をご覧ください。

・・・「Sちょこっとグルメ☆」誌より抜粋。